ボールは、数種のパーツを溶着してボール状に仕立てた物なので、使っているうちに溶着部に穴が開いてしまって空気が抜け、ゲームが中断されることがある。ひどい時には数試合しか持たないこともある等、至って消耗の激しいボールなので、経済的な負担を強いられている。
当クラブでは傷んだボールを修理して使い続けることで経済的負担を軽減している。
以下に、当クラブで採っている修理方法を紹介する。
穴あき部分にパッチ(当て物)を圧着して穴を塞ぐ方法。下図参照。
パッチの片面とパッチを貼る相手面に適量の接着剤を均等に塗布した後、接着剤に粘り気の残っている3〜8分後にパッチを貼る。その後、接着面の気泡や余分な接着剤を指で絞り出しながら全体を密着させる。最後に接着部をローラーで圧着したりハンマーリングしたりして接着強度を上げる。
透明ビニールシート 厚み=0.18mm。
当初は、廃棄ボールを使って修理していたが、厚すぎを理由に止めた。
有機溶剤が含まれているので溶解性が高くて接着力も強いのではとの思いで使用している。
・品名:超強力テントのり ・メーカー:共栄物産KK ・価格:2700円(参考・送料込・180cc)
・成分=合成ゴム系接着剤 有機溶剤MEK(30~40%) ・取扱い上の注意=要換気、火気厳禁、他
幅(7mm)×長さ(150mm)×厚み(0.18mmm)。長さは接着後に現合で切除する。
最後に溶着された最も外側に出っ張っている溶着面の漏れ修理に使用。最も漏れやすい個所。
直径が8mm程の円形パッチ。8mmの打ち抜きパンチで打ち抜くと良い。
ピンホール状の穴ならどこでも使用可能。裂けたところでは使用できない。
内径=14mm、外形=26mmのドーナツ状パッチを2分割して角の面を取ったもの。
空気入れ口の口元の蛇腹から漏れている時の修理に使用する。
幅=5mm、長さ=18mm 厚さ=0.18mm の長方形パッチ。表裏2面分。
栓と空気入れ口を繋ぐ帯が切れた時に使用する。内側と外側の両面に貼付する。
修理できても、次の場合には破棄している。
図1 主な漏れ箇所とパッチ当ての図説
パッチを張らずに穴あき部分に接着剤を塗布して漏れ箇所を直接塞ぐ方法。下図参照。
ピンホール状の穴やひび割れたところの修理に適する。
裂けた穴や切り離された物への適用は困難と思われたのでやった経験はない。
ゴムの材質が塩化ビニール系らしいので、『硬質塩化ビニル管用接着剤』を使用する。
ブラシ付きで、『低粘度速乾性=A』を使用している
・取扱い上の注意=臭気が強いので要換気、火気厳禁、他、使用上の注意を守ってください。
・小さなヘラ等、接着剤の容器から少量取り出す物が必要。接着剤についているブラシでも良いが取り出す量が多すぎて過分になりやすい。
・養生テープ。必要以上の範囲に接着剤が流れ出ても良いようにマスキングテープで養生する。
・ボールの空気を抜いておく。少なくとも漏れ箇所から空気が漏れ出ない程度まで空気を抜く。
・穴がピンホールの場合、漏れ箇所の周辺まで広めに接着剤を盛り付ける。溶着部からの漏れる時は、漏れ箇所を中心に、幅5mm×長さ20の範囲に塗ると良い。その際、接着部が真下になるようにボールをお椀状に凹ますと接着剤が流れ出し難くなり、よく接着できるようになる。
・ひび割れしている所から漏れている時は、溝が開くように折り曲げて表れた破面に接着剤を擦りつけてから、折り曲げたところを逆に折り曲げてひび割れ面を圧着する。その後、圧着したひび割れ面に沿って再度接着剤を盛り付ける。素早く実施して1分間は動かさない。接着剤が乾くまでそのまま放置する。
・乾燥時間は12~24時間。速乾性だからと間をおかずに空気を入れると空気漏れが再発するおそれあり。
・養生。必要以上の範囲に接着剤が流れ出ても良いようにマスキングテープで養生すると良い。