地獄の世界へ |
冥土では死者は「意生身」といって大きさも形もありません。ただ意識だけの存在になっています。
食べ物は香(こう)だけで「食香」といいます。
死者ははじめ,真っ暗な道を八百里,六日間一人で歩きつづけます。そして七日目に秦広王のところに着きます。 | ||
初七日忌 | 秦広王 (不動明王) |
ここでは殺生の罪が尋問されます。情状酌量は生前の布施または遺族による布施などの追善供養です。 |
賽の河原 | 三途の川のこちら側にあります。早死にして仏道修行をする間もなかった子供たちが仏塔を建てようとして石を積みます。それを鬼が着て突き崩します。しかし,この子供たちは地蔵菩薩によって救われます。 | |
三途の川 | 善人は橋を渡っていけます。その他の死者は自分で川を歩いて渡らなければなりません。赤鬼と青鬼がちゃんと監視しているので,ごまかすことはできません。川を渡る死者は懸衣翁と懸衣嫗(奪衣婆)が生前の罪によって選別します。死者から衣類を奪って,爺さんが受け取り衣領樹にかけます。このときに,生前の罪の軽重に応じて枝の垂れ下がり方が違ってきます。大きく垂れ下がると相当な悪人,そうでなければ小悪党です。大悪人は深くて流れの急なところ,小悪党は浅いところを歩かさせられます。ただし,室町時代以降は六文の渡し賃を払って舟に乗せてもらうようになったようです。 | |
二七日忌 | 初江王 (釈迦如来) |
ここでは生前の悪事の数々を調べます。情状酌量配属による追善供養です。 |
三七日忌 | 宋帝王 (文殊菩薩) |
ここでは生前の邪淫の罪を調べます。男性性器にかぶりつくネコと女性性器の中にもぐりこむヘビがいます。 |
四七日忌 | 五官王 (普賢菩薩) |
ここでは死者は罪の重さをはかる秤にかけられます。 |
五七日忌 | 閻魔王 (地蔵菩薩) |
ここには生前の行いのずべてがレポートされている「閻魔帳」と積み重ねてきた悪行の数々が映し出される「浄玻璃の鏡」があり,厳しく審問されます。 |
六七日忌 | 変生王 (弥勒菩薩) |
ここには五官王と閻魔王からの報告書があり,それによって再尋問されます。 |
七七日忌 | 泰山王 (薬師如来) |
ここでは最終判決が下ります。ここまでしんぱんが下りずにきたということは相当の悪人ということでしょう。普通なら地獄息が妥当でしょう。しかし,最後の救いとして泰山王は粋な計らいをします。「天」「人間」「修羅」「畜生」「餓鬼」「地獄」につながる六つの鳥居をそれぞれ示し,死者に自分で選択させるのです。 |
天 | 快楽の大きい世界。長寿であるが寿命があります。六欲天は食欲や性欲をもった生き物が住む欲界にある天です。 | ||
空居天 空中にある天の世界 |
他化自在天 | 寿命は92億1600万年 | |
楽変化天 | 寿命は23億400万年 | ||
兜率天 | 寿命は5億7600万年 | ||
夜摩天 | 寿命は1億4400万年 | ||
地居天 地つづきの天の世界 |
とう利天 | 寿命は3600万年 | |
下天 | 寿命は900万年 | ||
天人五衰とは天人の苦しみです。臨終における天人の苦しみは次の五つです。 @ 頭上の花しぼむ A 腋下に汗出る B 衣裳垢穢す C 身体臭穢す D 本座を楽しまず | |||
人間 | 娑婆世界。苦しみの多い世界です。 | ||
修羅 | 戦いつづける世界です。 | ||
畜生 | 畜生とはあらゆる生き物のこと。三十四億種類の畜生があります。 | ||
餓鬼 | 地獄よりは少しましなところ。約一万五千年間苦しみます。 | ||
地獄 | 寒地獄 | アルブダ地獄 | 寒さのためにできた腫れ物が,かゆくてイライラする。 |
ニラルブダ地獄 | 腫れ物が裂け,その痛みにとびあがる。 | ||
アタタ地獄 | 息苦しいほどの寒さに苦しんでアタタとさけぶ。 | ||
ハハバ地獄 | さらに苦しんでハハバ泣き喚く。 | ||
フフバ地獄 | もっと苦しんでのたうちまわる。 | ||
ウトラバ地獄 | あまりの寒さに皮膚が裂け,寒風が吹き込んで痛む。 | ||
バドマ地獄 | 寒さのため血管も裂け,神経が切られるように痛む。 | ||
マハードラ地獄 | 極寒のため肉体が裂け,飛び散る痛みと恐怖を味わう。 | ||
熱地獄 | 等活地獄 | 苦しみを繰り返させられるために,何度も再生させられる。 | |
黒縄地獄 | 身体につけた印ごとに,切り刻まれる。 | ||
衆合地獄 | 一度終わったり,忘れていたりする苦しみを,再度思い出させられて苦しむ。 | ||
叫喚地獄 | 泣き叫ぶほどの苦しみや,痛みが押し寄せてくる。 | ||
大叫喚地獄 | 苦しみや痛みに泣き叫び,声がかれる。 | ||
焦熱地獄 | 火で身体を焼かれる痛みを味わわされる。 | ||
大焦熱地獄 | 骨も溶けるほどに焼き尽くされる苦しみを味わわされる。 | ||
阿鼻地獄 | 苦しみが,終わることなく繰り返され,尽きることがない。 |