セイクリッドセブン  1〜12話

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♯01「イシの目覚め」

いのまた美少女……美しいなぁ。

 そんな今回のお話は…
 丹童子アルマ、17歳。ある過去の出来事から、彼は極力他人と距離をとって生活していた。
 そんな彼に「鉱石部」の部長、伊藤若菜だけは屈託なく接し、再三鉱石部へ勧誘していた。
 その日も若菜から美術館へ誘われるが、アルマはにべもなく断る。そんな折、アルマの自宅に藍羽財団のCEOを名乗る藍羽ルリが現れる。
 彼女は「悪石(アシ)」と呼ばれる怪物と戦い続けており、アルマが持つ「セイクリッドセブン」の力こそ、唯一悪石に対抗できる力だと告げる。
 以上公式のあらすじ。

 ダークヒーロー的な、自分の中の禍々しい力をヒロインと共に向き合っていく物語なのかと思ったら一転、正義のヒーローになってしまってちょっと面食らってしまいました。
 お話の方はと言うとはっきり言って全然よく分かんない。というのも基本的に説明などが全く無いのである。しかしそれは分からない人間置いてけぼりということではなく、この第1話の段階で、いろいろと説明する必要が無かったということだろう。
 このアニメがどんな雰囲気なのか、どういうことをするのか、基本的な目的はなんなのか、そういうことが分かれば良いのである。説明は追々していって、後でこの第1話を思い返して「ああ、そういうことだったのね」となればいい。そんな印象でした。
 というわけで基本的には、アルマの中に宿る力でルリと一緒に「悪石」をやっつけるぜ!という話らしい。お話としてはそれが分かればいいという内容ではあったな。

 話の流れとしては、上記したようにルリの力で話が一転してしまったような印象で、最初はどこか陰鬱な主役のアルマが、その身に宿る力に恐れ、悩み、苦悩するのをルリと一緒に乗り越え、その力の意味や戦う理由を悟っていくという、どこか陰鬱としたストーリーなのかと思っていたら、ルリの力の発現から、なんかアルマが突然悟っちゃって、いきなり正義のヒーローになってしまったように見えたよ。
 正直、その辺は随分と駆け足な感じがして、事後にアルマの性格が突然明るくなってしまったような印象を受けました。まぁ尺の問題もあろうし、今回で基本的な舞台を整えてしまおうということなんだろう。
 でもやっぱり今回のことは、もう1話分くらい使っても良いような気がしますなぁ。何かこうBパートからの展開はものすごい駆け足でいきなり雰囲気が変わってしまったように思えました。

 個人的な所としては、冒頭に書いた「いのまた美少女」ですよ。あのクリクリした目がたまらない。
 また藍羽財団のCEOということで、育ちの良さからくるお姫様然とした身分の高さを醸し出しているのが、高貴な身分フェチとしてはたまらない。それを鼻にかけるでもなく、善なる強い意志をもっていて、しかし力に対抗する術が無いってのが良い。
 確かになにやら不思議な力をヒロインらしく有してはいるものの、それは暴力に対抗するものではなく、彼女のその意思と力は守ってやらねば発揮できないのだ。
 普通に考えれば守るも何もという恵まれた環境にいる彼女だが、それでも守りたい!と高貴な身分フェチの自分なんかは思ってしまうわけで、その辺のキャラクターデザインは見事である。
 そのルリの高貴さをより良く見せていたのはメイド隊の方々である。彼女らの何が良いってちゃんと「メイド」なのだ。
 今現在としては、メイドと言えば「萌え」みたいな印象であるが、本来は使用人であり従者である。主の命令にしっかり従いお辞儀をして「かしこまりました」という姿が良い。変に男に媚びうっているようなのはメイド服を着ていても、そんなのメイドじゃないやい!
 ……話が変な方向に飛びましたが、ともあれ、あのメイド隊の方々がいて、その頂点たる主のルリが映えるのだ。
 メイド隊の方々にはこれ魔らもそのメイドっぷりを発揮して、変に媚を売るようなことがないように願いたい。

 ともあれ、お話はの方はまたよく分からないのでともかくとしても、戦闘のアクションも良さげだし、いのまた美少女もいるしでちょっと期待して見ていこうかなと思います。主にルリを(笑)。
 あ、どーでもいーけど、私の高貴な身分フェチはもちろん美少女限定ですよ?(ホントどーでもいー)

♯02「ルリ色の絆」

あれ?なんか随分とあっさりしているような……。

 そんな今回のお話は…
 メデューサとの戦いから数日後。ルリが新理事長に就任したアルマの学園は、セレブな学園へと様変わりをしていた。
 そんな中、理事長室に呼び出されたアルマは、ルリから改めて悪石との戦いに協力してほしいと要請されるが、アルマはその申し出を断ってしまう。
 その頃、米軍基地から一機の輸送機が飛び立った。その機体内部でうごめく怪しい影。それは、先日の戦いでメデューサの尻尾から抜け落ちた悪石蛇だった。
 そして、その機体が極秘裏に運んでいたのは、「塩化窒素コルバイト」と呼ばれる強大な爆発物質。
 数刻後、太平洋上空で大爆発が起こると、台風の中で爆発物と融合した悪石蛇は直径数十キロに及ぶ巨大な台風型悪石となって、刻一刻と日本上空に迫っていたのだった。
 以上公式のあらすじ。

 話の主なメイン(変な日本語だが)としては、ルリが戦う理由を見せることなのだが、戦闘を含め、何か随分あっさりしているような……。
 理由を先に行ってしまうと、アルマの持つような力は、17年前に降ってきた隕石によってなのだが、たまたま両親からプレゼントされた石でルリの姉、葵が石となってしまい、両親は悪石によって殺された。ルリは悪石を全て倒すことによって姉が元に戻るのではないかと信じ、受け継いだ莫大な財産を元に、対悪石の組織を作り上げたのであった。
 ということで、ルリに力を貸そうか迷っているアルマに対し、執事の鏡がアルマを葵に会わせてみてはと提案するが、ルリはそれを拒否し「同情などで戦って欲しくありません」と言う。
 ここはそのルリの気高さがキャラクターとマッチしていて良いのだけど、今回の悪石出現後、焦れた鏡が独断でアルマに葵を見せ状況を説明してしまう。そこへルリがやってきてアルマが戦う決意をするのだけど、その時になにもないんだよ。それはちょっと疑問を感じてしまう。
 なぜならば、上記したように、ルリは同情で戦ってほしくはない。しかしその状況からすると、アルマが同情から力を貸そうと言い出したとしか思えない。だったらルリは上記台詞である間の申し出を一旦は断るべきなんじゃないだろうか。
 そこでだ、アルマはその時「オレの力は本当に役に立つのか?」と聞いている。人を傷つけてしまうこんな力などいらないと思っていた彼であるが、そんな力が本当に人のためになるのならそうしたい。同情が全く無いわけではないだろうが、力を傷つけることでなく人助けの為に使いたい。これが彼の本心だろう。
 それをルリに伝え、アルマがただ同情のためだけに力を貸すと言っているのではないことを理解させなければならないのではないだろうか。そのシーンからすぐに悪石へと向う飛行機内のシーンに移ってしまったので、見ていて「え?これでいいの?」と思ってしまいました。
 そこでドラマを盛り上げることができたであろうので、ちょっともったいないような気がします。もっとアルマの戦う意思やルリの気高さを強調してもいいと思うのだがなぁ。

 随分とあっさりしているという点では戦闘もそうだ。
 まず、第2話にしてもう巨大な敵は正直早いんじゃないのか?こういう「こんなでっかいのとどう戦えばいいんだ」というのは中ボス的展開だと思うのだが。
 そんなデカい敵に大ピンチの後の大逆転というわけでもないし、なにやら攻撃を避けて2、3発ポスポスっと撃ったら終わりなんだったら、別に巨大な敵じゃなくても良いような気がします。もしかしてアレかな。今回はただ変身した(?)アルマの飛行能力を見せたかっただけなのかな?
 それと、不意に飛行機から落ちてしまったアルマを追って、ルリも飛び出してしまうシーン。「パラシュートを!」という鏡に「今いかないと間に合いません!」と言って付けずに飛び出してしまうのはカッコよくていいのだけど、その後きゃあぁぁとかいいながら落ちてくるのはどうなんだ(笑)。
 ルリのキャラクター的には見事に追いついてアルマに抱きつきバランスとるくらいしてもいいだろうし、きゃあと言わせたいなら、思わず飛び出しちゃったけど途中で我に帰って……みたいな小芝居があってもいい。
 ついでに言うと、悪石撃破後なんですが、あんなでっかい質量が空から落ちたら……そらもうすごい津波ですよねぇ。細かい所気にしすぎ?(笑)

 とまぁ、正直にいうとこのアニメはけっこう大雑把な所あるよなぁ。もうちょっと細かく描く所とそうでなくてもいい所のメリハリがあっても良いような気がします。
 何か文句ばっかりになってしまいましたが、お話としてはつまらないことはなく、上記したルリが戦う理由を始め、アルマがなんで川で石を拾っては捨てているのか、伊藤若菜との関係であったり、アルマが他人と関わろうとしなかったもうひとつの理由などが語られ、なーんも分からなかった第1話から、情報が少しずつ提示されていって興味を引かせており上手くは作ってある。
 それだけにこのメリハリのなさはちょっともったいない。その辺がなんとかなるであろうことを期待したいと思う。


♯03「クレイジーナイト」

ええっと、紹介だよね。

 そんな今回のお話は…
 深夜の高速道路を疾走する藍羽財団のトレーラーと一台のSUV。車中には「セイクリッド」の力の悪用を防ぐため、能力者を保護している研究機関の所長、研美悠士。
 その前に悪石化した謎の男が立ちはだかる。護衛として同行していた鏡の戦闘メカが飛び出すが、歯が立たない。
 異変に気づいたアルマは現場に向かうが、悪石人間を前にすると全身から瘴気が立ち上り、悪石化の兆候があらわれてしまう。
 そこに新型パワードスーツを身に纏った研美が駆けつけ、謎の悪石人間を追い払うのだが…。
 以上公式のあらすじ。

 お話は、これまでちょろちょろっと出てきていた輝島ナイトを取り巻く状況を紹介する話。だよな。
 サブタイはその彼が研究所を襲うクレイジーな夜と彼自身のクレイジーをかけているのだけど、まぁどっちもクレイジーというほどのことでもなく、上記したように彼の状況を説明した、という感じで、展開的には前フリと言った様相だ。なのでぶっちゃけとくに某なく、割と「ふ〜ん」で終わってしまった印象はある。
 研美悠士のセイクリッドセブン研究所から抜け出した輝島ナイトと劉翡翠(ラウ・フェイゾォイ)は、自分達から自由を奪った研美の命を狙い、またそのままでは悪石化したままになってしまうので、それを抑制する薬を研究所から奪おうとしている。
 目的達成のため研究所を襲う輝島ナイトであったが、そこでアルマとルリに出会う。アルマの活躍もあり輝島ナイトは目的を達することはなかったが、これからの道筋を見つけたと言って去っていく。というのが大体の流れ。
 薬がもうすぐなくなるというのに、それを奪取せずに去るからにはそれに変わる何かを見つけたわけだけども、まぁそれは十中八九ルリの良石の力であろう。これで主役アルマとの対立構造が出来たわけだ。
 そして今回からのキャラとして研美悠士なのだが、どうも気障な所が胡散臭い感じである。劇中の彼の説明によれば、彼が所長を務める研究機関はセイクリッドセブンの力を有効利用するための機関とのことだが、本当にただそうであるならば輝島や劉が逃げるはずもなく、きっと何か裏があるのだろう。といってもただの私の憶測なんですが(笑)。
 とまぁ、お話に関してはそんなもんで、これから起こることの前フリを作ったに過ぎず、展開するのはこれからなので、上記したようなポイントを押さえておけば良い。

 個人的には……あんまり思う所がなかったのですが、やはり私としてはルリだろうよ。
 と言ってもすごく細かい所なんですが、前半に輝島ナイトの影響で意識を失ってしまったアルマがルリ邸で目を覚まし、ちょうど帰ってきたルリがやって来るというシーン。
 アルマを看ていたメイド隊の方が「お帰りなさいませ。お嬢さま」の言葉の途中でアルマに話しかけるんですよねぇ。これですよ。この高貴な身分っぷりがいい。
 ルリにとってメイド隊の方々は使用人であってそれ以上ではないのです。友達でもなければ親交を深める相手でもなくただ使用人。なので彼女らの定型句などルリとしてはどーでもいーのです。またそれは幼い頃よりそう育てられてきた賜物であり、その育ちの良さと身分の高さが窺えるこの一瞬は、ルリというキャラクターを表していてとても良い。
 そういえば、Aパートすぐでアルマを変身させる宝石を13億で買っていましたけど、石の質の高さで能力値が変わってしまうとはいえ、一回に10億以上だと劇中鬼瓦が言っていたようにいつか破産してしまうよなぁ。前回はそれくらい高価であろう石を2、3個バラまいちまっているし。
 藍羽財団の資産ってどれくらいあるんでしょうね?これまた前回での学食サーロインステーキ定食(だったっけ)がお値段据え置きでたぶん500円以下だなんて明らかに赤字だと思うしなぁ。
 最終的に大団円となった後のエピローグで「破産しちゃった。てへ」とか言ってアルマの家に押し掛けるみたいなオチだったりして(笑)。


♯04「学園祭のオニ」

4話にしてこういう話とは。

 そんな今回のお話は…
 明日は学園祭。生徒たちは明日の準備に向けて大わらわ。鉱石部に入部したアルマも準備に余念が無い。
 楽しそうな若菜の笑顔に、戦い続きのアルマも小さな安らぎを覚えるのだった。そんな折、学園に悪石蛇が迷い込む事件が発生。
 「お嬢様にバレたら、学園祭は中止になる!」。鏡の脳裏に、初めての学園祭を楽しみにしていたルリの笑顔が浮かぶ。
 事情を知ったアルマもまた、若菜が楽しみにしている学園祭が潰されてはと、心密かに思う。
 しかし、悪石蛇を倒すには、ルリの力を借りて変身しなければならない。ルリに気づかれないうちに、悪石蛇を排除しなければ、明日の学園祭が中止になってしまうのだが…。
 「セイクリッドセブンの力の練習のために」とルリに偽り、変身したアルマ。学園祭存続を賭けて、コスプレ℃pのアルマとダンボールで偽装した鏡のメカが校内を駆け巡る。
 逃げまどう悪石蛇。その混乱の中、設営中のモニュメントが倒れる事故が発生。あわや生徒たちが下敷きになろうかというとき、その窮地を救ったのはコスプレ℃pのアルマだった。
 その行動は、今まで彼を恐れてきた生徒たちの心に小さな変化を与え、周囲の生徒たちもアルマのことを誤解していたことに気づくのだった。  そして、アルマと鏡の活躍のお陰で、翌日の学園祭は無事に成功したのだった。
 以上公式のあらすじ。

 割とインターミッション的な学園祭の話。
 物語とはあんまり関係無いボトルショー的ではあるものの、あくまで「的」であってそうではないのは、上記引用したあらすじにあるように、学校で孤立していたアルマが、この一件を通して、一般の生徒から厄介者ではないと認識されるということがメインなので、まぁ単なるインターミッションではないと言えばない。
 と、細かい所を見ればそうなんだけども、一般の人がほとんど関わってこないようなこの物語でそこが重要かと言われると、それほどでもないわけで、別にこのイベントがなかったとしても、ルリと出会ってセイクリッドの力を良い方向へ使えることを知り、維持部の人たちとの交流もあり、他人との関わりを断絶しようとしていたアルマが変わっていく様子は描いているので、「いつのまにか他の生徒達の見方が変わっていっている」でも一般人があまり関わらないこの物語としてはさして問題ない。
 そういうことを考えても、まぁインターミッションな話である。

 要はアルマへの認識が変われば良い、という話なので、ぶっちゃけお賑やかしであることは間違いなく話としてはかなりコミカルに作ってあり、日常あってこそ戦闘が生きるわけで、守ろうとしている世界で平和に過ごす部分を見せるのは大事だろう。彼らとて戦闘に明け暮れているわけではないのだ。
 話の流れとしては、アルマの学校を買い取り新理事長となったルリが、初めての大きな行事に燃えているのを見て、力の弱い悪石出現に、行事を中止させてしまうよりかは秘密裏にやっつけてしまおうとする鏡とアルマが奮戦するという流れ。
 力の弱い悪石とて普通の人々としては驚異であることか変わりなく、鏡は偽装したエンゲージメントスーツで、アルマはルリに練習したいと偽って変身する。個人的に興味深いのはアルマの力はルリを持って初めて良い方向へ使うことが出来るのを再確認したことだ。
 といっても、物語的にそういうことをいうわけではなく、力の弱い悪石だとしても、アルマひとりではダメでルリという存在がとても重要であるということを暗に見せている。つまりルリはアルマの弱点で、彼女がいないと変身すら出来ないし、力の強い悪石の近くでは影響を受けて悪石化してしまい暴走の危険がある。
 立場も性別も違う彼らとしては四六時中一緒にいるわけにもいかないので、何かあった時にルリが石を持っていて手の届く範囲にいる、という制約があるのが大事なのだ。
 何が大事かって話を作る上での話で、アルマが力を自在に使えるのであらば、何が起こった所でどうせやっつけちゃうんだろうで終わってしまうが、上記した制約があるからこそ、そうでなかった時に見ていてどうするんだどうなるんだと思うわけで、メインのふたりの行動を気にさせる作りになっている。
 まぁ、完全無欠のスーパーヒーローより、何かしら弱点があった方が感情移入しやすいので、設定としてはベタと言えばベタではあるものの、基本的に所をちゃんと押さえているとは言えるし、なにより、ふたりそろって初めて力が発揮されるということは、どうしたってふたりの関係を気にしてしまうわけで、その関係を中心に話を描けるというものだ。
 メインのふたりがちゃんと中心になっているんだから物語としてちゃんと物語をしているのはいいだろう。

 なんか全然今回のお話には触れていませんが、随分早いインターミッションの話としては結構楽しめました。お気に入りのルリが学校行事に妙に燃えていたり、三角巾を付けておにぎりを握ったりと、超絶お嬢さまとしてこれまで体験しなかったであろうことに高揚している様子が可愛らしかったですよ。
 どーでもいーけど、ルリが飲んでいた「燃えるオーレ」はユンケルとかチオビタみたいなのかと思いきや、赤マムシ的ドリンクであったというオチなんだけど、そんなに恥ずかしいもんなんですかね?元気が出ることに違いないから別にいーと思うんだけど。誰に知られたわけでもなし。
 どーでもいーついでに言うと、ルリってけっこう背が小さいですよね。たぶん平均的身長であろう石部部長よりも10cm以上違うっぽい。どれくらいなのか気になってしまうのはオレだけなんだろうか。ホラ、それなのに燐としていて強い意志を持ち目がクリクリしていて美人さんなんだから、そりゃ可愛いってもんですよ。
 はっ!そういうことも含めてのキャラクターデザインか!やりおるのぅ。


♯05「心のカガミ」

サブタイの割に鏡メインという感じはないな。

 そんな今回のお話は…
 合宿で海にやって来た鉱石部一同。
 その海の近くには石の神様をたたえるために作ったとされるピラミッド伝説があり、石好きの若菜のテンションは最高潮。
 しかしアルマはそのピラミッドの中から、悪石の気配を感じとってしまう。
 悪石の様子を探るため、アルマにルリを託し、一人メカでピラミッドに潜入する鏡。
 しかしその時大きな揺れが発生、アルマとルリは大地に走った亀裂からピラミッドの中に飲みこまれてしまう。
 洞窟の中で離れ離れになってしまうアルマとルリ。ピラミッドの中心部でルリを見つけた鏡は、群がる悪石蜘蛛から彼女を守るためESで奮戦する。
 しかし、無数の悪石蜘蛛の前にESも壊され、己の力の限界を感じた鏡は、駆けつけてきたアルマに脱出の希望を託す。
 アルマを変身させるため、メカの最大出力でピラミッドの玄室に僅かな隙間をこじ開ける鏡。その亀裂からアルマを変身させるため、宝石を掴んだルリの手が懸命に伸びる。
 セイクリッドセブンの姿に変身したアルマは、新たな能力を発動させ、悪石蜘蛛の女王と戦うのだった。
 以上公式のあらすじ。

 冒頭書いたように、サブタイからして鏡メインの話であるし、いつもと比べると随分な活躍であったとは思うが、どちらかと言うとやっぱりアルマとルリの方がおもしろい。
 と、いうのは、前回だかに書いたように、アルマはルリの力なくしてセイクリッドの力を発揮できない、という設定を上手く使っているからだ。  洞窟内部に落ち、離ればなれになったふたり。上記した設定を知って見ている者として、それだけでピンチ感があるのもさることながら、アルマが不意に悪石蜘蛛に襲われてしまっては「早く合流しろ!」と思わずにはおれん。
 ルリの方はと言うと運良く鏡と合流するものの、玄室の閉じ込められ狭まって来る壁と悪石蜘蛛、そしてルリを喰おうと迫ってくるボス悪石とピンチの連続に、この逆境をどう切り抜けるのかを気にさせる。
 ルリと鏡側の時間的制約とアルマの変身できない制約が見事なピンチ感を作り出していて、手に汗握る展開を演出しており良い。
 今回のこのお話のポイントのひとつとして、鏡のエンゲージメントスーツに特殊武装の一発限りのなんだか砲が付いている、というのがキモで、見ていて「おそらく良い所でぶっ放すのであろう」と当然思う。のだが、最終的にこの兵器を使わないのがミソなのだ。
 それを使えば壁に穴くらいは開けられるが、閉じ込められた限定空間ではその爆風でルリを巻き込んでしまう。幼少の頃よりルリを守る役目を負い、また彼女に魅かれている彼としては、とてもそのようなことは出来ない。
 私などはこの危急存亡の時に多少のことはやむを得ないなどと思っいきっとぶっ放してしまうのであろうが、そーんなヤツは藍羽家の執事になんてなれないのだ。ま、それはともかく、その状況を打破するであろうそのアイテムをいつ、どのように使うのか、と思わせておいて、結局それは本来と違う使われ方をする。
 その時まで私は忘れてしまっていたのだが、アルマが変身することの制約は、上記したルリが側にいるという大前提の上に、「宝石を所持していなければならない」のだ。
 きっと土壇場で役に立つであろうそのなんだか砲そのものを使うのではなく、撃つための弾丸(?もしくは心臓部)が純度の高い宝石で、その小さな石が大逆転の正に一石となるこの展開にやられた。
 サブタイと特殊武装を見て、これでケリがつくのだろうと思わせておいて、よくよく考えてみればこのアニメは「セイクリッドセブン」なのである。アルマが変身しないでどうするという話だ。
 ピンチの連続にサブタイと特殊武装で大前提を忘れさせ、やっと合流した所で「あっそうか。どうすんだ」と思い出した所でその大前提がなる。そして寸での所で主役が一発逆転。良い高揚感を作っている。
 アルマはルリがいない力が発揮できない。鏡はルリが傷つくことを絶対ゆるさない。ルリ自体に戦闘能力はない。エンゲージメントスーツでは倒せない悪石と逃げられない状況。そして宝石がないとアルマは変身できない。これら基本的な設定を上手く詰め込んで見応えのあるボトルショーを組み上げている脚本はなかなか見事な物だと思います。

 ちょっと良い所ばっかり言い過ぎた感もあるので気になった所も。
 Aパートのアイキャッチでルリの走っているシルエットがあり、その前に変身できないアルマが悪石に襲われるというのがあったので、きっとルリもそのような状況であり、アイキャッチでそのシルエットが入ることで危機感を演出していて良いなと思ったのだが、実際ルリは悪石に襲われ逃げていたというような事無く、「なぁんだ」とちょっとガックリきてしまった。
 上記したようにルリ自体には全く戦闘能力はないので、彼女がお気に入りの私としてはアイキャッチで逃げ走っているかのようなシルエットを見て「どうしたらいいんだ」とドキドキしておったのだがなぁ。そんなのを入れるのであれば、やはりルリはそのような状況に置かれるシーンがあってもよかろうと思う。
 まぁ文句と言ってもそれくらいであったりするが、強いてもうひとつ言うならば、せっかく海にきたというのにお気に入りのルリの水着をあんまり堪能できなかったことだろうか。しかしルリは背がちっさい割りに結構豊かなお胸ですよね。
 そうそう、そういえば、前回ルリは随分背がちっさいようだが何センチくらいなのかと書いたが、公式のキャラ紹介に身長が書いてあり144cmなのだそうだ。ち、ちっさ!ちなみにアルマは195cmもある。
 小学6年生女子の平均身長が146cmくらいなので、ルリは小学生並みの身長だということですなー。うわーなんか小動物みたい。ますます可愛く見えてきましたよ(笑)。


♯06「ワン モア ナイト」

初めての前後編。

 そんな今回のお話は…
 富士の樹海の中を獣のように疾駆する悪石の姿があった。それは悪石の力を暴走させた人間の成れの果ての姿。その影を追う、研美のパワードスーツ。
 研美は研究所から逃げ出した「0号」と呼ばれる悪石人間を追いかけていたのだ。
 闇の中、激突しあう両者。強大な力を誇るパワードスーツだったが、0号の力はそれを凌駕し、研美はこの戦いで怪我を負ってしまう。まんまと夜の闇の中に逃げていく0号。
 一方、血清の奪取に失敗したナイトは、フェイの血から作る血清でなんとか完全なる悪石化を免れてきたが、フェイの体もすでにボロボロだった。
 ナイトとフェイは新たな血清を造り出すために、セイクリッドの力を持つルリの拉致計画を企てる。
 ナイトの計画も知らず、いつも通り鏡が運転するリムジンで下校するルリ。そのとき、車の前に飛び出した少年に鏡は急ブレーキを踏む。
 少年はすぐに立ち去ったが、鏡が車に戻ると鬼瓦が真っ二つに割れ、そこにいたはずのルリの姿はなかった。ルリを探して奔走する鏡はアルマの元に駆けつける。しかし、そこにもルリの姿はなかった。
 アルマの応急処置によって復活した鬼瓦は、犯人がナイトであったことを告げる。折しも現れたナイトを研美のSPのパワードスーツが追撃するも、またも取り逃がしてしまう。
 その頃、ナイトのアジトで目覚めるルリ。しかし、その体は拘束具で自由を奪われ…
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭書いたように前後編の前編。あらすじにあるように、血清がないと悪石化してしまうナイトたちがルリを拉致し血清を作ろうと企み、寸隙を縫って拉致に成功するまで。
 ここ数回、ルリがいない状況で……という話が続いており、今回はその最たるもので、敵にルリを奪われるという状況を作って終わった。
 もう何度も言っているが、アルマの力はルリが宝石を持ってての届く所にいることで発揮するある意味限定的であり、何らかのアイテムによっていつでも変身出来るスーパーヒーロータイムのヒーローのようにはいかないようになっている。まぁ逆に言えばそれだけ話が作りやすいとも言えるが。
 ともあれ、Aパートである間ともっと仲良くなりたいルリと他人との接触に慣れていないアルマを見せておいてのバーパートからの拉致事件、切り札でありながらルリがいないと力を発揮どころか足手まといになってしまう主人公アルマの葛藤を見せている。
 話としても、アルマが力を発揮するためにどうしても必要なファクターとしてのルリの重要性を前々回から今回ににかけて見せていて、物語における彼女の重要性を示している点で良い。
 内容としては、ホントに前後編の前編という感じで、一言で言えば「ルリが攫われた!」で終わってしまうのだけど、物語としてはちょっと別の方向性を見せている。悪役として登場した木島ナイトたちであるが、むしろ研美の研究所の方が怪しく、ルリたちにはセイクリッドの力を平和利用するみたいな事を言っておりましたが、どうも人体実験をしているような雰囲気だ。
 まぁもともと研美たちはちょっと胡散臭い感じがしていたので、そんな凝ったろうという感じではあるが、とすると、ナイトたちの立ち位置がどうなっていくかが気になるところではある。
 勢力的にはアルマとルリたちの藍羽財団、ナイトと劉、研美研究所、悪石の四つの勢力があって、とりあえず発現自体がよく分からない悪石は置いておいて、それ以外は現在は藍羽財団と研美研究所が協力しナイトたちを敵対する格好なのだが、上記した通り、研美を倒すべき相手とすると、ルリとアルマの正統なヒーローと、ナイトたちダークヒーローが、園立場の違いから反目しながらも共通の敵を倒すみたいな構図になって行くのかなぁとおもうのだけど、そこになんだかよく分からない悪石の一団を加えると、最終目標地点がどこなのか分からなくなってくるな。
 研美を倒して「イエー!」では終われないし、特に組織立っているわけでなく突然的に発生する悪石を殲滅するっていうのも2クールではちょっと無理のような気がします。だって悪石ってどこに出現し何を目的としているか分からないからねー。
 まぁ先が分からないというのは楽しみのひとつではあるわけで、どっちに向ってどう落ち着くのかを期待したい。

 さて、ちょっと気になったんですけど、未だ役名が「SP」だけの彼女。けっこう謎の人物ですよねぇ。研美にそれなりに信頼されているようだし。
 そもそもなんでSPなんてやっているのかよく分からないし、割と重要な役職(?)なのに、どう見ても真剣味がこの人にはないですよね。上記したように研美が悪い方の人間だとすると、なんでそんな彼に付き従っているのかもよく分からない。何か重要な役割でもあるんですかねぇ。
 それからアルマとルリの距離感なんですが、これはもうなんだか背中がかゆくなりますな(笑)。見ていて「あぁもうっ!」と思ってしまう甘酸っぱさみたいなものがある。
 物語的にはこのふたりの距離が近くなっていく様子というのも大事であろうから、割とその辺も楽しみにしているんだけど(主にルリの様子をだけど)、アルマがまだ他人に対してATフィールドを張っているので前途多難な感はある。なにか仲良しイベントでも起こればいーんですけど。って、あぁそうか、このルリが攫われてしまうというのはそのイベントの一環なのかもしれませんね。
 最後に部室での石磨き。鏡は随分と辟易しておりましたが、まぁ延々と石を磨き続ける、しかも別に価値がある石というわけではないそれを磨き続けるのはつらかろうよ(笑)。
 まぁでも考え方によっては、良い精神修行になるかも分かりませんね。しかし石部(正式には鉱石部らしいが)部長は無類の石好きなのはまぁ良いとして、なーんか妙に悟っていたりして、見ていてアルマのイッコ上なのかなーと思っていたら、そういえばクラスメイトであった。やっぱ石磨きのおかげで随分と達観してらっしゃるんですかねぇ。

今週のルリお嬢さま
 と、いうわけで久々にコーナー作ってみました。だって可愛いんだもん。
 今回はアルマと一緒にお弁当を食べようとお昼に誘うのですが、その育ちの良さからなのか、この人あんまり物怖じしませんよねー。それはともかく、こんな可愛らしい女の子に言い寄られる(?)アルマに「このリア充め」と思わんでもないが、アルマは自らフラグをへし折っているのでとりあえずは良しだ(笑)。
 その見事なフラグクラッシャーっぷりに拗ねてしまうルリがまた可愛らしくて良い。普段はその育ちの良さからものすごくお嬢さま然としているが、時おり年相応の部分を見せてくれるギャップがたまらないですな。
 そしてどーでもいーんですけど、ルリは144cmという身長の割にお胸はけっこう豊かですよねー。身長と体つきからいって、つるん、な印象があるんですが、まぁそれはあまりにテンプレ過ぎて面白味に欠けますか(笑)。


♯07「真実のヨシアシ」

研美がラスボスなのが決定的かな。

 そんな今回のお話は…
 ルリをさらったナイトは取り逃がしてしまったが、研美のSPによって取り付けられた発信機によりナイトのアジトらしき場所が判明する。
 それは、朽ち果てた地下壕。しかし、その場所を示していたはずの反応が再び移動を開始する。
 果たしてここが本当にナイトのアジトなのか?迷う鏡は、自分の後を追ってきたアルマにその場の捜索を任せる。
 地下壕の暗闇の中をひとり、ルリを探して突き進むアルマ。やがて、その闇の中で待ち受けていたのは、輝島ナイトであった!
 一方、捕らえられたルリは、フェイから研美についての驚愕の事実を聞かされるのだった。
 ナイトに案内され再会するルリとアルマ。二人を前に、ナイトは静かに研美研究所にとらわれていた頃の話を語りだす。
 その話の中で、ふたりは研美研究所の実態とフェイの兄が研美博士に殺されたことを知らされる。
 にわかには信じられないアルマとルリ。その真偽を問いただそうとした矢先、上空から飛来した0号がナイトのアジトを強襲し4人に襲い掛かる!  アルマとルリの窮地を救ったのは、パワードスーツに身を包んだ研美の姿であった。
 アルマとルリを守るため、怪我をしながらも懸命に戦う研美。変身したアルマも戦闘に参加しようとするが、元は同じ能力をもった人間であった0号と戦うことをためらってしまう。
 からくも0号を撃退したアルマであったが、ナイトとフェイが残した言葉に研美への疑念を拭うことは出来ないのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、これまで悪役はナイトと思わせておりましたが実は研美っぽいぞ、と視聴者に思わせることが出来たら成功。みたいな話。まぁっぽいとかじゃなくてもう確定みたいなもんですが。
 話の流れは上記あらすじ通りで今更書く事はなく、ナイトと研美、ルリとアルマはどっちを信じるんでしょうかね。という所へ落ち着けているんだけど、このルリ拉致事件の事後、ただでさえ胡散臭い研美がそれっぽいことを言うので、まぁ見ていてコイツが悪いんだろうなというのが分かってしまう。
 0号はフェイの兄のようだし、ナイトは行動原理がはっきりしているものな。それを踏まえても最終的に研美へ向うことが分かってしまう。どうせだったらルリやアルマと同じように、どっちの言っていることが正しいんだろうかと見ているこっちも迷うように終わればいいのにと思う。
 まぁそれは、見ている側は研美が怪しいと思いつつ、劇中としてそれが分からないルリやアルマがどうなるか、というのを楽しみにすればいいのであろうが、個人的にはその最終目標的な事柄はもっとあとに引っぱっても良いような気がします。アルマたちと一緒に真実を知れば一緒に驚けるし感情移入もするものだし。
 そういった所は手法の選択ではあるが、もうバラしちゃうの?みたいな展開の早さがあってちょっと乗り切れん部分があるな。

 さて、今回でと言う所は、ちょっとおとなしい感じがあって今ひとつ盛り上がれなかった。
 というのも、アルマが変身していつもみたいに大暴れ、っていうこともなく、彼と対になるのであろうダークヒーロー役のナイトも特にいい所がなかったし、アクションが派手だったわけでもなく、盛り上がり所がなかったのは痛い。
 まぁ、確かに今回は戦闘メインではなく、アルマとルリが研美とナイトの言い分のどっちを信じるのかがメインなので、良いと言えば良いのかもしれん。が、ナイトから語られた真実が、何となく想像していた人体実験しているんだよーだけでは正直驚けない。あぁやっぱりねで終わってしまったよ。
 どうせ最後に研見悪しの片鱗を見せるのなら、ナイトの口から「な、なんだってーっ!」というような新事実があってもよかろうと思うし、メインがそこならそうあるべきなのではなかろうか。
 それからちょっと気になっているんだけど、ナイトはその役柄からアルマと対等であるべきと思うのだけど、これまで全くいい所がないよなぁ。主役と対を成す存在であり、アルマが光ならナイトは影なのだから、ナイトの不幸な境遇ってのはいいのだけど、活躍という部分でいい所なしなので、どうもサブキャラのひとりくらいの印象しかないんだよなぁ。本来ならば、もう少し前面に出てもいいキャラだと思うんですがどうだろう。
 そしてすごくどーでもいーんだけど、フェイって男の子なのか女の子なのか今ひとつ判別できないんですけど……。まぁ自分としては女の子の方が嬉しいんですが、男の子っぽくもあり、なんだかモニョモニョします。

今回のルリお嬢さま  拘束されているお嬢さまにちょっと興奮したのはきっとオレだけではあるまい。
 まぁそれはともかく、「トイレに行きたい」と言って首尾よく拘束を解かれ、果敢にフェイに向って行ったのはけっこう意外であった。
 優しいルリお嬢さまのことなので、話し合いでなんとかするもんんだと思っていただけに、こういうこともするんだと意外な発見をした感じ。そして研未強襲時には体調の悪いフェイを庇ったりのいつも通りの優しい面も見せてくれるし、事後に研美とナイトのどっちを信じるのかとアルマに問われ、今はまだうかつに口に出来ないと、責任ある立場にいる藍羽財団トップたる威厳を出しており、そのらしさを失わないのが良いですな。
 まぁ個人的には、「トイレに行きたい」でなんでフェイは拘束を解くのかとちょっとおもってしまっただよ。
 え、なぜって?そりゃぁ、ルリお嬢さまがおしっこ我慢して苦悶するよう表情とか、おもらししてしまう様を見たかったとか、そしてその羞恥に耐える表情とか見たかったとか思わんでもないような気がしないでもないぞ(笑)。


♯08「マゴコロを込めて」

ああっもう!アルマってば!

 そんな今回のお話は…
 ナイトとフェイの残した言葉に、今まで協力してきた研美への疑惑が芽生えてしまったルリ。鏡に研美研究所の調査を命じると、自身はアルマへの家へとやってくる。
 彼女がアルマに手渡したのは、藍羽財団との契約書。アルマとの協力体制をより確かなものにしておきたいとの思いからだったが、アルマはルリの言動に「信用されていない」と苛立ちを隠せず、険悪な雰囲気になってしまう。
 そんなとき、突然、鬼瓦がナイトにやられた傷口から再び真っ二つに割れてしまう。完全修復するには、男女の真心のこもった石が必要だと鬼瓦はいう。その石は鎌倉にあって、探すためにはふたりが手を繋いでいないといけないというのだが・・・
 翌日、アルマとルリは電車で鎌倉へと向かう。道中、なかなか手を繋げないアルマとルリ。
 保管されていた鎌倉大仏殿の鬼瓦の欠片を分けてもらうが、ふたり手を繋いでみても何の反応も示さない。
 気まずい雰囲気の中、ふたりで入ったラーメン屋で昨夜の契約の真相を語りだすルリ。
 何気なく使っていた「とりあえず」という口癖が彼女を不安にさせていたことをアルマは初めて知るのだった。改めて、自分の意思で戦っていることを告げ、ルリの誤解も解ける。
 手を繋ぎ、鎌倉を散策するふたり。
 アルマは昔、鎌倉に住んでいたことを語りだす。初めてできた友達を助けるために力を使ってしまったことで居場所をなくしてしまった苦い思い出。そのとき、母がかけてくれた言葉の意味をアルマは今一度かみしめる。
 ルリと出会たっことで、壊しても守れるものがあることを再認識したアルマは、ルリと共にこれからも戦い続ける決意を固めるのだった。
 以上公式のあらすじ。

 今回のお話はと言うと、何か鎌倉とタイアップだかなんだかしているようで、アルマとルリが鎌倉へデートしにいくという話。まぁ間違ってはいない。
 戦闘は行われず、これまでなんだかんだで戦うはめになってきたふたりであるが、初めてお互いを理解し合い仲良くなる、というのが今回のメインである。
 まぁぶっちゃけ、ふたりのデートの様子を見ているだけのような話なのだが、別に退屈だったわけでもなく、これがなかなかおもしろく出来ていたので感心した。
 最初に二人の気持ちのすれ違いを見せておき、その不安な雰囲気のまま鬼瓦の策略によってデートするはめになるのだが、アルマは元々自身のことがあってぶっきらぼうがクセになってと言いますか、以前の話であったように、自身が石のようであれば誰も傷つけないとし、他人との接触を極端に避けていた所為もあって、超が付くお嬢さまのルリに全く対応できておらず、ルリお嬢さま好きとして以前に男としてアルマに対し「ああっ!もうっ!」と思わざるを得ないような行動をとり、見事に私はその術中にハマったと言える。
 今回のルリの愛らしさと言ったらなく(その辺は後述)、フツーの健康な男子ならかまっちゃってかまっちゃってしょうがないところなのですが、電車の切符とかお店でのことや、気持ちを理解し合うきっかけとなったラーメン店でのことなど、アルマの朴念仁っぷりといいますか、鈍感さにやきもきしてしまう。もっとこう、あるだろ!と思わずにはいられないが、そこは製作陣の思うつぼである(笑)。
 そういう「ああっ!もうっ!」があるからこそ、打ち解けてからが気持ちよく、これで本当の意味でふたりは一緒になって戦えると思わせる。
 気になった点としては、アルマの口癖のようなもので「とりあえず〜」というのを上手く話の中に織り込んでいたのだが、今回でこそその口癖が気になるように割と何回も使って入るのだけど、これまでのお話ではそんなに使っているわけではないのよね。
 どうせ今回のお話があるのなら、アルマのそれをここまでに軽く印象付けておいても良いような気がしました。まぁでも今回として見ると、先述しましたが、「とりあえず〜」は効果的に使っており、アルマとしては何気なく使っているその言葉が、ルリにとっては大きな意味を持ってしまうことを彼女の表情から読み取れるようになっていて、見ている者に「あ、また言った」と気にさせるようになっているのは上手い。
 また今回のポイントとしては、ルリのアルマに対する心境の変化が見られたことだろうか。これまではもちろん彼に好意を持ってはいるものの、悪石に対抗するためにどうしてもその力が必要であることの方が大きくあったと思う。しかし、今回のデートで知らなかった彼の過去や素のアルマを見て、そして感じて、一人の人間として、この人との距離を縮めたいと思ったのではないだろうか。
 だからちょっと前に明かされた、ルリの思い出である幼少の頃アルマの力によって助けられたことを話したのではないだろうか。
 お話としてはその思い出はポイントのひとつだと思っていたのだけど、アルマは覚えがなかったですね。てっきり「あの時の!」とかになると思っていたのだけどなぁ。しかし、アルマの語った過去では力の発現時は悪石状態であったが、ルリを助けた時はいつもの変身の用立ったことを考えると、その出来事はやはり何かしらあるんじゃないかと思うんですけどねー。

今週のルリお嬢さま
 さて、今回のルリお嬢さまはといいますと、上記したようにもう愛らしいたらないよ。
 電車の券売機でおろおろして、改札に券を通すのを知らなくて止められたり、鎌倉のお土産屋に心躍らせたり、駅のホームを物珍しそうに見ていたり、割り箸が綺麗に割れなくて涙ぐんでしまったりと、ルリお嬢さま好きでなくともこんな女の子がいたらかまいたくなってしょうがない。
 しかしアルマときたらそれらをスルーか。アホかと。その前に契約云々でイラッときていたとしても、上記ルリお嬢さまの行動でもうチャラだろ。常考。
 特にラーメン店で食べるものが決まらず、思わずアルマと同じものを注文してしまう件。これはどんなにイラッときていたとしても、自分はこれにしようと思っていたんだけど食べられる?と聞くだろ、人として。つか、あの量をルリお嬢さまは食べ切ったんですかねー。お腹ポッコリになっちゃいそうな気がしますが(笑)。  まぁなんにせよ、上記した行動とか、メイド隊に見繕ってもらったという普段見ることのないカジュアルなお洋服とか、アルマの言葉に一喜一憂してしまう様とか、普段のお嬢さま然としたのとは違い、ひとりの女の子としての魅力が出ていて、ルリお嬢さまとしては結構たまらないのでありました。
 こういう普段とは違うギャップってのは良いよねー。まぁあんまりやり過ぎると凡百の萌えアニメのようであざとくなってしまうから匙加減が難しいのですが、これは上手くやったと言えるんじゃないでしょうか。
 ヒロインを「ああ、可愛いなぁ」と思わせるのはやっぱり大事だろうと思います。


♯09「転石するイシ」

いやはや、なかなかおもしろいお話であった。

 そんな今回のお話は…
 学校でルリとの仲をクラスメートたちにからかわれるアルマ。だがそれはアルマへの偏見が解け、周囲の生徒たちが彼を受け入れ始めていた証拠でもあった。
 徐々にではあるが、アルマは学校の中での居場所を築き始めていた。アルマは戸惑うが、若菜は、周囲がありのままのアルマに気づき始めただけだと笑う。
 一方その頃、藍羽邸の地下司令室では同時に2体の悪石の反応がキャッチされていた。2体の悪石と戦うため、別々の現場に急行するアルマとルリ。
 動き始めた悪石の目指す先には、アルマたちが通う学校と街があった!
 輸送ヘリから戦闘現場に降り立つアルマ。動かない敵に楽勝かと思ったそのとき、悪石は猛スピードで動き出し、アルマは苦戦を強いられる。  一方、もう一体の悪石もルリの待つ防衛ラインへ向けて突き進んでいた。
 鏡のエンゲージメントスーツとメイド射撃隊の攻撃も悪石の前進を止めることが出来ない。
 最終防衛ラインに置かれたレールガンの照準を絞るルリ。しかし、その一撃もものともしない悪石は最終防衛ラインをも突破していく。
 成すすべもなく絶望しかけるアルマ。しかし、「みんなを守りたい!」という強い意思の力で、なんとか悪石を倒すアルマ。
 もう一体の悪石は既に街まで迫っている。時間がない!
 駆け出しながら、セイクリッドの新たな力を発動させたアルマは猛スピードでルリの元に駆けつけると、彼女を食べようとする悪石を間一髪のところで粉砕する。
 この街を守れた! そう喜んだのもつかの間、倒したはずの悪石が合体して新たな悪石となり、アルマたちの上空から街を目指して飛び去っていく。
 最後の力を振り絞り、アルマはセイクリッドの力で空を翔けると悪石を粉砕し、街を救うのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、アルマに新しい力がっ!的な話ではあるんだが、それと共に彼がルリと出会って、石であろうとした自分から気付かぬうちに本当の自分へと戻っていったことを知る、というのが本懐であろう。
 物語の最初は、過去の経緯から学校の皆からただ恐れられていたアルマであったが、ルリと出会いセイクリッドの力に目覚め、石部に入部しなんやかやあるうちに以前の偏見はなくなっていった。一体何が変わったのか自分では気付かないもので、石であろうとした自分はいつの間にかいなくなり、全てのきっかけはルリであったことを周囲の反応からやっと気付く。
 そういう前フリを踏まえて今回の戦闘へと繋がり、そしてオチに向う脚本はなかなか良く出来ていたと思います。
 戦闘のことは後述するとして、それ以外でのことで興味深かったのは石部部長こと若菜である。石マニア(?)の彼女はアルマが変わったと噂するみんなとは違い、彼女は元々から本来のアルマを見抜いている。だから若菜はアルマが変わったとは思っていないのだ。
 それに登校時のシーンで、初めて出会った時の印象として、拾って欲しそうな石のようだったと語る。感情の高ぶりで悪石化してしまうアルマが、周囲を傷つけないために石のようであればいいと願っていたのだから、石マニアの若菜がその心中に気付かぬはずがないというものであるし、だからこそ若菜が石マニアである所に意味が出てくる。石であったアルマは本当は誰かに救い上げてほしかったのだ。若菜にはそれが分かっていた。なぜならその時アルマは石だったのだから。
 セイクリッド云々に若菜は全く絡んではこないのだが、アルマという人間の成長は、もちろんルリという存在は大きいが、それ以外の人間も大きく関わっていたのだという所に、彼が自らの力をもって戦う理由にもなっている。それなくして「みんなを守りたい!」にはならないのだから、地味ではある石部部長の存在は物語的には大きいだろう。正直もちっとこの辺は尺を割いても良いような気がしますが。  それから若菜からもらい常に持っていた小石を、部の石置き場(?)に置くというラストシーン。これはもう石であったアルマの自分への決別だろう。
 宿った力で周囲を傷つける事がないように、感情を表に出さず常にこの石のようであれと、お守りのように肌身離さず持っていたのだが、自分の力を傷つけ壊すのではなく守るために使える事が分かったアルマは、自身が石である必要がなくなったのだ。ルリがいて、嫌味を言いつつも協力してくれる鏡、メイド隊の皆さん、石部部長とその部員たち、なによりもう恐れる事無く話しかけてくる学校のみんな。アルマが感情をセーブする必要はもうなくなり、小石の役目は終わりを迎えた。アルマが少し自立した事を象徴する清々しいシーンであった。

 さて、戦闘の方はと言うと、二体同時に出現した悪石に、セイクリッドアルマとルリが別々に防衛戦を繰り広げる。個人的にはアルマの方はともかく、圧倒的に力の劣るルリたちの戦闘展開の方が見ていてハラハラしておもしろかった。
 ハラハラという点では、ザッピング的にアルマ側とルリ側を切り替え、どちらもピンチという状況を見せて、最後はどうせ悪石を倒す事は分かってはいるものの、二重のピンチに「あぁ、どうなるんだろう」と思わせるように仕向けてあるのは見事。  特に戦力の劣るルリ側としては、虎の子のレールガンを撃つためにメイド隊と鏡が総力を挙げて射線上に誘導するも、なす術もなく防衛ラインをことごとく突破され、きっとそのレールガンでなんとかなるんだろう最終防衛ラインギリギリで発射しやったと思ったのも束の間、コアを外しており一転大ピンチに陥るジリ貧の攻防戦が良い。
 そこから上記した事柄から繋がるアルマのみんなを守りたい気持ちからの大逆転へ向っていく爽快感もある。忌むべき力であった自身の力は、今や悪石に対抗し得る唯一の力。おかげで得た様々なもののために絶対負けられない、諦めるわけにはいかないと、二体の悪石を倒しやれやれ一件落着と思っていた所でもうひと展開あるという緩急の利いた展開は見応えがあった。
 まぁ正直な所をいうと、アルマが都合よく力を発揮するので、もうちょっと段階踏めないかなとは思ったものの、尺の都合もあるので仕方ない所ではある。とはいえ、そういう尺の制限がある中で、ひと展開ふた展開し、結果は分かってはいるもののハラハラドキドキ感を味わえる良い戦闘であったのではないだろうか。
 物語としましては、悪石を倒したあとの光が飛び散ったのが、結晶化しているルリの姉アオイの所に降り注いでいったのは、多分今後何かしらの展開があるのであろう事を予感させる。
 最終的にアオイが目覚めて大団円、じゃないんですかねー。ナイトも全然出てこないし、研美も動いていないしなー。しかしこの物語どこまで行ったら終わるんですかね(笑)。今ひとつ終わりが見えないよなー。

今週のルリお嬢さま
 今回は戦闘での出番が主。作戦指示を出しているお姿がカッコいいのであります。
 また珍しく戦闘参加し、虎の子のレールガン担当っていうのがいいですな。外しましたけど(笑)。
 個人的にアルマが助けにくる直前の、メイド隊の皆さんを庇って悪石の前に両手を広げて立ちふさがるお姿が印象的でありました。あんな小さなお体でメイドの皆さんを守ろうとする健気さがいいよなー。
 そういう強い女性なんだけど、ちっちゃくて愛くるしいから守ってあげたくなっちゃうという妙なアンバランス感が個人的には絶妙なんですよ。


♯10「アオイ記憶」

過去話。

 そんな今回のお話は…
 藍羽邸で、5年間眠りについたままのアオイに変化があらわれていた。
 鬼瓦の話では、先日の戦いでアルマが見せた強いセイクリッドセブンの力が、アオイと共鳴して変化を呼び起こしたという。だが、連れてこられたアルマを前にしてもアオイに変化はない。
 アルマの質問に応じ、ルリは語り始める。5年前のクリスマス、幸せなルリ達家族と、執事の鏡親子。
 ルリとアオイはささいなきっかけから喧嘩をしてしまい、それが二人の運命を別つことになったことを――。
 5年前。クリスマスの準備に余念のない藍羽親子。イヴの夜には別荘で過ごすと、アオイとルリは楽しそう。まだ執事見習いだった幼い鏡も手伝いながら、ツリーの飾り付けが行われている。
 自室に戻ったアオイとルリはイヴの夜に飾るリース作りをふたりで分担して作っていた。材料を取りに部屋を出たアオイは偶然、父親と研美が研美研究所への出資をめぐって言い争っているのを聞いてしまう。
 出発の日。まだ準備の出来ていないルリを急かすアオイが誤ってふたりで作ったリースを壊してしまう。それがきっかけでケンカになってしまうアオイとルリ。
 リースを直すと言い張るルリに鏡をお供に残し、両親とアオイは別荘へと向かう。その別荘を、炎を纏った謎の悪石人間が襲い、両親は惨殺されてしまう。
 完成したリースを手に別荘へと到着したルリが目にしたのは、炎上する屋敷と結晶に包まれた姉の姿であった。
 語られた5年間のルリの思い。その思いを受け止め、協力することを約束するアルマ。
 帰り道、アルマは待ち伏せていたナイトに出会い、ルリと出会ってから得た自分の力の意味を語り、ナイトを仲間に誘う。だがナイトはあくまでも研美と戦う道を選ぶのだった。
 以上公式のあらすじ。

 アオイがなんで現在は石になっているかを説明する話。
 状況は上記引用したあらすじ通りで、リースの破損が運命の分かれ道であったわけだが、アオイが石になってしまったのは、どうも防衛本能にセイクリッドの力が反応したようである。
 様は危険を察知し身を守ったわけだが、それならアオイを不安にさせる悪石を殲滅し彼女を元に戻す、というルリがどうして私財を大量に投入してまで悪石と戦うかの理由となっている。またそれが、ケンカ別れしたままだということもルリの原動力になっていて、彼女の必死さに無理がない。さらには研美の策略であるということも分かり、とりあえずの目標がしっかりしたのも良い。
 まぁただ今回のお話的には、「そうだったのかー」で終わっちゃう」内容なので、面白味という点はあんまりないのが正直な所ではある。ま、得てして過去話なんて、物語の進展としてはすでに起こった事なわけだから動きがないのでそんなものである。そもそもその過去に、大いなる謎があったわけでもないしねー。
 しかし、そのアオイを包んでいた石が、前回のアルマの力と共鳴し無くなった事で次回から大きく物語が動くんだろうという期待はある。

 さて、個人的に気になった所としては、過去のアオイについてはいつものコーナーに任せるとして、鏡パパがなんかカッコつけていた割に特にいい所がなく、かなりしょんぼりな役であった。
 まぁそれは冗談半分ですが、一番気になった所としてはナイトだろうか。
 上記あらすじにある通り、今回のラストである間がナイトを仲間に誘い、目指す所の違う彼には断られてしまうのだけど、ナイトって……すげー影薄いですよね。
 多分、本来はアルマと対になるような存在であると思うんだけど、その辺の設定が宙ぶらりんな感がありますな。正直な所、居ても居なくてもさして変わらないような気がしないでもないのだが。
 ルリ・アルマ側の裏で彼らはこんな状況なのです。みたいな二重構造でなければならないような気がするんですけどねー。
 同じ力を持ちつつ環境と境遇の違いから相反している彼らという線が、どういうふうに絡まっていくのか、というのが物語のポイントのひとつであると思っていたのだがなぁ。このままではすごく片手落ちのような気がしてならないのだがどうなんだろう。
 物語としても、とりあえず「研美悠士悪し」ということになったので彼を倒す事になるのであろうけど、その後どーするんですかねー。悪石の殲滅まできっちり描くのかしら。つか、悪石がどこから来ているのまだよく分かってないんですけど。

今週のルリお嬢さま
 ルリは巻き髪でアオイはストレートなんだ。もしかして二卵性なのか?と割とどうでもいい事が気になってしまったり(笑)。
 それはともかく、ルリは元々として活発なアオイに対して内向的だったのだなぁ。現在からするとちょっとイメージが違うような気がするが、両親を失い唯一の肉親は結晶化して、泣いている子供なだけでいられなかったことと、その過去話で実はものすごく頑固であるという描写がなされており、現在のルリお嬢さまらしいところが垣間見れて良い。
 今回のお話の良い所は、ルリお嬢さまの決意が並々ならぬものであり、それ故に一縷の望みにすがる悲壮感が漂っており、ルリお嬢さまは華奢な身体ではあるものの、意志が強く芯のしっかりした女性ではあるのだけど、守りたくなってしまうというおいしい所をついてきた事だろう。
 この強そうで弱く弱そうで強い、という見事なギャップを演出しており好きにならざるを得ない。なるほどこれがギャップ萌えってヤツか。
 そしてアオイなんですけど、結晶化していた5年は当然成長していないわけで、最後に大団円を迎え目が覚めたとして、12歳の姉と17歳の妹というなんだか訳が分からない事になってしまいますよねぇ。
 そもそも、おそらくは事件後に死亡届など出していないだろうから、法的には17歳だけど実質は12歳なので、正確に記すと「17歳だけど本当は12歳の姉」というさらにわけの分からない事になるので、元に戻ったら戻ったで色々大変そうだなぁなどとどーでもいーことを考えてしまいましたよ(笑)。


♯11「研がれたヤイバ」

なんか急展開、とか思ったら、1クールだったのか。どうりで。

 そんな今回のお話は…
 藍羽財団のCEOであるルリが、逮捕された。学校を取り囲む、取材陣たち。
 いてもたってもいられないアルマは学校を抜け出すと、財団を解散してきたという鏡と合流する。何者かが藍羽財団に攻撃を仕掛けてきたというのだ。屋敷からは、アオイまでがさらわれていた。ルリの行方を捜すふたりを、研美研究所の兵士たちが襲う。
 一方、研美の研究所では、研美がルリの体に眠るセイクリッドセブンの「コア」を取り出そうとしていた。
 折しも、研美との因縁に決着をつけようとするナイトが研究所を襲撃。アルマと鏡もルリ救出のために駆けつけ、研美研究所を舞台に、自体は混戦の様相を呈していく。
 ルリ救出のため、研美研究所に突入していくアルマ、鏡、メイドたち。鏡の操るエンゲージメントスーツの前にはアーティジェムスーツを纏ったSPが立ちはだかり、フェイの道案内でルリの元に急ぐアルマの前には、悪石人間「0号」が現れる。
 ナイトの応戦に救われる形になったアルマは倉庫の中で、失くしたはずのペンダントを見つける。ナイトと0号の闘いの中、フェイは兄である0号を血清で救いたいとナイトに懇願するのだった。
 ようやくルリの元にたどり着いたアルマ。しかし、ルリは結晶に包まれ、近づくことができない。今度は自分がルリを救うため、ペンダントの力を渡そうと渾身の力でルリへと手を伸ばすアルマ。
 そのとき、幼い頃の記憶が蘇る。セイクリッドセブンの力を使い、ルリの命を救ったことを…。
 無事ルリを助け出すアルマ。すべての真実を明かした研美は、フェイの兄である0号の心臓を貫くと、その暴走したエネルギーを自身に取り込んでしまう。
 兄を殺されたフェイの悲痛な叫び。呆然と見つめるアルマ、ルリ、ナイトの前で、狂気に満ちた研美の哄笑が響き渡るのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話の流れとしては上記引用したあらすじ通り。研美が動きだし藍羽財団を封じ込めルリとアオイを拉致、アルマらは先行して動き出したナイトの後を追って研美研究所へ急ぐという流れ。
 なんか随分と急展開だなと思っていたら、冒頭にも書いたようにこのアニメは1クールだったようで、いきなり最終決戦という感じでちょっと面食らってしまった。よく分からなかった色々もここで結構強引に回収するしなー。
 とはいえ、最終決戦ということもあって、展開としては「どうなるんだろう」と思わせる高揚感みたいなのはあって、拉致されて研美に心臓えぐり出されそうになるルリとか、解雇されたのにも関わらずルリ救出のために集うメイド隊の皆さんであったりと、この最終局面の盛り上がりを作っている点で良い。
 個人的な所では、研美に攫われたルリのピンチを、アルマやナイトは間に合いそうにないしどうするかと思っていたのだが、アオイが結晶化した時と同じようにセイクリッドの力が防御反応を示したのは私の予想の範疇になくて、展開上なかなか見事であり感心した。先にアオイの例があるので、その力の発動に無理が無いもんなー。
 そういえば、前々回の悪石に喰われそうになった時とか、喰われる寸前とかにルリが蒼く光っていたのはこういうことだったんだね。ホントはもうちょっと尺を使ってこの辺の事を詳しく描きたかったんだろうなぁ。
 ま、それはともかくとして、0号の事であったり、研美の最終目的であったり、セイクリッドの力の秘密、なくなったはずのアルマのペンダントなど、回収する所は回収し、まぁさすがに尺的にかなり怒濤の展開ではあるものの、ラストバトルの前編としては上記したようにいい盛り上がりを作っていて見ていて楽しめるのはいい。

 気になる点としては、アルマの無くしたペンダントだろうか。割と唐突に見つかったのはちょっと面食らってしまった。というか、劇中で見つからないものだと思っていたので、割と都合良い感じで彼の手に戻ったので「なぬ?」と思いはしたものの、結晶化したルリを救う手段として使われるという布石にもなっていたし、なによりルリ救出のために砕けてしまったそれを、第1話でルリが形見の品を使ってしまったことでチャラだとする展開は良く出来ている。
 ルリとアルマの間でこれまでいろいろあったが、お互い貸し借りではないけれど、ルリは悪石討伐のためにアルマの力を利用し、アルマはルリの力で悪石にならずに済むし力を正しく使えるという、どちらかが何かしら引け目を感じるような所がこれで完全になくなった事を示しているし、リミッターであるそのペンダントは、もうルリがいるからいらないんだとし、ルリを見つめるアルマが清々しい。
 その辺の件はそう考えると最初からペンダントの使い道を決めていた感はあり、上手いことそのアイテムをお話の中に織り込んであって良く出来ている展開であった。
 それと、まぁ尺の都合上仕方ない事ではあるが、やっぱり今回いきなりの急展開は結構ビックリな進み具合である事は否めない。全然目立たないナイトの事もあるし、どう考えても本当は2クールの企画であったとしか思えない。
 これまで全体としてはけっこう大雑把な進み具合というか、妙に急いでいる感があったのはそういう事だったのかと思うと納得ではあるが、本当はもっと細かく描きたかったんだろうなぁと思うと残念ではある。まぁ一番残念に思っているのは作っている方々であろうが、枠が取れなかったもんは仕方が無い。
 なんにせよ次回、研美との決着をつけて大団円を迎えて綺麗に終わってくれる事を期待したい。

今週のルリお嬢さま
 ルリお嬢さまが研美に輝かしいお胸を切り裂かれそうになった時はどうしようかと思ったよ。上記したように上手いことなりましたが。
 出番としては今回救出を待つ身なのであまり無いんですけど、なんだろう。やっぱり拘束されているお姿はなんか萌えるな(笑)。
 ほら、ルリお嬢さまはすごくいい子ちゃんなので、ちょっといじめたくなる。そんな感じですよ、たぶん。


♯12「セイクリッドセブン」

2クールでやりたかったんだろうなぁ。

 そんな今回のお話は…
 フェイの兄であった0号のエネルギーを吸収し、アーティジェムスーツをパワーアップさせた研美の笑い声が富士の裾野に響き渡った。
 彼は0号よりも更に純度の高いセイクリッドセブンの力を有するアルマを食らうことで「神」の座に就こうとする。その野望を阻止しようと、復讐に燃えるナイトが研美に襲い掛かる。
 一方、ルリと共に戦ってきた中で、自分の力の本当の意味に気づいたアルマは、ルリとの「絆」の力によって、新たな姿に変身する。
 自分が闘うべき理由を見つけたアルマ、復讐を遂げようとするナイト、究極の力を得ようとする研美。セイクリッドセブンの力を巡る彼らの最後の戦いが始まる。
 その戦いの中、フェイの心に小さな変化が起こり始めて…
 上空で繰り広げられる研美とナイトの闘い。だが、研美がフェイを盾にとったことで、ナイトは苦戦を強いられてしまう。
 自分のせいでナイトが闘えないと悟ったフェイは、自らの存在が消えてしまえばいいと思い込む。やがて、その思いはフェイを悪石へと変身させてしまう。
 真のセイクリッドセブンの力を開花させたアルマと研美の死闘。
 究極のセイクリッドセブンの力を欲する研美の狂気は、アーティジェムスーツをも異様な姿に変異させてしまう。悪石化したフェイの攻撃をも自らの防御力にとりこんだ研美の前では、最終形態のアルマの攻撃でさえ歯が立たない。
 それでもアルマは諦めず、極限まで高めたスピードから繰り出した渾身の一撃で研美の野望を打ち砕くのだった。
 敗れた研美は、自身と0号の悪意をフェイに埋め込み、息絶える。フェイの身体に流れ込んだそのエネルギーは、フェイの持つセイクリッドセブンの力を暴走させてしまう。
 すべてを吸収し、破壊しようと暴走するフェイの悪意。フェイを救おうと駆けつけたアルマが必死に呼びかけるが、その言葉はフェイには届かない。研美との死闘で変身できなくなってしまったナイトは、何も出来ず歯噛みする。
 そんな彼の前に現れたのは、目覚めたばかりのアオイであった。自らの持つペンダントによって、ナイトをセイクリッド・リベレイターに変身させるアオイ。
 真の姿に変身したアルマとナイト、ふたりは初めて協力し合い、破滅へと向かうフェイを救いだすのだった。
 やがて、取り戻された日常。ルリは再び藍羽財団のCEOとして復帰し、屋敷にはメイドたちも戻ってきた。
 そして後日、石部の部員たちで石探しに出かける日。アルマを呼ぶ若菜と石部の仲間たち。アルマはずっと探し続け、ルリを救うのに使ったペンダントを海へと棄てると、彼らの元に駈けていくのだった。
 以上公式のあらすじ。なげぇ。

 お話は上記あらすじ通りで、一気に終わらせたという印象だろうか。一応ラスボス的設定の研美をやっつけて平和になったぜ!というような高揚感は正直あんまりない。
 そもそもなんでアルマの変身が変わるのかもよく分からないし、それっぽい兆候というか前フリみたいなものも無い上に、あんまり新しい変身がカッコよくないってのもあってラストバトルなワクワクドキドキ感が得られなかったのはちょっと寂しい。
 あらすじにあるように、最終的には研美を倒して終わりでなく、絶望し悪石化したフェイを救出する事が最終ミッション。ということもあり、展開としては、悪いヤツ倒して「イエー!」なだけでなく、その大きな力で誰かを救うということを最後に持ってくるのはなかなかおもしろくはあるんだけど、そのおかげか、いい感じに悪役やっていた研美を倒して「してやったり」という気持ち良さがなく、なんかこうもにょもにょしてしまう。ホントは研美で1話、フェイ救出に1話の尺を使いたかったんだろうなぁ。
 個人的な所では、最後までSPさんがなんだったのかよく分からなかったのはどうなのかと。設定の回収してないよなぁ。まぁもしかしたら何かしら解るような事が劇中にあったのかもしれんが、全く気付かなかったし。
 設定ということで言うと、これまでの悪石事件が全て研美の策略というのもちょっと強引のような気がしないでもない。最初はどう出現するか分からなく、世界中どこででも悪石が出るかもしれないみたいな事言ってなかったっけ?
 それがここに至っては、悪石がらみの事件は全て研美が扇動して……というような印象になってしまっている。まぁそれはいいんだ。悪の大ボスなんだから、雑魚をせっつくのも役目だろうし。とするとなぁ、鬼瓦が説明つかなくなってしまうというか、彼はどういう経緯や理由でルリの家にいるのかとかも語られていないよなー。
 とまぁやっぱり「語りきれませんでした」感は否めず、冒頭に書いたように、2クールでやりたかったのであろうなぁと思わずにはいられない。

 最後なので全体的な感想としましては、もっといろんな事やりたかったんだろうなという印象で、ダブル主役的なナイトは全然出てこないし、日常パートやその他でももっと比重をおきたかったであろう石部の人達もさほど話には絡んでこないし、上記の通りSPさんの正体も分からないしと、けっこう中途半端な部分が多く、そういう観点からいてもやはり2クール用の企画だったのではないかと推測してしまう。
 本当ならアルマとルリの関係ももっとじっくり描きたかっただろうし、「その頃ナイト……」はみたいな切り替えをしたかっただろう事が節々に感じられ、特にナイトの方なんかなにやってたんだか全然分からない不遇っぷりで、正直な話、いなかったとしてもこの12話では問題ないような気がします。しかしナイトは必要だから配置されているわけで、それが分からないとなると彼らの話はもう削ったとしか考えられないよなー。
 そんな推測の域を脱しない話はさておき、この12話でという所で見ると、物語としてはまぁまぁ楽しんでは見た。それ故にもうちょっと深い所へ突っ込んでほしかった部分はあり、そこをやるとなるとやはり本来は2クール分の物語だったんだろうこの話を、なんとかかんとか半分に上手く収めたとは言える。公式を見ると、ナイト視点での新カットありの編集版「銀月の翼」なるものをやるようで、そっちで色々と補完すんのかな。
 というわけで、一体何が言いたいのかと言うと、この12話ではすごく中途半端感が否めない、ということなのである。
 話はけっこうザクザク進むし、「いきなりだな」みたいな展開があったりするし、説明が足りなかったりと、なんとも「おしい」感じなのが残念である。ホント2クールだったなら、もっとおもしろかったんじゃないのかなーと思わずにはいられない。
 個人的な所では、ルリお嬢さまが愛らしく、もっと彼女の活躍を見たかった。まぁそういう点も踏まえると、やっぱり残念であったとしか言いようが無い。
 話どうこうでない、どうにもしようのない「尺」という都合なのが(まぁそれは個人的推測なのだが)、さらに残念感を煽るなぁ。もっと良くなったかもしれないのにという、そんな気持ちが残る物語でした。
 悪くはないがこの12話なら特別見るものでもないというアニメになってしまっているのだから、もう残念の二文字しかない。なんかすごくもったいないものを見たような、そんな気になります。


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