CANAAN 1〜13話

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01 洪色魔都

すげぇクオリティだ。

 
そんな今回のお話は…
 アジア有数の世界都市・上海。そこで行われている祭を、ビルの屋上から見下ろす少女の姿があった。名はカナン。
 一方、手を後ろに縛られ屈強な男達に囲まれながら寂れた漁港に降り立つ一人の女性がいた。
 犯罪組織「蛇」の実質的なボス・アルファルドである。
 そしてもうひとり、駆け出しのカメラマン大沢マリアもまた、フリーランスの記者である御法川と上海に降り立っていた。
 三人の女性が上海に揃った時、運命が動き出す。
 以上公式のあらすじ。……コピペできるようにして欲しいです。めんどいです。

 true tearsを制作したピーエーワークス制作という事で期待して見たわけですが、全く期待を裏切らない見事な出来映えはさすがだ。
 アニメーション的なクオリティもさることながら第一話としての導入も見事で、お話の内容としては、はっきり言って「よくわからない」内容なんだけども、なんとなくぼんやりとではあるが、全体像のようなモノを感じとる事が出来るようにしてあるのが上手い。
 あれこれと説明し過ぎるわけでもなく、見ていればなんとなく「こういうことかな」と分かるようになっていて、着ぐるみ(というのか?)を着た男達が、それをとられ日の光に過敏に反応して苦しめば、別のシーンで共感覚の話が出てくるし、その流れがあって、カナンの特殊能力発動がある。
 漁船から拘束されて降りてくるアルファルドがあって、身を清めるだの時間だの言うチャン・チーがあり、アルファルドが連行される車が襲われる。
 見ていればそれと分かるが全ては語らない。そういう第1話という導入を見事に作ってきており、見ているこちらとしては、それを踏まえた上で「これからどう展開していくのかな」と、次を気にさせるのだから、これを上手いと言わずにはおれん。

 私としましては、アクション好きという事で、やはりそこに目がいってしまうわけですが、OPもそうだが、Bパートのアクションの流麗な動きは、ただそれだけでも良い。
 アニメは動いてなんぼだと思っているので、綺麗に動く絵はホントそれだけですごい。のだが、それだけでなく、動きがカッコいいというのがまた良い。
 アニメーション制作会社がアニメーション作っているのだから、動くのはむしろ当然。その中で、どう動くかという所がポイントで、これは実に見せ方が上手いのである。
 フィクションなのだから、無論現実的ではないのだけれど、ウソをウソと思わせない。それはよりリアルなのではなく、カッコよさでウソを認識させないのだ。「そんなのねーよ」と思わせる前に「おお、カッコイイ!」と思わせるんだから、向こうさんの見事な勝利だろう。個人的にはもっと長くアクションが続けばいいとも思うけれど、バランスとしてはちょうどいい感じなのかもしれません。
 あと、思った事としては、大沢マリアの言葉「見えているのに見ようとしない」という事を、祭の中での惨状で表している演出も見事ですが、祭ということで、その華やかさや混雑ぶりをあれだけ綺麗に見せていたのも、素直にすげーなーと思いましたよ。
 お話もこれからに興味を引かれましたので、次回以降が楽しみです。

 最後にどーでもいーけど、田中理恵さんはあーゆー役、似合いますね(笑)。

02 邪気乱遊戯
大沢マリアは重要人物なのか。

 そんな今回のお話は…
 断崖の道を走る1台の護送車。突如そこに飛来したヘリコプターからマシンガンの轟音が響き渡る。
 一方、大沢マリアは、飲食店で御方川にあれこれと質問されていた。
 と、その時、まるで2人を目指すように1台の車が店内に突っ込んでくる。
 以上公式のあらすじ。

 あらすじは今ひとつよく分からんので補足すると、CIAに拘束されたテロ組織「蛇」の頭、アルファルドは、仲間が護送車をヘリで襲撃し救出。
 大沢マリアの方はカナンが友人だという事で、御方川と食事ついでに話をし始めた所、謎の2に組に襲撃されるのだが……。といった感じ。
 お話として大事なポイントとしては、大沢マリアがどうも重要人物だと言う事。
 2年前だがに起きた渋谷でのウイルステロ。そのテログループに拉致されそのウイルスに人為的に感染させられたのが彼女。そんな彼女だったが、父親である大越(この字か?)製薬研究所所長が開発に成功していた抗ウイルス剤を投与され、一命は取り留めた。だが、ショックで彼女は事件の記憶がほとんどない。
 ウイルステロを行ったのはおそらく「蛇」だろう。話的にも。どうもそのウーアウイルスで実験を行っているようだし。
 前回、感染者とおぼしき者の写真を撮ってしまった為、今回大沢マリアは狙われたようだが、そんな背景があるのだから、きっとこの物語の何かの鍵にはなっているのだろう。と、いうような事を思わせる話であった。
 そういった事を思わせておいて、今回としては、逃げる大沢マリアと御方川、追いかけるウイルス感染者、爆走タクシー、銃撃そして戦闘、というなんだかんだでドタバタであったりするからおもしろい。
 大沢マリアと御方川、アルファルドと蛇、謎の美女ハッコーとサンタナ、そしてカナン。今はまだ特別繋がりを見せていないそれらであるが、薄らとは繋がりを見せてくる辺りが上手い。
 上でドタバタと書いたが、その薄らとした繋がりが見えるので、そのドタバタが単なるドタバタでないことがわかり、その辺の話の組み上がり方も上手さを感じる。でも、話は核心部分には全く近づいていないので、その薄ら見えている糸をたぐり寄せたくなるな。それらを考えてやっているのなら、大したもんである。

 さて、その他気になった所としましては、まずは崇拝するアルファルドに相手にされず歯噛みするリャン・リー。
 ドSの彼女が放置プレイ(プレイ?)されているのが、なんとも可愛らしい(笑)。
 リャンはどうもカナンにこだわっているようですけど、なんでなんですかねぇ。
 カナンとアルファルドは因縁浅からぬようなので、やっぱり嫉妬なのかしら。それはそれでなんかいいねぇ。
 そして、貧乏アルバイターであるユンユンはこの物語のマスコットキャラかなんかなんですかね(笑)。
 なんか役割所があるのかなー。いやむしろ、この調子で最後までいってもらった方がおもしろそうだ(笑)。

 どーでもいーけど、まだ話が全然見えてこないから感想書きにくいな。


03 阿断事
見事な緩急なのだが……。

 そんな今回のお話は…
 ギラギラした繁華街の一角。
 ネコミミとシッポ、そしてきわどい衣装を身に着けた女性が、怪しげなバーに入っていくのを見届けた御法川。
 中からは叫び声が聞こえていた。「特ダネの臭いがする」という理由で大沢マリアと共に店内に入ると……。
 以上公式のあらすじ。

 お話は前半は穏やかなに見せておいて後半は罠にはまったカナンと大沢マリアが……という展開。流れとして、その緩急がとても上手く出来ているという印象。
 最初に大沢マリアのモノローグで「カナンは普通の女の子」ということを言っておきながら、最後は躊躇なく敵を殺す彼女を見せる。
 カナンはただ友達を失いたくないだけで、その友達である大沢マリアに危害を加えようとする敵は排除しただけ。彼女にとって敵はただ敵であるだけなので躊躇はない。
 だが、大沢マリアにとって、自分に敵意の無い敵、等しく同じ命と極々一般的な思考としては、それは理解できないという所の範疇すら越えてしまっている。
 敵を屠り、爆弾も偽物と分かって一安心、といった表情のカナンと、躊躇なく人を殺す彼女を理解できない大沢マリアの対比が良い。
 カナンという主人公が大沢マリアの言うような「普通の女の子」ではないんだ、という事を見事に印象づけた。
 また、今回の最初でサンタナが言った「心には気軽に触れてないけない」という今回のテーマが上手くハマっていて、共感覚で人の殺意すら判別できるカナンは、大沢マリアの拒絶を知ってしまうし、大沢マリアもカナンが普通の女の子だと知った気でいた。ふたりは結局の所、まだそんなに深い関係ではない、という事なのだろう。

 それと見せ方としてとても興味深い所があって、それは前回、前々回と驚異の特殊能力を見せつけたカナンが、今回もそういう所を見せるのだけど、決してそれは万能ではない所を見せていたことだ。
 モンスター級のカナンではあるが「無敵」の超人ではない、と、言う事を見せておくのは大事だろう。
 「無敵」ならば戦闘に特に意味がなくなっちゃうからなぁ。どーせ勝つんだろ?と思ってしまうし。スーパーヒーローやスーパーヒロイン物ならばそれでいーんですけどね。
 あと、カナンは上半身の露出が多い所為なのか、体が少し筋肉質に描かれているよね。引き締まった肉体がとてもいい感じだよなー。

 いい所ばっかり書いてもおもしろくないので、ちょっと気になった所としましては、今回の敵のあのがきんちょが、一体何がしたかったのかがよく分からない。前回やられたじいさん、というか兄貴の敵討ちってわけでもないし、結局死にたかったってことなんだろうか。
 そこがどうしても自分の中で上手くハマらなくて、他が良かっただけに気になってしまったですよ。

 あ、アルファルドとウィルスの事は、放っといてもそのうち分かる事なので今の所はスルーです。

今週のユンユンのバイト
 がんばれ貧乏アルバイター!ということで、もしかして毎回違うバイトで出てくるのかなーと思い、一応書き留めておこうかと。
 今回のバイトはオープンカフェテラス。なのかな?ちなみに第1話は祭の射的の出店。第2話は飲茶店のウエイトレスでした。
 公式のキャラ紹介にも乗っている彼女は、なんか物語的な役所があるのかなぁ。気になる。


04 呉れ泥む
アルファルドを印象づける見事な展開。

 そんな今回のお話は…
 寂れたホテルの廊下には、大沢マリアに部屋を追い出された御法川の姿があった。
 なかなか部屋に入れたもらえない御法川は、あきれたようにため息をつき去っていく。
 一方部屋の中では、上海で行われる対テロ国際会議と、各国の首脳陣が続々と上海入りするニュースがテレビから流れていた。
 しかしベットの上に居るマリアは、テレビには見向きもせず、昨日の出来事を思い出すたび震え出す肩を、自らぐっと抱きしめていた。
 以上公式のあらすじ。

 今回のお話としては、カナンの過去の一部、アルファルドとの関係、大沢マリアとカナンの出会いなどを見せる話。
 幼少の頃、全てを失ったカナンはシャムという人物に出会い、戦士としての訓練の日々を送る。
 それは過酷な日々であったろうが、同時にカナンにとっては、新しい家族との幸せな日々であった事だろう。
 しかし、それをアルファルドがシャムを殺した事で終わり、またカナンは失ってしまった。
 前回の事で大沢マリアに拒絶された事で、また大事な人を失ってしまったと思ったカナン。「誰の所為で失った?」全ての元凶は「蛇」の頭、アルファルド。
 「憎しみに憎しみで当たっても意味がない」そういうシャムの幻影を見るカナンであったが、アルファルドと決着をつけにいく。
 これまで超人的な能力で敵を屠って、あまり我々一般人とはかけ離れたようなカナンが、友達大沢マリアを失いたくないという、とても人間らしい部分を見せるとともに、憎しみに捕われて動きが鈍いとはいえ、あの超人的なカナンを圧倒して倒すアルファルドを見せて、カナンの最大の敵である事を強烈に印象づけている。
 これまで、さほどの見せ場のなかったアルファルドであったが、今回のVSカナンを見せるためであったのならば、それは見事な話の構成力と言えよう。
 しかも、ただ強いというだけでなく、ここまでの「蛇」の頭であることや、ダイダラ社の筆頭株主であること、大金持ちである事の気品、強いリーダーシップをこれまでに見せておいてあるので、ただのラスボスではない、魅力あるキャラクター性をここで紹介しているのも上手い。

 一方、大沢マリアの方は、その純粋さからカナンとの事に悩み、自分の欺瞞に気付き、関係の修復を望む。
 この殺伐とした物語において、特異なキャラクター性である純真さをアピールしている。
 彼女がいるからこそカナンがあるし、また、ウイルス関係でも重要人物で、蛇に狙われる彼女は、この物語の中核を為す人物であることも示している。また、ウイルス関係の何かしらの核でありながら、以前の事件のショックで何も覚えていないってのがおもしろい所。
 まぁ、物語的には核心部分に到達させないために都合が良いのですが、なにか重要な部分を担っているであろう彼女を目の前に置いておいて、ウイルス関係の話が進んで行くのは、よくあるキャラが知ったような口をきくのとは違い、視聴者的にただ単に見えていないだけの様に感じられ、また、情報がホント小出しに、少しずつ出てくるので、その核心部分の謎に関して、意識的に気にさせるように感じられなくて嫌味がない。
 このアニメはこれからどうなるかはともかく、ここまでは話全体がとても上手く組み上がっているのが素晴らしい。

 さて、今回アルファルドにフルボッコにされたカナン、何かを計画中の蛇、カナンとの関係を修復したい重要人物大沢マリア、これらが今後どうなっていくかが楽しみだ。
 とりあえず、次回は以下の人が大活躍しそうでちょっと楽しみです(笑)。

 今週のユンユン〜がんばれ貧乏アルバイター!〜
 今回は中華飯店で胡弓弾きのアルバイト。やっぱりと言うかなんと言うか、見事な下手さでありましたな(笑)。
 しかし、今回はアルバイトしていただけでなく、カナンを探して治安の悪い所に来て絡まれてしまった大沢マリアを、見事な機転で助けたりして、とても人の良い所を見せてくれました。
 上記しましたが、次回は大活躍しそうなので楽しみです。

今週のリャン・チーさん
 好きなんです。彼女が(笑)。あーゆーちょっとイッちゃったキャラってステキよね。
 ドSなのにアルファルドに放置プレイ(?)されてる様の、そのギャップが良いわけですが、今回はあんまり出番がなく残念。
 それにしても中の人田中理恵さんはこーゆー役、すごく似合いますね(笑)。


05 灯ダチ
いやぁ、おもしろかった。
ってゆーか、ユンユーン!!

 そんな今回のお話は…
 照りつけるような強烈な朝の光の中、死んだように公園の中をふらふらと歩くカナン。
 そこに「どうだ、憎しみから戦う気分は。泥のようだろう?」というアルファルドの言葉がフラッシュバックされ、その場で倒れ込んでしまう。
 その頃、近代的なビルの一室ではアルファルドが部下達を前にして、ある計画が最終段階に入った事を告げる。
 「材料の下ごしらえは終わった。あとはオーブンへ入れる前に最後の塩を一振り……」と。
 以上公式のあらすじ。

 このあらすじは、断片的な事しか書いてないよなぁ。
 あらすじだけ見ると、蛇の計画がメインのように思われますが、実のところはユンユンメインであります。
 最初から最後まで出ずっぱりで、彼女のいい所が目白押しであり、また、あの愉快なキャラクター(笑)が、とてもいい味出していて、見ていてとても楽しかったです。
 ということで、早速以下のコーナーへ。

今週のユンユン
 全開マリアを助けたユンユンは、彼女を自宅である船へご招待し、お笑い芸人よゐこの濱口よろしく、「我、召し捕ったリーっ!」とお魚を獲ってご馳走してあげたりと、なんともほのぼのした所から始まりながら、実は蛇と繋がりがあり、リャン・チーに呼ばれて行ってみれば、日本から来た事務次官をウーアウイルスに感染させろと、下も下っ端なユンユンに大仕事が回ってくる。
 のだが、そんな事をすれば、カナンに殺されると言ったら、返ってきた言葉が「なら死ねばいい」。下っ端のユンユンは命の心配などされないのだ。それで彼女は自分の立場を知る。
 あの底抜けに明るい彼女が、突然負わされた責務は自分の命と引き換えに行わなければならない。その恐怖に震えながら「あ、ありがとうございます……」という彼女が何とも不憫だ。
 それでも彼女は明るくなんとか使命を実行しようと行った場所は、サンタナとハッコーの店。
 来店した事務次官の飲み物に混ぜ物をしても、ハッコーの巨乳にやられた事務次官は、ユンユンの出す飲み物は飲んでくれず、それもまた別の意味で不憫だ(笑)。
 そこへ、ウイルス感染社に浮かび上がる紋様に付いて、ハッコーから話を聞こうと、御法川と大沢マリアがやってくるが、こそこそと逃げた所で、蛇の情報を得ようとやってきたカナンの鉢合わせるユンユンは、もう不憫通り越して逆に笑える。
 ユンユンはこのけっこう殺伐とした物語において、とっても和む存在だなぁ。そしてここからが彼女の真骨頂だ。
 カナンに殺されそうになるユンユンは、割って入ったマリアに助けられる。が、そこへリャン・チーから携帯へ電話があり、マリアを使ってカナンを道連れにして死ねと命令される。
 自分の命すら道具として使う組織と、泣いて死なないでと言ってくれた会って間もない大沢マリア。
 ユンユンの気持ちはどうだったろう。天秤にかけたのだろうか?その上でその後の行動に出たのだろうか?
 彼女は大沢マリアを連れ、橋の欄干(橋脚?あの部分はなんていうのだろう)へ立ち、自らの体にダイナマイトを巻き付け(150本もどこにもっていたんだろうな/笑)、去っていったカナンを大声で呼ぶ。
 カナンを傷つけた自分の為にカナンは来ないとうなだれる大沢マリアに、ユンユンは「来る!」と断言するんですよね。
 カナンが来た後、導火線に火をつけて大沢マリアに「離れているっす」と言って、カナンに抱きついて川へ落ちる。
 抱きつく前に、あっさりとかわされた所を見て分かるように、ユンユンがカナンに敵うわけが無いんですよ。でも、落ちそうになり、思わず手を掴んでしまったカナンに抱きついて自爆を覚悟する。
 これはおそらく、カナンをそれで殺せるとはユンユンも思っていなかった事だろう。たかが抱きついただけなのだし。
 きっとユンユンは、大沢マリアはカナンに嫌われていない、カナンは大沢マリアの危機を知れば必ずやってくることを証明したかったんじゃないかな。自分の為に泣いてくれた大沢マリアの為に。優しいなぁユンユンは。
 その後、カナンに助けられたユンユンはウイルス感染者であるボナーと判明。
 だが、身体的特徴は盲腸がふたつになっただけという、なんともらしい(笑)もので、何の能力も得られなかったため、蛇で役立たずとされていたのだったが、大沢マリア、カナンと友達になった事で、蛇から逃げる事を決意する。
 今まで生活していた船を閉めて、新たな旅立ちへと揚々と歩く姿が印象的ではあるのだが、どうもボナーは薬を飲まないと生命を維持できないらしく、そのユンユンの姿が逆にこの先の悲しい運命を予感させる。
 ってゆーか、死亡フラグじゃねーか!!うわぁぁん。ユンユンに幸あれ!

 さて、そのボナーは薬を服用しないと生きていられないということは、感染者は基本的にどのみち死ぬ運命なのだが、例外がひとりいて、お察しの通り、それは大沢マリア。
 彼女ひとりは完治しているということが、蛇に狙われている理由であり、重要人物たる所以なのだろうな。
 それを劇中に説明したわけではないが、このように読み取れるようにしているあたりが話の作りが上手い。
それだけでなく、今回はパッと見はユンユンメインではあるものの、蛇という組織がしようとしている、
 またはしたこと事が根底にあって、それがあってこそのキャラクターの行動があり、そこから主要キャラクターが示し合わせたかのように、絡み合うようにしてある計算づくのシナリオが地味に光る。これまでの事がずっと続いて繋がりを見せているのを、なんとなく分からせる手腕が素晴らしいな。
 次回はこれまで蛇が準備してきた、対テロ国際会議にテロを仕掛けそうな雰囲気で、物語が大きく動きそうで次回がとても楽しみだ。

今週のリャン・チーさん
 下っ端ユンユンな命など、紙くずほどにしか思っていないらしく、「ゴミも捨てなければ再利用できる日が来る」という恐ろしく冷徹な態度がステキ。
 そんな超の付くドSでありながら、最愛のアルファルドに対しては、放置プレイされてしまうMっぷりが一粒で二度おいしいですよね(笑)。


06 LOVE & PIECE
見事な導入部です。
ってゆーか、リャン・チーさんが素敵すぎ。

 そんな今回のお話は…
 上海で妖しいゴシップを取材中の御法川には、ひとつの仮説が浮かんていた。
 それは以前渋谷を騒がせた「ウーアウィルス」と中国の消えた村、そして体に浮かび上がる異様な模様が全て関連しているというものだった。
 だが「うん、ありえない」と呟き、頭をかかえてしまう。そこにマリアから、ドアに挟まっていたという封筒を渡される。
 差出人は「上海報道事業集団」。中には対テロ国際会議のプレス用パスが入っていた。
 以上公式のあらすじ。

 愛しのリャン・チーさんのことは後述の「今週のリャン・チーさん」で語るとして、お話の方はというと、どうも全13話みたいなので、話としては中盤の山場のようです。
 対テロ国際会議にテロを仕掛ける「蛇」、まんまとそれにおびき寄せられ捕まる大沢マリア、ウィルスと消えた村、ボナーに関する事を調べる御法川、特殊能力を垣間見せるハッコー、何か含みのあるサンタナ、そして対テロ国際会議場に向かうカナン。と、対テロ国際会議へのテロを中心に、主要キャラを見事に紡いでいる。
 さらにその核として、ウーアウィルスというのがあるんだけど、ウィルスを握っているのが「蛇」で、その頭であるアルファルドが物語を動かしており、彼女が一体何をしたいのか、という事に興味をそそられる。
 物語の図式としては、上記のようにアルファルドが物事のきっかけを作っているので、大沢マリアやらカナンが巻き込まれたり飛び込んだりしているのだが、でかい組織力ととてつもない資金力を持つアルファルドに、どうしても後手を踏んでいて、今回の事象も見事にアルファルドのいいように事を進められてしまっている。
 その辺がおもしろい所で、強力な特殊能力を持つカナンとはいえ、そんな彼女にどう立ち向かっていくかを気にさせる。のだけど、今回はとりあえず、「蛇」に占拠さえた国際会議場に一滴落とされたウィルスと、とらわれの大沢マリアを助けに行くカナンだけど、この事態をどうする?ってところで引っぱっており、中盤の山場を盛り上げている。
 このアニメは実に計算された物語の展開が非常に上手さを感じさせるな。

 さて、今回の重要ポイントとしては、やはりと言うかなんと言うか、やっぱり大沢マリアには役割があって、アルファルドが言うには「生きる事」なのだそうだが、記憶のない大沢マリアなんのこっちゃようわからず、アルファルドがこの時点で全てを言うわけもないので、視聴者的にも分かるはずもないのだが、とりあえず、大沢マリアがとっても重要人物である事を見事に印象づけている。
 とっても普通の人っぽいが、実はウィルス感染から助かった人物という、とっても普通じゃない大沢マリアが、「生きる事」でアルファルドが何を狙っているのか、そして物語にどう関わってくるか気になって仕方がない。
 それと、謎の美女ハッコーと、そのお供(笑)サンタナは、今の所は意識的に渦中に入らないようにしているが、どの段階でどう巻き込むかも見物。
 とりあえず、ハッコーの特殊能力はちょろっと披露しましたけど、はてさてどうなることやら。
 と、いうわけで、以下今回大活躍(?)のあの人のコーナーです。

今週のリャン・チーさん
 いやぁ、この人はいいなぁ(笑)。
 会場に仕掛けた爆弾を「ゲッサム!ゲッサム!」言いながら楽しそうにリモコンのボタンを押す姿や、連れて来た大沢マリアに見事な回し蹴りを喰らわせ、倒れた所にも蹴りを見舞ったりする、とってもサディスティックで感情に素直なお姿も最高(弱いヤツには強いぜ!!)なのですが、その後、冷静なアルファルドに「お前は何がしたいんだ?」と言われたり、何を求めていると聞かれ、「愛です!」なんて答えちゃうギャップがステキだ。
 さらにはその「愛」を愛しのアルファルドに「滑稽だ」などと言われてしまい、ドSでありながら愛しの君に放置プレイされている辺りがなんとも愉快と言うかなんというか(笑)。
 今回はそんな所もステキな彼女でしたが、一番のヒットは会議場のモニターに映し出された3Dリャン・チーさんですよ。エラい可愛いモデリングでアニメ声&口調なのが逆にむかつくな(笑)。
 爆弾ぶっ放して人殺しておいてのそれは、国際会議場にいた人間はきっとはらわた煮えくり返っただろうな。でもかわいい!ビクンビクン!こーゆーいやがらせをさせたらきっと世界一ですね。リャン・チーさん。
 どーでもいーけど、もう何度も言ってますが、田中理恵さんこーゆー役、似合いますね(笑)。


07 慕漂
ああ、リャン・チーさんが……。

 そんな今回のお話は…
 御法川から対テロ国際会議の取材を任された大沢マリア。しかしアルファルドの策略により捕われてしまう。
 さらに会場では、米大統領をはじめ各国首脳たち数百人が閉じ込められ、ウーア・ウィルスに感染させられていた……。
 唯一の解決策は、大越製薬が秘密裏に開発した抗ウィルス剤を輸送すること。だがそれも妨害されてしまう。
 事態を重く見た米副大統領は、ステルス爆撃機の発進を命じる。
 その頃カナンはマリアの元へ向かっていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話は細かく説明すると、とってもめんどくさい事になるので簡潔にすると、抗ウィルス剤の手配が出来ないと分かった米国は、ステルス爆撃機で国際会議場を爆破する事を決定。
 ステルス爆撃機が爆弾を落とす前に蛇は撤収、カナンは夏目と協力し米国ナブスター衛星群をハッキングし、爆弾の誘導地点をなんとか変更させ、国際会議場の爆撃は防いだものの、それもアルファルドの計画のうちであった?
 そしてカナンは事後に能力の使い過ぎ?で色を見る能力を失ってしまう。って感じ。
 お話としましては、今回のアルファルドの計画というのが、カナンたちが爆撃を防ぐ事も計画のうちで、どうも米国と中国の間に火種を作りたかったみたい。っていうのが分かれば良い。
 ま、アルファルドとしては爆弾が当たろうがそれようが、先手を打っているだけにどちらでも一向に構わないわけだが、全てを見越した上で一番効果があるであろうシナリオを導いた、というのが話のメインではある。
 なので、大仕事やり遂げた感のあるカナンは、アルファルドの手の平で踊っていた事になるな。
 今回はそういった、アルファルドの米国を見事に手玉に取る策略というところにとても見応えがあって、ダークヒロイン的なアルファルドに魅力を感じるな。ま、テロリストなんだけども。

 さて、カナンの方はと言うと、上記した様によくよく考えてみると、アルファルドの手の平で踊っていた事にはなるのだけど、爆弾の着弾地点の変更というミッションをすることで盛り上げどころを作っている。のだけど、どうにもそれがなんともよく分からんと言いますか。
 共感覚で戦闘能力が上がるのは分かるんだけど、3話(だったっけ?)であったように、電気から暗号情報を読み取ったり、今回の様にモニタに映る情報以上のものを読み取ったりというのは今ひとつ納得できんな。
 なので、個人的にはその部分で大した盛り上がりを感じる事は出来ず、むしろ何でそうなるんだろうという疑問が残ってしまったよ。
 共感覚(カナンのはそれ以上のようですが)はどういったもので、どこまで出来るのかということは、これまで説明はあるにはあったのだけど、もっと詳しい説明が欲しい所ではある。なんかカナンが魔法を使ったみたいで乗り切れん。まぁ、魔法みたいなものですが(笑)。
 ともあれ、今回ラストで能力の使い過ぎなのかよく分からないけれど、その共感覚を失ってしまったようだし(一時的でしょうが)、カナンたちがどうするか、「蛇」がこれから何をしでかすかが気になります。
 そう、そして以下の人も気になって仕方ないので、いつものコーナーへ。

今週のリャン・チーさん
 愛しのアルファルドに「好きな様にしろ。判断力を欠いた駒があると計画が狂う。」と切り捨てられてしまいました。な、なんという究極の放置プレイ(笑)。
 放置プレイはともかく、なんとなくリャン・チーさんがどういう状況なのかっていうのが見えてきたような気がする。
 以前ちょっとあった回想や、今のリャン・チーさんのアルファルドへの崇拝っぷりから考えて、リャン・チーさんはカナンが出てきてからずっと放置プレイ状態なんじゃないんですかね。だからカナンに異様な執着を見せているというのなら納得だ。
 今回で切り捨てられて単独行動になった彼女が、カナンに対して執拗な攻めをしてくるであろう事が想像できて楽しみだ。しかし、アルファルドのことだから、リャン・チーのそれさえも予測済みの行動っぽいんですよねぇ。
 リャン・チーさんの「愛」を利用して、カナンにちょっかい出そうって腹なんじゃないかと私は思っているんですが、はてさて。
 その予想が当たったとして、カナンの当て馬にされたと分かったリャン・チーさんを思うと……なんかゾクゾクするね!(笑)
 あんなサディスティックなのに、なんていういじられキャラなんだ。ああ、可愛いったらありゃしない。なつかない子猫みたい(笑)。


08 乞
ユンユン!ユンユンじゃないか!!

 そんな今回のお話は…
 病院のベッドで目が覚めたカナン。傍らには心配そうに見つめる大沢マリアの姿があった。
 無事を喜ぶマリアだったが、カナンは今まで感じられていた「色」を見る事ができなくなっていた。
 戸惑うカナンを見たマリアは、彼女を元気づけようと街に繰り出す事に。
 一方御法川は、自らの推測を確かめるべくサンタナ、ハッコーのいる店に向かっていた。
 「ウーアウィルス」と生き残った村人。その答えを彼らが知っていると確信して……。
 以上公式のあらすじ。
 
 今回としては、色が見えなくなったカナン、消えた村へ行く、という所がメイン。なんだけど、全体的には「まとめの準備段階」といった印象。
 私としては色が見えなくなったカナンの不安と大沢マリアや、今まで謎の人物であったサンタナとハッコーが大沢マリアたちと鼓動を共にし動き出した事が興味深い。
 カナンの方は、唯一自分が持っている大沢マリアを失いたくないが為に、今の自分ではマリアを守れないとするが、マリアはそんなカナンに思う所があって、消えた村へ行くまでカナンの焦燥感を見て取れる。
 消えた村へ行く途中の休憩地で、マリアが胸中を話して、「カナンはただ側にいてくれるだけでいい。だからずっと私の側にいて」と頬を染めながら言うものだから、綺麗に百合色に染まった脳を持つ身としましては、マリアはカナンにその気があるように見えてしまうな。
カナンはどうもエロイ知識は乏しそうなので、マリアのプロポーズには気付いてはいないようですが(笑)、
 とりあえずは、マリアがいつもと変わらない優しさで、自分を思っている事は伝わったようです。しかし、百合脳としましては、カナンにその気が全くないので、今ひとつ盛り上がりに欠けますな。それがまた逆に良いという考え方もありますが。

 さて、個人的には今まで動きのほとんどなかったハッコーが気になった。
 やっぱり自身の声自体が音波兵器(?)のようで、声を出せるのに出せない、というのはつらいな。
 劇中あったように歌を口ずさむ事すら許されないのは、喋れないわけではないので、そのつらさも分かると言うもの。
 そんな彼女はカナンを憎んでいるようで、口パクで「あなたの所為」とカナンに想いを伝える。
 そういえば、蛇はカナンのような共感覚者をウーアウィルスで作ろうとしていた節が物語の最初にあった事だし、消えた村はその実験場であったという事っぽいな。おそらくは、突然変異らしいカナンという存在を、意図的に作ろうとしたのであろうが、勝手にウィルス撒かれて体を替えられてはたまったものではないし、ハッコーにしてみたら、せっかく生き残ったというのに、声を出す事が許されない特異な状況に置かれてしまったわけだから、カナンをひどく憎む気持ちも分かろうと言うものだ。
 でもしかし、御法川や大沢マリアを連れて、消えた村へ行ったとして、どうしようというのかね?
 報道して、こういう事があったのだということを世界に知らしめたいのかなー。

今週のユンユン
 今回の最後にチャリでシルクロード饅頭を売っている彼女に遭遇!
 おお、久しぶりだなぁおい。元気そうで何よりってゆーか、これで話に絡んできそうで良かった。
 彼女はなんかがんばって生きてもらいたいよなぁ。あれ?ということは、もしかして死亡フラグだったりするのか?

 今週は愛しのリャン・チーさんが出てこなくて寂しいのだが、次回はご登場の様子。
 切り捨てられちゃったリャン・チーさんがどんなんになっちゃうのかが楽しみだ。


09 過去花
サブタイ通り過去話なんですが、そう思わせない見事な作り。

 そんな今回のお話は…
 御法川は、全ての謎を解き明かすためサンタナとハッコー、そしてマリアとカナンの5人で消えた村へと向かっていた。
 シルクロードを車でひた走る中、偶然にもユンユンと遭遇。彼女もまた消えた村へと向かっている最中だった。
 休憩のため砂漠にある小さな遺跡へと立ち寄る。
 しかし突如ぬいぐるみをかぶった男が現れ、手にしたライフルを発砲!
 色が見えなくなったカナンだったが、マリアを守る為に銃を手にする。
 以上公式のあらすじ。

 お話的には、消えた村やサンタナ、夏目の属するNGO、ボナーやアンブルームの、これまで分からなかった事の説明。なんだけど、ただ回想を垂れ流しでなく、話として見事にまとまっていてひとつの話として良く出来ている。
 それらの真相はBパートからなんだけど、Aパートで着ぐるみの兵士(ボナーの出来損ない=アンブルーム)や、ちょっとだけ出てくるリャン・チーさんを見せ、Bパートへ実に上手く前振っている。
 Bパートに入ってからも、途中からリャン・チーさんの襲撃、アルファルド参戦と過去話だけで終わらせない工夫も上手い。
 さて、そんな今回気になった所はと言えば、やはり消えた村関連であろう。ってゆーか、消えた村は物語に大きく関わってくるのだが。消えた村はCIAと蛇がつるんでウーアをバラまいて、抗ウィルス剤の効果実験をしたのだけど、実はそれはクリーチャー製造実験「フラワーガーデン計画」であった。それを知った元CIAのサンタナはCIAを離脱。
 これまでよく分からなかった夏目の属するNGOは、CIAの犯した罪の痕跡を掴む事。というのは表向きで、結局のところはそれで彼らを強請ること。利害の一致したサンタナと夏目は、上記実験で連れ去られた人達が行き着く場所を探った。
 アンブルームが収容され、失敗の原因を探る為の施設がフラワーガーデン。それを作ったのが蛇でありアルファルド。
 と、いうのがこれまでよく分かっていなかった事で、これでかなり話の根底が見えてきた感じだ。
 この辺の話は最後にどう落ち着けるかって所がポイントになろう。

 今回はリャン・チーさんが襲撃してきた後から、アルファルドとカナンの接触もあって、ふたりの関係性はシャムという人物が関わってはいるのは分かるのだけど、こっちはそれ以外はよく分からない。
 なんでアルファルドはシャムを殺したのかなー。その辺がさっぱりでアルファルドとカナンの関係性が今ひとつよく分からない。
 のだけど、この物語はウーアウィルスとこのふたりの関係の二軸がメインになっていて、そのふたつがごっちゃにならずに上手く絡み合っているのがおもしろいし上手い。このふたつが絡まなければ、大沢マリア以下主要キャラが集まってくる事はないわけだからな。
 そーいえばカナンで思い出したのだが、色を見る事が出来なくなったカナンが拳銃を外しまくっていたな。
 共感覚が前提なカナンは真っ暗闇で戦っているようなもんだ、とは御法川の台詞だが、そんなもんなのかねー。
 基本的に兵士としての能力もずば抜けて高いのかと思っていただけに、今回のカナンはどうもヘタレっぽく見えてしまうな。
 まぁ、だけど、カナンの共感覚=最強、ではないという事を見せるにはいい手段なのかもしれません。

 お話はそろそろクライマックスに近づいてきている感じで、次回もとっても楽しみですが、忘れてならない以下のコーナーへGOだ。

今週のユンユン
 始まってすぐのコント(笑)は相変わらずで何よりでしたが、ユンユン薬の事知っていたんだなぁ。
 なんで消えた村へ向かっているのかと思ったら、生まれ育った所で最後を迎えようとしていたそうな。
お 前ってヤツぁ、ホントに……。どうか最後まで生きていてもらいたいものだ。
しか し、カナン達にあったという事自体がオレには死亡フラグに見えるんだよなぁ。あうう。

今週のリャン・チーさん
 こちらも相変わらずのキレっぷりでなにより(笑)。そしてアルファルドに殺されかけての錯乱っぷりもステキだ(笑)。しかし個人的には彼女の下僕であるカミングスが良かった。
 リャン・チーさんを助ける為に命を賭してアルファルドに銃を向けるなんて、なんという下僕っぷり。
 まぁ、それはあっさりアルファルドがエアガンにすり替えてあったんだけど、でもカミングスの「愛」でアルファルドの気が代わり、愛しのリャン・チーさんを助けられたのだから命はった甲斐があったというものだろう。
 しかしアルファルドは見事な采配と言いますか、あそこまで頭がキレるとテロリストである事がもったいないよなぁ。なんで蛇の頭なんてやっているのだろうか。その辺のバックボーンも全然語られませんねぇ。
 あ、今気付いたんだけど、今回のアルファルドやカミングス、リャン・チーさんのこれまでの話を振り返ってみると、もしかしてこの物語のテーマって「愛」だったりするのか?


10 想執
もう、リャン・チーさんは人に嫌がらせさせたら三国一だな。

 そんな今回のお話は…
 消えた村に着いた御法川たちの前に、アルファルド、部下のリャン・チーが現れる。
 彼らの攻撃になす術もなく逃げ惑う6人だったが、アルファルドは「フラワーガーデンに向かう」と言い立ち去ってしまう……。
 その後を追うようフラワーガーデン内部へと進む一行。
 そこはかつて消えた村の被害者を運び込んだ病院であり、研究施設だった。
 そして実験のため捕らえられ生かされていた村人たちが、御法川達に襲いかかる!!
 以上公式のあらすじ。

 今回のメインはやはり、ハッコーとサンタナであろう。
 リャン・チーさんの策略にハマって、ハッコーは守ろうとしたサンタナを自らの声で殺してしまう。
 サンタナはハッコーが自分を恨んでいると思っていたのだけど、喋る事が出来ないハッコーは、自分の想いをサンタナに伝える事が出来なかったことと、自分のしてきた所業の負い目もあって、死の間際まで彼女の想いに気付かなかった。
 しかし死の間際にも、それに気付けた事は彼にとっては幸せな事だったのかもしれない。
 だが、ハッコーにとっては、愛しているの言葉すら凶器に変え、愛する者を殺してしまった事は不幸でしかない。
 やっと通じ合ったその幸せな瞬間は、すぐにふたりを永遠の別れに引き裂いてしまう。
 幸せの絶頂であると同時に不幸のどん底でもあるこのシーンは、愛の両極面を見事に表しているのではなかろうか。
 上記の事を考えても、前回の感想でも言ったように、どうもこのアニメのテーマは「愛」のようだ。

 さて、他はと言うと、まぁ、色々あったような気もしますが、特に何がどうということはないのですが、1話でアンブルームを車に積めようとしていたサンタナは、逃亡の手助けをしていたことがわかったり、カナンの共感覚はどういう事なのかの説明したりをさりげなくしていた所は見事。
 見事な説明台詞ではあるのだけど、それと気にさせない本の作りに上手さを感じさせる。このアニメはこういった細かい所まで手が行き届いていて、見ていてとても楽しめるのが良いな。
 次回の方がフラワーガーデン篇(?)の佳境っぽい。
 我が愛しのリャン・チーさんがどうなるのかも気になる所だが、まずは忘れてならない以下のあの人から。

今週のユンユン
 うぉい!大沢マリア!カナン見に行こうとかゆーんじゃねーよ。何かの死亡フラグみたいじゃねーかよ。
 案の定、地下に転げ落ちた所で氷漬けの女の子(カナン?)見つけたら、後から来た夏目に口封じされた所で引っぱったじゃねーか。
 大沢マリアが生き続ける事に意味があるならば、もし死ぬとしたらユンユンになっちゃうじゃねーかよぅ。ユンユンには生き残って欲しいんだだけどなぁ。
 いや案外、ユンユンみたいなのが、最後の最後まで生き残ったりするのかもな。

今週のリャン・チーさん
 「壁からレーザービームがビビビーッとか、床から槍がシャキーン!天井がドォーン!……ねぇ、どれがいいと思う?」
 た、楽しそうだなぁリャン・チーさん。こーゆーことする時のあなたは最高に輝いてますね。
 そして策略にまんまとハマったハッコーを嘲笑するリャン・チーさんの満面の笑みときたら……。もうね、最低を通り過ぎて最高です。見事な悪役だなぁ。
 ああ、でもリャン・チーさんはアルファルドに切り捨てられようとしているし、この手のキャラの行く末は悲惨な死以外にないのだけど、個人的にリャン・チーさんがいなくなってしまうのはもったいないような気がします。
 が、やっぱり、この人が死なないと話が落ち着かないもんねぇ。どうせならリャン・チーさんらしい末路であって欲しいなぁ。


11 彼女添
ああ、リャン・チーさん逝く。

 そんな今回のお話は…
 恐怖、絶望、悲しみ……、さまざまな想いが交差するフラワーガーデン。
 カナンのクライアントであり、NGO団体OWLの客員幹部である夏目もまた、「ウーアウィルス」の実験データを奪取するという目的のためその場所を訪れていた。
 目的のデータを手に入れた夏目は、施設を破壊するため米特殊部隊と中国軍に出動を要請。
 武装ヘリが攻撃を始める中、まだ戻らぬサンタナとハッコーを探しに、カナンはフラワーガーデンへと戻っていく。
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはフラワーガーデン篇(?)の決着と、サンタナとハッコー、リャン・チーさんとカミングスの退場。
 大きな舞台設定的なことは、今回の冒頭からの夏目とアルファルドの会話で説明し、終わりに向けて色々ときっちり収めようとしている。
 その辺のことは、ふたりの会話でしっかり分かるので放っておくとして、今ひとつ分からないのがアルファルドだ。
 彼女がカナンに何かしら思うことがあり、氷漬け(?)の女の子がカナンにそっくりだったことからも、執着していることは分かるのだが、どうしたいのかがさっぱり分からないのだが、それもミステリアスに感じてしまい、理由もきっとそのうち説明してくれることであろうから、続きが楽しみになってしまう。この辺は狙ってやったかどうかは分からないが、アルファルドというキャラの不気味さが良い。

 重要人物の一人であったハッコーも今回退場したが、彼女はあまりに悲しい。
 自ら殺したサンタナとベットインして愛していると囁き続ける彼女は、錯乱しているのかと思いきや、カナンの説得に応じず、「でも彼は死んでいる!」と言う彼女は気を確かに保っていて、フラワーガーデンと運命を共にする。
 生き続けることも出来たはずだが、ハッコーにとってサンタナのいない世界など、何の意味のない世界なのだろう。
 それだけハッコーにとって大きな希望の光だったのだろう。それを失ってしまった今、自ら幕を引くことに躊躇はない。
 崩れゆくフラワーガーデンで幸せそうな顔でサンタナに寄り添う彼女は幸せだったのだろうか?

今週のリャン・チーさん
 我が愛しのリャン・チーさんも今回ついに退場なさったのだが、むしろ可哀想なのはカミングスのような気がするなぁ。
 カミングスはリャン・チーさんの願い「鏡に映ったカナン(自分)を殺して」を実行し、おそらく、初めてリャン・チーさんに認められ、本当の意味でリャン・チーさんの瞳に自分を映す事が出来た。だが、それによってカミングスはリャン・チーさんとの未来を失ってしまった。
 まぁ、どのみちリャン・チーさんは死んでしまうわけですが、それでも自ら愛する人を手にかけたのだから、彼にはつらかろう。
 カミングスもハッコー同様、リャン・チーさんのいない世界で生きようとする意志はなかった。だから彼も自ら幕を引いた。
 さて、そのリャン・チーさんですが、彼女の事だから、きっと自分が可哀想な人だとは、これっぽちも思っていなかいんだろうなぁ。
 そんなリャン・チーさんは思考がとても面白くて、自分を見てくれないアルファルドに憤りを感じる事はなく、その怒りはカナンや他の人物に向けられて、けっしてアルファルドに向く事はない。アルファルドが自分を見ないのは他を見ているからで、だったらその他の所為だ、という思考。リャン・チーさんにとってアルファルドは唯一絶対の存在なのだ。
 彼女の嗜虐性も、アルファルドと向かい合うと逆転してしまうのが今回見て取れたのもおもしろい。
 リャン・チーさんのサディストっぷりは今回の「いい趣味」や、これまでを見ても分かる通りだが、それがアルファルドに向く事はない。なぜなら上記したように、アルファルドは唯一絶対で不可侵な存在だからだ。
 そんなアルファルドに自分が愛されるとしたら、自分がして楽しい事を自分にしてもらう事なのだと思っていたのではないだろうか。
 そしてリャン・チーさんは「強いアルファルド」に特別に強い憧れを持っているようで、今回のアルファルドとの切り結びで、「強いアルファルドお姉さまに本気で斬りつけられる」事に喜びを感じたのだ。足を切り裂かれたリャン・チーさんが「痛い!痛いですぅお姉さまぁ!」と恍惚の表情を浮かべる様でもそれが見て取れる。
 しかし、アルファルドは最後までリャン・チーさんを見る事はなく、リャン・チーさん的最終手段、実験段階の共感覚になる薬を飲んで錯乱し、鏡に映った自分をカナンと思ってカミングスに殺させて、憎き相手が血まみれになって死んだと思って死んだのだから、案外リャン・チーさんは幸せだったのかもしれん。

 お話は後はカナンとアルファルドと大沢マリアに決着をつけて物語を締めるだけ。どう落ち着かせるのかが見物だ。


12 忌殺劣者
分かったことは多かったが。

 そんな今回のお話は…
 安ホテルの一室。フラワーガーデンから無事に帰ってきたマリアたち。
 だがそこにはサンタナとハッコー2人の姿はなかった……。
 翌朝、ホテルを出発する4人だったが、これまで酷使し続けた車はエンジンがかからず、御法川は皆を列車で咲に返すことにする。
 列車に乗り込むマリア、カナン、ユンユンの3人だったが、そこに公安を装った「蛇」のメンバー数名が乗り込んでくる。
 そしてアルファルドも同じ列車に乗車していた。
 以上公式のあらすじ。

 うーむ。やはり小難しいのは性に合わん。ってゆーか感想書きにくいから嫌だ。
 そんな私事はさておき、大沢マリアが生きなければならない理由や、アルファルドがカナンを狙う理由、共感覚による弊害など語られ、お話の展開も、アルファルドの策略にまんまとハマったカナンや、撃たれて隔離された大沢マリアと時限爆弾そしてユンユン、対峙するアルファルドとカナンとラストに向けた盛り上がりを作っていて、上記と合わせとてもよく出来ている。
 なんでカナンが絶望なのかというシーンは、共感覚の弊害の説明と共におもしろい演出ではあるが、ちょっと分かりにくいこと以外は、見れば大抵の人が分かるようになっている。
 上記シーンは、死体、血の臭い、シャムの死んだ時と似た状況から、共感覚に頼り敏感に感じ取ってしまうカナンが、この物語で彼女に関連して死んだ人間の幻影を見てしまう。
 でもそれはカナンだけが見ることであるので、本来は死体にカナンがひとりで喋っているわけなんだけど、そのシーンはカナン視点と客観視点が混在して、いま彼女がどういう状況なのかということと、共感覚によるカナン的視点を同時に説明していて、なかなか面白い絵面になっていて感心した。のだが、視点が混在しているので、パッと見でちょっと混乱してしまうのが気になった。
 まぁそれも、「共感覚に頼り過ぎるカナン」をそこで説明してくれるので、すぐ分かるのですが。

 その他、色々分かったことも多かったが、それはもう見れば分かることなので特に書かないが、ひとつどうしても分からないことがあって、アルファルドは、完全な戦闘力を有した共感覚者カナン(絶望)を殺しシャムの亡霊から解き放たれる、と、いうことを目的としているようなんだけど、彼女にとって「シャムの亡霊」とはなんなのか?それがよく分からない。
 まぁ、考え方のひとつとして、アルファルドはシャムを愛していて、カナンに取られちゃったので(名前も同じだし)、「キーッ!あいつむかつくわ!」ってことなのかとも思ったが……さすがにそれはないな(笑)。
 そんなわけで、アルファルドが何を考えているかってのが、ここまで見てきてもよく分からず、それなのにすごい攻撃性をもってテログループのボスであったりするわけだから、良く言えばミステリアスなんだけど、悪く言うと気持ち悪くて怖い。
 アルファルドのことは、次回最終回でちゃんと分かるようになってんのかなぁ。
 ってゆーか、とりあえず、以下のユンユンと大沢マリアがどうなるのかすっごいきになるんですけど。

今週のユンユン
 ユンユンは相変わらずのテンションでホッとしますね。
 しかし、しかーし、いかな大沢マリアが望んだとは言え、彼女を残して車両を切り離してしまうのはどうなんだ?
 ユンユン、お前はそんなヤツじゃないはずだ。次回にきっとなんとかしてくれる。……はず?


13 キボウノチ
感想書きにくいんだよな。

 そんな今回のお話は…
 マリアが襲われ、彼女が木津着いていることを知ったカナン。
 しかしその表情はどこまでも平静であり、その瞳は真っ直ぐ射るようにアルファルドを見つめていた。
 一方、貨物車両に閉じ込められていたマリアとユンユン、腹に銃弾を受けたマリアを前に慌てふためくユンユン、だが、さらに追い討ちをかけるよう、そこには時限爆弾が取り付けられていた……。
 カナンとアルファルド、マリアとユンユン、それぞれの終末に向かって列車は走り続ける……。
 以上公式のあらすじ。

 最終回ということで、とても綺麗にまとめてあり感心。
 この1話で列車でのことに決着をつけ、エピローグが入って終わるまでの尺の配分が見事で、「どっちかにもっと尺があれば」と思うことなく終わったのは、ここ最近のアニメではこれくらいしかない。
 お話としても、上海で起こった当事者以外は誰も知らない事件の終わり、といった感じで妙にしんみりくる。
 だが、ちょっと気にかかることがあって、それはアルファルドが最後までよく分からなかったことだ。
 結局彼女はどうしたかったのだかさっぱり分からない。
 カナンが言うには、シャムが死んだ時に死んだ、まぁ、死んでいるようなものという意味だが、それほどまでにシャムが大事ならば、なぜシャムを彼女は殺したのかが分からないし、アルファルドの言う、シャムの亡霊はおそらく孤独であったのであろうが、
それに気付いていながら、カナンの助けを自ら断ち切るのもよくわからない。拳銃で自分の腕を粉砕してまでそうした気持ちが全くわからないですよ。
 カナンはこの一連の出来事で随分変わったけれど、アルファルドはどうなんだろうな。何かを変えることが彼女に出来たのだろうか?エピローグを見ると、もしかしたらまだもがいているのかもしれないが。
 まぁ、なんにせよ、お話は綺麗に終わりさして文句の付けどころがないくらい良い出来であった。

 というわけで、全体的な感想としましては、一言で言ってしまえば「とてもよく出来ている」だ。
 お話も無理なく、最後にどっと詰め込む風でもなく、奇麗な流れをしているし、よくある無駄に多くキャラクターが出てきて、収拾つかなくなってしまうこともなく、数人の主要キャラクターが、それぞれ魅力を発揮し、話に絡んでくるのも良い。
 作画はtrue tearsからの相変わらずの綺麗さで、アニメーションとしてもクオリティがすこぶる高く、背景などの美術も含めてもとても素晴らしい出来であると言える。
 難点があるとすれば、上記したアルファルドがよく分からないことか。でもそれをやると、もう+2、3話という微妙な尺になりそうなので仕方のないことなのかもしれない。
 アクションシーンも、よく動いていて気持ちが良いのだが、ドンパチがメインではないので、それを目当てで見るとちょっとがっかりするかもしれない。
 個人的な所では、リャン・チーさんやユンユンといったキャラクターが見事で、特にリャン・チーさんは期待通りの働きが素晴らしい(笑)し、それにふさわしい末路も納得だ。
 と、いうわけでべた褒めになってしまったな(笑)。でもよく出来ていることは間違いないだろう。
 全13話と短いので、見てない方は見てみると良いでしょう、と珍しくお勧めしちゃったりする。
 ただ人がよく死ぬので、そういうのが苦手という方は注意だ。


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