夏色キセキ 1〜12話

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第1話「11回めのナツヤスミ」

何故これかと言うとだな。

 そんな今回のお話は…
 ナツヤスミ目前のある朝、テニス部の練習に向う夏海はイライラを募らせていた。ペアを組んでいる紗季が一週間も部活に顔を出していない為だ。
 そもそも全国大会を目指す為に朝練をしようと言い出したのは紗季なのに、何故練習に来ないのか。
 もう夏休みも目の前で、本格的に練習を始めたいところ。夏美は思い切って部活を休んでいる理由を聞く。すると紗季は部活を辞めると言い出して……。
 突然の宣言にわけがわからない夏美は紗季と絶交することに──。
 以上公式のあらすじ。

 色々興味深いアニメがあった2012春の新番組の中からこれをチョイスしたのは、この第1話が特別おもしろかったから、というわけではない。では何故かと言うと、むしろさしておもしろくなかったからである。正直ちょっとは期待していたのだが、その期待値の割りには特に何かしら自分の中であったわけでもなく、妙な違和感もあって乗り切れなかったのだ。
 なんだろうこの期待はずれ感は……とか思い、良く出来ていた「咲-阿知賀編」の感想を書こうと思っていたのですが、いやむしろこっちの方を書くべきなのではと思い至った次第だ。。咲は前作が人気を博し沢山の人が見るだろうからな。まぁぶっちゃけ、こっちの方がきっとマイノリティなのだろうから、記録を残すという点でこっちの方が重要度が高い、という結論なのだ。

 まぁそれはともかくとして、この第1話ですが、一番メインとなる部分に差し掛かるまでの、中学生の女の子の仲良し四人組の内のひとり紗季が転校することになってしまい、仲良しであるがためにそれを言い出せなかったことから、一緒にテニス部をやっている夏海とケンカになってしまうという部分を見て、その転校してしまう親友がいるまでの間になにをするのかという青春群像劇なのかなーと思って見ていたのだが、その一番のメイン所に来て面食らってしまった。
 四人のうちのひとり凛の家に伝わる「お石様」に親友4人で願えば叶う、と言う伝承がこの物語のキーポイントであるとは思うのだが、まさかこの第1話でその「キセキ」が起きて「空を飛んでしまう」とは思わなかった。まぁある意味予想外ではあるのだが、それがすごく突飛に感じてしまったんですよねー。もっと簡潔にいえば「ないな」と思ってしまったという事なのである。
 常々ここで言っていることですが、フィクションは嘘っぱちの話なので、ウソがあるのはいーのですが、ウソをウソと思わせてはいけないし、ウソだと思わせても納得させなければいけない。
 直前で、夏海と紗季が結構な言い争いをしている最中、凛が空を見上げ「空が蒼いなぁ。飛んでみたいなぁ」などと言うのもかなり突飛で、この凛と言うキャラクターがけっこう天然であることはわかるのだけど、状況として中学二年生としては結構な修羅場である。正直なところ、そんな修羅場に「うわ、ウゼェ。もーどーでもいーや」とか思ってそんなことを言ったのかと思ってしまった。
 また、そんな凛の台詞に全員がそんなことを想い、奇跡の発動条件(?)である「親友4人が同じ願い」を達成してしまい空を飛んでしまうのだから「まてまてぇ〜い!」と思わざるを得ない。いやだって普通さ、あの修羅場っている状況でそんなこと言われて「ホントだぁ空蒼いなぁ飛びたいなぁ」などと思うわけがないじゃないですか。むしろ、こんな時になにボケかましとんじゃゴルァ、とか言われる方が自然なような気がします。

 個人的にはその「お石様の奇跡」は「あるような、ないような」という受け取る人によってどっちともとれるようなモノであった方が良いような気がしますけどねぇ。まぁこれから物語がどうなっていくかは知らないけれど、「奇跡」は最後まで起こらないか、満を持して最後に起こるか、先述したように起きたかもしれないし起こらなかったのかもしれない、の方を、自分だったら考えてしまいますけどね。
 私としては、今回起こってしまった奇跡の前までの方がむしろ興味深く見て、親の都合で転校という子供には覆せない状況に、少女たちがなんやかんやしながら変わらない友情だとか、転機を経てそれぞれ少しずつ違った道を行くこととなり、次第に折り合いを付けて少し大人になっていく様子とかを見たかったですな。

 まぁ上記しましたけど、これからこの物語がどうなっていくかはわかりませんが、最初はこんなだったけど尻上がりに良くなっていったぜ!となるようになってくれることを一応期待しておく。

第2話「ココロかさねて」

うあーもうちょっとがんばればいいのに。

 そんな今回のお話は…
 夏休みが始まっても夏海と紗季は喧嘩を続けていた。窓から互いの姿を見てはイヤミを言い合ってしまい、本当は仲直りしたいのに出来ないというもどかしさが2人を包む。
 なんとかして夏海と紗季を仲直りさせようと、優香と凛子は作戦を練る。
 しかしその作戦は思いもよらない方向に転がってしまい、2人は夏海と先がら責められることに。
 以上公式のあらすじ。

 お話やAパートは良かったのだがBパートがなぁ。やっぱりちょっと残念なのであった。
 お石様のところで夏海と紗季がひとつになったら最強だと優香と凛子が思ったら、家に居た夏海と紗季の身体かくっついてしまい、その原因が優香であろうと思い当たった夏海と紗季は……という話なのだが、その辺の起承の部分はフツーに見れたし、ケンカ状態のふたりが不意の力でくっついてしまうのをどうするかの興味を惹いた。
 まぁくっついて一緒に行動することでわだかまりが解けて……という展開は想像出来るものの、くっついている不自由さを、本来の仲の良さから克服していってというのは、そこまでにケンカ状態のふたりを見せている分、なんだかんだで気持ちの合わさっていくふたりを見ているのは気持ちよくはある。しかし問題はBパートなのである。
 変な状態になってしまって怒り心頭の夏海と紗季を見て、思い当たることのある優香と凛子が逃げ、それを追いかけるシーンが続いていくわけだが、延々と4人が走り続けるのは別にいい。ここは頭が真っ白になるまで走り、夏海と紗季がケンカしていることが頭から離れていく為に、とにかく走り仲直りを邪魔する頭の中にあるアレやコレやをそぎ落とさなければならないからな。
 そうして目的が同じになり余分な思いがなくなって「仲直りしたい」だけが残り、それに至るわけだから、延々と走り続けることは重要ではある。
 で、なにが問題なのかと言うと、見せ方が悪いのだ。
 横からもしくは正面からのカメラで、四人がフレームインして去っていく、の繰り返しなのはどうか。見ていてただ4人がトテトテと走っているだけにしか見えない。いや実際そうなんだけども(笑)。何が言いたいかと言うと、ただ女子中学生が走っているのを眺めているだけではなーんも楽しくないという事なのだ。
 このBパートの長い走りは、上記したように、最初は難儀しながら走っていた夏海と紗季が、目的が一緒になり走っていくことで余分なことを考えられなくなって、本来の息のあったふたりに戻っていき、くっついてしまっている状態でありながら素晴らしい走りを見せるようになる、優香と凛子が望んだ通り「最強のふたり」になるってのがポイントなのである。それをただ画面を横切っていくだけの見せ方でいいのか?という話なのだ。
 優香たちを捕まえるというとりあえずの目的に、ケンカしていた二人の気持ちがすり合わさっていき、足下から力がこもってグンッとスピードが上がるような脈動感とか、車止めをハードルのように飛び越えていくふたりも、画面の奥からアップになっていき、踏み込みの瞬間からはカメラを飛び越えるカットで跳躍するダイナミックさとかを見せて、優香と凛子が言ったように夏海と紗季の本来持っているふたりの力が大きなひとつの力にになっていく様であったり、テニス部でダブルスを組んでいるふたりなのだから、このふたりで共同作業する楽しさを再発見する様子とかを強調すればいいのに。
 そういうことを踏まえれば、やっぱり相方が一番だ、仲直りしたいんだ、というふたりの気持ちがより伝わるような気がします。
 ここまで文句書いてきたついでに言うと、最終地点での海に落ちる際も、今ひとつどういうことで落ちたのかよく分からない。まぁ直前にお石様の力が解け勢い余って、という事なんだろうけど、見ていてどうもそんな気がしないのだ。
 どうせだったら、ふたりの手が優香を捕まえる直前に、疲れ果てた優香が崩れ落ちて掴み損なったふたりが前につんのめって、おっとっと〜で結局落ちるとかの方が画面的におもしろかったような気がします。
 見せ方工夫すればもっとおもしろかったろうになーと思うと残念であった。

 個人的には上記したようにAパートが良かった。なにがってホラ、私が綺麗に百合色に染まった脳をもつ者とくらぁ夏海と紗季がくっついてしまうところ以外ないでしょうよ。  女子中学生がくんずほぐれつってだけでもアレですが、ケンカ状態のふたりってのがまたいいんですよ。ホントは今は近くに寄りたくないのに、くっついてしまってどうしようみたいなモヤモヤ感。この微妙さが良いのよねー。解していただけるだろうか、言わんとしていることが(笑)。
 もうちょっとふたりでいろんなことを試してみたりだとか、アレコレ難儀する様子だとか見たかったですけどねー。
 ああ、そういえば、お石様の奇跡の発動条件は別に4人じゃなくてもいいみたいですな。いやむしろ起動に4人が必要なだけで、その4人の中の複数人なら2回め以降はOKという事なのかもしれんが。
 この辺の奇跡関係も、もうちょっと興味を惹くような何かがあっても良いような気がします。

 上記しましたけど、起承転結の「起承」部分であったAパートは特に何の不満もなかっただけに、やはりBパートが残念だったと言わざるを得ない。
 もうちょっと、もうちょっとがんばってほしい。


第3話「下田ではトキドキ少女は空を飛ぶ」

なんだろう、何か足りないよな。

 そんな今回のお話は…
 夏休みだというのに、夏海の弟の大樹は家出ゲームをしていた。いつもなら祐介という友達と外へ遊びに行くはずなのに、何かあったかと尋ねる夏海。
 大樹が言うには、祐介が嘘をついたから喧嘩のような状態になっているのだという。その嘘は夏海たちにも関わることで、責任を感じる4人。
 大樹と祐介を仲直りさせようともくろむが、一方、祐介は紗季のことを尾行していて───。
 以上公式のあらすじ。

 あらすじがけっこうあらすじッていないのはまぁ良いとして、お話の方はまぁまとまってはいたものの、もうちょっとなんかあっても良いような気がする。
 第1話で空を飛んだ様子を別の場所から目撃していた祐介だが、友達に言っても当然信じてもらえず夏海の弟大樹とケンカ状態になってしまう。それを仲直りさせようとするわけですが、正直見ていて、なんでメインキャストの4人が仲直りさせようとするのかがよく分からないのだ。
 上記引用したあらすじでは「責任を感じて」となっておりますが、どー考えても責任を感じるようなことではない。まぁ百歩譲って責任を感じたとして、前2回で仲直り云々の話をしていたし、引っ越してしまう紗季というのがあるから、4人がそういうことに敏感になっていたなら分からんでもない。が、それだったら紗季の引っ越しに対して4人が敏感に反応してしまったり、ちょっとぎこちなくなってしまったりする描写が欲しい。
 そもそも知られていない方が都合が良いわけだから、祐介が半ば無理矢理に勘違いしたんだと思ってしまうのは好都合のような気がするのは、私がよごれちまった大人だからなんですかねえ。
 どうせ仲直りの仲介とお石様の秘密を守るというのがあるのだったら、もうちょっとそこを中心にドタバタしても良かったように思います。所詮は中学生の浅知恵なので、色々やってはみるけれど頓挫する、みたいな。

 他、気になった部分としては、夏海と紗季がお返しに優香と凛子をくっつけてしまうのですが、これももうちょっと引っぱっても良かろうと思う。割と簡単にその件が終わってしまうのはどうか。優香と凛子のこのふたりはこのふたりで、何かしらあるところを見せたほうがいいんじゃないだろうか。
 それと細かいところですが、紗季が尾行する祐介をお店のガラスの反射で確認するシーン。まぁそこは別に良いのだけど、動くとすぐその反射でうつっている部分がすっと消えてしまうんですよね、まだそのガラスの前にいるというのに。反射で写っているところを描いたんなら最後までやれよー。ちょっとしたことだが、逆にそこに注意がいっちゃって無いと気持ち悪いだろが。
 ついでに言うと、ちょっと引いたカットだと人物の首が変に長いんですよね。すごくバランスが悪い。カット毎で顔の印象が違ったりで、なんかそういう細かい部分で配慮に欠けると言うか「あぁもうっ!」という気分になるのだ。

 文句ばっかりなのも何なので、良かった点としては、お石様の力でもう一回飛ぼうとして飛べなかったことだろう。
 この前に、優香と凛子をくっつけることを容易く成功させていたので、もう一度飛んでいるところを見せるという計画もすんなりいくと思わせておいてのどんでん返しとして良いし、奇跡のパワーでなんでも解決ではなく、子供達の身の丈にあった出来ることを示していて良かった。
 まぁツッコんでしまえば、4人で飛ぶのが一回やった願いなのでNGなら、3人で飛ぶという願いはOKのような気がしますけどねぇ(笑)。でもお石様の奇跡の発動条件はよく分からなくて、今のところ分かっているのは「ふたり以上の同じ願いでなければならない」「一度叶ったら二度目はダメ」「でも対象が違えばOK」ということだが、今ひとつ条件としては微妙であり、そのはっきりしないお石様の力、ひいては4人が都合良く使うことが出来ないという事を示す点でも良かった。

 と、このように、良い部分もあるにはあるので、全体的にもうちょっとがんばっていただければ、もう少しマシになるような気がするんですけどねぇ。
 なんて言うんですかね……ここが特に良い、ってところが見当たらないんですよね。全部中途半端、みたいな。


第4話「ユカまっしぐら」

毎回これくらいやっていただきたい。

 そんな今回のお話は…
 酒屋の息子の佐野貴史は、優香の幼馴染みで憧れの先輩だ。
 ある日優香は花木屋旅館に酒を届けにきた貴史から紗季について尋ねられる。其の様子を見て、優香は貴史が紗季に想いを寄せてているのだと悟る。
 ちょっとした失恋に、紗季みたいなりたいと吐露する優香で…。また、紗季は紗季で、優香の優香らしさを知る機会があり──。
 以上公式のあらすじ。

 正直に言うと見るまではあまり期待していなかった所為なのか、今回は随分と楽しく見れた。
 4人の中で一番子供っぽい優香の淡い恋心と失恋と心の成長を、思い通りにならないお石様の力と絡めて上手く描いていたと思います。
 上記引用したあらすじにはないので書いておくと、今回は優香の想い人「佐野貴史」は紗季のことが好きなのだと知ってしまった優香が、「紗季になりたい」と思わずつぶやいてしまったため、紗季と優香の人格が入れ替わってしまって……というのが今回のお話。
 基本的には優香の恋心を描いているんだけど、そういう彼女を見せつつ、人格の入れ替わりというドタバタも上手く盛り込んでいて、優香がメインのお話らしい楽しい脚本になっていることもさることながら、ちゃんと他3人が沈み込む事なく話に絡んでおり、ちゃんと「主演スフィア」を考えてあるのだから(メインキャストの4人は『スフィア』というユニットを結成している。知らない人の為に一応念のため)、まぁ特筆すべき展開があったわけではないが、脚本演出は上手いことやったと言えるだろう。
 お話としては、一番子供っぽい優香が紗季になって、憧れの貴史とデート出来ることで頭がいっぱいになってしまってはしゃいでしまうのだが、いい雰囲気になって下の名前で呼ぶ段になって、貴史のしていることが自分に向けられているのではないことをようやく悟り、自分の恋に実りがない事を理解する。
 てっきり優香のことだから、紗季の姿でも「優香と呼んで」とか言い出すんじゃないかと思っていたから、ちゃんと「紗季と呼んでください」と言ったのは意外であったが、そこでポロポロと涙を流し、上記したことを悟ったことを考えれば当然と言えば当然ではある。しかし、そこで自分の名前ではなく紗季の名前を出したのは、そこまでの想い人とのデートではしゃぐ子供っぽい優香ではなく、失恋を知って少し彼女が大人になったからである。
 このような、少女が少し大人になる瞬間を効果的に見せれたのは、そこまでに子供っぽい優香を見せてきたからで、劇中的にけっこうな美人なんだろう紗季になれたことや、想い人に想われるうれしさではしゃいでしまえばしまうほど、その瞬間に辿り着いた時の効果は覿面だ。
 と、このようにお話は見事に起承転結していて、ボトルショー的な話ではあるが上手くハマっていたように思います。これが出来るなら毎回やってくれよー。

 さて、上記したようにメイン所は十分に楽しんだのだが、個人的には優香の親友「凛子」が気になる。何故って?もちろんそれは私が綺麗に百合色に染まった脳を持つ身だからさ。
 そんな私には、どっからどー見ても凛子が百合っ娘にしか見えないわけで。というのも、優香と紗季の入れ替わりを、お石様に願っても戻そうにも戻せない時に、咄嗟に凛子が夏海の手を繋ぎ入れ替わってしまうのが最初は何故だか分からなかったのだけど、これは間違いなく「凛子は優香の側にいたかったから」意外の理由が思い当たらない。
 なぜならば、紗季の家は夏海の家の隣、入れ替わってしまった優香の近くに居るためには夏海と入れ替わる必要が凛子にはあった、という事に他ならない。
 紗季の家での優香との会話でも、優香の願いが私の願いだとし、優香の恋を応援するとしながらも、キス直前で間に入ってしまったし、起承転結の結の部分でも紗季の「優香は優香なんだから」に「私も優香が優香だから……」と頬を染めながら言う。凛子は優香のその姿とその中身が好きなのだ。
 それを踏まえて補足すれば、キス直前に間に入ったのは嫉妬ではなく、紗季の姿の優香がキスするのは優香の本意でない、つまり優香の願いではないので、優香の願いを自分の願いとする凛子としては我慢ならなかったんだろう。

 もひとつ気になった点はやはりお石様の奇跡の力だ。これまでから願いは複数人で願わなければならないと思われていたが、今回で個人の願いも叶うことが判明した。
 よく考えてみれば、最初の段階で4人でなければならないという縛りはなく、凛子が母から聞いた話は「親友同士」であった。ということは、前回だかに書いたが、お石様の力を発動させる起動方法として「親友同士の複数人」という条件が必要であったという事か。それ以降は起動させた時の人間ならばOKということなんだろう。
 願いの縛りとして今回判明したのは、前回だかもそうだったが、「願いの打ち消しは不可」がはっきりと判明した。同じ願い事も不可ではあったが、「対象が違えば良し」も今回はっきりした。そう考えると前回の「空を飛ぶ」は、やはり3人だったなら飛べたような気がしますな(笑)。
 しかし思うのだが、せっかくお石様の奇跡の力をある程度自由に使えるというのに、そういった条件云々とか調べようとしないよなー。もしかしたら回数制限があるかもしれないのに。
 夏休みなんだから、なんか知っているであろう凛子ママにお石様の歴史を自由研究として出すとか言って情報を聞き出せばいいのに。まぁその辺を思いつかない辺りが中学生ってことなんですかねー。
 どーでもいーけど、紗季はお石様の力のとばっちりを食う確立高いですよね(笑)。

 ともあれ、今回はこれまでと比べるととても良く出来ていたので、この調子で最後までいっていただきたいものだ。


第5話「夏風邪とクジラ」

ラストはどうかと思うが。

 そんな今回のお話は…
 CDショップからの帰り道、突然の雨に降られ、凛子は風邪をひいてしまう。
 凛子を見舞いに来た優香だったが、今度は優香が風邪をひいてしまい、数日の間寝込むことに。
 先に回復した凛子を入れて夏海たちは優香なしで遊びに出かけるが、いまいち盛り上がらず、やはり4人は4人でいるのが一番楽しいのだと気づく。
 そんなとき、夏海らは4人が仲良くなったきっかけについて思い出す。それは、4年前。凛子が言った、ある言葉からだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては凛子の百合をメインにしつつ、彼女の愛する優香を客観的に見つつ4人の友情辺りを見せる話。初見はなんてかったるい話かと思ったが、この感想を書くにあたって見直してみると、割とすんなり見れたのだから不思議。
 まぁそれはともかくとして、上記したようにかったるいと言えばかったるい話ではあって、特にここを見せたいのだろうと思うところもなく、途中に随分中学生日記みたいな事を言い出したり、オチがよく分からなかったりして、一本のお話としては面白味に欠けることは否めない。
 とは言え、全くおもしろくなかったかと言われるとそうでもなく、いつも子供っぽくはしゃいでいまっすぐゴー!みたいな優香を凛子目線で客観的に見せて、割とウザッたい感じではある優香の良いところを見せている。
 子供っぽく猪突猛進のように思える優香なのだが、意外と周囲を良く見ていて彼女なりに上手くバランスをとっているようで、それは4人の中で見事にハマっている。それを表すイベントとして、凛子の風邪をもらった優香抜きで遊んでもあまり盛り上がらなかったこと示し、全く似たところのない4人を、これまで一番引っ掻き回してきた優香が実は上手く繋いでいるのだ。
 しかし当の本人はそういう自覚はないらしく、きっとそれは彼女の純真さ故なのだろう。なにかきっかけさえあればすぐに仲良くなってしまえる子供のように、その純真さ故にトラブルメーカーでありながらも他の三人から愛されているのだ。

 凛子メインの話でありながら、なんで優香をこんなに今回で推しているのかは、もちろん凛子が優香を想っているからで、これまでただのウザイキャラにしか見えなかったからではない(笑)。まぁつまり、ウザキャラ優香(失礼)になんで凛子は惚れているかの説得力、凛子は優香のこういうところが好きなんだなーと思わせる仕掛けである。
 仕掛けはともかく、そういう点ではなかなか良く出来ていて、割とヌボーッとしている凛子としては、行動力で周囲をとりまいて、それでいて一番周りを見ている優香をある種憧れのように見ているのだろう。
 個人的には、劇中アイドルグループ「フォーシーズン」のミハル(漢字が分からん)を凛子が評するシーンがいい。というのも、凛子はそのミハルと優香を重ねているのだが、凛子としてはミハルに似た優香ではなく、優香に似ているからミハルがフォーシーズンの中で好きなのだと言うのだけど、当の優香は照れはすれども凛子の本意に気が付きはしないのだ。
 さらに言えば、小さい頃のフォーシーズンの真似事で、凛子は好きなミハルではなく立ち位置的にミハルを見るチナツ(漢字不明)を選ぶ。凛子の望みは優香やミハルのようになりたいのではなく、そんな憧れの彼女をずっと側で見ていたいのだ。
 そんな凛子が優香に自分の想いに気付いてもらいたいのかどうかはよく分からず、上記の通りミハルを優香のようだと言ったり、ミハルをいつも見ているからチナツ選んだと言ったりするが、子供っぽい優香にそれでは本意が伝わらないことはきっと凛子も重々承知のはずである。いやもしかしたら、気付かないと分かっているからこそ、そういうことをいったのかもしれない。そういう微妙の距離感が、綺麗に百合色に染まった脳をもつ身としましてはけっこうたまらない。優香も思い当たる節がない事もないくらいには思っているようだが、この恋の行方はこの物語でなんとかなるんですかねぇ。百合脳としてはその辺大いに気になるところではあるんですが。
 そういえば、どうも紗季は凛子の想いに気付いているようで気を効かせたりするんですが、夏海が気付かないのはまぁそういうことに鈍そうなのでいいとしても、案外近くで見ていたらバレバレだったりするんですかねー。

 さて、ここまで割と褒めてきたので、気になったところなんですが、まず全体的に結構間が悪い。おそらくかったるく感じたのはこの間の悪さからであろう。細かく描写する部分とそうでない部分のメリハリが欲しく、ちょっと中途半端感がある。
 一番気になったのはサブタイにもなっているクジラだ。凛子は熱があるとクジラが見てしまう。まぁいわゆる幻覚なのだけど、この設定いるのかなぁ。
 4人が仲良くなるきっかけではあるのだが、ちょっと突飛であまりピンと来ないのだ。子供がいつの間にか仲良くなるのは当たり前のことなので、もっと時間が経ったら忘れてしまうような些細なことのほうが自然であったように思う。
 今回のラストも、凛子の言っているクジラがいつか見れるといいなぁから、4人でクジラを見るに繋がるのだけど、これは見れる理由がないんですよね。階段から落ちて頭打って……だとおかしな感じだし、いつものお石様の力は今回発動させなかったし、そもそもを言えば、凛子はその時点で完治しているのでクジラが見えないはずである。
 見える見えないはともかく、物語は入り込んで見てなんぼだと思っているので、こういう細かいところが気になってしまうと入り込んで見れず、しかもこれはラストシーンなので疑問だけが残ってしまう。
 もうちょっと細かいところに気を配ってくれると、もっと良くなると思うんだけどなぁ。


第6話「夏海のダブルス」

もうちょっとなんかあってほしい。

 そんな今回のお話は…
 紗季とのペアでの最後の試合が決まり、夏海はテニスの練習に気合いが入っていた。
 一方で、母親が仕事で出張のため、夏海は弟の大樹と2人で留守番することとなり、大樹の食事も夏海が用意することに。部活に家事に大忙しの夏海は、宿題を一緒のしようと言う優香の呼びかけにも応じられない。
 そんな夏海が倒れてしまわないか心配した、紗季、優香、凛子の3人は御石様のところに集まって、夏海のためにお祈りする。
 以上公式のあらすじ。

 上記あらすじだと、紗季たちがものすごく夏海の身を案じて……みたいに読めますが、実際はもっと軽いノリで、今回の奇跡は夏海がふたりになってしまうという、サブタイのダブルスにかけたものである。
 ちょっと御石様の奇跡のパワーすご過ぎじゃね?と思わんでもないが、忙しい夏海のことを知った優香が、見事にそのトラブルメーカーっぷりを発揮して、そんなある意味くだらない願いをしてしまう辺りのおもしろさはある。
 とは言っても、そのおもしろさは夏海がふたりになってしまい、自分自身に困惑する姿であったり、そんな様子のふたりの夏海を見て「プッ」と思わず笑ってしまう紗季であったりの序盤までで、順応してしまってからはいつも通りの中学生日記であった。
 お話としてはかなりストレートな展開で、こうなるんだろうなぁと思った通りに話が進み、特に状況が一転二転するわけでもなく、そういう意味では面白味に欠ける。
 なにかふたりになってしまった夏海というところで、「ここを見せたい!」という部分も感じられないし、家事に部活に勉強にとがんばっている夏海を応援したくなるわけでもないし、中学生らしくすごく青春しているかというとそうでもなかったりで、そのまま、まったり終わってしまったような印象ではある。
 まぁ一応としては、夏海の性格的な部分を見せたかったのであろうとは思いはするけども、私としては特にそこが強調されていたふうには見えなかったのは残念だ。
 どうせなら、意外と猪突猛進型で真面目な夏海は、目の前のことになんでもかんでも一生懸命で、特に紗季と最後の試合となる今度の練習試合には絶対に勝ちたいと思っているのだから、特に忙しそうな様子であったり、本人の自覚はないけれども中学生としては大変そうである様子、それから紗季との最後の試合に懸ける想いをもっと見せたら良いのに。
 物語は感情移入して見てなんぼだと思っているので、今回のメインである夏海にがんばってほしいとか、忙しくて気付かず無理してしまい倒れてしまいそうで心配になってしまったりするような入り込める隙を見せたら良いと思うし、今回割りと傍観者的立場であった優香と凛子を視聴者と同じ気持ちにさせ同調役にして、彼女らの友情とかを感じさせても良かったように思う。
 これまでも同様ではあるが、お話にもうちょっと何かしらポイントと言うか山場みたいなのがあっても良いだろう。まぁ要するに「なんか足りない」のだ。
 むしろ今回は、ふたりになってしまった夏海でのドタバタ劇であった方が、案外おもしろかったんじゃないかというような気がしてくる。

 個人的なところでは、上記したように優香がらしいキャラクターを発揮した点が良かったが、それ以外としては、紗季が転校するという事が劇中ちょいちょいと出てきたことだろうか。
 まぁ毎回紗季がいずれいなくなることは必ず出てはくるんだけど、今回は紗季の最後の試合という事もあって、これまでよりかは多くそのことに触れている。
 もうちょっと前であったなら、そのことに敏感に夏海が反応してほしいところだけど、今回くらいの時間が経てば、ある程度の割り切りが出来てくると思うので、そんなに動揺したそぶりを見せないのも頷ける。だからこそなのだが、紗季に感づかれないように、夏海はこの試合に勝ちたいんだと思う気持ちを見たかったところだ。
 どうも今回の夏海が、そういうことよりも、単に試合に勝ちたい、テニスをもっと上手くなりたいの方に気持ちがいっているように見えてしまった。きっと、紗季に対する想いがあるからこそ勝ちたいと思っている夏海ではあって、試合中にコート外の夏海が「そうじゃない、そうじゃない!」と歯痒い思いをするのはその想いがあるからこそなのだけど、そこまでに紗季への想いが見られないので、その歯痒い想いが「テニスで思うように動けない自分に対して」の様に見えてしまう。そういった観点から見ても、やはり「なにか足りない」のであった。

 最後にちょっと思ったことなのだが、最終的にふたりの夏海は融合してひとり消えたわけだが、この部分は上手く作ったなと思った。
 というのも、二人に分かれてすぐ紗季が来て「で、どっちがコピー?」と聞いて、ふたりの夏海が自分こそ本体だと言い合いになる。つまり「どちらかは分化した夏海」だとしている。
 では最後に消えた夏海がコピーだったのか、というとそれは違うだろう。どっちの夏海も夏海であることに違いないので、本当はどちらかがコピーという話ではなかったのだ。ひとり消えたのはただ単にひとりに戻った、というだけ。
 最初に「コピーだ」と前フッておいて、ホントはそういうことじゃないんだよとする仕掛けは、ただ単に夏海がコピーされたという話ではなくなった分よく考えられている。ような気がします(笑)。


第7話「雨にオネガイ」

凛子ママも百合なのか!?なるほど遺伝かぁ。良い哉良い哉。
あ、お話的にはちょっとかったるいかな。(忘れていたかのよーに)

 そんな今回のお話は…
 太鼓祭りの当日。のど自慢大会に出場する4人はダンスの練習中。
 ミスばかりする優香に、ちゃんと練習してきたのかと起こる夏海。さらに、チェックだと言ってDVDを見始める優香に夏海はカンカン。
 しかも優香は、御石様にオネガイして優勝させてもらおうと言い出して…。
 そんなズルをしても意味がない、と、ついに夏海の怒りは頂点に達し、2人はケンカ状態に。
 これでは練習にならないと、夏海と紗季、優香と凛子の2手に分かれ、4人は一旦解散することに。のど自慢大会には出られるのか…?
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、夏祭りののど自慢大会に出場することにした4人は……という話なんだけど、今ひとつ見所が分からない。
 努力とかに無縁な優香と真面目な夏海の対立や、トラブルメーカー優香の衣装忘れ、突然の雨など色々ありはしたけれど、盛り上がり所がなく、どこを見せたかったのかが薄ぼんやりとしているのだ。
 そもそもけっこう大きなお祭りらしく、優香の実家の旅館も一年で一番の書き入れ時というくらい人がくるというのに、画面にお祭り感もないしなぁ。
 特に4人がそのお祭りと関連するわけでもなく、まぁのど自慢大会には出るのだけれど、割と蚊帳の外でお話は進み、ケンカ状態になってしまう優香と夏海というところで特別苦心することもなく、友情を確かめ合ってなどという事もない。正直、のど自慢大会で優勝するであろうことは十分予想の範疇なので、むしろそこは問題でなく、その前後でどうなるかが見せ所だと思うのだがなぁ。
 こののど自慢大会でズルをしたくないという思いがあり、その点に関して御石様の力を使いたくないと4人が思っているのは語られる。そういう中で、突然の雨に雨天中止を避けるために御石様の力を使うのか使わないのか、をポイントにしたかったのだろうと思うのだが、それが弱いよな。
 御石様の力を使わなかったという事は最後になって判明することから、上記ポイントは間違っていないのだけれど、雨の止め方が凛子ママから提案された時点で、てるてる坊主なんだろうなぁというのはすぐ思いつくことであるので、御石様でなくてるてる坊主だったというのはオチになっていない。
 もう一点。雨を止めることを御石様にオネガイする段になって、夏海が躊躇するシーンがあるのだが、これは説明不足なのではないだろうか。
 「のど自慢大会で優勝したい」と願うならともかく、「雨を止める」は劇中に凛子が言っていたようにズルではない。では何故凛子も夏海も御石様の力を使うことに躊躇していたか。
 紗季との最後の夏の思い出作りであるこのイベントで、雨を止めるとお願いしつつも心の中で優勝したいという気持ちがある限り、それも願いの一つとして叶えられてしまうのではないか?という疑念があったからではないだろうか。だから夏海も凛子もズルをしたくないという思いから御石様の力を使うことを躊躇っていたわけだ。
 そういう部分があって初めて、雨が上がったのは御石様の力でなくてるてる坊主なんだよーに意味が出てくるのだと思う。しかし、そういった部分が見えてこないので、今回をすんなり見てしまうと、なんで雨を止めるだけのことに躊躇しているのかと思ってしまうし、オチも「やっぱりね」で終わってしまう。
 そういった部分を踏まえ、もうちょっと4人の心情が分かるような部分を出していけば、今回はもうちょっと印象が違ったのではないだろうか。
 さらに言えばだ、メインの4人は紗季と夏海、優香と凛子はそれぞれ良いコンビであるのだが、幼い頃の前々回で語られたことがきっかけでカルテットになっているわけである。それが無かったらきっと2人ずつにはなっても4人にはならなかったであろう性格の合わなさは今回を見ても分かる。
 でも今4人一緒にいるのは、今回紗季と凛子が連絡を取り合っていたように、合わない部分を誰かが執りなしていたからで、物語としてそのうちのひとりがいずれ欠けてしまうという状況になっている中、紗季との思い出を作りたい夏海と言い出しっぺのくせに特に努力のない優香の対立や、とりなす紗季や凛子の4人の青春をクローズアップして、物語の中の4人の密度をあげていってもいいだろう。
 対立するならもっと激しく対立して、そういう中で紗季と凛子がどれだけ裏で手を回していたか、とかを見たかったところだし、そういうのがあるからこそ、一番大人っぽく取りなしの上手そうな紗季が転校してしまうという事実が、他の3人にとってやっぱり大きな出来事なのであると認識出来るのではないでしょうか。
 ちょっとあまりにもすーっと流れていってしまい、もっと盛り上がりどころを作れるのになぁと思わずにいられないのは残念だ。

 さて、個人的な観点としましては、まずは優香なのだが、コイツはこれまで夏海や凛子と違って、紗季の転校に対して特に寂しいとかいうふうに思っている様子が窺えないですよね。なにかのフラグかなーとは思ってはいるんですがよく分からず不可解です。
 おそらくは、紗季が転校しても一緒にいられる、もしくはそれに準じるようなこと考えているような気がします。役割的にトラブルメーカーであったり発案者であったりするんで、その一番最後の部分でのきっかけになるのではないかなーとは思っているんですが、はてさて。
 もひとつは、冒頭にも書きましたが、凛子ママです。今回なんか印象的に見せていて、最後に境内で花火を見る凛子ママの携帯に「すず」という人から「さなもこれば良かったのに」というメールを受け取っておりました。
 EDのキャストの部分には凛子ママの役名は「凛子の母」となっており名前が分からないのですが、文面からして「さな」という名前なんでしょう。とすると「すず」は誰なのか?そしてどーいった関係なのか。
 夏海らののど自慢大会写真が添付してあったことを考えるとこの中の母親の中の誰か、と考えるのが妥当。そして彼女らが歌っている最中にそこにいたのは紗季の母だけなんですよねー。ということは、綺麗に百合色に染まった脳を持つ身としましては、「そういうこと」なのかなーと勘ぐってしまいますなぁ。だから凛子は遺伝っちゅーわけなのです。
 ま、それはともかくとしても、凛子ママは結構ミステリアスで、何故かお祭りには行かないで神社にずっといるし、今回のてるてる坊主の件も優香と凛子の話を外で聞いていてもおかしくない状況であったり、そもそも御石様の力のことは凛子が凛子ママから聞いた話である。
 私にはどうも凛子ママが御石様に関して何かしら知っているんじゃないかと思うんですよねー。案外、凛子ママも幼い頃に御石様に願った口なんじゃないのかなーとか思ったり。
 まぁなんにせよ、こんな印象的な見せ方をしているんだから、最終的に上手いこと使っていただきたいところです。


第8話「ゆううつフォートリップス」

かったるいな。

 そんな今回のお話は…
 夏休みも半ばを過ぎたある日、引っ越しを控える紗季のところに夏海から「4人で旅行に行こう」と電話がかかってくる。
 さっそく行き先を話し合う夏海たち。国内や海外など、思いつくところを挙げるが、なかなか話はまとまらない。そんな中、夏海が「紗季の引っ越し先を見てみたい」と言い出す。
 東京へ行くことに賛成する優香と凛子。盛り上がる3人を前に、一人、憂鬱そうな紗季で…。
 以上公式のあらすじ。

 上記あらすじ通り、今回は紗季の引っ越し先に行ってみよう編の前編である。
 彼女らの住む静岡県下田から目的地へ辿り着くまでが今回なのだが、まぁなんとかったるいことか。正直、彼女らが移動していくのを眺めていくだけなのである。
 まぁお話としては、いずれ引っ越すこととなる紗季をクローズアップしてはいて、4人の中で一番大人っぽく物わかりの良い彼女が、これまでは見せなかったけれど、年相応に引っ越すことに対し不安を抱えている様子などが描かれている。
 紗季の引っ越し先は東京とは分かってはいたが、実際は東京は東京でも南海上にある「島」で、船に乗っていくこととなるのだが、船中で紗季と分かれたくはない夏海が「どうしても引っ越さなくはないけないのか」と問う辺りが今回の見所で、精神的に大人っぽい紗季が子供の自分としては仕方のない事であり、そこで医師として勤めたいと願っていた父のこともあるし、わがまま言えないとする紗季なのだが、夏海としては物わかりよく状況を打破することを模索することもない紗季に苛立を憶える。
 しかし紗季とてお別れしたくないのは一緒なのである。だがそれを言い出すことは上記したように単なるわがままではあるので言い出せないのだ。下田に残れるのが一番ではあるものの、現状を壊すこともしたくはない、というのが紗季の思うところであろう。だから夏海の提案である「夏海の家に紗季だけ残る」も良しとしないのだ。
 劇中で紗季が見る夢のように、引っ越してしまうと夏海たちは自分を忘れてしまうかもしれない。新しい土地に馴染むことが出来ないかもしれないという不安。今度来る時は旅行でなく引っ越しなのだという寂しさ。そんな紗季の心情を上手く表している……とはちょっととても言えないのが残念である。
 まぁ上記したことは特別読み取らなくても分かるふうにはなってはいる。しかしそれは大雑把な感じでなのだ。細かく紗季の心情が読み取れる仕草であったり表情であったり台詞であったりが欲しいところで、4人の中でひとりこれから状況が変わってしまう紗季が、引っ越し先へ旅行へ行くこと、抱えている不安などに同調することが出来ないので、今回がただの旅行記のようになってしまっているのだ。正直、夏海とのやりとりがなければ、本当にそれだけになってしまうところであったように思う。
 地元から離れ行動する4人は見せるべきところではあるのだが、そこはメインではなく、お話としては引っ越し先旅行することとなった紗季の心情の方がメインだろう。という事を踏まえて考えれば、道中の4人の行動よりかは、もっと紗季にクローズアップして、思い出作りする中で、彼女の複雑な心境がよく見えるようにした方が良かったのではないだろうか。
 さらに言ってしまえば、先に述べたように紗季の心情は複雑なれど、他三人としては旅行なので全く思いが違うわけだから、道中はもっと楽し気でも良いだろうし、見ていておもしろい部分があっても良い。
 というのも、一応は夏休みを利用した旅行ではあるのだから、旅行にはしゃぐ仲良し女子中学生は見所の一つではあるのだ。なのだから、「あぁ楽しそうだなぁ」とか、それぞれのキャラクターを活かした笑い所があって然るべき。そういう中で、一人状況の違う紗季が思うところが見えることで、一番見せたい部分が際立つのではないだろうか。
 全体的にするーんと進んでしまう抑揚の無さなので、冒頭書いたようにかったるさを感じてしまったのだと思う。
 公式サイト他で「視聴者が選ぶ名シーン投票」などということをやっているのだが、これでは名シーンも何もあったものじゃないではないか。私は今回の名シーンを挙げろと言われても答えられませんよ。
 上記しましたけど、この物語はかなり抑揚がないので、もうちょっとひとつひとつの中にぐぐっとくるところとそうでないところを作ってほしいですな。物語が普通の女子中学生の日常を描いている分、そういう振れ幅が無いとホントフツーに何も無く終わってしまう。
 せめて見せ方に一工夫していただきたいところだ。


第9話「旅のソラのさきのさき」

ちょっと強引じゃないか?

 そんな今回のお話は…
 宿に着いた夏海たちは、沖山千晴と言う女の子に迎えられる。彼女は開眼で出会ったこの双子の姉で、夏海らと同じ中学2年生。
 夏海らが下田から来たというと、千晴は紗季の家族について尋ねてきた。すでに千晴たちの近所では、紗季ら水越一家が引っ越してくることは有名になっていたのだ。
 戸惑いを隠せない紗季を見て、夏海は……
 以上公式のあらすじ。

 お話は引っ越し先にあそびにいくヨ!編の後編。なんだけど、冒頭書いたようにちょっと強引だ。
 何故か宿に御石様の親戚(凛子談)があり、何故か紗季の姿が透明になってしまう。もうとりあえず御石様の親戚なんだよってぇ話ですよ。理由になってないじゃないか。
 まぁ額面通り受け取るのもバカらしいので、ここはこっちが都合良く考えて、御石様は最初のきっかけであって、奇跡を発動する条件として御石様に触れている必要はない、という事で無理矢理理解するとしてもだ、紗季の姿が見えなくなってしまう理由がよく分からないんだよなー。
 流れとしては、医師である紗季の父が、その島の唯一の診療所へ来てくれることで、島の人たちは良く思ってくれている。紗季としては父の選択は間違いでなかったし娘として誇らしい限りであるが、さりとて夏海らと離れたくもない。一体自分はどうしたら良いのかと悩んでいる中で、温泉入浴中に千晴の妹小晴を男と勘違いしていた夏海らが覗かれたと勘違いして〜という流れで姿が消えてしまう。
 奇跡は親友同士が同じ願いをした時に発動するわけだが、この状況でいったい4人が何を思えば紗季が姿を消すという結果が導き出せるのか、さっぱり分からない。
 一応それまでに、紗季の来訪に喜んだ千晴が友達たちにメールを送ったため、フレンドリーな島の子供が突如やってきて、引っ越しに反対な夏海が紗季を連れて逃げるという事をやっているので、その辺を考えれば「紗季の姿を隠さなければ」と思ったともとれるが、そもそも男だと思っていた小晴が風呂に入ってきたのだ。全員が全員、裸を見られたくないと思う方に頭がいくのが普通。だとするならば、奇跡の力は全員に働かないと辻褄が合わなくないか?
 このAパートの時点で結構もにょもにょするのだが、まぁ百歩譲ったとして、その後である。
 透明になってしまった紗季であるので、服を着てしまうとそれがバレてしまうため(着ている服は透明にならないので)、ずっと全裸でいるわけだが、その状況で千晴が島を案内するのに付いていくってのはリスクがでかすぎないか?いつ効果が切れるとも知れないというのもあるが、姿が見えないとは言え、女子中学生が全裸で町中を歩こうという気にはなるまいて。まだ見えないながらも全裸でいることに逡巡する紗季の様子などが見られれば分からなくもないのだが、全く気にすることがないので道中違和感ばっかりである。
 そして最終的に元に戻るわけだが、その瞬間をバッチリ千晴と小晴に見られている。まぁ見られるのは良いとしても、その後その状況を夏海らがどう説明したのかが全く語られていない。
 いないと思っていたのに突然姿を現した。しかも全裸で(笑)。明らかに通常ではない常軌を逸した状況である。「夏海が服を持ち歩いてくれていて良かった」だけで済まないことだろうよ。なんだこの話の作りの粗さは。正直、今回を全く疑問を持たずに見れたという者がいるならば見てみたい。

 お話の内容としては、紗季の父の前任のおじいちゃん先生と別れたくない小晴ということが分かり、紗季の来訪、ひいては水越医師(水越は紗季の名字)が越してくることに喜んでいる千晴も別れを悲しんでいないわけではなく、送る側も迎える側も一緒であるということから、水越家の引っ越しは夏海らだけの話ではなく、この引っ越しの件に関連してたくさんの出会いと別れ、それぞれの思いがあるのだと、紗季はもちろん夏海らも気持ちに折り合いをつける、という話としてはまぁまぁの落としどころではあった。
 それだけに、疑問点が多過ぎてそこに集中出来ないのは非常にもったいない。正直なところ、紗季の姿が見えなくならなくても別に今回のお話は進められたのではないかと思う。姿が見えなくなることに意味はなんだったのだろうか?
 まぁ見えないので、紗季がいても気付かない夏海らが話す内容を紗季が知れたりという事はあったが、別にそれは何かの影から聞いていたでも良いわけで、今ひとつ奇跡が起きたメリットが感じられないのはどうか。
 今回の件で一番思うところがあるとしたら紗季なわけで、その紗季を姿を見えなくしてしまい蚊帳の外っぽくしてしまうよりかは、むしろ彼女自身がちゃんと島の人々と向き合う中で、気持ちに折り合いをつけていった方が良かったような気がしますけどねぇ。
 とまぁ今回は文句たらたらですよ。いくらなんでも強引だろうという点が多すぎる。別に毎回奇跡を起こさなくても良いだろうと思うのだがなぁ。

 個人的に気になった点としましては、Bパートの島の案内の道中。キョンという鹿に似た動物の前で携帯で写真を撮るのだけど、まぁ当然姿が見えない紗季もいるわけですよ。
 私はこれを見てすぐこれは今回のオチだな。と、ピンと来たわけです。最後にこの旅行の思い出として写真を見てみたら、見えなかったはずの紗季が写っていた、しかも全裸で(笑)。で、写真消しなさーい!やーだよー思い出だし(笑)的なちゃんちゃんオチが待っているかと思いきや、写真のことは全く触れないのでビックリしました。

 なんかこう、このアニメはちょっとずれた感じがするんだよなぁ。期待してることやらないで、期待してないことやってスベる、みたいな。


第10話「たいふうゆうれい 今日のオモイデ」

なかなかおもしろい話であった。

 そんな今回のお話は…
 ある晴れた日。午後から台風が来るというニュースを聞いて、4年前にあった台風に関する出来事を思い出そうとする夏海たち。
 しかし、どこか記憶が曖昧で、4人の記憶がどうにも合わない。じゃぁだれの記憶が正のか、「あの日のことを思い出させてください」と御石様にお願いをする。
 しかし、特に記憶が戻ってきた感じもなく夏海たちが不思議がっていると4人の目の前に現れたのは───!
 以上公式のあらすじ。

 4年前にことを思い出そうとして御石様に願ったら、4年前の自分達がタイムスリップ(?)してきて、しかも昔の自分達は4年後の世界だと気付いていない。あまりその時の記憶が定かでない現在の夏海たちは真相を知ろうと昔の自分達を見守るが……という割とドタバタ話ではあるのだが、次回オーディションを受ける話の布石にもなっている。
 まぁ次回はともかくとして今回としましては、話の構成も良くってなかなかおもしろい話にはなっている。
 4年前の思い出は、各人それぞれ相違点があるのだが、昔の自分達を追っていく中で、それぞれ記憶違いだと思っていた部分はそれぞれ正解であったことが徐々に分かっていくし、最後に本来の時間軸に戻った過去の夏海たちが、どうしてそんなインパクトのあることをしっかりと憶えていなかったのかという見ている上での疑問点も、現在の夏海たちの口から、その後4人そろって風邪を引き、あれは夢だったという結論に達したことが明かされ、その疑問も解消しており一つの話としてしっかり終わらせている点も良いだろう。
 また過去の自分達が現れることも、現在の夏海たちの「4年前の出来事を思い出したい」という願いで過去の自分達が現在にやってきた、と思われていたが、過去の夏海たちも御石様の前で、「4年後の自分達はどうなっているのだろう」と思っており、御石様の奇跡が現在とか子で二重に働いた格好として、ただ単に過去の自分達がやってきたという割と突拍子もないことに説得力を付けているし、幽霊を見たという点も、幽霊ホテル内で出会った未来の自分達を勘違いしてと思わせておきながら、事後に本来の時間軸に戻っていく際に消えてしまった(様に見えた)未来の自分達を見た過去の自分達を、この出来事を通してやっと今、事の真相を知る夏海たちが理解させて整合性を取っている点も良く、なかなか見事な脚本であった。

 そんなお話もおもしろかったが、個人的には4人の中でけっこうお気に入りの紗季が、ちびっ子の頃はけっこうお転婆であったことが新鮮で印象に残った。
 今でこそ大人っぽく冷静な物腰な紗季だが、さすがに格好は医者の娘でお嬢さんって感じなのだが、泥棒だと思った現在の自分を物怖じせずにヌンチャクで殴り掛かったりするんだから結構なお転婆さんである(笑)。そもそも、紗季がヌンチャクを持ってきたということは、所持していたということであり、外見とは別に活動的でやんちゃなお子様であったことを示していて、他三人がそれほど変わりなかったこともあってかおもしろく、そういう観点から印象に残ったのだろう。
 次回への布石という部分でも、アバンで優香が4人でオーディションの書類を送ったら書類審査が通ったことを言いそびれ、本編で過去の自分達を通して、あの頃本気でアイドルになりたかったことを思い出し、前述したオーディションに4人が素直に臨むことが出来るような格好になっている点もいい。

 個人的には、あんまり過去の自分達と直接会話なりなんなりは、最後の波に攫われそうになる所だけのちょっとしたことだけの方が、過去の自分達が後にそれは幻であったと納得するためには良かったような気がしないでもないが、それを差し引いても普通に一つのお話として十分楽しめる内容でありました。
 まぁ、相変わらず御石様の奇跡ハンパねぇのは仕様なんだけど(笑)、これくらいのお話作ってくれれば無理なく見れますな。毎回これくらいだといーんだけどなー。


第11話「当たって砕けろ! 東京シンデレラツアー」

どこがポイントなんだかよく分からんな。

 そんな今回のお話は…
 アイドルのオーディションを受けに東京へ向う夏海たち。早めに現地へ着くも、会場入りせず近くの広場で練習に励む。
 のど自慢大会の時とは打って変わってやる気満々の優香は本番直前にも関わらずターンの変更を提案する。
 今さら変えるのはどうかという3人だったが、優香の熱意やパフォーマンスの向上もあって同意することに……。
 そしていよいよ会場へ。そこにはたくさんのアイドル志望者が集まっていて…!
 以上公式のあらすじ。

 これホントに後1回で終わるのかしら?と思うくらいクライマックス感はない。
 お話としては、オーディションを受けに行って、失敗なんかもしつつもオーディションを終え、夏休み終わりたくねーとか思いながら宿に着いたら夏海が熱出して、起きたらまたオーディション当日の朝だった。って話。うん、かなり正確。
 流れからいって、オーディション云々が一番盛り上がる所なんだろうと当然思うし、オーディションが終わるまでに結構な尺を使ってそれに臨む彼女らを見せているわけだが、夏海が熱を出し、寝て起きたら時間が巻き戻ってその日の朝に戻ってしまう。なんかもうこれで、オーディションはどーでもいーのかな?という気になってしまうよなぁ。戻ってしまったことがメインなのか、オーディションを受けることが主なのかぼんやりとしてしまってなんかモニョモニョする。
 時間が戻るまでは、もはやこのアニメらしい突然の中学生日記みたいなことしだしたりして、ダンスの途中でこけてしまう優香とか、それ以前に会場付いた途端に超びびりになる優香とか、それをなだめたりすかしたり慰めたりする展開はなかなかおもしろかったものの、どうも妙に取って付けたような青臭いことを言い出す辺りは、やっぱり乗り切れない。中学生がこんなこと言うかなーとか思ってしまう。どうも「そういうシーンなので、そんな台詞を言っている」感があってちょっと白々しいのだ。まぁいつもの感じではあるのだが(笑)。

 そしてオーディションも終わり観光する段になって、しんみりしちゃった4人が、8/30には紗季が引っ越ししてしまうこともあって、「夏休みが終わらなければいいのに」とそれぞれ思う。もうこの時点で、「あぁ、御石様の所為で夏休みが終わらないんだなぁ」と予想がついてしまうよなー。
 とするとだ。終わらない夏休みを終わらせなければ物語が終わらないので、4人がどこかで踏ん切りを付けて「終わりにしよう!」と涙ながらに決意することがクライマックスなのかなー等とぼんやりと思うわけです。とするならば、オーディション受けることってあんまり関係無くなっちゃうよなー。どーすんだこれ。

 まぁ12話がどーなっているかは分からないのだけど(実は愛知では11・12話を連続放送したのだけどまだ見てない)、どうせ時間が巻き戻るなら、優香がオーディションでこけるのは、もう時間の巻き戻りもこれがラストだよって時にこけた方がドラマとしておもしろかったような気がしないでもないな。それならズルいくない!になるし、奇跡を自分達の都合良く使った感じもないし、なにより紗季の引っ越しのように「人生ままならず」と言えるし。とか思うのだがどうか。
 しかし次回予告では、なんか4人が遊びまくっている絵しか出てこないので、やっぱりオーディションはどーでもいーような気がしないでもないなぁ。おそらくは、紗季とお別れしたくないよぅという所からのループから、終わらせて次に進みましょう見たいなことがメインになりそうだし。
 だとすると、ホントにオーディション受けることになった意味ってなんだったんだろうなぁ。……なんか終わった後みたいな事言っていますが(笑)。

 個人的には、優香がオーディション会場に入ってからの、ビビリや後悔をすることが、これまで努力とは無縁な彼女を見てきただけあって、ようやくそこへ辿り着いたかと娘を見るような気になりましたよ。まぁ私に娘なんていないんですけど。
 しかしそういう優香を見せたのであらば、今回でなにか彼女の中で気持ちが変わった様子が窺いしれるような所を見たかった。その後、特にそういうことを経た優香がないので、その時はそう思いました、くらいのことのように感じられてしまっていかんな。次回はその辺で展開あるのかもしれませんが。
 ああ、優香と言えば、彼女が紗季の引っ越しをそれほど悲しく思っておらず、なにか彼女なりの秘策を考えているのではないかと以前この感想に書いたのですが、どうもオーディション受けて受かっちゃえば一緒にいられる、と思っていたようです。
 ようです、っていうのは、特にそう語られたわけではなく、こけてしまって落ち込んでいた優香が、これがラストチャンスだったみたいな事を言ったので、まぁそーゆーことなのかなーと私が思っただけです。それがちゃんとそういうことだったのだと断定できるようなことしないんですよねー。その後の観光の最後で、先に述べたようなことを思っているのであらば、紗季に夏休みの宿題やらなくていーなーなどとは言わないだろう。今ひとつ優香は本心が見えてこないんだよなー。なんかシーン毎で思っていることが違うような気がしてくるのだ。
 表層的な、無鉄砲でトラブルメーカーっていうのはいいのだけど、そういう中でこういう人物だっていうキャラが見えてこなかったのは残念だ。夏海と凛子も特におもしろい特徴がないしなー。紗季は引っ越してしまうこともあって、複雑な心境なんかが垣間見えたり、歳の割に大人っぽくあるけど歳相応な部分もあったりで、キャラクターとしては一番おもしろかったな。
 もっと、4人それぞれの「コイツのここがいいだろ?」っていう部分をドーンと見せてくれたら良かったのになぁ。

 なんにせよ次回で終わりです。上手く終わってくれるといーんだけど。


第12話「終わらないナツヤスミ」

クライマックス感はなく……。

 そんな今回のお話は…
 翌朝、夏海が目を覚ますと、そこは東京のホテルではなく下田の自分の部屋だった。
 熱も下がっていて、いつの間に帰ってきたのだろうか?と夏海が外を見ると、先も不思議そうな顔をしている。そこへ優香から電話が。
 「大変!!今日が昨日になっちゃってて…!!」優香の言葉はにわかに信じられないものだった。
 もう一度8月26日を送ることとなった4人は、昨日同様、下田駅に集まり東京へと出掛けていく……。
 以上公式のあらすじ。

 まぁ大体前回予想したような感じのお話であった。
 やっぱりオーディションは、さほど重要でもなく(笑)終わらない夏休みをどう止めるかの方がメインになっているわけだが、冒頭に書いたようになんらクライマックス感もなく、大したイベントもなく終わってしまった。
 何度もやり直すこととなる8/26で、それを止めようと必死になるわけでも、色々試したりすることもなく、解決する方法を見つけても紗季を別れたくない夏海らが逡巡し、夏休みを終わらせたくない云々でなにか泣かせるようなシーンがあるわけでもなく、なんかただ4人が遊び倒して終わったような気がしないでもないなぁ。
 同じ日を何度も繰り返すと言えば、アニメ好きなら「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンドレスエイトをパッと思いつくことであろう。まぁ比較対象にするのもなんですが、同じ日が繰り返されていることに対し、キャタクターが試行錯誤するわけでもなく、アニメーション的におもしろい演出があったわけでもないので、どうも見ていてこの状況をなんとかしないと、またはしてほしいと思わないよなー。
 色々試す中で、やっぱ紗季とお別れしたくないという気持ちと、終わらせて次に進みましょうという気持ちのせめぎ合いみたいのがあったりして、4人の青春の1ページなりを作ってあげればいいのに。
 そんなわけでお話的には正直特に何も無く、夏海たちよりかはむしろ凛子ママと夏海ママの方がよっぽど気になったよ。
 夏祭りに凛子ママの携帯にメールを送ったのは夏海ママだったんだねー。随分と親しい感じで、御石様に関しても何か知っているようでもあったことだし、劇中語られないが、きっとこのふたりも夏海たちと同じように、子供の頃に御石様に願い奇跡の力をもらった口なのであろう。
 でも設定的にちょっと気になることがあって、凛子は小学4年生の時に引っ越してきて下田に来たわけで、それなら凛子ママと夏海ママが子供の頃に御石様に願ったというのは当てはまらない。
 まぁ日本全国に同じような神社があって御石様もあるようなので、どこか別の場所でそんなことがあって、その後離ればなれになったが大人になって下田で再会した、ということなのかもしれないが、そんなことは全く語られないので、これは私の妄想に過ぎない。
 しかし今考えると、むしろ夏海たちだけの話よりかは、そういう過去に母親たちも似たようなことをしていて、現在と過去そして親と子という所で御石様の奇跡を通した群像劇の方が物語的にはおもしろかったかもしれないなぁ。

 では最後なので全体的な感想ですが……ホント特になんもなかったな(笑)。主演スフィアということで、ミュージックレイン(彼女らの所属事務所)金かけたなーとは思うけど、このアニメにどれほどスフィアを売る効果があったかは疑問である。
 そんな商業的なことはさておいて、物語的なこととしてましては、もうちょっとなんかできたんじゃないかと思わずにはおれん。この物語で、ひいては夏海ら4人のキャラクターでどういうことを見せたかったのかがさっぱり分からないのだ。
 コメディというわけでもないし、4人の青春というわけでもなく、群像劇って程でもないし、仲良し4人組のひとりが夏休みが終わったら転校しちゃうので夏休みにいっぱい遊びました。っていうだけのような気がするんですが……それでいーんだろうか?
 最初の方の感想に書いたような気がしますけど、奇跡は本人たちが気付かないでいった方が良かったような気がするなぁ。話が進むにつれ、もしかして?というような展開になったり、もしくは本人たちは気付かないけれど、御石様の奇跡は人知れず働いていたのだ、というようなさりげないものであったりした方がほっこりしたような気がします。
 まぁ正直に言うと、御石様云々は別になくてもいいだろうよ。それよりも4人が引っ越しすることに対して、それまでの間にどうするかなどの少女達の気持ちや行動を細かく描いてほしかったのが本音だ。そういう中でぶつかり合ったり、友情を確かめ合ったりしつつ別れの時を迎え、少女たちは少し大人になりました。っていうような話が私は見たかったのです。ほら、だって御石様の奇跡で特にこれといったメリットなかったしなー(笑)。

 まぁそういう色々を鑑みると、このアニメはミュージックレインのスフィアによるスフィアファンのためのアニメ、であったのだろう。熱心な信者ならきっとこのアニメを楽しく見れるのではないだろうか。


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