Sing... うたう        June 2016
 一年でいちばん過ごしやすい日が続いております。その爽やかな青空の下、伊勢志摩サミットは無事に終了しました。
その大きな置き土産は、何と言ってもオバマ大統領の広島訪問でしょうか。平和公園での17分にも及ぶ大統領の演説には、聞き入ってしまいました。でも、核保有国の大統領が、核縮小を訴えている姿に、矛盾を感じられずにはいられませんでした。

 先日、アフガニスタンでボランティア活動されている「中村哲さん」の講演を聞いてきました。医師の中村さんは、1984年から、パキスタン・アフガニスタンでハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療をしながら、2000年からは、アフガニスタンを襲った大干ばつ対策のための飲料水や灌漑用井戸事業、また、農村復興のための大掛かりな灌漑水利事業をされています。そして、65万人の人々の生活を支えられています。
灌漑事業では、江戸時代に作られた福岡県朝倉市の「山田堰」の工法を参考に、堰が作られているそうです。水の流れる原理を熟知し、石を組み合わせてつくった山田堰は、数百年たった今でも、機能しているそうです。すごいですね。

 「私たちに確固とした援助哲学があるわけではないが、唯一譲れぬ一線は、“現地の人々の立場に立ち、現地の文化や価値観を尊重し、現地のために働く“ことである」との中村さんの言葉です。
 どの事業にしても、どれだけの時間が掛かろうとも現地の人々のリズムで、現地の人々の手で進めていかなくてはいけないとのこと。何故って、その後の維持管理・補修も現地の人々ができなくては、意味がないからとのことです。往々にして、大掛かりな機械を持ち込み「作ってあげました。」の支援が多いそうです。これでは、修理ができず維持管理もできず、無用の長物になってしまうようです。

 このような中村さんの活動に対して、「日本が困っているのに」と批評する声、逆に平和運動の一環と支持する声、でも逃げ場のない現地の人々の生命を、無条件に考え支援しようという声は少ないとのこと。
講演会の最後まで、淡々と話され、「やってあげています!」「しています!」の言葉や態度が見られず、無条件に人々の生命を救う活動をされている中村さんに、真のボランティア哲学を見せて頂いたような気がしました。

 アフガニスタン紛争後のアメリカの治安維持活動で果たして、平和になったのでしょうか? 中村さんの言葉では、「NO」でした。また、「人は、武器で平和にはなりません。今日一日生きていくための水で平和になるのです。命の水が、平和の水になるのです。」と言われた言葉に心打たれてきました。
 先日の広島のオバマ大統領の言葉と中村さんの言葉、どちらが重いかと考えながらも、何もしていない私。反省の毎日です。
Fukiko
いなべ
 「いなべ」って何だかわかりますか? 実は三重県にある「員弁」のこと。
 平成の市町村大合併によって誕生した「いなべ市」のことです。ではなぜ漢字ではなくひらがなの市名になったのでしょうか?
どうやら 他県の人には、「員弁」では、読みづらいのではという理由から、平仮名 になったそうです。
 私も最初は、「いんべん」と読んでいました。でも、間違いに気付いて からは、正しくに読めるようになりました。最初読みづらくても、一度 覚えてしまえば何の不自由を感じません。そして、漢字2字を見ただけ で三重県のあの市だと理解できるのと、印象に残るのがいいと思うの ですが・・・。
 このように、ひらがなの市町村名にしているところが、全国で30 以上あります。
 愛知県では、みよし市にあま市。あま市は海部郡の町村が合併した際 にあま市とされたそうです。いなべ市」と同様に「海部」を「あま」と 読みづらいから、その市名になったと聞きます。漢字一字一字に意味が あり、地名には、その地のいわれがあることでしょう。それが継承しなくなっていくのは、残念なことです。
 私の故郷の黒田庄町は、平成の大合併までは兵庫県多可郡黒田庄町でした。今は、西脇市と合併し西脇市黒田庄町となっています。たまにテレビで紹介される故郷ですが、以前は黒田庄町と町名で紹介されて いましたが、今では西脇市とされるところに、寂しさを感じます。



 全国には、昔から生活してきた先祖の歴史・文化・気候などに由来 した地名が多くあると聞きます。それらの地名・漢字をもっと大切に していきたいですね。