「 最近のニュースを見て,原付に思うこと 」   富中 昭智 とみなか あきのり

  

                   ミスターバイク 2007.4 男のジャーナル掲載    

 

 

 この1年間,中学生が原付バイクを盗み,2〜3人乗りをして交通事故死したというニュースを何回か聞いた。なぜ,同じような事件が続いて起きるのだろうか。中学生がやんちゃになっているのは確かだろう。いじめ問題やら恐喝事件などが今年は盛んに報道され,先生たちもさぞ大変なことと思う。

しかし,これら事故に関しては,バイクの構造・メーカーの姿勢にも改善点があるのではないか,少なくとも事故を減らしたり小さくしたりすることが可能なのではないか,と思い,筆をとった。

 そもそも,一人乗りのはずの原付バイクに,なぜ2人も3人も乗れてしまうのか。この原付バイクはスクーターだろう。街中を走っている若者の乗り方を見ていると,シートの後ろの方にかなりのスペースがあるのがわかる。シートが一人乗りにしては大きすぎるのではないか。デザインや乗り心地,ヘルメットの収納のためにシートが必要以上に巨大化しているのだ。もし,そうであるのならば,一人乗りにふさわしいシートに変えるべきと思う。これは,早急に改善すべき点だろう。

 2点目は,なぜ中学生が簡単にキーロックをはずせてしまうのか。 メーカーがここに力を入れていないからではないか。原付バイクとはいえ,買えば十数万円はするし,中学生が乗れば,本人のみならず,周りへの危険は計り知れないのに,それを防ぐにはお寒いキーロックの機構なのだ。メーカーは,エンジンや車体に改良を凝らしはするものの,こういうところにはお金をかけていないのではないだろうか。自動車のイモビライザーのようなものは無理にしても,せめてはずしにくい,はずすのに苦労する,というものをつくるのは,それほど難しいとは思えない。

 3点目は,なぜ中学生がこうも簡単に運転できてしまうのかということである。しかも2人乗りや3人乗りまでできてしまうのはなぜだろう

 それは便利さを追究するあまり,誰にでも運転できるようにしてしまったからだろう。自動車ならば教習所に通い,運転ができるようになった証としての免許証を取得する。それは,運転がそれだけ難しいことを示している。ところが,原付バイクでは運転を習う必要がない。現に,今の免許でもペーパーテストと講習だけで取得できてしまうぐらいなのだから。今後,たとえ実技が試験に課されても,原付バイクが今のまま変わらなければ現状は変わらない。原付バイクに乗る中学生は出てくるに違いない。

 原付バイクは確かに便利だ。そして,私の周りで乗っているのは,きちんと乗っている大人ばかりだ。これは日本全国どこでもだいたい同じだろう。そして,原付バイクには原付バイク独自の歴史があり,今の形になってきたのはわかっているつもりである。

 しかし,便利さを追求してきた結果,運転させたくない中学生のような子どもにまで扱えてしまい,しかも無茶な乗り方を許す代物にしてしまったのも事実。それをさせないために,シートは一人乗りにふさわしい小さいものにするべきだ。キーロックは簡単にははずせないものを採用すべきだ。そして,いくら運転が簡単とはいえ,交通法規がわからないまま乗るのは危険だ。原付バイクを無免許で運転した場合,例えば25才までは免許を取れなくするということも一考すべきと思う。

 中学生による原付バイクの事故はこれ以上起こさせないために議論よ起これ。

 

 

 →おーとばいザムライ