映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光レインボージュエルを守れ!

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継承する「プリキュア魂」!正に王道です。

 そんな今作のお話は…
 私、花咲つぼみ、中学2年生です。ある朝心地よく眠っていたら、親友のえりかが部屋にやって来て「コフレがいなくなった!」っていうんです!! 
 あれ〜!シプレの姿もありません!! 机の上に残された招待券を手がかりに、私たちは海の上に浮かぶ遊園地・フェアリーパークへ! 
 そこでシプレ&コフレを発見。周囲を見回すと、シプレたちみたいな超かわいい妖精&アトラクションがい〜っぱいッ! みんなすっごく楽しそうですッ!! 
 でも突然、怪しげな影が現れてパーク内が大混乱に! どうしよう〜ッ!! その時、プリキュアたちが続々登場!! 
 ウソ〜ッ! プリキュアってこんなにいるんですか〜ッ!?? って、なになに…全部で17人!?
  もう、こうなったら全員で力を合わせて、レインボージュエルを守って見せますッ!! プリキュアオールスターズ☆パワー全開ッッッ!!
 以上公式のあらすじ。
 前作DXの時は新参プリキュア「フレッシュ」組がけっこうなおまけ感だったからか、今作は新参の「ハートキャッチ」組をメインに据え、まだ成り立てプリキュアのつぼみとえりかに歴代プリキュアの皆さんが「プリキュア魂」を教えるでもなく伝えるという内容です。
 登場するプリキュアはMHの3人、S☆Sのふたり、5GOGOの6人、フレッシュの4人に、ハートキャッチプリキュア!から時期的にブロッサムとマリンのふたりの合計17名となっております。
 またプリキュアのみならず、モブに歴代のサブキャラクターたち(映画も含む)がほぼ登場しておりますので、熱心にこのシリーズを見てきた身としては、そんな所も楽しめます。

 さて、お話の方ですが、あらすじにあるように、妖精たちが千年に一度、夢や希望の光が集まって現れるレインボージュエルを記念し、その力を借りてテーマパーク「フェアリーパーク」作り、つぼみたちを招待する事から始まる。
 まずはつぼみたちが、シプレコフレ(面倒なので以下シプコフ)を探しにフェアリーパークへ入場する辺りで、舞台であるフェアリーパーク、レインボージュエル、そして映画と言えばのミラクルライトの説明をする導入部としているわけだが、このフェアリーパークの主催者(と言うんですかね/笑)が妖精たちということもあって、ココナッツが王子姿で来場しているモブの方々にショーとしてだったり、何も知らないつぼみエリカにシプコフがという形であったりして、説明を説明的になりすぎないよう工夫がされていて感心。
 あんまり説明的だと物語の雰囲気を壊してしまうので、上手いことやったなと思いますが、まぁ大きなお友達としては、そもそもとして、なんにもなかった海上にあんなわけの分からないテーマパークが一夜にして(かどうかは知らないが)出来あがり、尚かつ不思議生物の妖精たちが一般の人たちに姿を晒し、さらには不思議アイテム「レインボージュエル」を大々的に発表してしまうのはどうなんだ、と思わざるを得ないが、そこは突っ込まない優しさを見せる事が大きなお友達のお友達たる所以なので暖かく見守ろう(笑)。
 そんな導入の後は、つぼみとえりかが前作のフレッシュ組と出会うイベントが起きるのだが、まぁ印象的にはしてあるものの、前作のようなたくさん人がいる中で、まるで引かれ合ったかのような、ここから違う作品のクロスオーバーが始まるワクワク感が感じられないのはちと残念ではある。
 ともあれ、出会ったフレッシュ組のお変わりないご様子は、熱心にプリキュアシリーズを見ている身としては、妙にほっこりしますな。
 そしてラブの所為で友達との待ち合わせに遅刻してしまったことを知ったつぼみとえりかは、一緒にその友達とやらを捜索する事となるのだが、しっかりとのぞみたちや、なぎほの、咲舞とすれ違っているのはお約束(笑)。
 なかなか見つからないので観覧車に乗って見る一行。下でミラクルライトを配っているシプコフを見つけ、今度はみんなで一緒に乗ろうとラブが言い出すわけだが、一応物語的にはここがポイントのひとつになっていて、この何気ない約束が後の大きな力になるのだ。
 
 そんなフレッシュ・ハートキャッチ組の交流を眺めている所で悪役の登場。前作は今週のビックリどっきりモンスターでしたが、今作は歴代の悪役幹部の(一部の)みなさん。個人的には大好きなジェントルメ〜ンこと「キントレスキー」が登場してくれたのは嬉しい限り。やっぱキントレスキーかっこいいよね!
 そんな幹部たちは、今作のラスボスである「深海の闇ボトム」が復活させたという設定なんですけど、幹部復活はともかく(お祭り映画だしね)、やっぱりこのボトムは前作のラスボス同様「よく分からない」のである。
 突然空から降ってきた玉が海に落ち、深海へとたどり着くと、深海に溜まっていたのであろう巨大な邪悪と化すのだが、正直な話、なんでそのボトムとやらが、レインボージュエルを狙って希望の光を消そうとするのかはさっぱりで、悪の理論が説明されないのは腑に落ちない。
 まぁ、すっごく第三者的に見れば、プリキュアオールスターズというお祭り映画なので、悪役云々よりもプリキュアのみなさんが何をどうして何とするかを一番見せたいはずなので、とにかく対極となる悪であればいいということなんだろうが、光と闇は表裏一体。闇があるからこそ光が輝くもので、せめて行動原理くらいの説明はあっても良いような気がします。が、まぁメインターゲット的には悪役云々なんかよりは、プリキュアの皆さんの活躍なので、しっかりとメインターゲットをメインターゲットとして捉えてはいる。
 ともかく、フェアリーパークに悪役が強襲しフレッシュ・ハートキャッチ組の前に現れ、各組プリキュアに変身し、つぼみたちは自分たち以外にプリキュアがいる事に驚くのはお約束として、ここから新参のハートキャッチ組は、変身すれどもクライマックスまで全くいい所はなく、ここではものすごいパワーを見せる幹部の皆さんに、ハートキャッチ組は臆してしまう様子を見せている。
 それとは対照的にフレッシュ組は幹部の皆さん相手に互角の戦いを見せるわけだが、ここで新参と歴代では培ってきたものが違うなぁと思わせるのがポイント。まだプリキュアに「なっちゃった」くらいの新参ふたりは、ここから先輩プリキュアの背中を見ていく事となる。
 フレッシュ組が善戦を続ける中、他のプリキュアの皆さんも駆けつけ、総勢17人となったプリキュアに一旦引き下がる幹部たち。ここでつぼみたちはようやく同じプリキュアの仲間として歴代のプリキュアの皆さんと知り合う事となる。ここまで序盤。
 どーでもいーけど、プリキュア全員大集合となってキントレスキーが「おのれ!なんて数だ!」とおっしゃるのだが、ですよね〜(笑)。でもDX3に比べたらまだマシですよ(笑)。

 一旦落ち着きを見せてからは、シプコフを探しにきただけなのに、どうしてこんな事になってしまったんだろうと暗い表情を見せるつぼみであったが、他のプリキュアの皆さんは、まったくだと言いながら、ここへ来るまで入場チケットを忘れた事や道に迷った事、遅刻してしまった事など話し出して笑い合う。こんな時に談笑している彼女らを見てポカーンとするハートキャッチ組に妖精たちは、彼女たちはいつもそうで、みんなといると笑顔になると言う。
 この後にもあるのだが、「こんな時」に日常の話を突然出してくるのはこのプリキュアシリーズで良く見ることができる演出である。プリキュアにあまり馴染みのない方は、けっこうこの演出でぽかーんとしてしまうのではないかと思いますが、、実はこれ、初代からの伝統みたいなものだったりするのだ。
 プリキュアの皆さんは、自分が「伝説の戦士プリキュアになったから」という理由だけで、なんだか分からない悪いヤツラと戦っているわけではない。彼女たちが笑って暮らしている日常、友達であったり家族であったりの自分を取り巻く大切なものたちを守ろうと戦っているのである。  つまり、彼女たちにとっては、こうやって友達と笑っていられる日常こそが最も大切なものであり、それを壊そうとする者達からその大切なものたちを守りたいとする想いがプリキュアの力となっている、ということを示しているわけだ。
 それを踏まえ、序盤の戦闘で臆してしまうハートキャッチ組同様に、まだそこまで至っていないつぼみとえりかを歴代のみなさんと対照させて、ここでもハートキャッチ組が「新参なのである」ということを印象付けている。
 ともあれ、歴代の皆さんと知り合ったつぼみとえりかであったが、ボトムの力によってフェアリーパークは様相が一変し、地割れによって妖精たち、とプリキュアの皆さんは離ればなれになってしまう。ここまでが序盤。
 個人的にはここのカメラがパーク内をぐりぐりと駆け巡る中で、パーク内の施設が次々と悪〜い感じに変化していき、楽しそうだったフェアリーパークがあっという間に「悪の住処」みたいになってしまう様がアニメーション的に見事。見た所CGでもなさそうなので、これ全部作画かと思うとやっぱり日本のアニメーション技術は世界一だなと感じます。

 地割れで落っこちちゃったつぼみが目を覚ましてからは中盤戦。
 パークの様相が一変し、レインボージュエルがどこにあるのか分からなくなってしまったので、悪役に取られないためにも、まずレインボージュエルを見つけ、そして守るために急行するというのが大体の流れ。
 とりあえず、妖精たちとはぐれてしまったつぼみとえりかは変身できないので、まずは彼らを捜す事とするが敵に見つかってしまい、しっかりとフレッシュ組が助けにきてからは、いわゆる「ここはオレ(たち)に任せて先に行け!」展開だ。
 そんな王道が熱いのもある事ながら、ここでのポイントはここに至ってさえもまだ役に立ってないハートキャッチ組であることと、先輩プリキュアや妖精たちの想いを託されて先へ進んでいくことである。
 一番最初に助けにきたフレッシュ組は、上記で説明した「こんな時に」演出で、序盤に言っていた「今度はみんなでフェアリーパークで遊ぼう」を取り出して、ハートキャッチ組にそんな他愛のない約束ではあるが、それこそ大切な日常であり守るべきものであることを伝えるし、先に見つけた妖精ミップルメップルは、今がどんなにつらくてもあきらめない事と仲間を信じ今出来る事を精一杯する事を諭す。
 5GOGO組は自分はもちろん、自分の大切な人たちの日常も等しく守るべきものであり、仲間を信じ力を合わせる事を説き、MH・S☆S組は……あれ?他と特に違う事言ってないな(笑)。でも残り時間が少ない中、ハートキャッチ組を先へ行かせるために力を合わせる事を体現している。
 こうした先輩プリキュアの背中を見ていったハートキャッチ組が、最初こそ大きな闇の力に臆していたものの、託されていく想いと共に徐々にプリキュアとして決意していくシークエンスが描かれているので、段々と高揚していく雰囲気が実に気持ちが良い。
 歴代プリキュアの皆さんの力を借り、ついにレインボージュエルの元にたどり着いたハートキャッチ組であったが、そこでレインボージュエルが千年の一度の姿を現すのを待っていたボトムになす術無く、その時と同時ににジュエルを奪われてしまう。
 すべての希望の光であり力でもあるジュエルを飲み込まれ、プリキュアの皆さんは力を失い、また力を得たボトムはその巨大な姿を現す。最後の望みが潰えてからがこの物語のクライマックスだ。

 レインボージュエルの力を手に入れ巨大化したボトム相手にどうすればいいのかとおののくマリンに、ブロッサムは「まだです」と言って立ち上がり、先輩プリキュアたちと約束をした事を語る。今度はみんな一緒にフェアリーパークで遊ぶ事、力を合わせる事。しかし自分は守られてばっかりで、なんの役にも立てなかった事を悔やみ言う。「だから私もがんばりたいんです!みんなと力を合わせたいんです!」
 涙ながらにそう言うブロッサムに、マリンは「そうだった」と言ってブロッサムの腕を取り、私たちもきっと出来る、他のプリキュアの皆さんたちと一緒になれる、だから一緒にがんばろうと決意を見せ、手を握り合ったふたりはついにあの台詞を口にする。
 「私たちは絶対にあきらめない!希望は捨てない!」
 このアニメを熱心に見てきた身としては、上記台詞は最も根底に流れる合い言葉のようなものだ。長く続くシリーズにあって、どんなに絵柄が替わっても、製作陣が入れ替わっても、この部分だけは絶対に変わらない。大前提にして最も伝えたい事であり、一番見せたいプリキュアの姿だ。
 これまでなんの役にも立たず、戦力になる事もなかった新参プリキュアのふたりであったが、ここへ至るまでに助けられ、教えられ、また想いを託され、先輩プリキュアの背中を見てきた彼女たちは、その背中を見てこの境地へたどり着いた。初代から連綿とつなげてきた想いを今この瞬間にハートキャッチプリキュア!が継承したと確かに思える。
 ここまでさしてプリキュアらしくなかったこのふたりが上記台詞を吐いた時、「ああ!このふたりは真にプリキュアとなった!」と思えるこの高揚感と言ったら!ついに来たかと、またここまで特に活躍の場がなかった彼女らは、今この時の為だったのかと合点がいった気持ち良さと共に、決意を新たにしたふたりが、巨大な敵に今度は臆すること無く突進し、フォルテッシモをぶちかます様子が実に気持ちが良い。
 しかし、レインボージュエルを奪われ本来の力を発揮しないフォルテッシモはボトムになんのダメージを与えない。だがここへ至ったプリキュアがあきらめるはずがない。
 そんなふたりに呼応するかのように妖精達の持つミラクルライトが光を取り戻す。本来は希望の光であるレインボージュエルを奪われたため、光を発する事のないライトは、つぼみとえりかの、いや、本当はこのふたりだけでなく、プリキュアの皆さん全員が捨てる事無く持ち続ける希望に反応した。最後の一撃時でも語られるのだが、ここがこの物語の一番言いたい所で、希望はなんだかよく分からないアイテムが源なのではなく、人間ひとりひとりが必ず持っているモノなのだ。どんなにつらい状況であっても、絶対にあきらめなければ希望はあるのだと言いたいのである。
 こうしてミラクルライトが光を取り戻したのなら、後はもうライトからの逆転劇あるのみだ。
 個人的にはDX三部作で一番ライトが感動的なのがこのDX2だ。最初に劇中の一般の方々にライトを熱心に配っていた事もあり、フェアリーパークから非難していた皆さんが、妖精達の「プリキュアに力を!」に呼応してライトを灯し、海岸線がワーッと光り輝くのである。
 プリキュアの皆さんがただ正義のためとか、自分の為とかでなく、周りの全てを守る為に戦っている事が報われたようなのもさることながら、この想い想われが大きな力になっていく様子が気持ちよく、このアニメの真骨頂であると思わせてくれる。
 もうあとは、みんなから借り受けたその力で、プリキュアの皆さんが巨悪を滅するのみである。

 と、こうして物語を追いながら感想を書いてきたわけですが、正直な話をすると、DX3を見てしまうと、このDX2はけっこう薄味であったりはする。
 アクションシーンでいい所は少ないし、DX三部作で一番作画がヘニョヘニョだし、お話は至って王道で特に捻っているわけでもないし、オールスターズと言う割にはMH・S☆S組がかなりのおまけ感だからだ。
 とは言ってもDXと比べれば随分と内容はあるし、伝えたい事は見事に伝えているし、至って王道な展開は、ヘンに捻ってなんだかよく分からない話になるよりかは、少年ジャンプ的で熱くて良い。(今となっては少年ジャンプ的というのが熱いに分類されないのかもしれないがそれはそれ。)
 なによりDXで「出会い」、そしてこのDX2で「継承」される「プリキュア魂」というのは、このアニメシリーズを熱心に見てきた者としては、やはり感慨深く気持ちが良いものである。
 そんな大きなお友達でないという方は、まぁちょっと(かなり?)子供っぽいとは思うでしょうけども、もしメインターゲットのお子様がいらっしゃるのであらば、「絶対にあきらめなければ希望はある」ということを教える情操教育的にも、お休みの日にこの作品をレンタルでもしていただいて、見せてあげてくれさば、こんな感想を書いているおっさんがひとり、日本の未来に希望を持つ事が出来ます(笑)。
 個人的には、Splash☆Starでふたりの仲を熱心に応援していたみのりちゃんとその嫁(誰がなんと言ってもみのりちゃんの嫁!)薫のイチャラブっぷりがちょいちょい挟まれるのがたまりませんでした(笑)。

 さて、さてさて!薄味だなんだと言ってきたこのDX2ですが、DX三部作の中でこのDX2のディスクをプレーヤーに入れる回数が一番多いのです。何故かは、この作品のエンディング、または特典映像にあります。
 プリキュアと言えば?と問われれば、けっこうな人が「ダンス」と答えるのではないでしょうか。そう!このDX2はエンディングのダンスが見事なんですよ!
 歴代OPのメドレーでプリキュアの皆さんが素晴らしいダンスを披露してくれます。もちろんポリゴンのプリキュアの皆さんは作画での可愛らしさを失っておらず、毎週欠かさず熱心にこのアニメを見続けている者としては何回見ても飽きません。ってゆーか、もう何十回と見たよ。
 特典映像の方はフルバージョンということで、EDクレジットよりも長く曲もフルで楽しめますので、プリキュアファンを自称し、万が一まだDX2を見ていないというのであらば(そんなファンがいるのか?という気もするが)、これだけでも見とけ!

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