Sing... うたう          Nov. 2015    
 11月になり、木々の紅葉の美しさが一段と増してまいりました。2か月ぶりのSingのお届けとなってしまい、申し訳ございませんでした。

 実は、9月下旬から10月初旬に掛けて、イギリス旅行に出かけSingを書く時期を逸してしまったのです。というか、書く余裕がなかったというのが正直なところです。
 旅行の前は、済ませておかなくてはいけない諸事項があり、帰宅したらしたで多忙を極め、旅行の楽しい思い出はどこへやら・・・
という毎日でした。

 忙しいとは、“心を亡くす”と言いますが、私の10月は、心が迷子になってしまったようなひと月でした。今思い返してもバタバタと動き回り、心はここにあらずというようなひと月でした。
 でも、ほんの少しの時間ですが、「どこへ行ってきたのかしら」と、デジカメを見る余裕はありました。“そうだ!お天気に恵まれて、美しい景色に魅せられてきたたんだった。”と「旅行してきて良かった!」と思える瞬間です。そんな思い出に浸れる時間は 何にも代えがたいビタミン剤となり、また元気に動けるのです。旅行や文化にふれることなど、日常の自分を違った環境に置いてみることは、大切さなのかもしれませんね。

 10数年前、両親を介護していた自分を思い出します。今と同じくらいのスケジュールに介護がプラスされて「忙しい」と言えないくらいの毎日でした。でも大変だったけれど「イヤだ」と思ったことは、ありませんでした。なぜ、「イヤだ。」と思わずにできたのでしょう。きっと、主人やお医者様・介護施設の職員さん・ケアマネさん・訪問看護師さんなどに支えられ、また、「両親の笑顔やありがとうの言葉」が私のビタミン剤になっていたのだと思います。旅行に行けなくても、ビタミン剤はいっぱいありました。

 さて、11月はと言うと、10月に引けを取らないくらい多忙なのが、見て取れます。家事はもちろんですが、ニット製作・講習会・孫の音楽会・同級生とのニットカフェ・旅行と目白押しです。毎日スケジュール表を開いては、いかに効率よく動くか、何を優先して動くかなど、頭を巡らせております。そして、疲れをためてしまわないよう気を付けなくては・・・と思いながらです。
              
 来年2016年4月には、2年ぶりにファッションショーを開催いたします。只今、それに向けて生徒共々ニットの製作中、手も頭もフル回転中です。「忙しい」なんて言っている暇は、ありません。
当日には、皆様に楽しんでいただけるショーが開催できますように、頑張りますね。でも、心を亡くしてしまわないよう、たまにはビタミン剤の補給も忘れずに・・・。
Fukiko
干し柿
  先日、ご近所さんから「富士柿」を頂きました。富士柿は、渋柿の一種類、富士山の形に似ていることから、そう命名されたそうです。
アルコールで渋抜きをし、甘くさせて食べてもいいそうですが、私は干し柿にチャレンジしてみました。
 
 私の実家には、富有柿や渋柿の木がありました。その渋柿の名前は、わかりませんが、小さくて干し柿にするともっと小さくなってしまう種類でした。その渋柿の皮を、秋の夜長にむき、長い縄に付ける作業を、手伝った思い出があります。翌日、その縄を軒先につるし、干し柿になるのを待つのです。どこの家の軒先にもこの様な干し柿がつるされ、紅葉した山々と稲刈りの終わった田んぼ、そしてオレンジ色に囲われた家々は、毎年の秋から冬への景色となっておりました。
 学生時代に、冬休みの帰省中の車窓から、この景色が目に飛び込んでくると、やっと故郷に帰ってきたと実感していたのを思い出します。
 その干し柿ですが、軒先いっぱいに作るのですから、ワンシーズンで食べきれるものではありません。残った干し柿はどうするかというと、寒い冬の小鳥たちの餌となるのです。軒先には、次から次へと小鳥がやってきては干し柿を啄んでいきます。それを眺めるのも、干し柿をつくる楽しみでもありました。

 さて、私の干し柿作りは、縄に取って代わってビニール紐になっております。少々情緒に欠けますが、甘い柿になってくれるのですから、目をつぶりましょう。見た目より食い気?です。
 毎日、どんな様子か確認しながら、一粒ずつモミモミとしています。
 干しあがるのが、楽しみな毎日です。