世紀末オカルト学院 1〜13話

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Episode.01 「マヤの予言」

予想していたのよりも違った雰囲気でおもしろかった。

 そんな今回のお話は…
 1999年7の月、空から恐怖の大王が舞い降りる――。
 長野県松代にある、私立ヴァルトシュタイン学院。通称「オカルト学院」。
 霊や妖怪、UMA(未確認動物)など、あらゆるオカルト分野を専門的に学べることで有名な学校だ。
 ある日、神代(くましろ)マヤという美少女が学院にやってくる。彼女は、学長のひとり娘。
 父親の葬儀に出席するにも関わらず、真っ白なワンピースにハイヒールという姿だ。
 葬儀の途中、学長が生徒に残したメッセージが流れはじめる。
 すると突然、棺のフタが勢いよく開き、死霊に取りつかれた学長がマヤたちに襲いかかってきた…!
 以上公式のあらすじ。

 テレビ東京「アニメノチカラ」枠でソ・ラ・ノ・ヲ・ト、閃光のナイトレイドに続く第三弾。
 タイトルからしてオカルトっぽいおどろおどろしいものを想像していたのだけど、意外にもコミカルな要素もあり、良い意味で予想を裏切られ楽しく見る事が出来ました。
 自分はチキンハートなくせに怪談やらオカルトやらは好奇心が勝ってしまい、後で後悔するようなへっぽこ野郎なので、見るまでは「怖いのかなぁ」なんて思っておったのですが、そんな「恐怖」という感じはなく、物語の導入としてのお話のおもしろさの方が印象に強い。
 お話としては基本的に、主人公である「神代マヤ(くましろまや)」という人物と、舞台であるオカルト学院こと「私立ヴァルトシュタイン学院」の説明といったところ。
 良くある、それは人外のモノだった「かもしれない」的な怪談のようなお話かと思いきや、本当に死霊は死霊として出てきたのが意外であった。
 また、オカルト嫌いのマヤがオカルトな目に遭うというだけの話ではなさそうで、アバンでの謎の組織の事や、学院に何か秘密があるようなことを言う教師達であったり、ラストで謎の光と共に現れた全裸の男性など、ただオカルトが実在するという話だけではなく、今後に繋がるであろう断片に興味が引かれた。

 そんなお話と共に印象が残ったのは主役のマヤで、オカルト嫌いなのにオカルトに詳しく、いつもムッとした表情と尊大な態度というキャラクターが小気味良い。
 というのも、ただそんなキャラだというだけでなく、詳しいのに嫌いというのは今回のお話と繋がり、彼女が学院に来た理由になっており、また、死んだ父であり学園長に死霊が取り憑き動き出した棺の上にのっかり、声高にオカルトなんてトリックだと言い放つも、他の生徒達に突っ込まれ答えに窮する様や、その後死霊に吹っ飛ばされ、ゴロンゴロンと無様に転がって行く様子など、決めようとしても決まらない、どこか抜けた所があるのが愛嬌があっていい。
 かと思えば死霊の見せた幻覚に惑わされる事無く死霊を退治し、決める所は決めるカッコよさもある。
 それはお話による所も大きく、どこかでさりげなくコミカルな部分を差し込んでくるのが絶妙で、笑いを取るつもりではないが、そのタイミングと間の緩急が秀逸であった。
 
 上記したように物語としてもこれからどうなるかが気になることだし今後が楽しみだ。

Episode.02 「文明の到来」

今回もいいなぁ。 

 そんな今回のお話は…
 1999年7月、テレビはノストラダムスの予言や、スプーン曲げ少年・ブンメー君の話題で持ちきりだ。
 オカルト嫌いを主張するマヤは、オカルト学院の廃校を目論み、父・純一郎の後を引き継いで学長の座に着く。
 そこへ、新任教師として現われたのは、突如、空から舞い降りた怪しい男・内田文明。
 彼は、未来の地球を護るために過去へとやって来たタイムエージェントだった!!
 以上公式のあらすじ。

 今回もオカルトとホラーとコミカルのタイミングが絶妙で見ていておもしろかった。
 未来からやってきた安倍実こと内田文明が、どういう理由で過去にきて、2012年の未来(劇中時間は1999年)はどうなっているかのか、物語の核となる重要アイテム「ノストラダムスの鍵」を説明しつつ、マヤと内田文明の関係を描き、その中で悪霊の類いに襲われるマヤという、タイトル通りのホラー演出を入れつつも、所々に入れてくるコミカルさがおもしろく画面に引き込ませてくれた。
 今回特におもしろかったのは、内田文明が説明する未来の事とその使命で、彼がそれを説明するのだが、それが妙に胡散臭く、それは彼が自分をカッコよく見せようとした誇張が含まれているからなんだろうが、見ているこっちもマヤ同様に「ホントかな?」と思ってしまう。
 オカルトという一般的に胡散臭いものと、マヤがオカルトを否定している事が相まって、その説明の胡散臭さが今回のお話に一花添えているのではなかろうか。
 一花と言えば、やはりマヤのキャラクターが良くて、内田文明の説明を聞いても即座に「時空嵐とか今作ったでしょ!」とか見事なオカルト否定っぷりなのだが、空から降りてきた彼をノストラダムスの予言の恐怖の大魔王なのではないかと思ってしまう、実はオカルト信者である彼女は、こう書くとものすごいブレではあるのだが、彼女自体のキャラクターとしては全くブレが無く、いつも強気で尊大な彼女は見ていて実に小気味が良く、この物語のおもしろさは彼女が牽引していると言っても過言ではなかろう。
 そんなマヤが、なんだかとっても頼りない内田文明とコンビを組んで、父を死に追いやった組織とどう立ち向かうのか。また、ノストラダムスの鍵は一体何で、物語はどう進んで行くのか、これからがとても楽しみだ。

 さて、今回は上記した通り、内田文明の説明とマヤの父の手帳から、物語の今後の方向を指し示した格好だ。
 1999年7月21日、ヴァルとシュタイン学院に時空のひずみが生まれ、そこから宇宙人が攻めてきて、地球の大半は彼らに支配される。生き残った人類は宇宙人のテクノロジーの一部を手に入れ、過去へと飛びその時空のひずみを作り出したであろう「鍵」を壊す目的で送り込まれたのが内田文明。
 マヤの父はノストラダムスの予言を研究していて「鍵」を手に入れ破壊しようとする。だが、その研究を良く思わない者が命を狙い、どうやらそれは成就されたようで、マヤの父は誰かに殺されたという事になる。
 という事を説明したわけだが、内田文明の未来の話はまぁいいのだけど、マヤの父を殺害した連中は一体どういう目論見なんでしょうね。
 彼らが未来に宇宙人が侵略しにくるとは知ってはいないだろうが、ノストラダムスの予言を成就させようとしているオカルト集団なのか、はたまた、宇宙人関係でよく言われている「政府は宇宙人と結託している」系の話なのか。
 物語がどう進んで行くか全く読めなくてどうしても続きが気になってしまうなぁ。
 
 どーでもいーけど、宇宙人のマークってウンモ星人のマークだったねー。この「ムー」っぽさはいいよね(笑)。


Episode.03 「美(うま)し風、吹きぬけて」

なんか胡散臭い女だな。

 そんな今回のお話は…
 オカルト学院のまわりで、神隠しが起こる。天狗の仕業だと聞きつけたマヤは、「ノストラダムスの鍵」につながるかもしれないと文明をけしかける。
 二人の目的は、ノストラダムスの鍵を探して予言を食い止めること。しかし、文明はいまいち身が入らない。
 昔は良かった――スプーン曲げ少年ともてはやされた当時の自分をテレビで見て、ぽつりとつぶやく。
 そんな文明に、定食屋の看板娘・美風がにっこりと微笑んで…。
 以上公式のあらすじ。

 そんなわけで、今回は前後編(?)の前編で、基本的に文明が謎の新キャラ定食屋の看板娘・美風に惚れてデレデレしたいただけの印象だが、これが実に上手く興味を次回へ引っぱっている。
 まずはなには無くとも新キャラの美風だろう。おばあちゃんのやっているけっこうぼろい定食屋で働いていながら、文明とのデートの時にはポルシェでやってきたり、変にいい娘なのも気になって、それがすごくぶりっ子というか、計算でそういう女を演じているように見えて、逆にいい娘っぷりが気持ち悪い。
 そんなあからさまな胡散臭さが気になって仕方ないのと、それを疑問に思わない文明のアホっぷりがおもしろい。
 おもしろいと言えば、母親以外に初めて名前を「ぶんめい」ではなく、「ふみあき」と呼んでくれた美風を気に入ってしまった文明が、定食屋へ通うシーン。簡潔に見せる為、毎回頼むカレーライスを画面に映すのだが、最後にサービスでプッチンプリンが付いてきたのに笑ってしまった。
 これは庶民として何となく嬉しさが分かってしまうのが良い(笑)。
 
お話の展開としても、メインで話が進んで行く文明と美風とは別に、マヤがしっかり天狗を調査しているのが進んでいて、今の所は分からないけれど、天狗と美風の事は一見、別の事のように今回は進んでいたけれど、最終的にこれが繋がるんだろうなと予感をさせてくれてる。
 というのも、今回は天狗とマヤという本筋の部分ではなく、主に文明と美風を追っていたということは、次回にそれがあってこそのオチがあろうというもので、しかも、その新キャラの美風は上記したようにとても胡散臭いし、ラスとでマヤが襲われた謎の生物というのもあるしで、一体この話をどうオチをつけてくれるのか楽しみで仕方がない。

 とまぁ、今回は見事にさわりの部分だけで、見ていてこのまま文明と美風のデートだけで終わるのか?などと思いもしたが、ちゃんと興味を次回へと引っぱっているのは上手さが光る。が、感想としてはあんまり書くことがないな(笑)。
 次回にどう展開するか楽しみにしていきたい。


Episode.04 「文明の崩壊」

いやはや、おもしろかった(笑)。

 そんな今回のお話は…
 マヤとこずえが神隠しにあった。松代の町総出で捜索が始まり、スマイルとJKはダウジングで、文明は美風と共にマヤたちの行方を追う。
 文明たちは、目撃情報をもとに皆神山を調査する。そこは日本のピラミッドと呼ばれる、いわく付きのパワースポットだ。
 山の中腹にある横穴の神社へ入ると、さらに奥深くへと続く謎の洞窟が出現して…!?
 以上公式のあらすじ。

 前回一本を丸っと前フリに使った所為なのか、今回は色々盛りだくさんで見ていてとても楽しかった。
 お話としては、行方不明となったマヤとこずえを探しに皆神山へ向った文明と美風は地下通路を発見する。そこは迷路のように道が続いていて……。というお話を見せつつ、サブタイ通り内田文明という人物がどれだけヘタレでダメ人間か、という所だったり、以前に彼が語った過去の自分の設定が虚言であったり、これまでほんのちょいとしか出てこなかったスマイルとJK、そして相変わらず胡散臭い美風、地下迷路に巣食うモスマンの群れ、と内容盛りだくさんだ。
 そういった色々な要素がある中でも話にはまとまりがあり、散漫な印象を受けないのは見事な技量だろう。なにより、上記項目を入れ込むだけでも大変だと思うのだが、その上、オカルト的な説明や、いつもどこかしらに入れ込んでくるコメディもしっかり織り込まれているのだから文句のつけようがない。
 ちょいと気になったのは、スマイルとJKがマヤと知り合いだった事で、そこは今まで全く語られていなかったから、ちょいときょとんとしてしまったが、その辺は追々明らかになるのだろう。

 そういった色々がひとつにまとまっていく話の繋がりは、もちろん今回の見所だが個人的にな所としては、オカルト部分と文明だ。
 オカルトの方は日本のピラミッド、世界樹、モスマンの三つだが、基本的にこのアニメはそういったオカルトが実在するという方向で描かれていて、その辺の「ムー」っぽさもおもしろいが、このアニメとして自称オカルト嫌いのマヤが日本のピラミッド説を語ったり、世界樹(らしき物)を見つけて目を輝かせたりする様子の、自らが言っている事とは違うところがおもしろい。
 文明の方はと言うと、首筋に落ちた水滴にビビってみ風を置き去りにしたり、モスマンの群れを発見してはこずえとマヤを置いて逃げるし、そのまま外へ脱出したと思ったらマヤたちの事を忘れ「生きてて良かった!」などと涙を流すしで、これほど役に立たない男はもう見ていて笑うしかない(笑)。
 また事後に美風の前ではいい格好をする様子も滑稽だし、マヤには以前に自ら語った1999年に来た経緯がかなり誇張の入ったものであった事が分かったしで、サブタイ通り「文明」というキャラを「崩壊」させているという点でも話の作りの上手さを感じる。
 それに無様に逃げ転げる文明に、彼に惚れてしまっている教師の彼を賛美するポエム(笑)を被せる辺りのギャグもなかなか秀逸で、見ていて思わず笑ってしまいました(笑)。

 教師と言えば、彼女の属しているであろう謎の組織は一体何がしたいんでしょうね。
 マヤたちが迷い、世界樹やモスマンの巣があった地下道を爆破し塞いでしまう大掛かりな事をしているのだから、それなりにでかい組織っぽいのだが、目的がさっぱり分からないな。ノストラダムスの予言を成就させようとするカルト教団だったりするんですかねー。


Episode.05 「夏のこずえ」

良いキャラだなぁ。
 
 そんな今回のお話は…
 皆神山の一件で、文明を見限ったマヤ。マヤは一人でも予言を止めてみせると決意し、文明はその冷たい態度に戸惑う。
 一方、こずえは、今日も今日とてオカルト街道まっしぐら。錆びないスプーンに心霊写真、ツチノコ、宇宙人、ポルターガイスト!?
 いつか私も見てみたい――学院でただ一人、オカルト現象を目にしたことがないこずえは心に誓う。
 そして、臨死体験の実験モニターに立候補して…!?
 以上公式のあらすじ。

 今回も前後編(?)の前編で、キーパーソンとなるこずえがどういう人物かということと、事件の始まりを見せている。
 はっきり言ってそれだけなのだが、それだけにならないように工夫してあってみていてとてもおもしろく、今回はいつもよりもコメディ色が強い。
 お話としては上記あらすじ通り、異様にオカルトに熱心なこずえは、どこか抜けてはいるもののなかなか愛すべき人物である事と、あらすじにあるように学院でただ一人、オカルト現象を体験した事がなく、それ故にオカルトに熱心である所を見せている。
 そしてラストで臨死体験のモニターに立候補した彼女は死語の世界を体験するが、戻ってくる際に何かの拍子で取り残されてしまい、現実の世界にはオカルトに全く興味のないこずえが戻ってきた……って感じで、取り残されたであろうこずえがどうなるのか、またどう彼女を助けるかが楽しみだ。
 
 今回のお話としましてはそれだけなんですが、先にも述べた通り、見て楽しませる工夫がしてあって見事だ。内容はただの前フリなのに(笑)。
 まずなにより「こずえ」というキャラクターが良い。
 今回の冒頭から繰り返される彼女のオカルトに対する異常な行動は、あの学院に置いても異様でイタい感じであるのだが、その飛び抜け具合と変にドジな所が愛らしく(個人的には猫口なのもポイント高し)、またその理由も中盤で語られるので、ただ単にイタい子ではなく、そういう背景あってこその彼女に納得できる。
 その中に、ヘタレな文明であったり、そんな彼に惚れている女教師であったり、文明が惚れている美風であったり、ヘタレな文明をガチで嫌っているマヤであったりが展開しており、色々な所で笑いを地味に誘う要素を作っている辺りが上手い。

 前述したように、今回はただの前フリである。が、そのただの前フリでこんだけ楽しませてくれるのだから上手いと言わざるを得ない。
 個人的にはそれは絶妙な雰囲気であると思っていて、あざとくもなく、わざとらしくもなく、それでいて地味でもない雰囲気とタイミングで何かを差し込んでくる。その微妙な感覚が優れているんだと思う。
 物語自体も、タイトルの「オカルト」から「怪奇」という所を全行程して傾倒しているわけでもなく(それはマヤというキャラが効いているんだと思う)、前編お笑い一色というわけでもないしで、やはりその絶妙な雰囲気が秀逸なのであろう。
 この調子で最後までいっていただきたいです。


Episode.06 「文明の道程」

工エェェ(´д`)ェェエ工(笑)。

 そんな今回のお話は…
 臨死体験の授業以来、こずえの様子がおかしい。マヤと亜美は色々なオカルトネタを出して見せるが、こずえは無反応。
 最後の手段で、文明にスプーン曲げを披露させるが、やはり効果は無い。
 マヤと亜美は、死後の世界へ元のこずえを取り戻しに行こうと決意する。
 スマイルやJKにも協力してもらい、夜の学院に潜入開始!!
 以上公式のあらすじ。

 お話はあらすじ通り、死後の世界に残ってしまったこずえの半分を取り戻すのと、文明が1999年のスプーン曲げ少年内田文明が同一人物であり、文明の語った未来が本当の事であるという事と、文明の過去をマヤが認識するという話。
 前回は私はこずえの人格が移り変わったと書いたが、どうやら死後の世界にオカルト好きのこずえを言う部分を置いてきてしまった、という事であった。
 今回はそのこずえの救出をメインに描きながら、サブタイの「文明の道程」、内田文明のたどった過去、それは1999年時点では未来なのだが、彼の道程またこれから起こる未来の出来事を見たマヤが文明を信じた、という事を描いている。
 こずえの方の話はとてもコミカルで見ていて楽しく、雰囲気が変わりオカルトを完全否定するこずえに、前回オカルト好きなこずえがやった事を今回はマヤと亜美がやり、こずえに突っ込まれる構図は前回での出来事が対比となってとても良く効いている。
 そしてオカルトを完全否定し、大好きだった星の王子様をも否定する言葉を吐く彼女が涙を流す様を見て、マヤと亜美が死後の世界に取り残されたこずえを取り戻そうと決意する、彼女らの友情とマヤという人物が心の優しい人間である事を描いていて、コミカルな話の中でしっかりと見せたい所を綺麗に描いて行っているのが素晴らしく見ていて楽しい。

 そういう流れからの文明の道程の話は、そこまでコミカルであった話から一転、一気にシリアスになる転換の仕方も上手い。
 金づるとなった文明を顧みなかった母に、かつての自分を重ねるマヤであったり、全く信じていなかった宇宙人の襲来を本当の事だと知ったマヤがという部分はそれまでの展開をガラッと変えて、こずえの話から本筋の話、ノストラダムスの予言の阻止という所へ持っていってしまうのだが、それをこずえの救出の為の臨死体験装置(?)で見た文明の走馬灯であるという事が、これまでの話とマッチしていて流れをおらずにこずえの救出という話と物語の本筋を融合させている。
 だが、その直後の今回のオチ、死後の世界でメガネを無くしとり残されたと思われていたこずえは、自分の額にあるメガネに気付いていなかった、という劇中の人物が脱力するオチに、見ているこちらも思わず脱力してしまうのと同時に爆笑してしまった(笑)。この切り替えのタイミングの上手さがこのアニメの真骨頂なのではなかろうか。
 
 こういったメインとなる話もある事ながら、文明に惚れる女教師や、謎の女美風と文明と言う所もちゃんと織り込んであって、その一本の話としての構築具合や構成は目を見張る物がある。
 本筋の方も、もう6話の折り返し地点という事で(たぶん1クールですよね?)、マヤが未来の出来事をちゃんと認識し、解消した文明とのコンビも再び組んで、一歩進んだ感がありこれからどうなっていくかが楽しみだ。

 ああ、そういえば、美風はこずえのことなんですが、ポルシェもローンで買った事が前回明かされた事だし、「謎の女」というふうでもなくなってきたが、私はどうしてもこの人が胡散臭く見えてしまうんだよなー。彼女には何か役割があるのかなぁ。


Episode.07 「マヤの亜美〜ゴ!」

なんか「青春」って感じだったな。

 そんな今回のお話は…
 亜美の父・茂と再会するマヤ。茂は昔のように怖い話をするが、マヤの反応は薄い。
 以前は楽しそうに聞いていたのに――オカルト嫌いになってしまったマヤを心配する茂。
 翌日、マヤとこずえは亜美の家に遊びに行く。亜美が取り出したのは、小学校の文集。当時の作文を読まれ、赤面するマヤ。
 そこへ、松代郊外でミステリーサークルが発見されたというニュースが飛び込んで…!?
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはサブタイ通りマヤの友達である亜美との事を描いている。
 すっかり以前と変わって帰ってきたマヤと、良い意味で幼い頃から変わっていない亜美とその父親、という所を見せていて、その中で未来を知ったマヤと亜美の父親のオカルトに対する温度差から、亜美と衝突が起こるまでの各人の心情を上手く描いていて、お話的に特に何か展開があったとかではないが見ていておもしろかった。
 その中で印象深かったのがマヤで、すっかり自称オカルト嫌いになって帰ってきたマヤであるが、幼かった頃と何ら変わりない亜美と父親を見て、そんな彼らが自分を気遣ってくれていることに懐かしくも嬉しく思ってはいるのだが、劇中の台詞にもあったように、前回に文明の言っていた未来が本当の事だと知ったマヤは、未来を変えられるかもしれないとし、亜美の父親の狂言にまんまとハマってしまい怒ってしまう。
 未来を知っていなければ、あるいはその狂言もアハハと笑い飛ばせたであろうが、自分が変えられる未来があるかもしれないと思っていたマヤにとっては、やり過ぎた冗談になってしまった。
 そこから彼女の生真面目さというのが分かって、文明に対する彼女とは違い、本来は素直で真っ直ぐな人であり、だからこそ行き過ぎた冗談を冗談と捉えられなかったマヤが見ていて興味深かった。
 それと亜美の方も、おそらく母親がいないであろう彼女は父親を愛しており、狂言と知れてマヤが怒るシーンで、自分でもやりすぎだと思う反面、愛する父を庇いたいという気持ちの中で逡巡し、激しいマヤの叱責に思わず手が出てしまうという、彼女の気持ちがよく見えるようにしてあるのが実に上手かった。
 お話の方は前フリではあるものの、そう感じさせない話の作りは見事で、マヤとその友人たちの青春話としておもしろかった。

 個人的に気になったのはこずえだ。こーゆー変な人はけっこう好みだったりする(笑)。
 しかしこずえは激走する軽トラの荷台で盛大に転がったりと、結構な悪運の無さだよなー。
 オカルトオカルト言って自ら渦中に飛び込んで、盛大にドジって危険な目にあっても、明るくめげずにいるんだから可愛いヤツである(笑)。
 まぁ、実際こーゆーヤツが居たら居たでうっとおしいんでしょうが(笑)。
 ともかく、今回からのこの話に次回どうオチをつけるか楽しみだ。


Episode.08 「まんま亜美〜ヤ!」

あれ?今ひとつコレといった所がなかったな。

 そんな今回のお話は…
 マヤと亜美が仲違い。二人は学院にいる間ずっと目を合わせず、そっぽを向き合う。
 放課後、マヤは文明と共にキャトルミューティレーションの現場へ調査に出かける。
 牧場では、何頭もの牛が全身の血を抜かれて死んでいた。マヤは亜美に呼び出され、皆神神社の境内へ駆けつける。
 亜美と対峙するマヤ。二人が口を開いたその時、こずえの悲鳴が聞こえてきて…!?
 以上公式のあらすじ。

 前回からの続きで、マヤと亜美の友情話。
 お話としては、皆神神社で仲直りしようとしたらチュパカプラに亜美が攫われ、マヤ、亜美の父、JK、スマイル、こずえ、そして途中でマヤたちに拉致された(笑)文明が彼女の救出に向う、という割と青春な流れで、個人的にはこれまでの「オカルト学院」っぽさが感じられなくて残念。
 では「オカルト学院っぽさ」とは何か?と言われると返答に困るわけですが(苦笑)、とりあえず今回はマヤと亜美のメインの部分が、どちらも仲直りしようとしていたという事は分かるので、見ていてどうなるんだろうという事もなかったし、オカルトという部分でも、チュパカプラ(だったっけ?)というあまり日本人には馴染みのないUMOであるし、一応キャトルミューティレーションの流れで出てきたものの、どうも唐突感があって乗り切れなかった。
 同じようなUMOでも、この前はモスマンは第1話から前振ってあったし、怪しげな洞窟に潜入してという流れもあったので特に違和感なく見れたが、今回はチュパカプラへ話を持っていくのがUFOの狂言からなので、てっきりそっちの方面かと期待していただけに、「なんでチュパカプラなんだろう?」と疑問を持ってしまったのが乗り切れなかった原因のひとつかもしれない。
 まぁ、個人的には真・女神転生IIIにも出てくるモスマンは馴染みがあって、「おお、なかなかマニアックな所を突いてくるじゃないか」などと思っていた所為もあるんでしょうが、それはそれ。

 お話の方としては特に上手く捻った箇所があったわけでもなく、ストレートにマヤと亜美という所を見せていた所為もあってか、物足りなさを感じてしまったな。
 5・6話のこずえ編では、彼女のキャラクターというのもあるけれど、オチに「メガネかよ!」と、思わず突っ込んでしまうような事が今回なかったのが残念。
 変に笑える所が絶妙のタイミングで入ってくる所が、このアニメのここまでの醍醐味だったので、それが無いとどうもフツーの田舎の女子高生のお話みたいに見えてしまったな。

 個人的にはやっぱりこずえが好きだ(笑)。
 見事なドジッ娘体質で、ことあるごとにスッ転んでメガネ探すし、今回も案の定チュパカプラに攫われて血を吸われているしで、きっと近くにいたらはた迷惑な事であろうが、見ている分には笑えておもしろいです。
 脇役のくせに存在感あるなぁ(笑)。


Episode.09「雪のあかり」

これ本当に1クールなのかしら?終わりそうな気配がないのだが。

 そんな今回のお話は…
 マヤのクラスで、降霊術の授業が行われる。純一郎の霊を降ろすはずが、実際に現われたのは、幼い少女・あかり。
 おうちに帰りたい――しくしくと泣くあかりを見て、マヤたちは彼女の家を探してあげることにする。
 文明も協力すると言い出すが、美風との約束が入ってしまう。美風にデレデレの文明。何となく面白くないマヤ。
 マヤたちはあかりを連れて町へ繰り出すが…。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、上記あらすじにあるように、恒例術で呼び出された少女の霊「あかり」が、せっかく家を見つけて連れて行ってあげたのに、そこに止まっているのか?という問題を提起する前編。
 そのあかりの事は、クリスマスイブに玄関の前で何故か待っていて凍死、ということだが、まぁ流れとして待っていた親父が来なかったという事なんだろう。
 しかし今回はマヤの父である純一郎の死から生まれ育った家を売却するという前フリがなされており、また、マヤも父に顧みられなかったという過去を持っているので、今回からのお話はそこら辺で展開をしそうだ。

 と、いうわけで、個人的にお話的な所で特に何かという部分はなく、何やらチラチラ見せていた事の方が気になった。
 ひとつは美風にデレデレする文明にかなりイライラしているマヤという部分。
 イラッと来ている事はもう見ていれば誰しもが分かる事ですが、なんでという部分が私にはよく分からない。
 どうがんばって見ても、マヤが文明に想いを寄せる要素は皆無なので、そういった色恋沙汰はまず外れるのだが、かといって他に思い当たる節が私にはない。
 まぁ単純に、どうも含みのあるような女に鼻の下を伸ばしている男を見ていてもおもしろい事は全く無い、という事なのかもしれんが、なんかその理由の分からなさが引っ掛かってしまう。というか、今ひとつマヤっぽくないなと感じてしまいました。
 もうひとつは、そのマヤが身につけている腕輪だ。
 この腕輪、毎回それとない所でよく見せているカットが多く、もしやこれが「ノストラダムスの鍵」なんじゃないかと私は思っている。
 そもそも学院内は文明が最初にこの時代に来た時にそれっぽいものがたくさんあり過ぎるという話だったし、それ以外の場所というのも今ひとつ考えにくく、他に思い当たるものと言えば毎回妙にそれを身につけているマヤを見せているのだから、そうなのではないだろうか。
 今回は特に腕輪を見せるカットが多かったし、今更なにか別の場所や物だったとしたら、それらのカットはなんだったんだろうという話になるしな。

 と、最終目標の事を気にかけているんだけど、もう9話で残り話数の少ないというのに「予言の阻止」という所で話は進んでいないのが気にかかる。
 気にかかるというのは、冒頭書いたように、これが1クールで本当に終わるのかしらという進展ぶりだからだ。
 残り2、3話でバタバタッと締めたりしないだろうなぁ。


Episode.10「暖炉のあかり」

むしろ事後の方がおもしろかったな。
 
 そんな今回のお話は…
 マヤたちは、あかりの父親・岡本健吾をつき止める。あかりのことを聞こうとするが、岡本は「帰れ」の一点張りで取りつく島もない。
 その帰り、マヤは一人、生家を訪れる。もうすぐ取り壊されてしまう家を見つめ、寂しげな表情を浮かべるマヤ。
 翌日、文明に呼び出されて行くと、彼は珍しく真剣な顔をして、マヤに告げた。「お前のことを、もっと知りたい――」
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはクリスマスパーティーをしてあかりを浄化し、事後に取り壊されたマヤの生家にて、オカルト学院創設の真意を知ったマヤが、決意を新たにするという内容。
 と、書くと簡単だが、お話としてはとても良く組み上がっていて、あかりの事件を通して、マヤの生家や父親への思いという所を組み込んで物語全体としての展開もしている。
 中盤にて取り壊される生家で、楽しかった思い出と共に、父がオカルトにのめり込んでいく様子も思い出したマヤは、あかりを送った後に、オカルト学院自体がマヤへの壮大なクリスマスプレゼントであった事に気付き、振り返らなかったのは自分であったと初めて後悔し、父を殺した犯人を捜し出す事と、ノストラダムスの鍵を入手し人類を救う事を新たに決意する。
 このあかり編が始まった時に、また随分とのんびりした展開だけど大丈夫なんだろうかと思ったものだが、しっかりと物語全体のシナリオとして、オカルト嫌いになって帰ってきたマヤという所から始まって、その発端となった父への理解を経て、今回まで来たこの流れは素晴らしい。
 振り返ってみると、こずえ編の終わりまでは文明を通して1999年以降の未来をマヤが知る、それ以降の亜美、あかり編ではそれまでを踏まえて、恨んでいた父の思いをマヤが知るという流れになっており、第1話で学院を潰そうとし、文明をまるで信じていなかったマヤが、これまでの騒動を通して気持ちが徐々に変わっていく様子をとても良く描いていてそれはもう見事なシリーズ構成と言えるんじゃないでしょうか。
 次回以降は、この物語の最終章になるんでしょうが、きっと上手く締めてくれるの違いないと確信している。

 さて、他ちょっと気になった所としては、やはり美風である。
 やっぱりこの人は胡散臭く、文明と美風、そして川島千尋が鉢合わせするシーンで、学長に呼ばれていると言ってその場から文明が立ち去るのを、意味深な表情で見つめていたのを見ると、UMA関係をことごとく潰していた川島千尋よりも、むしろ美風の方が怪しく見えて、学長殺しやそれに関するノストラダムスの鍵を追っていたのは彼女なんじゃなかろうか。EDのキャストもマヤ、文明に続いて3番目である事を鑑みても、重要なキャラであろうしな。
 しかしそうであったとして、彼女は一体何者でなんでノストラダムスの鍵を探しているんでしょうねー。案外、宇宙人だったりするんですかね?

 残り後3回。どうしてくれるのか楽しみです。


Episode.11「マヤの死」

宇宙人じゃないのかー。

 そんな今回のお話は…
 ノストラダムスの鍵の調査のため、マヤと文明は松代市外へ出る。
 対となる二つの面がそろうとき、皆神山が消滅するという言い伝えのある土偶の面――その一つと思われる土面が、長野市街で発掘されたのだ。  調査の一方、マヤはソフトクリームや土産物にはしゃいだりと楽しげだが、文明は一人、表情が暗い。
 脳裏に浮かぶのは、ある人物に告げられた言葉――神代マヤこそが、魔界の扉を開ける全ての鍵。
 文明は、ついに意を決して…!?
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、実は千尋は白魔術師でマヤの父からマヤの護衛を頼まれていて、それに対し美風は黒魔女でマヤこそが全てを魔界に飲み込む鍵だとして文明をたらし込め、本当のところは自らが魔界の入り口を開こうとし、それを邪魔するマヤを殺害を目論んでいる事が明らかになった。
 そんな美風からマヤを守るため、千尋はマヤを死んだと見せかけ……って感じ。
 展開としては、サブタイにもあるように「マヤの死」ということと、それから分かる真実というところだが、マヤの死にそれほどのインパクトが無かったのが残念。
 というのも、フェイクであることがすごくよく分かるからなんだけど、どうもそれはとても意識的にそうしているような気もする。
 文明と出かけて口論になり、靴を脱いだまま帰宅したというのに死体の方は靴を履いていたり、次回に満を持して次回辺りに登場するかと思っていたらBパートであっさり登場するしで、むしろこれは、見ている人が分かる事を見越して作っているのかもしれないな。
 「マヤの死」という事を受けての文明、という方をむしろ見せたかったのだとしたら上手く考えてあり、一概に残念とも言えないと思うのは考えすぎだろうか。

 もうひとつのポイントとしては、千尋と美風の正体、というところだろう。
 今まであからさまに怪しいと思わせておいた千尋は実は味方で、害がないと思われていた美風が黒幕である。という逆転のサプライズであったのだが、この感想で美風はどうも胡散臭いといつも言っていた私としては、特に驚きというものは無かった。
 個人的にはそっちよりも白魔術師、黒魔女という設定の方が気にかかってしまって、最終章ならやっぱ宇宙人だろう!という思い込みから、冒頭の感想が出たわけですが、いかにも男が弱そうな女であった美風が黒魔女としての本性を現すと、あんまりお近づきになりたくないような本性であったり、あんまりパッとしない女性だった千尋が白魔術師として顕現する様は実にカッコよかったりして、今回のもうひとつのメインとしても「逆転のサプライズ」という演出は見事にハマっていたのではなかろうか。

 しかし、この物語は最終的にノストラダムスの予言の阻止、で終わる事は分かってはいるものの、未だ鍵の特定はされておらず、しかも今回からの事態をどう収拾するのかよく分かりませんな。
 それと気になっているのは未来で「司令官」と呼ばれていたのは明らかにマヤの父ですよね?
 以前の文明が過去へ飛ぶシーンで、そうとしか思えない人物がいて気になっていたんだけど、これは一体どういう事なのか、そしてどうラストへ繋がるかが楽しみだ。
 それはそれとして思うんだけど、マヤたちが予言を阻止したとして、宇宙人に征服された地球という未来は消えないよね?
 これはアニメ「シムーン」でも語ったが、過去にさかのぼったとして歴史を変えても、そこに分岐を作るだけの作業としか思えないんだよな。
 このアニメで言うならば、宇宙人に征服された地球は予言の阻止が出来なかった過去があるから存在しているわけで、マヤたちが阻止に成功したとして、文明がいた未来がポッと無くなってしまったり、その未来が無くならないとしても宇宙人が突然消えるというのはどうしても考えにくく、阻止が成就しても宇宙人が来ない未来が新たに出来るだけだと思うんだよなー。
 時間跳躍して過去の改変ってのは、どうしてもそこがネックになるんだよなー。その辺もどう収めてくれるのか期待したい。


Episode.12「千の風、美の尋(と)めゆき」

見事に終わらしたなぁ。イヤ、まだ終わってないけども。

 そんな今回のお話は…
 純一郎を手にかけ、マヤの命を狙い、そして今、魔界の扉を開かんとする人物が姿を現わす。
 しかし文明は為す術無く、身動き一つ出来ない。解き放たれるモスマンやチュパカブラ。「魔女を殺せ」と声を荒げる町の人々。
 町の上空では、魔術の閃光が激しくぶつかり合う。亜美たちはマヤの魂を降霊しようと奮闘するが、その前に意外な人物が現われて…!?
 以上公式のあらすじ。

 お話としては前回から引き続きの黒魔女との対決から終焉までで、最終目標であった「ノストラダムスの鍵」の破壊を成就し、最初からの一連の騒動の決着を付けている。
 話としては、当然マヤが何らかして黒魔女をやっつけることは分かってはいるものの、そのへ行き着くまでにマヤたちがどうするか、どう黒魔女を倒すのかということと、物語の最終決戦というところの盛り上がりを見事に作っている。
 まぁ、内容的には「黒魔女を倒す」という事だけなのだが、それだけの内容で1本分持たすってだけでもすごいことだ。
 基本的には前回の引きから、千尋VS美風、逃げるマヤ、マヤの友人たち、文明とザッピングしながら見せていくわけだが、最終的に学院での「マヤと文明VS黒魔女」というところへ収まっていくので、ザッピング感を感じずにスムーズに流れていく展開が素晴らしく、また1クールという短い尺での物語で、今回に全てを詰め込んだふうでもなく、物語の最初からの一連の騒動を、ここで一応の決着を無理なく付けているし、次回最終回でのエピローグの為にしっかりと引きを作っているシリーズ構成力が見事だ。
 最後に詰め込み過ぎて話が散漫になっちゃったり、ものすごい物切れ感で終わる原作付きアニメがある昨今、これほど物語をスムーズに進めたアニメはなかなか無い。
 これだけでも十分称賛に値するんじゃなかろうか。いや、まだ終わってませんが(笑)。

 今回として特に印象に残った部分としましては、まずは千尋の最後だろうか。
 これまで彼女が書いてきたポエムは笑いとして使われてきたが、最後の局面ではそのポエムがシーンと見事に合わさり、状況と共に彼女の想いを上手く表している。
 最初は笑いの為のポエムであったが、むしろそのポエムはそのシーンの為の物で、ここで活かす為に敢えて前半で笑いにしていただろうことを考えると、やはり全体を通して話を見事に組み上げていたということだ。
 次に学院での最終決戦で、何の力もの無いふたりと黒魔女では戦力的に話にならないのだけど、マヤと文明の関係や学院創立の真相、そしてノストラダムスの鍵、とここで全てが収束されての大逆転なので見ていてとてもスッキリしたし、その逆転の為に物語上で全く無理がないというのも素晴らしい。おかげで今回のこのお話を没頭して見ることが出来た。
 最後にノストラダムスの鍵のことだが、美風は魔界の扉を開こうとしていたわけだから、言われれば「そりゃそうだ」と思うのだが、最初に「鍵」という事を説明していたので、「物」を想像させられていた私としては、鍵=人というところに頭に及ばなかった。
 鍵はただそこに存在しているだけでは鍵たり得ず、人が使ってこその鍵なわけで、そこまで考えてのストーリに感心しました。

 なんか褒めてばっかりですが、文句を付けるところが無く、それだけの出来だったと思います。
 後は、変わらなかった未来(?)という事と、マヤの父がどうして未来にいるか、そしてエピローグでどうこの物語を締めるのかを次回しっかりやってくれれば言うこと無しだな。


Episode.13「マヤの文明」

見事であった。

 そんな今回のお話は…
 1999年7の月、空から恐怖の大王が舞い降りる――。ノストラダムスの予言を巡る戦いが終わり、学院は平和を取り戻した。
 使命を果たした文明は、退職の挨拶をした後、2012年の未来へ帰ることを決める。
 そこへ、市内のホテルに宿泊している彼の母から連絡が入る。終業式で、ブンメー君の講演会が開かれるというのだ。
 しかし当時、学院へ来た覚えは無い――疑問に思った文明は未来に通信を入れ、恐るべき真実を明かされる…。
 以上公式のあらすじ。

 いやぁ、冒頭書いたように見事であった。
 前回全部終わって、後は回収し終えてない部分を回収し、エピローグで終わるのかと思いきや、まさかの「本当の鍵」のことや、文明の能力、母とのこと、マヤの父、そして最終目標であった「過去の改変」を全て辻褄合わせて終わらした。
 また、1本分という短い尺で、それらを詰め込むでもなくスムーズに、かつ、盛り上がりどころを作ってだから、もう拍手を送らざるを得ない。パチパチ。
 もう物語として私如きが言うことなどは全く無いだろう。
 
 ただ、個人的に難点を言えば未来の改変で、文明が身を挺して時空のひずみを消したことで、「宇宙人に支配された未来」を無かったものとしたことか。
 やはり個人的には既に成った未来が、過去へさかのぼっての修正で、それまであった未来が全く無くなってしまうのは腑に落ちん。
 以前この感想で言ったように、過去の改変は新たに分岐を作るだけの作業だと思っているのだが、このアニメはそこを上手いこと決着をつけていると言えばつけていて、文明が時空のひずみを消した時点で未来は変わっていて、その後は文明を過去に送り込んだことに関わった者達の空間だけが、以前の未来(変な日本語だが/笑)に取り残された格好になったのだろう。
 そこであの秘密基地(?)に居た連中が全員外に出て、変わった未来にその身を置いたことで、宇宙人に支配された未来は消滅したのだ。それはマヤの父が外に出て、振り返ってみると、秘密基地の入り口は無く喫茶店になっていたことでも分かる。
 まぁつまり、この物語での「過去の改変」はこういう具合だと結論づけたのである。それも違和感なく。それはそれで素晴らしい技量だ。
 個人的な難点というのは、その以前の未来が消滅してしまったという事で、未来が平和になってとっても幸せそうでいいのだけど、例えばその以前の未来で生まれた子供なども(おそらくは)いるわけで、そういうものも消滅してしまったことになってしまうのがちょっと引っ掛かったくらいであるが、まぁそれは自分の「過去の改変」という事への意見であって、この物語自体としてはこのアニメの流れは全く問題はないだろう。

 最後なので以下全体的な感想ですが、久しぶりにいいアニメ見たなと思わせてくれる内容であった。
 大風呂敷を広げ過ぎて、最後に大慌てで折り畳み、見事な詰め込みすぎ感を演出するアニメが多い昨今、全体としての物語の流れは抜群と言っていいだろう。
 最初はこの物語がどういうものか、主役のマヤと文明の人となりなどと紹介し、中盤からはそのキャラたちとの関係性や、最終目標の設定、マヤのオカルト好きから嫌いになった経緯が、分かってくることと共に変化していき、そして元凶に辿り着く。
 それが終わったかと思いきや、最後の最後でもうひと展開し本当の大団円を迎える。全くもって見事なエンタティンメントだ。
 個人的には最初の頃の途中で見事に差し込まれる「笑い」が、中盤からはほぼ無くなったのが残念で、この流れは最後まであっても良かったように思うが、今振り返ってみると、それも最後に向けて上手くワザと無くしていったように思えて、そこまで考えてのことであるならば、もうこっちは「あっぱれ見事なり」という他無い。
 と、文句が今ひとつ思い浮かばないくらい、1クール楽しませてもらった。正直な所もう1クール見たいくらいである。
 アニメが好きだというのならば、見ておいた方がいいだろう。と個人的には思います。
 ああ、あと物語として、これくらい上手く組み上げることが出来れば、そうそう文句を言う人もいないだろうし、物語を書いたり作ったりする人は、ひとつの参考としてもいいかもしれませんね。


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