GOSICK-ゴシック- 1〜12話

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第1話 黒い死神は金色の妖精を見つける

なんか随分と端折った印象。

 そんな今回のお話は…
 時は1924年、長く荘厳な歴史を誇る西欧の小国・ソヴュール王国。貴族の子弟たちが通う名門、聖マルグリット学園にやってきた、東洋の島国からの留学生・久城一弥。
 ある日、一弥は学園の図書館塔の一番上にある植物園で、人形のように美しい一人の少女と出会う――。
 以上公式のあらすじ。

 ヴィクトリカの中の人あおちゃんこと悠木 碧さんかよ。
 公式HPで「放送をお楽しみに」なんて謳っているのでどんなビックリなキャスティングかと思ったら、割りかし予想通りだ。
 原作ではヴィクトリカの声は「老婆のよう」と形容されているのだがな。でもまぁ雰囲気は良く出ていると思います。さすがだ。
 さてそれはともかく、原作を好きでずっと買っていた身としては、気になって仕方なかったアニメである。しかし冒頭書いたように随分とは背負ったような印象で、あれよあれよという間に船に乗り込み次回へ引っぱって終わってしまった。正直これで原作を知らない人が各キャラクターなりなんなりを理解したか疑問である。
 まぁそんなわけで実のところ書く事が泣くって困っていて、今回した事と言えば、久城がヴィクトリカとクレヴィールに出会い、外出してなんかよく分からない船に乗ったというくらいの事でしかない。そう、そうでしかないのだ。
 久城がどのような人間で、ヴィクトリカがどんな不思議な女の子で、グレヴィールがヴィクトリカとどんな関係なのか、それすら薄ぼんやりとも見えてこない。
 いや、見えてこないというよりかは見せてくれないと言った方が正しいのか、正確に言うのならば見ていて分かるようになっていないのだ。
 もちろんここで全てが分かるようではいかんのだけれども、こういう事なのかなと思わせるような所があってもいいのではいだろうか。
どうも話をザクザクと、とにかく進めてしまおうとしている印象があって、もうちょっと細かくいろいろな事を描いてくれても良いような気がします。
 この最初の事件で何話使うか知りらないしどこまでやるかも分かりませんが、どうせ未完の物語なのだから、もっとゆっくりやってもいいし、なにより一発目なんだから強く印象に残るようにした方が良かったんじゃないだろうか。
 特にヴィクトリカなんかは物語の中心人物なんだから、話を聞いただけで犯人を当てるというだけでなく、その容姿や言動、どうして授業に出ず図書館の最上階にいるのか、といった久城が感じ他であろう事を見ている人たちにも伝えたらいいのに。
 お話の方もそうで、なんだかよく分からないうちに怪しい船に乗って終わってしまう。この船に乗って久城は、ヴィクトリカはどうなってしまうんだろうという気にさせてくれないのだ。
 なんか変な髪型の人がやってきて、殺人事件の話をしたらヴィクトリカがそれを解いて、外出したと思ったら船に乗っていたという印象で、その事件そのものが気にならない。
 そもそもなんで怪しげな船に乗る事になったかもよくわからない始末で、これでどう興味を持てというのだろうかね。  キャラもよく見えてこない、話の展開もよく分からないで、次回以降に起こる事に何を期待すればいいのだろうと思ってしまう。

 正直これを見て「やっぱり一発目って大事なんだなぁ」と思ったよ。ここで興味を持たせる事が出来なければ次を見てくれないものなぁ。原作を知らない人ならばなおさらだろう。
 今回のお話でどこを見せたいのかというのがさっぱり分からなかったよ。もっとヴィクトリカという不思議な少女をぐっとクローズアップすればいいのになぁ。
 彼女がどんな人間なのか、という事だけで今回使ってしまっても良かったんじゃないですかね。どうせ未完の物語なんだから中途半端な所で終わるんだし。

 まぁでも逆に、原作の第1巻を読んだのがもう何年も前の話になりますので、むしろ原作がどうだったかが気になって読みたくなってきましたよ。
 原作の付きアニメが原作のPVみたいなものだとするならば、私に個人に対してはうまくいったのかもしれませんが、この第1話で原作を知らない人の購買意欲をそそったのかと言うと疑問ですな。
 なんでこんなあっさりと、そしてバッサリと端折ったのか?むしろそっちの方が気になる第1話でありました。原作好きとしてはこれから盛り返していただきたいが……う〜む。

第2話 死者の魂が難破船をおしあげる

うあー。説明足りなさ過ぎじゃないか?

 そんな今回のお話は…
 占い師ロクサーヌ宛の招待状を持って、船上パーティ『箱庭の夕べ』にやってきた一弥とヴィクトリカ。
 ディナーに舌鼓を打っていた2人は、知らず知らずのうちに眠りに誘われてしまう。
 そして、目覚めると招待客たちのなかで、ある変化が起こっていることに気づいたのだが…。
 以上公式のあらすじ。

 原作を読み返したから流れは分かったけども、これ、読んでない人にはさっぱりだったんじゃなかろうか。
 10年前に行われた野兎走りの生還者が復讐に……というのは分かったであろうが、その時の事も詳しく語られないと、今、ヴィクトリカたちの状況が今ひとつピンとこない。
 そもそも、原作ではこのときすでに久城とヴィクトリカは出会っていて、この話の冒頭はまだ出ていないアブリルが幽霊船クィーンベリー号の怪談話をする所から始まるのだ。
 その怪談話から占いの話へ行き、この事件の真相へと繋がっていくという流れであるので、見ていて色々とピースが足りないように思えた。原作を読んでいてこれなのだから、読んでいない人としたらもっとピンとこないのではなかろうか。

 まぁ原作の話は置いておいて、このアニメの方だが、上記したピースの足りなさもあってか物語が淡々と進んでいっているような印象だ。
 本来ならば、訳の分からない事に巻き込まれた恐怖感や、10年前の陰惨な事件との関連する謎、そして今回の事件を仕組んだ犯人は誰で動機はなんなのか、こういった事を気にさせないといけないのだが、そういった事を気にさせる暇無くどんどんと進んでいってしまう。
 また、帝国軍人の三男だからとかいうなんだかよく分からない理由付けで妙にヴィクトリカを気にする久城が長々と尺を取っているが、このアニメではそもそも出会ったばっかりで、どうもそういう事が白々しく感じてしまう。ヴィクトリカの方も、その類い稀なる頭脳が彼女の特徴なのだから、今回の混沌(カオス)の再構成のシーンはもっと印象付けても良いのではなかろうか。
 
 とにもかくにも、話を消化しようと躍起になっているような印象があって、お話の方に全く乗れないようになっているのは正直どうかと思う。
 この幽霊船クィーンベリー号のお話はどうも次回で終わってしまうようなんだけど、やっぱり最初は肝心なので、このお話だけでも6話位使っても良さそうなものだと思うがなぁ。
 これを作っている人達が、この「GOSICK-ゴシック-」という物語のどこを見せたいと思っているのか私にはさっぱり分からない。
 この物語の魅力はたくさんあるはずなのに、どうしてこんな話の上っ面を撫でるような事をしているんだろうなぁ。もっと色々やりようがあろうに。


第3話 野兎達は朝陽の下で約束をかわす

フルスピードで解決だ。
 そんな今回のお話は…
 自分たちの乗っている船が、10年前の<QueenBerry号>事件を再現したものだと気づいたヴィクトリカたち。
 いつ殺されるか分からないというギリギリの状況の中、生き残った者たちがお互いに疑心暗鬼になっていた時、イギリス人の俳優ネッドが突然、一弥たちの目の前で倒れる――!?
 以上公式のあらすじ。

 お話は原作第1巻の終わりまでで、まぁ見事にダイジェストにしていただいた。
 元々この話は10年前の出来事と、現在ヴィクトリカたちが巻き込まれている事件が同時に進行していくもので、その10年前の状況を知って現在の状況を考える趣旨のお話である。だがこのアニメは、キモである10年前の出来事が殆ど語られないので、この話のオチである10年前の復讐を果たすという犯人の心情がよく分からず、どうも話に深みのようなモノがないように思う。
 そんなこともあって、話の上っ面を撫でてそのまま終わってしまったかのような印象しか無く、この物語の主人公であるヴィクトリカの印象も薄い。
 どうも見ていてヴィクトリカが数あるヒント、混沌の欠片から彼女の頭脳の知恵の泉で真実を導き出し事件をを解決するということよりかは、ヴィクトリカと久城とのことに注力したかったように見えたが、さしてふたりがこの3話内で印象に残る所も無く、当然事件の方もおろそかには出来ないし、ふたりのことも印象よく見せなければいけないしで、どっち付かずになって随分と中途半端になってしまった。
 やはりどうせならば、このアニメが何クールかは知らないが、せめてこの最初の事件はもう2、3話分の尺をとって細かく描いても良かったんじゃないですかね。逃げられない船の中で起こる出来事に全く緊迫感がなかったのは正直どうかと思う。そういう状況下でのヴィクトリカと久城というのがポイントなので、どうなるんだろう、どうなってしまうんだろうと思わせることが出来ないとダメだろう。
 そういうことを考えると、この原作は短編集が3冊もあるので、この際そこから話を選んでいった方が良かったんじゃないですかね。まぁこれからそんなふうになるのかもしれませんが。
 と、いうわけで、なんか全然感じて想う所が無くてが書こうにも書けん。
 ダイジェストになるのは仕方ないとは思うけどもうちょっと見せ方があるのではなかろうか。せめて何か印象に残るような所を作っていただきたい。
 さて、次回はようやくもうひとりのヒロイン(?)アブリル・ブラッドリーの登場だ。わざわざ中の人をここまでひた隠しにしてきたんだから、今度こそあっと驚くようなキャストなんだろうな?……いや、だぶんそうでもないんだろうなぁ(苦笑)。


第4話 金色の糸はつかのまを切り裂く

今回は普通に見れたな。

 そんな今回のお話は…  ある朝、一弥が村への道を歩いていると、そこに一台のバイクが通り過ぎた。次の瞬間、運転手の首が宙に舞い、それを目撃した一弥は殺人の疑いをかけらてしまう。
 一方、学園にはイギリスからの留学生アブリルがやってきた。そして、長いあいだ使われていなかった納骨堂から、騎士の姿をしたミイラが発見される…!?
 以上公式のあらすじ。

 お話は原作「GOSICKs-ゴシックエス-春来る死神」の第二章の途中までなのだが、このアニメの方が第1話で久城とヴィクトリカが初めてあったことになっているので、細かな部分は結構違うが内容はほぼ同じである。
 さすがに原作全部をやってしまうと尺が足りないので、かなりの部分を端折ってはいるが、第1〜3話のようなダイジェスト感は無く上手くまとまっている。
 久城が巻き込まれる事件をヴィクトリカが解決する当宇野が基本的に流れで、今回起こったふたつの事件を、ヴィクトリカが混沌の欠片から知恵の泉を使って再構成し、事件を解決に導くことをメインに、転入生である美少女アブリルの謎の行動と、各事件が繋ぐ大きな話の流れをしっかり作っていて、まぁ見ようによってはダイジェストになるのかもしれないが、必要な部分を抜き出し、原作と違う部分と上手く再構成して、違和感なく見せているのは上手い。
 個人的にはもうちょっとアブリルを怪しく見せても良いような気がしますが、それは次回でという事なのかもしれない。  ともあれ、話の流れのスムーズさは上手く作ってあって、第1〜3話のようななんだか全然乗り切れない感じは全く無く、ストレスを感じさせる事無く見せているのは良いことだ。
 今回は見せたい部分というのもはっきりしていて、ヴィクトリカの推理と謎の転校生という部分を派手ではないけれど中心に据えていて、そのふたつを中心にしつつ大きな物語の流れを動かしている雰囲気が出ていて良かった。
 個人的な所を言えば、原作との相違から久城がお菓子好きのヴィクトリカに日本独自のお菓子「雷おこし」をあげる件はないだろうと思っていたのだが、それも割と上手く、しかも違和感なくそれを出してきたのにはやるなと感嘆してしまった。

 ちょっと気になっているのは、久城がヴィクトリカと気にしているモノローグが結構多いのだけれど、それがどうも唐突に見えてしまっていることだ。それは何故か第一話からそうなっていて、本来ならばふたりに何かしらあってのその久城の気持ちであるのだが、そういう盛り上がりといいますか、特別なふたりという部分をこれまで見せていないし語られることもないので、なんか無理くりに久城がヴィクトリカを気にかけているように見えてしまっていかん。
 それにともなくことだが、全体的にこのアニメはぐっと盛り上がる所が無さすぎだ。振れ幅なくそのまま進んでしまっている印象。
 まぁ物語的に貴族社会が色濃く残っている時代背景というのもあって、割と優雅な側面もあるから、その雰囲気というのは間違いではないだろうが、「ここぞ」という部分に画面に注視させる力が足りないように思います。
 それでも今回は、知恵の泉で混沌の欠片を再構成する部分で、それらしいイメージを使い上記したような部分を作ろうとしている努力は窺える。のだが、今回のそれは特にインパクトのあるイメージでもなく、割と唐突にそれが出てくるので一瞬「これは何かしら?」と思ってしまったよ。もう少し上手く作ってあげても良いだろう。

 まぁでも第1〜3話に比べると、原作の雰囲気を壊さずに物語を進め、話の興味を次回へ引っぱっていてストレスなく普通に見れました。
 もうちょっと抑揚があればもっと良くなるような気がするけどなぁ。


第5話 廃倉庫には謎の幽霊がいる

そんな驚くほどのキャストでもなかった。

 そんな今回のお話は…
 ミイラが発見されたとき、アブリルがそこにあった紫の本を手に取っていたことが気になる一弥。
 ヴィクトリカに相談すると、あっさり本は見つかった。なぜ、アブリルはこれを隠したのだろうか?
 一方、そのころ村では世紀の大怪盗クィアランの二代目があらわれるという噂が立っていた――。
 以上公式のあらすじ。

 お話の方は、事件の方は原作の流れであるが、その他の流れとしてはさすがに色々と細かいところで違っていて、二代目クィアランが図書館のヴィクトリカのいる植物園にやってきて、彼女そっくりのビスクドールを彼女のかわりに見つけるという件はない。
 まぁ、その辺の彼女そっくりのビスクドール云々が話に関係し出すのは、原作でも後の方の話かと記憶しているので、どうせそこまでやらないものをわざわざ出すこともないから問題ないだろう。
 それはそれとして今回ですが、前回同様に特に何かしらという部分は無いものの、前回の事件から繋がるアブリルという謎の少女と事件、そして本の謎をヴィクトリカが解決に導くという所をメインに回っていて普通に見れた。
 前述したようにこれといった部分はないけれども、短編と言えどアニメ1本分としては多い話を上手いこと1話分に収めている辺りは感心。流れとしてもスムーズで特にストレスも無くお話を楽しむことが出来た。まぁ、話を知っているので、謎解きという部分で「こうなのかな?ああなのかな?」と思う所は当然無いわけですが、それでも普通に見れるという事はいいだろう。
 あまり衝撃的なことが起こるわけでもないこの話で、クィアランとの対決という部分で、それなりの盛り上がりを作っているのも好印象で、その辺りは上手くアレンジしているなと感じた。だが、これくらい出来るのであらば、最初のクィーンベリー号の事件でもそのように上手い事してくれればいいとも思ったよ。
 しかし感想としてはそれくらいのもので、その他にあまり印象に残る所がないのも事実で、なにかこう、おとなし過ぎる印象があってもうちょっと大袈裟であったり派手であったりする部分があっても良いような気がします。
 今の所、このアニメの見所と言うか、ここに注力しているという所が感じられず、なんとも特徴のない感じになっているのは残念だ。
 ミステリがメインなら事件をもっと大袈裟にしてもいいし、ヴィクトリカと愛らしさやその頭脳を見せたいのであらば、彼女の混沌の再構成による謎解きや、そのビジュアルやキャラクターを細かく描写すべきだろう。
 ともあれ、前回・今回とそれなりに楽しませてはもらったものの、今ひとつ何かが足りないという気になってしまったのでありました。

 最後に冒頭のことですが、わざわざ前回ニセモノのアブリルをクィアランを演じていた豊口めぐみさんにしておき、満を持して(?)の本物登場で、ようやくキャストが分かったわけですが、これって隠すようなことだったのですかね?
 すごくどーでもいーことを引っぱっていたようにしか思えないのですが……。


第6話 灰色のオオカミは同胞を呼び寄せる

すごいトントン拍子で進んでいっているな。

 そんな今回のお話は…  怪談好きのアブリルは、人間の言葉を操る灰色狼の噂を一弥に話す。
 そんな中、2人は訪れていたのみの市で、ドレスデン皿の盗難事件に立ち会う。ヴィクトリカはすぐにその事件の謎を解いてみせるが、新聞に事件解決の報はない。
 その代わり、来る夏至祭に灰色狼の村へといざなう広告が載せられていた…!!
 以上公式のあらすじ。
 お話は原作GOSICKII-ゴシック・その罪は名もなき-のヴィクトリカたちが灰色狼の伝説のあるボロヴィッツ村へ着くまでで、このお話全体としては結構端折った感じでダイジェスト感を感じる。といっても128ページ分もあるところを、要所要所をとらえて上手くまとめてはある、ような気がする。
 今回としては、いつも通り話の中での盛り上がりというのはないのだけれど、とりあえずヴィクトリカというところでは印象を強く残していて、彼女のキャラクターとしての魅力、頭脳明晰で尊大で大人びていながらも、素直でない少女の可愛らしさを垣間見せる。個人的には寝ぼけたヴィクトリカが、いつも冷静に混沌の欠片を再構成する彼女とは思えない子供っぽさのギャップが愛らしかった。
 随所でそのようなヴィクトリカの愛らしさを見せていたし、そういった中で、自分のルーツであるコルデリア・ギャロの無実の罪を晴らすというヴィクトリカの目的は、その愛らしさから一転、彼女のその可愛らしさとは違った側面を印象的に見せている。
 これからのボロヴィッツを舞台とする話は、ヴィクトリカのルーツをたどる話でもあるし、また上記に挙げた点もあって、ヴィクトリカという人物を見せていこうとしているのが伝わる。アニメ1本分で何を見せたいのかが明確になっているのは良かったと思います。
 とはいえ、感想としてはそれくらいしか無く、どうもこのアニメは花がないと言いますか、パッとしないのである。
 まぁ原作のある物語なので、好き勝手できない部分というのはあるわけだけど、見ていて話を追っかけているだけのように見えて、同じ原作付きでも「涼宮ハルヒの憂鬱」は上手くやったことを思うと、もうちょっと何かあっても良いような気がします。キャストなんざ秘密にしたって広告効果などさほどないのだよ。

 そんなわけで、今回の印象としましては、「なんかヴィクトリカを推しているな」と感じたくらいで、その他に印象が残っていない。
 せめてお話の興味を次回へ引っぱるくらいのことはしてほしい。


第7話 夏至祭に神託はくだされる

そんな気はしていたが。

 そんな今回のお話は…
 灰色狼の村に辿り着いた一弥とヴィクトリカ。
 そこで、村の人々はコルデリア・ギャロというメイドが、前の村長シオドアを殺した事件を語る。
 村を追放されたコルデリアの代わりに、無実を晴らそうとするヴィクトリカは、一弥と共に彼女の住んでいた家へと向かう――。
 以上公式のあらすじ。

 まぁなんというか、すごいダイジェスト感。そうなるような気はしていましたが。
 お話としては、ボロヴィッツ村にて起こる事件を見せていくのがメインなのだけど、正直それだけで、印象としては、その重要な部分だけどポンポンと置いていっているだけで、その前後にある流れなどがあまり感じられず、お話云々よりも、物語を進めなければという使命感だけという印象を受けた。それ故に今回で特に印象に残る部分がない。
 こういうことされると、こんな感想を書いている身としては困るもので、感じて想う所がなくてどう感想を書けというのだろうね。
 それはともかく、お話としては事件編であるのだけど、過去のコルデリア・ギャロの罪、夏至祭の最中に起こった事件、コルデリアの家で見つけた写真、第2の事件と、見せなければならないことが多く、それを1本に収めなくてはならないので、それら関連することのみをポンポンと配置してある格好だ。
 当然事件解決の為のヒントにも触れているのだけど、見ていて「ヒントだよ」と言っているような感じであり、本来ならば、そのヒントは通常見逃してしまうようなことで、それを探偵役がしっかりと記憶なり、「これは……!」などとやることで、探偵役の頭脳を見せると共に、見ている者たちへのヒントとするのだけど、話に追われているからなのか、事件を見せているだけで、その事件を気にさせるようになっていない。
 見た目ロリでも頭脳明晰のヴィクトリカが、その場にある様々なピース、この物語的に言うと混沌の欠片を見つけ、再構成し真実を導き出す。これがこの物語のメインのひとつなので、彼女が混沌の欠片を見つけていくのをやはり印象的に見せていくべきだろう。
 そういった中で、事件はどうなっているのか、犯人は誰なのか、という部分に興味が引かれるわけだけど、そら行けホイ来たでどんどん進んでいってしまうので、もはや事件を気にする暇もない。事件が気にならないのなら、一体何の為の事件なのやら。
 こんなふうにしてしまうのであれば、別にこのお話を3本に収めなくても良かろうと思う。事件編にもう1話分使って、どう事件が起きたのか、犯人は誰なのか、それをヴィクトリカはどう暴くのか、そういうことを気にさせてもいいだろう。何クールあるか知らないが、何せこの物語はまだ未完なのだし全部見せる必要はないのだから。まぁそういうことを考えると、シリーズ構成というのは大切な役なのだなぁと思う。

 こういう事件が起こる中で、いや、この物語的には逆でなのだけど、その事件の中にあってヴィクトリカと久城の友情もしくはそれ以上が築かれていくのもメインのひとつ。だけど、事件が気にならないのでは、ふたりがどうこうということは割とどーでもよくなってしまうのは寂しい。
 どうも3月末には待望の原作の新作が出るようで、まぁおそらくはそのPV的なこのアニメなんだろうけど、果たしてこのアニメがPV足り得ているかと言うと正直微妙である。
 もうちょっとじっくりやって、この物語の魅力を少しでも多く引き出しても良いのではないでしょうか。

 どーでもいーけど、なんかもう終わったような感想になってしまいましたな(苦笑)。


第8話 過去の王国に遠吠えがこだまする

やっぱりもう一本分の尺が欲しいな。

 そんな今回のお話は…
 夏至祭の最中、村にやってきたよそ者2人が殺された。その死の謎を解くヴィクトリカ。
 しかし、村長は「ここはソヴュールではない」と、犯人を裁くことを許さない。
 そして、ヴィクトリカは一弥とともに、20年前のコルデリア・ギャロの無実も証そうとするのだった…。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、事件の解決編と今回のヴィクトリカと久城の旅の終わりで、とりあえずの一段落だ。
 やっぱりと言うかなんと言うかダイジェスト感は否めず、正直な所、事件の解決編の方はあんまり印象に残っていない。というのも、解決後の村からの脱出を(このアニメにしては)随分と盛り上げてくれたからだ。
 というわけで、今回の見せ場としてはふたつあって、ひとつは事件の解決、ひとつは村からの脱出なのだが、これを一本にまとめなくてもよかったのではなかろうか。事件は夏至祭で起こった殺人が2件に、過去のコルデリア・ギャロの無実の罪を晴らすという3つの事件が同時進行しているのだし、その事件をヴィクトリカが解決するのがこの物語のメインのひとつなのだから、もっと印象的でも良いだろう。
 もっとも、この物語はヴィクトリカと久城の関係が一番メインであって、そこから事件が派生する形にはなっているから、流れとしてはおかしくはないのだけれど、そもそもこのアニメは色々端折り過ぎてしまっていて、語っておくべき所を語っていないので、今ひとつピンとこなかったり、今回のようにセイルーン人のことを突然説明したりして、もうとにかく話を進めたくって仕方ないという印象しかない。
 本来、この物語の舞台であるソヴュール、特に主役のふたりのいる学園は「怪談」が流行しているという大前提みたいなものがあって、その怪談や噂が事件に繋がり、後に「ああそうだったのか」となるのだけど、そういう細かいポイントを抑えていないのもあって、順繰りにホイホイと事柄を進めてしまっている印象があり、あらすじを見ているような気になってしまうのはどうか。
 だが、今回としては、村からの脱出の際に跳ね橋でハーマイニアとの対決を入れたのはよかった。ひとつの話の終わりの盛り上がりを作っているし、閉ざされた村とそこから脱出する者、罪人の末路、そしてヴィクトリカと久城というところを印象的に描いていて、このシーンは特に印象に残った。がそれ以外があんまり覚えがないのも事実(笑)。

 と、そんなわけで、つまるところはやっぱりダイジェストという感じである。どうせなら6話くらい使えば良いのにと思うのだけど、どうも先の話をたくさん見せたいようだ。
 色々な事柄や描写あってのお話なんだから、上っ面を撫でていれば良いというものではないと思うのだがなぁ。もういっそのこと、何冊かある短編の方をメインでアニメ作った方がおもしろかったかもしれないなぁ。
 なんかもう終わったアニメの話をしているようだ(笑)。ってあれ?公式HP見ていて思ったんだけど、もしかしてこのアニメ2クールもあるの?ええぇぇ!?感想書くのがつらいんですけど!(笑)


第9話 人食いデパートに青薔薇は咲く

今回は事件編。

 そんな今回のお話は…
 故郷の姉からおつかいを頼まれ、首都ソヴレムのデパート・ジャンタンに向かう一弥。
 買い物リストには、行方不明になっている王室のブルーダイヤモンド「青い薔薇」を模した一品も入っている。
 一方その頃、風邪をひいたヴィクトリカは一人で留守番をし、ブロワは首都で起こる美術品密売事件を追っていた――。
 以上公式のあらすじ。

 お話は原作GOSICK III-ゴシック・青い薔薇の下で-の半分くらい。この話、記憶違いしていて短編集の中のひとつかと思っていたのだが、そうではなく実は本編一冊分であった。
 そんな原作一冊分を、今度はたった2話で終わらそうとしているわけですが、さすがに原作チェックしてから見ると色々とアレなので、読まずに見てみると先に述べたように短編集の中のひとつの話のようであった。
 内容としては冒頭に書いたように事件編であり、例によって久城が事件に巻き込まれるところまでで、人攫いをしている大型デパート相手にその証拠を見つけるというのが本筋である。
 今回のお話は、誰だか分からない犯人を探すのではなく、分かっている犯人のアリバイ崩し的話であり、この物語的に言うと、色々出てくる混沌の欠片から、犯罪の証拠を掴むのが目的で、その混沌の欠片を今は並べてみせている。
 というわけでお話としては特に何もなかったりするわけです。だって要は次回に今回出てきた色々を組み合わせ証拠を握るのがメインなわけだし。巨大デパートぐるみの証拠隠しをどうひっくり返すかという為の下準備して、上手い所で今回は引っぱってい終わっている。この引だとなんか次回に冒頭がっかりしそうな雰囲気ですが(笑)。
 
 今回はお話よりも、文庫半分の量をたった2階で終わらす為に色々と工夫しているのに感心した。まぁ悪く言えば端折っているわけですが、端折ったという事が分からないように工夫がしてあるという事です。
 見ていて「あぁこんな話だったなぁ」と思っていたのが、今原作を読んでみると、今回の冒頭は久城とセシル先生の会話にアブリルが入ってくる形だし、ヴィクトリカに着物を渡す件も、その前には「魔法の指輪」の話をし、見る角度によって色が変わる宝石「アレキサンド・ライト」というフラグを立てていたりする。
 文章を読むのとは違い、アニメはどうしても尺という制限があるため、どこを見せてどこを切るのか、それによってはとてもチグハグに見えたり、またはすごい大ジャストのように見えたりするのだけど、今回はそういったことを感じる事無く普通に見れたという事は素晴らしいことだろう。まぁそれは今回原作を事前に読み返さなかったからなのかもしれませんが(笑)。

 まぁなんにせよ、161ページ分を上手いこと一本分に収めた技量は素晴らしいと思った。後は次回の解決編でいい感じに盛り上がりを作り、オチをつけてくれればいいと思います。


第10話 風邪ひきは頑固な友人の夢を見る

解決編としてそれなりの高揚感みたいなものはある。

 そんな今回のお話は…
 ジャンタンの地下で、マネキンにまぎれて本物の少女がいるのを見つけた一弥は、 何か事件が起こっていると考えて、ブロワたち警察に相談を持ちかける。
 しかし、 証拠が見つからない。そこで、一弥は電話でヴィクトリカに助けを求め、街で出 会ったルイジという少年とともに手がかりを追う…!?
 以上公式のあらすじ。

 お話としては冒頭書いたように解決編で、有名デパートぐるみの犯罪に証拠を示せない久城が、ヴィクトリカとその他の力を得て事件を解決に導く。
 原作の方とは流れが少し違っていて、たしかグレビールと久城の演技というのはなかったように記憶している。しかしこのアニメの方が流れとしては良く、相手を出し抜いた「してやったり」感はこちらの方が見ていて気持ちよかった。
 また事件解決後の首都から久城が汽車で去るまでは、首都で事件に巻き込まれ、そこで出会った人々との出会い、事件を解決し境遇の変わった人たちと別れることで、大団円を迎えたのも気持ちの良い流れであった。
 今回はそう言ったデパートぐるみの犯罪の牙城を崩す仕掛けを段階的に見せ、最終的にはこれまで出せなかった証拠を高らかと見つけ出し、おぞましい人身売買をする者達をやり込めるという、前回はデパートという巨大な組織にやり込められていた久城がやり返すという大逆転の高揚感があり見ていておもしろかった。
 
 とはいえ、手放しで褒めることばかりではなく、残念に思う所もあって、それはヴィクトリカが特に役に立ったように見えないことだ。
 まぁ実際の所、彼女は久城の側にいるわけでもないし、犯人と直接やり合ったわけでもないので、今回の話としての役所はあまり大きくはないのではあるが、事件解決の為に彼女の知恵を借りたのであらば、それなりの何かがあっても良いだろうと思う。
 2話でまとめてしまった分、事件の前でのヴィクトリカとの会話であったはずのフラグがないのがその一因で、その事件前の色々が後々生きてくることがこの話でのヴィクトリカの存在感なのだけど、そう言った部分はこのアニメでは端折られたため、ヴィクトリカの印象が薄くなってしまった。まぁ、ヴィクトリカはいわゆるアームチェア・ディティクティブなので、彼女としては状況が知れればそれで良いのだけど。
 
 と、いわけで、個人的には今回は流れの中で高揚感を作っており、その点で楽しめたのだけど、まぁ印象としてはあんまりいつもと変わらない感じではある。
 オチのパイプ置きも、本来ならば事件編で久城が買うのを見せるべきで、今回のラストに出てくる唐突に出てくるそれは一体なんなのかがよく分からなかったりする。そんなダイジェスト感は相変わらずだ。
 どうせ2クールやるのであらば、全体的にもうちょっとひとつひとつのエピソードに尺とってもいーんじゃないですかねー。
 色々なことが積み重なって解決の決め手となる感じがしないんだよなー。淡々と進んでいる感じがなんとも。
 それでも今回はひとつの話として抑揚があって良かったですけどね。


第11話 そのドリルは雄弁に愛を語る

相変わらず特に某はないな。

 そんな今回のお話は…
 学園に客人がやってきた。それは、先日ブロワと親しそうにしていた警視総監夫人のジャクリーヌだった。
 案内を任された一弥は、ついつい天真爛漫なジャクリーヌのペースに巻き込まれて図書館へ。
 そこで、ヴィクトリカに出会ったジャクリーヌは、数年前、殺人事件の容疑者にされたことを打ち明ける――。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、ブロワがあのドリルみたいな髪型になった理由を見せるのと同時に、彼がただそんな髪型の変なヤツではないとことと、その当時と今のヴィクトリカは違うという所を見せている。のだけど相変わらず見せ場としては無いに等しい。
 原作でこんな話し合ったかなーと思ったが、調べるのも面倒なのであったかどうかは覚えがない。今回としてはブロワがただ単に頭の軽い変な人ではないという事が分かれば良い。特にサブタイにあるように雄弁に愛を語るわけでもないしな。  上記あらすじからキーマンっぽいジャクリーヌもさしてキーマンではなく、過去あった事件に巻き込まれたというだけの話である。
 で、今回の一番いいたかった所としては、愛を知らない孤独な灰色狼は今はそうではない、という事なのだが、相違ことを通してヴィクトリカが久城に思う所があることが分かれば良い。
 まぁそんな感じである。……うん、だってホント特に書く事ないんだもん。

 というわけで、3月末に久々の新刊が出た原作が、8月末発売の完結編に合わせてこのアニメも進んでいるようで、なるほど道理で話をポンポコ進めているわけですな。
 まぁぶっちゃけた話、後1クールもこんなんが続くとは予想外で、結構まいっちんぐな感じである。どうせ1クールで終わるだろうとタカをくくっていたのが間違いであった。
 くっそーこれからオレはどうすればいいというのだろうね。見て何かしら思う所が多いのも感想を書くのが難儀ですが、それ以上になんも思わん物ほど困ることはない。何せなんも思わんのだから書きようがないのだ。
 せめてこのアニメはもうちょっとドラマチックであってもいいと思います。うぁ……なんかものすごく短いな……。うん、まぁでもこんなもんである(笑)。


第12話 夏の午後に蝉の声を聞く

むしろ事件が起きない方が良いのかもしれない。

 そんな今回のお話は…
 夏休みの学園。生徒たちが避暑に出かけるなか、ヴィクトリカはひとり退屈そうに過ごしていた。
 一弥はアブリルからの誘いを断り、日本から届いた荷物を持ってヴィクトリカの元を訪ねる。
 中には、彼女が一弥の次男に出題した謎解きの答えも。真夏の太陽の下、一弥は日本での日々に思いを馳せる…。
 以上公式のあらすじ。

 お話の方は短編の方でこんな話があったような気がします。あらすじにあるように夏休みに学園でヴィクトリカと久城がイチャイチャする話である。
 そんなわけなので事件は起こらず、ヴィクトリカと久城の夏休みの一幕を描いており、これといった展開はないのだけど、事件が起こってポンポコ話が進行してしまうようなのよりかはよっぽどこっちの方がおもしろい。
 夏休みの一幕ではあるものの、その日常の中には日本での日々や出来の良い兄達や厳格な父に引け目を感じている久城であったり、友人のいないヴィクトリカを思う久城や、日本でのしがらみを、ここソヴュールでは感じる必要はないだろうとするヴィクトリカの気遣いなどを見せ、ふたりの間にある絆をさりげなく演出している。
 とまぁそんな印象の今回は、余分なと言っては語弊があるが、事件が起こらないことと、夏休みという期間で他の生徒達がいないという状況設定で、いつもの図書塔から出て感じの違う雰囲気を見せつつも、あんまり変わらないような気がする日常を通し、ツンデレヴィクトリカと久城に焦点を当ててふたりの関係性がよく出ていると思う。
 いつもは事件がらみで話を進行させなければならないからか、あんまり上記ふたりの関係性が希薄なんだけど、やはり今回のような某があってこそのふたりの関係だろう。
 本来ならばこういうのはもっと早くにやっておくべきだったような気がしますが、本に合わせてという縛りもあるのだろうから仕方ないのだろう。
 とはいえ、原作の一番最初ですでに知り合っているふたりを第1話で知り合ったと設定を変えたのであらば、原作のふたりが初めて知り合った話を最初に持ってきても良いような気がしますな。
 それならばここまでの前半戦で、なんでか分からないけれど久城がヴィクトリカを気にしている、というふうに見えることもなかったろうと思う。

 思えば、この物語のメインとは一体なんなんだろうか。ヴィクトリカの愛らしさか、事件の謎解きか、はたまたふたりの関係性の行方か。今ひとつコレといった所に欠けるような気がするんだよなぁ。
 何かひとつ突出したところがないので、このGOSICK-ゴシック-がどんな物語が一言で言おうとしても言葉が見つからない特徴の無さだ。
 しかし今回はメインキャラのふたりに焦点が当たっており、他余分なものが一切なかったので言わんとすることが散漫にならず、尺的にも夏休みの一幕だけをこの尺に収めているので、異様に話の早い事件編とは違いお話を素直に楽しめた。
 むしろ本編よりも、短編メインで進んでいった方がこのアニメはおもしろいのかもしれないなぁ。本編が気になる人は原作買ってね、みたいな商売でもいーんじゃないですかねー。
 事件編がポンポコ進んでしまってノッタリしてしまうくらいなら、ヴィクトリカと久城が学園内でイチャイチャしながら、学内で起こるちょっとした事件を解決するくらいの方が、見せ所がはっきりしていて良いような気がします。

 なんか……今回の感想かっていうとちょっと違うような気がしますが、まぁいっか。


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