映画プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!

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シリーズを熱心に見てきた人達へのご褒美映画。
見事なお祭り感はここまで見てきた者としてはたまらない。

 そんな今作のお話は…
 わたし、桃園ラブ!
 わたしたち、ダンスコンテストに出場することになったの。
 もちろん、出場するからには優勝して、幸せゲットだよッ!!って、はりきって、みなとみらいに行ったんだけど、途中で道に迷っちゃった。みんな、ごめんちゃい…。
 慌てて会場を探していると、この街を飲み込もうとする悪いヤツが現れたの!
 そしてその敵の前に、わたしたち以外のプリキュアが続々登場!!
 いったい、プリキュアって何人いるのよ〜ッ!っていうか、こうなったら、みんなで力を合わせて強敵を倒すのみッ!
 みんなもレインボーミラクルライトで、わたしたちを応援してねッ!!
 以上公式のあらすじ。……なんかよく分からないあらすじだなぁ。

 ちょ〜短編でさえ随分と満足していたというのに、まさかの長編映画化。冒頭に書きました通り、お祭りご褒美的映画であり、ファンとしては胸躍る映画になっておりますが、正直内容はないと言って良い。でもいいんだ!だってお祭りだもの!
 登場するプリキュアはMH、S☆S、5GOGO、フレッシュの4組。当時新参プリキュアのフレッシュ組は放送からまだ1ヶ月ということもあってパッションさんは当然いないし、結構なおまけ感があるのはまぁ致し方ないところである。
 さて、お話としては、なんだかよく分からない悪者「フュージョン」に襲われたプリキュアの皆さんが、ミラクルライトの力でやっつけるぜ!という至極真っ当にスーパーヒロイン的な話。
 内容はないと書きましたが一応は、なんだかよく分からないけれど(ホントによく分からないんだ、これが/笑)、自分の中に取り込んでしまえば苦しみも何も無い世界が出来るとし、全てを飲み込もうとするフュージョンに、それぞれ違うからこそ想いを共有し、ただ合わさるだけでなく、より大きな力を生む事が出来るとするプリキュアの皆さんが、その言葉通りに体現するということを語ってはいる。
 だがしかし、そんなことはどーでもいーのである(笑)。上記した個性云々の話は、まぁなんというか取って付けたような感じであるし、この作品に限っては、そーゆーメインターゲットへの訓話云々よりも、きっとないだろうなぁと思っていた「プリキュア全員大集合!」する事に意味があるのだ。
 今となっては(2012年現在)毎年恒例のオールスターズですが、この当時としては世界観の違う各シリーズがひとつに合わさるなんて思いもよらなかった事なので、正にファンのためのお祭りなのである。
 ダンスコンテストに出場する事となったラブたちは、会場へ行くための道を聞こうと、たくさん人がいる中で偶然のぞみに声をかける。誰かプリキュアのメンバーに声をかけるんだろうなぁとは分かってはいるものの、「フレッシュのラブ」が「5GOGOののぞみ」を見つけて出会う、というTVシリーズでは絶対あり得ない出来事にもうワクワクが止まらない。
 そして5GOGOの皆さんはMHのタコカフェに、MHの皆さんはS☆SのPANPAKAパンへ、そしてS☆Sのふたりは5GOGOのナッツハウスへ赴くのである。このクロスオーバーだけでも、熱心にシリーズを全て見てきた者として、当時劇場であんまよく分かっていない隣の席のメインターゲットの皆さんと親御さんをよそに、ニヤニヤとしていたのであります(笑)。こんな事があったらいいのになーと思っていた事をやってくれるのだから、そらニヤニヤが止まらないというものだ。
 そうこうしている内に各プリキュアの皆さんはフュージョンに襲われるも、プリキュアの力を吸収したフュージョンは飛び去り、フレッシュ組のいるみなとみらいで集結し行動を起こす。
 それと分かったプリキュアの皆さんは、各地から集結していく事となるのだが、今作のメインはここからだ。

 今作のメイン。それはなんと言ってもアクションである。
 混乱の中心を目指すプリキュア5の皆さんの前に立ちはだかるザケンナー・ウザイナー・コワイナー・ホシイナーの群れに、各々の技を放ち退けていく様もさることながら、倒しても湧いて出てくる今週のビックリどっきりモンスターたちに分断されてしまうプリキュア5の面々は、ここというピンチに満を持してMH・S☆Sが登場して窮地を救うのだ。
 またそれが、各プリキュアの特色をしっかり出してくれているが良い。飛んできたザケンナーをキュアブルームトキュアイーグレットが精霊の力でシールドを張りはじき返し、巨大なジャンボジェットザケンナーをキュアブラックとキュアホワイトが蹴り一撃で正に一蹴ですよ。か、カッコいい!!
 こうして合流しつつあるプリキュアの皆さんが、群れとなす今週のビックリどっきりモンスターたちと乱戦と化す中で、特にああだこうだと言わなくても連携しお互いを助け合う。敵味方入り乱れるなかで、各プリキュアが各々見せ場のあるアクションを見せてくれるのだ。
 またここでいいのが、無人と化した街という広大なフィールドを飛び回り広い空間を感じさせるアクションとカメラワーク。今週のビックリどっきりモンスターから繰り出される攻撃を大きく飛んでかわし、ビルの壁や歩道橋などを利用して方向転換して一撃を入れるプリキュア。そして遠くへ吹っ飛んでいく今週のビックリどっきりモンスター。次々と飛んでくる攻撃を寸ででかわしながら突っ込んで行き、固有技を決めるプリキュアをぐるぐる回るカメラワークとスピード感溢れるアクションが描いていて見事な爽快感だ。
 見せ場と言う点でも、固有の技を持つ5GOGOの皆さんは一連の攻撃の中から固有のバンク技を放ち、精霊の力を発揮するS☆Sのふたりはシールドの展開や唯一無二の飛行能力でその力を見せ、バンク技以外で発光したり固有の技がないMHのふたりは一撃一撃がとても力強く描写されており、各組の特色をしっかりと強調している点も良い。
 ちなみに我が愛しのひかりんことシャイニールミナスは、ちゃんと妖精たちを胸に抱いてトテトテと走るぜ!わかってるなぁ。わかってるなぁ!やっぱルミナスはこうでなくっちゃ!!他のプリキュアの皆さんみたく、華麗にだったり力強くだったりする走りではなく、飽くまで「トテトテ」という感じで走るのが可愛いらしいのよねー。ぽわわ。
 ともあれ、プリキュアの皆さんはフュージョンと対峙するフレッシュ組の元に集結し、まるで真・女神転生IIIのシジマの理みたいな事を言うフュージョンと雌雄を決する事となる。

 この終盤は上記しましたように、全てを飲み込み個性をなくしてひとつに統合しようとするフュージョンに、各々の個性が想いを共有し合い、それぞれの違った力を想いの上でひとつにまとめる事こそ「ひとつになる」という事だとプリキュアが説く。
 何度叩き潰されても諦める事無く立ち上がるその姿と台詞は、このプリキュアシリーズ通して変わらず言い続けている事であり、ちゃんとこのシリーズの本分を忘れる事無くやってくれる。実に「らしい」展開でこの映画をプリキュア足らしめている。
 だがもうこの辺では、やる事はひとつで、がんばっているけど巨大な敵にどうにもならないプリキュアにミラクルライトで力を貸して大逆転するだけだ。
 フュージョンが個性など無意味とするのに対し、プリキュアがそれぞれ違うからこそ、それが集まった時に大きな力となるとしているので、ここで劇場にきているメインターゲットの皆さんの力を今こそ貸してくれ!というわけなのである。
 正直このミラクルライト点灯の訴求の仕方としてはちょい弱く、まぁここで付けるんだなとはわかるものの、それは展開的な事で、ミラクルライトでプリキュアを応援したいという気にあまりならないのだ。
 まぁ先ほども書きましたが、物語の展開的にプリキュアたちだけではニッチもサッチもいかない状況なので他からパワーを、ということなんだけど「なるほど、ここでか」と読めてしまったこともあって、その後プリキュアたちが力を得るのがどうも、あまりに都合が良過ぎる感があってあんまりピンと来ないし、ここまでプリキュアの皆さんが諦める事無く立ち上がっているのを見ているし、最も威力のあるバンク技を使っていないこともあって、なんならまだプリキュアの皆さんでなんとかなりそうな気もするのだ。
 そういう「絶体絶命」感がもう少しあっても良かったように思います。まぁそれだけに、プリキュア全員が集まって巨悪に立ち向かうってことがメインのお祭り映画なんだろうと思う。
 ミラクルライトで力を得たプリキュアがバンク技をぶっ放し、フュージョンを消し去った後、お互い知り合って友達になったプリキュアの皆さんを見つつ終劇となる。

 と、いうわけで、最初に書きましたけれど、初めての長編オールスターズは内容よりもむしろ全員揃ってバトル、というところがメインのお祭り映画なわけだが、熱心にこのプリキュアシリーズを見てきた者としては、それだけでも大変満足な逸品である。
 特にアクションシーンはとても気持ちよく動いているし、何よりカッコいい!内容があんまりない分、そっちに集中できるという点は、おそらく間違った見方なんだろうが(笑)、年々あんまりアクションしなくなっていくTVシリーズの事を考えると、この映画でカッコいいプリキュアアクションをいつでも見れる事は結構大きい。
 またここから始まるDXでの歴代プリキュアがお友達になっていくという、ファンにとっては夢のシチュエーションは、正に夢のようで想像が膨らむ(妄想できるとも言う/笑)。
 ともあれ、プリキュアファンと称するなら当然見ておくべき作品である事に間違いないが、ファンでない方でもアニメーションでのアクションシーンが好きな方は見てみると良いでしょう。
 も〜、とにかくカッコいいんだってば!!

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