おとめ妖怪 1〜13話

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第一話:いざ、妖々と

どう展開していくのかなぁ。

 そんな今回のお話は…
 改暦したての世、妖人(=妖怪)にまつわる事件を取り締まることを目的に人間と妖人の代表者で「妖人省」が設立されることになった。
 陸軍少尉の 総角 景 (あげまき けい)、芳野葛 利劔 (よしのかずら りけん)、花桐 丸竜 (はなきり がんりゅう)の3人は命を受け妖人省へ赴任することに。
 ところが、彼らと一緒に任務につく仲間として紹介されたのは、半妖とはいうものの、頭に耳が付いていること以外は全く普通の女の子たちだった。
 以上公式のあらすじ。

 大正浪漫な舞台でネコミミ少女たちが悪い妖怪たちを切り伏せる。
 見るまではそんなものを想像していたのだが、予想に反してどっちかって言うと、半妖のネコミミ少女たちと人間とのラブコメディといった感じであった。
 お話としては引用したあらすじ通りで、妖人と人間で「妖人省」を作ったので、妖人の館にやってきた軍人たち出会い、何となく仲良くなると言った内容で、第一話らしくメインキャストのひととなり、特には主役である陸軍少尉の「総角 景 (あげまき けい)」と半妖の少女「西王母桃(ざくろ)」の事を描いている。
 ……それにしてもさぁ、この人物の名前なんとかなりませんかね。これを初見で正確に読めるヤツがいるのなら見てみたい。というわけで女尊男卑な私としましては、野郎は「気障」「デカ」「チビ」と呼称し、メインのネコミミたちはひらがなで呼ぼうかと思います。
 
 そんな事はさて置き、お話はラブコメとして鉄板な感じで、気障な野郎とざくろが仲がいいんだか悪いんだかという関係を構築するところを描いているのだが、それまでに実は妖人が怖くて仕方ない気障な野郎が、それを隠すため気障に振るまい、人間なんてと思っていたざくろが何となく惚れてしまうも、気障な野郎のその秘密をがバレてしまい、そのヘタレっぷりにあきれてしまうという流れは、なかなかラブコメとして見ていておもしろかった。
 特には、野郎の怖くて厠に行けないので一緒についてきてほしいというのは、そりゃ百年の恋も冷めるというものだ(笑)。
 気障なイケメンのの気障な仕草に、頬を染めて恋してしまったかもとルンルンなざくろを見せていただけに、野郎が醜態を晒した事で、ざくろの浮ついた気持ちと野郎のそれまでなんとか踏ん張ってきた立場が崩れ落ちる様が可笑しい。
 しかし気障な野郎は気障でヘタレだというだけではなく、花見に訪れた際の雷獣騒ぎで、妖人の子供を助けたりする漢らしいところもある事を見せており、気障な野郎がただ妖人怖いよーとヘタレっているわけではなく、男としてそれなりのヤツなのであるという所を見せているのはベタだが良いし、その後、腰が抜けて動けなくなってしまう辺りのダメっぷりのギャップがあって、ただイケメン男子が女の子にモテるという図式にならないようキャラ設定を作っているのは感心した。
 どーでもいーけど、「ヘタレ」って言う言葉は元々TV業界で「屁みたいなタレント」、つまり使えないタレントという意味の侮蔑の言葉なんだけど、いつの間にか「しょーもない使えないヤツ」という意味で一般に広がっちゃいましたねぇ。うん。ホントどーでもいい(笑)。

 さて、このアニメ、一応「悪い妖怪をやっつける」というところがありまして、今回も当然ネコミミ少女が桜の枝を刀に変えて戦闘しておりましたけど、本来はこっちがメインなんでしょうかね?個人的にはなんか取って付けたような感じがするんですが(笑)。
 でもなんかOP・EDを見ると敵対組織もいるような感じなのできっとメインどころのひとつなんだろう。
 私としてはラブコメやっていればいいと思うんですがねぇ。特にガシガしとアクションするわけでもなさそうだし。
 正直このアニメ、特におもしろいと思っているわけではないんですが、そのラブコメメインで進むのか、はたまた敵対組織との争いというところで話が進むのか、それが今ひとつ分からないが故に気になるのでちょっと付き合っていこうかなーと思います。(感想書くの苦労しそうだなぁ/苦笑)

第二話:あか、煌々と

あら、ライバル出現?

 そんな今回のお話は…
 妖人省発足後、同じ屋根の下、なんともぎこちない 人間・半妖・妖人の共同生活が始まっていた。
 バテレン文化や、実は妖人嫌いの軍人“総角 景”が自分の生活に入ってきたことで苛立つ西王母桃(ざくろ)。
 ところがそんな折、「西洋風の宿泊施設 “ホテル” の建設を脅かしている妖人を調査して欲しい」という依頼が入る。
 早速、西王母桃たち7人は建設中のホテルに向かうことになるのだが--。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、妖人が人間どう思われているか、というような内容で、人間に忌み嫌われている妖人だが、理解しようとする人間もいるという所を描いている。
 騒動のホテルに出没する妖人も害をなす者ではなく、文明開化の名の元に急ピッチで変わっていく街に闇を奪われ、住処を失った妖人であり、劇中での変わっていく世の中に比例して立場を無くす妖人という存在を、まぁベタな話ではあるものの、「文明開化も重要だが、忘れてはいけないものもある」の台詞とともに、その劇中世界での流れを上手く表していたと思う。
 妖人と彼らを忌み嫌う人間、その狭間にいる軍人たち。それぞれ思う所があるが、今はひとつの社会で生きていっていて、今はまだ問題があるものの、歩み寄ろうとする者達がいることを説明するには良いお花足だったんじゃなかろうか。
 個人的な所を言えば、もうちょっとなにか見所のようなものが欲しいところで、今ひとつ抑揚がなく、印象が薄いのが残念だ。
 もう少し派手さがあったり騒がしい感じでも良いのかもしれないなぁ。

 お話としてはそれだけでなく、妖人省の半妖の娘たち三人の中で、ざくろが精神的に中心であったり、それぞれの組での仲が進展している様子なども描いていて、上記メインの言いたい所の他に、それらをすんなりと組み込んであってひとつのお話としては割と良く出来ている。
 特には騒動を収めるために出てきた野郎たちの上司になる花盾陸軍中尉にざくろが惚れて(?)しまう辺りは上手く、本当なら気障の方も怖がっていた妖人に歩み寄ろうと努力し理解しようとしていて、花盾中尉とは同じなのだけど、ざくろの印象がまるで違うのが可笑しい。というか、気障野郎は最初の印象が良過ぎたため、その後のヘタレっぷりが無駄に印象を悪くしており、その辺のラブコメとしての展開もなかなか良く考えられている。
 それだけにもうちょっと上手く演出して、所々に印象が残るようにして欲しかったな。

 それにしても、ざくろはツンツンしている割に惚れっぽいですな。まぁそこが可愛いのかもしれませんが。
 個人的に女の子たちにももうちょっと何か欲しい感じだなぁ。何か物足りないような気がするんだよな、お話と同様に。


第三話:かこ、哀々と

なかなか上手く出来ている。

 そんな今回のお話は…
 とある村の村長から「最近、村の女、子供ばかりが行方不明になる”神隠し”のような事件が続いている」という相談を持ちかけられる。
 それを聞いた西王母桃は突如顔色を変え、いつにも増して真剣な表情で「依頼を受けたい」と櫛松(くしまつ)に懇願する。
 景は西王母桃のただならぬ様子に疑問を抱くが、その理由にまつわる半妖誕生の秘密を櫛松に聞かされる。
 複雑な思いを抱えつつ、二人は共に問題の村へ行くことに。
 以上公式のあらすじ。

 相変わらずあまりこれといった盛り上がりとかは無いものの、お話としては上手く作ってあって楽しく見た。
 今回は気障野郎とざくろがふたりで調査に出て、他のメンバーはほぼ出てこず、お話のメインとしては、半妖がどうやって生まれるかという事と、ざくろの母の事のさわりをふたりの仲の進展と共に描いている。
 半妖誕生の経緯は妊娠した女性が神隠しに会うと、戻ってきた時にその子供は半妖になっているという。ざくろの母は彼女が生まれる前と生まれた跡の二回神隠しに遭っており、二回目の後は戻ってきていないという事が語られ、そこが今回の神隠し騒動と連動して話は展開する。
 そういった経緯を知った気障野郎はざくろを気にかけ、ヘタレだと言うだけでなく彼が優しい心の持ち主である事を示し、その所為あって寸での所でざくろを救い、また騒動の原因である妖人が、神隠しを装い女子供を喰らっていた事に激怒する様子を見て、素直でない彼女は口には出さないけれど、ざくろは気障野郎信頼にたる人物であると思っている事を感じ良く描いていて、割と捻りのないストレートなお話ではあるものの見ていて結構気持ちが良い。

 母の事があって「神隠し」と聞いて平静でいられないざくろと、事前に櫛松から半妖誕生の秘密を聞かされ気にかける気障野郎、そして神隠し事件とこれから関わるであろう大きな敵対勢力らしきモノを一本の話の中に無理なくまとめているのは見事で、見せなくてはならない事柄をスムーズに繋げてストレスなく見れるようになっている。
 メインとしては毎回ある「化物退治」ではなく、やっぱりざくろと気障野郎の仲の進展の方になるのだが、半妖誕生の経緯や産まれたその半妖の子や母がどうなるのかという事と、ざくろの母の事が語られ、それを受けての野郎の気遣いが功を奏して、お話の冒頭に櫛松から「しょっちゅう相方といがみ合っているようじゃ、安心して仕事を任せられない」と言われていた彼らが、今回を通して随分と改まった様子が分かるのが良い。
 また先ほどメインではないと言った「化物退治」も、原因である化物が女子供を喰らい、腹の中でゆっくり腐っていくのを楽しんでいるという、ゲーム真・女神転生の種族的に言えばまさに外道なヤツに、妖人が怖くてヘタレなはずの野郎がそれを聞いて激怒し突っ込んで行くのは、大きな盛り上がりではないにしろ、物語的にやらなくてはいけない「化物退治」に意味を付け加えているのも良いし、そういうヘタレで気障なだけではない彼は嫌味がなく、ただイケメンと言うだけの男ではないのも気持ちよく見れた一因だろう。
 お話としては、先にも述べた敵対勢力らしき奴らもちょろっと出てきて、今回のお話を物語の中のいちエピソードとしてだけではなく、全体流れの中のひとつとなっていて興味を以降に引っぱっている点も上手く作ってあると言えるだろう。

 あんまり褒めてばかりだとなんなので気になった所としては、「化物退治」が桜の枝から変化する謎の小刀をブッ刺すだけなのがさびしく、今回で言えば、せっかく野郎が良い所を見せたのであらば、そこで連動する何かがあって欲しかったな。ここまでの3回はこの「化物退治」はホントオマケでしかない。
 これまでを見た所、半妖の少女たちと野郎どもの男女の仲という点と、その少女たちが化物と戦う事がこの物語の柱であるように見受けられるので、このふたつで上手く緩急や抑揚をつけれれば、一本のお話の中で印象に残るような所がいくつか出るような気がします。
 今回は野郎が怒って化物に突っ込んで行くシーンくらいしか印象に残るようなシーンがなかったのは残念だ。
 ちょっとするーんと進んでいってしまう感じがあるので、そういったのが無くなれば、もっとおもしろくなるんじゃないかなーと思うんですが、はてさてどうなりますか。


第四話:きょり、怖々と

普通に見れたなぁ。

 そんな今回のお話は…
 人から譲り受けた“曰くつきの品”を調べてほしい」という依頼が入った。
 薄蛍(すすきほたる)、利劔、雪洞(ぼんぼり)、鬼灯(ほおずき)、丸竜の5人は、問題の品があるという骨董店“折屋”に向かうことに。
 折屋を営む女主人 折形綾 (おりかた あや)は妖人の鬼っ子“麦”と共に折屋を営んでいた。妖人と人間が仲良く共同生活をしていることに驚く一同。
 一方、出された“曰くつきの品”とは禍々しい空気を纏った刀だった。
 以上公式のあらすじ。

 お話は簡単に言えばデカ野郎とすすきほたるがいい感じになる話で、曰く付きの刀の調査という妖人省の仕事と共にすすきほたる(以下面倒なので『ほたる』と呼称)の能力、いわゆるサイコメトリーと、その能力故に引っ込み思案なほたるがいろいろと逡巡する様子を描いている。
 基本的にほたるの能力ということを中心に、今回の事件を通して寡黙なデカ野郎との仲が一気に進展していく様子が割と粛々と進んでいき、話の展開や見た目として派手なことは全く無いけれど、人間の半妖の恋物語として普通に見れました。  引っ込み思案で他人の目を気にしてしまうようなほたるは、物や人に近づいたり触ったりすることで、その者の心や物に宿っている思念を察知するいわゆるサイコメトリーの能力を持っており、その人の心を知ってしまう力のために、デカ野郎に気味悪がられるのではないかと思い逡巡する様子や、鬼っ子「麦」の母が本当は死んでしまっていることを知ってしまったり、触れた者を人切りと化す妖刀に触れて襲ってしまったりと、ほたるの能力の善し悪しを話に絡めながら説明しているのは上手いし、そこからほたるが密かに想いを寄せているデカ野郎との仲が一気に進んでいく様子も描いていて、お話としてはすごく良く出来ている。
 まぁ話としては相変わらず捻りの無い先の読める展開だし、ほたるとデカ野郎との仲としても、どう見ても両想いよねと分かるしで(この歳で『両想い』とか書くと異様にこっ恥ずかしいな/笑)、特にお話として盛り上がる所は無いんだけれど、気障野郎とざくろや、チビ野郎とぼんぼりほおずきらが割とラブコメ的であるのに対し、デカ野郎とほたるのふたりはラブストーリーとして話が進み、こうなるだろうと分かってはいるものの特に退屈する事無く見れました。
 そういった中で、前回はざくろと気障野郎以外がほぼ出てこなかったが、今回はメインとするふたりをしっかり見せつつも、他のメンバーも対比として見せて、本来のラブコメ的な所も残しているし、お話としても、今後大きな展開となるであろう敵対勢力らしき者たちとのフラグもしっかり入れ込んであるしで、トータル的に見ても良くやっていると言えるだろう。

 しかし如何せん、前回も言ったような気がするが、メイン所での盛り上がりに欠けるのが残念で、今回で言えば妖刀に取り憑かれてしまったほたるとその後のデカ野郎とのシーンになるのだが、何せ「こうなるんだろうなぁ」と読めてその通りになってしまうのもあって盛り上がれない。
 妖刀に取り憑かれてしまったほたるの所でも、麦を切ろうと振りかぶってすぐデカ野郎が止めてしまう。どうせならそこでは麦か折形綾が自分でギリギリかわしたりというのが間にワンカットでもあれば、デカ野郎が間に入って止めると分かってはいても「早く止めろよデカ野郎」と思ってハラハラするし、祖母五のふたりのシーンも、普段物静かなふたりだし、せっかくほたるが感情の発露をしているのだから、もっと彼女は大袈裟に感情を出してもいいのではないだろうか。それがあっての寡黙なデカ野郎がほたるの手を握って気持ちを伝えるという、動と静のメリハリがあればその後二人がしっぽり来るのも映えたような気がします。
 もうちょっと細かい所に突っ込んでもいいと思うなぁ、このアニメは。


第五話:わな、粘々と

なんでそんな「ガーン」となっているのやら。

 そんな今回のお話は…  政府の人間が集まる夜会や舞踏会で、妖人の仕業と思われる軍人を狙った事件が頻発していた。
 なんでも、女の誘いに乗ってついていくと突然巨大な人食い蜘蛛に変身して人を襲うというのだ。
 花楯 鷹敏(はなだて たかとし)中尉の依頼により、その夜開催される陸軍上層部の夜会を警備をすることになった妖人省の面々。
 一般の招待客に紛れ込んで警備をするため、西王母桃たちも洋装をして夜会に出かけることに――。
 以上公式のあらすじ。

 前々回がざくろ、前回がすすきほたるとくれば、今回はぼんぼりとほおずきだろうよ。と、なろう物だが、大概三番目というものは「あれ?」という感じになるのがオチで、これもそんな感じなのである。
 お話は夜会にまぎれて人を襲うジョロウグモを倒す、といういつもの化物退治をやるなかで、ほおずきとぼんぼりの特殊能力、彼女らとチビ野郎、敵対勢力の介入、そしてざくろの母親と秘密を織り込んだ内容になっているのだが、相変わらずここぞというポイントが無く淡々と進んでいっている。
 化物退治はまぁいつもやっているのでいいのだが、今回のポイントとしては、ほおずきとぼんぼりの特殊能力から、前回・前々回にざくろやすすきほたるがそうだったように、彼女らとチビ野郎の関係を一歩進めることだと思うのだが、今回に追わされたざくろの秘密やらを次回へ引っぱったため、その辺は次回へ持ち越しのようでどうもスッキリしない。
 そもそも、ふたりがせっかく特殊能力を発揮し、戦闘ではジョロウグモからチビ野郎を守ると良い所を見せているのに、おいしい所はざくろが持っていってしまうのがなんとも。
 ざくろとすすきほたるは前回・前々回と一本丸っとメインとして話を作ったのに対し、今回は特にほおずきとぼんぼりがメインという事も無く、しかも最後はなんだかよく分からない「ざくろの秘密」に持っていかれてしまったので、全くメインという感じではないのはちょっと可哀想な気がします。なんかこれでは、ふたりが居ても居なくても良いような気がしてしまうなぁ。  とはいえ、なかなか興味深い部分もあって、花びらの式神を操れるのがふたりの特殊能力であるのだが、その式神を消されてしまうと彼女らは身体にダメージを受ける。
 ジョロウグモに式神を消され手に火傷を負ったのだが、ふたりはそれをなんとも思ってなくていつもと変わらない様子なのである。
 それをチビ野郎がそうなると分かっていて再度式神を使うのを良しとせず怒るのだが、それはふたりが式神を消されダメージを追うことを、自分の能力であるがために当たり前にとらえており、傷を負ったにも関わらずいつもと変わらない調子のふたりに、チビ野郎がそんなことはさせられないとするのは、自分の無力さや彼女たちのことを分かってあげられなかった自分に対し怒りをあらわにし、ふたりに取っては当たり前のことを、人間であるチビ野郎が心配してくれたことに喜ぶ様は、彼らの心情を上手く表していて良かった。
 それがその後の戦闘でふたりがチビ野郎を守ろうとすることへと繋がるし、ぼんぼりがやられてもなにもすることが出来なかったチビ野郎が、事後に自分の無力さに撃ちひしがれるという事へも繋げているという点は良く作ってあると言える。

 だがお話としてはいつも通り見事なくらいあっさり味であり、本来ならばチビ野郎を守って戦うふたりで盛り上がる所だが、さしてピンチ感も無くもっと見せ方もあろうにと思わずにいられない。
 どうせ三組が分断され、ざくろとすすきほたるが足止めをくうのであらば、メインの戦闘であるジョロウグモとのシーンにカットインして「三人が揃うことが出来ない」というピンチ演出をすれば良いのに。
 それと事後のジョロウグモの捨て台詞でざくろも知らない「ざくろの秘密」とかいう重要語句がでてきて、冒頭書いたようにざくろがひとりで「がーん」となっておりましたけど、これってなんかおかしな感じがするよな。
 なぜならばその秘密は当の本人のざくろを始め全員が知らないわけだし、疑問に思ってもショックを受けることではないと思うがどうか。
 そこでショッキングな真相なりなんなりが分かるなら話は別だが、そのうち秘密にぶち当たるよーと言われただけのことであるので、随分と仰々しいなぁと思ってしまった。
 まぁ次回はその辺で話が展開するようなので、ざくろがそんなんになる理由が明かされるのかもしれませんが。
 なんにせよ、いつも言っておりますが、毎回あっさり流しすぎなので、ここぞというポイントを作って盛り上がる所を見せていただきたいなぁ。
 このままでは何の印象も無い物語になってしまいます。


第六話:ゆきて、事々と

基本的に過去話。

 そんな今回のお話は…
 陸軍省の夜会の一件から元気がない丸竜。
 丸竜は、自分を守るために傷ついても恐れず敵に立ち向かっていった雪洞と鬼灯に対し、何の助けにもなれなかったことに憤りを感じていたのだった。
 そんな丸竜に、雪洞と鬼灯は自分たちの生い立ちを話し始める――。
 一方、夜会での戦い以来、普段通りに楽しく振舞っていても、どこか西王母桃の様子がおかしい。
 そのことに景だけは気が付いていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭に書いたように基本的に過去話で、ざくろたちの幼かったころを紹介している。
 Aパートは前回うやむやになってしまったチビ野郎とぼんぼり・ほおずきの事を、彼女たちの過去話と共に落ち着けていて、バックボーンを語ると共にチビ野郎との関係を見せていてなかなか興味深い。
 しかしAパート終わりでその話も終わってしまうのはちょっと尻切れとんぼのような気がしますな。ざくろやすすきほたると比べると、それ以降野郎との関係が親密になった様子が分からないのはちょっともったいないような気がします。
 Bパートからはざくろたちの過去話からざくろの母の秘密という所を少し触ったという感じで、それに伴って母の秘密という悩みを抱えつつ、小さい頃からいつも元気でいようと無理をしているざくろと、それを心配する周囲の者たちを妖人省の日常と共に見せている。
 ざくろをさりげなく気にかける気障野郎、という所を割と淡々と見せていて、平和な日常に中に流れる変わりゆくふたりの関係を見せつつ、これからの展開であろう「何かに呼ばれるざくろ」というフラグも立てていて、Aパートを含め話の構成具合はなかなか良く出来ている。
 のだが、ちょっと今回のお話はいつも以上に淡々としていてラブコメ要素も殆どないので今まで以上に印象が薄く、もうちょっとなにかあればいいのにと思う。
 まぁ要するにあんまり書くことがなくて、印象としてはぼんぼりとほおずきの過去話が、意外にも結構キツい過去であった事くらいである。
 それもオチが無いような話だしな。どうせなら陰惨なオチにしてインパクト作っても良かったように思います。
 
 しかしこんな感じでずっと続くのかねぇ。なんかこう、思う所が無いのだけど、どーしようか。
 本編が進めばちゃんと盛り上がりどころがあるのかしら?というか、そうなってもらわないとこんな感想を書いている身としては結構つらい。


第七話:うち、猫々(にゃんにゃん)と

う〜ん。もうちょっと絞った方が……。 
 
 そんな今回のお話は… 
 いつも通りのんびりとした妖人省の午後、突然「ぼっちゃま−−!!!」と総角に抱きつく若い女性が現れた。 
 その女性“タエ”は総角家で働く使用人で、総角家の当主 景の父からの命を受けて妖人省にやってきたのだ。 
 渋々総角は実家に帰ることにするが、何故か西王母桃に「一緒についてきて欲しい」と願い出る。 
 文句を言いながらも一緒に行くことになった西王母桃。 
 到着するとそこには西洋風の大きなお屋敷が佇んでいて…。 
 以上公式のあらすじ。 
 
 お話はあらすじ通りにざくろが気障野郎の実家に行く事となって……という話なんだけど、今ひとつどこを見せたかったのかがよく分からない。 
 一応いいシーンとして、気障野郎が幼い事に飼っていていなくなった猫は彼に愛情を注がれ猫又になっていて……というシーンなのだが、そこに尺を取っているわけでもなく、かといって野郎の実家と家族がメインでもなく、猫又と一緒にいる妹は何かあるわけでもなく、妖人省にやってきたタエと野郎とざくろから何か展開があるわけでもなしで、細かいエピソードが重なった話という印象で相変わらず目立つ所がない。 
 基本的にラブコメの流れの中、上記エピソード群を見せていく格好になっていて、サブタイが「うち、猫々(にゃんにゃん)と」であるなら、猫の話をもっと話の中心にしても良いように思います。 
 せっかく猫又が猫の姿の時は人に見えないのに、妹は見えているのに特になにもなかったのはちともったいないでしょう。 
 もったいないと言えば、野郎に惚れている女中のタエも、野郎はその想いに気付かないもざくろは気付いているのなら、その三人でもうひとつ話が作れそうだし、妖人嫌いの西洋趣味の野郎の親父という気障野郎の家族の話もそれだけでひとつ話が出来そうだ。 
 しかし、よく考えてみれば、今回三つのお話が作れそうな物ではあったが、それを上手くひとつにまとめているとは言えて、その三つがケンカしない要に収めているのは褒めてもいいのかもしれない。が、それだけに細かいエピソードの集合のようになってしまったというのもあり、その辺の見解は個人の趣味だろう。 
 個人的にはいつも言っているけれど印象が薄いので、どこかに注力した方が良いとは思う。 
 
 前回もそうだが化物退治というのがないため、特に好きなキャラがいるわけでもないので、見ていてちょっとノッタリし過ぎな感があるな。 
 せめて毎回強く印象に残るような所を作っていただきたいのだがなぁ。


第八話:あめ、徒々(あだあだ)と

やっと本編が。

 そんな今回のお話は…
 骨董店 折屋に預かっていた刀を返しに行く薄蛍と偶然街で出くわした総角。
 自分の用も済んだので、薄蛍に付き添い折屋まで行くことに。
 ところが、店の前で二人は何者かに捕らわれてしまう。その犯人は、百録(びゃくろく)と橙橙(だいだい)という半妖の姉妹だった。
 一方、折形綾の連絡で二人の失踪を知った西王母桃や芳野葛は捜索に向かう。
 以上公式のあらすじ。

 お話は敵の半妖の双子(?)百録(びゃくろく)と橙橙(だいだい)に捕われた気障野郎とすすきほたるを救出するという話ではあるのだが、とらわれの二人が助けられるのは当たり前なので、実際の所はよく分からなかった敵対勢力をちょっと見せたという話だ。
 先に述べた通り、救出劇は結果が分かり切っているからか、話の流れ的にもその事に重点を置いておらず、ようやく顔見せしたびゃくろくとだいだいがどのようなキャラでどのような状況下という事と、「特別」なそんざいであるらしいざくろを見せている。
 個人的にもその双子ちゃんの方が興味深くて、以前の夜会の回ですすきほたるが彼女らの心証の断片を見たように、ざくろたちとは違って今も尚厳しい状況のようである事が分かるようになっており、ざくろたちとの比較をしている点で興味深く見た。
 元々この劇中で、半妖は蔑まれており、それは妖人の間でもそうなようで、双子ちゃんたちは敵対勢力の女郎蜘蛛にも下に見られているが、利用される事によって何とかその立場を得ているようだ。
 また力の無い妹を守るために、姉が女郎蜘蛛の言う事を聞く事で、妹も同格に扱ってもらう事になっているし、妹の方は女郎蜘蛛に心酔してしまっていて、生まれからくる不運と妹という弱みを握られてしまってなんとも四面楚歌な感じが「この二人はどうなってしまうんだろう」という気にさせてくれる。
 それに伴って物語の本筋という所も進んでおり、敵対勢力からざくろを遠ざけたいとする櫛松や、仲間のピンチに力を発揮するざくろを見せていて、物語がこれからどう進んで行くかも気にさせている。
 個人的にむしろざくろたちよりも彼女たちの方が気になるくらいで、妹が女郎蜘蛛に心酔しているのは術なのか素なのかは今の所分からないが、姉にとっておそらくは何よりも大切な存在である妹が、半妖を下に見て忌み嫌う女郎蜘蛛を慕っているのは心中穏やかではないだろうし、まだ彼女らの背景は分からないが、利用されていると分かって従わざるを得ない状況である彼女らが、これから見舞われるのであろう不幸を思うとゾクゾクくるし、最終的にはそんな薄幸な彼女らが仕合せになってくれれば良いと思わせてくれる。

 とまぁそういう部分では良いのだけれど、一本のアニメーションとしては相変わらず見せ場に乏しく、久々のアクションはがんばってそれなりに動かしていたけれど、指してカッコいい所もなく、お話としてももっとピンチ感を演出しても良いだろう。
 そのピンチ感だが、仲間が二人捉えられていて、時間をかけていては死ぬかもしれないという状況なんだから、ざくろとデカ野郎はもっと焦っていいし、捉えられ室に水攻めにされた気障野郎とすすきほたるはもっと足掻いたり、水が迫ってきて段々とのっぴきならない状況になって行く様子を見せるべきなんじゃなかろうか。
 今回の戦闘で上記したような事が途中カットインなどされておれば、二人が助かると分かってはいるものの、少しは「どうなるのだろう」とドキドキしたかのしれない。
 それと、チビ野郎やぼんぼり・ほおずきが相変わらずの扱い過ぎて、もういてもいなくても良いような立ち位置なのがなんとも。今回は別にみんなで行けばよいものを、わざわざ留守番させておく必要があったのかが疑問だ。
 他の奴らは話が進むにつれ、相方との関係をどんどんと進ませて良いシーンを作ってもらっているというのに、コイツらの扱いは見ていて不憫過ぎます。もうちょっと話に絡ませても良かろうよ。絡ます気がないならいらないしなぁ。その辺なんとかしていただきたい所だ。

 お話の方はようやく本筋が進み始め、これなら最後にドタバタと締めくくらなくても良さそうな感じではあるが、やっぱり今ひとつ盛り上がりに欠けると言うか、何かが足りない気がするな。
 それが何かは自分でもよく分からないのだが、とりあえず今の所はその本筋よりも、野郎との仲という所で進展しているからそんな印象を受けるのだろうか。
 もうちょっと本筋が進めば変わってくるかなぁとは思うのだけど、あんまり変わらないような気がしないでもないな(笑)。


第九話:さち、恋々(こいこい)と

こんな話してていーんか?

 そんな今回のお話は…
 巷では、色恋の相談に答えてくれる“こっくりさん”が大流行。
 さっそく妖人省の中でも雪洞・鬼灯が試してみることに。西王母桃たちも興味津々。
 ところが出てきた“こっくりさん”が暴走し逃げ出してしまった。退治をしようにも西王母桃の刀も葉が立たない。
 偶然、同様の事件の調査依頼に妖人省に来ていた花楯中尉も加わり、“こっくりさん”を探しに行くことに。
 以上公式のあらすじ。

 あらすじはあっているようであっていない感じで、別にざくろは興味津々でなかったりするわけですが、お話としてはこっくりさん事件の後の最後の最後、謎の敵対勢力のボスが、どうも花盾中尉らしいという事が分かればいいという話だ。と、言う事は、今回のこっくりさん関連は長い前フリという事になるな。まぁそんな感じで間違って灰内ような気がします。
 とはいえ今回の事件がなんも無いかと言うとそうでもなく、一応妖人省の奴らの惚れたはれたを描いていて、特にはざくろと気障野郎は前回いろいろとあった事もあり、最初の頃と比べると随分と仲が進展し、お互い気にし合っている様子を「こっくりさん」という恋のまじないという所を絡めて見せているのはひとつの話としてはいいだろう。
 こっくりさんから気障野郎のの思い人を知ろうとするのを止めたり、逃げ出したこっくりさんを成仏させるため目の前で恋の成就を見せるとなって、気障野郎が「ざくろを好きだ」という前に口を塞いでしまうざくろは、もう自分の想いを語っているようなものではあるし、視聴者的には最初からそんなこたぁ分かり切っている事なんですが、まぁそんな様子のざくろは見ていて愛らしくはある。
 前述したように、最初の頃から比べると随分と仲は進んでおり、ここまで恋話のような話を続けてきた甲斐があって、そんなふたりの恋の様子という所ではこれまで少しづつ距離が縮まって行く様子を見ていた事もあり、素直でないざくろと割と内向的な気障野郎の様子は楽しんで見れた。
 だがお話としては、冒頭に書いたように、9話でこんなのんびりした話していていーんか?と思わざるを得ない内容で、せっかく前回本筋がかなり動いたというのにここでまたブレーキがかかってしまって、ざくろやその他の女の子に特に何かしら思う所が無い自分としては、さっさと本筋を進めて欲しい所ではある。

 その本筋はと言うと、先に述べた通り最後の最後でラスボスらしき男がどうも花楯中尉らしいという事が分かっただけなのだが、それならあんまり話に絡まなかった彼が、妙にざくろに好意を持っているという理由になり、展開としてはまぁまぁ上手くやってはいるとは思うのだけど、ここでそれが分かってしまっては、後の驚きが無いと思うのだがどうか。
 まぁそれは花楯中尉と見せかけて〜のミスリードを誘っているのならば大したモノであるが、何となくそのまま行ってしまいそうで怖いな。劇中のざくろが驚いても、視聴している我々が「そんなん前から分かってたし」と思っては「物語を見せる」という点であまりいただけない。
 せっかくざくろと気障野郎、そして花楯中尉の三角関係のような者を見せているのだから、中尉とラスボスはイコールかもしれないとは思わせない方が良いのではないだろうか。
 中尉がざくろに対して思わせぶりな台詞や態度があったとして、それが恋の三角関係上の事のように見せておけば、彼が正体を明かした際に、あぁそういう事だったのかと驚きと共に納得できて一石二鳥の効果が得られるように私は思うんだけどなぁ。
 まぁ先に行ったように、ミスリードでなかったらの話ですが(笑)。

 しかしこのアニメ、なんか1クールで終わるような気がしないのだけど、まさか2クールじゃないですよね?後3、4話でどうやって物語を締めるつもりなんですかねぇ。
 まぁ語る事と言えばざくろの秘密と母親の事、そして敵対勢力の目的くらいですけど、今こんなにのんびりしていると、最後にドタバタとまとめそうでイヤだな。


第十話:かげ、追々と

ありゃ。あっさりと面割れかよ。

 そんな今回のお話は…
 神社で行われる祭りに向かった妖人省の面々。浴衣を着た西王母桃たちはウキウキ気分。
 まずは神社の守り神 狛犬のあ様とうん様に挨拶をし、お祭りを楽しむ一同。さらに巨大迷路があるというので遊びに行くことに。
 チームに分かれて出口まで競争をすることになるが、西王母桃は総角とはぐれたところで何者かに捕らわれてしまう。
 以上公式のあらすじ。

 お話はBパートで本筋が一気に進んだ感じではあるのだが、今ひとつピンとこないな。
 今回の流れとしては上記あらすじにあるのがAパート、Bパートからは神隠しの里に連れ去られたざくろを中心に、よく分からなかった敵対勢力の一部と、半妖、とりわけざくろという存在について少し触れている。
 Aパートの方は、いつも通りの惚れたはれたなのでかなりどーでもよく、興味深いのはこれまでよく分からなかった事に触れているBパートの方である。ドラマの方としても、惚れたはれたくらいしかないよう人証の奴らよりも、複雑な関係性がある敵対勢力の方がおもしろい。
 Bパートからの話は色々あったが、とりあえずラスボス=花楯中尉があっさり面割れしてしまったのが意外で、もっと引っぱるかと思っていたが、今ここでこんなにあっさりと面割れしましてしまうんだから、その事はあんまり重要ではないらしい。
 興味深いのは本筋の所で、「特別なざくろ」という事を紹介しており、なんか大きな力をもっているらしく、後に地下に向ったざくろが見た半妖の子らは、その特別な力をもった半妖の子を再現するためにつくられたとかなんとかは今ひとつ情報が少なくてよく分からんが、まぁざくろの母が関係しているらしい。
 その辺は、最初の方からちょいちょいと、ざくろの母の失踪を見せていることもあって、要はここへ収束したいのだという事が分かるし、それに向けて話を作ってある。
 しかし再現と言っても、その力の強い半妖をもうひとり作ったとしてなんなんだという事があり、目的やその過程、そして半妖が生まれる場所との関連がさっぱり分からないが、どうもおぞましい事のように演出しているのでたぶんなんかおぞましい事のようだ。
 だが得てしてこういうモノは、分からないからそう思うのであって、案外ネタが割れてしまうと「なぁんだ」という事だったりするもので、その辺どう料理するかが見物である。
 最終的に「えーっ!?」とならない様に収めてくれれば良いのだけど、このアニメは今まであんまりオチを上手く落ち着けたことがないのでちと心配だ。
 しかし、これまで見ていて思うのだけど、ざくろが随分と特別過ぎるような気がするのよね。おかげで他の<奴ら>の影が薄いのはちょっともったいないような気がしますな。

 個人的な所では敵対勢力の人物関係の方がおもしろく、百縁(びゃくろく)・橙橙(だいだい)、女郎蜘蛛の乱杭(らんぐい)、ラスボス、そしてそれらを覆う世界観がごちゃごちゃしていて「これからどうなるんだろう」という気にさせてくれる。
 百縁は橙橙を拠り所にしているも、橙橙は乱杭にご執心で力の無い自分はあまり相手にされず、百縁に対ししっとしている模様であるし、乱杭は半妖の下に見てラスボスにご執心、おかげゼクロを憎んでいるし、ラスボスはざくろに首ったけで他は全く相手にしていない。そしてざくろは世話係となった百縁と接し、百縁は思う所があったようで、見事に各々が一方通行的な不毛な循環をしていてる。
 まぁラスボスは乱杭なんかは、展開として最終的にに死んでしまうのであろうが、百縁と橙橙は蔑まされているのを見ていた分、最後には幸せになってもらいたいのだが、今の所妹の橙橙が乱杭に利用されているとも知らず浮き足立っていて、百縁によからぬ想いを抱いているようで、とても幸せな結末を予想できないのが気にかかってしまう。

 それに対して妖人省の奴らときたら、基本的に惚れたはれたしかないし、特別なのはざくろだけなので正直どーでもいーなぁ。戦闘になった所でコイツらが勝つわけだしで、その結末という事よりも、どういう世界観を構築しているか、という所の方が気になってしまう。
 妖人省の奴らには、惚れたはれた以外の所で気にさせる何かを作っておかなければならないんじゃないですかねー。メインキャラクターなのにものすごい「脇役」って位置にいるような気がしてしまうんだよな。
 むしろ本筋の方に関わってくる百縁や橙橙、乱杭たちのほうが彼らよりいい役のように見えるのはどうなんですかねぇ。
 妖人省の奴らにも、ざくろ以外に本筋に引っ掛かるような何かを作ってあげればいいと思うのだけど、まぁ今更の話ではありますな(笑)。


第十一話:ふれて、殻々と

過去話。

 そんな今回のお話は…
 捕らわれた西王母桃が、見知らぬ屋敷で見つけたのは、母・突羽根(つくはね)だった。
 その手に触れた瞬間、西王母桃も知らなかった母・突羽根の記憶が前に広がる−。
 一方、妖人省では櫛松が神がかりの里、半妖の生まれる理由を語り始めるのだった。
 最終話に向けいよいよ西王母桃誕生の核心に触れる。
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭の一言とあらすじ通りで、ざくろの母・突羽根(つくはね)の過去話からざくろ誕生の秘密を語っている。が、どうも今ひとつピンとこない。
 その過去話はあらましを説明するのもめんどいのでさらっと説明すると、神がかりの里にはなんか神がかった(と思っている)人達がいて、その中でも強い妖力をもつ突羽根(つくはね)は、里長の子を儲ける。それが花楯中尉ことおもだか。
 二人目をなかなか孕まないつくはねであったが、ある時出会った人間と通じて子を授かってしまう。
 神がかりの里にはなんか神がかった(と思っている)人達は人間を下に見ていて、人間の子を孕んだつくはねを穢れとし、男を殺し、お腹の中の子を半妖とするのであったが、生まれてきた子・ざくろは、生まれながら類い稀なる妖力を持ち、心ない神がかりの里の人達に利用されることを恐れたつくはねは、櫛松と共に里を離れ隠遁生活を送る。
 ざくろの成長に伴ってますます妖力は強くなり、隠しきれないことを悟ったつくはねは自ら里に戻り、ざくろは櫛松と共に各地を転々とするうちに雨竜寿(あまりょうじゅ)と出会い今に至る。と、簡単に説明するとこんな感じ。

 意外にも結構ダークな過去話で、その点でちょっとビックリしたが、まぁ話の展開としては先が読めるものではあり、物語として驚くような展開ではなかったが、今までちょいちょい見せてきた「ざくろの母とざくろの秘密」を説明した恰好になっているのはまぁいい。
 だが個人的には、神がかりの里の人達は普通の人間を随分と下に見ているけど、彼らが一体何者なのかよく分からないし、人間とどう違うのかよく分からない。ただ単に妖力をもっていて妖術なりを使えるっていうだけなのか、はたまたもはや人間とは別物なのか。それならつくはねDNA的に人間の子を授からないと思うがまぁそれはそれとして、そんな神懸かりの人達が何をしていて、どういった目的があって、ざくろをどうしようといているのかがさっぱり分からない。
 それはもしかしたらか物語の核心なのかもしれないが、せめて「こんなことをしようとしているのかなぁ」と思わせるようなことがないと次ぎに興味を引かないよな。正直今回は「昔こんなことがありました」だけで終わってしまっている。
 せめて「揚力の強いヤツを頂に神がかりの里が世界を牛耳るぜ!ゲヘヘ!」みたいな目的くらい示して欲しい。今の私の目には「妖力の強い子を作っちゃうぜ!ヘヘヘ」くらいの印象しかない。当事者なざくろや半妖の奴らはまだ戦う理由にもなり得るが、どうも局地的過ぎてあんまり気障野郎たちが参戦するほどでもないと思ってしまう。
 今の所として、彼らのしていることを簡単に言うと「神懸かりの奴らの妊婦の拉致監禁レイプを止めるぜ!」ということでしょ。主役たちの敵対勢力としてはやってることがちっさいし、その規模の小ささに盛り上がりもなにもないなぁ。
 まぁ、世界の存亡を賭けた戦いをしろというわけではないが、なんかすごくこんまい世界のこんまい事件を見ているような気分になる。
 スケールが大きければいいという話ではなく、その世界に没頭できる何かがこの物語には足りないような気がします。すごく私事に見えるんだよなー。

 個人的にはざくろが特別過ぎるのもおもしろくなくて、おかげですすきほたるとぼんぼり・ほおずきがかすんじゃっているのはもったいないし、悪役はもっと悪役あれとも思う。
 キャラはそれなりにたくさんいるのに、ざくろと気障野郎、おもだかにつくはねがいれば物語が回っちゃうのなら、他は最初から「脇」で良かったんじゃなかろうかと思ってしまうよ。
 原作がどんなんか知らんけど、もちっと上手く「その他」を使って欲しい。が、今更の話である。


第十二話:きき、焦々と

なんかクライマックス感が無いなー。

 そんな今回のお話は…
 自分の出生の秘密そして半妖の生まれる所以を知ったところで、西王母桃は再び捕らわれ気を失ってしまう。
 一方、妖人省では西王母桃を救い出すため、総角たちはわずかな手掛かりと共に走り出す。
 あうん様に導かれ、辿りついた神がかりの里で出会ったのは…。
 最終局面を迎える緊迫の第12話。
 以上公式のあらすじ。

 なんか「最終局面を迎える緊迫の第12話」とか書かれておりますが、それほど緊迫感があったとは思えなかったな。
 お話の方はと言うと、おもだかの何しようとしているのかよく分からないことを阻止するぜ!ついでにおもだかとつくはねの真の気持ちとは?みたいな内容。
 展開としては「驚愕の事実がっ!?」みたいなことはなく、つくはねが主だかを思っていたことは前回で分かっていたことだし、おもだかの方もあれだけ母親に執着しているんだから、本当は母の愛に植えていたというのも予想の範疇だ。
 ざくろの奪回という部分も、結局は今回でそれはならなかったのだけど、ざくろの前に妖人省の奴らが出るまでにピンチらしいピンチもなく、これまで通り抑揚のないお話しになっております。
 まあピンチとしてはあったにはあったのですが、気障野郎以外の所では、イズナが出て来た時点で操っている奴らを倒せばすむんじゃねぇのかと即思ったものだが、劇中の奴らは思案の果てに気付いた体をしており全く白々しいし、おもだかとの対峙も彼がそれほど特別強いというふうにも見えなかったので、どの辺が「最終局面を迎える緊迫の第12話」であったのか教えていただきたいくらいだ。
 
 個人的に興味があった所と言えばつくはねのことで、おもだかは死しても生前と変わらない姿と言っておりましたが、本当はそうでないのではなかろうか。
 まぁ、百縁(びゃくろく)が気障野郎に「あの姿のつくはね様を見たのか?」などと言っていたので、生前の姿として見えるのは一部の者に限る、もしくは一部の者が生前の姿で見えているという事なんじゃないんですかね。
 その辺からおもだかを「母の愛」云々と懐柔するフラグになるんじゃないかと予想していますがはてさて。
 それ以外では、反乱を起こした(?)乱杭(らんぐい)と彼女に心酔し追従する橙橙(だいだい)である。
 嫉妬から主人の屋敷に火を放ち、自分に心酔する橙橙をいいように使い、それに全く気付かない橙橙は乱杭の言いなりで、この二人がとても狂気的であり、むしろこっちがメインと据えてみせてくれた方がおもしろかったのではないかと思う。でもそれは次回でという事なのかもしれないが。
 ともあれ、主役連中が惚れたはれたくらいの展開しかないのに対し、この乱杭と橙橙はいろいろな関係性がこじれているので見ていておもしろい。
 特に薄幸の姉妹百縁と橙橙は、あんまり幸せな結末を迎えそうに思えないので見ていてハラハラしてしまう。主役連中にもこれくらいのハラハラするような何かが欲しいところだ。

 ともあれ次回最終回であるが、まぁこれまで同様に特に抑揚無く進むことだろう。どうも今ひとつぱっとするとことがなかったなぁ。


第十三話:おわり、燦々と

うん、まぁそうなるね。

 そんな今回のお話は…
 百録に導かれ、総角、芳野葛、花桐の3人の少尉たち、薄蛍、雪洞、鬼灯の半妖の3人が辿りついた場所には思いもよらない風景が広がっていた。
 気を失ったままの西王母桃はそのまま沢鷹(おもだか)の手に落ちてしまうのか…。
 その全てに決着の時が近づいていた…。
 大団円、感動、感涙の最終回、いま燦々と降り注ぐ!
 以上公式のあらすじ。

 あらすじには「大団円、感動、感涙の最終回、いま燦々と降り注ぐ!」なんて書いてありますけど、まぁ大団円ではあるんですが、感動とか感涙はないな(笑)。
 さて、お話としては、反乱を起こした乱杭(らんぐい)をぶっ殺して気障野郎とざくろがお互い好きだと言って終わる、もう分かり切った展開で感動もなにもない。
 主役級の連中の方は「こうなる」と分かっている事をそのままやっていて正直ホント書くことなくて、コイツらは最後まで惚れたはれたで進んでいたなぁ。
 一応ラスボスと言う形の乱杭も、みんなで協力して倒すのかと思いきや、力を解放したざくろがあっさり殺っちまうし。最後なんだからみんなと協力して倒せばいいと思ったよ。この物語はどうしてもざくろを特別な人物にしたかったらしい。
 一番気になっていた百碌(びゃくろく)と橙橙(だいだい)は、乱杭に利用されていた橙橙があっさり乱杭に殺され、ここもどうせなら利用されたと橙橙が乱杭に喰われるという所を見せればいいのにと思うが、ビャクロクがやってきた時には腕に死にかけており、随分端折ってくれたなと思わせる。
 このふたりはまぁ、幸せな結末を迎えないのであろうとは思っていたけれど、死に別れのシーンで泣かせにくるのなら、橙橙の様子をもっと見せていかなければいけないのではなかろうか。
 ざくろの母つくはねの件も、やっぱり生前と変わらぬ姿で見えていたのはおもだかとざくろのみという前回予想した通りで、話の真相としての驚きというものは全く無かったよ。
 そして最後は花楯中尉ことおもだかが作った妖人省の解体となるも、ED後、妖人省復活という事で元に戻り、せっかく彼らのお別れを湿っぽく見せていたんだから、「それぞれお互いを想いながら生きています」みたいなので良かったんじゃないかなぁと思います。変に丸く収めすぎのような気がしますな。

 では最後なので全体的な感想ですが、一番の印象としては「随分とストレートな物語」である。大概予想通りに進むので、驚愕の展開に驚く、という事は全く無かった。
 もうちょっと捻ったりミスリードを誘ってもいいし、なによりもっといろいろな要素が絡んできても良いように思った。
 捻り云々はまぁいいとしても、せっかく妖人省の奴らが7人もいるんなら、物語全体にその7人がしっかりと絡んで欲しかった所で、本筋の話にざくろ以外がほぼ関係無いのは寂し過ぎるのではなかろうか。
 それに人間に蔑まれる妖人、人間にも妖人にも蔑まれる半妖の娘という差別的な事があるのなら、もっとそこに突っ込んだ話があってもいいと思う。それなら人間と妖人の仲を取り持つ格好の「妖人省」も活きたし、気障野郎たちとの惚れたはれたも意味のあるものになったのではなかろうか。
 それに本筋である所の神がかりの里の人間のこともよく分からないまま終わってしまって、彼らが一体何者だったのか分からないまま終わってしまったのもどうかと思う。
 キャラクターとしても、上記の通り、ざくろ以外は見事な脇役で、すすきほたるやぼんぼり・ほおずきの影の薄さは正直どうかと思う。このアニメ的にはざくろ、気障野郎、おもだか、つくはねの4人さえいれば何とかこのアニメの物語が出来そうだ。せっかくキャラがたくさん居るんだから、もっと本筋に関わらせないとダメだろう。

 というわけで、なんか文句ばっかりになってしまったなぁ。まぁいい所はなかったので仕方ないと言えば仕方ない。
 個人的には「ざくろ出生の秘密云々」をいれるよりも、むしろ半妖の娘たちと人間の男の恋愛話に終始してくれた方がまだ良かったんじゃないかと思います。
 正直、13話分の時間割いてでも見るようなアニメではないなぁと思いました。


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