今年は、例年になく早い梅雨入りです。紫陽花が満開にならないうちの梅雨空となりました。きっとカタツムリもびっくりしていることでしょう。
4月の大腸がん手術から2か月が経ち、5月の連休明けから編み物教室を再開し、ほぼ日常の生活に戻りました。
以前に子宮筋腫の開腹手術をした時と比べ、腹部5か所に穴を開けての腹腔鏡手術は、術後の回復が早く驚いております。
手術前に、主治医から「おそらく腸壁にとどまっているがんでステージ2です。しかし念のためその周りのリンパ節も一緒に切り取ります。」と言われ、安心していました。しかし、「術後の検査の結果、リンパ節の1つからがん細胞が見つかり、ステージは3になりました。今後の再発予防のため抗がん剤治療をした方がいいと思います。」と言われてしまいました。安心しきっていたところへの宣告に、初めて「死」という言葉が頭によぎりました。そして、抗がん剤治療をするかどうかの選択をしなくてはいけない、という課題を突きつけられたのです。
「抗がん剤治療」その副作用で苦しんでいる人を何人も見てきた私には、受け入れたくない言葉です。私の母も、副作用から吐き気と食欲不振、体重減少、体力低下に苦しみ、最後には静脈血栓になりました。また、手のしびれや脱毛の人もいました。
大腸がんの5年後の再発率は約30%。抗がん剤治療すると20%に減るそうで、10%の人に効果があるとのこと。がん細胞が完全になくなるのではなく、予防ための抗がん剤治療のようです。
10%に入るためには、苦しい治療に耐えなくてはいけません。果たして、70才過ぎた細い体の私に、この治療に耐えられるでしょうか?低下してしまった体力を取り戻せるでしょうか?好きな編み物やフォークダンスや旅行ができるでしょうか?
副作用で苦しみながら長生きにするのか、それとも日々楽しみながら短命で生きていくのか、これからの生き方を考えさせてくれるがんです。がん患者さんのSNSを見たり、友達に相談したり、抗がん剤のパンフレットを読み返したりして、迷いに迷いました。そして、「睡眠・食事・筋力に気を付け、健康的な生活をしていると、がんなんかどこかへ飛んで行くぞ!」との主人の一言に決心がつきました。生活の質の方を選ぶことにしました。
後日の診察で「今の私の年齢や体重・体力を考えると、がんに勝っても抗がん剤治療に負けてしまいます。だから抗がん剤治療はしません。」と主治医に伝えました。「そうですか。そうですね。」と主治医の言葉でした。
という4月中の葛藤の日々でした。5月からは先月のSingに書いたように、体の中に潜んでいるかもしれない私が育てたがんと、「がんちゃん、あばれないでね。」と問いかけながら、仲良く付き合っている毎日です。「がんになってよく笑っていられるね。」と言われますが、泣いても笑っても一日は過ぎていきます。それなら笑って生きていきたいと思っています。人になんと言われようと「私の体は、私のもの」ですから。 |