Sing... うたう Aug. 2018
         
 夏真っ盛り! でも今年の夏は、異常に暑いです。
寒がりの主人も、自らエアコンのスイッチをONにしておりました。例年、私がONしたスイッチをOFFにしていた人がです。それくらい暑いのですね。

 「善意は、悪意より恐ろしい。」と書かれた本の帯が目入り思わず手に取ったのは、ミステリー作家湊かなえさんの「ユートピア」という本でした。本の帯・湊さん・題に惹かれ即購入しました。
 
 地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・奈々子、夫の転勤で引っ越してきた・光稀、移住してきた陶芸家・すみれ。「誰かの役に立ちたい」という思いから、3人でボランティア基金を設立。しかし些細な価値観のズレから連帯が歪みはじめ、やがて事件が姿を現し・・・。
それぞれのユートピア(理想郷)を探しはじめるのですが・・・善意は、悪意より恐ろしい結果に・・・。
誰でも持っている嫉妬や妬み、それぞれの価値観の違いや人間関係が絡まり、面白くて一気に読んでしまいました。湊さん独特の登場人物ひとりひとりに焦点をあてた書き方は、時には理解しにくいところもありましたが、終盤には謎が一気に解ける手法はさすがでした。

 私が、物語の中で興味をそそられたのは、仏具店の嫁・奈々子が、花のモチーフを編んでいるところです。虚しさや怒りを花に変えれば少しは気が紛れると姑から教えられたのですが、その姑は、その怨念が込められたストールを巻いて、家出してしまう。
 奈々子は、姑から教わったモチーフを、たくさんのストレスを解消するために、何枚も何枚も編んでは、袋にため込んでいるのです。怨念が詰まったモチーフをつなぐと、姑のように家出してしまいそうで、つなげないとつぶやきます。そして、この花のモチーフは、物語の後半に事件を紐解く重要な役割を果たす伏線なるのです。
 
 奈々子のように、怨念とまではいきませんが、仕事の後に編物をして、頭を空っぽにして心を癒しているという人を知っています。お付き合いしている人に、プレゼントしたいからと、一目一針愛情を込めて編んでいる人もいます。孫に着せたい、ひ孫にプレゼントしたいと、目を細めながら編んでいる人もいます。そして、食事会に着たいから、旅行に着たいからと、ニットを着た自分の姿を想像しながらの人もいます。
また、都はるみさんの「北の宿から」では、「着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでます。女ごころの未練でしょう あなた恋しい 北の宿」と片思いの愛しいひとを思いながら編む人もいるようです。
 他にも、以前私がお手伝いしたNHKのドラマ「こころの糸」では、ろうあ者の母親が、ピアニストを目指している息子のために、ピアノカバーを編むことで応援するというのがありました。
 色々な思いの編物があり、編物を通しての人間模様をモチーフに、ドラマができそうです。

 そういう私は、どんな思いで編んでいるのでしょう。感動もなく、時間に追われ・・かな?
Fukiko
熱中症
 連日のように猛暑が続いております。
 ひと昔前は、気温が30度を超えると真夏日と言い、ぎらぎら太陽に本格的な夏が来た!と海や山へ出掛けては、アウトドアのレジャーを楽しんでいました。
 また、夕方になると夕涼みがてら散歩にでかけたり、夜は庭先で花火をしたりと、夏の風物詩を楽しむ風景がよく見られました。そして、思う存分に夏を満喫していました。
 
 ところがです。今年は、35度以上の日が続き、40度を超える地域もありとても夏を楽しむという心境になれません。「とても危険な気温です。涼しいところで過ごし、熱中症にならないよう気をつけて下さい。」と気象庁が注意を呼び掛けていました。そして、「私は大丈夫です。」と過信している人ほど熱中症になりやすい。とも言っていました。
 熱中症で病院に搬送された人の半分以上は、室内での発症だったとのこと。
 また3分の2が高齢者だったそうです。高齢者は、温度の変化や喉の渇きを感じ難く、そのためエアコンを使用しない人や水分の補給をこまめにしない人が,多いとも言っていました。私も気を付けなくては!

 この猛暑は、日本だけではなく、世界各地でも起きているそうです。果たして地球はどうなってしまったのでしょうか。やはり、温暖化が原因なのでしょうか?

 秋の便りが早く届かないかと、待ち遠しいこのごろです。

リーフ模様を斜めに

あしらった新鮮感覚ベスト

縁や裾、サイドの

ネット編みの効果で

軽やかな着心地が楽しめます。



2018‐2019秋冬
すてきな手編み(ヴォーグ社)
に掲載中
デザイン/Fukiko