俺の妹がこんなに可愛いわけがない 1〜12話

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第1話「俺が妹と恋をするわけがない」

予想に反しておもしろかった。

 そんな今回のお話は…
 ごく普通な男子高校生・高坂京介は、数年前からスポーツ万能、学業優秀な妹・桐乃とはろくに挨拶もかわさないという冷え切った関係になっていた。
 ある日、京介は萌えアニメのDVDケースが玄関に落ちているのを発見する。
 興味に駆られた京介が持ち主を探すと、それは意外な人物のものだった…
 以上公式のあらすじ。

 てっきり可愛くなかった妹が何かをきっかけに、実は「お兄ちゃん好き好き」だったってことが(視聴者的に)分かる、なんていう、いかにも電撃文庫にありそげ(失礼)な物語なのかと思っていたが、むしろそれを逆手に取って兄と妹、そしてオタク趣味を配してあり、おもしろいお話に仕上がっていて感心した。
 何が良いってまずは設定である。主役の京介はあらすじにある通り、ごくごく普通の人間であり、年頃の美人の妹を持ちながら、なんとも可愛くない妹だと思っていて、良くあるマンガやアニメのように、妹に家族以外の思いを持つ事のない人物である。
 対して妹は何でもこなす完璧超人で、少しとしの離れた兄を「キモイ」「ウザイ」と宣ういかにも年頃の娘なのだが、実は重度のオタク趣味で、なぜか「妹モノ」がドストライク。
 と、ここまで書くと、アニメ・漫画的に考えて、実は妹は兄が好きで兄をなんとかしようと妹モノのエロゲーなんかやっている内にハマってしまった。なんて展開がありそげではあるのだがそうではなく、妹が好きなのはあくまで「二次元」の「妹のようなキャラクター」であって、劇中リアル的にも二次元的にも、妹のオタク趣味に兄は全く関係無いのである。
 つまり京介(兄)と桐乃(妹)の関係は何ら変わりないわけだが、今回妹の趣味を知った事で、京介は元々あまり興味のなかった妹(ファッション誌の読者モデルをやっている事すら知らない)であったが故に彼女の趣味をバカにするでもなく、桐乃としても顔を知っている人間で唯一趣味を晒せた人物として、秘密の共有が行われ、これまでの冷えきった関係が劇的に変わりながらも兄と妹という関係性は崩さない、これが見事だ。

 お話としても良く出来ていて、オタク趣味な全く興味のない一般人の兄と、重度のオタク趣味である妹の思考のすれ違いがおもしろく、特には兄京介の「涼宮ハルヒの憂鬱」の主人公キョンのような独り語りとツッコミが見事で見ていておもしろい。
 京介が「妹」というものを「桐乃」と捉えているのは実際そうであるので当然の事だが、当の妹である桐乃は「妹」とは「二次元」の「妹のようなキャラクター」であって自分ではないと思っているようで、桐乃が二次元妹キャラを語るのに京介が「お前全然違うじゃん」と心の中でツッコミを入れる事でも、その思考のすれ違いが分かる。
 またオタクと非オタクと言うところでも思考の違いが出ていて、限定版と通常何の違いなどを全く解さない京介と、当然の如くコンプリートし胸を張って語る桐乃を見ると、同じオタク趣味を持つ者としてつい笑ってしまうな(笑)。
 特には桐乃が京介に劇中ゲームをやらせ、ゲーム中の「いつの間にか布団に入ってきた妹」に対しての選択肢で、「問答無用で、布団から蹴りだした」を迷いなく選ぶ京介に激怒する桐乃を見ても、それがよく分かるというものだ。

 もうひとつ興味深かったのは、両者の両者に対する思いだ。
 京介は、桐乃を「可愛くない妹だ」と思いつつも嫌っているわけではないようで、オタク趣味の親バレ防止に協力してやると言ったり、見つけてしまったDVDを躍起になって取り返そうとする妹にあっさり返したり、「出来過ぎる妹」に対しコンプレックスを持っているはいるが、年下の家族である「妹」に「兄」として思うところがあるようだ。
 対して桐乃は上記したように「妹」=自分と認識していない節があり、彼女は京介を対等と思っているようで、京介を「兄」であり「年上」である、ということをどうも全く意識していないようではある。
 京介が妹を攻略するエロゲーに、桐乃に「お前は「妹(キャラ)」が好きなのであって、他意はないんだな?」の問いに、何を言っているのか分からずポカンとし、直後に「兄と男女の仲になりたいのではないんだな?」と問われている事に気付き、「キモっ!」と返す辺りを見ると、男としても捉えていないようだ。
 これからこの物語で、この二人の兄妹が今回の出来事を経緯にどういう関係を築いていくか興味をそそられる。
 それは恋愛対象になっていくかという事ではなく、兄妹としてどうなっていくかが楽しみだ。
 間違っても凡百のアニメ・マンガのように妹が兄に惚れる事のないようにしていってもらいたい。

第2話「俺が妹とオフ会に行くわけがない」

いろいろと興味深いなぁ。

 そんな今回のお話は…
 クリアを命じられたゲームを進めていないことを問い詰められた京介は、桐乃にはオタク趣味を隠すことなく話せる友人が必要だと考える。
 幼なじみの麻奈実からのアドバイスで、SNSのオタク系コミュニティに登録し、コミュニティの管理人から誘われたオフ会に参加する桐乃だが…
 以上公式のあらすじ。

 いやぁ実に上手い所をついてくるなぁ。という印象。
 お話としては上記あらすじからオフ会に参加し、主要キャラである黒猫、沙織・バジーナと桐乃が友達になる、という話で、メイン所としてはそのオフ会に参加するという所だが、その前フリであるオタク趣味を隠していて、読者モデルなんぞをやっている桐乃としては、同級生にオタクバレしたくないという点があり、話はそこから始まる。
 同種の趣味を持つ友人がいない桐乃は、オタクが集まるオフ会にいわゆるイケてる格好で来てしまうし、話を振られても「いつも通り」にやってしまう為その場で浮いてしまい全く話が出来なくなってしまう。
 だがオフ会終了後、気を効かせた沙織が桐乃を黒猫と引き合わせ、同じオタク趣味ながらも趣味が違うふたりは口論となってしまうものの、表面上は対立しつつもなんだかんだで打ち解けるというのが今回の流れである。
 と、こう書いてしまえば簡単だが、展開としては実に良く出来ていて、妹のオタク趣味に巻き込まれた京介の解放されたいという思いや、勉強ができてスポーツ万能でがんばりやの桐乃がオフ会で味わう挫折、一般の常識が通用しない特殊な趣味の世界などなど、印象に残る部分を多く作ってくれている。
 今回のメイン所としては、オフ会で喋れなかった桐乃が気を効かせた沙織によって黒猫と引き合わされ、オフ会で全く喋れなかったふたりが、お互いの趣味趣向を貶し合い激しい口論となる所だろう。
 それを一般人である京介と沙織が上手くまとめていて、「初対面でよくこれだけ本気で喋れるもんだな」と言う京介の一般人の感想に、「お互い本気で好きな大切な物の事ですから」と返す沙織の台詞は、同じオタク趣味を持つものとして実によく分かるというものだ。
 さりとて我々は一般社会に生きているので京介のツッコミに対しても理解できるし、オタクを公表すれば白い目で見られる事も分かっているので、Aパートで桐乃が抱く不安も共感する事が出来るはずだ。
 つまりこのシーンは、同じ人種として思い当たる節がいくつもあり同調・共感せざるを得ず、結果、印象に残るシーンとなっているし、なにより、オフ会で挫折を味わい同じ趣味の友人を作る事が出来なかった桐乃を見せているので、ここで桐乃が黒猫と沙織という友人を得たのを見るとホッとしたような微笑ましいような気分にさせてくれる。
 展開として最初に問題提起され、それの解決のために浮き沈み、最後に浮く。と見事な抑揚を作っていて、最後までどうなるのかと興味を引っぱっている作りが見事で見ていて楽しかった。

 上記の他にも印象に残る所が多々あり、まずは主要キャラである黒猫と沙織だ。
 このふたりはキャラ設定が見事で、黒猫の方はまさに中二病で、こんな人はそうそういないとは思うのだが、いてもおかしくはないとも思えるから不思議だ(笑)。それに特徴である毒舌がオタクしているの妙で、沙織に背の高さに対し「今度からはサイコガンダムかビクザムと名乗りなさい」などとオタク的に上手いこと言っている辺りが可笑しい。
 沙織の方も、一人称が「拙者」、語尾が「ござる」、リュックを背負いチェックのシャツをズボンにINな出で立ちなかなり重度なオタクであるからか、その見事なオタク経験値が取っ付きにくい中二病の黒猫と、オタクと一般人を掛け持ちしている経験値の浅い桐乃を取り持っていて、この人物なくして今回はないと言っていい見事なキャラである。
 これからこの物語にこのふたりがどう関わってくるか楽しみだ。
 次は主役である京介だ。この人物は主人公である事、一般人である事、ヒロインの兄である事と役割が多いのだが、しっかりとその役割を演じていて見事だ。
 一般人であるが故のツッコミはツボをついているし、またなんだかんだで妹の事を世話していながらもそれに嫌味がない。特にはオフ会後、桐乃に「お前はよくがんばった。せっかくだから秋葉見学していこうぜー」とさらりと言って、落ち込んでいる桐乃を無理に励ますでもなく、いつも通りの自然体でいる所を見ると良い兄をしている。
 京介については個人的におもしろかったのは、やらされていたエロゲを終わらせ喜んでいる所で、彼は「やった、しおりを倒した!」と言うんですよね。
 普通、好きでやっているのならシナリオ攻略して「倒した」とは言わないよね?まぁ要するに、彼にとって倒すべき相手であり、つまりは嫌々やっていたものがようやく終わり、その苦行から解放された喜びである事がそこから読み取れる。そこから「ああ、彼はまごう事無き一般人なんだなぁ」と思いました。
 その次としては、これまであまり出番のない京介の幼馴染み「田村麻奈美」である。 彼女がどうこうと言うわけでは実はないのだが、気になっているのは彼女と京介の間柄だ。
 今回は桐乃にどう同じ趣味の友達を作らせるかと悩んでいる所に来て、「お前にゃ関係ねーよ、気にすんな」と言う京介に「私が落ち込んでいたら京ちゃんは『関係ねー』って見て見ぬ振りするの?」と返し、京介はそんな彼女を見て悩みを打ち明ける。
 また、麻奈美の助言を受け桐乃にオフ会を進める京介のシーンで、桐乃が麻奈美を「地味子」となじると京介は「オレはな、アイツの悪口を自分意外の口から聞くのが大嫌いなんだよ」と言う。
 第1話では一緒に登校していた事だし、このふたりってもしかして付き合っているんじゃないの?幼馴染みとはいえ、男女なら普通そうはならないと思うんだが、今の所それと分かる事は描かれてはおらず、彼女の役割が気になる所である。
 最後は桐乃なんだが、前回同様マンガ・アニメ的でなく、ごくごく一般的(?)な兄妹関係なのだが、京介が所々で良い兄をしているからか、桐乃がそんな兄をじっと見ると言うカットが割と何回かある。
 それに上記麻奈美の件でも「デレデレしているのが気に喰わなかっただけ」などと言っており、京介に対して何かしら思っているのではないかと思っていたら、次回サブタイはこのアニメとタイトルと同じ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」ということは、もしやそんな展開になってしまうのであろうか?
 個人的にはそれはあんまりおもしろくないような気がするのだがなぁ。どうかその一線は越えて欲しくはない。


第3話「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」

もうこれが最終回でも良いんじゃないかっていう見事な出来。

 そんな今回のお話は…
 オフ会で「黒猫」と「沙織・バジーナ」という初めてのオタク友達をみつけた桐乃。
 思う存分、オタク趣味を語りあい、充実した日々を過ごす。そんな桐乃の様子を見た京介は安心する。
 「人生相談」も終わり、元の日常にもどるかと思われた、ある日。京介が帰宅するとただならぬ気配が…。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、厳格な父に桐乃のオタク趣味がバレちゃったので、京介がなんとかするっていう、簡単に言えばそんな話。
 まぁお話の展開としてはそれだけなんだけど、そのそれだけを今回までのお話のとりあえずの締めとして見事な盛り上がりとオチを作って締めくくっている。だから冒頭に最終回でもいいと書いたのだ。
 メイン所としては、厳格な父に桐乃のオタク趣味がバレて、オタク趣味をやめさせられそうになるのを、父に何も言い返せなかった桐乃の変わりに京介が親父と対決するシーンで、もちろん印象としてはそこが一番残るのだけど、ここがただ良かっただけではなく、そこに至るまでがあるからこそ、このシーンが活きるのだ。
 今回のお話だけでもそれは成り立つのだけど、1話で京介が桐乃の趣味を知り、2話で友達を作ってというこれまでの流れも大事で、今考えると今回の山場、親父との対決シーンのたを1・2話使って前フッたとも言える。
 その前フリに1・2話内でも一本の話として見所を作っているのも見事だが、今回のお話の中でもちゃんとそういう流れをしていて、最初にオタク仲間が出来て楽しく遊んでいる桐乃の様子、巻き込まれた格好の京介が解放された事などを見せ、一件落着して桐乃も京介もそれぞれの生活に又戻っていったように思わせておいてあるのだが、その直後に親バレという問題が起こり「どうなっちゃうんだろう?」と思わせてくれる。
 ここですぐに親父との対決にならずにワンクッション置いて、家から飛び出していった桐乃が京介に自分の気持ちを吐露するシーンがあるのが良くて、黒猫と沙織に親バレについて「するべき事をしていれば、趣味は誰に恥じる事もない」との言葉にその通りだと納得していた桐乃だが、それを父に言えなかった事、でもそれを京介には伝える事が出来た。学業優秀、スポーツ万能、容姿端麗な桐乃も中学生の女の子であり完璧超人ではないのだ。
 ちゃんと学生としての本分を全うしても、自分が大好きなモノをくだらんと一蹴され、また、それに対し言い返す事が出来なかった自分が悔しくて涙見せる。そんな普通の女の子であること見せるのと同時に、学校の自分も、モデルやっている自分も、アニメやゲームが大好きな自分も全部ひっくるめて自分なんだから、どうあってもオタク趣味はやめないと熱く語る桐乃は、同じ趣味を持つオタクとして共感せざるを得ない。
 このワンクッションが、平静だったAパートが最後の親バレでガクッと下に折れたテンションをぐぐっと持ち上げており、桐乃の気持ちを受けて親父と対決する京介のところで最高潮へ持っていっている、この1話内でのテンションの振れ幅が見事だ。
 そして今回のクライマックス親父との対決へといくわけだが、ここでも徐々にヒートアップしていくのが良く、京介が何とか桐乃の趣味を認めさせようと、厳格な父に対してカードを一枚ずつ切っていくのと同時にテンションがあがっていくのが熱い。正直な所、大人としては(特に親として)切り返せる部分は割とあるんだけど、妹の趣味を守ろうと必死な兄を見ては父も折れざるを得ないだろうというもの。
 まぁ、ここまではアニメとギャルゲの話なのでいいのだが、エロゲの話はそれまでと展開が違うというのがおもしろい。
 アニメ・ギャルゲの話は単なる趣味なので、親としての正論を、桐乃はがんばって結果も出しているんだからちょっとした趣味くらい認めろという正論で返してきたが、さすがにエロゲは18禁、こればっかりは正論をひっくり返せない。それまでの話は京介が自分で見て感じて桐乃自身からも聞いた本当の事であるからこその説得力であったが、このエロゲに関しては、「妹」を助けるために「エロゲは全部オレのモノだ」と完全な嘘をつく。つまり京介は身を削って妹を守ったのだ。
 そこから考えても、正直妹が趣味をやめさせられた所で、オタク趣味でもない兄としてはなんも痛くもないし、妹の趣味を認めさせるにしたって父から殴られたり自ら株を落とすような事をしなくても良いはずである。
 でも京介は、人生相談に乗ってやり、黒猫と沙織という友達が出来るまで話し相手になってやり、初めていくオフ会を見守って、惨敗するも励まして、飛び出した妹を追いかけて思いの丈を聞いてやり、趣味を守ってやると、どこをとっても良い兄である。
 この物語の最初の設定は「冷えきった兄妹関係」であるのだが、そんな良い兄と桐乃はなんでそんな関係になってしまったのかが気になってしまうな。
 まぁそれは、前回一日中いなかったふたりに対し、何をしていたかを聞かれたのが桐乃だけで、「オレは聞かれないんだ」とモノローグで語った京介から分かるように、男だしという事もあってあまり気にされないというのもあるし、なによりそれまでは何もなかったのだ。
 特に部活や勉強をがんばっているわけでも、桐乃のようにモデルなどをしているわけでもなく、幼馴染みの女の子と割とイチャイチャ(?)している普通の高校生であった兄は、桐乃にとってただの家族の男だったのではなかろうか。
 しかし問題は起こり、京介は兄として妹を応援し、見守って、そして大切な物を守った。今回のラストシーンで桐乃が劇中で初めて京介を「あんた」ではなく「兄貴」と呼んだのは、京介が桐乃にとって「お兄ちゃん」になったという事なのだが、当の京介は自分がした兄として行動に、桐乃が「妹」として返してきた事に気付いておらず、今回のサブタイとこの物語のタイトル「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」で見事なオチをつけて終わっている。ここまでの3話、全く文句をつける所のないいい出来であったのは、これまでの感想の分少量から見ても分かるというものだ(笑)。

 最後にやっぱり気になるんだけど、京介と幼馴染みの麻奈美って付き合ってるよね?どう見ても。今回のなんてある意味図書館デートじゃん。
 その前のベンチでのシーンで、眠そうな京介に膝枕どーぞ!とポーズを取る麻奈美に、気付かないフリ(であろう)する京介とか惚気ですよね。
 その前の電話のシーンも人生相談を受けていたという話に、意外そうな顔している事を言い当て、そんな気がしただけだとか言ったりと、恋人同士のイチャついた会話にしか聞こえねーよ。
 このふたりの関係、明らかになるのかなぁ。すげー気になるんですけど。
 
 まぁ、ともかく、一区切りついちゃったこの物語を、今後どう展開していくか楽しみだ。これまでの流れからして、妹の問題を兄がなんとかしなければいけないんだけど、これからそんな問題が発生しそうもないのだが、どーするんですかねー。


第4話「俺の妹が夏コミとか行くわけがない」

桐乃、可愛くねぇな(笑)。 
 
 そんな今回のお話は… 
 ある日、高坂家に桐乃の表の友人、新垣あやせと来栖加奈子が遊びにやってくる。 
 桐乃から友人たちとは顔を合わせるなとキツく言われる京介。そこに宅配便が届くが、高級化粧品の外箱に惑わされた桐乃は京介から荷物を奪い取る。 
 実は荷物は沙織・バジーナからのもので、表の友人には決して見られてはならないものだった。 
 以上公式のあらすじ。 
 
 お話はどうも前後編の前編?のようで、見事に前フリと言った様相ではあるものの、サブタイの「桐乃初めての夏コミに行き楽しむ」を上手いこと作ってあると言える。 
 どうせ桐乃が夏コミ行きたいとか言いだして……な話かと思っていたのだが、Aパートでのドタバタでしっかり夏コミにいくまでフラグを立てていて、話を起承転結させているのは上手い。 
 今回のラストでは、桐乃のモデル友達「あやの」に見つかってしまいさぁどうするという所で引っぱったのだが、Aパートで割と脈絡無く桐乃の友達が撃ちにくるというイベントが、ここへ繋がってくるんだから、話の構成としては良く出来ている。 
 展開としては、Aパートでのクラスの友達との桐乃と、Bパートでのオタク友達と行く夏コミという所で、桐乃のある意味二重生活を見せていて、どちらの方も上手いことやっている彼女を見せて、最後に綾乃に見つかってしまうことで「ああ、この後どうなってしまうんだろう」と興味を引かせているし、なによりその二重生活の狭間で、なんだかんだと巻き込まれる京介が見ていておもしろい。 
 そんなそつのない展開は、特に衝撃的な何かがあったわけではない今回として特筆すべきなんじゃなかろうか。普通に楽しんでみれるという事は素晴らしいことだ。 
 まぁただ、あんな弾き方をされると、丸っと一本前フリかと思わざるを得ず、なんか妙な気になりますな。 
 
 個人的に気になった所としましては、冒頭書いたように良い意味で桐乃が可愛くない(笑)。 
 なんであんなに高圧的なのか。オレなら蹴りの一発でもくれてやり、ぐうの音もでないほど説教たれてやる所ですが、京介の方はと言うと、まぁ随分と言うことを聞いてやっておりその点では良い兄貴ではあるんだけど、もうちょっとなにかしら言ってやっても良いような気がしますな。 
 そういえば、Aパートで友達が来るからなのかワンピースを着ており、いつもと違うなぁなどと思っておったら、おぱんつと妹の乳揉みを見せるためだったんですなぁ(笑)。そう考えると結構あざといですが、ワンピース好きとしては可愛いワンピースだったので良し。(うわ、すげーどーでもいー) 
 その他としましては、桐乃の友達「あやの」なんですけど、なんかコイツは腹が黒そうな感じがするのは気のせいですかね。 
 京介に中学生としては妙に良く出来た対応をしていたのは、逆にすごく裏がありそうな気がする。そんな感じがするので、今回のラストであんな所で偶然かのようにいた彼女は、実は尾行しいていたんじゃねーのかと予想してみますがはてさて。 
 
 と、今回として思った所はこんなモノで、問題らしい問題はラスとで起こり、しかも引っぱっているので、見事な前フリになってしまった今回より、むしろ次回の方が気になるのは見事に制作者の策略にハマってしまったと言えるだろう。 
 しかし次回のサブタイは「俺の妹の親友がこんなに××なわけがない」なのだが「××」ってなんなんですかね?「キチ○イ」?(笑)


第5話「俺の妹の親友がこんなに××なわけがない」

で、「××」はなんなのさ。 
 
 そんな今回のお話は… 
 楽しかった夏コミの帰り道。そこで偶然であったのは、桐乃の親友・新垣あやせだった。 
 黒猫と沙織・バジーナの機転にも関わらず、動揺のあまり桐乃は、あらぬことを口走ってしまう。 
 その場を立ち去ろうとする桐乃と京介だが、あやせの追求は鋭い。押し問答を繰り返すうちに… 
 以上公式のあらすじ。 
 
 「××」は病んでる百合かな?当たらずとも遠からじ、なんでしょうか? 
 まぁそれはさて置き、お話としてはちょっと弱い感じだよな。今回の流れは桐乃の親友あやせにオタク趣味がバレてしまい、仲違いしてしまったふたりの仲直りのお話。 
 桐乃を好き過ぎるうえにオタク趣味を完全否定するあやせに、どう桐乃の趣味を認めさせるか、という所がポイントなわけで、TVからの情報でオタクを完全に犯罪者予備軍と思い込んでしまっている彼女をどうひっくり返すのか楽しみにしていたんだけど、上記したようにどうもちょっと弱い感じがするのは、彼女の論理をひっくり返した感が無いからだ。 
 まぁ劇中的には京介が事実を元にひっくり返してはいるのだが、この桐乃とあやせの仲違いの件は本質がそこでないからだ。 
 そもそも、あやせは桐乃を好き過ぎて、桐乃が親友の自分より忌み嫌っているオタク趣味を取った、と思っていることが問題で、むしろ重要なのは桐乃にとってその趣味もあやせも同等に大事にしているということを理解させれば良い話なのは、見ていてすぐに分かるんだけども、お話は途中まで「オタク趣味を毛嫌いしているあやせにオタク趣味を認めさせる」という流れで進んでいる。なので見ていてなんか話がズレているような気がするのだ。 
 そんな流れでいって桐乃とあやせが対峙したシーンで本質部分がようやくぽっと出てくるので、なんかテンション下がっちまったよ。 
 そのシーンも桐乃がヒーロー物の登場シーンのように出てくるし、そのズレた話で長々とご高説をたれてくれるも大して良いこと言ってないし、そもそもそれは学校でした話しちゃうんかい。 
 公園で対峙するふたりのシーンは、要は桐乃がどっちも取るのだと言った所さえあれば良かったわけで、本来ならば今回の山場であるそのシーンは、そういった理由で随分無駄なところが多かったように思うし、桐乃のご高説が頑なあやせをひっくり返したように見えなかったのも相まって、劇中の盛り上がりに反して私としては対して盛り上がらなかったな。 
 むしろ桐乃の「どっちも大事」を理解しつつも、エロゲやエロ本をどうしても許容できないとするあやせからの流れの方がおもしろく、京介が場を収めるためについた「オレは妹が大好きだ」という大嘘は、彼の本心を少し吐き出していて、京介が桐乃が言うほどダメな兄ではないのはそういう理由かと理解できる良いシーンなのではないだろうか。 
 それに関しては桐乃の方も、自宅で京介と言い争うシーンで本心を吐露しており、要するに桐乃は京介にかまって欲しかったんだという事が分かったのは良かったのだけど、私としてはそんなのそこいらにある「お兄ちゃんスキスキ」な凡百なアニメやマンガと一緒で今ひとつ面白味に欠けるな。 
 まぁタイトルが「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」なんだから、妹が可愛いのは良いんだけれど、どうせならもっと家族的な可愛さであって欲しかった。ちょっと「萌え」の方に天秤が傾いているのが気になった。いやまぁしかし、電撃文庫の作品としては間違っていないんだろうなぁ(笑)。 
 
 とまぁ今回としては、どうやって相手をひっくり返すかをちょっと課題に期待し過ぎてしまった感があったな。 
 よくよく考えてみれば、桐乃が大したこと言っていないのもコイツ中学生だし、それであれだけ言えれば大した物と言えばそんな感じでもあるので、それを考えて作ってあるんだとしたらなかなかのもんだったのかもしれない。 
 そんな私としては次回の「俺の幼馴染みがこんなに可愛いわけがない」の方が気になる所で、どう見ても付き合っているとしか思えないふたりが、本当は一体どんな関係なのか興味津々です。ってゆーか付き合ってるんじゃないのか?


第6話「俺の幼馴染みがこんなに可愛いわけがない」

アレは麻奈美が誘っているんじゃないのか?とか思っちゃうよなー。

 そんな今回のお話は…
 友人の赤城から麻奈実との関係について問われる京介。恋愛関係ではないが、他人に取られるのはイヤだと答える京介に、呆れる赤城。
 そんなおり麻奈実の実家の和菓子屋でフェアを開催することになり、新しい菓子の試食することになった京介。
 自分の家より居心地の良い麻奈実の実家で心やすらぐ時間を過ごす。
 以上公式のあらすじ。

 お話は京介が長馴染みである田村麻奈美の家に泊まるという話で、引用したあらすじの「自分の家より居心地の良い麻奈実の実家で心やすらぐ時間を過ごす。」はかなり的を射ている。
 やっている事としたら、ホントそんだけなのだが、内容としてはよく分からなかった京介と麻奈美の関係と、端から見ると付き合っているとしか見えない二人だが、京介は彼女の事をどう思っているかを、久しぶりに幼なじみの家にやってきた京介の日常と同時に描いていてすんなり見れる。
 京介が麻奈美をどう思っているかは、アバンであっさりと語られ、京介は「幼馴染みで恋愛感情は無いが麻奈美が他の男と付き合うのは許せん」というなんだかよく分からないスタンスだ。しかしサブタイから見て分かる通り、前述したスタイルながらも、彼女の所々にドキッとさせられている。
 だが寝る前のシーンでも分かる通り、京介は現状維持を望んでおり今のこの中途半端とも言える関係を壊したくないし、どこまでそうでいられるか分からないけれど続けていきたいと望んでいるようだ。そういう思いがあるからこその「恋愛感情は無い」なのであろうが、京介のそれは恋愛感情が浮かばないように、友人の赤城に語った事で覆いかぶして自分でも分からないようにしてしまっているように見える。
 しかしそれもまんざら分からんでもない感情で、まぁつまるところ今がとっても居心地が良いのであろう。それをわざわざ壊すことは無いし、壊そうとする輩は許さんということなんだろう。
 まぁ事なかれ主義と言ってしまえばそれまでだが、自分もそんな感じなので彼の気持ちに同調してしまう。そもそも、こういうなんでもない時ってのが一番楽しかったりする物だしな。

 一方、麻奈美の方はと言うと、明らかに京介の事を気にしてはいるのだが、こちらも幼馴染みという事があって逆に気にしなさ過ぎなところもあり、京介と違って仲が進展すればいいなーとはほんのり思ってはいるけれど、やっぱり彼女も今が一番居心地が良いのであろう。
 見ていて思うのだけど、コイツさりげなく腕を組んでいたり、じじいに京介と一緒に突き飛ばされた際は、絶対そうはならないだろう足の絡ませ方をしていたりと、節々にそれと無い仕草をしていたりするので、案外腹黒かったりもするのかもしれないな(笑)。  しかしこのふたり、じじいがぼそっと言ったように、端から見ていると「もうお前ら結婚しちゃえよ」というような仲の良さであり、まぁ見ていて「幼馴染みいいなー」と思わせてくれる。
 まぁ実際の所、異性の幼馴染みなんてのは、思春期の頃に疎遠になってそれっきりってのが一般的なのであろうが、自分の家よりゆっくり出来る幼馴染みの家でゆっくり過ごす京介と麻奈美は、今のその現状を楽しむ高校生していて見ていて結構気持ちが良い。
 さて、メインヒロインの桐乃の方はと言うと、麻奈美の家でくつろぐ京介たちにカットインしてくる程度であったが、これがなかなか興味深い。
 前回、気持ちをほんの少し吐露した彼女の台詞「今まで散々放ったらかしにしといたくせに〜」から、今回の家に帰ってこない兄にいらつく桐乃を見ると、この物語が始まった時の「冷えきった関係」はこのような事が原因だったのであろう事が何となく分かる。
 結局兄にかまって欲しかった桐乃だから、読者モデルなんぞをやっていたり、学業やスポーツ万能なのも、本当は兄に振り向いて欲しかったから、なのかもしれないし、妹キャラ好きのオタク趣味も、きっかけは兄に好かれる妹とはどんな物かと手にしてみた結果なのかもしれない。まぁそれは今となっては「妹キャラ可愛い」の方が勝ってしまっているのだが。
 とまぁ以上は私の想像(妄想?)ではあるのだが、そんな事を思わせてくれるというのは見事で、この桐乃のカットインが無ければ、単に幼馴染みの家にお泊まりしにいくだけの話になってしまうが、これがあるから「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」として成り立っている。

 特に何か大きなイベントが無いお話ではあるのだが、それでも楽しくみれるというのは素晴らしい技量なんじゃないですかね。


第7話「俺の妹がこんなに小説家なわけがない」

イタいよ!見てらんないよ!!

 そんな今回のお話は…
 ある日、帰宅した京介は、なぜかリビングで一人たたずむ黒猫に驚く。
 「星くず☆うぃっちメルル」を鑑賞するために高坂家にやって来たのだが、桐乃と黒猫、それぞれの創作物に関することでけんかになってしまったのだ。
 仲裁のためそれぞれの言い分を聞いてみる京介だったが……。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、あらすじにあるのがAパートで、要約すると「桐乃と黒猫、仲良くケンカしな」という感じ。BパートはAパートの小説という部分だけを引っぱり、ようやくサブタイの流れとなる。
 Aパートは一見黒猫と桐乃の大喧嘩のようなお話だが、劇中の京介のモノローグにある通りケンカばっかりの彼女らだが「コイツらどんだけ仲が良いんだ」ということを見せており、なんだかんだ文句を言いつつ二人は互いの自作小説をちゃんと読んでいるし、メルルの件も黒猫は文句ばっかり並べ立てているものの、それはしっかりとメルルを見ているからこそ言えるわけで、パッと見て仲の悪そうな二人を京介というフィルターを通す事で上記した仲の良さを表している。
 Bパートは携帯小説みたいな桐乃の小説が雷撃文庫の編集に目が留まり本を出すという話になり……ということから、クリスマスイブにお兄ちゃんとデートしたかった桐乃が取材と称しデートするという話。

 とまぁ今回のお話としては私としたらどーでもいーんですよ。何故かと言うと冒頭書いた事で、今回の桐乃がイタ過ぎて見てらんないのである(笑)。
 まぁ桐乃は今時の中学生でもあるので多少ギャルなのはいいのだが、携帯小説をはじめ、メルルのDVD鑑賞し始めた瞬間からテンションMAXであったり、OPをノリノリで(振り付きで?)歌っていたりと、イタいオタクそのまんまで、ぶっちゃけオタクのオレが「こんなふうにはなりたくない……」と思ったくらいだ。そもそも前回で抱き枕買っていたしなぁ実家暮らしなのに。それでごろごろトローリングしているし、オレ的には抱き枕は踏み込んではいけない一線だと思っています。
 Bパートの方も、もう借りていたノートPCでエロ動画を見ている事が知られてしまった京介というのがあったのだから(実の妹にそんなのが見つけられる京介もイタいよね/笑 履歴消去はこまめにね)、「お詫びに24日にアクセ買って」と素直に言えばいいのに。  そんな妹の想いが分からない京介が皮肉ると、自らバケツの水かぶったりして気を引いたりして、なんかもう全体的に見てられないよ。イタいよ!ぶっちゃけホントに可愛くないよ!(笑)
 どっちかって言うと個人的には桐乃より黒猫の方がいいなぁ。まぁ邪気眼ではあるものの、おとなしいし論理だっているしで桐乃よりは付き合うのがはるかに楽そうだ。
 そーいえば黒猫って普段がどんなんなのか語られていないな。そもそもこの人何歳なんですかね?

 最後に、ずぶ濡れになった桐乃のためにラブホテルで急場しのぎするわけだけど、そこに京介の携帯に電話をかけてきた麻奈美。「もしかして京ちゃん、女の子と一緒にいる?」ですよ。
 なんで女の子ってこっちの都合が悪い時にニュータイプみたいな勘を働かせるんですかね?そら男は勝てんわ。


第8話「俺の妹がこんなにアニメ化なわけがない」

前回と同じく桐乃がイタい。

 そんな今回のお話は…
 作家デビューした桐乃。読者からの反応も上々だったが、担当編集者からさらにうれしい報告をされる。
  彼女が書いた小説がアニメ化されることになったのだ。アニメスタッフとの最初の打ち合わせに黒猫と 沙織をともなって参加する桐乃。
 しかし、打ち合わせは思わぬ方向に進んでしまう。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、桐乃の書いた小説がアニメ化の運びになり、喜び勇んで打ち合わせに行った桐乃だったが、原作者としての彼女の希望は殆ど通らなかった。というのも実は穴埋め企画だったためであったが、それを知った京介が桐乃のかわりになんとかする。という話。
 正直今回は「なんじゃこれ」という感じではあり、Aパートで喜び勇んだ桐乃のイタい発言を長々と聞くはめになり、Bパートは京介と黒猫が、あんまりやる気のないアニメ制作会社の連中をやり込めるっていうだけだものなぁ。基本的に喋っていただけという印象しかない。
 話的には要するに、凹んじゃった桐乃を見て京介がなんとかしちゃうって言ういつものパターンなわけだけれど、京介や黒猫が言う事ももっともなんですが、そんな上手い具合には行かないだろうよと思ってしまう。
 そもそも、一人の原作者の思いが反映されず、多人数の制作会社の都合等々が勝るという所に、Bパートからの反撃があって相手を折れさせる、相手が考えを改めるようなことを言う事で、条件が変わり立場が弱かった原作者の希望が叶う。つまりは判官贔屓的なカルタシスがあるわけですが、劇中あったように、桐乃は随分と恵まれていて、Aパートでのイタい発言もあり、全く桐乃を贔屓しようという気が起こらない。
 凹まされた桐乃を「可哀想だなぁ。なんとかしてやりたいなぁ」という気持ちがあってはじめて大きな体制に「いっちょやってやる」ことがおもしろいのであって、桐乃の方になんとも思う所がないので、「原作通りにならないのはむかつくのでやり込める」という具合に見えてしまったよ。
 まぁそこは、無条件で妹の味方をする京介がいるので、なんとなく「桐乃のため」みたくはなってはいるのだが、論戦のシーンで桐乃が居ない事もあり、彼女が蚊帳の外のような気がしてならないなぁ。まぁ実際蚊帳の外ではあったが(笑)。
 なによりそのBパートの事を桐乃に内緒にしてしまったので、事情を知らない彼女が事後に「なんだかんだで希望通ってんじゃん」などとタカをくくっておったのがむしろ腹立たしい。
 桐乃は最初はタイトル通り可愛かったけれど、回を重ねるごとに可愛くなくなっていくなぁ……。

 というわけで、今回はそんなもんである。正直に言うと早見再生して見てしまったよ。特にAパートの桐乃はイタ過ぎてホント見てられない。
 まぁ彼女はリアル中二なので、中二のイタさを見事に表現していると言えるのかもしれませんね。でも見ている方はつらいよな(笑)。  ああ、そういえば、今回沙織は渦中に居はすれどもなーんもなかったですな。どうせなら何かあっても良いと思うのだがなぁ。ニンともカンともでござる。


第9話「俺の妹がこんなにエロゲー三昧なわけがない」

相変わらずイタいヤツだ。

 そんな今回のお話は…
 ここ数日、妙にそわそわとしている桐乃。その原因は、注文した妹ゲームが届かないことだった。
 ようやく届いたゲームにテンションMAX状態になる桐乃。
 そんな、桐乃、京介、黒猫、沙織たちのある一日を描く。
 以上公式のあらすじ。

 お話はあらすじの最後の一文通り、各キャラのある一日を描いていて、特に展開的に大きく動いたというわけではなく、両親が出かけているのを良い事に、桐乃が家でエロゲーやっている事他のキャラたちは……という内容。
 日常という点では、これまで分からなかった黒猫の部分が尺を取っていたしお気に入りという事もあって興味深く、桐乃が愛して止まない「妹」のような妹をもっている黒猫というのもおもしろいし、普段魔力だ云々言っている彼女が、木造平屋建てのお家で質素な生活をしているギャップもおもしろい。
 またジャージ姿で良いお姉ちゃんしている彼女が、イベントの予行練習なのか、いつもの服でなりきっているのを妹たちがそっと見ていて、下の妹はちびっ子が故に黒猫の特異性がよく分かっていないのであろうが、上の妹が「ええ〜!?」みたいな顔をしているのがちょっとツボってしまったよ(笑)。

 そんなインターミッション的な今回のお話であるが、お話としてはなかなかおもしろい所を突いてきている。
 今回のメインとしては、当然サブタイ通りエロゲしている桐乃なんだけど、劇中のこのゲームキャラの「りんこ」は桐乃そのまんまなのである。
 ツンツンしている「りんこ」に可愛くねぇだの文句たらたらの桐乃は、視聴者的に「お前と同じじゃねぇか」と突っ込みを入れたくなる様だが、ガキ中ゲームが進んでいくにつれ、桐乃という人物が見えてくる。
 「りんこ」はワザと桐乃に似せて作ってあるわけだから、きりののしんじょうは「りんこ」という事なんだろう。という事を踏まえてゲームのエンディングを見てみると、「りんこ」はずっと前に「おにいちゃん」と公園で会っていて「ずっと好きだった」というEDシーンに、桐乃はうつむいて唇を噛むのである。
 という事は、京介と桐乃は義兄妹……なんて事は無いだろうが、おそらくは幼い頃の公園での出来事が、京介と桐乃の兄妹関係をこじらせたきっかけなんじゃなかろうか。
 最後のシーンでは、桐乃は「りんこ」の台詞を言っていたけれど、それは何かしらの期待を込めているのではないだろうか。ゲームのように京介が何かフラグの立つ選択肢を選んでくれるのではないのかと。
 だから京介の「おやすみ」はもしかしたら、桐乃にとってフラグの立つ選択肢だったのかもしれないな。
 まぁそれは憶測でしかないのだけれど、今ここで意味ありげにそういうシーンを見せてきたわけだから、これからそんな「きっかけ」の事を突っ込んで来てくれるであろう事を期待したい。

 今回はそんな上記物語としての部分も気になったが、個人的にもっとも気になったのは「桐乃のぱんつ」である。
 いや待て。別に「桐乃たんのおぱんつヒャッホ〜イ!」などと言うつもりはないので安心して欲しい。気になるのは京介にぱんつを見られた桐乃がどういう気持ちであったか、という事だ。
 状況を見てみると、劇中ゲームでエロシーンにはいる前に、極度に感情移入してしまっている桐乃はニヤついた顔で「ちょっと待っててね。シャワー浴びてくるからね」とイタい行動を起こし(笑)、脱衣所の前で京介と鉢合わせ、うっかり替えのぱんつを落としてしまい、京介にそれを指摘された桐乃は顔を真っ赤にしてビンタする。という流れだ。
 普通に考えれば、お兄ちゃんにぱんつ見られた→恥ずかしい・照れくさいなどの思春期女子特有の複雑な羞恥心→とりあえず気持ちと状況を変えるためにビンタ。という具合だが、これ、ちょっと突っ込んでみるとよりバカでおもしろいシーンになっている。
 桐乃は脱衣所に行くまでは、上記したようにエロゲに感情移入しまくって、ゲームの妹とのエロスシーンに自分もシャワーを浴びてくるというイタい行動をしているわけで、となると、桐乃の落としたそのぱんつはきっと「勝負ぱんつ」だったに違いないのだ。そんな大事なぱんつ(笑)を見られてしまったのである。しかも兄に(笑)。
 つまり、やる気マンマンの桐乃は、お兄ちゃんにぱんつを見られて恥ずかしいのと、それがまた「勝負ぱんつ」であったこと、さらには京介が分かろうはずもないのだが、自分がそのぱんつを履くという事はやる気マンマンであることがバレてしまったかもしれないという恥ずかしさの三重苦に陥ったわけです。
 風呂場であんなに落ち込んでいたのはきっとそういう理由なんじゃないかと思うと、バカっぽさが際立っておもしろい(笑)。

 とまぁ展開的にはなんもなかった今回ではあるが、いろいろとおもしろいお話ではあったように思う。
 どーでもいーけど、引きこもってエロゲーしている桐乃に、「アイツ、どっか行かねーかな?」などと京介は言っておりましたが、自分が外に出れば良いのではなかろうかね?家に一人なら桐乃も自分で慰めるくらいの事をしたろうに(笑)。
 ああ、そういえば、私はエロゲギャルゲの類いをやらないので全くわからないのですが、そういうゲームを好きでやっている皆さんは、劇中の桐乃のようにお気に入りのシーンや音声を聞いて、ベットでローリングしたり悶えたりするもんなんですかね?いや、ないですよね?そんな事する人いませんよね?


第10話「俺の妹がこんなにコスプレなわけがない」

タイトルに反して桐乃がどんどん可愛くなくなっていくんですけど……。

 そんな今回のお話は…
 ある日突然、京介はあやせから呼び出される。桐乃にプレゼントをしたいが、何が一番喜ぶか教えてほしいというのだ。
 リサーチのため、黒猫、沙織と秋葉原を探しまわる京介。なかなか見つからないが、ついに黒猫が最高のプレゼントに相応しいものを見つける。それは……。
 以上公式のあらすじ。

 楽しく見たは見たんですが、内容はというと……ないな(笑)。サブタイに偽りありで、桐乃がコスプレするわけでもないし。
 お話は桐乃へのプレゼントのために、京介はもちろん、あやせや来栖加奈子が奮戦するというだけの話である。
 ぶっちゃけ内容よりは、あやせと加奈子を見せる話であったように思います。ホントにそんだけだったと思います。
 まぁ来栖加奈子とメルルの中の人が一緒である事を上手く使って話は作ってあり、単純にいちエピソードという感じで、何がどうこうはほとんどないがほとんど出番のなかったあやせや加奈子の非乳なりが分かるという点でおもしろい話にはなっていたと思う。
 そんなわけで話の内容としては書く事ないんですが、思う所は数点ある。
 
 なにはなくとも、とりあえず冒頭書いた事である。そう、桐乃がどんどん可愛くなくなってきている。
 と思うのは、京介があやせに相談を受けているシーンでのメルルの食玩(?)を見せられた際の回想で、全く興味のないあやせの質問に対し、気分を害しへそを曲げ口をきかなくなるとかちょっと人としてどうかと思うよな。まぁあやせの質問も京介が言った通り「言ってはいけない質問」ではあったが。
 ともあれ、その件での失敗を挽回しようとするあやせに対し、桐乃はどうなのかと言うとなんにもしてないわけで、もう桐乃には可愛いとか可愛くないというレベルではなく、人間の中身としてコイツが気にいらねぇよ。一回絶望の縁に落としてやりたいとか思っているのは黒猫とオレだけではないだろう。
 しかし物語としては桐乃と京介という所でおもしろいシーンがあって、家でのシーンで、京介の「お前はオレの彼女かってーの」の台詞にブチ切れする桐乃を印象的に見せている所を見ると、これは間違いなくなんかのフラグである事は間違いない。間違いないのだが、これの意味する所がよく分からない。
 というのは、桐乃と京介は血縁関係だからだ。もしこれが凡百のラブコメであるならば、主役とヒロインは他人であり、ヒロインは主役が好きなのだが、彼女のつもりはないので「お前はオレの彼女か」と言われカチンときて殴った。が成り立つが、この二人に関してはもう前提条件でそれが崩れてしまっている。
 この物語のおもしろい所は京介と桐乃が本当の兄妹で、兄が、妹が、互いに恋愛感情を持たない事だと思っているのですが、最近の流れを見ると桐乃が京介に恋心を抱いているように見えてしまう。
 そこでだ。これが「と、見せかけて」なミスリードを誘っているならば大したもので見事な誘いである。が、私としてはこれをどうひっくり返してオチを付けたら良いのかがさっぱり分からん。
 「お兄ちゃんが好き」と見せかけて、最終的に「ああ、そういうことだったのか」となるための仕掛けはなんなんだろうか。これ如何んで随分物語としてのおもしろさが変わってしまう。
 とりあえず最上は分からないのだが、最悪なのは実は血縁関係がなかったというオチである事は分かる。
 それを回避しつつ、どうオチに持っていくか。作り手の腕に期待したい。


 え?今回のコスプレ云々の事?いや、あんなのどーでもいーし。


第11話「俺の妹がこんなにメイドなわけがない」

ああもうっ!結婚しちゃえよ!
そして桐乃、可愛くねぇー(笑)。
 そんな今回のお話は…
 母親から買い物を頼まれた京介は、スーパーで麻奈実と出会う。そしてその場の話の流れから、久しぶりに麻奈実が高坂家に遊びに来ることに。
 だが当日、麻奈実がやって来たことを知って、桐乃が機嫌を悪くする。そして、桐乃は突然、ある行動に出るのだった……。  以上公式のあらすじ。

 サブタイに偽りありというか、あんまりメイドはお話に関係無い。
 今回としましては、あらすじにある麻奈美が高坂家にやってきて、彼女を気に入らな桐乃が意地悪するも、家庭的な面で完璧な麻奈美にぐうの音も出ず、京介に腹いせするというドタバタ劇と、そんな自分の行動を悪いと思った桐乃が、著作のアニメ化の内輪のパーティーにかこつけて、京介にお詫びをするという話の二本立てのような格好になっていて、見事に起承転結してオチを付けてらしく終わっているのは見事だ。
 まずは最初のドタバタ劇(?)だが、このAパートはコメディとしておもしろく仕上がっているし、桐乃の嫉妬という所も上手く表していて見ていておもしろい。
 麻奈美が来ていることを知っていきなり機嫌が悪くなる桐乃と、そんな彼女に何とか気に入られようとする麻奈美を、嫁と小姑のようなやりとりをさせておもしろおかしく見せているのと同時に、家事関係で完璧な麻奈美であったり、京介と仲良く茶をすすってニコリと笑い合うお似合いのふたりに苛つく桐乃は、本来年上でもあり、掃除も料理もこなしてしまう麻奈美に嫉妬してしまっている様子や、そんな桐乃を疎ましく、そしてそつなくこなす麻奈美を誇らしく思う京介を分かりやすく見せている。
 麻奈美に勝ち目がないと見るや、怒りの矛先は京介に向いて、彼の部屋には返したはずのパソコンとエロゲはエロゲが起動した状態で机の上に置かれ、片付けたはずの「メガネの女の子ばっかりのエロ本」をベットの上にばらまかれ見事に麻奈美に見られてしまう。劇中の京介の台詞通り。正に「ひどい!ひどすぎる!」である(笑)。
 このAパートこの文章だけ見ると、とんでもなくひどいことで胸くそ悪くなりそうですが、実際には明るくコメディしており笑ってみていられるようになっていて、京介の不幸をおもしろおかしく見ることが出来るが、当の本人である京介は当然憤懣やるかたなく、それはBパートへと上手く繋いでいる。

 このAパート。桐乃の嫉妬という部分で考えると、彼女が京介に対しどう思っているかが見えてきておもしろく、麻奈美に意地悪するのは、本当は大好きなお兄ちゃんを取られちゃうからなんだけど、大好きなお兄ちゃんってのは桐乃が自覚しているかどうかというと、ちと怪しいのではないかと思えてきた。
 これまで見てきて口を開けば悪態ばかりつく彼女は、これまでの経緯もあって今は感謝とない交ぜになってしまっているような気がするし、ではこの物語が始まる前の関係として見ると、大好きなお兄ちゃんがかまってくれないので、それに対して気持ちが裏返ってしまったのではなかろうか。そしていつしかその裏返った方の気持ちが大きくなってしまった。桐乃自身、京介に対する気持ちがどこにあるのか分からなくなってしまったのかもしれない。
 桐乃は割と何でもこなす才能と運を持っているので、凡庸な京介をどんくさいと感じている節があり、彼女のお兄ちゃんとしてこうして欲しいみたいな所に手が届いていなかったか、はたまた京介が気付きもしなかったのか、そういうこともあったのかもしれない。  麻奈美を嫌悪するのだって、本当は自分が麻奈美のようにしてもらいたかったのではなかろうか。自分が異様としたポジションに他人がなってしまった。それも嫌悪の理由のひとつの妖に見受けられる。
 しかし、この今の桐乃と京介の関係は、これまでを見る限りは桐乃自身が原因だよな。京介が妹かわいいとずっと思っていたのなら、今のようにはならなかったはずである。桐乃の京介に対する不満への爆発は自分の想いを気付いて欲しいというサインであったかもしれないが、京介に妹かわいいと思う余地を消してしまったのかもしれない。
 「かもしれない」というのは、今の所ちょろっとだけ紹介された「幼い日の公園の出来事」が語られていないので、まぁ私の想像というか妄想なわけだけど、次回最終回でこのことは語られるんですかねぇ。
 そーいえば、麻奈美のことなんですけど、エロ本の中に自分と同じ特徴の女ばっかりがいたわけですが、これって女性的にどうなんですかね?
 自分と重ね合わせているか、もしくは自分が重ね合わされているかと取るかでだいぶ違うとは思うんですが、まぁともかく、男として好きな女にエロ本見られたくないってこったな(笑)

 Bパートからはパーティーと称したお詫び大会ですが、Aパートが「起承」ときてここで「転結」する。
 ただの内輪のパーティーかと思ってきたら、相変わらずの桐乃の態度にAパートのこともあって辟易しキレた京介に、ようやくちょっと素直に感謝の意を述べる桐乃を目の当たりにした彼が、思わず涙を流してしまうという展開。
 まぁこの辺はしっかり劇中で胸の内が語られているので、ここで特に書くこともないが、二人の気持ちが素直に出ていて兄妹喧嘩が上手くまとまる様を描いている。感謝の意を述べる桐乃はいつもそうであれば可愛いのになぁと思わずにはおれませんな(笑)。
 しかし、それを聞いた京介というのは、もはや親的な感情だと思うがどうか。まぁそれは兄としても同じなのかもしれないが、個人的にはそれは親が思うようなことなのではないなぁとは思ったが、なんにせよ、京介の苦労はただそれだけで報われるのも見ていて分かります。
 そういえば、京介のモノローグでオレは自分のためにこれまでのことをした、桐乃の兄だからやったんだとありましたが、兄だから妹のためにやったんですよ。別に兄だからとて動かなければならないということもないので、それは正しく「妹のため」に京介はやったのだ。
 しかし、そう思ってやってはいかんわけで、それが当然の如くすることなのだと思っていたからこそなわけだから、京介は正しかったのである。上記は第三者的視点なのだ。当人たちに「〜のため」は無いのだから。

 Bパートで他にちょっと気になったことがありまして、それは黒猫の描いたマンガである。
 続きちょー読みてぇとか思ったが(笑)それはそれとして、黒猫の描いたそれは真実を暴いたのかどうかである。
 まぁさすがに兄のぱんつを嗅いだりはせんでしょうが、エロ本探し出して「メガネの女ばっかり」くらいはやっていそうというか、Aパートでエロ本バラまいたんだからおそらくそれは事実なんだろう。
 とすると、ぱんつは嗅がないにしても、京介がいない時に部屋に入ってベットに寝転び「あ、お兄ちゃんのニオイ……」とかやっていたりなってそれどんなエロゲ?
 どーでもいーですけど、この黒猫のマンガ、兄のぱんつのニオイをハァハァしなからクンカクンカと嗅ぎ、ベットの下からエロ本を探し出す妹から、その後どうやったら「世界の存亡を賭けた聖戦」へ辿り着くというのだろうな(笑)。せめてもうちょっと先を見せて欲しかった。

 というわけで今回は見事に起承転結していて見ていて楽しかった。素晴らしいと思ったのは、Aパート・Bパート内でも起承転結していることだ。
 ふたつのそれで大きな起承転結を作っており、お話としよく構成してあると思わせる。最後は桐乃が京介に何をプレゼントしたかと思ったらエロゲだったという、ガクッときながらもらしいオチまでついていることに感心したよ。いやはや話は良く出来ているよなぁ。
 そしてすごくどーでもいーんだけど、オレも麻奈美みたいな幼馴染みが欲しいです。とか言ってみるなんだかよく分からない締めで終わる。


第12話「俺の妹の人生相談がこれで終わるわけがない GOODEND」

BAD ENDがあるってことかい?

 そんな今回のお話は…
 先日の一件以来、桐乃との関係が良くなったことに落ち着かない京介。
 あやせや沙織、麻奈実に問いかけるが、その答えに納得できないでいた。
 そんなある日、桐乃から「最後の人生相談」を持ちかけられる。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、陸上の本格的指導を受けにアメリカに行くことにした桐乃だが、京介には言い出せないでいた。渡米の前日深夜についにそのことを打ち明けるのだが……という内容。
 まぁその前に京介がエロゲの深夜販売に買いに走るというイベントもあるが、その辺は物語上は大きなポイントではあるものの、視聴者的にはあまり問題なかったりする。要するにお話としては、アメリカに行っちゃう桐乃を京介はどうするか、という話だ。  今回のメイン所はもちろんそこで、一回見た後にまた見てみると、この渡米の件は今回の頭から振りをしてあってこんな所にもフラグがと思えるが、初見としては、今回の頭の妙に優しい桐乃に違和感を感じる京介くらいしかフラグがなく、桐乃が打ち明けて初めてその渡米の件が分かるようになっている。
 エロゲを買いに行かせた後、ひさしぶりに一緒にやろうと言い出したり、ひとつルートを見て返ろうとする京介を引き止めたりは、それまでは前回までのこともあって、ただ単にお兄ちゃんに甘えているのかと思いきやの渡米の件なので、そういう話の作りのインパクトと言う点で良く出来ていると思える。
 そのことを打ち明けてからが個人的におもしろく、また今回としてもここが目玉な所で、本当は京介に行くなと言ってもらいたい桐乃ではあるが、鈍感な京介はそれに気付かない。
 しかしその桐乃の本心を計らずに同じようなストーリのかって来たエロゲが語り始め、そこで京介も桐乃の本心を知ることとなるのだが、それでも京介は桐乃の気持ちを知った上で「行けよ。清々すらぁ……」というのである。
 普通に考えれば、ここは「行くな」という所である。しかし桐乃と京介は普通の男女間の関係ではなく兄妹なのだ。きっとこれが麻奈美であったなら行くなと言ったろうが、京介に取っては妹の未来のことで、引き止めることは出来なかったのだろう。たとえ自分の本心と違っていても。
 だが、エロゲ的解釈としては京介のこの選択肢決定は正解であった。桐乃は当日の朝にアメリカ行きを止めると言い出し丸く収まるのである。
 話としては、それでも行けと言う京介であるならば、当然アメリカへ行ってしまう桐乃というルートになるはずであるが、キレた桐乃の頭突きで気絶した京介が朝目が覚めるまで、桐乃の心境にどんな変化があったのかは語られないが、寂しい結末になると思われた展開をひっくり返してしまい、京介と同じようにあぁ良かったなと思わせる結末を迎えているのは話の作りとして上手い。
 話の上手さと言う点では、エロゲが桐乃の気持ちを語るシーンも良く出来ていて、これまでのことがここで集約されている。
 物語が始まった時の彼らの冷えきった関係は、桐乃の人生相談から彼女の趣味を知って、そのオタク趣味がここまで京介と桐乃を繋いできたのである。
 桐乃が人生相談をしなければ、そのオタク趣味を知ることがなかったのなら、その趣味に巻き込まれることがなかったら、冷えきった兄妹関係をそのままに桐乃は普通に渡米したであろう。
 これまでの出来事があってここに辿り着いた。妹の一風変わった趣味が紡いだ兄妹の物語なのであるとここで思わせてくれる。原作者なのか脚本の倉田先生の力なのかは知らないが、話は実に良く出来ていたと思います。

 さて、一応最後なので全体的な感想としましては、物語は第3話でピークを迎え、正直そこまで見れば問題ない感じではあるものの、それ以降のひとつひとつのお話も割と良く出来ていて楽しく見させてもらった。この秋期に見たアニメとしてはおもしろかった部類だと思う。
 特に1〜3話は見事な出来で、それ以降の話もしっかり起承転結していて全体としても良くまとまっており、久しぶりに印象に残るアニメであった。
 話としては、別に「世界が〜」とか「異能力に目覚めて〜」とか「突然美少女が押し掛けて来て〜」とか、そんな展開はなく基本的には日常の様子を描いているのだけど、桐乃のオタク趣味の発覚という小さな変化だけでここまでの物語を作ったというのは見事であると言うべきかもしれん。
 視点的には主役であり一般人である京介から見た世界で、彼に同調もしくは感情移入してもらえるよう丁寧に作ってある印象で、ちょいちょい前の感想でも書いたように、ヒロインである妹の桐乃は正直な所あんまり可愛くないのだが、京介が思うようにたまに可愛いなと思わえるような所もあり、ちゃんとタイトル通りの物語をしている。
 が、客観的な見方をするとこの物語、「私のお兄ちゃんがこんなにカッコいいわけがない」の方がしっくりくる。
 まぁそれは彼が主役であるから当然ではあるものの、それがあって桐乃の京介に対する想いがある。そして京介の方も可愛くない妹が時折見せる可愛さというのがあって、男女関係にならない兄妹という一風変わった物語を形成している。
 個人的には、この兄妹がどうして冷えきった関係になっていたのかという前提が語られていなかったのが残念であるが、それはきっと原作の方でもまだ語られていないことであろうから致し方ない。
 それはこの物語がここで完結するのならば絶対入れなければいけないことであるけれど、それがまだ語られないということは、まだこのアニメの続きを作る予定があるからかもしれない。
 ともあれ、12話までほぼストレス無く楽しく見させてもらった。前述したように1〜3話は素晴らしい出来であるので、その3話だけでも是非見ていただきたい。と久々に人にお勧めしたい作品でした。まぁ3話以降は続きが気になるのであらばご覧あれくらいですが(笑)。

 そういえば、このアニメのWEBラジオが結構楽しくて聞いてるんだけど、なんかネット配信で12話で分岐する話を配信するとかしないとか。そちらの方はBAD ENDを迎えるんですかね?


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