Sing... うたう        Apr. 2017
 さくら前線が北上し、春の息吹が感じられる華やかな季節となりました。また、入学式、入社式転勤・・・と晴れやかな行事も目白押しの少し気忙しい、でも心高鳴る季節です。

 先日、“くぎ煮”を頂きました。娘の嫁ぎ先の神戸のお義母さん・同じく神戸の編物の先生から、そして今年は明石の叔母からも頂きました。これが、届くと春が来たのだなと実感します。我が家の春を告げる風物詩となっています。編物の先生は、今年70キロのくぎ煮を作られたそうです。

 くぎ煮は、2月下旬から3月にかけて水揚げされたイカナゴ(東日本ではコウナゴ)の幼魚を、醤油・みりん・砂糖で水分がなくなるまで煮込んだ佃煮です。途中、かき混ぜると身が崩れ、団子状に固まってしまうので一切かき混ぜないそうです。炊き上がったイカナゴは、茶色く曲がっていて、その姿がさびた釘に見えることから「釘煮」と呼ばれるようになりました。阪神・播磨地区では、春先になると各家庭からイカナゴを炊く匂いが漂ってきて、生姜や山椒や唐辛子を入れる家庭もあり、各家庭によって味付けが異なるようです。頂いた3軒とも味が違っておりましたが、どれもとても美味しく食が進みます。

 そう言えば、10年前に亡くなった神戸の叔母も、毎年送ってくれていました。その叔母も大量に作り、自分はあまり食べずに、ほとんどを知人に差し上げていました。余ったくぎ煮は、冷凍保存しておいて、半年後にまたプレゼントしてくれたこともありました。神戸・明石の郵便局には、くぎ煮を送るための「ゆうパック」のセットが置いてあるそうで、いつもそれで送ってくれていたのを思い出します。

 明石市出身の私の母は、「若い頃は、くぎ煮なんて作ったこともなかった。くぎ煮という言葉も知らなかった。」と言っておりました。戦前は、一般家庭では作られておらず、昭和30年以降家庭で作られるようになってきたそうで、母が知らないのは納得できます。発祥地は、神戸市垂水区・長田区付近だと言われていて、両地に発祥記念の碑があるそうです。
 
 私の大好物のくぎ煮ですが、近年漁獲量が減ってきているそうです。原因は、温暖化ではないかと言われています。またイカナゴは、瀬戸内の綺麗な砂の中で夏を過ごし成長するため、その生育環境が悪化しているからかもしれないとも言われています。
 そのイカナゴを守るため、漁期を神戸市立水産技術センターが、稚魚の成育状況を調査し解禁日を決めています。今年のイカナゴの解禁日は、3月7日でした。いつもは、それから一ヶ月ほどが、漁期なのですが、今年は不漁のため、2週間くらいで禁漁となりました。いかなごを守るためには、仕方ありません。漁獲量の減少のため、値段が高くなり、「今年は、高いなあ。」と嘆きながらも、せっせとくぎ煮作りに励む神戸・明石のおばちゃんたちでした。そのおばちゃんたちのお蔭で、お相伴させてもらっている幸せな私です。
 さあ、くぎ煮でご飯!ご飯!
Fukiko
風に誘われてニット展 & 春の風コンサート
爽やかな春の風が吹き抜ける和の空間と手作りニットの洋のコラボレーションをお楽しみください。
21日(日)には、「GIOIRE」女性8人のオカリナのコンサートを開催いたします。
オカリナのアンサンブル演奏を聴きながら、春のひと時をお楽しみください。


日時/5月16日(火)~21日(日) 9:00~17:00
(初日は13:00~ 最終日は16:00まで)

会場/中山道鵜沼宿脇本陣
岐阜県各務原市鵜沼西町1丁目137

“GIOIRE”春の風オカリナ コンサート(無料)




  
21日(日) 11:00~/14:00~

 愛知・三重・岐阜でプロの音楽家として
 活躍している女性8人のグループです。