2009年現在、FT-1000MPの中古が10万円である、およびTS-740Sや、IC-760Proの中古が4万円であるというように、HFトランシーバの溢れた時勢(インフレ+デフレ=スタグフレ)となっています。
上記御三家(YAESU、KENWOOD、ICOM)のうち、10年前にIC-760Pro(ICOMで、一番良いものだとおもう)を自分で使っていました。電源/オートアンテナチューナ内蔵、標準で、フィルタ、キーヤーを内蔵しているという、一人で持ち上げるには重過ぎる内容でした。その後はU/VHFも含まれるコンパクトなFT-847、IC-706MKUGを使っていました。これらは、電源/アンテナチューナが無いので、片手で持てます。 09年のALLJAで、IC-706MKUGでは、1KWの局に対して、ノー感(昨年まで応答があった)になってしまったので、あれこれ打開策を考えていたところです。
15年前に、10万円以下(最低クラス)で購入したIC-723に立ち返り、再スタートを試みるべく、定価10万円のIC-7200(HF〜50MHz)を購入してみました。
ic7200
こうした買い物は、10年ぶりになります。

結果:
 IC-7200がIC-723〜IC-760を超えるといえる出来は、以下の4点

定価10万円のHFトランシーバ

09年5月、アイコムのHFトランシーバ、IC-7200を購入し、出来のよさに感動の日々を過ごすことになった。
(1)ファイナルが熱ダレしない

同じ入門機クラスとして、IC-723を初めて購入したのが、15年前です。その後、IC-732,IC-760Pro、そして今は、IC-706MKUGです。
これ(IC-723)で、WPXに出ていると、半日くらいで熱ダレで人のほうが気分的に参ってしまいました。
IC-723だと、音は出ているようだが、まったく飛んでいないという感じが、冷えてもしていたものです。
三菱のMOSFETをプッシュプルにした、IC-7200の終段の強さは、IC-760Pro並ではなかろうか?IC-760Proのように、持ち上げられない大きい箱では無いので、デバイスの進歩なんでしょう。立ち上がりが良いというか、抜けが良いというか、とにかく小気味良いくらいに、安定しています。
巷にIC-7200の台数が増えたら、問題化する(うるさい)のではないかと思える強力なファイナルです。ちなみに、IC-7200はファンが回っても気がつかないくらい静かです。IC-706MKUGは、休憩を挟みたくなる程度のファンの音がします。


(2)フィルター、ノイズリダクションなど、オプション不要

標準DSP装備のおかげで、フィルター類の追加不要。周波数も高安定、音声ガイドあり。
一昔の10万円くらいのオプションが、最初からついているというもの。
DSPは、携帯電話や最近のテレビ、カメラで活躍しているデジタル信号処理に特化したプロセッサで、TIが御本家ですが、実際使われているのは、安くて速いアナログデバイセズが多いです。トランシーバにおいては、初段に使われ、その付加機能としてフィルターやノイズリダクションの機能を持っています。 フィルターなら、アナログと機能は一緒ですが、アナログIF部分をまるごとDSPに置き換えたノイズリダクションは、各トランシーバメーカーの力量の見せ所です。後付ではないので。
DSPの応用は、日進月歩なので、IC-7200においては、一世代前の高級機(名前は出さないけれど)よりも、明らかに復調が良い(聞こえるけれど聞き取れないということが無い)です。正面についたスピーカ(かなり特徴があり)の違いも、その組み合わせで「聞いて意味がわかるか」についての役割が大きいです。
初段がDSPの場合、フィルターは裾が狭くできるので、フィルタリングすると堅い音になりますが、今の7メガの現状では、皆がこうしたDSP搭載のトランシーバを使っているので、これを選り分けられる、IC-7200くらいのフロントエンドが必須です。使い手があるのは、フィルターボタン。ナローの時は、アナログフィルターよりも非常に良く切れ、再生音に「生」を感じさせないくらいの明瞭度があります。偶然広島のコンテストが行われていたのですが、午後になってここで空振りしている局を、拾うことができ、かつ拾ってもらえ(謎!音が割れてたかも)ました。こうした事が出来ないようだと、その上のDXなどは務まりません。本来のアナログ機、例えば、ノイズが気にならなければ、意外にIC-732(723では無い)+FL-××などでも、これが出来てしまうものです。本来はトランシーバの素の耳の良さのことですが、聴取を継続すると、ノイズを大音量で長時間聞くことになり、使っている人が難聴になるでしょう。これを難聴にならなくする(ワイドのときは、静寂かつ柔らかい)のが今の「静かな」DSP処理ということです。旧来のアナログ機、つまりはワイドのノイズリダクションが無いと、ノイズを聞きっぱなしになる時間がほとんどだからです。このノイズというのは、安い機種だと「天ぷらを揚げる音」、高い機種だと、聞いていて心地よいというのが、旧来のアナログ機です。

IC-7200は、パネルが上から見難いので、音声ガイドが付いているのは、見難いパネルを補い不幸(デザイン)中の幸い(実害のレベル)といえます。
高周波数安定、、はSSTVでもやらなければ、要らないかも。 オプションに相当する機能ではありませんが、テンキーで周波数が入力できるのは、良いです。音がどうのこうの聞き比べは、909Khz(NHKラジオ)を聞くのが一番分かりやすいですが、これを0.909とテンキー入力するだけなのは、とても楽なことです。ここらへんのダイアル操作が、アイコムの場合は、実に実戦的です。


(3)USBのCI-V(周波数をパソコンに転送など)

アドレスが新しいので、そのままのアドレスだと、今のところ既存のアプリケーションからは無視されるけれど、古いリグのアドレスに変更すれば、USBで繋ぐだけで既存ソフトがそのまま使えます。ハムログで使え(入力ウインドウに、周波数とモードが転記されます)てます。
オーディオ入出力(マイク/ACCコネクタ)も、USBに切り替えられるので、サウンドカード無しのSSTVや、それ以外のアプリケーションの出現も期待できます。

(4)問題は、解決したのか?

ALL JA(CWでしか、やりません)で、コールバックしても、とってもらえず、、が、頻発したのに対し、WPX CW Springで、聞こえたものは、北米の1局を除き、すべて交信できました。と、いっても、200年ぶりの太陽黒点の不活発とかで、大国としか、できていませんが、、
違いは、ゼロインが正確になること、送信帯域が狭いことではないかとおもいます。「どこらへん」でそう思うかというと、相手が、まってく気がつきもしない(ALL JA=以前のトランシーバ)のと、相手が録音を聞き返して、聞き取れる(WPX CW Spring)の違いからです(=こっちの電界強度のセンターが、相手の聞いてるところからズレちゃうのよね)。特にWPXの場合は、コンテストナンバーがこちらの交信局数なので、相手に完全に聞き取れなかったら、カウントできないので、送信の差は明白です。
では、IC-706MKUGと、IC-7200で、どれくらい違うのかというと、、どっちも20〜30局 なので、コンディションには、かなわないというのが本当です。
私のIC-706MKUGは、DSP無しなので、フィルター(FL-101)抜くと、耳が遠くなりそうなノイズを聞かされますが、それがIC-7200にはないので、無理なくIC-7200を薦める理由は、やはりコストパフォーマンスですか。



何か期待して購入したわけではありませんが、IC-7200のお陰で、次のWPXが待ち遠しいというように、また無線に復帰してしまいました。
コスト/パフォーマンスでいけば、15年前に新品のIC-760Proが、10万円で買えてしまった気分(いきなり時代のトップレベル)です。
価格的には、最ローエンド(最も安い)の機種なのだけれど、「アンテナチューナ無し」のため、アンテナを正しくしないと使えない=飛ばさざるを得ない!という、「いきなりベテラン」機種でもあります。先のCI-Vのアドレスなど、こればっかり使っていないと分からないこと(10年前:IC-821のときに経験したから回避できた)が、マニュアルには、「あっさり」しか書いてありません。というか、「この趣味の人限定」であって、普通の人には、わからない用語でしか、書かれていません。
さらに安いトランシーバを探して、古い旧型を直すよりは、結局は、復調が良くて飛ぶので「結果が得られて」いいんじゃないかな。

<ジャパニーズ10Wからベアフットへ>
最低価格のIC-7200からHFトランシーバを検討していくとIC-7200に含まれていないアンテナチューナが課題になるとおもいます。
ジャパニーズ10W(テンワット)という言葉が流行っていた、電話級=10Wのときの言葉です。この頃は、アンテナといえば、バランを買ってきて片側5mつづの線を張って1/2λダイポールにしての世界だとおもいます。アパートのベランダでは厳しいですが、これでも国内ならできます。季節や時間帯に制限が出てきますが、片側3.4mづつなら21Mhzで海外と交信できます。春と秋の日の出と日没に、トランシーバにかじりつくわけですが、それでやっとみつけた海外の局を呼んでも、弱くてなかなかとってもらえません。なんとかしようと思うなら、必死でアンテナを調整するわけで、そこへアンテナチューナのようなロスを挟む余地はありません。ここで我慢が効かなくなると、100Wのトランシーバが出番となります。これをジャパニーズ10Wと呼んでいました。この場合はアンテナから飛んでいく高周波よりも、戻ってくる高周波のほうが多いと、怪奇現象が起きますので、アンテナチューナの出番となります。よくできたアンテナチューナだと、21Mhzのアンテナで18Mhzに出られたりもしました。アンテナは固有の共振点がありますので、コンテストなどで、端から端まで出るようだと、チューナはあったほうが良いです。
それでも200カントリー(200カ国)くらいは交信できますが、それでは飽き足らなくなったときは、アンテナの前にリニアアンプを入れます。この場合のトランシーバは、「エキサイター」などと呼ばれ、オーディオに例えれば、6SNGTや、12AX7のようなものです。リニアは500Wから1KWの出力が得られるため、終段保護のためのチューナがついています。この場合なら、トランシーバのアンテナチューナは無用です。
自動二輪の限定解除と同様に、1級免許も簡単(和文電信がない)になったため、1KW局も、以前は、けっこうな数いました。1KWの局免許ならば、ちゃんとしたタワーが建っているわけですが、実際その状態を維持する人は少ないです。
私の場合はどうかというと、AH-3という単一エレメントで1.9Mhz〜21Mhzに同調するアンテナチューナ(4万円くらい)と、7、14、21Mhzの1/2λダイポール(製作費3つ合わせて5千円?)を、屋根裏に入れてます。IC-7200で使っているのはAH-3(10Mhz,18Mhzにも出たいから)、IC-706MKUGで使っているのは、ダイポールです。
これでも、国内はもちろん海外とも「リニア無し」で、できてます。この状態を、ベアフットと呼びます。屋根裏なので、一度調整してしまえば狂うこともないので、アンテナチューナは無用です。いわば、化学肥料と有機栽培の関係みたいなもので、効率よくやろうとすれば、アンテナチューナは内蔵されていれば、それだけ容易(確実)に結果が出ます。アンテナチューナ無しで、アンテナが良く調整されていれば、それに越したことはありませんが、実際にそのように上手くいく状況は、大変費用がかかりますし、共振を利用するという原理からして、周波数の上から下までその状態になることは、あり得ません。

<モービルとは>
電源が13.8Vだから車のバッテリーで使えるというものではありません。今のHF機のほとんどは、車のバッテリーの電圧では、わずか足りずにマイコンが誤動作しますし、電流では、普通の車のバッテリーでは、20Wくらいが、やっとではないでしょうか?
IC-7200も、車に載せるべく、長い電源コードや、車載の場合の取り扱い説明書の説明書きがついていますが、そうして使える免許は50Wまでなので、実に矛盾を含んでします。
ただし、AH-4とAH-2bというオプションを購入すれば、いわゆるモービルというのもできそうなので、宝くじが当たったら、ぜひやってみたいです。
そうでなくても、14Mhzのモービルホイップだけで、海外と走る車から海外と交信することは、可能です。ただし、この場合はIC-7200ではなく、IC-706の類が良いでしょう。IC-7200は、ダッシュボード下に取り付けた場合、液晶パネルが、まったく見えないデザインをしています。IC-723には無かった矛盾です。

<電気製品として>
なぜか普及機のトランシーバは、電源が別なので、製品寿命は異様に長いです。電源は電解コンデンサーがあるので10年で抜けの心配があります。高級機で電源が入らなくなるのは、まずはこのあたりからです。電解コンデンサーそのものの故障モードはオープンなので、抜け始めると、ハム音などで気かつくべきところ。それを越すと以降の部品を壊すことがあります。
普及機が電源別なのは、真空管アンプでいうところのB電源に相当し、車のバッテリーで使うこと、終段がそれに合わせていることからです。
結果として、普及機ならば、あまり酷使されないこともあり、四半世紀前のトランシーバが立派に使えることがほとんどです。
逆に、電源は、トランス電源からスイッチング電源に代わりつつ(ビデオなどが15年まえにそうであったように)あるところで、トランス電源は重い反面、ノイズ原(1.9Mhzくらいでしょうが)になりにくい、並列にして電流を稼ぐなどの特徴があり、捨てがたいです。
あとは、オートアンテナチューナが、バリコン+モータなのか、リレーなのかによる違いですが、どちらも壊れると換えの部品が無いでしょう。
よって、安い機種ほど長く使えます。

<雰囲気について>
アイコムの高い機種でも同じなのだろうけれど、費用が出せればYAESUのほうが、見た目が良いので、「雰囲気に浸れる」でしょう。
IC-7200は、見た目はグロいので、雰囲気は「かけら」も無いですが、実戦力では抜き出ているとおもいます(が)。最近トランシーバも高いのが多数あるので、比較は難しいです。

雰囲気を乗り越え、愛着を感じるまでの道のり:
唯一の弱点は、IC-723もそうでしたが、実際に使える状況になるまで、誰も良さに気がつかない点ではないでしょうか?IC-723などは、その後買い替えで出費を重ねているうちに、その良さがわかったもの(それこそ10年後)でした。IC-7200については、あるべきもの(性能/機能)は、最初から全部備わっているので、見た目に対する費用と、使う人の技能のバランスが悪いとおもいます。アンテナが良くない(立地条件)ので、トランシーバに拘る(音が良いとか)人が多数の筈で、それはそれで、ある意味の無線の趣味だとおもうのです。そうでないと、間が持たないのでしょう。IC-760Proなどは、何も交信できない日があっても、ダイアル回しているだけ(BCL,AMの感度と音が、実に良かった)で至福だったりしました。

<安定化電源のコンデンサー取替え>
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2台の32A(ピーク定格)トランス式安定化電源は、かれこれ10年以上使ってきたので、コンデンサーを取替え、並列に繋いで使うことにしました。IC-7200の取り扱い説明書には、最大22Aとありますが、2台並列にしておくと、CWのときの立ち上がりが良いです。オーディオのアンプと同じことで、電源はトランスのほうが良いです。
ic7200
さて、2台並列に加えて、15000μFの平滑コンデンサーを、2個追加すると、どうなるか?
普通の機器の電源だと、それ以前の回路が、突入電流で壊れますが、アルインコの電源は、さにあらず。フロート充電の電流で、さらに電流の立ち上げが良くなります。(こわひ)
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国内メーカーの105℃品、かつ63Vなので、私が生きている間は、もつでしょう。
<最後にCI-V>
IC-706MKUGもつなぐために、232C〜CI-Vを二股にして、USBは止めにしました。IC-7200をUSBでつないで、IC-7200のCI-VをIC-706MKUGのCI-Vにつなぐと、市販のケーブルだけでスッキリするのですが、IC-7200の電源を落としたときに、IC-706MKUG側と不通になる筈だからです。試してはいませんが。

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平成21年5月10日 に作ったきり、、 ご助言は どこまで。