ビビットレッド・オペレーション 1〜12話

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 第一話「ファースト・オペレーション」

白米にそんなこんもりマヨをかけるなーっ!

 そんな今回のお話は…
 誰もが夢見た、科学が全てを解決した、平和な時代。
 示現エンジンの発明により世界中のエネルギー問題は解消していた。
 天真爛漫な14歳の少女・一色あかねは、妹・もも、祖父・健次郎、と貧しくも温かな日々を過ごしていた。
 ある日、親友・二葉あおいの帰りの知らせを受けたあかねだったが、時を同じくして突如現れた謎の存在・アローンの襲撃にあおいが巻きこまれてしまう。
 あおいを心配して迎えに行くあかねだったが…。
 以上公式のあらすじ。

 サンライズの「ラブライブ」と、この「ビビットレッド・オペレーション」のどちらの感想を書こうか迷ってこっちを取る。
 いやぁだってサンライズって「アイカツ」っていう子供向けのアイドルアニメやってるのに、深夜でもアイドルやるのか、商魂逞しいなぁとか思っちゃった(まぁそれはどっちかっていうとサンライズじゃないヤツラのような気もする)のもさることながら、なんとなくビビットレッド・オペレーションの方が感想書く人が少なそうだから。とか思ったら、監督はストライクウィッチーズの人であった。あれ?もしかして、ビビットの方が注目されてんのか?
 
 まぁそんな私事は放っておいて(もう書くって決めちゃったことだし)今回の第一話ですが、とても良く出来ており感心。舞台や設定をちゃんと説明しながら見せて、謎の敵アローン関連は見せはするけどよく分からないようにして、田舎の少女である主役ののんびりとした生活を見せつつ、謎の敵が襲来したことで一転していく主役の少女の日常、そして百合を見事なカット割りで演出していた。
 変に女の子のケツがアップになる第一話であったが(笑)、それよりも上記したようにカット割りが見事でそこが一番印象的だった。
 お話的にまずこの第一話で見せなければならないこととして、一に主役がどういう人物であるか、二に世界中のエネルギー問題を解決した画期的な発明 示現エンジン、三に通常兵器が通用しない謎の敵の襲来、四に主役の変身と、大まかにあげればこの四つがあるのだが、まず第一話なので、主役の少女「一色あかね」という人物がどういう家庭で育ち、どんな生活をして、どういう性格なのかという所をひとつの筋として全体を通して見せている。そのあかねの流れの中で上記にあげた二・三・四の進行が少しずつインサートされていき、世界の命運に関わりのなかった主役あかねが、段々とこの物語に大きく関わっていくのだなと思わせる作りになっているのだから素晴らしい。
 元々なんの変哲もない少女あかねであるのだが、様々な事象が彼女に付随していくことでお話が出来上がっていく、物語のプロローグとして完成していくシークエンスが見ていて気持ちが良く、久々にいい導入部を見た、という気になりました。

 個人的な所としましては、やっぱり主役のあかねだろう。まぁ正直言うと特に可愛いとか思ったわけではないのだが、このあかねは「主役なのである」という見せ方で、見事に主役している点が上手い。
 天真爛漫で元気いっぱいでちょっとバカっぽい。キャラクター的にも主役っぽいのだが、より主役足らしめているのはトラウマからなる高所恐怖症だ。
 アバンでの新聞配達時に、坂道をバイクで降りる際に高くてビビってしまい、ゆっくりそろそろと走るシーンがあるのだが、この時点でなんでそうしたのかは分からない。本編に入って巣から落ちた雛鳥を巣に返そうと木に登る際に彼女が高所恐怖症であることが分かり、天真爛漫元気いっぱいの彼女が、ちょっと高いくらいの場所が怖いという「らしくない」部分を見せ、アバンでのことの理由が分かるのと同時に、その「らしくない」弱点はきっとトラウマがあるんじゃないかと思わせてくれる。
 その後、謎の敵アローンが現れ、示現エンジンのあるブルーアイランドに進攻し、そこへ向う際に彼女のトラウマが明かされる。見ていて彼女のこのトラウマはもっと引っぱるのではないかと予想していたのだが、今回のメイン所でこれが見事に活きてくるのだ。
 療養のため、あかねのいる伊豆大島から離れていた親友「二葉あおい」は大島に戻ってくる際に謎の敵アローンとの戦闘に巻き込まれ、乗っていた飛行機が塔のような示現エンジンのてっぺんの縁に不時着してしまうのだが、駆けつけたあかねはトラウマからくる高所恐怖症の所為で近寄れない。
 ここで助けに行きたくてもいけない自分に苦悩するあかねをみせているのだが、個人的にはこの部分はもうちょっと尺を取って印象的に見せても良かったように思う。助けに行きたいという気持ちと怖いというトラウマのせめぎ合いになって、動こうにも動けない、助けたくても助けられない、それ故のもどかしさが欲しかった。それがあれば損傷して崩れた機体と共に落ちていく親友の為に突っ込んで行くあかねがもっと感動的だったろう。
 ともあれ、落ちてしまった親友を救うべく、トラウマを排してダイブしていくあかねは見事に主役している。その前に、学校で木から落ちた下級生を助けたり、高所恐怖症なのに雛鳥を巣に戻そう時に登ったりする所を見せているので、あかねが自分よりもまず他人を守ろうとする優しい性格であること、なにより大島に帰ってくるあおいを心待ちにしていた彼女が、トラウマを押しのけてあおいを救いたいとする所に無理がないし、そんなあかねが見ていて気持ちが良いではないか。
 しかし、その後落下しつつ手を繋ぎ合うふたりの友情パワー(なのかな?笑)によって変身したあかねは、どうも高所恐怖症を克服してしまったようなのはちょっともったいないような気がしますね。やっぱり弱点のひとつやふたつくらいあった方が人間臭くて良いような気がします。

 そしてやっぱり百合が好き。だって私の脳は綺麗に百合色に染まっているから!
 天真爛漫でちょっとバカっぽい姉のあかねにしっかり者の妹もも、も良かったんですが、やはり今回一番いい所を持っていったあかねと親友あおいですよねー。
 特に彼女らとしては落下イベント以外に何かしらあったわけではないが、あかねはあおいが戻ってくることを心待ちにしているし、あおいもあかねに会いたくて何度もメールしたりと、彼女らの関係をこれでもかと窺わせているので、これからのふたりの関係に期待していきたい。
 それ以外で気になった所としては、示現エンジンの開発者であかねの祖父健次郎か。世界中のエネルギーを賄っている超発明・示現エンジンの開発者なんだから、あかねの家はさぞ金持ちなんだろうと思っていたら、どちらかと言えば貧乏。というのも、7年前の示現エンジン開発中の事故の責任を取らされ失脚したようで、そのこともあっての謎の敵アローンを知る存在でもあり、物語を牽引する役目を担っている。のだが、変身アイテム作成の際に意識があかねの妹ももがあげた、かわうそ(?)のぬいぐるみに意識が移ってしまったのはおもしろいというか、上手くやったなという印象。
 変身ヒロインものとくれば、お共の小動物がお約束。しかしこのアニメの舞台設定は科学が進んだ世界である。超科学の中に超現象的な妖精を持ってくるのではなく、あくまで物語の舞台に沿った形にしてしたのは無理がなくて良いし、一番事情を知っている人間として、じじいが常に女子中学生について回ることも出来ないので、こういう形で常に主役の側にいれて、尚かつアドバイスできる存在にもなったのだから、上手いこと考えてあるとしか言いようがない。
 ああ、そうそう。もうひとつ。あかねが乗っていた空飛ぶバイク「わんこ」。わんこの説明があったときはなんでわんこなのかなーと思っておったのですが、置いてあるのを見たらその姿がイヌみたいだからなんですな。か、かわいい。ってゆーか乗ってみたい!

 最後に、ひらがな三文字の名前とか、百合っぽさとか、変身ヒロインとか、その辺考慮すると……これって「プリキュア」ですよねぇ。
 まぁプリキュアファンとして見れば、毎週2本もプリキュア見れると思えばこんなに嬉しいことはありませんな(笑)。感想を書くに至ったのもこの辺が大きかったり。

第二話「かさなり合う瞬間(とき)」

もったいないなぁ。

 そんな今回のお話は…
 パレットスーツをまとったあかね。
 『ドッキング』をしないと正体不明の敵・アローンは倒すことが出来ない、という祖父・健次郎に、あかねとあおいは『ドッキング』を決意する。
 あおいもパレットスーツに変身し、あかねと共にアローンに立ち向かう!
 国防軍と協力して、何とかアローンの動きを止める事ができた。そして、その隙に『ドッキング』をしてとどめを刺そうとするのだが…
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはプロローグ前後編の後編、といった様相。前回に変身して、今回はあおいの変身から、おそらくは一番の見せ所であろうドッキングで謎の敵アローンを倒し、敵の攻撃で学校が壊れちゃったんで転校を言い渡された、という流れ。まぁアニメーションとしては良く出来ていたとは思うが、お話としてはちょっと駆け足感があって、第一話がとても良く出来ていた所為もあってか正直乗り切れんかった。
 というのも、もうちょっと突っ込んでいいと思う所があって、それは今回変身したあおいなんだけれど、前半で守ってもらってばっかりの自分が、変身して今度はみんなを守ることが出来るとして、国防軍の船を謎の敵アローンの砲撃から守ったりするのだけど、それが弱いのだ。
 なぜならば、前回あおいは出てくるものの「守ってもらってばかりのあおい」は見せていない。まぁ示現エンジンのてっぺんから落ちたのをあかねが救ったけれど、それは誰だって救おうとするものな。
 ともかく、「守ってもらってばかり」ということに負い目のようなものを感じているあおいが、今度はその力で誰かを守ることが出来る、守りたいという彼女の気持ちを見せるのであらば、やはりその「守ってもらっている」場面を見せておくべきだろう。そういうことがあっての「今度は自分がみんなを守るんだい!」というあおいの強い気持ちに繋がっていくものだろう。しかし、そういったことが語られない上で今度は私が守る云々言われても、そりゃピンとこないというもので、なんか上っ面な台詞のように思えてしまうのだ。
 謎の敵アローンのビーム砲をでっかいトンカチで打ち返し、国防軍の戦艦を守る姿がカッコよかっただけに、あおいがそういう行動に出る背景があれば、もっとぐっときたのになぁと思わずにはいられなかった。
 あおいに関してはまだあって、さぁ一番の見せ所ドッキングだ!という段になって失敗してしまうのはまぁお約束。その原因が機械的なことではなく、あおいの心にあるのは見ていても分かるし、そこからの過去話から、あかねとの出会いがあって、きっかけとなったトマトは実は大嫌いだったというその辺の友情譚は良いのだが、問題はそこではない。
 療養のためあかねのいる大島へ来て、両親はおろかひとりの友達もいないあおいが、初めて出会った島の人あかねとどうしても仲良くなりたかったのは分かる。しかし、それならば彼女がその時どれだけ寂しい思いをしていたか、どれだけ心細かったのかを見せるべきなのではなかろうか。
 見知らぬ土地へ来て誰ひとり自分を知らないし自分も誰も知らない中で、ふとしたきっかけで知り合った同い年の女の子とどうしても仲良くなりたい、そして仲良くなれたことが彼女にとってどれほど嬉しい出来事だったのかが見えてこないのだ。
 きっかけになったトマトは実は大嫌いだったという、些細なウソがあおいにとっては重大な秘め事であり、それを告白することに意味があるし、なによりその秘め事はあかねはすでに気付いていて、そんな些細なウソをウソにしたくないあおいが給食のトマトを我慢して食しているのを見て、彼女こそ一生の親友になれるとしたことがあおいの心を解放するのは、あおいがあかねと知り合い仲良くなるまでの心中が見えるからこそ活きてくるのではないだろうか。
 あおいのウソは見ていても、なぁんだと思うような些細なことである。あおいはそんな些細なことをずっと隠していたくらいあかねとの関係を大事にしていたんだな、という結果論的な見せ方ではなく、その時のあおいを考えれば、そんな些細なウソを隠し通さなければならないと思ってしまうのも仕方ないよな、と思える見せ方であってほしかった。
 とまぁそういう観点から、見ていてもっと良くなるのにと思わせてしまう部分があったのは残念でならない。
 ついでに個人的なことを言ってしまえば、あおいのウソをあかねが知っていたのはちょっと興醒めであった。ちょっとバカっぽい(褒め言葉)あかねなので、むしろ全然気付いてなくて、「なぁ〜んだ言ってくれれば良かったのに。気付いてあげられなくてゴメンネ。そんなことで悩ませちゃって」くらいのことを言ってほしかった所。
 あおいの重大な秘密に対してなーんも思ってないあかねを見せて、あおいが隠し事をしていることで嫌われてしまうのではないかと思っていたことが杞憂であったこと、またそのことを気にしなくても良いこと、なによりそんな自分を変わらず受け入れてくれたことに喜びと、改めて友情を誓う。……みたいな展開の方が好みではあったな。

 上記以外で気になった所としましては、どうも戦闘している感が薄いのが気になった。
 多数の戦闘機やら戦艦やらが謎の敵アローンに撃破されるのだけど、まぁどう考えても人が死んでいるわけですよね。それなのにそういう悲壮感みたいなのがないのよね。特にあおいなんかは「守る」って言っておきながら全てを守ったわけでもなく、守れなかった部分に関して何かを思うようなカットがあったわけでもないので、なんか変身してドッキングして「イエーッ!」なだけで終わってしまったような印象だ。なので見ていて「その他大勢はどーでもいーのかな?」などと疑問を持ってしまったですよ。
 それにだ。現行兵器が効果ない敵に唯一対抗し得るなんだかよく分からない少女たちを援護するぜー!な展開になるんだけど、どー考えても邪魔だよね(笑)。お前らがいる所為であかね達の仕事が増えるっちゅーねんとか思って乗り切れねぇ。全部を守れない以上犠牲も増えるし、犠牲が増えても上記したようにあかねたちが何か思うでもないことに拍車がかかって、さらに乗り切れなくなる悪循環。正直、もういっそのこと人知れず戦ってくれた方が素直に見れたような気がしないでもないです。

 そんなわけで、もうちょっと細かい所に突っ込んでくれればなぁと思わずにはいられないという意味で、もったいないなぁと思わざるを得なかった。第一話が良かった分、期待し過ぎてしまったような気がしないでもないが(笑)。
 まぁ文句ばっかり書きましたが、それほど悪かったわけでもなかったんですがねー。ともあれ、第一話が一番のピークでそこから右肩下がりの下降線……なんてことにならないようにしていただきたい。

 どーでもいーけど、変身するのって全員で4人になるのね。ふたりで十分のような気がしないでもないが……はてさて。


第三話「本当の強さ」

駆け足すぎだろ。  そんな今回のお話は…
 ブルーアイランドの学校に転校することになったあかね、あおい、もも。その初日に遅刻しそうになったあかねは、パレットスーツに変身して登校しようとする。
 だが、その姿を剣道部の主将・三枝わかばに目撃されてしまった!あかねを曲者と勘違いしたわかばは、彼女を退治しようとするのだが、逆に軽くいなされてしまう。
 見知らぬ敵に負けてしまったショックから立ち直れないわかば。そして、その日の朝礼でやってきた転校生の姿が…!
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、転校することとなったあかねたちが、三人目のビビットグリーンこと(オレ命名)三枝わかばと出会い、なんやかんやあって友達になったと思ったら謎の敵アローンが出てきて変身して一緒にやっつけるってお話。なんか色々あっという間過ぎて「えぇ〜?」と思わざるを得ない。
 まぁお話が勇気凛々直球勝負なのは、そういうモノとして納得することにしたので展開的にはまぁいいのだけど、これは一話に収めて良かったのかどうかは疑問だ。
 というのも、遅刻しそうになって変身して登校したあかねが、その姿をわかばに見られて曲者と勘違いされ襲撃されるが、変身しているが故にあっさり彼女をあしらってしまったため、再度勝負せよと転校初日から追いかけられ、翌日、わかばから果たし状をもらったため勝負しにいったらなんか意気投合しちゃって、そこにアローンが現れて、私もみんなを守りたいとか言い出すわかばに、あっさり変身アイテムが出ちゃうんだぜ。(体のいいあらすじを書いてみました/笑)
 いやいや待てよ。キャッチコピー的に「友情が世界を救う」んだろ?たった二日で数年来の親友あおいと同等の繋がりをわかばは得たというのか?無理あるだろ。ってゆーか、そうだとしても、とてもそのようには「見えない」のは如何なモノか。
 尺的なこともあろうから「たった二日」は目を瞑っても良い。だが、それならそれで、その短い時間の間にあかねとわかばがお互いを感じ入り、「ああ、コイツとは一生仲良くやっていけそうだ」と思うようなことがなければ納得できないよ。
 まぁあかねの妹ももが、わかばをお姉ちゃんみたいと評したことや、浜辺での勝負をみるに、おそらくは「似た者同士」的な所からくる親近感からの繋がりであったのだろうとは思いはする。でもやっぱりたったそれだけで、なんだかよく分からないミサイルすら効かない敵と対抗できる変身アイテムが、あかねからポッと出てくるのはどうも納得がいかない。なんなら、あかねとちょっと仲良くなれば変身アイテム出してもらえそうだもの。
 なんだかよく分からない未曾有の敵に唯一対抗でき得る変身アイテムだからこそ、あかねとの繋がりってのはむしろ戦闘よりも大事だったりするのではないでしょうか。下手打てば死んじゃうかもしれないことをするわけですから、一緒に戦うってことは「コイツなら命預けれる」ってくらいの信頼関係を構築し、初めて参戦できるものではないだろうか。
 上記しましたけど、死ぬかもしれないわけですよ。まぁ死なないとしても大怪我するかもしれないし、その後一生病院で暮らすことになるかもしれないじゃないですか。そんなことに友達を巻き込みたくないって思うのがそもそも普通。でも、そうだとしても、あかねの力になりたい、みんなを守りたいっていう気持ちがあり、あかねはそのリスクを承知の上で「コイツと一緒ならこの困難をきっと乗り越えれる」と決意して初めて変身アイテムが出る、くらいのテンションが欲しい。
 その為には、二人の気持ちが盛り上がってく様子を描かねばならない。せっかくわかばが道場の跡取り(だったっけ?)で、学校で敵無しの彼女が変身したあかねに負けてしまって「強いってどういうことなんだろう?」となったんだから(というか、サブタイにもなっているわけだから)、あかねを通してそういうことが分かっていくシークエンスであったり、そこからあかねの人となりをわかばが見て、最初敵意だったわかばのあかねに対する気持ちが変化していくシークエンス、そしてわかばにつきまとわれながらも、その真っ直ぐであるが故に純真な心をあかねが段々と読み取っていくシークエンスを描き、見ていてなんやかんやあってこのふたりは随分とお互いを知り得たなぁと思わせて初めて変身することが出来ることに高揚感が出るものだと思う。
 そういったキャラクター同士の理解度を見せてくれないこともあり、ちゃっちゃとこの辺の話は進めてしまいましょーかくらいのアッサリさと駆け足感なので、正直、ビビットグリーンはホントにわかばで良いのかな?と思ってしまったよ(笑)。
 むしろ今回は戦闘までいかなくて、あかねとわかばが変身に至るまでに、どんな道程をたどるのかをじっくり描いた方が良かったような気がするな。所詮謎の敵なんて、最後は倒しちゃえばいーわけだし(笑)。
 ついでに言えば、あおいを放ったらかしにしすぎ。最終的に4人でチームなんだろ?だったら「あかねとわかば」という中で、あおいはそのふたりの間を上手く取り持つ一助なりをして絡んでこなければ、事後に「これでわかばちゃんも仲間だね!」になんねーだろ!と思わざるを得ない。だってわかば的には今回あおいとなんもしてないもん。仲間云々以前の問題だよなーと思ってしまう。あかねと仲良くなってればいーんか?それで友情は世界を救うんか?……何か違うような気がするのはきっとオレだけではないと信じたい。

 常々ここで、フィクションはどんなウソついても良いけど納得させられなければダメ!と言っているわけですが、上記した「わかば仲間になる」もご一読戴いたように十分に納得できないのでなんともなんですが、それに拍車をかけたのが戦闘ですよ。こんな駆け足ならホントない方がマシだったように思う。というのも、わかばが私もみんなを守りたいから一緒に戦いたいとか言って変身アイテムが出るのですが……「みんな」ってダレよ?
 戦闘シーンで出てきたのってあかね・あおい・わかば・もも・じじいだけじゃん。あかねとあおいは変身しているので、その台詞を言うわかばを除けばももとじじいだけです。それで「みんなを守りたい」?ピンとこないよなぁ。
 なんだかよく分からない謎の巨大な敵アローンが現れ、あまつさえ戦艦を一撃で吹っ飛ばす程の威力のある砲撃を乱射しているというのに、すぐ側の学校に被害が出ることもなければ、学校にいるその他大勢の方々が逃げ惑うこともなく、それで「みんなを守りたい」?むしろこれでピンとくるヤツの顔を見てみたいわ。
 せめて、せめて納得させてくれよ。真っ直ぐでそれ故純真でちょっとおでこを打ったももを抱きかかえて保健室へ連れて行くような優しいわかばなんだろ?だったら謎の敵アローンの攻撃で逃げ惑う学校の方々を見せて、わかばがその性格故にこの状況をなんとかしたい、「みんな」を守れる「本当の強さ」が欲しいと願い、死ぬかもしれない戦いに身を投じる決意を見せて、あかねたちと行動を共にすることとなることを納得させてくれよー。
 なんかいろんなことが中途半端過ぎるのと随分な駆け足感で、今回はずぇんずぇん納得できんかったよ……。

 最後にどーでもいーけど、あの学校の「ブルマが制服」ってなんなんだ(笑)。なんつー学校だとか思ったら「国立」だってよ。ほほう、国は思春期真っ盛りの少女に学校では下手すれば半ケツ見えるようなブルマを常時履いておけって言ってんのか。このアニメの日本国の偉いさん方は頭トチ狂ってんなぁ。
 「こんな学校ってどうなの?」と思って学校生活の部分が普通に見れないよ……。こーゆーところも納得いかないんだよなーもうっ。(まぁケツを描きたいんだってことは十二分に理解しましたが)


第四話「約束」

駆け足感はあるが……

 そんな今回のお話は…
 ある出来事をきっかけに引きこもりになってしまった少女・四宮ひまわり。彼女は、島中のカメラをハッキングして観察を続けている。
 そんな時、あかね達がアローンと戦うところを目撃してしまう!そんな事を知らないあかね達は、ひまわりが自分の席に置いていたWEBカメラを壊してしまう。
 その事を謝りにひまわりの自宅へ向かうあかね、あおい、わかば。
 居留守をするつもりだったひまわりだが、うそくんの姿に興味を持ち、部屋に招き入れることにするのだが…。
 以上公式のあらすじ。

 ……前回と比べると見れる。お話は引きこもりの四宮ひまわりが四人目のビビットイエローになるという話。
 展開はこれまでと同様に勇気凛々直球勝負なので、特に何か捻ったとかそういう某はなく、いたって普通に進んでいく。なんやかんやあって、引きこもりのひまわりとあかねが友達になって仲間になるぜーというだけのお話だ。
 まぁそんなことは分かりきった事なので、そこで何を見せるかがポイントなんだけど、正直、その分かりきった事以上がほぼないのはちょっと残念。
 というのも、引きこもりだというのに、特にあかねたちがひまわりを引っぱり出すのに苦労したわけでもないし、ひまわりが好きだと言うプラントであったり示顕エンジンは、それを彼女がどれほど好きなのかが今ひとつよく分からないので、あんまり彼女に感情移入できないのだ。
 まず、せっかくの「引きこもり」という設定であるのだが、見ていてひまわりがそんなに引きこもりのような気がしないのだ。まぁ尺の都合もあろうけど、あかねたちが彼女に会うのに苦労したり、ひまわりの取っ付きにくさにあかねたちが苦労したりはもっと強く印象付けても良いだろうと思う。
 引きこもりになっているのは理由があるからで、それが故に人を避けているのだから、その後に明らかになる理由に理屈をつける為にも、あかねたちはひまわりに難儀する部分を見せておくべきなのではなかろうか。ひまわり自身も劇中で「どうせ変な子だって思っているんでしょ」と言っていたように、こんな自分はという自虐もあるので、それでもあかねたちはひまわりがウザイと思うくらいにに関わって、サブタイである所の「約束」につなげてほしかった所だ。
 孤独ってのはそれを愛する人でない限りは寂しいものである。ひまわりは教室にカメラを設置して学校生活を除いているのだから、本当は人と接したいはず、だと思う(だってその辺語られないし/笑)。しかし過去のトラウマから他人を信じる事が出来ないのだ。
 そんなひまわりだから、あかねはあおいやわかばの時のようなアプローチをして失敗して、でも何度もトライして、ひまわりの中にある二律背反する気持ちを揺さぶって彼女の心中が見えれば、トラウマを排し、あかねたちと一緒に守りたいというひまわりの気持ちに同調できるような気がします。
 まぁつまるところを言えば、ひまわりがあかねたちと出会い、なんやかんやあった事で、過去につらい事もあったけど、また信じ合える友達が出来た、それで彼女の心が癒され気持ちが変わった、いや、変わる事が出来た、ということを一番メインに据えるべきだったのではないかと思う。
 前回にも書きましたが、「友情が世界を救う」というキャッチコピーな物語であるので、あかねたちがどういう繋がりを作ってその力を高めて行くかがこの物語の本分なのではないのですかね。なんかメイン所が変身してドッキングして謎の敵を倒してイエー!になっているような気がして、何か違和感を感じてしまうのだが。キッズアニメなら分からんでもないんですがねぇ。どー見てもメインターゲットは成人男子だもの。

 もひとつとしましては、ひまわりが示現エンジンが好きだ、ということ。これはまったく背景が語られていないのよね。まぁ後々語られる事なのかもしれませんが、せめてきっかけくらいは語っても良かったように思う。
 超ハッカーなのは別にいいのですよ、なぜならそれは機械好きという所に付随しているから。しかしその機械好きの発端はおそらくは示現エンジンであったろうから、ひまわりが示現エンジンに興味を持ち、メカニカルな部分はもちろん、外観やそのシステムですらも愛すようになったか説明するべきだろう。
 一応劇中では、エネルギーを世界中に送って、自分たちがそれでどれほど恩恵を受けているか、みたいな事を言っているのだけど、それは好きになっていった後で彼女が得たことだろう。もっと根本的な何かがあったはずで、興味を持つから色々調べるのであって、そうして調べていく中でひまわりが「あぁ、なんてすごいんだ」と心の底から感動しなければ、今のひまわりがじじいの作ったファイアウォールを破るまではならないだろう。
 今のひまわりを形成する部分の説明としてもさることながら、彼女が心の底から感動した事があってこその今回の戦闘だろう。こういう事があってこれほど好きだから、というのがあって初めて「示現エンジンを守りたい」ひいてはエンジンの恩恵を受ける人々を守りたいという所へ直結するのだと思う。
 そういう事が見えてこないので、どうも表面的に感じられてしまうのだよなぁ。全体的に深みが足りないというか、これってただ単に変身ヒロインを見せたいだけなのでは?と思ってしまうのはちょっともったいないのではなかろうか。
 プラントを謎の敵アローンに攻撃されるのを見ている事しか出来ない、中に入れれば自分の持つ技術で一番大切な部分を守れるのに。という今回の件は良いシーンである。しかし、前述したような事が見えてこないので、ひまわりの悲しみやつらさがまったく伝わってこないのだ。それが分かるから彼女が変身ヒロインとなって戦う事に高揚するし、納得も出来るというものだと思うがなぁ。
 変身ヒーローヒロインものっていうのは、結果が分かっているからこそ、その過程や背景、そして人物が大事なのではなかろうか。

 最後に、事後ひまわりが学校いくとか言い出した事なのだが、ええ〜?引きこもりが直っちゃったよ。それとこれとはちょっと別なのではないのか?
 人を信じられるようになったということなんだろうけど、それはあかねたちに対してなので、その他大勢の事ではないですよね。ついでに言えばあかね「たち」ではなくあかね「だけ」だし。
 そういう事も考えて、今回のポイントとなった約束ってのはあかねひとりではなく、あおいやわかばもしておくべきだったように思います。
 約束を破られトラウマを作ったひまわりなので、守られたあかねの約束という所で変身アイテムが出る事に無理がないので、その辺は良いのだけど(まぁ上記したように、それでひまわりがどれほど嬉しかったかは描かれていないので、まぁ納得はいく、というくらいのレベルではあるのだが)、四人で1チームなら、ちゃんと全員に関わり持たせないと納得も薄い。あかねと友達になってさえすれば良いのか?と思ってしまう。そんな程度でどれくらい学校に行っていなかったかは分からないけれど、引きこもっていた人が学校行くぜ!にならんだろうよ。
 せっかく取っ付きにくいっていう性格もあるのだから、まぁあかねたちがいるんなら学校に行かないでもない、みたいな行くのか行かないのかくらいにして、次回からあかねたちがお迎えに行って、がんばってひまわりを登校させるとかにした方が、それっぽかったというか納得がいったように思います。  こういう所も、ヒロイン達が変身して敵をぶっ倒してれば良い、みたいに見える一因でもあるんだよなぁ。尺の都合もあろうけど、もっと突っ込んでいい部分が多々あるのだ。

 とまぁそんなわけで、前回に比べれば随分と見れるシナリオではありはしたけど、見れただけという印象も否めない。もうちょっと抑揚のあるお話になると良いんだけどなぁ。


第五話「もうひとつの鍵」

今回はとても良かったですよ。

 そんな今回のお話は…
 あかねは新聞配達の最中に堤防で鳥と戯れる少女・クラスメイトの黒騎れいを見掛ける。
 彼女に声をかけるのだが、愛想無く去っていってしまう。
 学校で再会しても、朝のことについては何も知らないと言われてしまい……。
 その頃、示現エンジン管理局で戦闘データを解析していた健次郎と紫条は、アローンが第三者によって操られている可能性に気づく。
 以上公式のあらすじ。

 お話は最後のメインキャラで、謎の敵アローンに与する少女「黒騎れい」の話。今までのような、変身してドッキングして謎の敵を倒してイエー!ってだけでなかった所為か興味深く見ることが出来ました。
 内容としましては、これまで謎の敵アローンに弓矢撃っていたので、単純に敵側の人間かと思われていた黒崎れいですが、とある事情と目的の為にやむなく彼らの与しているが、本当は優しい人間なのであるということを表している。
 見せ方として、あかねたちが随分ハッピーな連中なのに対し、かなりの薄幸少女で他人を自ら寄せ付けない。しかしそれには理由があって、どうもあかねの両親が巻き込まれた(?)示現エンジンの事故が関係あるようで、れいの夢で語られるには示現エネルギーの暴走で、れいのいた世界は彼女を残して全て消滅した、らしい。謎の敵アローンを使っているなんだかよく分からない存在はれいに干渉してきて、自分たちに協力し示現エンジンを壊して今の世界を破壊するなら、れいのいた世界を戻してやると持ちかけ、れいはそれに乗った。謎の敵アローンがパワーアップさせる為にれいが打ち込む矢は、彼女がこの世界を壊したいという心、ということらしい。
 話を鵜呑みにするなら、れいはあかねたちとは違う世界の人であり、なくなった自分の世界を再構築する為に謎の敵アローン側についていて、れいとしては今いる世界を壊そうとしているので、干渉しようとはしていないということになる。
 と、こう書くとれいが「今いる世界をぶっ壊して元居た世界に戻すぜー!」となんだかよく分からないアローン使っているヤツラ(以下面倒なのでヤツラと呼称)と結託して邁進しているようだが、実際にはれいはヤツラにいいように使われているし、れいとしてもヤツラを良く思っておらず、両親や友達のいた世界を取り戻すため仕方なく協力している。
 ヤツラは理由は分からないが、あかねたちの世界が気に入らないようで、れいには干渉する事を禁じていて、彼女が子供を事故から助けただけでお仕置きされてしまうのだ。また自分の役目は示現エンジンを壊す事なので、アローンを使わなくともと身ひとつで乗り込むも失敗し、海に落ちてあかねに拾われてケガをし熱があるというのに、ヤツラはカラスの格好でやってきて、グズグズしてないで弓矢撃ってこいと言いにくるのである。
 と、このような事を見せられれば、なんだか可哀想と思うのが普通で、目的の為に悪いヤツラにいいように使われてしまっている彼女がこれからどうなって行くのか、また、あかねたちが彼女をどう救うかを気にさせる。

 今回は特にれいとの対比としてあかねを置いているのが上手く、父と死別し、母はずっと入院中ではあるが、妹と祖父と共に家で楽しく暮らしているあかねに対し、れいはテーブルとイスしかないマンションに一人暮らし。ペット(?)のインコに今日あったなんでもない事をひたすら喋りかけたりする様はあまりに悲しく、第1話で見せていたあかねの日常生活とはかけ離れている。
 また海に落ちてあかねに拾われた際に、彼女の両親の事を知ったれいは、両親が戻ってくるならどんな事でもするかとあかねに問いかけ、うんと答えるが、それは周りの人や友達に迷惑をかけない範囲でならと注釈を付け、今現在のあかねとれいを対比させている。
 大切な人がいなくなった、という点でこのふたりは同じであるのだが、その心の有り様は違っている。しかし、あかねの言葉にはっとするれいは、この世界を壊して全てを取り戻すのと引き換えに、この世界の人間を全て殺してしまうことは正しいのかと疑念を持っていて、その二律背反する気持ちに苦しんでいる。だが今現在は、この世界にれいには何も無いこともあって、自分のしている事はやらなくてはならない事なのだと無理くり納得してその使命を果たそうとしているのが見ていてつらい。
 つらい事もあったけど友達や家族と共に今ある世界を享受するあかねと、全てを失ったため全てを壊して取り戻そうとするれい。このふたりがどう交わって、物語がどういう方向へ向かって着地するのかを期待させてくれるではないか。
 ここまでただ単に「変身してドッキングして謎の敵を倒してイエー!」だけだったが、れいが投入された事によって、ただそれだけでなくなったのは良い。やはりこれからどうなっていくのかなと思わせてくれないと見るのがつらいが、これからは楽しく見られそうだ。

 他ちょっと気になった部分としては、上記の流れからしてあかねだろう。
 れいと友達になりたいあかねであったが見事に拒否られてしまうが、母の見舞いに行った際に、友達になる事が出来なかったと母の前で弱みを見せるのだ。いつも明るくまっすぐゴーなあかねであるが、友達になろうとして「やだ」と言われたことがショックであったという人間らしさを見せてくれた。またそこで母が優しく受け止め持ち上げてくれることがあかねの力であり、またそういう存在が何一つないれいとの対比としても良いシーンであった。
 それとれいに夢でヤツラが言っていた事なんだけど、今ひとつ信用できませんな。今ある世界を壊せばれいのいた世界を戻せるってのは根拠がないし、そもそも、ホントにれいは別の世界云々の人なのかなぁ。世界の消滅はヤツラの暗示か、単純にれいの関わりのある人が7年前の示現エンジンの事故でみんな死んじゃったということを、「れいの世界」としているかだと思うのですが。まぁとにかく、れいはヤツラに騙されているような気がしますな。
 これはちょっと文句なんだけど(笑)、示現エンジンの破壊の役目を負うれいは、破壊さえすればアローンを使わなくともと、単身示現エンジンのあるブルーアイランドへ潜入するのだけど……何故学校の制服で行く?いくらなんでも正体バレの危険が高すぎるだろ。ガンダムのシャアがジャブローに潜入する時にあの衣装のままでいったのと同じくらい妙である(笑)。
 ああ、れいに関連してだが、まぁこれまでもそうだったように、あかね以外がなんでかそれほど関わってこないのが気になってしょうがない。まるであかねとさえ仲良くなっていれば良いみたいに感じられてしまっていかん。友達云々や友情がテーマなのだったら、せっかくの4人のチームなんだし全員がれいに関わって行く様子を見たいしそうあるべきだと思うが、まぁそれは追々そうなるのかもしれないが。
 最後にサマースクールの件でのあおいなんだけど、身体が弱くお嬢様な彼女は友達とお泊まりする事に喜び期待する様はらしくて可愛い。で、やってみたい事として色々挙げていましたが、一番最初が「海でぷかぷかしたり〜」だったんですよね。……ははぁん。さてはあおい、泳げないんだな。まぁ身体か弱いのでさもありなんだが、わざわざ「海で泳いだり〜」でなく浮き輪でぷかぷか浮かんでいるのを想像しているのだからきっとそうなのだろう。どーでもいーんだけど、可愛い女の子が泳げない様ってなんか可愛らしいと思うのは私だけなんですかね?

 とまぁそんなわけで、今回はとても興味深く見れました。これからも今回のように人物の情景が分かるように描いてくれればおもしろくなっていくと思うので、これからの展開に期待していきたい。
 なんだかんだ言いつつも、私はこのアニメを楽しみに見ているのだ(笑)。


第六話「健次郎があかね達の友情パワーを強化しようとするけどとんでもないことに事になる話」

コイツは困った。

 そんな今回のお話は…
 マースクールのため式根島にやってきたあかねたち。
 みずはは、海でなくさないようにとオペレーションキーを預かるが、その目的は健次郎が考えた特訓のためだった。
 サマースクールであかね達の友情パワーを強化することを計画していたが、偶然にもれいに見つかってしまい、れいも特訓に巻き込まれてしまうのだった。
 大がかりになった特訓の成果は…。
 以上公式のあらすじ。

 前回にサマースクール云々言っていた所為もあってか、今回は水着回です。水着回と言えばお賑やかしみたいなもので、多分に洩れず、そのような内容になっている。
 がしかし、冒頭にも書きましたがコイツは困った。せめてもうちょっとなんかあれよと。
 お賑やかしはお賑やかしで良いので、なにか「笑える」であったり、今後の展開の為の「1ピースだけ入れる」なり、なんかあるだろうと思って見ていたのだが、な〜んもないのである。要は水着のメインキャストがドタバタ劇するだけなのでちょっとビックリしました。

 まぁ、サブタイからして、じじいこと健次郎が「友情パワーの特訓じゃあ!」と言うからには、じじいの思惑通りには進まないのがお約束なので、そこでじじいの思惑から外れてしまうあかねたちという所でのドタバタ劇で笑わせたいのであろう事は想像に難くない。しかし、これがどうにもおもしろくなくて笑えないのだ。一体どこが笑うポイントだったのか、未だに判別がつかないから困る。
 思い当たる所としては、まず、あかねの水着に押すなと書かれたボタンがついていて、案の定ひまわりが押してしまったと思ったらあかねの水着が膨らんでテントになるという件。
 もう水着が膨らんだ瞬間に、「これ。中に入ったらあかねのデリケートな部分が丸見えだな……」などと思っていたら、オチがまったくその通りだったので、どーしたら良いのかよく分かりませんでしたよ(苦笑)。予定調和で終わらせてどーやって笑えっちゅーねん。「……だよね」で終わりですよ。
 そんな騒動なのかなんなのか分からない事の後に、じじいが謎の敵アローンを語って孤島に4人をおびき寄せるのだが……ここで「ん〜?」となるよなぁ。
 百歩譲ってじじいの語りをあかねたちはアローンと信じてしまったのだから、これはどう考えても誰かがオペレーションキーを持ってくる役目を負わなくてはいけないよなぁ。これまで軍艦やら戦闘機やら施設やらをあっさり破壊してしまえるほどのアローンの攻撃を目の当たりにし、戦ってきた彼女たちなんだから、生身じゃダメだということに気付かないのはあまりにおかしい。
 もうそれなんだったら、あかねはバカっぽいので置いておくとして、その他の皆さんが「なんかこれはおかしいよね?」「つか、じじいじゃね?」とか言って、分かって乗っかってあげる展開の方が自然だったような気がしますな。
 そんなこんなで孤島についてからですが、ひょんな事から巻き込まれたれいが、じじいの嫌がらせに窮するあかねたちを助けていくんだけど、そこになんもないんですよね。
 事後に、あかね以外があれはれいだと気付きお礼を言いに行ったので、マフラーで顔を隠すも正体バレバーレであった。ということがオチなのかもしれんが、それじゃオチてないし、せっかくヒーローみたいに颯爽登場してあかねたちを助ける意味がないではないか。
 ヒーローっぽくしたんなら、とことんヒーローにしてあげれば、巻き込まれて捕われのお姫様役のれいがじじいの思惑をひっくり返し、助けにきたあかねたちを逆に助けるっていう本末転倒なドタバタを演出できるのに。
 ついでに最後の爆発オチだが、細かい所なんですけど、じじいのパレットスーツ試作初号機の砲塔にあかねが入って行って上記した水着点とを展開させて〜という流れなのだが、あかねは頭から突っ込んで行ったけどすごく危ないですよね。だって膨らむの下半身の部分ですよ?まぁあかねたちがケガしないように武装は風船だったりもしましたが、けっこうな爆発だったので、ケツから入って行かないと顔や頭にケガくらいしてしまうのでは? もうさ、お賑やかしやるならやるで、もうちょっと考えて作れよと思ってしまったよ。
 そしてじじいとあかねの妹ももなのだが、じじいはあかね達の友情パワーの特訓云々言いつつ思惑通りにいかなくて躍起になってむしろ悪玉っぽくなるのは良いのだけど、それならその対比としてももを常に客観視させて冷静な突っ込み役として配置しておかなければ笑いとして効果ないんじゃないか?それがあってじじいの目的と手段が入れ違ってしまうことのドタバタが活きると思うんだけどなぁ。

 とまあ、こんな感じで何一つ良い所が見出せなかったので困り果ててしまったわけである。
 上記しましたが、あかね以外が助けてくれた者がれいだと正体に気付いていたので、おそらくはその3人とれいとの距離を縮めたかったのかなとおもうのだけど、正直、全然そのような気がしないんだからさらに始末に困る。
 こんなドタバタなのかなんなのか分からない話になるくらいなら、普通にサマースクールで果敢にれいにアタックし続ける4人を見せていった方が物語的にも今回の内容的にも良かったような気がします。

 もうちょっと、せめてもうちょっと突っ込んでくれればいいのだけど……。


第七話「ゆずれない願い」

初めて引っぱりました。

 そんな今回のお話は…
 続出するアローンの襲撃に対応するあかねだったが、毎日のバイトとアローン対応とで学業に影響が出始めていた。
 学校の指導もあり、次の実力テストで良い成績を取らないとバイト禁止と毎日放課後に補習を受けることになってしまう…。
 そこで、あおい達はあかねのテスト勉強を手伝うために、あかねの家で勉強会を開くこと提案する。
 さらにあおい達はれいを勉強会に誘うのだが…。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては前後編の前編という感じで、正直、見ていて特に思う所がなかったなぁ。なんだろう、このピンチ感の無さは。
 あらすじにあるように、家がボンビーなので毎日のようにバイトしている苦学生のあかねが、じじいの所為で世界の命運を背負わされた結果(間違ってないよね)、学業に影響が出てしまったので〜という所から話が始まるのだが、まぁ実を言うとそこら辺はかなりどーでもよく、勉強会を開く事になったので、あかねが友達になりたがっている黒崎れいも誘おうとするが〜という所がメイン所と言えばメイン所。
 正直な所、あかねはともかく、あおいがれいを誘う事を提案し、わかばやひまわり乗ってくる展開が、どうも「そういう事になっている」感があって気にいらねぇ。
 だってこいつらはれいと何かしらあったわけじゃないからなぁ。まぁでも、そういう事から考えて、前回のサマースクールイベントはれいとあかねを除いたビビットチームを近づける為だったのだろう。しかし、その前回を経たからといって、れいに対する彼女らの気持ちに何かしらの変化があったように感じられなかったので、むしろあおいたちが「あかねを思って」勉強会に誘ったように見えてしまうんだよなぁ。つまり……
 世界の命運を背負わされた結果、学業に影響が出て、今度の試験で赤点とったら(だったっけ?)バイト禁止と毎日放課後に補習に落ち込んでいるであろうあかねを元気づける為にも「あかねが友達になりたがっている」れいを勉強会に誘って「あかねに」元気出してもらいましょう。
 ……というような、あおいたちの思考にしか見えないんですよね。
 あおいたちが「なんで」れいを気にしているのか、が全然見えてこないし、そもそもこれまでれいどころか、あおい・わかば・ひまわりの三人でさえ、ビビットチーム以外の繋がりが感じられなく、あかねとさえ仲良くなっていれば良いみたいな仲の良さしか見れていないので、どうもれいを誘う事に違和感を感じてしまうんですよね。
 だが、そのれいの方はと言うと、彼女は背景を前々回でバッチリ語っているので、行かないって言っているのに勉強会に誘われて困惑する様であったり、あかねが破壊しようとしている示現エンジンの開発者であるじじいこと健次郎の孫であることを知って、何か秘密を探ろうと一転あおいたちの誘いに乗る事に無理が無い。
 そう言う事から考えて、あかねとれいはダブルヒロイン的な立場であるが、あおいたち三人は、あかねの友達という一括りになっていて、主役あかねの付随物に成り下がっている印象だ。これで「友情が世界を救う」んだったらチャンチャラおかしいってもんで、友情も何も無いじゃないか。
 まぁ物語の展開上、れいと云々なければならないのだろうが、それならそれで、ちゃんとあおいたちが黒崎れいを「どうして」気にするかをちょっとだけでも見せるべきなのではなかろうか。
 あかねはもとよりの人懐っこさであったり、前々回のこともあったので、れいを気にする理由があるので良いが、その他の皆さんは、それぞれがそれぞれの思いを持ってれいを気にし出すきっかけを与えて、それぞれがれいとの関係を築いていかないと、れいとの最終段階で結局「あかねとさえ仲良くなっていれば良い」みたいになってしまうじゃないか。
 そうならない為にもあかねたちは、環状の繋がりであったり、それぞれの繋がりがあるように見せて、あかねは中心だけどちゃんとその周りを支える存在としてあおいたちがいるんだと思わせないとダメだよなぁ。そういう意味で、前回ひまわりの水着をわかばと一緒に買いに行った、という一言は良かったのだけど、そこでちょっとした買い物に行くカットのひとつでもあればだいぶ違うのだがなぁ。
 あかねのいない所でも、あおいたちはあかねと同様に繋がりを持っているんだよという所を見せて欲しい。今回で言えば、せっかくれいが野望のためとは言え、一回断った勉強会に乗ってきたのだし、あかねへのサプライズゲストなんだから、あおいたちが夜に携帯で連絡取り合うなり、学校であかねのいない所で「れいちゃんきてくれるって!」みたいなこそこそ話している様とか作れば良いのに。
 そういう少女達の日常生活っていうのがあって初めて、世界の命運を左右する戦いってのにドラマが生まれるんだと思います。このままだと、なんならあかねひとりでれいをなんとかしてアローンと黒幕ぶっ倒して終わりなんじゃないの?になってしまいそう。これではあまりに寂しくはないだろうか。

 お話の方は、アローンぶっ倒したかと思ったら倒せてなくて、あかねがやられて堕ちて行く所で引っぱったのだが、まぁこのまま主役が墜落死する事なんて無いし、謎の敵アローンなんてぶっ倒される為にいるんだから、特に次回が気になりもしない(笑)。それよりも、個人的にはれいの方が気になった。
 まず、れいの部屋での事で、アローン側との契約で、この世界に干渉しない事と示現エンジンをぶっ壊す事、そしてもうひとつ「毎日学校へ行く」がある事だ。干渉するなと言っておいて学校へ行けは劇中れいも言っていたようにけっこう矛盾した話だが、わざわざこんな事を提示してくるんだから、この事には意味があるはず。しかしそれがさっぱり分からないのは続きを気にさせててくれて良い。
 それと、あかねの家の庭で野菜をとる件。ともだちトマト(実がふたつくっついているトマト)を見つけたれいにあかねがラッキーだとして願い事が叶うという話をすると、れいはこれまでの自分の境遇を思い出し、気付かず力を込めてしまってトマトを握りつぶしてしまうのだが、その様子を見る限り、どうも洗脳されているような様子でしたな。
 そこから考えると、アローン側の言っている事ってどうも信用ならず、やっぱりれいは良いように利用されているだけなんじゃないんですかねー。あぁっ!今ピンときたんだけど、干渉するなと言っておいて学校へ行けっていうのは、れいを孤独にさせようとしているんじゃないのか?ほら、何せ「アローン」というくらいだし、れいの撃つ矢も以前にその心が云々言っていたから、れいに強く孤独を感じさせる事によって謎の敵アローンをより強くパワーアップさせたい、ということなんじゃなかろうか。
 ははぁん。それが正しいとするならば、れいは特別孤独であらねばならないわけだから、元の世界で生き残ったのは自分だけ、というのはより孤独感を演出する為のブラフなんじゃないのか?そうすると、れいの両親の死も本当の事かどうか怪しくなってきますなぁ。
 なるほど、上記仮説が正しければ、れいの薄幸さはなかなか良いですな。というか、ビビットチームもよりも、断然れいの方が興味深いわ(笑)。

 あかねたちはもっと4人でキャイキャイして遊んだり喧嘩したりして、物語のキーワード「友情」を示してれいの「孤独」と対比させ、そこから戦闘の方に持っていってくれればもっとおもしろくなるような気がするんだけどなぁ。


第八話「今日よりも鮮やかに」

主役がいない方がおもしろい。

 そんな今回のお話は…
 アローンの攻撃を受け重傷を負ったあかね。治療を見守るあおい、わかば、ひまわり。一方、一度は倒したと思われたアローンは繭を作って再生していた。
 繭は軍の兵器では傷を付ける事すらできず、その中でアローンは再生と成長を続けていた。
 繭の孵化までのタイムリミットが近づくなか、大規模攻撃の決断を迫られる政府と連合防衛軍。
 そして、あおい達はあかねの意思を継ぐため、アローンと戦う決意を固めるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話は前回からの引き続きの後編。攻撃を喰らって重体に陥ったあかねが抜けた為、ドッキングが出来ないあおい、わかば、ひまわりの3人でアローンを倒す、という話を良い緊張感で描いている。
 正直、前回の引きを見て、どうせ次回にケロッとしているんだろうと思っていたあかねが、アバンで担架に乗せられ手術室に入ってく所から始まり、意外にも(失礼)のっけから良い緊張感を持って始まった。その後も、スカイツリーに繭を作り、バリアと周囲500mに電磁パルスの絶対防御線を張った敵に、ジリ貧の戦いを3人で挑んでいく様子を描き、これまでドッキングしてイエー!で終わっていた戦闘から一転、見応えのあるオペレーションを展開させてくれて見ていておもしろかった。

 それというのもやはり、緊張感あってこそだろう。ビビットシステムの要であるビビットレッドことあかねが戦線離脱し、ビビットチームの最大にして最も効果のあるドッキングが封じられたこと、そしてこれまでと同様にして予想の範疇な現在の兵器がまったく効果がなく、東京を放棄しなければならない爆弾を使っても、殲滅できる確立が一桁しかないという状況下であることで、さぁどうすると思わせてくれる。
 まぁ、ここまで見てきてこの物語がけっこう熱血青春路線なことが分かっているので、大体はこうなるんだろうと思うように進んでいきはするのだが(笑)、それは少年マンガ誌で主役が勝つのが分かっているのに読んでいるのと一緒である。
 主役の一時退場に敵の絶対防御線、それに残ったあおいたちを突っ込ませるわけにはいかないとなりつつも、なんだかんだで彼女らがそれでもやると決意し臨んでいくであろうことは、物語上当然なので分かってはいるものの、変身が解けて消えるはずのあかねの武器が消えずに残ってあおいたちがあかねの意志を知り、戦闘に参加できない中で、各々があかねと出会って得たことだったり、後押しさせたことを思い出し、あかねが守ろうとするこの世界を自分たちも守りたいと、意を決し戦いに臨むあおいたちはやはり見ていて熱い。
 また戦闘でも、ドッキングという大技ぶっ飛ばせば済むところが使えない状況でなので、これまで描かれなかった作戦とチームワークがあったのも高揚感を誘う。
 あおいが攻撃して敵の攻撃を引きつけ、攻撃の際に出来る穴をひまわりが閉じないように押し止め、わかばがそこへ突っ込んで本体に爆弾を突っ込む。しかし電磁パルスの影響で時間的余裕はほぼない。こういう状況でも、やるしかないと立案してそれに賭ける。なんとかなることは分かってはいるものの、ジリ貧の電撃戦的な状況の緊迫感がそれを忘れさせてくれるし、あおいたちがそれぞれの役割を担ってひとつの目的に向っていくことが高揚感を感じさせるではないか。
 また作戦通りに事がなってイエー!で終わりではなく、上手くいかなかったのも緊張感を高めて良い。まぁこの辺はいわゆるヤシマ作戦的な演出なのだが、やはり見ていてどうしても、主役側が作戦立てれば上手くいくだろう、という頭があるので、作戦がコケれば「どうするどうなる?」と思わざるを得ないし緊張感も増す。
 そしてここからが今回の一番おいしい所で、あかねの武器ネイキッドラング(だったっけ?)が消えずに残っていたんだから、きっと後で何かあるだろうと思ってはいたが、なるほどと思わせてくれた。
 まず、消えないラングを見て、あおいが「これはあかねの心だ」とし、倒れて意識がない彼女は今も戦っているのだとする。そしてビビットチームの流れの中に、当然黒崎れいの方の流れも挟み込まれるわけだが、れいが赤を倒したとは言え残り3人の手がかりを得ようとしていた所であおいにバッタリと出会ってしまう。
 前回突然帰ってしまったれいは、人生に関わる大事な様を思い出したのだとすると、あおいはそれならあかねは怒るどころか後押ししてくれるだろうと言う。あかねはいつも背中を押してくれて勇気をくれる力になってくれるとするのだ。
 ちなみにこのシーン。自分の目的の為に今の状況を作ってしまったれいと、この状況をなんとかしたいあおいが、お互い立場を何も知らないとは言え、ふたりともやらなければならない事があるとし「お互いがんばろうね!」などという会話をしているむなしさや、上記したあかねの後押しも、れいが今こんな状況を作り出しているアローンに加担しているとあかねが知ったら、本当に背中を押してくれるのだろうかと思わせ、れいとしても、前回突然トマトを握りつぶして去っていってしまった自分に、許してくれるだろうあかねとがんばろうねと言ってくれるあおいを消してまで、やらなくてはならない事なのかと思わせる良いシーンであった。
 話を戻してラングの事だが、いざ決戦へという所であかねのラングを一緒に持ってきて、あかねは今病院で寝ているけれども、心はここにあって3人でも4人のチームなんだとするのだ。
 作戦が失敗に終わり、わかばとひまわりが敵の攻撃を受けてしまうという時に、あおいが助けに急行するも時間とスピード的にどうしても間に合わないとなった時、あかねの「大丈夫だよ」の声と共にラングが展開して推進力になってくれるのだ。
 考えてみれば随分と都合の良い展開である。しかし、ラングをあかねの心だとし、あかねはいつも背中を押して力になってくれていた事を語り、3人でも心は一緒の4人のチームだとしてラングを持ってきた。これらが繋がりを見せているので見ていてそこを都合が良いと思わせない・感じさせない見事なシナリオ展開で、むしろ「あぁ、なるほど!」と納得してしまったくらいである。
 一本のお話の中でそこへ至るまでの繋がりがあって、死ぬかもしれない戦闘に臨む少女たちの緊張感と、チームワークと難敵撃破で見せる高揚感。そして事後に無事なあかねと彼女抜きでがんばった3人、そしてここまで涙を見せなかったあおいが泣いてしまう安心感。さらにはいい所まで持っていきながら目的を果たせなかったれいの慟哭によるむなしさ等々見事に演出していたと思います。毎回こうならいーんだけどなー(苦笑)。

 さて、いい所ばかり言ってきたので、ちょっと気になった所の方も。とても熱い展開は良かったのだけど、やはり(と言っては失礼かもしれんが)残念な部分もあるのだ。
 あかねが倒れて勝率がほんの数%しかない事に14歳の少女たちを突っ込ませられないと、じじい他大人たちはあおいたちに戦闘参加をさせないのだが、それでもあおいたちは死ぬかもしれない戦いに意を決するのは熱くて良い。しかし、そこへ至るまでがちょっと弱いのだ。
 と、言うのも、あおいたちがあかねのおかげでこれまでの自分を変える事が出来、なにより友達だからとするのだけど、これまでそんな死ぬ方が確立高い戦いをしようと思うほどの友情を彼女らは見せてきていないですよね。だから熱い展開にいいなぁとは思いつつも、ここへ至るほどのことは無かったよなぁとも思ってしまったのが一点。
 それと、お姉ちゃん大好きなあかねの妹ももは、第1話であかねがアローンと戦う事になってしまったのをあまり良く思っていないふうだったので、病院でじじいに詰め寄ってもいいと思ったんですよね。なんでお姉ちゃんにこんな危険なことさせるの?!くらいは言っても良いだろう。何せももは小学生なわけだし、こういう緊急事態でちょっとした不満が大きく爆発してしまうことは人なら当然あってもいい。誰もが誰も責めたりしないので、なんか随分良い人たちばかりだなぁと思ってしまったよ。政府高官らが出てくるシーンがあるのだが、そいつらくらいは責任のなすり付けを演じても良かったんじゃないのかなぁ。
 あと一点。これは良かった点なんですが、じじいが7年前の事故の件で、発明によるパテント料を放棄し弁済に充てていたことが語られたのは良かった。
 あかねの家が貧乏な理由の提示でもあるのだが、権利を放棄して事故に遭われた方々にお金が行くようにしたのだろう。それもじじいは「そんなものはただの自己満足だ」と言って切り捨てる。まぁ大変な事故だったみたいなので、亡くなった方であったり生活に一生支障を来す怪我をした人もたくさんいたであろう。毎月お金が入ってきても死んだ人は戻らないし直らない怪我が直るわけでもないが、そうするのとしないのでは雲泥の差がある。自分の家の生活が苦しくなっても償いに充てるのだから立派である。でもまぁ私はそういうことを言いたいのではないのだ。
 今回の前までのじじいを見てきて、こいつはアローンの存在をひとり確信していたからと言って、孫に危険なことさせるは他の家の子供を巻き込むは、自分で辞めておいて信奉者の局長(だったっけ?)のおばちゃん利用してブルーアイランドの人たちを結局使ってるは(じじいは部外者ですよね)随分自分勝手で人のこと考えてねぇマッドサイエンティストみたいな人だなぁと内心思っていたのですが、今回の上記した件で考えが改まりましたよ。
 あかねも妹のももも、じじいのそういう所を知っているから、今、仲良く暮らしているんだなぁと思わせてくれました。これがあるのと無いのとではじじいに対する印象がまったく違うと思うので、そういう意味でも今回のシナリオは良く出来ていたと思います。

 しかしなんだね。主役がいない方がお話がおもしろいってのはどうなんですかね(笑)。


第九話「晴れときどきふわふわ」

サブタイは一体どこにかかっているんだろう。

 そんな今回のお話は…
 わかばは毎週日曜日になるとひまわりの部屋の片づけに来て、ひまわりに可愛いドレスを着せて楽しんでいた。
 ドレスを着せたひまわりをショッピングモールに連れ出したわかばは周囲の注目に鼻高々だったが、ひまわりは恥ずかしさで身を隠そうとする。
 そんなわかばとひまわりの前に人気ファッション雑誌の記者が現れ、読者モデルコーナーの撮影を頼んできた。
 断ろうとするひまわりより先にわかばがOKしてしまうのだが・・・
 以上公式のあらすじ。

 お話はわかばとひまわりの関係を描いた話なんだけど……もうちょっと突っ込んでもいいような気がするなぁ。というか、「えっ?そっち?」と思ってしまったよ。
 上記引用したあらすじの前、アバンでひまわりが新しく出来た工場を見てみたいと言うので、わかばが今度の日曜に一緒に行こうという話になる。そしてあらすじ後に雑誌の方がひまわりを気に入り本格的に撮影したいと言ってきて、わかばが日曜に予定をブッキングしてしまうのだ。
 当然ひまわりは怒って飛び出してしまうのだが、それをわかばが追いかけていって謝って終わってしまうのである。ええ〜っ?!なんでよ。
 まぁ正確に言えばそれで終わりではなく、ひまわりが撮影に参加する代わりにわかばを一日付き人にすることでチャラにするという交換条件を出したのだが、いやいや、そっちじゃねーだろ!と思うんですよねぇ。
 ひまわりは小学生の頃に友達に裏切られて引きこもりになってしまった経緯を持っているのはご承知の通りである。何歳の頃だったかは語られてはいないが、少なくとも1年くらいは引きこもってしまうくらい、ひまわりにとってショッキングな出来事でありトラウマなのだ。
 一緒に工場見学に行ってくれると約束したのに、それを忘れてブッキングしてきたことは、ひまわりとしては「やっぱりそうか」と思わざるを得ない。今回でこそひまわりの部屋を片付けにくるわかばを見せてはいるものの、大した関係を見せてきたわけでもないふたりなので、ここで約束を破られたことは以前と同様に「裏切られた」とひまわりがとってしまうのも無理の無い話だろう。
 しかも上記したように毎週部屋にやってきて世話を焼いてくてある程度知った仲だし、なによりひまわり自身がもう一度他人を信じてみようと殻を破ってきた経緯がある分、同じようなことをされてしまったのはショックが大きいだろう。それを考えれば、わかばがすぐに気付いてブッキングしてしまったことを謝ったからと言って、「じゃぁ一日付き人のバツゲームね」で済ませてしまうのは、あまりにも不自然なのではなかろうか。
 わかばとしては、あかねの妹ももであったり、当該のひまわりであったりの「かわいい」のが好きで、かわいいひまわりが他人からもかわいいと認められるのが嬉しいのだ。ひまわりにとってはそういうことに全く興味がないのだが、価値観の違いからわかばは、そう言われることはひまわりにとっても嬉しいことに違いないと思ってしまっている。
 自分がかわいいと思っているものが認められ、そしてひまわりにとっても良いことをしたと思って舞い上がってしまって、わかばにとっては興味の無い「工場見学」が意識から吹っ飛んでしまったから撮影をブッキングしてしまった。つまり、わかばとしてはひまわりを思っての行動が、ひまわりにしてみたら裏切り行為になってしまったわけだ。
 これまで表層的な部分でしか「友情」を見せなかったのはこの為か!などとこの展開を見て思ったが、ものの数分でそれが終わってしまうとは夢にも思わなかったよ。トホホ。
 やっぱりこういったやっぱり裏切られたとか、これまで突っ込まなかったからこそ相手の真意を測れずすれ違い展開になるのなら、一旦壊れてしまった友情を、今度はそれを元にもっと強固な友情の土台を作る「雨降って地固まる」的な話であるべきだったような気がしますなぁ。一日バツゲームの様子を見るくらいなら、ケンカ状態になってしまったふたりが、どうにかこうにか苦心して「友達になれて良かった」と再び思えることを描いてほしかった。上記しましたけど、ひまわりにとってはトラウマの再現のような出来事だったのだから、そういう所を中心にしたシリアスな話で良かったような気がします。

 とまぁ、上記したように「おもしろくなってきた!」と思ったのの束の間、がっくりきてしまったわけですが、その後またおもしろい展開が出てきてちょっと盛り上がるのだ。
 わかばが一日付き人になることを条件に撮影することになったひまわりは、合間にちょっと居眠りした間に、次の衣装のイメージに合わないからと、わかばにもらったヘアピンを取り替えられてしまう。撮影が終わりヘアピンが違うことに気付くひまわり。スタイリストはそのヘアピンはテーブルに置いたはずだがと誰も行方を知らず、その時撮影していた浜辺へ向うが潮がすでに満ちていた。あきらめられないひまわりは海に入って行くのだが……という展開。
 で、どうなるかと言うと、程なくわかばがやってきて、それは自分が持っているとヘアピンを差し出すのである。って、またそっちか!違うだろーっ!
 そもそも、「実は」わかばが持っていたのではなく、そこへ至る前にわかばが拾う様子が描かれているのだ。それじゃこっちが「ひまわりのヘアピンはどうなってしまうんだろう」と思えないではないか。
 後に語られるが、ひまわりはわかばから貰ったものだから、無くしたら嫌われてしまうと思ったと気持ちを吐露する。それでなくとも、ひまわりはわかばが好きで世話を焼いてくれることをまんざらでもない様子であるし、引きこもりだった彼女が本当に信頼できる新しい友達から貰ったものなのだから、絶対に無くしたくないひまわりの宝物であることは見ていて分かる。
 だからこそヘアピンの所在が分からないことは重要だろう。ひまわりにとって大切なものが無くなってしまった。そのことに狼狽するひまわり。そしてそれをわかばがどう収拾をつけるか、に興味を惹かれる。が、すぐさま「ここにあるよ」だし、わかばが拾ってるのをすでに見てるのだから、正直どうなるのかそもそも興味を持たないではないか。
 それに海に入るひまわりと言っても脛がつかるくらいしか入らないのだ。そこまで大事な代物であるのなら、服が濡れるのも厭わず体を海に付けて、泣きながら何度も砂をすくうようなことをしても良いじゃないか。
 後はヘアピンというアイテムの使いようにはなるのだが……
 1.わかばと一緒に探して都合よく見つかる。
 2.実は黒崎れいが拾ってくれていた。
 3.結局見つからないが、わかばは無くなったところでひまわりを嫌いになったりしないと言う。
 4.びしょぬれになって探すひまわりを後ろからわかばが見て、わかばにとってなんでもないヘアピンをひまわりは大事に思ってくれていることを知って手にしているヘアピンを握りしめる。
 ……と、色々やりようがあるが、その辺はお好みだろう。個人的には3か4。だってその方がドラマチックじゃないですか。こーゆーのはちょっとクサいくらいにドラマチックな方が盛り上がるもんでしょ? まぁそういう意味で、せっかくの「友情話」ではあるもののドラマチックさに欠けた、という印象のお話でありました。

 とまぁここまで文句タラタラですが、これまで全然見せてこなかったメインキャラの繋がりを見せるという点では良かったように思います。わかばとひまわりは随分仲良しになったんだなぁと思うことが出来ましたしね。
 しかし、今回わかばとひまわりの関係を見せたんだから、あかねとおあいが今現在大親友であることを見せる話は後々見せてくれるんですよね? なんか大親友が大前提になってますけど、そーゆーの見せてくれないと納得できないですよ?
 それとあおいとひまわりが全然接点無いように見えるんで、このふたりでも何か見せないとダメだよなぁ。さらには黒崎れいと関係を深めていかないといけないし。やること多いけど大丈夫かしら?まぁ9話の時点でこんなのんびりしているってことは、多分2クールなんだとは思いますから後々ちゃんと展開してくれるとは思いますけど。


 どーでもいーのかもしれないが、やっぱりと言うかなんと言うか、主役がいない方が自然に見れるんだよなー(笑)。  なんか主役が出てくると一気にウソっぽくなるのは何故なんですかね?演技の所為なのか?それともキャラ設定の所為なのか?


第十話「光と影と」

なんだこの茶番っぽさは。

 そんな今回のお話は…
 何度となくアローンの襲撃を阻まれたれいは、次のアローンに全ての力を使い示現エンジンの破壊を決心する。
 少しでも手がかりをつかむためにあかねの家を訪れたれいは、あかねの素直さにふれ、自らの想いを打ち明ける。
 一方、健次郎とひまわりはアローンが強化された瞬間に何が起きているがをつきとめすることに成功した。
 そして、現れたアローンを追って行った先であかねが遭遇したのは…。
 以上公式のあらすじ。

 前回、こんなにのんびりしているんだから2クールなんだよね?見たいなこと言っていたら、なんぞ計らん今回からクライマックスのようです。ええ〜?1クールだっていうのに特になんも見せてねぇとはどういうこった。
 ともあれ今回のお話としましては、まぁあらすじ通りで、最終的にれいがアローンをパワーパップさせていたのを知った。という話なんだけど、冒頭書いたようにすごい茶番っぽい(笑)。
 お話のポイントとしては、お互いの正体を知ってしまったということなんだけど、お話的にはれいが最後という気持ちもあって、あかね宅で想いを吐露した経緯もあって、あかねが自分に近づいてきたのは監視の為だったと勘違いして「嘘つき!」とか言って、本当は何も知らなかったあかねがショックを受ける、ということなんだけど……視聴者的にはれいがずっと二重生活しているのを知っているので、むしろ嘘ついているのはお前の方じゃねーかと思って全然乗り切れねえよ。
 そもそも、見ている側としてはあかねがビビットチームなのも、れいがアローン側についているのも知っているし、その内正体バレすることは当然のことなので、今回お互いに正体を知ってしまったことでのれいとあかねのショックさを全く感じられないよなぁ。と言っても、物語上はあかね側のストーリーとれい側のストーリーの二本柱になっているので、それはしょうがない所。であるなら、「その内正体バレしてしまう」という分かりきったイベントを、どうショッキングに見せるかが腕の見せ所なはずなのだが……そういう所で全然なっちゃいねえよなぁ。

 どうショッキングにするかのポイントとしては、まず「せっかく仲良くなったのに」っていうことがあるが、そもそもあかねたちとれいが仲良くなっている感が全然ない。印象としては、クラスの馴染もうとしないれいをあかねたちがちょっと気にしているくらいの間柄だものなぁ。
 それになんであかねたちがれいを気にしているのかって所も弱い。なんであかねがそんなにれいを気にしているのか、ここまで見てきましたけど私には全然理解できないんですよ。あかねの中でれいの何に対してどう思い、どういう気持ちからぜひとも友達になりたいと思うに至ったかが分からないのだ。まぁ一応、今回5話だったかの人助けだとか、海鳥と戯れている所を目撃したのを引き合いに出していたけど、それだけじゃん!こーゆーのは、れいの人柄ってのをこれでもかとあかねたちが見つけてしまって、「れいはいい娘なんだな。あかねが友達になりたいと思うのもしかたないな」と見ていて思うことが出来てこそなのではなかろうか。
 れいにしたって、アローン側との契約で、この世界の人に干渉してはならないというのがあって自ら人を避けてはいたものの、今回あかねたちがそれでも友達になりたいとしたことはとても嬉しかったというのであらば、契約と自分の気持ちの狭間で揺れるれいをもっと描くべきだろう。なんかあってもれいはすぐ「自分の世界絵を取り戻すため!(きりっ!)」とか言っちゃうので、見ていてそんなにあかねたちと友達になりたいとは思っていなさそうと感じられたので、今回「嬉しかった」とか言い出したのでちょっと面食らってしまったくらいだよ。
 ともあれ、あかねたちとれいの繋がりが全然感じられないので、「せっかく仲良くなったのに」とは思わないんですよね。むしろ、そもそも仲良くねぇとか思っちゃう。仲良くならないと次の段階にいけないんですよ。
 本来であるならば、ある程度の繋がりを形成した所で、「本来は敵同士」という設定からの「お互いの正体を知ってしまうかもしれない」ってのがハラハラするわけですよ。
 せっかく純真無垢な少女たちが紡いだ関係が瓦解してしまうかもしれない危うさがあるからこそ、分かりきっている正体バレでも「どうなってしまうのかなぁ」と思わせることが出来るのではなかろうか。
 ホラ、少年ジャンプ的なマンガだってさ。最終的に主役が勝つって分かっているじゃないですか。でも「どうなるのかなぁ」と思ってワクワクしながら読むじゃないですか。それなんですよ。あかねたちがせっかく紡いできた関係を見て「このまま仲良しになれればいいのになぁ」とか、「後にこの関係が壊れてしまうかと思うとつらい」とか思わせる何かしらがこれまでなんら無いもんだから、そういうことを思うことが出来ない。
 彼女らの関係性が今ひとつ薄く、そこになんら思うことがないわけだから、分かりきっている正体バレはまぁ予定調和でしかないわな。そんなもんだからまた次ぎに行けないわけですよ。
 最後のポイントとしては、キャラクターのショック度合いを見ていて共有できるかになる。
 ここまで見てきて「どうなるのかなぁ」と思うことが出来ていれば、正体バレにやっぱりと思いつつもきっと「ああ、ついにバレてしまったー」と思うことが出来るのではなかろうか。それがあってれいの「嘘つき!」の台詞が効いてくる。これまであんなことやこんなことがあって、れいがちょっとずつ素直になってきて、それをあかねたちも快く思っていたというのに、何も知らなかったとはいえ敵同士だったなんて、なんて数奇な運命なのかしら! ……だなんて思えませんよね。なにせ「あんなことやこんなこと」もなければ、れいはずっと「元の世界を取り戻す!(きりっ!)」だし、あかねたちがなんでれいを気にしているかもよく分からん。これでどうショッキングに見ろというのだ。

 まぁここまで長々と書いてきましたけど、一言で言ってしまえば感情移入できないんですよ。それはなんでかと言えば、何かしらイベントがあってのキャラクターの行動や気持ちに「なんで?」と疑問を持ってしまうからなのだろう。そこで納得できないんだから感情移入もないにもないというものだ。納得できなければ物語はただのウソのお話になってしまう。ウソのお話を誰が真剣に見るというのか。
 個人的には、どうも主役のあかねがウソっぽく感じられてしまう。最初はそうでもなかったような気がするんだけど、回を重ねるごとに、人間ではなく作り物のキャラクターみたいに見えてくるのだ。
 今回だってさ。いくら天真爛漫で純粋無垢で相手を友達だと思っていたとしてもだよ?お風呂で友達にケツ向けてま○こ晒すようなことを女子中学生がするわけないじゃないですか。あかねは「ないな」と思うことをし過ぎて、こいつがいるだけで全てがウソっぽく感じられてしまう。だからあかねが出てこない話の方がおもしろかったりするんだよ。
 そんな作り物のウソっぽい主役と特に仲良くなったわけでもない常に自分の使命に邁進し正体隠していたヤツで、裏切られた云々の話をしているんだから、そら茶番にもなりますわなー。

 なんか文句ばっかり書き連ねておりますけれど、見ていてホントに「なんだこれ?」と思ったんだからしょうがない。


第十一話「つたえたい想い」

ああ、なるほどなぁ。

 そんな今回のお話は…
 れいの前に立つあかね、あおい、わかば、ひまわり。互いの正体に5人はとまどう。
 連行されたれいは様々な調査の結果、別世界から来た人物で、それがアローンが出現する原因だと、健次郎は話す。
 れいに会うことが出来なかったあかね達は、れいの部屋でそれぞれに想いを語り、改めて話をしたいと決意し司令部を目指す。
 その先で、自らの想いをぶつけるあかねに、れいは心を開きかけたのだが…。
 以上公式のあらすじ。

 ラス前ですから、この辺で盛り上がらなければウソというもの。そういうシナリオ展開としては、まぁ茶番っぽくはあるけれどなかなか良く出来ている。
 お話は前回正体がバレて捕まったれいをあかねたちが救出に向い助け出すも、アローン側の代弁者のカラスがやってきて語られていない設定などを語り、れいを飲み込んで世界を滅ぼそうとする。という話。こう書くとなんだかよく分かりませんが(笑)。
 今回は大きくわけると「れいの救出」と「アローン側の意志」のふたつになる。
 まずはれいの救出の方ですが、あかねたちが誤解されて捕まってしまったれいともう一回ちゃんと話をしたいと、変身して統合軍本部へ乗り込んでいくわけだが、正直、まぁ展開としてはこういうモノだよなぁとは思うし、展開として特別捻った展開でもない。
 しかしポイントとしては、なんであかねたちが本来味方、というか守らないといけない(笑)軍本部に乗り込んでまで、れいと話がしたいのかということで、端的に言えばあかねたちは、友達になりたかったれいのことをほぼ知らなかったからだ。
 ここで「ああ、なるほど」と私は思ったのだ。ここでの展開があるから、これまで必要以上に彼女らを仲良くさせることが出来なかったわけだ。それを考えればこれまでのことが、完全にとはいかないまでも合点はいった。だがしかし、れいは二重生活のようなことをしていたわけで、あかねたちが知ることのない部分を持っているわけだから、れいが喋りさえしなければ、表面的にあかねたちと仲良くなってしまうことは物語の展開的には特に支障はなかったようには思うな。
 ま、ともあれ、あかねたちがれいの誤解を解きたい、もっと彼女のことを知って出来ることなら力になりたいと思い、突撃していく動機にはなっている。

 変身して突撃してからは王道の熱い展開になるのだけど、この辺りの展開は正に「こういうもの」なので特に某ない。突撃して途中で仲間達が「ここは俺に任せて先に行け」と主役を先行させ、主役は目標人物の前にたどり着き、困難を傷つきながら取り除いて救出に成功する。
 どうせだったら、軍の人たちは傷つけてはいけない人たちなのだから、あかねたちは「れいの元には万難を排していかなければいけないけれど、行く手を阻む者を傷つけてはならない」という難しい戦闘をこなさなくてはならないので、そういう所を見せて、そういう困難も乗り越えてもれいともう一度話がしたいだよという所を見せてあげれば良いのに。
 アローンにも対抗できるパレットスーツを装着している彼女たちなので、無人機や隔壁なんかは難なく突破できるのは当たり前ですよね。おそらくは、あかねたちに人間を攻撃させたくなかったので、そういう描写がなく無人機がバラバラ出てくる結果となったのだと思うが、アローンやっつけられる彼女らを無人機ごときで足止めできるかってぇ話なので、救出に向っている所での高揚感は無いわな。
 また、れいの元にたどり着いたあかねだが、前回にもいいましたけれど、こいつは存在自体がウソっぽい(笑)ので、せっかくおいしい場面であるれいとの会話が実に微妙なのである。
 一番気になったのはあかねの「初めてあったときからビビッときたんだもん!」の台詞である。いやまぁ、タイトルと掛けているのは分かるし、勉強会やった時にあおいからその「ビビッと」について語られてはいるんだけど、あかねがれいに対し「どうビビッときたか」は全然説明してねぇじゃねーか。お前その前にれいに「言葉でいわなきゃ分かんない!」とか言ってるんだから、「どうビビッときたか」と言ってくれよと思わざるを得ない。
 だから前回のも申しましたように、ここへ至るまでにれいにはあかねたちが友達になりたいと思うようなことを見せておくべきだったのだ。とにもかくにもあかねたちがれいと出会う時には、「れいのこういう所はステキだな」という所をこれでもかと見せておいて、あかねたちがれいと友達になりたいと思うのも無理はないと感じられることがないので「ビビッときたんだもん!」に全く説得力がない。
 表層的な部分から垣間見えるれいのステキな部分をあかねたちが見るからこそ、彼女をもっと知りたい、もっと仲良くなりたい、友達になりたいとなるのではなかろうか。あかねたちがれいにこだわる理由があまりに弱いので、せっかくの熱い王道展開が「こういう事になっている」くらいに感じられてしまうのは、実にもったいないだろう。

 さて、救出してからはアローン側とのことになりますが、ここまでの感想には書きませんでしたが、前々回くらいからアローンを送り込んでいるのは次元の違う高度な知性体であることが語られております。
 まぁそんな次元の違う高度な知性体なんつったら「いわゆる神」だと思うがそれはさておき、前回だったかな?で、れいの世界が示現エネルギーの暴走で無くなってしまったってのは、れいを利用する為のウソかとずっと私は思っていたのだけど、ホントだったことが語られ個人的にはちょっとガッカリです。
 ともかく、れいはホントに違う世界の人で、それを目印にアローンが送り込まれている。っていう設定だったわけですよ。そして高度な知性体は下等な知性が高度な示現エネルギーを持つことを心配しテストしているわけで、あかねの世界にアローンが来ないようにするにはれいを殺してしまえば手っ取り早いのですが、あかねたちほかじじいはそれをさせなかった。
 そこにいつもれいの所にやってくる、知性体の代弁者のカラスがやってきて、テストの最大のトラップはれいで、それとわかってれいを殺してしまえばそこで失格、あかね達の世界は滅ぼされるはずだった。だが、れいを殺さなかったのだから合格なのだな?と問うじじいに、代弁者は知性体は下等な知性が示現エネルギーを使うことを望んでいない、合格することなどあってはならないとする。まぁつまるとことは、知性体の思惑はともかく、代弁者はもとより滅ぼすつもりなのだ。
 ここから「代弁者の暴走」というオチなのかなーという気はしますが、そこは次回が詳しいはずなので放っておいて、ちょっと引っ掛かるのが、なんでれいが「最大のトラップ」なのかよく分からないよなー。
 れいはこの世界に干渉しないことを約束させられていたわけだから、あかねたちの接触がなければ、通常れいは簡単に解決策として殺されるはずである。代弁者もそれを望んでいるわけだし、おそらくはそういうシナリオを描いていたはず。だがそれは予定調和であって「トラップ」ではない。
 れいは世界への無干渉とは別に、毎日学校へ行くことも約束されていた。ということは、今回のようなことを想定に入れていたはずだ。つまり完全に他との関わりを断てないれいは、どうしても他と接触し繋がりを持ってしまう。そういう中でれいを殺す選択をさせることで、野蛮であり示現エネルギーを持つに値しない=失格とさせるシナリオでもあったのだろう。となると、そういう想定をしていたのだからそれもトラップではなくなってしまう。
 れいを殺すことに反対したじじいが、人が心を無くしてしまっては生きる資格がないとすることは、れいに学校へ行かせる約束をした知性体にとってはそうあってほしい答えのはずなので、割と代弁者の言っていることは支離滅裂だ。
 そういうことを鑑みて、れいの世界を滅びたのも代弁者の独断だったんじゃないんですかねー。滅ぼした世界でひとりだけを残し、次の世界へ送り込んでずっと同じことをしていた。か、ずっと同じ結果であったことを受けて、滅びこそ知性体の目的であると解釈したか。まあなんにせよ、あかねたちはイレギュラーを起こし、代弁者は滅びを実行する為にれいを飲み込んで矢を回収しアローン化(?)し引っぱった。
 これであかねたちが戦う理由は十分なので、後はやっつけて物語をどう締めるかが腕の見せ所である。……のだが、なんか都合よく終わるような気がするな(苦笑)。
 代弁者は知性体を語るけど、知性体自身が語っているわけではないしな。どう考えても代弁者と思惑が違うとしか思えないし、れいの世界を元に戻すのも、知性体なら出来ると代弁者が言っているだけなので、きっと元には戻らないのではなかろうか。あかねたちと友達になったので、この世界で幸せに暮らすと良いよとかで落ち着きそう。
 ともあれ、終わり良ければ全て良し、なんていいますから、最後は上手いこと締めてくれればいいなぁ。


最終話「ビビットレッド・オペレーション」

最後まで茶番か。

 そんな今回のお話は…
 れいを飲み込んだカラス。自ら<彼ら>を越えるものと自負し、圧倒的な力をふるう。
 そして、この世界を終わらせようと、示現エンジンのエネルギーの吸収と暴走させるためブルーアイランドへと向かう。
 SGI爆弾すら通用しない敵に打ちひしがれる健次郎たち。しかし、あかねたちはれいを助けるため、友情の可能性を信じカラスを追っていくのだった。  それぞれの想いをかけた戦いの場へと…。
 以上公式のあらすじ。

 なんだろう。この見事な予定調和感。なんにも思う事無くラスボスと化した代弁者をぶっ倒して終わったよ。
 お話は前回予想していたような感じではあって、れいを飲み込んだ代弁者は矢の力を得て、「高次元知性体よりも力を得た(たぶん)=神。なので地球は消去!」とか言うのでなす統べないとか思っていたら、代弁者の中にれいが生きていることが分かったので、あかねたちが助けに行くぜー!と代弁者に向っていって、あかねがれいの元にたどり着いてドッキングし、代弁者をパンチしてやっつけた、という話。うん。間違ってはいない。
 まぁ先にも述べた通り、なんにも思う事無く最後まで突っ走っていきましたので、ホントに何かしら思う事がなかったのだけど、それ故にもうちょっと何かあっても良いのでは?と思ったよ。
 特に「衝撃の展開がっ!」とかの大どんでん返しがあったわけでもなく、ラスボス倒しにいくのだって、苦戦しながらもあきらめることのないあかねたちを見せてくれるでもないし、何か良いアクションがあったわけでもなく最終奥義×4だし、案の定最後に高次元知性体が前触れも無くやってきて、れいの世界を元通りにして返しちゃう。正直、どの辺が盛り上がりどころだったのかが分からないよ。
 妙にノッタリしているのもイヤで、防衛軍がなんかする所なんざ申し訳程度でいいだろと思わずにはおれん。アローンでさえ彼らの兵器は効果無いのに、そんな長々と彼らがなんかする所を見てても仕方ないよなぁ。まぁ防衛軍って言うんだから、効果無くてもなんだか分からない敵に向かっていくのは彼らの仕事なんでしょうが、ただ「こいつらでは何も出来ない」と言うことを見せるだけならそれと分かるちょっとだけでいいだろ。別にこのアニメを見ている人たちは、戦闘機や軍艦がやられる所を見たいわけではなく、あかね達の活躍が見たいのだから。
 そんなあかねはと言うと、彼女らがなんかするのはBパートからなのだ。なんでAパートで彼女らはぼーっとしているんでしょうかねぇ。
 これまでなんでかよく分からないけれど、使命感を持ってアローンと戦ってきた彼女たちなんだから、ラスボスが現れ、某援軍がやっぱり役に立たないとなれば、じじいがもう勝ち目無いよと言った所で「そんなの関係ねぇ!」と果敢にラスボスへ向っていくもんじゃないのかな?れいの持っていた鍵を見つけてようやく「届けに行く!」と向っていくのだけど、鍵が見つからなかったら、こいつら動かなかったんじゃないかとさえ思ってしまう。
 ラスボスとの決戦も、上記しましたようにドッキングをしては最終奥義の繰り返しで、せっかく戦闘前に、示現エンジンの力を吸い取られているので、そこからエネルギーを供給しているパレットスーツの力には時間的制約があることを語るのなら、そういう中でジリ貧の戦闘をこなしていく彼女たちを見せて、「これが世界を救う最終決戦なのだ」と感じられるようにしてもらいたいものだ。なんの苦労もした感も無く、ドッキング→最終奥義の繰り返しでは、ラスボスはこれまでのアローンとそう変わらないではないか。
 この最終決戦ってのは、まぁ最終決戦に限らず戦闘は、結果は分かってはいるものの主人公たちを見て「ああ、がんばれがんばれ」と応援したくなるように思わせないと意味は無く、そう思えるからこそ絶対不可能にあきらめることのない主役たちの姿や言葉が胸を打つのだ。全然苦労する事無く、ホイホイと自らを神(たぶん)と自称するヤツをやり込めてしまっては興醒めという他ない。
 こういうなんかすんごい敵を主役達が最終的にやっつけるお話ってのは、結果が分かっているので、そもそもを言えば茶番ではある。でもその茶番を茶番と思わせないようにするのが物語というものなのではなかろうか。茶番のまま終わってしまっては、そらもう「茶番」としか言いようがないわな。
 ラスボスやっつけてからも、高次元知性体が突然現れてなんでれいの世界を元に戻しちゃうの?そんなことできるんならラスボスくらい彼らは簡単に消せるんじゃないの?消さないのであらば、彼らは代弁者が勝手に力を得て、我=神とか言って傍若無人な働きをするのはOKで人間が示現エンジン好き勝手に使うのはダメとかいう考えなの?つか、事後にれいの世界を元に戻したってことは、彼らは代弁者が暴走したことに対しての「ごめんね。これお詫び」ってことなんでしょ?だったらラスボス消せよってぇ話ですよね?
 ホラね。だからこのサイトで常々言っているじゃないですか。物語ってのはフィクションで、言わば嘘っぱちのお話なんだからどんなウソついても良いけど、そのウソに疑問を持たせちゃダメなんだって。
 もう面倒くさくなってきたので(笑)全体的な感想を。
 最初は少女たちが色々なイベントを通し関係を築いていったり、成長していく過程を描いていってくれるんだろうなぁという期待値があって「どうなるのだろう」と思って見てきましたが、結局、表層を撫でただけで終わってしまったという印象だ。物語の設定的には悪い所はないと思うので、やっぱり肝心はお話、ということなんだろう。主要キャラ達のことは、もっともっと突っ込める所があったように思う。
 キャッチコピーが「友情が世界を救う」のくせに、全然友情を描いてくれないのだから、「友情」云々言う所で全然乗り切れねぇ。そんなにこいつら友情を深めたか?と思わずにはおれん。むしろ最後までこの物語を見て、このアニメが一番見せたかったのって、変身する女子中学生とケツ、だったのではないか。とさえ思ってしまう。
 ラスボスやっつけた後にじじいが、他者と関わらないものは自ずと限界が見えてくるが、他者と関わることで競い合ったりして限界を超える。みたいな知ったような口をきくのだけど、そういうこと言うのなら、それが感じられるようなことを描いてくれよ。主役たちは登場した時からほぼそのままですよ?
 まぁ、彼女らが何か「変わった」とすれば、友達になったということではあるのだが、その「友達」にしたって、クラスでちょっと仲が良いくらいの印象しかない。それなのに下手すれば命を失うかもしれない戦いに身を置くのか。う〜ん。オレにはさっぱり理解できん。やはりここは、命を失うかもしれない、でも今私が(私たちが)戦わなくては!と主役達が強く決意することがあってこそ、だと思うんですがねぇ。
 個人的に一番イヤだったのは、主役のあかねだ。ちょっと前から言っていましたが、こいつは「ものすごくウソっぽい」のだ。
 最初は気にならなかったんだけど、序盤過ぎた辺りから、言うことがすごく軽くなっていくんですよ。言うことが軽いってのは「チャラチャラしている」ということではなく、言葉の割に重みがないということの方です。ホントにあかねはそう思ってんのかなぁと思わせるのだ。なんか「あかね」というキャラクターの着ぐるみの中で、誰かが台詞を喋っている。というイメージ。
 まぁ声優さんがキャラクターを演じているのだから、それは当たり前ではあるんですけど(笑)、でもそれを感じさせちゃダメですよね。まぁつまり何が言いたいのかというと、「あかね」というキャラクターをひとりの人間として感じられないのです。中身がすっからかん、みたいな感じがすごくイヤだし、もうぶっちゃけて言ってしまうと気持ち悪い。まぁそれが、声優さんの演技所為なのか、演技を付けた監督の所為なのか、キャラクター設定の所為なのか、なんなのかは私には分からないんですけど。ともかく、だから主役がいないお話の方がおもしろかったりするんだよ。

 ともあれ、今思えば1クールで良かったよ。もうあと1クールあったらかなりゲンナリしていたに違いない。
 まぁ女の子のケツが大好きな人は見てみても良い、かもしれない、ような気がしないでもない、かな〜?


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