黒縄地獄（こくじょうじごく）
殺生 偸盗
この地獄の鬼たちは、罪人を捕まえて、焼けた鉄の地面に寝かせ、焼けた鉄の鞭で、体中を打つ。また、焼けた鉄の
斧で、体中についた鞭のあとにそって切り刻む。また、鋸や刀で、体中を切って、何百何千の肉の塊にして、あちこち
に散らす。また、焼けた鉄の鎖を無数に上からぶら下げ、その中に罪人を追い込むと、すごい風が吹いてきて、罪人の
体に焼けた鎖が絡みつき、肉も骨も焼き尽くす。その苦しみはたとえようがない。
また、両側に大きな鉄の山があり、それぞれの山頂には鉄の棒が立っており、その二つの鉄の棒の間に鉄の鎖が張っ
てあり、その下には、煮えたぎった大釜が置いてある。罪人の背中に鉄のおもりを背負わせ、その鉄の鎖の上を行かせ
ると、途中ではるか下の鉄の大釜の中に落ち、こなごなになった上で煮られる。
この地獄の鬼は、罪人を次のように叱りつける。「心が何にも増して最も恐ろしいのであり、悪の根源なのだ。この
心の悪いことが、閻魔の支配する地獄におまえを落としたのだ。おまえはたった一人で苦しみ、自分の犯した悪い行為
のために焼かれるのだ。妻子や兄弟をはじめとする肉親のだれもが救うことはできないのだ。」と。
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小地獄 |
どんな罪人が |
どんなところ |
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第一 |
とうかんじゅくしょ 等喚受苦処 |
説教をする場合に、間違った思想によって、真実でないことを説いたり、すべてのことをほうっておいて岸から投身自殺をしたりした者 |
罪人を、険しいがけの、はるか高いところにおき、焼け爛れた鉄の鎖で縛り、それから鋭い鉄の刀がいっぱい立っている焼けた地面に向かって突き落とす。鉄の牙から炎を出している犬に食われて、体中の肉がバラバラになる。どんなに助けを呼んでもだれも救ってはくれない。 |
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第二 |
せんだしょ 旃荼処 |
体のどこも悪くないのに、病人のようにふるまい、病気の治療に用いられる薬や栄養のあるものを手に入れ、むさぼるように食べ、また同様にして手にいれた治療用道具をつかった者 |
鬼は、苦痛にのた打ち回っている罪人を捕らえ、大きな鉄の杵を振り下ろして打ち据え、大きな斧で切断し、熱い炎で焼いて責める。罪人は怪鳥に襲われて、目は見えない。舌も抜かれてしまっているので声も出ない。 つぶされ焼かれたあと怪鳥に食べられてしまうが、これで終わりではなく、怪鳥から糞としてひりだされたものを鬼が集めて、ふうっと息をかけると元の体に戻る。また、一から責められる。 |
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第三 |
いじゅうしょ 畏熟処 |
むさぼりの心から人を殺したり、人を縛ったり、人の食物を取ったりした者 |
鬼どもが、手に杖をもって罪人を追いかけて打ち、また、炎を出している刀や弓で、後ろから切ったり、射たりする。 |
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十六の小地獄の内、あと十三の小地獄についての記述なし。 |
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