Sing... うたう Nov. 2022
         
 北風が吹き、行く秋を惜しむかのように紅葉がハラハラと舞っております。マフラー・コート・ホットミルクが恋しくなる季節となりました。そして、あったかニットの登場するこの頃です。
 
 先月25日、衆議院本会議で立憲民主党の野田佳彦元首相が安倍晋三元首相への追悼演説をされました。その演説の様子をテレビで放映されたのを、ほんの少しだけ見ましたが、野田さんの安倍さんに語り掛けるような口調と内容に、思わず聞き入ってしまいました。
 
 翌日の新聞には全文が掲載されました。「こんなに長かったの?」と思うくらいの長文に読むかどうか一瞬を躊躇しましたが、引き込まれるように全文を一気に読んでしまいました。
 安部さんとは同期に国会議員となり、政治的な立場は違っても、同じ内閣総理大臣としての多忙や苦労を分かり合える中だったと語りました。また党首討論では、丁々発止の議論を戦わせたこと。少しでも隙を見せれば容赦なく切り付けてきて、お互いに言葉と言葉をぶつけあったこと。そして、お互い国家を背負った経験を持つ者同士、天下国家のありようをこの議場で、言葉と言葉、魂と魂をぶつけ合い、火花散るような議論をもっともっとしたかったとも語りました。
 そして、総理としての皇居での任命式控室では、敗者である野田さんに勝者である安部さんと二人きりとなり、気まずい沈黙を破るように野田さんに話しかけてきた安部さんの心優しいエピソードが懐かしいと語りました。
 「長く国家のかじ取りに尽力してきた安部さんは、歴史の法廷に永遠に立ち続けなければならない運命です。はたして安倍晋三とは、いったい何者であったのか、この国に遺したものは何だったのか、そのことに時間をかけて問い続けたい。」と語りました。

 終盤、議員各位に訴えました。

  
政治の握るマイクには、人々の暮らしや命がかかっています。
  暴力にひるまず、臆さず、街頭に立つ勇気を持ち続けようではありませんか。
  民主主義の基である、自由な言論を守り抜いていこうではありませんか。
  真摯な言葉で、建設的な議論を尽くし、民主主義をより健全で強靭なものへと育てあげていこうではありませんか。


と議員に語りかけました。安部さんを語りながら野田さんが一番言いたかったのは、議員に向けて語ったこの5行だったのではないかと思いました。
宗教やお金の問題など、議員個人の問題が指摘されている昨今、もっと国や人のために考えてくれる議員や、国民から信頼できる議員が増えてくれることを望まれているのでしょう。

 9月に行われた国葬での岸田さんや菅さんの追悼演説以上に心動かされた野田さんの演説でした。
Fukiko
ニットアルバム
  編み物教室の生徒さんが、自作したニットをフォトアルバムにしたいと言われ、
 風庵里山ギャラリーで撮影のお手伝いをしてきました。モデルは、ご本人です。