魔法少女まどか☆マギカ  1〜12話

[indexへ] [かんそーへ]


第1話 「夢の中で逢った、ような……」

久々のオリジナルアニメ。期待せざるを得ない。

 そんな今回のお話は…
 大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんな平和な日々を送る中学二年生、鹿目まどか。
 ある晩、まどかはとても不思議な夢を見る。
 その日も訪れるはずだった、変わらぬ日常――。しかし、訪れたのは非日常――。
 まどかの通うクラスにやってきた、一人の転校生・暁美ほむら。
 まどかが夢で見た少女と瓜二つの容姿をした少女。
 偶然の一致に戸惑うまどかに、ほむらは意味深な言葉を投げかけるのだった・・・。
 以上公式のあらすじ。

 冒頭書いたように、久々のオリジナルアニメをシャフトと新房昭之監督が作るんだから見逃す手はないし、当然期待して見た。
 お話としては、当然と言えば当然だが、さわりもさわりで今の所なんのこっちゃよーわからん。
 が、タイトルの「魔法少女」によくある「小動物」と出会ってなんだかわらんけど変身だーっ!そして敵にビーム!やっつけたぜ!!みたいなお話ではなく、まぁある意味そうだったけれども前述した子供向け的な展開ではなく、主役である「鹿目(かなめ)まど」かは変身しないし、敵幹部のようなものも出てこないし、小動物を嫌っている転校生「暁美(むつみ)ほむら」との関係など謎だらけで、劇中の「魔法少女」がどのようなものなのか分からず次回へ興味を引っぱっている。

 まぁその謎はそのうち明らかになるだろうから放っておいて、今回のお話としましては、魔法少女が戦っている夢を見たまどかが学校へ行くと、その魔法少女にそっくりな転校生がやってきて「大切な人がいるなら、鹿目まどかのままでいればいい。今まで通りに、これからも」というような事を言われ……な話。
 その後まどかは友達の「美樹(みき)さやか」と共に魔法少女の騒動に巻き込まれ、小動物に自分と契約し魔法少女になって欲しいと言われて終わる。
 興味を引いたのは転校してきた「暁美ほむら」と小動物だ。上記したまどかに投げかけた言葉や、巻き込まれ先でまどかに小動物から離れるように言ったりと、今回を見る限り、彼女はまどかを魔法少女にしたくないように見える。
 小動物はまどかの頭の中に「助けて」と直接声を響かせ助けてもらって、何でもひとつ願いを叶えてあげるかわりに、自分と契約して魔法少女になって欲しいと言う。
 上記2点を考えると、小動物がどうもとても胡散臭く見えてならない。ひとつ願いを叶えるかわりに契約しろというのはすごく都合のいい話のように見えるしな。
 その魔法少女になったほむらが、すごくクールで取っ付きにくく、まどかに変わるなと言い、彼女に小動物から離れろというからには、ほむらは契約し都合が悪くなった、だから自分と同じようなものを増やしたくない、と考えているようにとれるのだ。
 そもそも、どんな奇跡でもかなえてあげるとしているが、その代償としての魔法少女であるからには、魔法少女になるということはそれだけのデメリットというのがあるだろうと思わせるし、なにより「契約」しろっていうのが胡散臭い。
 契約するってことは契約内容に従わなければならないわけで、その中に自分がどうしてもしたくない事があってしなかった場合や、契約に反する行動をした場合などは罰則があるわけですよ。奇跡だって起こせるような願いと引き換えのその契約、バランスを取ろうとするならその契約はものすごく大事だという事だ。
 私には小動物が、願いを叶えるというのをダシに契約させようとしているように見えて、こいつがみんなの幸せの為に、無償で幸せを振りまく子供向けの魔法少女を任命しようとしているとはとても思えない。どうもコイツには裏があるように思えてならないのだ。

 そんなわけで、とても「魔法少女」とは思えないような雰囲気と展開で、子供向けの無償で困っている人を助けるような魔法少女物ではない……ような気がする(笑)。
 まぁともかく、愛と勇気と希望で全てを片付けてしまうような単純な話ではなさそうであり、可愛らしい女の子がシャランラ〜と魔法を使ってというのを隠れ蓑に、なんか別の事を仕掛けてきそうな暗い雰囲気があってとても興味深かった。これからどうなっていくか楽しみです。

 まぁそんな何かはありそうな気がするだけで、結局シャランラ〜で終わる話なのかもしれませんが(笑)。
 しかし何が言いたいのかよく分からない感想だなぁ。

第2話 「それはとっても嬉しいなって」

なんか魔法少女になるように誘導しているような気がするなぁ。

 そんな今回のお話は…
 ほむらに襲われたキュゥべえを助ける途中、迷い込んだのは摩訶不思議な空間。
 絶対絶命のピンチに陥ったまどかとさやかを救ったのは一人の魔法少女。巴マミ。
 その後二人が誘われたのは、魔法少女の部屋。
 語られしは、キュゥべえに選ばれし者に与えられる資格。 魔法少女という存在、そして魔女という存在。
 どんな望みをも叶えるチャンスと、その先に待つ過酷な使命。
 悩む二人に、マミは「自分の魔女退治に付き合わないか」と提案をするのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、学校の先輩でもある巴マミから魔法少女の詳しい説明を聞き、彼女が魔女退治をする所を見せ、まどかがなんとなくいいなぁと感じるという話なんだけど、やっぱりどうも魔法少女になるってことに胡散臭さを感じてしまうな。
 一応デメリットとして、死ぬかもしれない事が提示されはしたが、魔女を退治する所を見せる事によって、そのリアルから遠ざけようとしているような気がするよ。
 大したピンチも無く魔女をやっつけてしまい、魔女の力によって自殺しようとしていた人を助け、すごく良い事ばっかりだという気にさせるように誘導しているように見える。
 本来ならば、一番詳しいはずの小動物が饒舌であるはずなのに、魔法少女の事や使命についてコイツが殆ど喋らないのは、なにか重要な事を隠しているのではないかと勘ぐってしまうよ。
 そういった小動物への不審を抱きながら見ていたので、優しそうな先輩魔法少女「巴マミ」も、その優しさに裏があるように思えてしまう。しかしそういうつもりで物語を作っているならば大したモノである。

 魔法少女云々の事は、そのうち追々分かってくるであろうからとりあえず放っておいて、今回のお話は魔法少女の活動とはということを、巴マミの魔女退治の様子を含め色々と設定を説明しており、このアニメの世界観を上手く説明し表現していて感心した。
 その中でほむらという今の所なぞの行動を続けるキャラクターを印象付けてもいて、物語として実に上手く話を引っぱっている点も上手い。
 小動物と魔法少女だけでもなんだかよく分からないのに、彼らの説明や行動とは違う事をしているようなほむらがいる事によって、単純に魔法少女になって魔女やっつけて「わーい」ってなだけではなさそうな雰囲気がよい。
 ほむらに関しては、とりあえず劇中では彼女があまり良い存在ではないというふうにしているのだけど、どう見てもこれは釣りっぽく、同じ魔法少女が手柄の取り合いになる事もあるという説明で、本当はまどかに忠告しているであろうほむらの本心が伝わっていないというのも、小動物が何かを隠しているような気にさせるし、本当の所はどうなのか、また彼女が戦う理由はなんなのか、そしてどうしてまどかを魔法少女にさせたくないのかを気にさせる。

 魔法少女に付き物の敵との戦闘は新房昭之監督らしい画面がおもしろく、魔女や異世界がなんだかよく分からないコラージュのようであったのもさることながら、巴マミが武器とする単発式の長銃を際限なく出して、撃っては捨て撃っては捨てていくのが魔法少女らしくなくておもしろかった。
 アニメーションの動きとしても、派手さは無いものの見せ方が上手く、単発式の銃を使って攻撃する事を上手に利用していて、一発撃ったら次の銃を持たなくてはならないという行動の制限があるので、次の銃を撃つ間に反撃されるのではないかと見ていてハラハラしてしまうしそこを狙っている。
 手持ちの銃が無くなって、そろそろピンチかと思わせておいて、色々な所から銃を取り出し反撃に反撃していき、こうなってこう返すというような詰め将棋をやっているような巴マミの余裕もカッコいい。
 まぁそんな余裕綽々だからこそ、なんか逆に胡散臭さを感じてしまうのだが(笑)。

 そんなわけで、派手ではないけれど作りは非常に凝っているし、まどかはいつ魔法少女になるのかという事や、それにまつわる怪しい雰囲気、そしてほむらはどう関わってくるのかといろんな事を気にさせてくれて見ていて楽しい。
 一風変わった魔法少女ものに今後も期待していきたい。


第3話 「もう何も恐くない」

トラウマになりそう。

 そんな今回のお話は…
 マミの魔女退治体験コースにも慣れつつある、まどかとさやか。ただし、肝心な願い事は未決のまま。
 悩むふたりに明かされた、マミの過去。
 「願いの内容が、自分のための事柄でなくてはならいのか?」と問うさやかに、マミは、厳しい口調で「他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」と嗜めるのだった。
 翌日の放課後、 恭介の見舞いに行ったとさやかと付き添いのまどかは、その帰り道、偶然にも病院の駐輪場で孵化しかけたグリーフシードを発見する。
 放置すれば、大惨事になりかねない事態に、さやかはキュゥべえと共に見張りを、まどかはマミを助けに呼びに走るのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話の方は結構ショッキングで、まどかが魔法少女になる決意をしたら、マミが魔女に殺されてしまい、ここまでひた隠しにしてきた魔法少女になるデメリットがリアルなものとしてまどかに突きつけられるという内容。頭をパックンチョされるマミのシーンはトラウマになりそうだ。
 さて、前回になんか魔法少女になるように誘導している感じがすると書いたが、正にその通りであって、一人で魔法少女やっていたマミがどうも仲間が欲しくてまどかたちを誘導していたようだ。
 それも今回の死亡シーンを見ればさもありなんで、これまで魔法少女に関してはカッコよくて良い所ばっかり見せてはいたが、ご覧の通りに常に死と隣り合わせで、マミの劇中の台詞にもあったように、誰にも打ち明けることも出来ず、仲間もおらず、一人で泣いてばかりという事を考えれば、彼女が仲間欲しさに誘導をかけるのもうなずける話だ。
 それに伴って今回興味深かったのは、マミの死亡までにまどかが魔法少女になると決意し、マミとしてもやっと出来た同じ仲間に意気込んで魔女と対決し、あっさり倒したかと思われたあとの急転直下である。
 魔法少女と名のつくものならば、仲間を得て順風満帆に進む所ではあるし、事実マミとまどかが一緒に迷路を進んでいく辺りまではそんな雰囲気であった。しかし直後にそんな展開を覆し、魔法少女の死亡させることで、あまり引っ掛かってこなかった魔法少女になることのデメリットを強烈なインパクトで説明しているのと同時に、まどかの魔法少女になる理由としていた「なんか人の役に立てるといいな」はそんな程度のことでは全く釣り合わないことを示していた。
 マミの死亡後、キュゥべぇが「早くボクと契約して魔法少女に」と促すが、リアルな死を目の前にまどかとさやかは、今自分が思っている理由と願いでは到底そのデメリットと釣り合わないことを悟り、キュゥべぇに応えない、応えることが出来ない。魔法少女になるという事がどれだけ重大な決断で、決死の覚悟がなければならないか、また魔法少女になることで、マミが感じていた孤独や心労と死への恐怖をも抱えることとなり、「どんな願いもひとつだけかなえられる」は、それのせめてもの代償であるのだ。
 上記のようなことを見事に説明せずに説明しているのは「天晴見事なり」としか言いようが無く、また1話内での話の盛り上がりからのどんでん返し、そしてシリーズ構成として「これからどうなる?」という興味の引っぱり方と言い、ひとつの物語として、とりあえずここまでは素晴らしい出来と言えるだろう。

 今回見ていて少し思ったのは、それは本来「魔法少女」とはこういうものなんだろうなぁということなんですが、よくある美少女変身モノ、今でいえばプリキュアとなるでしょうが、少女が変身して巨悪を叩く、というストーリーは子供向けアニメという事もあって、そんなピンチもなんだかんだで乗り切って最後は勝ってしまうんだけど、よく考えて見ればプリキュアの皆さんやセーラームーンの皆さんだって、本来は今回のマミみたくなる可能性だってあるわけですよ。まぁ要するにプリキュアの皆さんだって死と隣り合わせで毎回戦っているわけです。
 なんとなしにそんな変身した美少女たちを見ているわけですが、もし本当に何らかの出来事で変身して巨悪と戦うことになったなら、このアニメのようにどこか暗く、不安な雰囲気と言いますか、まず自分の生死がかかっているんだから綺麗事ばっかりで戦えないんじゃなんですかね。
 そんな、いわゆる「魔法少女」モノが描かない暗部にクローズアップしている視点が実に興味深い。

 ともあれ、物語は意外な展開を迎え、これから一体どうなっていくのかさっぱり読めません。それ故に続きが楽しみでもある。
 しかし思うのだけど、マミは本当に死んだのかしら?ここで死んでもう出番がないのであらば、公式TOPに大きく居座っているべきではないと思うのだけど、そのへんどーなんですかねー。案外、まどかとさやかの願いがマミを生き返らせるとかだったりするのかなぁ。
 ああ、そういえば、願いを「不老不死」とかにすれば、死というデメリットを回避できるとか考えた自分はひねくれてますかね?まぁ永遠に戦い続ける運命になってしまいますが(笑)。


第4話 「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

なんだろう。「なってしまった」という感じだよな。

 そんな今回のお話は…
 マミと魔女との壮絶な戦いの翌日、訪れたのはいつもと変わらない平和な日常。
 魔法少女の敗北の結果を目の当たりにしたまどかとさやかは、魔法の世界に関わったことの重さを実感し、魔法少女になることを諦める。
 その日の夕方、誰もいなくなったマミの部屋を訪れたまどかは、帰り道、マンションのエントランスでほむらと出会う。  夕日の中、並んで歩く二人。魔法少女としての死ぬことの現実を語るほむらに、まどかは切ないほど優しい言葉をかけるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 前回からのフリであった自己で入院していたさやかの想い人がフラグになって、さやかが魔法少女に「なってしまう」というお話の流れ。
 巴マミの死を目の当たりにして、魔法少女になることは出来ないとしたまどかとさやかであったが、事故に遭うまでは天才ヴァイオリニストだった彼の指がもう動かないことを知り、さやかは魔法少女になってしまう。
 前回にあれだけのインパクトをもって、魔法少女になるという事のデメリット、常に孤独でいつ死んでもおかしくないことを見せつけておいてのさやかのその姿は、よくある魔法少女モノの素晴らしい力を手にしたという高揚感とは対照的に、絶対に越えてはならない一線を越えてしまった感の方が強く、ほむらがあれだけ忠告し、怪しげなキュゥべぇなどを見せていたこともあって、せっかく魔法少女になったというのにこれから彼女が陥ることになるであろう不幸を考えると不安になる。またそれは、全体的に喰らい雰囲気で物語が作ってあることを見るに、そういうふうに作ってあるわけなので、作り手側がそう思うように仕向けているのだから、上手いこと作ってあると言える。
 話としても、劇中のさやかの台詞にもあったように、彼女が契約し、入院している上条の指が以前のように動くようになったとして、これまでの流れからしてありがとうと言ってもらえるならまだしも、今回自暴自棄になった彼を見せていたこともあるし、今回冒頭で願いを叶えることについて分かっていなかったというさやかのモノローグを聞くと、せっかく叶えた願いが無駄になるような展開になりそうで怖い。
 巴マミの死から一夜明け、彼女がいなくなったしまった世界はそれまでと何ら変わることはなく、ただマミと関わったまどかとさやかだけが、マミという存在が欠けた世界を認識しており、まどかが「まるで別の国に来ちゃったみたい」と洩らすのは、大事な人を失ったことのある人は、彼女のそんな台詞を理解できるだろう。
 そんな世界と自分の気持ちとのギャップ、人一人いなくなっても世界は特に変わることなく回っていく現実と大事な人が欠けてしまった自分達という言いようのない悲しみ。そういった中でさやかがとってしまった選択、そして最後に現れた他の土地から来た魔法少女の嫌な笑みが、まどかを取り巻く状況がとても不安定で、ちょっとした何かをきっかけに優しいまどかの全てが瓦解しそうな恐ろしさを感じて怖くなる。そういった、どちらかといえば明るくさわやかな魔法少女ものと呼ばれる物語とは、対照的な所を突いていこうとしているシリーズ構成はここまで秀逸であろう。

 これまでちょっと気になっているんだけど、今の所、魔法少女が存在している理由ってのが今ひとつ語られないのよね。  キュゥべぇは何か目的があって魔女狩りをする魔法少女を生み出しているとは思うんだけど、それが全く語られていない。
 そもそもこの物語での魔法少女は特別愛と正義を掲げて闘っているわけでもないし、魔法少女と魔女が何か対立する組織に属しているというわけでもなしで、今の所で得られている情報は断片的でしかないんだよなー。
 魔法少女はいつか引退することがあるのかとか、どうかしたら魔女との闘いから抜け出せるとか、その力の源はどこなのかとか、まだ分かっていないことが多くって、それがまた「ええっ!?」というような暗い気分になってしまうようなことと繋がっていそうで怖いですが、そこがまたおもしろいとも言える。
 これからまどかがどのような目に遭い、どんな願いを持って魔法少女になり、どのような結末を迎えるのか期待していきたい。


第5話 「後悔なんて、あるわけない」

キュゥべぇはやっぱ誘導しているよなぁ。

 そんな今回のお話は…
 魔法少女として、魔女の手からまどかと仁美を救ったさやか。
 キュゥべえとの契約により願いを叶えた今、その心は清々しく、魔法少女となったことに後悔はない様子。
 反対にまどかはさやかよりも先に魔法少女になる決意をするも、諦めてしまった自分に悩む。
 恭介の両親、主治医、病院スタッフが集まり、病院の屋上で開かれたのは恭介の手の快復祝い。
 そこで、父の手から、かつて自分が愛用していたバイオリンを渡される。
 始めは躊躇するも、意を決してバイオリンを披露する恭介。まったく衰えていない天才の才能に、聴き惚れる一同。  その光景を見たさやかは、至福の喜びをかみ締める。
 一方展望台には、そんな病院屋上でのさやかの動向をうかがう杏子の姿があった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては魔法少女となったさやかに、諦めてしまったまどかは自責の念を覚え、成り立て魔法少女のさやかの力になんとかなろうと色々と悩む姿と、魔法少女が愛と正義の名の下に存在しているのではなく、とても利己的な存在であることを示す同じく魔法少女である杏子と、誰かの為にと思って行動しているさやかとの対立と対決を見せている。
 この世界での魔法少女は上記下用のとても利己的な存在であるとしていて、本来手を取り合えば良いはずである杏子とさやかは、その考え方の違い方戦闘へと発展してしまっている。
 そもそも、そんな願いを叶える替わりの魔法少女なので、利己的と言われれば確かにそうであると言えるので、この物語の正しい魔法少女の在り方としては杏子の方が正しいのかもしれない。キュゥべぇも故まみの存在はとても珍しいとしていたので、おそらくはそういうことなのだろう。そういうことから考えて、この魔法少女と魔女の関係っていうのが、どこかゲームじみた印象を受けるんだよな。
 今回、杏子は使い魔を見逃して、倒せばグリーフシードを持っているだろう魔女になるまで見逃せと言う。つまりは4、5人使い魔に人を喰わせれば魔女になるから、倒すならその時の方が得だという事でさやかと対立するのだけど、ここでおさらいしておかなければならないのは、グリーフシードは魔法少女が失った魔力を回復させる為に必要な物ということで、要は魔女になる前の使い魔を倒し続けていると、魔法少女はジリ貧になっていってしまうという事になる。魔力を回復するには魔女を倒さなければならないのだ。
 と、言うことは、魔法少女がすることっていうのは枝葉を枯らしているに過ぎなくて、誰かなりが魔女なり柄今成の犠牲にならないと魔法少女の魔力は失われてしまう。つまり、魔法少女は常に誰かの犠牲の上で成り立っているともとれる。  要は倒し倒されがループするように仕組まれているように私には見えるのだがどうだろうか。魔女と魔法少女、どっちが先にジリ貧になって負けるかな?みたいな遊戯的側面を感じてしまう。
 そう考えると、魔法少女のほとんどが杏子のように利己的な考えであるのは、ゲームを長く続けるという意味で、まみやさやかのようなボランティア活動されるよりか、その素質として良いはずなのだけど……そこで問題はまどかなのである。
 まどかは魔法少女としての素質がすごくある、という事になっているのだけど、そうだとするならば上記仮説はあまり当てはまらない。まどかは優しく、誰かのためになることを夢想していたのだから。
 今の所、どうして魔女と魔法少女の対立構造が出来ているのかがさっぱり語られないので、なんとも言いようがないのだけど、その全容が明らかになった時にどうなるのかが楽しみだ。

 お話の方はと言うと、上記した側面から、魔法少女は誰かの為に闘うのではないのか?魔法少女とは一体なんなのか?という事と共に、本来の魔法少女ものならば闘う必要のない同じ境遇のもの魔法少女同士が、その考え方の違いから戦闘になるという、なんかすごくもにょもにょする違和感を演出している。
 魔法少女とは愛や勇気、友情や誰か大切な他の人の為に闘うものだという固定観念があるので、杏子のさやかの対立というのは何かすごくおかしい気になる。しかしそれを逆手に取っているとも言え、その辺上手く作ってあり感心。
 その辺の魔法少女とはという事から、魔女との対立構造、そしてその世界の流れ、さらにはまどかの役割がどうからんで進んで行くか見物だ。
 それと、今回もやっぱキュゥべぇがまどかを誘導していて、それほどまでにまどかを魔法少女にしたい理由とは一体なんなのか。またまどかの資質とはなんなのかも合わせて気になるところ。
 
 しかしこの物語は最終的にどうなるかさっぱり読めないねー。一体どうなったらこの物語が終わりを迎えるというのだろう。
 そういう意味でも興味を引っぱっているのだから上手いと言わざるを得ない。


第6話 「こんなの絶対おかしいよ」

衝撃の新事実の発覚だな。

 そんな今回のお話は…
 さやかと杏子の戦闘現場に、突如現れたほむら。戦闘の仲裁に入った彼女はさやかを一撃で気絶させ、それを見た杏子はほむらを警戒し、その場を離脱したことにより、戦闘は終息する。
 翌日、杏子の乱入により取り逃してしまった使い魔の痕跡を探すさやかとまどか。
 戦闘の痕跡が残るその現場で、杏子との平和的な解決を提案するまどかと、命を賭けた魔法少女同士の闘いに覚悟を決めたさやか。 二人の意見は擦れ違ってしまう
 そんな二人のやりとりの一方、 ゲームセンターでは、とある目的のため、ほむらは杏子と接触するのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話はあらすじにあるところから、魔法少女になるという事はそういったことがなされるのか、という真実を知る。ここがメインだが、それが分かってみると色々と分かりかけてくることもあって実に興味深かった。
 杏子とさやかの衝突をなんとしても止めたいまどかは、対決の間際にさやかのソウルジェムを奪い、歩道橋の上から投げ捨ててしまう。捨てられたソウルジェムは運良くトラックの荷台に落ちて遠くへ行ってしまうと、さやかは糸の切れたマリオネットのように事切れてしまう。そのさやかは息をしていなかった。死んでいるのだ。
 突然の状況に狼狽する杏子とまどかにキュゥべぇは真実を語る。契約して魔法少女となって魔女と闘うのに、弱点だらけの人体で闘えなんて言えない。だから契約するという事は、魂をコンパクトで魔力を最大限に発揮することが出来るソウルジェムに移すことで、その身体はただの抜け殻だと言う。ソウルジェムを破壊されない限り、魔力で身体の修復はいくらでも可能。無敵の身体だと。つまり身体はリモートコントロールの人形と同じで、魔法少女の本体はソウルジェムなのである。もはやそれはヒトではない。
 お話として、その衝撃的な事実も十分なインパクトであるが、真実を語るキュゥべぇが、その事実に驚き泣くまどかや怒る杏子を全く意に解さず、なぜそんな反応をするのか全く理解できないという口調で、魂がソウルジェムになったことが素晴らしいことだというふうに喋るのも、ものすごく嫌な気持ちにさせれくれて、良い意味で気持ち悪い。
 しかし物語として、この事実が分かったことで少し見えてくるところもあるし、逆にまた疑問も浮かんでくる。
 まず、魔法少女が魔法を使えば使う程、ソウルジェムは汚れ、それを浄化する為のグリーフシードという設定だが、ソウルジェムが魂なら、魔法を使って汚れるのであらば、魔法は使ってはいけないものなんじゃないだろうか。魔法を使えば魂が汚れてしまうのだから。
 そしてその穢れを浄化、絵を見る限り移し替えているような印象だが、またはグリーフシードに穢れがたくさん溜まると魔女が孵化するというのなら、魔女は魔法少女が魔法を使い、穢れたものの成れの果てという事にはならないだろうか。そうだとするならば、魔女の発端は魔法少女という事になってしまう。
 そこでキュゥべぇだが、上記したように今回明らかになった真実に驚愕するふたりを見て、何故魂の有りどころにこだわるのか理解できないと言ったのを見ても分かるように、人の感情を意に解さず、とても合理的に魔女VS魔法少女を考えて、それ以外のことを全く考えていない。
 確かに魔女と対決するという事だけを考えれば、魂をソウルジェムに移し、身体の修復をいくらでも可能にするというシステムは、魔女退治においてキュゥべぇが言ったように便利この上ない。が、それは当人である魔法少女のことなどは一切無視していると言っていい。
 キュゥべぇにとって、そんなことよりも、魔女VS魔法少女というゲームシステムの中で、魔法少女を量産もしくはより強い魔法少女と契約することの方が大事だという事だ。
 彼がそのゲームシステムの中で、魔法少女として契約する役割をもって、それが一体何になるんだろう。彼曰く、その才能だけで巴マミや杏子を凌駕するというまどかをそのゲームシステムに組み込み、強大な力を持つ魔法少女を得て一体どうしようというのか。だがとりあえずここまで見てきて、キュゥべぇが愛や勇気や夢や希望のためにまどかの力を欲しているとは、到底思えない。
 今回明らかになったこの事実で分かったこともある。おそらくは巴マミは復活する。なぜならば彼女はソウルジェムを破壊されたわけではないからだ。
 異空間が閉じて彼女のソウルジェムが回収できなかったので、それさえ取り戻せば巴マミの復活は十分あり得ることだろう。
 しかし、魔法少女のデメリットは単純に「死」ではなく、「ヒトでなくなってしまう」ということであったか、けれどそれはベテランである杏子も知らないことあったことを考えると、そのことを知らない魔法少女がほとんどなのだろう。しかしそのことをほむらは知っているようだ。
 ほむらはまどかが魔法少女に関わりを持つことを極端に避けようとしているのを見ると、彼女はこのシステムの果てがどんなものであるのかを知っているようだ。
 それに伴って、まどかにほむらを悪くいうキュゥべぇを見るに、ほむらはそのシステムを終わらすなり壊すことを目的としているんじゃなかろうか。
 まぁほむらはともかくとしても、とりあえず、キュゥべぇの思い通りになるようなことは避けるべきことのような気がしてなりません。このシステムの先に何があってどうなるのか、まどかは魔法少女に「なってしまう」のか。
 劇中時間で2週間後だったかに「なんだかの夜(名称忘れた)」とかいうイベントがあるそうなので、おそらくはそれがターニングポイントになるのではなかろうか。
 個人的に「魔法少女にならない決意」ってのもあるんじゃないかなぁと思うんだけど、この先物語はどう進んでいくんですかね。楽しみだ。


第7話 「本当の気持ちと向き合えますか?」

うひー、残酷だなぁ。

 そんな今回のお話は…
 魔法少女となった自分の体の真実を知ったさやか。
 戦いの運命と受け入れてまで叶えた願いと、その代償の大きさの間で揺れてしまう。
 そんな自宅でふさぎこむさやかの元に現れたのは、敵対していたはずの佐倉杏子。
 彼女はさやかを外へと連れ出し、とある廃墟の教会へと誘う。
 そこで杏子の口から語られたのは、自身が魔法少女となった理由。
 果たして彼女の新意とは――  以上公式のあらすじ。……「真意」、ですよねぇ。たぶん。

 お話としましては、前回での魔法少女のシステムのことを知ったさやかの心が悩み、揺れ、壊れていく様子を描いていて見ていてつらい。
 魔法少女となりはしたがヒトではなくなった、そんな事実にショックを受け学校を休み部屋でうずくまるさやかを杏子が誘い出し、自分が魔法少女になった経緯を語る。
 その経緯から見ても、本当は杏子も唯我独尊的な人物ではなく、家族の為にと思って魔法少女となったことで自分の周囲が壊れてしまった為、もう誰かの為に魔法は使わないとし、それなら全て自己責任でまた気持ちが楽であるからさやかもそうすべきだと語る。
 もともと家族の為に魔法少女になった杏子である。そんな彼女にとっても今のさやかを見ているのはつらく、また同じ魔法少女ということもあって、痛みを共有する者同士として、こういう生き方の方がまた楽だぞとアドバイスした。まぁそれは孤独な闘いを強いられる魔法少女として仲間が欲しかったという打算もあったのかもしれないが。
 しかし、さやかの決意は変わらず、それでも後悔はないと自ら言い聞かせるかのように言うのだが、ここでそう彼女にもう一度決意させておくのが後々活きてくる辺りの脚本が上手い。

 その後、学校へ行くとさやかが魔法少女になるのと引き換えに救った男の子が登校してくる。しかしさやかは自らのことがあって遠くから見ることしか出来ない。
 そんな中、前々回彼女が救ったクラスメイトであり友人から相談を持ちかけられ、自分はその男の子のことが好きなので告白しようと思うが、あなたはどうするのか?と。
 それでさやかの心は揺らいでしまう。彼に自分の気持ちを伝えて上手くいったとしても、抱きしめられてもキスされても、それは抜け殻、本当の自分ではないのである。それなのに好きだなんてとても言えない。しかし意中の君をとられたくはない。初めてさやかは後悔し、出掛けた魔女退治でワザと自らの身体を痛めつけ、そして魔女を笑いながら無惨に殺す。もうさやかには「魔女を退治する」役割以外無くなってしまったのだ。

 と、このように、魔法少女になったことによって、さやかに起こる残酷な運命とその残酷さに壊れていくさやかの心を見せているわけだけど、何が残酷かって言うと、真綿で首を絞めていくようなのが見ていて何よりつらい。何かでズバッとくるよりじわじわとやられる方が嫌なもので、せっかく得た力で救ったふたりがさやかを苦しめるのだ。
 もちろんそのふたりはさやかの今の状況など知る由もないので仕方ないことなのだけど、当のさやかにとってはもうそれを受け入れるしかない。
 まぁ身体が抜け殻だと言っても、それはそれで割り切ってしまえばいいとも思えるが、やはりそれは大人の考え方であろう。14歳の少女はそうもいくまい。
 この世界に存在して、人と人の繋がりがある以上、誰かに傷つけられることは当然あるわけだけど、魔法少女となったところでそれが回避できるわけでもなく、むしろ魔法少女になってしまったことでよりダメージがでかい。なぜなら人から魔法少女になるという事は前回分かったように割が合わないからだ。
 魔法少女にあるメリットとといえば、魔女との闘いで若干有利である、という事くらいなものである。それで後悔するなという方が無理な話だ。
 そりゃさやかも壊れるというもので、また最初にその決意は変わらない、後悔はないとさせて持ち上げておいて落とすのだから、正直見ていてつらかった。
 また、経緯を知っているまどかは何もすることが出来ないし、むしろこんなになるくらいだったなら真相を知らない方がよかったかもしれず、まどかとしても色々とつらいが、まどかが一番つらいのはさやかの痛みを完全に分かってやれないことだろう。なぜならまどかは魔法少女ではないのだから。

 物語はどんどん鬱な方向へ向かっていっているんだけど、これからどうなっていくか想像もつきませんな。これを最終的にどう折り畳むというのだろう。
 そしてタイトルが「魔法少女まどか☆マギカ」なのに、未だに魔法少女にならないまどかは魔法少女になるのかならないのか。色々と今後の展開が楽しみだなぁ。
 でも全体的にこの物語は暗くて陰鬱だよねぇ。見ていてつらいよ……。おもしろいけど(笑)。


第8話 「あたしって、ほんとバカ」

おお、当たらずとも遠からじだったんじゃないか?

 そんな今回のお話は…
 自らの負傷も意に介さず、ただ目の前の魔女を切り刻むさやか。
 治癒魔法のおかげで最終的には無傷で魔女に勝利するも、もはや憔悴しきった様子。
 その帰り道、降り出した雨の雨宿りがてらの休憩中、憔悴しきったさやかの様子を見かねたまどかは、さやかの戦い方について、口を出してしまう。
 きれいごとばかりに感じるまどかのその言葉に、さやかはついに感情を爆発させ、その場を立ち去ってしまう。
 涙に暮れながら、それでも追いかけられないまどか――
 雨の中をはしりながら、自己嫌悪に悔し泣きをするさやか――
 彼女のソウルジェムは、黒く黒く濁っていくのであった。
 以上公式のあらすじ。

 お話は魔法少女の役割とキュゥべぇの真の目的という感じで、前回だかに感想で語ったことは、冒頭に書いたが当たらずとも遠からじであった。
 内容としては上記あらすじにあるように、さやかのソウルジェムが黒く濁っていき、限界に達した彼女のソウルジェムははじけ、どうやら魔女になったようだ。
 つまるところ、今回のラストでキュゥべぇが言っていたように、魔法少女とは魔女になる前の少女の呼称でなのである。要するにキュゥべぇの役割は、魔女を退治する魔法少女を生み出すことではなく、魔女を生み出すことだったのだ。  魔法少女VS魔女という対立システムではなく、魔法少女から魔女へと変貌させるシステムで、魔法を使えば使うほど魂であるソウルジェムが穢れていくのか気になっていたんだけど、誰かの為にと思って魔法をふるっても、その境遇から誰かを呪わずにはいられない。皆の為に闘っても、その皆はそんなことは知らずのうのうと生きていく。悪いとされる魔女を倒しても、魔女でない普通の人間にも悪いヤツはいる。
 今回のさやかを見るに、守ろうとした世界にも当然悪いヤツはいて、彼女にとって倒すべき相手の境界線である魔女と人間という境が無くなってしまったんだろう。その境界が無くなってしまうと、さやかが言っていた守るべき世界はもう無くなってしまう。世界の全てを呪う他ない。それは新たな魔女の誕生という事だ。
 そこから考えるに、なんでまどかが魔法少女として特別な才能に恵まれているのか、という疑問の答えがちょっと見えてくる。
 誰かの為にと思えば思うほど呪ってしまうのであらば、キュゥべぇ的思考をすれば、優しくて他人を思い、見返りを求める事無く自らを投げ出せる。そういう思考の強い人間が魔法少女になると、その分呪ってより強大な魔女になるということだ。
 もうここへ至るとキュゥべぇがまどかに言ったことは全て信用ならなくて、神にも匹敵する存在になれるかもしれないという彼の言葉はおそらく嘘だろう。キュゥべぇはただまどかを魔法少女にして、その後魔女になることを期待しているだけなのだ。
 しかしキュゥべぇこそが根源ではなく、今回ほむらが彼を殺しても、すぐに替わりが現れたことを考えても、キュゥべぇ自身は単なる端末に過ぎないのだろう。本当の敵はそのシステムを構築している何者かなのだが、その辺はまだ謎に包まれたままだ。魔女を量産したとして、一体その果てに何があるというのだろうか。

 その答えを知っているのはほむらで、劇中あったように彼女は物語上の時間軸にはない存在のようだ。となると過去か未来という事になるが、システムの往く末を知っている、またまどかが魔法少女になることを恐れていることを考えるとやはり未来からなのだろう。
 まぁ順当に考えれば、まどかが魔法少女になった未来から来て、その未来を止める、もしくは変えるのが目的となるが、それだとほむらとまどかはどこで会ったことがあるのかという説明がつかない。
 どうも彼女らがどこかで以前に出会っていた、というのがポイントみたいなので、そこをどう大逆転フラグとするかが見物だ。というか、大逆転があるかどうか非常に怪しいのだが。
 まぁなんにせよ、物語は終盤に差し掛かりさらに混沌としてきて今まで以上に先が読めなくて、それ故におもしろい。
 まどかは魔法少女にななってしまうのか、それとも何かシステムを壊すことになるのか、そうでなければもう関わりを捨てて日常を生きる決意をするのか。最終局面が気になって仕方ないです。


第9話 「そんなの、あたしが許さない」

熱いヤツだったんだなぁ。

 そんな今回のお話は…
 漆黒のグリーフシードと化したさやかのソウルジェム。そのグリーフシードは孵化し、新たな魔女が現れる。
 さやかの身体を抱え、迫りくる魔女の攻撃に防戦一方の杏子。魔女の結界に割って入ってきたほむらは、杏子を先導し結界から脱出する。
 一方まどかは、さやかの捜索途中、重い足取りで歩く杏子とほむらの姿を見つける。変わり果てた姿となったさやかの前で泣き崩れるまどかに、ほむらは冷淡な口調でソウルジェムの最後の秘密を語り、その場を立ち去る。
 その日の深夜、杏子の元に現れたのはキュゥべえ。
 キュゥべえとさやかの身体を元に戻すことについて話す杏子は、その会話の中で一縷の可能性を見出す。
 翌朝、杏子は仁美と登校途中のまどかをテレパシーで呼び出し、驚きの提案をするのだった。
 以上公式のあらすじ。

 話としては、魔女となってしまったさやかをなんとかしようとする杏子とまどか、という話。今までとはちょっと違った印象の話で結構熱い展開。だが、救われない結末なのは相変わらずだ。
 展開は魔女になってしまったさやかに、親友であるまどかが呼びかければ人間だった頃の記憶が蘇るかもしれない、そこから助ける何かが見つかるかもしれないという希望的観測を実行することに終始しており、結果、全体として悪い方向へまた一歩進んでしまい、ラストの大舞台を整えるフラグとなっている。
 最終的には、杏子が自己犠牲して魔女=さやかと共に自爆するのだが、基本的に今回は杏子が本当はどんなヤツだったのかを見せる話のように思う。
 過去の経緯から自らの為だけに力をふるう、そんな人間のように見せてきたが、これまでちょいちょいあったように、本来は過去の家族の件を見ても、またその話をさやかにした前回の件も、そして今回さやかを助けようとする彼女が語ったように、魔法の力で誰かを助けることを望んでいたのだった。
 事ここに至り、自分のその気持ちを思い出した杏子が、まどかを連れて魔女となったさやかと対峙する。まどかの呼びかけに応えず攻撃を加えてくる魔女から身を呈して守る杏子。何となくらしくないように見えつつも、さやかが思っていたように、自分もその力でさやかを救いたいんだという気持ちが、視聴している側もこれまでの経緯を見ている分その気持ちに同調する。
 しかしこの物語は、劇中杏子が語ったように女児向けアニメのような敵を倒せば都合良く助け出せるようになってはくれない。
 気配を察知してやってきたほむらにまどかを託し、杏子はさやかを一人にはしないとし、自らソウルジェムを壊し魔女と共に自爆する。誰も救われない、そんな今回のオチであった。

 基本的にこの物語は、よくある変身ヒロインにありがちな展開が起こらない。劇中杏子が言っていたみたいな魔女を倒せば中からポロッとさやかのソウルジェムが出てくる事なんてないし、まどかの呼びかけに応えるような事もない。  そういう事から見ても、いわゆる一般的な魔法少女ものに対するアンチテーゼなのかもしれません。そーんな都合のいい事ばっかり起きないよ、みたいな。
 まぁ確かに、例えば誰かが魔物かなんか悪いものに取り込まれてしまったとして、その悪いものをやっつけると中からその誰かが出てきてよかったよかった、なんて事は常識的に考えて、あまりそうなる理由はない。けど、なんとなくそうなるんだろうなぁという頭は見ている側としてあるわけで。
 それは、見ている者がこれがフィクションと認識していて、そうなってほしいをいう希望があるからなんだけど、見ていて都合が良いなぁと思うことがあるのも事実。
 魔法少女というものがあったとして、こーんな都合良くいかないよね、普通こーゆーふうになるよね。と言っているようにこれまで見てきて思う。まぁつまり、現実に照らし合わせてみるとこんな感じではないだろうか、というのをやっているのがこの物語なのかもしれない。
 ものすごいパワーを発揮し、建物がぶっ壊れるような敵の攻撃を受けても大したダメージのない変身ヒロイン、その答えのひとつがソウルジェムのシステムなんだろう。変身ヒロインに付き物の小動物も、それが無条件で善なるもの、とは限らない。なにせ14歳くらいの少女に命を落とすかもしれないような事をさせているのだから。それがこの物語で言うキュゥべぇだ。あの手この手で少女を魔法少女にして、実際の目的は魔女の生産である。誰かの為に命がけで闘っても、その世の中には悪い人間もいる。その葛藤とジレンマがさやかの事だろう。
 魔法少女ってのは、そんなきらびやかなことばっかりでは成り立たないよね。というのがこの物語のテーゼなのかもしれませんな。

 さて、物語としては大詰めを迎えそうな雰囲気で、魔法少女一人では太刀打ちできない魔女が出現するワルプルギスの夜を前に、杏子が脱落したためほむら一人で立ち向かわなくてはならない。しかしそれはキュゥべぇの思惑通りで、街を魔女から救うにはまどかを魔法少女にするしかないという。
 もしかして、それが第1話でのまどかの夢かしらと思うのだけど、これまでの流れからいって、まどかは魔法少女になってはいけないよなぁ。しかしまどかの性格からいって、あの夢のような状況で彼女が魔法少女にならない事を選択するとも思えない。
 あとほむらとの関係も明らかになっていない事もあるし、物語がこれからどういう方向へ向かっていくのか楽しみです。
 しかし今回の感想は今ひとつなに言っているのかよく分からんなぁ(苦笑)。


第10話 「もう誰にも頼らない」

エピソード0的な話。
 そんな今回のお話は…
 それはとある少女の転校風景。
 必要以上に緊張し、萎縮する気弱そうな少女は、クラスの全生徒の視線を一身に浴びながら、慣れない自己紹介をする。  休み時間、押しかけて興味津々に質問をしてくる女子たちに、気圧されておどおどしている彼女を、その場から連れだしてくれたのは、クラスの保健委員を名乗る少女。
 優しい笑顔を向ける彼女は、自分を名前負けだと感じる少女に対し、カッコいい名前だと言う。
 長らくの入院生活により、学力も体力も他の生徒に劣る彼女は、劣等感に肩を落として帰宅する途中、ふとしたことで魔女の結界に迷いこんでしまう。
 彼女の絶対絶命のピンチに現れたのは、二人の魔法少女だった。
 以上公式のあらすじ。

 一月半ぶりの放送(震災の影響)がエピソード0なもんだから軽く戸惑ってしまいましたが、ほむらがまどかに固執する理由を描いており、おもしろい内容であった。ちなみに3話連続放送だったので、一気に感想を書いてしまおうかとも思ったが、せっかくなんで一話ずつ書いていくことにする。
 さて、ほむらが違う時間軸の存在という事はこれまで語られてきたことであったが、具体的にどういうことか、そして現在進行形の時間で起こっていることはどういうことなのかを最後に向けて説明している。
 個人的にただ単にひとつ前の未来から遡ってきたのだと思っていたのだがそうではなく、あらすじになるように、今とは違っておどおどしていて頼りないほむらが、唯一できた友達まどかが魔法少女だと知り、彼女を助けるため時間を遡るが何度やっても助けられず、何度もまどかの死に直面し段々とほむらの変わっていく様子と、今度こそ助けるという不退転の意思でワルプルギスの夜に臨むほむらを見せている。
 お話としては、ほむらが連綿とたどってきた過去を見せていく内容で、ほむらが時間を遡り未来を変えようと様々なことを試みるも、どうしてもまどかを助けることが出来ず、どこかにまどかが助かる未来があるはずと信じて同じことを繰り返すほむらは見ていてつらい。その分、この現在進行形の時間では、ほむらの思っているようにはならないとは思うが「きっと」と見ていて思ってしまうな。
 そしておそらくひとつ前の過去のワルプルギスの夜は第1話のアバンで、魔法少女として大きな力を持つまどかが契約し、強大な魔女を一撃で倒すもその分、より強く強大な魔女になってしまう。ほむらはまた時間を遡り、そして現在進行形の時間と物語的にリンクする。

 お話以外のところでは、この今回のお話の中での物語構成がおもしろく、ほむらが魔法少女になる以前から第1話へ至る過程なのだが、彼女が時間を遡ってすることを全てやっていては尺が足りないわけで、当然その時間時間で抜粋していくわけだが、その見せていく過去でその前とは違った物語が展開されているというのが良いな。
 まぁ、ほむらがまどかが死なないように変えようとしているんだから当たり前のようですが、ほむらが何かしないと変わらないわけですよ。変わった分だけほむらがあがいた結果なわけで、何回か繰り返してきて「今度はこうしよう」「今度はああしよう」とほむらが時間の迷宮でまどかの死の阻止のため、少しずつ少しずつ修正して、それでも救えず今に至る。ほむらが何をどうしたかが見えなくても、結末を変えようと必死に何かしてきたであろうことが分かるのだ。
 そして今回最初に流れなかったOPが最後に流れ、こうやって第1話に繋がりこの時間の物語が始まったのね、こういうことだったのねと、パズルのピースが上手くハマったような気持ちよさがある。
 それと同時に、ほむらの「今度こそ」という気持ちと共に、今回彼女の道程を見てきた者としても、今度はどうにかなるだろうと思うし、どうなるんだろうと思わせてくれる物語構成の上手さがある。

 これからとそれ以前を知り、物語が最終的にどう結末を迎えるのか。まぁ三話連続放送だったんで知っているんですが(笑)、この物語のシリーズ構成は非常に良く出来ているし、考えられているなぁと思う。
 なんか取って付けたような引きばっかりするアニメも多い昨今、連続した話の流れで「この後どうなるのかなぁ」と思わせないとダメだよなぁ。
 そういう点でもこのアニメはとても良く出来ていると思います。


第11話 「最後に残った道しるべ」

もうあとはまどかがどうするかというだけだな。

 そんな今回のお話は…
 雨の中、しめやかに行われたさやかの葬儀。
 うつろな目をして家に戻ったまどかは、玄関で出迎えた詢子への挨拶もそこらに自分の部屋に入ってしまう。
 一人悲しみに暮れるまどかの元に現れたのはキュゥべえ。さやか達の死について冷たい口調で語るその姿に、さすがのまどかも怒りを感じる。
 そんなまどかの態度が理解できないキュゥべえは、自分たちと人類がこれまで共に歩んできた歴史を語るのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、魔法処女における人類とインキュベーターの歴史とまどかの魔法少女としての潜在能力の高さの秘密、そしてほむらとまどか、それぞれの決意。といった感じで、全てを説明し終え、冒頭書いたように次回の最終回はまどかがどうするかを見届けるだけだ。
 有史以前より人類に干渉してきたインキュベーター。彼らがいなかったら今の人類の文明はなく、彼らの存在をなくすという選択肢は消され、ほむらとしても自分が時間を遡る事でまどかに因果が集中し、結果、まどかが最強の魔女になってしまうこととなってしまうため後戻りできなくなってしまう。そういった中でワルプルギスの夜を迎え、ほむらは不退転の覚悟で魔女に挑む。
 そして一人戦うほむらを避難先で想うまどかはついにある決意をする。その決意とは……といった話の流れ。
 八方ふさがりの状況で、最後はどうやって締めるのかが気になるのもさることながら、今回はそういう閉塞感の中でまどかが決意に至るまでと、魔法少女とは関係のないまどかを取り巻く人々を描き、ただインキュベーターやワルプルギスの夜をどうするのかに終始しない作りが見事だ。
 一見インキュベーターやらワルプルギスの夜は魔法少女以外は一切関係無いように思えるが、実際の所はそういう人達あってこその世界のルールとなっているので、無視して語る事は出来ない。
 途中で差し込まれるまどかの担任と母親の会話は、当然の如く我々が気にする所とはかけ離れていて、話の流れとしては浮いているんだけど、世界の全てがインキュベーターや魔女で動いているわけではないので、ここは重要なポイントなのである。それを踏まえて避難所でのまどかと母の会話を見ると、世界の全てをひっくるめてのまどかの決意が見えてくる。
 避難所柄でようとするまどかを止める母に、まどかは、嘘はつかない、悪い事はしない素直でいい娘に育ったと言ってくれたあなたは、今でも私を正しいと思ってくれるかと問う。
 これを聞いて母は一瞬それでも止めようとするが行かせてしまう。引き止めてしまえば娘をそう思っていた事がウソになる。担任との会話で言っていたように本音は見抜けなくても嘘はついていないと思っている自分を否定する事になってしまう。もう止められないのだ。
 「絶対ヘタ打ったりしないな?誰かのウソに躍らされているんじゃないな?」母は最終確認し娘を送り出す。最愛の母の後押しを受け、まどかは自信を持って決戦に臨む事となる。
 全てを知り、元の世界を壊さず、大切な人達を救う。まどかだから出来るまどかにしか出来ない事を成しにいく。そんな彼女に悲壮感は欠片もない。
 彼女は一体どうしようというのか、という所で引っぱった。次回最終回は彼女がどうしてどうなりどうなったかを描く。

 さて、そんな今回はちょっと気になるところがあった。
 魔女と対決するほむらでの事なのだが、魔女の飛ばしたビルを時間呈しで避けようとするも力が働かず喰らってしまうというシーン。なんで力が働かなかったんでしょうかね?
 ここから考えるに、ほむらが時間を遡ってまどかの死を避けるというのは出来ないんじゃないのかなぁ。あるいはもっと早くほむらが力を身につけていれば変えられるのかもしれないが、この時点で交錯したまどかの因果では、ほむらの力ではもはや変えられない未来となってしまったんじゃなかろうかね。
 んじゃ、ほむらのしてきたことは無駄だったのかと言うと、それは最終回のお楽しみだったりするわけです(笑)。
 ちなみにこの後のシーンが個人的に気に入っていて、魔女に勝てなくて時間を巻き戻そうとする彼女が、またまどかの因果を増やすことを思い出して、自分のしてきたことが無駄だったと絶望しかけるのだが、勝てない自分、力を使ってもまどかの因果を増やしてしまう結果になってしまう事、なによりまどかを守る事が出来ない自分にどうしようもない悔しさを滲ませるのが良いのだ。
 前回ほむらが唯一無二の友人まどかを救いたいと、何度も何度もやり直してきて、今回初めてまどかに吐露した自分の気持ち、何度も繰り返すうちにずれていく気持ち、伝わらない言葉、それでもきっと救えるはずだと信じてやってきたが、最後の切り札である時間遡行もまどかを思えば使えなくなり、ついに心が折れて自分の無力さに嘆き、抗えない運命を呪う彼女を見て、それでも感情移入しない人がいるのなら、その人には人非人という言葉を贈りたい。
 まぁとにかく、ほむらのしてきたことを見てきて、彼女の悔しさが分かろうというもので、見ていてほむらのように「悔しい!」と思ってしまうのだから、まぁ見事な出来と言う他ない。

 というわけで、残すは最終回のみとなりました。先知っていると書きにくいなぁ。地震さえなければなぁ……。


第12話「わたしの、最高のともだち」

随分と壮大だなぁ。

 そんな今回のお話は…
 一人ワルプルギスの夜に挑み、深手を負ったほむら。
 何度挑戦しても勝てないくやしさ、自分の行為がかえってまどかを苦しめることになっていたことへの絶望で、自らのソウルジェムを黒く染め上げていく。
 そんなほむらの前に現れた少女、鹿目まどか。まどかは、決意のまなざしでワルプルギスの夜を見据え、ほむらに言い放つ。
 「叶えたい願い事をみつけたの」
 魔法少女となる者の運命を全て知った彼女は、果たして何を願い、どんな決断を下すのか?
 以上公式のあらすじ。

 お話はまどかがどうしてどうなったかを描いている。まぁ簡単に言ってしまえば、まどかはその力を逆に利用して、既存のルールに則ってそのルールを破壊した。
 何がどうなったかはももはやここで語ることでも無いので敢えて語らないが、お話としては、これまで愛と勇気と希望だけで何とかなるほど世の中甘くないよ的な、既存の変身スーパーヒロインもののアンチテーゼかと思わせておいて、最後にまさかの大肯定だとは思わなんだ。
 まどかが希望そのものになって魔法少女の呪いを全て受け止める。まどかはそれまでのルールを壊して新しく作り替え、彼女は宇宙を構成する一部となってしまったんだねぇ。つまり宇宙を形成するルールのひとつになってしまったわけだ。  お話はその後、まどかが変えた世界はどうなのかを見せていく。
 神如き存在、いやまどかという希望によって魔法少女は魔女にならなくなった。しかし世界中の人々の不安や絶望を消し去ったわけではない。切望や不安、呪いは魔獣と形を変え、魔法少女はそれと戦っていく。
 その中で、宇宙が変わる直前にまどかから与えられたリボンによって、記憶を持ち越しているほむらだけは、彼女の存在と声を認識することが出来る。それは神如き存在となったまどかが最高の友達に与えたギフトなのかもしれない。
 まどかによってルールは変わり魔女は生まれなくなった。しかし世界は変わらない。まどかはルールを変えただけなのだから。これまでと同じように人は妬み、恨み、絶望し呪う。そんな世界でもほむらは彼女が守ろうとした世界のため魔獣と戦い続ける。まどかという希望が存在する限り。

 と、お話の流れとしてはそんな感じで、まどかによって魔法少女が絶望の権化になることは無くなり、「希望はなくならない!絶対、絶対に!」的なプリキュアみたいなお話のようであった。……のだけど、本当にそうなんですかね?この物語は。スタッフクレジット後のCパートを見ると、ちょっとそんな感じがしないんですよね。
 たくさんの魔獣を前に翼を展開するほむら。するとまどかの声が聞こえる「がんばって」と。ほむらは小さく頷き魔獣たちに突っ込んで行く。という内容なんだけど、ほむらの展開する翼は黒く禍々しくて、まるで前回までの魔女の世界が形になったようだ。
 そんな翼を広げるとまどかの声が聞こえる。希望の声だ。ほむらは希望を胸に戦いへと身をを投じる。おそらくその身が朽ちるまで、永遠に。
 私みたいなネガティブ野郎は、まどかは希望と言う名の呪いになってしまったんじゃないかと思ってしまう。なくならない希望のため魔法少女は永遠の闘争へと明け暮れることとなるからだ。最終的に絶望し魔女となるのか希望を失わずに死ぬかの違いだろう。
 まぁどちらかと言えば後者の方が良いのだけど、それまでお話として「良かった良かった」で終わった感じではあったのだけど、このCパートで本当に「良かった」なのかなぁという気になってしまう。
 希望がある限り戦い続けるのは、呪いにかかって戦わざるを得ないのと大差ないのでは?と言いたいのかしら。「良かった良かった」で終わりたければ、Cパートは無くてもいいわけだし。
 しかし、物語としては安易に「良かった良かった」だけで終わらないのはおもしろく、良かったようなそうでもないような、なんかモニョモニョっとする感じではあるものの、この結構やりきれない物語の終わりとして、印象に残る終わり方だったんじゃないでしょうか。

 ともあれ、タイトルから魔法を使えるようになった少女が、魔法ひとつで悩みを解決し人々を助ける明るいハートウォーミングなストーリーと思わせておいて、まったく真逆の暗くディープな内容は、「変身ヒロインもの」に一石を投じる画期的な物語だったように思います。
 大好きで見ているプリキュアも、このアニメを見てよくよく考えれば、彼女たちもヘタ打てば死ぬかもしれないわけで、物語的にそんなことにはならないんだけど、もしプリキュアがやられて死んじゃったらどうなるんだろう?妖精たちはなんかしてくれるんだろうか?とか、妖精たちは勝手に現れて、変身しろだの戦えだの軽く言ってるよな、死ぬかもしれないのに等々、これまでそんなことを疑問に思う事無く見ていた変身ヒロイン達を、このようにちょっと違う見方するきっかけとなりましたよ。
 そういう意味では全く新しい観点から変身ヒロインというものを捉えて、固定観念的な既存の変身ヒロインものの壁をぶち破ったように感じます。
 謎の小動物と出会った少女が、変身ヒロインとして愛と勇気と希望をもって、人々を人知れず助け悪を挫く。けどそれだけじゃないよね。小動物がいいヤツとは限らないよね。超常の力を使って対価を支払わないわけないよね。と、避けて通ってきたところに敢えて突っ込んできた。そんな印象。
 個人的に蒼樹うめのキャラデザが気に入らないんだけど(何故か蒼樹うめが一発で変換しやがる)、物語は人を問わず興味深く見れる作品なんじゃないでしょうか。
 見てなかったという方は見てそんないものだと思うので是非一度ご覧あれ。


[indexへ] [かんそーへ]