デュラララ!13〜24話

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#13 急転直下

今回からOP、ED共に替わり新章へ。

 そんな今回のお話は…
ダラーズの集会から半年。一見平穏を取り戻したかに見える池袋の街。
しかしその裏側では、斬り裂き魔、黄巾賊が活動を活発にしてきていた。
穏やかな日々を掻き消すように忍び寄る影。
それぞれに向き合うことになる、それぞれの現実と過去。
一方、セルティが対峙した恐怖の集団と、それに追い打ちをかけるように現れた人物とは――。
以上公式のあらすじ。

物語としては、これまでの事を踏まえた上で、新しい事件の為の外堀を紹介しており、おそらくは、これまで同様に数回にわたって堀を埋めて、一気に核心を突くのであろう。
それで、今回からはこれまであまり絡まなかった園原杏里や紀田正臣、一回だけ出てきた切り裂き魔のお話みたい。
そんな今回としましては、前回までを踏まえた上で起こる新たな事件の触りと、新キャラ2人、これまで殆ど語られなかった園原杏里の胸中などを紹介している。

お話的には1クールまでがそうだったように、何かが動き出すある一点までに、動き出す要因を別々に見せていく形になるんだろうし、新章の最初という事で、これまでのおさらいではないけれど、ダラーズの集会後、特に何も変わらない池袋を見せつつも、実は変わっている池袋という所を見せていて、その象徴として新羅の父とセルティを恐れない白バイ警官を出している。
第1話からとこの第2クールが違うのが、何も分からなかった所からのスタートではなく、12話分の分かっている事を踏まえつつ考えなくてはならない事で、その分かっている事と、これから起こっていく事、それに新キャラの二人がセルティと新羅とセルティの首にどう関わっていくか。
 さらには園原杏里と紀田正臣、そして切り裂き魔の関係がどう絡んできてくれるのかが楽しみだ。

 個人的な所としては、これまであんまり話に絡んでこなかった園原杏里と紀田正臣がどう関わってくるかが気になる所で、園原杏里の方は、今回色々とモノローグがあった割にはよく分からなくて、どうも自分なんかに何かが起こるはずがないと思っていたところ、今回のラストのように切り裂き魔に関わる事になるようだが、この人全然「裏」と言うか、どういう人なのかが見えてこなくて、そのくせとても何かありそげな雰囲気なので、むしろ気にならない方がおかしい。が、それは追々分かっていく事であろう。
 分かってと言えば、紀田正臣の方は、どうも元カラーギャング黄巾族のそれなりの立場の人だったような分かるシーンがあったが、この物語はそうと思わせておいて実は違ったってことを第1クールで見事にやられたので、それもどうだか分からないが、とりあえず、黄巾族になんら関わりがあったという事は本当であろう。
 以前、病院にいる女の子を気にしているシーンがあったが、彼女は折原臨也とも繋がっていた事だし、折原臨也はセルティの首で「戦を起こす」なんて言っているので、また彼が色々と引っ掻き回すのだろうなぁ。

 なにはともあれ、またなにが繋がってどう展開していくかが楽しみだ。

#14 物情騒然

今度は妖刀ときたか。

 そんな今回のお話は…
 斬り裂き魔に襲われた杏里達。その夜もチャットルームには罪歌と名乗る者が現れ、謎の言葉を書き込んでいく。
 「今日。斬た。斬るた。もっと、強い、愛、望む、望む、は、欲しい」
 斬り裂き魔はダラーズの一味だという噂に思い悩む帝人に、セルティは協力を買って出る。
 斬り裂き魔の正体は、目的は一体なんなのか。セルティは一歩ずつ真相に近付いていくのだが……。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、切り裂き魔やセルティの首、セルティ身体を取り巻く状況などを説明していて、一旦落ち着いたと思われていたセルティの首はやはり事象の中心である事を示している。
 まぁ、簡単に言うとこれまで通りに外堀を埋めていっていて、分かった事はあるけれど、何かが起こったりしているわけではないが、着々と動き出す準備をしている。
 今回の一番大きなところとしては、切り裂き魔は妖刀「罪歌(さいか)」に操られているらしい事、罪歌は魂の結びつきを着るものである事、その昔、新羅の父森厳が罪歌を使ってセルティから首を盗んだ事だろう。
 これでなんで人外のセルティから首を奪取できたかの理由が付いた。
 元凶である森厳は喰えない人物だが、今回うっかり自分が首を盗んだ事を口走ってしまうが、その後の折原臨也との会話を見るに、どうもそれはワザとっぽくて、折原臨也がやろうとしているセリティの首を独自に目覚めさせる、を、どうなるか便乗して見てやろうと思っているようだ。
 という事を踏まえて、首は目覚めるのか、目覚めたらどうなるか、が最終目的のようで、裏で折原臨也がリードして、黄巾族とダラーズの抗争や切り裂き魔をセルティにぶつけていく流れになりそうだ。

 とまぁそんなわけで、前述した通りに分かった事があって話は進んでいるんだけど殆ど進んでいないという状況。
 またどこかで突然ゴロッと動き出すのであろうから、そこまで状況をしっかりと把握しておかなければならない。
 というか、こんなつたないアニメの感想を書いている身としましては、「今回はこんな事が分かったよ」くらいしか書く事なくてまいっちんぐ。
 まだ14話だもんなー。話が動き出すとしたら、もっと先だろうなー。


#15 愚者一得

久々登場の記者贄川。

 そんな今回のお話は…
 雑誌記者・贄川の情熱はおさまっていなかった。むしろその熱は高まっていた。
 寿司屋を営む外国人、粟楠会幹部、情報屋、首なしライダー……。
 池袋最強と謳われる男・平和島静雄の強さの秘密に迫ろうと、贄川はさまざまな人の元を訪ね歩く。
 だが、そんな贄川を突如襲ったひとつの人影。そしてこの夜の惨劇は、これだけでは終わらなかった――。
 以上公式のあらすじ。

 今回は基本的に記者である贄川を中心に、彼が記事に使用としている平和島静雄の周りと、ダラーズと黄巾族の抗争の説明をAパートで、Bパートでは園原杏里と切り裂き魔、それとドタチンこと門田ら4人と、平和島静雄とセルティに関連性が付いた所までを紹介している。
 お話は少しずつではあるが着実に進んでいて、今はとりあえず切り裂き魔を中心に各キャラクターが動いていて、今回は上記したように、園原杏里、贄川、門田ら4人、平和島静雄、セルティが一同に会し,切り裂き魔を目撃する。
 目撃と言ってもどうも記者贄川は自宅前で何者かに刺された事によって、妖刀「罪歌」に乗っ取られたっぽく、何故か園原杏里を付けねらい、彼らと対峙する所で引っぱった。
 という事を踏まえて切り裂き魔を考えると、魑魅魍魎の類いの「罪歌」は切ったり刺したりする事で、人から人へと移動できるってゆーことなんですかね?
 私は「妖刀」自体が「罪歌」かと思っていたのですが、どうやら「罪歌」という魑魅魍魎自体が「妖刀」という事のようだ。
 というのも、以前でてきた切り裂き魔は日本刀であったのに対し、今回の贄川が包丁(?)であったからなんだけど、そのなんだかよく分からない中の意思体なモノが取り憑く格好のようですな。

 個人的には切り裂き魔云々は割とどーでも良くて、妖刀は一つのフラグ、きっかけの一つなんじゃないかなーと思っていて、むしろ園原杏里の事の方が気にかかる。
 といっても、今回で彼女について分かった事と言えば,切り裂き魔の最初の事件の被害者が彼女の両親で、両親を亡くした彼女は今一人で暮らしている、という事くらいしか分からない。
 その分からない彼女がこの物語に置いてどういう役割を持っているか,という事が気にかかっているわけです。  何せ彼女はセクハラ教師になんでか狙われているし、なんでか罪歌に見張られているし、メインキャラの一人である竜ヶ峰帝人に惚れられているし、そのくせ特別何かあるわけでもないしで、役所が分からなくて、とっても気になってしまうのだ。
 気になると言えば、贄川の取材のところで話にでてきた黄巾族の「将軍」ですが、どうもその将軍が紀田正臣っぽい?
 折原臨也と接触するなと言っていたという事であるが、それは紀田正臣が竜ヶ峰帝人に教えた事でもあるしな。  ま、その辺はミスリードを誘っているのかもしれませんが、はてさて。
 もひとつ細かい所で気になった所としては、贄川が平和島静雄にぶっ飛ばされた後、田中トムと平和島静雄の会話で、次の借金回収はセクハラ教師という台詞があり、ただでさえ胡散臭いセクハラ教師がさらにプンプン臭ってきた。
 が、この人も園原杏里と同じで、贄川の娘「春奈」と何かあったという事くらいしか分からなくて、どんな役割を持っているか分からない。
 次回はその贄川春奈が登場するようなので、その辺でお話が動きそう。だが、物語が動くまではもうちょっと時間がかかりそうだなー。


#16 相思相愛

意外な所で動いちゃったな。ってゆーか説明するのがめんどい。

 そんな今回のお話は…
 斬り裂き魔に狙われたのは杏里だった。その様子を車中から偶然目撃した門田達は、杏里を救出するため行動を起こす。
 さらにはそこに静雄とセルティも加わり、斬り裂き魔はついに倒され、その正体を明るみにされた。
 だが胸を撫で下ろしたのも束の間、セルティはチャットの書き込みに驚愕する。
 一方、自宅に戻った杏里の元を訪ねてきた、ある人物とは――。
 以上公式のあらすじ。

 今回はとてもややこしいのでざっくり説明すると、罪歌は人という種を愛している。
 愛しているのでそれを行動に移すのだが、妖刀なので人を切る事でその愛を示している。
 切られた人間はその中に罪歌の子を宿す、まぁ、罪歌は人を切る事によって増殖するという事だ。
 その罪歌の大元である母体は贄川春奈で、彼女が園原杏里の家へ来る所をメインに、セルティと平和島静雄、罪歌の子らの事をザッピングしながら罪歌についてを明かしている。
 結論から言ってしまうと、今回のラストまで贄川春奈が罪歌の大元だというふうに話を進めておきながら、実のところは、贄川春奈でさえ子であって、大元の大元は園原杏里であった、というサプライズで引っぱった。
罪歌とは何か?贄川春奈の意思と罪歌とセクハラ教師の関係という所を説明しながら、これまでよく分からなかった園原杏里が何故人に依存し人を愛さないのかという理由を元凶を、見事に組み上げて大きなサプライズを作っていて、「ああ、そういう事だったのか」と思わせる見事な展開だ。

 何故、園原杏里が罪歌を持つに至ったかは次回に詳しいようなので、とりあえず放っておくとして、街中に増殖した罪歌の子をどうやって収拾つけるつもりなんですかねー。
 次回、次々回あたりで一旦罪歌の件を落ち着かせて、その後また折原臨也の持つセルティの首へ話を戻しそうな雰囲気ではある。
 それらを踏まえ、罪歌の件と園原杏里と竜ヶ峰帝人をどう持っていくか気になる所だ。

 個人的に今回気になった所としましては、罪歌が人という種を愛すという所なんですが、これって折原臨也の「人、LOVE!」と同じだよねー。
 とすると、折原臨也は罪歌に侵されているのであろうか? いやでも折原臨也ともあろう者がそんなヘマするとも思えないし、とはいえ、園原杏里が大元の大元と思わせておいて、大元の大元の大元が折原臨也だったりするのかもしれない。
 このように物語はだいぶ混沌としていて、さらには黄巾族とダラーズ云々やセルティの首という所は動いておらず、また紀田正臣と病院の少女、そして折原臨也との関係も分かってないしで、この物語を最終的にどう収拾つけるのか気になってしょうがない。
 とりあえず、次回に話をどう持っていくか期待していきたい。


#17 有為転換/b>

おお、そういうあらすじであったのか。
 そんな今回のお話は…  偶然現れた那須島を追いかけ姿を消す贄川春奈。そしてその後を追う杏里。  罪歌を操り、斬り裂き魔の集団を統率する春奈との対峙によって、杏里の過去が徐々に明かされていく。  時を同じくして、南池袋公園で斬り裂き魔と闘争を繰り広げ続ける静雄。  倒しても倒しても向かってくる斬り裂き魔達。それを迎え撃つ静雄の顔には、嬉々とした表情すら浮かんでいた。
 以上公式のあらすじ。

 今回の話としては、切り裂き真事件の収拾であるが、物語全体として見ると、ようやく外堀が完全に埋まりつつあるといった所。
 罪歌の大元であった園原杏里は、その力で事件を収拾させ、結果100人以上の罪歌の子供達を自由に操れる力を得た。
 街では切り裂き魔はカラーギャングだとし、カラーギャング黄巾族はダラーズの仕業だとし、事実上引退していた「将軍」紀田正臣を引っぱり出し、また平穏な高校背死活を送っていた紀田正臣は、自分を引っぱり出され、園原杏里を傷つけた切り裂き魔に怒りを覚えていた。
 ダラーズの創始者竜ヶ峰帝人は、切り裂き魔がダラーズの仕業だとする噂と園原杏里を傷つけた切り裂き魔を追おうとしている。
 結果、竜ヶ峰帝人、園原杏里、紀田正臣の仲良し高校生は、渦中の大グループのトップで、お互いの素性を知らずに、お互いの為に抗争を引き起こしそうな雰囲気になってしまった。
 これら一連の事件の黒幕は、今回語られ、また園原杏里が罪歌の力を使って得たように折原臨也で、結局は最初の「セルティの首」という所へ集約しているのが面白い。

 物語全体として見ると、今回なったこの構図を作りたいが為の、見事に壮大な前フリであり、後は紀田正臣の事情を説明すれば、ようやく数々あった外堀が埋まり、物語の核へと進もうとしている。
 今の所、全ては折原臨也の手の平で転がされている各キャラクターなのだが、これは最終的にどうなるんだろうね?
 セルティの首を巡る動きは折原臨也の思惑外へ行くのか?それで彼はぎゃふんと言うのか?
 まぁ、彼のことだから、例え思惑から外れたとしても、いつも通りなんだろうと思いますけど。
 個人的には、唯一彼が愛しておらず、むしろ嫌っている平和島静雄がキーポイントになるような気がしますがはてさて。
 ってゆーか、折原臨也はなんで平和島静雄をあんなに嫌っているんですかねぇ。
 そこは全く語られていないんで、もしかしてそこがキーポイントなのかなぁと思っているんですが。

 なんにせよ、ようやく舞台が整ったという感じで、これからの展開が楽しみですな。
 上手いことオチがストンとつくのかしらねー?


#18 死生有命

紀田正臣のお話。

 そんな今回のお話は…
 混乱をきたし始めた池袋の街。その様子に、自分の思惑通りに事は進んでいるのだと、臨也は楽しそうに口元を歪めた。
 そんな臨也の企みを知らぬまま、正臣はとある廃工場で物思いに沈む。
 また同じ場所に戻ってきてしまった自分、病院で自分を待ち続ける三ヶ島沙樹という少女の存在。
 過去からは逃れられないのだと、かつて臨也から告げられた言葉が正臣の頭の中を駆け巡っていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、これまで語られなかった紀田の過去、黄巾族の結成や、入院中の謎の少女「三ヶ島沙樹」との関係、ブルースクエアとの抗争などを経ての、今現在のまでの紀田正臣と彼の胸中を紹介している。
 カラーギャング「黄巾族」の「将軍」という立場の彼は、ものすごいワルなのかと思いきや、一人でいる寂しさから、気の会う奴らとつるんでいた結果にできた黄巾族であったり、折原臨也を神の如く信奉する三ヶ島沙樹を、その呪縛から助けようと付き合ったり、胡散臭いと思いながらも、ブルースクエアとの抗争で煮詰まっり折原臨也の力を借り、優勢になると彼を頼ってしまったり、攫われた三ヶ島沙樹を助けようと駆け出しながらも、土壇場で足がすくんで動けなくなってしまったりと、将軍と言う強い立場の彼は本当の所は普通の中学生であり、三ヶ島沙樹が攫われた事件から平穏を望むようになり、三ヶ島沙樹に呪縛されつつも、ささやかな平穏を過ごしていた彼は、それを壊した切り裂き魔に強い怒りを覚えている、というこれまで分からなかった紀田正臣の過去はなかなか興味深かった。
 謎の少女であった三ヶ島沙樹の事と、ドテチンこと門田らグループがブルースクエアの構成員で、三ヶ島沙樹の拉致をきっかけに裏切って彼女を助けた事は、自分としては意外な真実であった。
 お話としては、そんな紀田正臣の過去と紹介しただけであるので、話の進展としては全く無いのだけど、これでサイモン以外の人物は、ほぼ何かしらの関係性で繋がり、黄巾族、ダラーズ、切り裂き魔の三つ巴の抗争と、核であるセルティの首をめぐる事件がおおきく動きそうだ。
 今回らのラストで、おそらくは罪歌の力から得た情報で園原杏里が黄巾族の集会を覗き、紀田正臣がリーダーだと知って引っぱったが、竜ヶ峰帝人、紀田正臣、園原杏里の仲良し三人組が、お互いの素性を知らないで衝突すると思っていたのだが、園原杏里が紀田が黄巾族の将軍と知り、彼をどう見てどう動くか、そして物語がどう動いていくか楽しみだ。

 個人的に所では、謎の少女だった三ヶ島沙樹だろうか。
 彼女は正直すごく気持ち悪くて、折原臨也を完全に信奉していて、まるで絶対神のように思っているのが怖い。
 抗争に巻き込まれて拉致され、両足を折られるという目に遭いながらも、「折原臨也が言ったから」と、紀田正臣を恨むどころか、それまでと変わらないでいるのだから異様で気持ち悪いし、それ故、彼女という重荷を背負ってしまった紀田が不憫だ。
 それに関連してだが、黄巾族とブルースクエアの抗争や、三ヶ島沙樹と紀田の事は、詳しい描写はなかったが、おそらくは折原臨也が全て関わっていたと見て間違いないだろう。
 とすると、三ヶ島沙樹が拉致された事も彼にとっては織込み済みの事で、三ヶ島沙樹は折原臨也を神の如く信奉しているのに、折原臨也は彼女の事を何とも思っていない。
 折原臨也は一体何がしたいんだろうか。私には彼が本当に神のような存在になりたいと思っているように感じるのだが、はてさて。

 なんにせよ、最初店だったキャラクター達であったが、今現在は色々な方向へ線が伸びて繋がっており、これからそれらがどう動いて物語を動かして、どのような決着を見せるのかが楽しみだ。


#19 蒼天已死

折原臨也、煽ってるなー。

 そんな今回のお話は…
 帝人、正臣、杏里が過ごす、いつもと変わらない穏やかな日常。
 しかし、正臣の様子がどこかおかしいのではないかと感じた杏里は、その原因を知るために行動を起こす。
 一方、池袋の街では斬り裂き魔の正体をめぐって、ダラーズと黄巾賊の間で諍いが起こり始めていた。
 なんとか諍いを止めようと考える帝人の思いを無視して、二つの組織の対立は深まっていく。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、黄巾族の集会の覗き見て、気だが関わっている事を知った園原杏里が見つかり、逃げている所をセルティに助けられ、投げつけられた鉄パイプを咄嗟に罪歌で切ってしまった為、切り裂き魔と首無しライダーがつるんでいて、首無しライダーはダラーズの一味という噂もあり、黄巾族の連中は元凶はダラーズという間違った情報が繋がってしまった格好。
 その中で、無くなったブルースクエアは完全に無くなったわけでなく、気だがいない間にその連中が黄巾族の中にもいること、そして抗争を好都合にカツアゲなどをやる者が現れ、気だがおおきくなり過ぎた黄巾族の統制を取れていない。
 またそれは、ネット上での繋がりでもあり、竜ヶ峰帝人もダラーズの人々を統制できない事も一緒であった。
 さらに折原臨也がそれら状況を煽って悪い方へとコントロールしている事を見せた。

 あらすじにある通り、紀田の様子がおかしいと気付いた園原杏里が、良かれと思って気になって調べた事が裏目に出て、彼女の行動を分かっていたかの如く、園原杏里だけでなく、竜ヶ峰帝人やセルティをチャットで煽ったりと、状況的には悪くなる一方で、竜ヶ峰帝人、紀田正臣、園原杏里を頂点とするグループ同士の抗争という所から、状況を利用して私欲に走る者が出てきたり、無くなっていたと思われていたブルースクエアの残党が、黄巾族の中で生き残っていたり、それらを盤上の駒を動かすようにコントロールしようとしている折原臨也の動きもあって、どうにも混沌としてきた感があり、物語としてはとても面白くなってきた。
 しかし、折原臨也が思い通りにコントロールしているうちは状況が良くなる事はないとは思っていたが、一体これらをどう収拾しようというのか。
 個人的には、これまであまり表立って出てこないサイモンや、人間ラブと言っている折原臨也が唯一死んで欲しいと思っている平和島静雄が、混沌とした状況を打破するポイントになるのではないかと思っているのだが、はてさて。

 話としては、悪くなる一方の状況というものを上手く演出していて、今回の大きなポイントは、セルティに助けられた園原杏里が切り裂き魔としての片鱗を見せてしまった事で、表面上で関わりのなかった首無しライダーと切り裂き魔が繋がってしまった事は、短いシーンながらも、状況をさらに悪化させるであろうと印象付けたシーンであった。
 さらには紀田が黄巾族の将軍と知ってしまった杏里がどうするか。
 仲良し三人組が、お互いの真の姿を知らないが為の混乱でもあるが、今となっては逆に各々が自らのそれを知られる事がマズい状況になっていて、本来三人は、見せかけともいえる日常を大事にしたいのだが、それ故に状況が悪化してしまう構造になっており、何かひとつの事で、どう変化するか分からない状況は、これからの展開が読めなくてとてもおもしろい。

 心情的に、折原臨也の思惑通りになるのは気に入らないし、おもしろくないので、それをどこでどういうふうにひっくり返すのかが楽しみだ。


#20 黄天當立

嘘にひとつまみの本当を加えると、本当の事より本当のように聞こえる。って言ったのは誰だったっけか?

 そんな今回のお話は…
 ダラーズである首なしライダーが日本刀を持った人物を助けた。
 その事実に、ダラーズの中に斬り裂き魔がいるのではないかという疑惑を深めていく黄巾賊。
 さらには、かつて黄巾賊と対立したブルースクウェアの残党がダラーズに紛れているのではないかと疑った正臣は、真相を確かめるため門田達の元を訪ねる。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、紀田正臣が門田経由で折原臨也のところへ行き、ダラーズの「ボス」が竜ヶ峰帝人である事を知り、元ブルースクエアの法螺田が状況に乗じて暴走し始める。
 といった内容で、よく分からない状況に、現実のような虚構と虚構のような現実に陥ってしまっている様を描いている。
 主にはそういう状況を紹介するのがメインで、メインキャラの誰がどうこうという所は、上記した紀田が竜ヶ峰帝人の裏を知った、という事くらいであり、物語の進展としてはさほどない。
 が、紀田が竜ヶ峰帝人の事を知ったのは、おそらくは大きな事だろう。
 罪歌グループの園原杏里が紀田正臣の事を知り、紀田正臣は竜ヶ峰帝人がダラーズの「ボス」だと知る。
 そして竜ヶ峰帝人は首無しライダーセルティの友人であり、セルティと園原杏里は同じ化物通しで仲が良い。
 それらを折原臨也がかき回して、デュラハンの首を目覚めさせようとしている。
 と、関係性を書けばこんな感じであるが、上記した法螺田の事や折原臨也以外が全体像を把握していないので、劇中のものたちは暗中模索しているが、その間に次々と問題が起こってきて、状況は悪化の一途をたどっている。
 という事を見せる今回のお話であったように思う。紀田の胸中とかもありましたけど、基本的にはそんな感じだ。

 しかし気付けばもう20話で、一体この混沌とした状況をどう収拾させようというのか。
 正直な所、個人的にはもう竜ヶ峰帝人、園原杏里、紀田正臣、セルティが一堂に会して腹割って話すしか、無難に収める方法はなさそうだけど、そんな事してもおもしろくないし、このアニメ的にはなんか捻りに捻ってきそうなので、後4話でどうまとめてどう落とすか、それが腕の見せ所だろう。
 しかし、最初は人の説明ばっかし低タコのアニメが、今、こんな混沌として状況になるとは思ってもみなかったなぁ。
 そういう事を考えると、物語全体のシナリオは良く出来ていると言える。
 まぁそれも、最後にズッゴケてしまったとしたらと意味ないけど(笑)。


#21 五里霧中

園原杏里が動いちゃったか。

 そんな今回のお話は…
 正臣の制止も空しく、街ではダラーズ狩りをする黄巾賊が暴れ回っていた。
 黄巾賊に襲われ怪我を負った友人を前に落ち込む帝人は、ダラーズの存在意義について思い悩む。
 一方、なんとか黄巾賊とダラーズの抗争を止めようと奔走する杏里だったが、その行動は事態を混乱させるばかりだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、竜ヶ峰帝人の胸中を中心に、混沌とする状況を収拾しようと暗中模索する彼と園原杏里、紀田正臣、そして法螺田を中心に暴走している黄巾族の様子などの好転しない状況を描いている。
 というわけで、色々あっておもしろかったが、いちいちそれを拾っていくのも疲れるので気になった所としましては、まずは冒頭に書いた園原杏里が事態の収拾に動き出してしまった事だろうか。
 罪歌の大元である自分の所為だとし、黄巾族に潜伏する「罪歌の子」を使って、闇雲にダラーズ狩りを行う黄巾族を止めるのだが、それが元で来良学園のメガネをかけた巨乳の女子生徒がマークされてしまい、紀田正臣はそれが園原杏里なのではないかと気付く。
 これで紀田正臣はダラーズのリーダーと切り裂き魔を両方知った事となり、同時にそれが自分の親友たちである事に驚愕する。
 三人の中で一番広く状況を知ってはいるものの、彼はそれまでの事件に大きく関わっている部分がないので、深くは知っていない。
 それ故、今一番混乱しているのが彼であり、彼の行動如何によっては大きく事が動きそうな気がするが、このアニメの事なので一概にそうとも言い切れない、というか、何かそれとは違う展開になりそうな気もする。
 ここまでの一連の流れで、一番事情をよく知っているのは折原臨也だけで、それ以外の登場人物は何かしらに関わっていない為、その関わっていない部分の情報の欠落と、それを利用する折原臨也の導きのおかげで事態がより孔明しているのだが、視聴者的第三者目線で考えると、三人が一堂に会して全てをさらけ出して理解し協力しあえば、残る問題としては暴走する法螺田の一派と折原臨也だけになり、事態は一気に終局を迎えるとは思うのだが、竜ヶ峰帝人は自分はダラーズの発起人である事を隠しているし、紀田正臣も自信が黄巾族の将軍である事を親友に知られたくない。
 園原杏里は罪歌という化物が住み着いているし、それを説明しようとすると過去をさらけ出さなければならないので、竜ヶ峰帝人、紀田正臣だから言えるというほどの間柄でもなく、また彼女の性格的に言えない、という、そう簡単にゴロッと好転させないように仕掛けがしてあるのが見事だ。
 これではどう収拾させるのかを気にならない方がおかしかろう。
 あと全てを手の平の上で操っている折原臨也の鼻を明かしてやりたい所であるが、その辺もどうしてくれるのか楽しみ。
 折原臨也は三ヶ島沙樹の事やセルティの首にも絡んでいるので、やっぱり何かしらあるはずであろうと思う。  残り話数も少ないが、それ故に楽しみでもある。

 個人的にな事としましては、ラストで引っぱった法螺田に連れて行かれた園原杏里を、ダラーズのサイトで知った竜ヶ峰帝人だ。
 視聴者的には当然、彼女が罪歌である事を知っているので、彼女が連れて行かれた所で心配などする必要はないのだが、そんな事は竜ヶ峰帝人は知らないっていうのがポイントで、上記した情報の欠落を活かしているのが良いし、この状況は、以前の紀田正臣と三ヶ島沙樹と同じ状況なので、この出来事はこれからの大きなポイントになりそうである。
 次回のサブタイが「解散宣言」ということで、それが黄巾族かダラーズかは分からないが、大きく展開しそうで楽しみだ。


#22 解散宣言

むしろ平和島静雄が!

 そんな今回のお話は…
 黄巾賊の悪行に不満を募らせるダラーズメンバー達。
 掲示板に書かれるメンバーの言葉を受け止めながら、帝人は事態の収集を計ろうと必死に考えを巡らせていた。
 一方、集会の夜に取り逃がした少女の正体に気付いた黄巾賊は、ついに杏里を追いつめる。
 しかしそんな杏里の窮地を救ったのは、とても意外な人物だった――。
 以上公式のあらすじ。

 お話は簡単に言うと、園原杏里の窮地を救ったダラーズであったが、それでも竜ヶ峰帝人はダラーズのサイトをトップページのみを残し閉鎖してしまう。
 一方窮地を脱し、セルティの家に保護された園原杏里は彼女に事情を話し、それを聞いたセルティは竜ヶ峰帝人と話をするよう進める。
 その頃、暴走する黄巾族の法螺田は、平和島静雄を拳銃で闇討ちした。って感じ。
 ネットの繋がりを主にするダラーズのメンバーが、園原杏里を窮地から救うべく、近くにいるメンバーが出来る事をして園原杏里を法螺田から救う、という所を長い尺で見せている。
 掲示板で黄巾族との対立に不安や不満を漏らし、抜けようととするものがいる中、昔ダラーズがダメになりそうになった時に竜ヶ峰帝人が書き込んだ言葉を覚えていた者の一言で、また強い結束を取り戻し、各人の小さな力の積み重ねで園原杏里を救うという、その一見まとまりのない者たちが、ネットとダラーズを通してひとまとまりになっていく一体感と、園原杏里の救出の達成感が見ていて気持ちが良い。
 しかし、自分の愛する者を窮地へ追い込んだ事に変わりないと判断した(であろう)竜ヶ峰帝人はダラーズサイトを閉鎖し、彼の暗澹たる気持ちも描いている。
 事の元凶を成している切り裂き魔、黄巾族、折原臨也の事を知っている我々として見れば、ダラーズが無くなったからといって、何ら状況に変わりないとは思うんだが、そんな事は劇中の竜ヶ峰帝人が知るはずもない。
 だが、セルティに保護された園原杏里は、彼女から竜ヶ峰帝人と話をするように勧められ、一応好転する材料はあるものの、竜ヶ峰帝人は外部からの連絡を自ら絶っており、せっかくの好機を逸してしまうのではないかと現在思わせている。
 シナリオとして、悪くなる一方の状況に少しの好機を与えつつも、さして変わらない、むしろ悪化する状況を見せて次の展開を気にさせているのは素直に上手く、残り少ない話数でどう締めくくるのかを気にせずにはいられない。
 少し前からこの感想で言っているが、三人が全てを話せば本当の敵が見えてくるのだけど、今回セルティの台詞にもあったように、大切に思うからこそ話せない、という事がやきもきさせる。
 しかしセルティの進めもあって、園原杏里は竜ヶ峰帝人と話をしようとしてるが、はてさてどうなりますか。
 個人的には法螺田はともかく(笑)、折原臨也の鼻は明かしてやりたいのだが、その辺も気になる所である。

 さて、私としましては、冒頭にも書きましたが、ダラーズ解散よりもむしろ平和島静雄が気になる。
 折原臨也が言っていたように、いつもいい所で出てくる彼が、法螺田の暴走で撃たれて倒れてしまった。
 正直、平和島静雄なら拳銃の弾なんざ効かなさそう(笑)であるが、やはり彼も人の子だったようだ。って当たり前だが。
 ま、それはさておき、事の元凶である折原臨也が、死んでくれれば良いのにと思っていた平和島静雄がこのような状況になったのは、折原臨也の鼻を明かしてやりたいと思っている私としましては、あんまりよろしくない事態だ。
 折原臨也が唯一思い通りにならない人間として平和島静雄がいたので、彼が居ないのは正直イタい。
 まぁ、死亡が確定したわけでもないので、おそらくはまたいい所で出てくるんでしょうが、残り少ない話数で彼をどう使ってくるかも楽しみだ。

 しかし、この物語はちゃんと綺麗に収拾つくのかなぁ。


#23 千錯万綜

むしろ法螺田は事態の収拾の発端になってしまったような。
ってゆーか、さすが平和島静雄。もろともしねぇ(笑)。

 そんな今回のお話は…
 雨の降る夜の路地に響いた銃声、正臣の元に掛かってきた電話の主が告げた言葉。
 セルティとともにある場所へ向かう帝人と、知らされた事実に駆け出す杏里。
 信頼と疑惑と不安が綯い交ぜになったそれぞれの心。そしてそんな状況を楽しむように、微笑みすら浮かべる臨也。
 事態は急速に収束へと向かっていた――。
 以上公式のあらすじ。

 お話はというと、法螺田が黄巾族をブルースクエアの残党で完全に乗っ取り紀田を追い出す。
 セルティの家に残っていた園原杏里の元には、拳銃で撃たれた平和島静雄が新羅の治療を受けにやってきていた。
 事情を聞くと黄巾族に撃たれ、指示を出したのは紀田だと言う。それを聞いた園原杏里は飛び出して行ってしまった。
 その頃セルティは携帯に出ない竜ヶ峰帝人の家へ直接行って事情を説明していた。
 その時、新羅からかかってきた電話で園原杏里が家から飛び出して行ったことと紀田のことを知り、竜ヶ峰帝人と共に二人を捜す。
 黄巾族のアジトで法螺田から黄巾族がブルースクエアに乗っ取られたと知った紀田は、むしろそのことで過去を振り払った。
 単身、ほらだとブルースクエアに挑むも多勢に無勢であったが、園原杏里、そしてセルティと竜ヶ峰帝人が駆けつけるってところで引っぱった。

 ちょっと前からこの感想で言っていた、事態を収拾させるには三者が一堂に会すしかないという状況を、流れの中で見事に成した、という印象。
 その後どうなるかはまだ分からないが、次回最終回のようだし、次回予告を見る限り、上手いことまとめるような雰囲気である。
 これまでそうであったように、ここまでの一連の動きは全て折原臨也が仕切っていたが、今回はどこまでそうだったんだろう。
 見ていた感じではほらだが黄巾族を乗っ取った所までなんじゃなかろうか。
 おそらくは、人LOVEとほざく折原臨也が唯一嫌っていて仕組んだであろう平和島静雄襲撃で、臨也は静雄が死んだと思ったんじゃなかろうか。
 そうであるならば、園原杏里が、セルティと竜ヶ峰帝人が紀田の元に駆けつける事態は想定していないはずだ。  それと、紀田が過去を受け入れ単身乗り込むことも予想していないんじゃなかろうかとも思う。
 紀田の彼女、三ヶ島沙樹が露西亜寿司に電話したのもそうで、次回ようやく自信が髪の如く周囲を振り回していた計画が瓦解するかと思うと楽しみでならない。
 お話としては、何かのきっかけが次のきっかけを起こし、それが連鎖のように広がっていくこの物語は、ここまで見事に組み上がってラス前まで来たという印象。
 今のこの展開を、最初の方の人物の紹介に当てていた頃には全く予想すらしていなかったし、その一見無駄に長かった人物の紹介のような話があってこその今のこの展開があるのだから、やはりシナリオの上手さに感心しきりだ。
 もうあとは、最後をどう収拾し締めくくるか、というところまで落とし込んでいるのは、最後どうなるかは分からないが、素直に上手いと言わざるを得ない。

 とはいえ、残っている問題は多く、お互いの事情を知った三人がどうなるか、三ヶ島沙樹をどうするか、平和島静雄とサイモンの役割、折原臨也の計画は破綻するのか、そしてこの物語の発端であり元凶である「セルティの首」はどうなるのか。
 これらを残り1回で無理なく収めることが出来るのか。
 そこが心配と言えば心配だが、ここまで上手く組み上げてきたのならば、それはきっと杞憂に終わるだろう。
 なんにせよ、次回の大団円(?)に期待したい。


#24 則天去私

綺麗に収まった印象

 そんな今回のお話は…
 強い決意を持ち廃工場に独り乗り込んだ正臣だったが、彼はそこで予期せぬ人物と出会った。
 ついに相対した正臣、帝人、杏里。お互いに言えぬ想いを抱えたまま、三人が見つけた答えとは。
 そして、池袋の住人多くを巻き込んだ抗争が見せた結末とは――。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては綺麗に収まったが、収まった内容としては三つ巴のパワーバランスが解消した、という事の他に、仲良し三人組が、ある程度お互いの事情を知り、それを受け止め、新たな道を歩み出した木田と、元の生活に落ち着いた竜ヶ峰帝人と園原杏里というところだ。
 結局の所は、役が足りない法螺田が退場し、池袋にとりあえずの平穏が戻り、まるで何も無かったのようだが、普通でない出来事に憧れていた竜ヶ峰帝人は、図らずもそういう出来事に見舞われだが、それは彼だけでなく、街はいつもと変わらないように見えるが、それぞれにそれぞれの物語があるのだ。という所へ落ち着けている。
 全てを動かしていた折原臨也は、最後に鼻を明かされるようなことになる事を期待したが、サイモンに一発ぶん殴られて終わったのは少々残念だが、何も無く彼がルンルン気分で帰路をたどるよりは少しスッとした。
 ともあれ、セルティの首以外は大方片付いた格好で、どう転がるか読めなかった後半からの話を、この1話でしっかり収めてくれた。

 全体的な感想としましては、最初の数話を見ていた当時のオレに、最後にこんな展開になるよと教えても、きっと信じないだろうというような、見事なシナリオであったと思う。
 最初は点と点だった事柄が次第に線を結び、大きな展開へと様変わりして行って、舞台である混沌の象徴としての池袋という街で、選ばれた一部の人間だけではなく、池袋に居る人たちが多かれ少なかれ関わっていくストーリーは、見事に練って組み上がっており感心した。
 最初の頃に、なんでこんな延々と人物の紹介をしているんだろう?と思っていたが、それらが無いと後には繋がらないし、その人物の背景が語られる事でやっと見えてくる全体像を、先読みさせる事無く、見事に私を引っぱってくれた。
 おもしろいのは、この24話内の出来事をしっかり把握している人物は折原臨也だけで、他の人物はある程度の事しか知らないのだ。
 例えば凡百の物語なら、主役がいて、何か行動を起こすきっかけがあって、仲間を得て戦ったり裏切られたり、主役がいない場所で起こった出来事などは、最終的に主役の所で集約して、それを主役がどう受け止めどう収めるかといった所だが、この物語は全体像を把握しているのは折原臨也だけで、その後に見ている視聴者が付いてきて、それ以外の人物は自分の知っている範囲内で自分の出来る事だけをする。決して選ばれし勇者の英雄譚ではないのだ。
 折原臨也を中心とし、セルティや竜ヶ峰帝人らが起点となっていたこの騒動をピックアップしただけで、劇中の池袋という街では、彼らでない誰かが、また別の物語を紡いでいるだろうと思わせてくれる。
 個人的な難点をいえば、この物語の性質上、誰かに感情移入できなかった事だ。
 この物語は人と人の繋がりとだんだん分かってくる大きな流れを見せているので、どうしたって見ている者としては第三者視点になってしまうし、先が読めない事もあって、「今回起こった出来事」と「今後どうなるのかなぁ」くらいしか書けず、文才のかけらのない身としては、とっても感想が書きにくかった(苦笑)。
 ともあれ、最初は人物の紹介ばっかりでかったるい部分もあったが、中盤辺りから動き出すお話は、興味を最後まで引っぱってくれた。
 この後お話はどうなるのかなぁ、とワクワクしたい人は見てみると楽しいのではないでしょうか。


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