Sing... うたう             
 お盆が過ぎたというのに、連日猛暑が続いております。
毎日35℃を超え、一度30℃以下をさす温度計を見てみたい衝動に駆られております。

 さて、この猛暑の中、私の教室では10月19日(火)のファッションショーに向けて、首に巻いたタオルで汗を拭ながら、部屋をガンガンに冷やしてニット作りに励んでおります。サマーヤーンで編んでいる人はまだいいのですが、ウールで編んでいる人は悲鳴を上げながらがんばっております。

 ショーの本番までにひと月以上ありますが、一目一針手を動かして行く作業です。ニットを1着完成させるには、やはり時間が掛かります。途中で編み間違えたり、家族や本人の体調不良などアクシデントが起こることもあり、綱渡り状態の人もいます。そしてショーの1週間前のモデルとの衣装合わせの時に、まだ出来上がっていない人がいることもあります。でも、それから猛ダッシュで完成させ、当日は何事もなかったかのように皆様に披露しております。

 その衣装合わせですが、ニットのコーディネイトを一着ずつ決めトータルなファッションに仕上げていくのです。カジュアルにもエレガントにもスポーティーにもコーディネイトできる楽しい作業です。そこでは、まず作者の思いを聞きながらボトム選びをします。ニットと調和の取れるカラーを意識しながらスカートにするか、パンツにするか決めますが、そのデザインで微妙に雰囲気が違ってきますので一番神経を使う作業です。でもこれが決まればアクセサリー・帽子・靴と順番に合わせていき、トータルしたコーディネイトが完成するというわけです。
一見大変なことのように思えますが、モデルも交え皆で試行錯誤しながらコーディネイトしていくのは、楽しいですよ。
 次にコーディネイトした姿のモデルを写真に撮り、当日のショーに向けての準備が一段落するのです。ショー当日はこの写真を見ながら、モデル係りは順番に衣装を準備し、モデルは素早く着替えていきます。またチェック係りは、舞台の袖にスタンバイし、写真と見比べながらモデルの着装をチェックしゴーサインを出していきます。そして演奏者・ナレーター・私もこの写真を手元に置き、チャックしながらショーを流していきます。ですから、この写真がなければショーはスムーズに進んでいきません。
当日は、こんな舞台裏を想像しながら見ていただくのも楽しいかもしれませんね。
                    
 さあ今月からニット作りはもちろん、プログラム・タイトル・ナレーション・BGMを決めていく作業が始まります。
 ショーの日には、皆様に楽しいひとときを過ごしていただけるよう、生徒共々もう一頑張りいたします。

 皆様のお越しをお待ちしております。
Fukiko
 
心の糸
 先月NHK名古屋放送局から、11月に放映される土曜ドラマ「心の糸」への協力依頼がありました。ドラマの中で使用するグランドピアノのカバーを、手編みで作ってほしいとのこと。主人公の耳の不自由なお母さんが、古くなってしまったカバーを見て、音大を目指してレッスンに励む息子のために、新しくカバーを編むという設定だそうです。息子が奏でるピアノの音が聞こえず、アドバイスをしてやれない悲しさから、せめてもカバーだけでも編んで応援してやりたいという場面に私に声が掛かったのです。
依頼は、古いカバーと新しいカバーの2枚です。それもひと月足らずで完成させてほしいとのこと。引き受けたもののどのように短時間で作るかが問題です。素人が作ったピアノカバーという設定ですから、難しい技法は使わなくてもいいのは助かりますが、それにしても時間が足りません。またお母さん役の松雪泰子さんが編めるような簡単な技法でなくてはいけません。あれこれと試行錯誤を重ね、方眼編みモチーフとクンストモチーフをつなぐ2種類を生徒たちに手伝って貰い、やっと期日までに納めることができました。

 その後、松雪泰子さんに編物を指導するため、スタジオやロケ地金沢まで行ってきました。松雪さんが編物をする1分程のシーンに1時間半ほどかけて、カメラリハーサル・本番、アップのリハーサル・本番となんパターンも撮っていくのです。これがシーンごとに繰り返されるのですから一つのドラマを作る大変さを実感してきました。
  
松雪さんとニットが出演するドラマ、お時間がありましたら見て下さいね。

先月出版された「素敵なミセス」の表紙に私のニットが掲載されました。
書店にお立ち寄りの際に、手にとっていただければ幸いです。