ソ・ラ・ノ・ヲ・ト 1〜12話

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第一話 響ク音・払暁ノ街

これは……どうなっていくのだろう?

 そんな今回のお話は…
 幼い頃、打ち捨てられた廃墟で迷子になったカナタは、ひとりの女性兵士に助けられました。
 その女性兵士の手には、金色に輝くトランペットが。
 「軍人さんになれば、トランペットが吹けるんだ!」
 ちょっとした勘違いをしたまま、カナタは喇叭手に憧れ、軍への入隊を決意します。
 新米兵士カナタが配属されたのは、セーズという街にある小さな駐留部隊・第1121小隊。
 着任当日、セーズは「水かけ祭り」の真っ最中で――。
 以上公式のあらすじ。

 お話は端的に言うと、主役のカナタが配属先である第1121小隊へ行きました、ってだけのお話。
 あらすじにある通り、駐屯地の街では祭をやっていて、そこで小隊の上官に会って、その上官がフクロウに獲られた鈴を取り返しに行って、崖から落ちて、伝承の悪魔の化石みたいなのを見て、助けを求めてラッパを吹いて、返事のラッパが聞こえたので安心して気絶して置きたら駐屯地でした。という内容で、とてもまったりと言うか、のんびりしておりました。
 小隊なんで、一応軍隊なんですが、小隊5名が皆女性な上、特別どこかと戦争しているふうでもなく、主役のカナタは別に軍属になりたいわけではなく、ただ単にラッパを吹きたいってだけで入隊したようで、この物語がこれからどんな展開を迎えるのかさっぱり読めない。
 が、逆にその分からなさが、これからどうなるのかなーと期待させる。
 まぁ今後、特に何もなく終わる、という可能性も十分あり得るが(笑)。

 とは言え、さすがにちょっと興味深い所もあって、行われていた祭の伝承「炎の乙女」(だったっけ?)の話は、おそらくはこれからのお話に関連してくるであろう事だし、その中の「悪魔の首を切って云々」も、カナタが落ちた先で見た化石がそれっぽいことから、やはり最終的に大事件が起こるであろう事を予感させ興味を引く。
とりあえず、今回のなーんもない所から、お話をどう持っていくかが気になるので見守って行こうかなー。
 小隊員が全員女性という事もありまして、綺麗に百合色に染まった脳を持つ身としましては、その辺も期待していきたい(笑)。

第二話 初陣・椅子ノ話

色々と紹介してくれるお話。なんですが……。

 そんな今回のお話は…
 第1121小隊駐屯地・通称「時告げ砦」で始まったカナタの新しい生活。
 時告げ砦でカナタを迎えてくれたのは、優しい隊長フィリシア、先輩喇叭手リオ、無口なノエル、最年少隊員のクレハ。
 どこかのんびりとした雰囲気の隊生活に、カナタもさっそく馴染んでいきます。
 そんなカナタにさっそく与えられた任務。それはなんと――!
 以上公式のあらすじ。

 お話は1121小隊のメンバーと仕事の紹介をした後、幽霊騒ぎがあって、それがアフリカオオコノハズクである事が分かる。というお話。
 簡単に言うと、同じ二等兵で年下なクレハは、大好きなリオが新兵のカナタをかまうのが気に入らない。しかし幽霊騒ぎ等でふたりは打ち解ける。という流れ。
お話としましては、他の小隊員の紹介と仕事や、砦での生活等を見せ、この1121小隊が辺境のどーでもいーと思われる国境防衛を任されていたり、軍隊とは思えないユルユルなこの小隊を、クレハはどうかと思いながらも、そんなこの小隊が好きである。ということを幽霊騒ぎを通して描いている。
 とまぁ、お話としてはのほほんとしていながらも、ちゃんとした見せ所を作ってあり、見ていて面白い。が、むしろお話よりも、よく分からない世界や設定の方が気になってしょうがない。

 どうも、戦争によって人口が激減し文明も衰退したようで、小隊の砦は戦前の学校で、日本語はイデア文字という古代語のようだ。
 小隊は国境線を守るという任務なのだが、メインの兵力は動かない戦車で、しかも国境の向こうはどうも何もない所みたい。
 正にどーでもいー任務なんだけど、1話で出てきた伝承や魔物の化石もでちゃったし、わざわざそこに伝承通りに5人の女の子を集めている所を見ると、やっぱりと言うかなんと言うか、魔物はホントに居そうで、ホントは小隊が知らないだけで、実のところ魔物に備えている。のかもしれない。
 とすると、今でこそノホホンと楽しく生活している彼女らだが、物語終盤では魔物と闘って、燃え続ける魔物の首を抱きしめて、水をかけられ続ける運命なのかもしれませんな。

 とまぁ、第2話でさすがにその辺全てが分かるようではダメなわけでのほほん話の中に、上記のような気にさせる部分をさりげなく突っ込んでくるあたりのシナリオが上手い。
 しばらくはこんなお話が続くのであろうが、最終的に上記したような事があるのか、それともこんな感じでずっと続くのか、落としどころが気になりますな。

第三話 隊ノ一日・梨旺走ル

あの宗教はなんなんだろうね。

 そんな今回のお話は…
 雲一つない払暁の空に鳴り響く、下手くそな起床ラッパ――。
 喇叭手としてはまだまだだけれど、隊での生活にもすっかり慣れたカナタは毎日元気いっぱいに、楽しそうに過ごしていました。
 けれどある日のこと、カナタは熱を出して倒れてしまい……。
 以上公式のあらすじ。

 お話は、物資補給でカナタとリオが砦に残ったが、三日熱でカナタが倒れてしまい、リオが看病するって話。基本的に。
 倒れて熱にうなされているカナタを見て冷静さを失い、うわごとで「雪が食べたい」と言うカナタに、引き出し等から雪を探して我に帰り、「あるわけないだろ!」とかいうリオの狼狽っぷりがステキ。
 また毛嫌いしていた宗教の寺院(?)へ行って、柔道女ユミナに頭を下げてカナタを看てもらったり、自分がミソっかすだというカナタに良いこと言ったりと、リオの人となりが見れて面白かった。
 これまで天真爛漫で、元気いっぱいノーテンキなカナタは、上記したように、自分はミソっかすの役立たずで、赴任してきたこの小隊でもそんなふうになりたくないと気を張り過ぎていまうような、繊細なヤツであったりと、リオとカナタの見かけだけでない部分を、熱で倒れるという小さなイベントで上手く見せていたと思います。

 個人的に気になった所といいますと、まず、カナタが作った朝食のみそ汁。
 カナタの故郷の郷土料理だそうで、日本的文化は無くなってはいないが、文字も古代文字のようになっているし、みそ汁ですら郷土料理レベルのの極々珍しい物のようです。
戦争が激化する前に日本(もしくは日本に類する国)がどうなっていたかが気になりますな。カナタ達がいるのはヨーロッパみたいだし。
 それと、修道女ユミナの信仰する宗教。別れ際に「八百万(ヤオヨロズ)」とか言っていたなぁ。
 八百万の神は無論神道なんですけど、そんなんが残っていて、こんな所で出てくるとは思いもしなかった。
 キリストやイスラム、仏教なんかは劇中どうなっているんですかね。案外、全部混ざっちゃっていたりして。
 最後に1121小隊の虎の子タケミカヅチ。内部の描写がありましたが、随分なオーバーテクノロジーでしたな。
 あんなの劇中の衰退したテクノロジーでどうやって直すと言うのだろうか。ってゆーか、直って動かしたりするような展開が、今後あるんですかねー。
 個人的には、むしろ虎の子は結局張り子の虎であった方が面白いような気がしますが。はてさて。

第四話 梅雨ノ空・玻璃ノ虹

えー? 才能とかはあるよなー。

 そんな今回のお話は…
 今日のカナタの任務は、街へ出て物資を調達してくること。
 カナタは渡された購入品リストを持って、ノエルの運転するジープに乗り込みます。
 見るものすべてが新鮮なカナタの疑問に、きちんと正しく答えてくれるノエル。
 だけれどそんなノエルにも、なかなか解けない問題はあって――。
 以上公式のあらすじ。

 お話はカナタとノエルが街に行って買い物してくるついでに、タケミカヅチの光学センサーのレンズの複製を頼んでいる工房へ行って、レンズを受け取ってくるっていう話。
 基本的にはいつも通り、女の子だけの小隊の日常を描きつつ、端々に戦争とか世界観であったりを気になるように見せているいつもの感じだ。
 それで前々回クレハ、前回リオと来て、今回はノエル回でもあり、彼女の人となりや、カナタと触れて彼女が少し変わって行く様子を描いているのがメイン。
 なんだけど、その辺はまぁ、随分都合が良いと言うか、そーゆーもんなんだろうなぁ(話的に)といった感じで、個人的に某があったわけではなく、むしろ、今回でカナタがなんか吹っ切れて、ラッパ習得してしまったのが意外であった。
 ってゆーか、カナタのラッパ吹けないはキャラクターとしての個性だったので、そこでこれを潰してしまうということは、やっぱりと言うかなんと言うか、最終的にそれが必要な事態、つまり戦争なりなんなりしそうだなー。
 あんまり鬱な展開にならなければいいんだけど……。

 私としましては、やっぱり設定と言うかそういうのが気になって、というか、これは絶対気になるように仕向けてあるんだと思うんだけど、全く説明しないくせに端々にそれとなく気になる感じでチロッと出してくるから、むしろこれで気にならない方がおかしいというものだ。
 で、今回気になったことと言えば、ナオミの店で「次の出荷」云々を言っていた小隊がする「出荷」とはなんなのか?
 今の所カナタには言っていないということ以外は分からないので、何がどうなのかはさっぱりだが、カナタに秘密にしているのか、それとも秘密にしなければいけないことなのか、それとも言わなくてもいいようなことなのか。
 でもまぁ、「軍人らしくない」とかも言っていたので、案外、栽培していたトウモロコシくらいの事なのかもしれませんな。
 それから、ガラスのイルカの置物のシーンで、海に生物が棲んでいないことが判明。
 おそらくは激化した戦争で汚染されたんだと思うのだが、海が全部そうなってしまうのはそれくらいの時間がかかるもんなんだろうね。
 カナタがイルカを知らないってことは、海に生物がいなくなって随分経つようなんだけど、それならその戦争はどれくらい前のことなんだろう。
 タケミカヅチが妙に未来っぽい乗り物だし、発掘兵器だということも考えると、結構な時間が経ってそうだよなー。
 ってゆーか、タケミカヅチってちゃんと自走するくらいに直るのかしら? なんか直っちゃうとますます戦争しそうだけど。
 そういえば、タケミカヅチって戦車なのか?個人的にはキャタピタじゃなくて多脚ってことを考えると、自走臼砲みたいなもんなんじゃねーのかなー。

 と、むしろお話よりも、上記のことのようなことの方が気になっちゃっている。
 とは言え、お話はお話で別に悪くなく、ちゃんとキャラクターをメインに丁寧に描いて行っている中で、そういう世界観的なことを小出しにして気にさせるあたりの作りは見事だと思います。

第五話 山踏ミ・世界ノ果テ

とても楽しく見れたが、ブーツに素足って……絶対水虫になると思う。
まぁ、水虫なんて軍人にとっちゃ職業病みたいなモノらしいが。

 そんな今回のお話は…
 初夏、クラウスの手で時告げ砦に届けられた何通かの手紙。
 手紙の差出人を見て喜ぶカナタと、嬉しそうなノエル。
 忌々しげに悪態を吐くリオと、そんな皆を少し寂しそうに眺めるクレハ。
 第1121小隊の隊員達は、それぞれに違った反応を見せます。
 そしてフィリシアの元に届いた一通の手紙。
 そう、その手紙がカナタ達の運命を左右する、すべての始まりだったのです――!
 以上公式のあらすじ。

 お話は、クラウスから軍司令部からセーズ南部ノーマンズランドとの境界線にある、旧時代の監視装置「ノクター型監視装置」の定期チェックを行うよう通達があった。
 カナタ、クレハ、ノエルはそれらがちゃんと動いているか見て回る事になったのだが、リオはただ見て回るだけでは無駄だとし、重いザックをカナタらに背負って行くように言うのだった。って感じ。
 1本のお話として、女の子だけの小隊の隊員が、背負っただけで足がガクガクになるような重いザックを背負って、ブーたれたり、ちょっとケンカしたりしつつ、なんだかんだで目的にまで辿り着く様を楽しく見れました。
 へっぽこ小隊のほのぼの訓練という感じで、三つの監視装置を見つけるまでのカナタら三人と、それを影から見守りながらついてくるリオ、そして砦の乙女の慣例を教えるフェリシアの、穏やかながらも騒々しい小隊の日常や活動と、なんだかよく分からない世界観を描いていて、見ていて楽しかった。
 個人的に面白かったのは、ザックを背負った後のリオが説明をしている所で、立っているだけで足がガクブルでヤバそうな顔をしている彼女らに、リオが獣が出るので発砲を許可すると言うと、すぐさまノエルが小銃を取り出しリオに止められる所が好きだ(笑)。
 足がガクブルするほどの重いザックを背負って山登ってこいというリオを、獣と同等に危険と感じたんでしょうかね(笑)。

 さて、その他色々気になった所としましては、まず、今回冒頭のタケミカヅチでの戦闘シミュレーション。
 中空にモニタ出したりしていたりしてましたけど、カナタらの文明レベルを考えると、随分なオーバーテクノロジーですよね。それ以外にも、カナタ達が見に行ったノクター型監視装置も、もうなんだかよく分からないモノでしたし。一体どれだけ文明が進んで、そしてそれが失われてどれくらい経ったんでしょうかね。行き着く先でカナタ達が見たノーマンズランドの描写をみると、100年、200年くらい経っていそうですが。はてさて。
 もひとつ気になったのは、前回言っていた「出荷」ですが、どうもワインのようですな。しかし、それをわざわざカナタに言わないってのがよく分からないので、密造酒だったりするんですかね。
 もしかしたら、あの娘らがぶどうを踏んで作っていると知っているなら、その手の趣味の人達が高い値段で買い取っていたりしてなー(笑)。
 あんなかわいい娘らが素足でふんずけて作ったワインかと思うと、まぁ、飲みたいって気にもなるわな、その手の趣味の人は。イヤ別に私がそうだというわけでは……ごにょごにょ。

 あとどーでもいーんだけど、
  ヤマモモ(山桃、学名:Myrica rubra)はヤマモモ目ヤマモモ科の常緑樹。また、その果実のこと。
  和名の由来は山に生えモモの様な果実をつけることから。別名として楊梅(ようばい)、山桜桃、火実などがあり、
  古代から和歌などにも詠まれる。名前にモモがつくがモモはバラ科であり、ヤマモモとモモは全くの別植物である。
  果実はほぼ球形で暗赤色、表面に粒状突起を密生する。
  この突起はつやがあるので、外見的には小粒の赤いビーズを一面に並べたように見える。
  (以上wikiより引用)

 自分、ヤマモモって植物がある事を、この歳になって初めて知りました。
 アニメの作画では、表面の粒状突起が分からなかったので、「杏」のこと言っているのかなーと思ってましたよ。
 wikiに写真もあるので私同様に知らない人は見てみると良いでしょう。

第六話 彼方ノ休日・髪結イ

予想あたっちゃったな。リンゴ酒だったけど。

 そんな今回のお話は…
 セーズにやってきてから初めての休暇に、カナタは張り切って街に出ました。
 偶然にもその日は、街の中央広場で市が開かれる日。
 初任給を手にあちこち見て回っていたカナタは、教会の修道女・ユミナと出会い、孤児院から抜け出した女の子・ミシオの捜索に巻き込まれていきます。
 しかしそんなカナタとは別に、時告げ砦では別の事態が進行していて――。
 以上公式のあらすじ。

 お話の方はAパートで砦の小隊の副業「密造酒」の取引、Bパートで彼方の初めての休日を描き、同時刻に別の場所で起きた事件を別々に描きつつも、それでも小さな街セーズながらの、ふたつの事件の関わりを見せている。
 Aパートの方は、前振ってあった「出荷」の秘密をここで明かしている。
 冒頭書いたように、密造リンゴ酒「カルヴァドス 」を地元マフィアに販売しているわけですが、その前に……
  カルヴァドス (Calvados) とは、フランスのノルマンディー地方で造られる、林檎を原料とする蒸留酒である。
  なお、この地域以外で作られる同様の蒸留酒がカルヴァドスを名乗ることはできず、
  アップル・ブランデー(リンゴの焼いた酒)と呼ばれ、区別される。
  (以上wikiより引用)

 カルヴァドス とはこのようなお酒のようです。ま、それはともかく、一応軍隊の砦のへっぽこ小隊が、勝手に避け作ってマフィアに売っているのだから、劇中あった通り、バレたらヤヴァイ事なので、彼方には秘密だったわけですが、給料の遅配が当たり前と言われていた軍で、何故しっかり現金支給できるのかと疑問に思い、出所を探ろうとしたクレハやノエルと違い、バカ正直に疑いを持たない彼方だから言わない事にしているようです。
 今回の事件としましては、その砦の乙女達の副業を嗅ぎ付けた中央のマフィアを街に入れないようにする為、ひと芝居打って諦めさせようとするってのがAパートのお話。
 個人的にはこのお話は、上記説明以外の事はなく、前振っていた「出荷」とはなんなのかを見せただけという印象。それよりもBパートからのお話の方が興味深かった。

 Bパートからは、Aパートと同時刻に起こった彼方の休日のお話。なのだが、実質的には教会の孤児ミシオと修道女ユミナのお話と言ってよいと思う。
 孤児として教会に来たミシオに家族として接するユミナに、何故か頑に髪を結わせないミシオ。そんなミシオには髪を結わせない理由があって……、という、ちょっとこの歳になるとホロリとくるお話であった。
 私が思う所としては、修道女ユミナが実に聖職者らしくて良いなぁと思うのです。
 まぁ、私はどこぞの宗教にハマっているわけでもなく、聖職者がそんなもんかもよく知らないし、実際の所、熱心に宗教やっている人なんて、なんかちょっと怖い感じなんですが、
神の教えを信じ、自らを律して生きているユミナは、ある意味おの清らかな所は、割と大好きな志摩子さんと被る所がある。
 特に印象に残ったのが、同じ孤児セイヤの言葉に怒ったミシオがひっぱたこうとした際に、間に入ったユミナが代わりに入って叩かれ、「そんなことをしてはダメです。ミシオさん」と言う姿。
 ユミナの信じる神はきっと暴力を許さないのであろうし、もちろん現実的にも他人に暴力を振るう事はあってはならない。怒りの矛先でない自分が叩かれる事によってミシオの行為を諌めたのだ。どうしても髪を結わせてくれない事もあり、ユミナは自分が至らない所為だと自責するが、
最終的にそうではなく、ミシオは死別した母親に「これからは一番大事にしてくれる人に結ってもらいなさい」との言葉を胸に、盗られてしまった大切な髪留めが入った箱を探し、ユミナに結ってもうおうとしていた事が分かる。
 これまでの彼女らの事は分からないが、それを想像するとジンとくるモノがある。ユミナはしっかりとミシオの家族になっていたのだ。
 そういったユミナのような献身的な人達が報われるのを見るとほっこりしますな。

 さて、そんな中、ちょっと気になった所としましては、やっぱり世界観的設定なんですが、ミシオの母親の死の事ですが、東の国境ビネンラント「見えない死神に襲われた街」なんてのが出てきましたな。
 最初、光学明細のような兵器に襲われたのかと思ったけど、ミシオの母が「感染」したとの事だったんで、おそらくは放射能的なことなのであろう。とすると、核兵器を使わざるを得ない状況が過去あったという事になりますな。
 セーズの伝承にある魔物がバイオ兵器的なモノであったとするならば、東の国境でもそれが来襲して、核で迎え撃った結果なのかなぁ。
 それと、東の国境はどのくらいの所で、人類生息地域ってどれくらいなんだろうか。
 海が生物がすめないくらい汚染されているようなので、大陸に点々としているのだろうかね。
 それでも彼方ら軍が国境守って国として機能しているのだけれど、やっぱそれだと、人対人の戦争ではなく、なんらか人外のものに対して国を守っているんでしょうかねー。謎は尽きないなー。
ってゆーか分かるようになるのかね?物語の中で。

第七話 蝉時雨・精霊流シ

興味深かったな。むしろ過去の戦争のことが。

 そんな今回のお話は…
 蝉の声が響く夏のある日。どこか元気のないフィリシアを、カナタたちは心配そうに見ていました。
 フィリシアの脳裏に浮かぶのは、かつての戦場での光景。
 戦火のなか生き残り、瓦礫の山と化した街をさまようフィリシアに、兵士の亡霊は問いかけます。
 「こんな世界で生き延びることに、意味はあるのかい…?」
 一方、セーズでは灯籠を流し死者の魂を慰める“フィーエスタ・デュ・ルミエール”の日が近づいていました。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、以前の戦争で小隊の中でただひとり生き残ったフィリシアが、盆を迎えたことでその事を思い出し、自分ひとり生き残ったこの世界に、いったい何の意味があるのかを思った頃の過去話と、時が経ってそれでも生きる意味を見いだした現在のフィリシアを交互に見せるという内容。
 生きる意味や戦争感などは人それぞれであるので、個人的にあんまりそーゆーことは語りたくないので、敢えて放っておくとして、今回の全体の物語の中の1本のお話として、いつもニコニコして優しいがクレハ曰く「黒い」フェリシアが、どういった経緯を持つ人間かを見せるお話として良く出来ていて、まだペーペーだった頃の彼女と、その過去を踏まえた上での現在の彼女を見せていく事で、なんかよくわからないが、何となく裏がありそうな不思議で腹黒そうな隊長というこれまでのキャラクターから、しっかりとした芯を持ったいち人間としてのキャラクターになったような気がします。
 少なくとも、不思議な隊長ではなくなった。という意味で、彼女を紹介するお話として上手く作ってある。

 それと同時に戦争の事も見せていて、これまでよく分からなかった過去を少し紹介している。個人的にはそっちの方が興味深い。
 フィリシアの若かりし頃の戦争は、人対人の戦闘であったようだが、その随分前には伝承の悪魔と戦う戦争があったみたいだ。それでどうも、人類はそれに負けた。みたい。
 負けたのに何故人類が生き残っているかがよく分からんが、その戦いが終わっても、人はどうも生き残った人達で戦争していた事になるな。
 分かった事としてはその他に、彼方がラッパ吹きを目指すきっかけになった女性が、フィリシアの回想にも出てきて、彼女が皇女殿下であったこと。
 今回の精霊流しでリオが「もし戻ってきているのなら」と言っていたので、おそらくは死んだのであろう。
 この皇女殿下はこの物語のキーマンであろう。今の所、彼女に関わっているであろうと思われる彼方やリオ、フィリシアと同関係があったのかを気にさせる。
 またその皇女殿下が身につけていた鈴を、リオが持っているというのも気になる。
 今回の最後の方で、リオのアップの後に司祭が「あの方は……」とか言っていた所を見ると、案外、リオは皇女殿下の縁者なのかもしれんなぁ。それにしちゃ、辺境に飛ばされとりますが。
 もひとつ、過去の戦闘でタケミカヅチが動いて戦闘している様子が描かれましたが、随分なスーパー兵器ですなー。
 今小隊にあるヤツも「発掘兵器」みたいなことを言っていたし、彼方らの文明レベルからすると、随分なオーバーテクノロジーのはずですが、そんなもんをノエルは直せるのか。
 ノエルは今回の精霊流しで唯一何故か灯籠を流していなかったし、前々回だったかの彼女のお話は、その彼女の生い立ちなどは一切語られなかったこともあり、フィーエスタ・デュ・ルミエールやその他の説明も、本をそのまま読んだような、ある種異様な口調あったりと、結構な謎な人であるな。

 そういった謎の世界観をぼんやりと見せて気にさせつつ、砦の少女立ちの日常を描いているのは、見ていて素直に上手いと思う。けどこのアニメ、最終的にどうやってお話を締めるつもりなのかなー。

第八話 電話番・緊急事態ヲ宣言ス

そんなわけで、君たちにお願いがあるんだ。

 そんな今回のお話は…
 その時、カナタは椅子に座り、じっと堪えつづけていました。
 割れたビン、濡れた洗濯物。荒れた食堂の様子は、カナタに反省と後悔の気持ちだけを植えつけます。
 あの時ああしていれば、この時我慢していたら――。涙目のカナタの前には、未だ鳴らない一台の黒電話。
 空深カナタ二等兵。彼女は今、本営直通高度緊急非常事態用指令伝達回線保守確認任務中だったのです。
以上公式のあらすじ。

 おしっこを我慢している彼方にちょっと興奮した事は内緒にしておいてくれ。
 さて、今回はサブタイ通り、彼方が電話番をするというお話なのだが、お話は彼方がおしっこ漏らしそうになる所から始まり、あらすじにあるように、割れた瓶や濡れた洗濯物などなどを含め、どうしてそうなったかを時間を遡って描いていっている。
 簡単に言ってしまえば、いつかかってくるか解らない電話の番を自らかって出た彼方が、なんやかんやありつつ、おしっこ漏れそうになるまでならない電話番をし続けるというだけの内容。
 なんだけど、彼方の純真さ故のバカ正直で律儀な性格と、冒頭からの荒れた食堂は何故そうなったかを楽しく描いていて、オチまでちゃんとついていて、見ていてとても楽しかった。
 そしていつも通り、あの世界の事も断片的に見せていて、ただそれだけでない作りになっているのも見事。
 こういった話の作り、ある一点を一番最初に持ってきて、何故そのような事態になったのかを、
遡ってみせる見せ方は特別凝った作りではないが、鳴ったらマズい電話とサブタイの「緊急事態ヲ宣言ス」で、一体どんな事件が起こるのかと思わせておいての今回のお話は、その拍子抜けさとしょうもないお話が逆に面白い。
 オチも、せっかく漏らしそうになるまで我慢してまで出たかった電話にも出れず、最終的にはお漏らししてしまったであろう彼方という「ちゃんちゃん」オチではあるが、全体的に、見ていて軽く「フッ(笑)」と笑える楽しいお話でした。

 気になった所と言えば、やはりリオの事であろうか。
 彼方の代わりに出た電話から察するに、やはりリオは皇女殿下の縁者なりなんなりのようだ。
 彼方にあげた楽譜も、元々は皇女殿下のもののようだし、電話の相手が誰かは解らんが、一介のただの軍人に「国を救ってくれ」などと言うはずもなく、それなりの人物だからこそだろう事を考えると、リオはやんごとなき身分で、それを隠しているもしくは逃げているとか、そういう事なんじゃなかろうかね。
 それと休戦協定で揉めているという話もあったが、もうそういう状態であるにも関わらず、リオに対して国を救えとはどういう状況に陥っているんだろうか。
 セーズの彼女らを見る限り、国が危急存亡の時を迎えるような事態に陥っているとは思えないが、都市部はどうなっているんでしょうね。謎は尽きない。

以下はとってもどーでもいー事なので読まなくていーよー。
 なんでどーでもいーかと言うと、彼方のおしっこの件だからである(笑)。
 まぁぶっちゃけ、私は変態なので、彼方が苦悶の表情でおしっこ我慢して身をくねらせる姿にS心を刺激されたわけですが(笑)、その中で、バケツに気付いた彼方が、いっそそれにしてしまおうかと思い悩む姿が笑えていい。というか、むしろそうしてしまえば良かったのに。
 それで、している時にみんな帰ってきて「見ないでくださーい!」となったらもっと良かった(笑)。
……さぁ、変態と罵り給え!甘んじて受け入れようじゃないか。

第九話 台風一過・虚像ト実像

下着姿でガールズトークか。いいなぁ。

 そんな今回のお話は…
 クレハの憧れの人・クラウス。
 彼はかつて「砂漠の狼」と呼ばれた伝説的な戦車乗りだったそうです。
 台風で立ち往生し、砦に留まることになったクラウスとの会話に胸を弾ませるクレハでしたが、そこに飛び込んできたのは、教会の孤児・セイヤが行方不明になったという知らせでした。
 大荒れの天気のなかセイヤを捜すために立ち上がった小隊メンバーたち。
 はたして、無事セイヤを見つけ出すことができるのでしょうか……。
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはサブタイ通り。人命救助と通信兵クラウスの虚像と実像の話。
 クラウスに関しては、クレハの言う伝説の戦車乗りが、現在あんな通信兵やっているのはおかしいので違うんだろうなとは思っていたが、そのクラウスの正体とクレハの憧れという部分を上手く話に取り込んでいてあり面白い。
 結局クラウスがそれを告白する事は無く、クレハもその伝説と目の前にいる人物が違う事には気付いたが、二次災害を通し、劇中台詞通り「憧れの人」であることに変わりないという所に無理なく落ち着けているのが良い。
 そこから、憧れというメガネはいつもピンボケだいうことが、リオにもかかってくる所が上手い。
 リオも彼方やクレハが思っているような人間ではなく、それは今回子供に対する苛立を見せたり、前回の電話や今回クラウスから届けられた手紙を見てもわかるように、彼女にも虚像と実像がある事を示し、また、その虚像を守らなければならない立場でいる事を描いている。
今回お話的な面白さという部分では割とベタではあるものの、上記の部分を絡める事によって興味深く見る事が出来ました。

 さて、今回気になった所、というかちょっとビックリしたのはタケミカヅチ出動のシーン。
 あの強風の中、あんな近くに照準合わせるなよというのはさて置き(笑)、クラウスとクレハが取り残され、救出手段を失った際に、タケミカヅチ出すのだろうとは思ったものの、アレ脚ねえじゃんどーすんだ?とか思っていたら、街のみんなで引っぱってくるとは思わなかった。ってゆーか、砦からあそこまでって結構な距離ありそうだけどなー。
 ま、距離はともかく、タケミカヅチとラッパがここへ来て街のみんなの役に立った、というのが良いな。

 というわけで、面白くはあったんだけど、なんか妙に感想書きにくいので、まとめずに終わる。

第十話 旅立チ・初雪ノ頃

なんか最終回みたいな話だったな。

 そんな今回のお話は…
 軍事年鑑のあるページを開き、どこか塞ぎ込んだ様子のリオは、ずっと悩み続けていました。
 自分のすべきこと、自分にできることとは一体なんなのか……。
 そんなリオを心配するカナタでしたが、うまく言葉を伝えられません。
 それぞれがもどかしい気持ちを抱きながら過ごす冬の始めに出会った、一人の老婆。
 彼女の生き様は、リオに大きな影響を与えることになるのです――。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、リオがイリア皇女殿下の腹違いの妹と判明し、リオは自分にしか出来ない事、太閤の娘として政略結婚し、停戦に持ち込むために砦を後にするという内容。
 なのだが、リオの母親と似た境遇の老婆と出会い、その生き様に触れ、自分のすべき事を決意するリオと、そんな彼女を愛す砦の仲間達との別れを描いている。
 上記のリオの旅立ちはラストで語られ、今回のメイン所としては、老婆との出会いからリオが心境を変化させ、決意に至るまでの心の動きを長い尺で描いている。
 正直な所、今回は老婆が自分の元を去った男の幻影を見て、吹雪の中出て行った事が判明した所で終わるののだろうなと思っていて、リオの生い立ちや過去、イリア皇女殿下や国を取り巻く状況の説明をする回だと思っていた私は、まさかここで彼女が旅立ってしまうとは思っていなくてちょっとビックリしてしまった。そういう予想の覆し方が上手いと思う。
 これまでを見る限り、全体的なシナリオ構成は見事で、のんびりとした街ののんびりとした小隊ののんびりした生活をメインに見せつつ、その裏で蠢く軍事的、かつ国家的な動きをしっかり織り込んでくる辺りの技量が素晴らしい。
 ああ、リオが政略結婚しにいくかどうかは語られなかったが、流れとしてはそういうことっぽいがその辺どーなんでしょうね?

 個人的な所としては、タケミカヅチが着々と完成に近づいている事か。
 東部国境の敵軍に動き出したという話も出てきたしで、こりゃ最終的にはホントに戦争しそうな雰囲気がしてきましたな。タケミカヅチ完成して、使わないんじゃ完成する意味が無いからなー。
 そういえば、敵国が正統(この字か?)ローマとか言ってましたが、なんで戦争しているかこれまで語られたっけか?
 彼方たちのいるヘルベチア(だったっけ?)は、これまで八百万の神がどうとか、日本文化を印象的に見せていたから、案外、宗教戦争だったりしてなー。
 けども、フィリシアの過去話での旧日本兵と思われる亡霊の話だと、なんだかよくわからないのとやり合って負けたから、今現在こうなったみたいな話としていたけど、その辺のと伝承の話とローマとの戦争はどう繋がっていくのかしら?
 ここまで上手くいっているので、何かに投げっ放しジャーマンをかまさせる事が無いといいなぁ。
 ってゆーか、どうにも不幸な終わり方しそうでちょっと戦々恐々だ。

第十一話 来訪者・燃ユル雪原

面白く展開してきたけど、鬱な展開になりそうでイヤだ。

 そんな今回のお話は…
 砦に届いたのは、東部国境の敵軍が移動を開始したという不穏な噂。
 カナタたちは不安に揺れながら、それでも明るく日々を過ごしていました。
 そんなある日、カナタとクレハは雪原で傷ついた一人の少女を見つけます。
 しかしその少女の正体は、敵国ローマの兵士だったのです――!
 以上公式のあらすじ。

 お話はローマ兵匿っていたら中央の近衛師団がやってきて、ローマ兵の事がバレちゃうって時に、ローマ軍が大軍で攻めてきたとの一報が入って引っぱった。って感じ。
 ま、そういう大筋のお話としては、彼方達はタケミカヅチで戦争止める感じに動くんじゃないかなーと思うので、その辺はとりあえず放っておくとして、興味深かったのはノエルの事と、ヘルベチアとローマでの伝承の違い。
 まずノエルだが、以前ミシオの話ででてきた「見えない死神」は、ノエルが旧時代の遺産から復活させたBC兵器のようだ。
 どうも幼いノエルがそうと知らず乗せられて作ったものを、近衛師団のホプキンズ大佐がバラまいたっぽい。今フィリシアが「大佐はノエルがここに居る事を知らない」と言った所をみると、事実を知ったノエルは逃げ出したようだ。
 ノエルはそのBC兵器の事が随分なトラウマになっているようだが(心ある人間なら当然だが)、それならなんでタケミカヅチ直しているんだろうなぁ。
 ちょっと思いつく範囲では、やり直したいとか、今度は人を守りたいという想いからなのかなとは思うが、その辺はどうも次回が詳しそうだ。

 もひとつの伝承の事だが、ヘルベチアの世界を滅ぼした悪魔は、ローマでは天使が救済のために世界を滅ぼしたとして伝わっているようで、そこから考えるに、悪魔or天使はもともとローマ側(旧西諸国)の兵器だったのかもしれんな。
 ヘルベチア(旧日本軍)はそれをなんとか撃退したものの被害甚大で、その後どうにもならず、ずるずると文明が廃れつつ今に至るって感じなのかな。
 まぁなんにせよ、最初に提示した伏線がようやくここへ来て意味を持ち始め、最終的にどう繋げて締めるか楽しみだ。

 個人的な所として、ローマ兵がドイツ語喋っていたのが面白かった。
 お話的に、見た目インド人がローマという国にいて、ドイツ語を喋るという設定、混乱の中、文化などが混在し入り乱れた世界観という所での面白さと、ちゃんと声優さんがドイツ語を喋っている事に感心。
 ちょっと見て回った所、ドイツ語に関しては発音や文法に多少難あれど、本物のそれに近づくよう努力している印象、とのことだったので、きっとそういう事なんだと思うし、このアニメを作っている人達は当然プロフェッショナルなので、アニメ好きとしましては、彼らのそういったプロフェッショナルな部分に感心しきりだ。

 お話は、最終的にリオがその場を収めて「間に合った……」となりそうな気がするが、下手すると不幸な最後になりそうで戦々恐々だ。

第十二話 蒼穹ニ響ケ

ちょっと綺麗過ぎた感はあるが、それだけに綺麗に終わった。

 そんな今回のお話は…
 敵国の兵士を匿ったことで、反逆の罪に問われたカナタたち。
 しかしそれでもカナタたちは、自分たちが正しいと信じる道へと進みます。
 両軍が睨みあい、開戦間近の緊張した空気が漂う国境付近。
 開戦を阻止するため、小隊メンバーが取った行動とは――!
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、砦の乙女達がタケミカヅチで両軍の間に入って戦争を止める、という話。
 ローマ軍は滅ぼさねばならないとし、どうしても戦争し逮捕ポキンズ大佐に反旗を翻し、大佐立ちの包囲をタケミカヅチで突破しつつ、両軍にらみ合いの間に入って鳴らす彼方の休戦信号ラッパで止まらず、どちらの国にも伝わっている「アメージンググレイス」で両軍の進攻が止まってしまうのは、冷静に考えると随分都合が良いと思えるが、そこまでにセーズの街の人々や、従軍する兵士、アイーシャやユミナらの殆どの人が、戦争を望んでいない事を見せているので、確かに都合が良いが、彼方のラッパに説得力があるし感動的である。
 実際こんな事があったとしたら、絶対止まらないとは思うけど、そこはエンターテインメント。わたしは納得したので、そこは私としてみたら、このアニメの勝ちである。
 そのラストに至るまでの、軍令に背くフィリシア、過去を晒され怯えるノエル、戦争したがりの大佐、止まりそうにない戦争などなどの、どうにもならない閉塞感を、彼方らが決死の覚悟で打破しようとタケミカヅチで行動を起こす様子は、戦争は止まらないかもしれないし、それによって自分達は死ぬかもしれない、でも自分達の信じる事の為に命を賭す彼女らの一連の行動は、砦の乙女達の伝承の真実にと共に、このお話の大きな盛り上がりを作っている。
 彼方のラッパで戦争が止まると書いたが、実際劇中は、アメージンググレイスを演奏している間の数十秒間止まっただけで、本当に戦争を止めたという事では、その後停戦の為にやってくるリオら近衛師団になるわけだが、その数十秒間でお互い殺し合いが始まってしまったとあれば、近衛師団がやってきた所で止まらない事を考えると、彼方らが作ったその数十秒は奇跡的だし、またそのように演出していて、「どうせ戦争止めるんだろ?」という考えを頭から吹っ飛ばしてくれる。これが大事だろう。
 例えば、大概のバトル物のお話があったとして、最終的には主役が勝つさ。でも「どうせ勝って終わるんだろ?」と思ってしまうのではなく、わかってはいるものの「どうなるんだろう?」と思わせるのは技量がいる事なので、そういう意味でも素晴らしい。

 個人的な所としましては、ちょっと綺麗に締め過ぎているのが気になったくらいで、ラストのラストでリオが時告げ砦に戻ってくる所はいらんような気もするが、その辺は好みの問題だと思うし、このアニメ的にはそういうハッピーエンドはらしくもある。
 すごく印象に残ったのは、自分はたくさんの命を奪ってしまったと、後悔と自責に押しつぶされていたノエルに、「そう思うなら、それ以上の命を救ってください」と毅然とした態度で言うユミナで、そんな彼女の強さに魅かれた。
 最後に砦の乙女の伝承ですが、ローマの伝承の方が正しく本当の事を伝えているようですが、伝承云々は私としてはいーんですよ。問題は天使はなんだったのか、という所が投げっぱなしなのが残念。彼方が第1話で見たあの化石はなんだったんでしょうね。

 さて、全体的な感想ですが、今時珍しい原作の無いオリジナルのお話で随分楽しんで見た。
 最初はほのぼの軍隊ものかと思ったが、戦争云々の暗い部分はちゃんと前振ってあり、最終的にはそんなような事があるんだろうと予測できるので、最後の方の展開に特に苦も無かった。
 不思議な世界観と砦の少女達ののんびりとしながらも起こるちょっとした事件などを楽しく見れた。
 物語としても、リオ、フィリシア、ノエルが過去と決別し、終わりに近づいているという世界で、それでも生きていく意味を見つけ前に進んでいく様子を描いているし、クレハと彼方は過去云々でお話は作られていなかったけども、クレハは両親が死んで孤児として育って、もうすでにまだ幼いながらもしっかりと前を向いて進んでいるし、彼方はあの世界においても、なんでも「ステキ!」と言って、終わろうとしている世界を愛し人を信じている。
 そんな彼女らが、彼女らなりに一生懸命に生きていっている様子を描いていて、ただ可愛い少女たちの様子であったり、最後の盛り上がりの為だけの取って付けたような戦争、のようにはなっていなかったのではなかろうか。
 先にも述べたように、ちょっと消化不良な部分や綺麗過ぎる終わり方ではあったものの、私としては見て良かったなと思えるアニメでした。

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