GOSICK-ゴシック- 13〜24話

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第13話 愚者は己の代弁者を指名する

全然話を覚えてないなぁ。

 そんな今回のお話は…
 一弥のことが気になって、早めに学園に戻ってきたアブリル。2人は一緒に映画に出かけ、そこにでてきたのとそっくりな時計塔が学園にあることに気づく。
 中には、錬金術師リヴァイアサンの工房があった。そのころ、図書館にいたヴィクトリカの頭上に金色の本が落ちて来る。
 それは、他でもないリヴァイアサンの手記だった…!!
 以上公式のあらすじ。

 リヴァイアサンとかいう錬金術師が出てくる話があることを覚えてはいるものの、どんな話だったかは全く覚えていないため、なかなか楽しく見た。楽しかった……のか?
 まぁ楽しいかどうかは別として、お話の方はと言うとまぁいわゆる事件編である。
 とは言ったものの基本的にリヴァイアサンとはどういった人物なのかを紹介するような話のような気がするなぁ。要は舞台を整えている感じなのである。
 このアニメの感想を書くにあたっていつも困るのは、特になにかあるわけではないことだ。今回もいつものように話の進行を追っており、特にここが良かったとかそーゆーなにかしらがないので困ってしまう。
 基本的にこの物語の謎解きは、謎を解かないとメインキャラクターがピンチになることはなく、特に今回なんかは別に愚者の代弁者にならなくったってだーれも困らないのである。
 そういった謎を解かなかったからと言ってどうこうなるわけでもないし、誰かがピンチに陥っているわけでもないしで、早く犯人を見つけないととか秘密を暴かなくてはというハラハラ感がないので、どーしてもフツーに見てしまうんだよな。
 例えば、逃げることの出来ない孤島の別荘で密室殺人が行われ、その場にいる誰かが犯人らしい。誰も彼もが怪しくまた犯人は誰かを狙っているかもしれない。という状況であったとすれば、犯人は誰でどんなトリックでどのような動機なのかや、それを暴いていく探偵役の活躍に期待もすれば注目し、どうするどうなるとその後の展開が気にかかるんだけど、この話はヴィクトリカが何もしなかったとしても久城がどうこうなるわけでもなく、話としてもオチはどんなんかなーくらいの興味しか湧かない。
 今回の引きである、外に出たヴィクトリカを掴む腕も、何せ学園内だし、閉鎖空間ないであるわけでもないし、流れ的にいっておそらくアブリルだろうしで、正直な所、こんな詐欺みたいな引きしなくても良かろうなどと思ってしまったよ。どうせ次回のしょっぱなに「なーんだ」で終わってしまう。
 とは言え、ちょっと前に読み返してみた原作もこんな感じで、割とどーでもいーことをものすごく緻密な描写で長々と書いていたりして、今読むと結構かったるかったりするわけで、このアニメを見て「こんな感じだよねー」という気がする。
 もういっそのこと、事件云々よりもヴィクトリカと久城を取り巻く人々との人間関係メインの方が、話としてはおもしろいような気がしてしまうなぁ。
 まぁそれは単に私が歳をくって趣向が変わったってことなのかもしれないが。

 すごくどーでもいーけど、個人的にはヴィクトリカよりも健康美あふれるアブリルの方が好みだったりします。うん。すごくどーでもいーね。

第14話 意地悪フリルは屁こきいもりを糾弾する

あれ?話進んでなくね?

 そんな今回のお話は…
 時計台で殺人が起こった。ヴィクトリカは、リヴァイアサンの本に書かれた謎を調べるために図書館塔の外に出てきたところ、初対面のアブリルとケンカしてしまう。
 学園はソヴュールの闇の歴史の眠る場所だとして、危ないことから手を引くよう一弥に警告するブロワ。そして、ヴィクトリカの背後に謎の男が迫る!
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはヴィクトリカとアブリルが出会ったよみたいな話で、錬金術師リヴァイアサン云々の事件としてはあんまり進んでいない。とは言ったもののヒントはてんこ盛りで、そういった意味では進んではいる。
 それらどう見てもヒントな某らを、どうリヴァイアサンとくっつけるのかが事件のポイントであるが、やっぱりむしろ事件よりもヴィクトリカ自身の方がメインなんだろうと思う。
 アブリルとヴィクトリカというある意味正反対のふたりを一緒にさせて、ヴィクトリカの孤独と彼女の思いを、まぁ分かりやすい形で見せている。のだけど、なんというか庇護欲みたいなのにそそられないのはなんでなんだろうな。
 こういうのは大体、そういうヴィクトリカに対して、彼女がもっと自由になれば幸せになればいいなぁと思ってしまうものなのだが、なんでかそういうふうには感じないのだ。
 なんでかをちょっと考えてみたのだが、やっぱり「事件」があるからなんじゃないだろうか。
 この物語は探偵役が事件を解決することだけがメインでなく、それと同時に流れるヴィクトリカと久城を始めとする人間関係も描いていっているのだが、私としてはやっぱりどうしても事件の方が気になってしまうのだ。  人間関係は正直どうとでもなると言いますか、作者の都合でどうとでもなるわけで、結果を見てああこうなったかと思えばいいのですが、事件の方は正解があってヒントがちりばめられてあって、その正解がどうしても気になってしまうし、探偵役がズバッと正解を導き出す気持ちよさを期待してしまう。そういう事もあって、事件の方をさっさと進めてくれよと思って、正直アブリルだヴィクトリカだという所で乗り切れねぇ。
 まぁ、人間関係は重要ではある、のだが、その配分が大き過ぎるような気がしないでもない。ついでに言うと、ヴィクトリカはこれまでをまとめる推理の経過を発表しないので、中間の引きとしても今ひとつ弱い気がするなぁ。

 そんなわけで、なんと言うか書くことがなかったりするわけで、正直見ていてつらい。まだ10話くらいあるのか。うひー。


第15話 二匹の怪物は心をかよわせる

あんまり解明編という感じではないな。

 そんな今回のお話は…
 かつて王妃の寵愛を受けたリヴァイアサンの錬金術は、マスグレーブ男爵の策略 により、国王の目前で全てを否定された。
 怒りのあまり、罪のない少年を殺して しまったリヴァイアサン。失脚したリヴァイアサンに、戦争のための人造人間、 ホムンクルスを作らせようとある人物が近づく――。
 以上公式のあらすじ。

 お話は当然「錬金術師リヴァイアサン」事件の解明編で、前回前々回の謎をここで全て終わらせる。
 のだが、解明編というよりかは、この話は「過去の歴史」という感じですな。
 物語の舞台であるソヴュール王国の闇の歴史とリヴァイアサンは密接に繋がっていた。簡単に言えばそんな事件だったのである。
 そんなわけなので、どうも事件の解明という感じは無く、むしろ隠された歴史を紐解くと言った印象で、「犯人はお前だっ!」みたいな高揚感や「な、なんだってーっ!!」的な驚きは無く、割と淡々と進んでいく。
 そういった中で、ヴィクトリカの生まれや孤独、そしてこれからのことを暗示していると言った内容になっていて、まぁ続きを気にさせるような感じにはなっている。
 だからと言って某が特のおもしろかったとかも無く、今ひとつ盛り上がりに欠けるのはいつものこと。もうちょっと何かあれば良いとは思うのだけど、まぁ原作もこんな感じと言えばこんな感じであるので、こんなもんなのであろう。

 しかし、感じて想う所がなければ感想は書けないわけで、せめて久城なりヴィクトリカなりに感情移入できる部分が欲しいところだ。
 物語上は彼らの繋がりを重要視してはいるのだけど、見ている分にはあまりそうは感じることはなく、勝手に仲が良くなっているという印象の方が強い。
 まぁ物語の方は追わなくてはならないし、同時に彼らのことも描かなくてはいけないし、しかも尺の制限もあるので大変だとは思うのだけど、もっとふたりの時間を多くとっても良いような気がしますな。
 この物語はむしろ事件云々よりも久城とヴィクトリカがどうなのかの方に重点が置かれているような気がするし。
 とはいっても、原作と平行して9月には物語を終わらそうとしているんだから、いろいろと大変なんだろうなぁ、内部は。私のようにただ見ている者は気楽なもんである(苦笑)。


第16話 落下させるマリアは蠅の頭をもつ

舞台に移動しただけのような……

 そんな今回のお話は…
 ヴィクトリカが消えた…。ブロワ侯爵によって、「ベルゼブブの頭蓋 」と呼ばれる人里離れた修道院に連れていかれてしまったのだ。
 心配のあまり、意を決して迎えに行くことにした一弥は、列車のなかで同じ修道院を目指す人々と出会う。
 彼らの目的は、そこで開かれる秘密の夜会、ファンタスマゴリアだというが…。
 以上公式のあらすじ。
 お話は学園から消えたヴィクトリカを久城が探し辿り着く。という内容。
 あらすじにあるように、その存在のため「ベルゼブ部の頭蓋」と呼ばれる所へ軟禁(?)されたわけだが、そんな彼女を久城が追うってだけの話だが、一応今回からの事件のフラグと言うか、何かが起こりうる兆しを見せている。
 正直に言うとそんだけで、今回何か事件が起きたわけではないからなぁ。まぁヴィクトリカが移送されたというのは事件かもしれんが。
 原作がどうだったかは正直覚えがないが、どうせなら、久城がヴィクトリカの元に辿り着くまでに、何かしらのドラマがあってもいいような気がするのはきっとオレだけではあるまい。
 せっかくいつもいるはずのヴィクトリカが消えてメッセージを残していったのなら、そのメッセージに何かヒントがあってもいいような気がするし、なにやら曰く付きの怪しい場所に行くんだったら、そこへ行くまでに不安を煽りたい。
 いく先々で久城を襲う不幸、それにまつわる目的地、そこにとらわれているであろうヴィクトリカ。……となっていたら今のよりかは少しはドキドキハラハラするし、続きが気になるような気がするんですがね。
 まぁ原作があって話を端折ることは出来ても、そう簡単には変えることが出来ないのは重々承知しておりますが、ひとつのお話の中での見せ所や盛り上がりがあってもいいだろう。正直に言うと、このアニメには全体的にそれが無いが。
 このままでは終わって2週もすればアニメをやっていたことさえ忘れてしまうような、そんな気がします。こういう特徴があった。ここが良かった。というのが全く無いのは寂しい限りだ。

 ホント、感想書くのがつらいんですけど。あと8〜10話もあるんか。厳しいのう。


第17話「螺旋の迷宮にその箱はねむる」
第18話「漆黒の列車はいくつかの嘘を運ぶ」


見事にフルスピードだったので、2話いっぺんに感想。

 そんな第17話「螺旋の迷宮にその箱はねむる」のお話は…
 ヴィクトリカを無事見つけ出した一弥は、彼女の口からブロワ侯爵の目的が、コルデリアをおびき寄せることであると聞かされる。
 折しもファンタスマゴリアでは様々な「奇跡」が行われていた。ヴィクトリカはそのトリックをあっさりと見破ってしまうが、修道院の院長は強硬な姿勢を崩さない。
 やがてヴィクトリカたちの目の前で「奇跡」を装った殺人が行われる…!
 続いて第18話「漆黒の列車はいくつかの嘘を運ぶ」のお話は……
 ベルゼブブの頭蓋から逃げ出す人々を乗せた列車「オールドマスカレード号」。一弥とヴィクトリカは、孤児、かかし、木こり、騎士と名乗る者たちと乗り合わせた。
 しかし、その真の姿はオカルト省と科学アカデミーの手先。彼らは、かつてロスコーが修道院に隠した形見箱を手に入れようとしていたのだ。
 そんなとき、ヴィクトリカたちの客室が突然、暗闇となり――!
 以上公式のあらすじ。

 何はなくとも見事なフルスピード感。話を収めるのに必死だぜ!みたいな感じであった。
 前回から引き続きの第17話はホント特になんもなく、まぁヴィクトリカの父ブロワ公爵とか出てきて、政治的なことにヴィクトリカや母であるコルデリアが巻き込まれていることを示してはいるのだけど、話の流れがどうにも断片的なのでなんとも思う所もなく、あれよあれよという間に終わってしまう。
 18話の方も似たようなもので、乗り合わせた4人が嘘をついている、ということがポイントなのだけど、それを気にする暇もなくフルスピードで展開していって終わってしまった。
 このヴィクトリカの移送から始まった16〜18話は、どうも舞台であるソヴュール王国のオカルト省と科学アカデミーの歴史と対立が、話の大きく関わってきているのだけど、見ていてヴィクトリカと久城がそれに巻き込まれている感じが全くしない。今までオカルト省なりアカデミーなりがどうこうという所がなかったからなぁ。
 だから重要アイテムとされている形見箱がそんな大事なもののように感じられないし、それを巡るあれやこれやに興味がわかない。正直「ふ〜ん」で終わってしまったよ。
 そんな大事な形見箱の謎をヴィクトリカが解き、それがジュピターなんちゃらのものだと言われても、「えーっと、それ誰でしたっけ?」と思ったのは私だけではあるまいて。
 18話の乗り合わせた奴らの嘘ってのも、本来は彼らから語られる節々からどういったことなのだろうかと探るのがおもしろいわけで、そんな間もなく一気に話は進行し、どういうことなのかが分かってしまっては、彼らの言葉や行動からどういうことなのかを考えようとしていた自分が馬鹿みたいだ。
 もうちょっとタメのような、乗り合わせた4人について食い付かせるような間があっても良かったんじゃないでしょうか。
 まぁ秋には物語を終わらせるという使命と尺の都合がありますので、端折らなければならないのは分かるんだけど、見ていて思う所がなくては見ていて退屈だ。

 正直な所、このアニメから原作のどういう所を見せたいのかというのが伝わってこなくて、ただただ話を追っているように見えてしまっている。
 そのため物語全体に抑揚がなく、ひとつひとつの話に盛り上がりがない。なんか無難に収めてしまっているという印象だ。
 だからどこかが強く印象に残るでもなし、特徴のないものになっている。どうせなら「オレたちは原作のこういう所をみんなに知ってもらいたいんだ!」みたいな、こういう所は突き抜けてるという部分があってもいいのではないだろうか。

 本来はこのアニメはハルヒのように、原作がたくさん売れるようにという角川の腹づもりの産物なわけだけど、このアニメ見て原作が売れるとは到底思えん。
 このままでは、単に原作のあらすじアニメになってしまうような気がします。っていうかもうそんな感じだよなー。


第19話 薔薇色の人生は新雪に埋もれる

やっと最終章の始まりか。

 そんな今回のお話は…
 ソヴュールに来てはじめての雪にはしゃぐ一弥は、ヴィクトリカにプレゼントを買うためソヴレムに向かう。
 そこでは、舞台『ソヴレムの青い薔薇』が上演されようとしていた。かつてコルデリアが、踊り子として舞台に上がっていた場所でもある劇場”ファントム”。
 ヴィクトリカ誕生の秘密が、母・コルデリアの過去と共に幕を開ける――。
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはあらすじにある通り、ヴィクトリカ生誕秘話とコルデリアの過去の紹介、そして最終章へのプロローグといったところ。基本的にはコルデリアの過去を追って見せている。
 まぁ正直な所、上記一文で事足りるような内容で、途中もうすぐ勃発する第二次大戦のためは離れてしまうこととなるヴィクトリカと久城を象徴するようなシーンとかもあったけれど、これまで特にこのふたりに感情移入するわけでもなかった自分としては、もういいから話進めたら?と思わずにはいられなかった。
 メインである所のコルデリアの過去も、さして「な、なんだってーっ!」というようなこともなく、こういう流れだったんだなぁ程度であった。
 コルデリアの悲痛の叫びは聞いていて気持ちのいいものではないし、まぁ不幸な出来事としてはそれが上手くハマってはいたけれど、特にコルデリアにしてもヴィクトリカにしても、可哀想とか不遇な境遇に感情移入するでもなく淡々と流れていった。
 コルデリアの叫び声がとても苦しげで、ブロワ公爵の人を人と思わないような残虐性を物語るのはいいものの、今回のお話として、その叫びくらいしか印象に残っていないってのはどうなんだろうな。

 とまぁ相変わらず書くことのないお話であった。
 だが、最後の謎はソヴュール王国の王女が謎の死を遂げた事件の解明ということで、これまでにない大きな謎はどんなもので、どう混沌の再構成をしてくれるのかは楽しみではある。
 しかしなんだな。一本分のアニメとしては随分物足りないなー。ホント書くことねぇ。だが感じて想う所がなければ感想を書こうにも書けんというもので、せめてこの最終章はもうちょっとなんとかしていただきたいものだ。


第20話 ファントムの幽霊に導かれる

いや……入れ替わりだろ。

 そんな今回のお話は…
 劇場ファントムで上演される『ソヴレムの青い薔薇』。それは、悲劇の王妃、ココ・ローズを描いたものだった。
 その王妃殺害事件の真相を暴くため、ブロワ侯爵によってヴィクトリカが劇場に連れてこられる。なぜ、彼らは王妃殺しの犯人を追うのか・・・?
 オカルト省の思惑が渦巻く場所で、ヴィクトリカに危機が迫る・・・!
 以上公式のあらすじ。

 そんなわけで最終章な混沌なんですが、トリックは分からなくても入れ替わりだってことはくらいはこんなオレでも分かる。いや待てよ?もしかしてそれこそが釣りなのか?
 などと一瞬思ったが、そんな凝った事してこないような気がしてきました。もうむしろ、そんなふうに思っているオレを嘲笑うかのような引っかけであった方がおもしろいのだがなぁ。
 それはともかく、お話としては王妃殺しの犯人はおそらく王だと睨んでいる侯爵が、ヴィクトリカによってそれを解明し、更なる権力を手に入れようとするのだが……みたいな感じ。
 しかしなんだな。話としては興味を引く所が全く無く、ヴィクトリカと久城の関係で何かしらあるわけでもなく、これまでの物語としてここまで連綿と続き引っぱって興味を引いてきた所があるわけでもなしで、それでこのお話をどう楽しんでいいのか正直よく分からない。
 唯一興味を持っていることと言えば、ヴィクトリカが最後にどうカッコよく探偵役をしてくれるのかくらいなのだけど、これまでここぞという解明編で良い盛り上がりを作ってきたわけでもないこのアニメで、それを期待してもしようのないことだろう。
 だからと言って上記したように、それ以外の所でさして興味を引かないのだから、もうなんかどうしたら良いのかよく分かんないな(苦笑)。
 物語全体でも、ひとつひとつのお話の中でも、どこか「最終的にどうなるんだろう?」とか、「ここだけはどうなるか知りたい」とか思う部分があってもいい。
 いつも淡々と進んでいって淡々と終わっていってしまうので、何かひとつでも「ここだけは他のアニメに負けない」というような部分があればいいと思うのだがなぁ。
 
 せめてもうちょっと話の中で抑揚があれば良いのだけど、まぁ今更の話である。やれるんならすでにやっているはずだし。


第21話 聖夜の鐘は刻を追いたてる

 あれ?終わっちゃった。

 そんな今回のお話は…
 一弥によって助け出されたヴィクトリカは、王妃殺しの真相を突き止めようと、決意も新たにかつて踊り子だった女性の墓を暴く。
 そこに眠っていたある重大な混沌の欠片を得たヴィクトリカは、今まさに上演されているものとは違う、もう一つの王妃ココ・ローズをめぐる物語を語り始めるのだった…。
 以上公式のあらすじ。

 最後まで引っぱる事件のなのかと思いきや今回でキレイに終わらせてしまった。が、事件の解明編としては結構興味深く見た。
 お話としてはその事件の解明をメインに、オカルト省のブロワ侯爵と犯人である王と彼を守る科学アカデミーのジュピターロジェの思惑、そして隠された真実と、上手く組み上がっていて普通に見れた。
 ブロワ侯爵の思い通りにならないよう王と国を庇うヴィクトリカに、現れるロジェと共に事件の真相を語り、最後に事件の裏に隠された真実を見せ、割と陰惨な事件を最後に良い話に変えてしまった構成力は見事だ。まぁその辺はさすが桜庭一樹なのだろうが、アニメとしてこの話を1本に無理無く収めた技量は素晴らしいだろう。
 事件としても、前回誰がどう考えても入れ替わりと分かっているものを、二重の入れ替わりで驚きとオチを作っているのも見事。あぁやられたなと感嘆したよ。
 難点があるとすれば、ここ王妃の侍女が彼女と似ていたという情報が、真実が明かされるまでなかったことくらいで、全てを解き明かした探偵役が、「犯人はおまえだ!」と突き詰める話でなく、事件に絡む権力闘争をすりぬけ、誰の状況も敢えて変えないというベストへと導くヴィクトリカの思慮深さはとてもらしくて良いし、ミステリとしても犯人とそのトリックを関係者の前で暴き白日の下に晒すだけが探偵の役ではなく、時間はとうに経っているし、わざわざほじくり返していらない騒動を起こさない、隠れたままの真実があっても良いのだ。
 全てをさらけ出し「わーい!すっきり」なのが普通だが、そうではないこのような話は割と新鮮であったし、あんまり抑揚のないこのアニメだが、こと今回に関しては淡々と進んでいく事象にぽつりぽつりと真実を相方だけに語っていく流れは、このお話の雰囲気に合っていたと言える。

 こんな感じでこれまでも作っていてくれていたのなら、全体的にもうちょっと楽しんで見れたのになーと思うと残念ではある。
 あと3話残ってますが、後はどうやって終わらせるかだなー。せめて上手く締めてくれることを願いたい。


第22話 クリスマス・キャロルは窓辺の幸いを飾る

やっと最終章ですよ。

 そんな今回のお話は…
 オカルト省の地下に囚われたヴィクトリカ。折しも、ヨーロッパには2度目の世界大戦の嵐が吹き荒れ始めていた。
 戦争を望むブロワ侯爵は、ヴィクトリカをソヴュールの未来を占う「モンストル・シャルマン」として利用し、国王や民衆を操り動かしていく。
 ソヴュール、そして世界全体が戦いへと向かうなか、ヴィクトリカは一人、一弥に貰ったペンダントを握りしめ続けていた。
 以上公式のあらすじ。

 もっかい見るのが面倒なので、記憶を便りに書いてみようかと思ったんですが、印象に残っているのが、まんまとオカルト省の術中にハマった久城を図書塔から見下ろすヴィクトリカが嗚咽を漏らす所くらいしかなかったりして、まぁ話的にも始まろうとする第二次世界大戦を前に、ヴィクトリカはオカルト省ひいてはブロワ公爵の手に落ち、久城は日本に帰っていったということが分かれば良いのではなかろうか。というか、その流れしか覚えていないのが正直な話である。
 それだけで1本分持つはずはなく、なんやかんやあったような気はするんですが、覚えていないんだからまぁ割とどうでもいいことだったのであろう。
 また見返せば、いろいろと思う所もあるんだろうとは思うんですが、いかんせん、もう一回見ようという気にならないもんだから困ったもんで(笑)、まぁ結局はそんな程度なのであろうと思う。おもしろかったならば何回でも見るわけだしね。
 でも印象としては、これまでのお話がこの最終章へきて集約されてきている感はあり、今までの事柄が繋がってくるおもしろさはある。のだが、正直な所を言えば「やっとかよ」という気にはなる。
 これまでがあまりに退屈過ぎて、今のこの展開を見ている人がどれくらいいるかが疑問だ。
 最終的にいろいろな事柄が合致するのは良いんだけど、それならそれで、途中で興味をぐっと引きつけるようなものが欲しかった所ではあるな。
 
 まぁなんにせよ、後2回で終わりですよ。2クール、長かったなぁ。


第23話「灰染めのチェスにチェックメイトを告げる」 
第24話「死神の肩越しに永遠を見る」


時間的関係で2話いっぺんに感想。

 そんな23、24話のお話は…
 23話─オカルト省の地下に囚われたヴィクトリカ。折しも、ヨーロッパには2度目の世界大戦の嵐が吹き荒れ始めていた。
    戦争を望むブロワ侯爵は、ヴィクトリカをソヴュールの未来を占う「モンストル・シャルマン」として利用し、国王や民衆を操り動かしていく。
    ソヴュール、そして世界全体が戦いへと向かうなか、ヴィクトリカは一人、一弥に貰ったペンダントを握りしめ続けていた。
 24話─ロスコーと共に、ブロワ侯爵の追っ手から逃げ続けるヴィクトリカ。その姿にコルデリアを重ねたロスコーは、やがて心の丈を、過去を静かに語り始める・・・。
    いっぽう、兵士として前線に赴き戦っていた一弥は、離れた場所からもヴィクトリカのことを想い続けていた。
    歴史の大きな流れによって、離ればなれになってしまった2人。やがて時代は春を迎える――。
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはこの23、24話は良く出来ている。23話の方はブロワ侯爵関連に決着を付け、24話で離ればなれになっていた久城とヴィクトリカをどうするかという流れ。
 前回にも書いたが、ここへ来てようやくこれまでのことが集約して様々な事柄を動かし、まぁ随分と駆け足な感じではあったものの、いろいろな因果の決着を見せていて見ていてとても興味深かった。
 囚われたヴィクトリカはコルデリアと入れ替わり逃避行へ、コルデリアはブロワ公爵との因縁に決着を付ける。双子であったロスコーは、一方はコルデリアと運命を共にし、もう一方はヴィクトリカと共にソビュールから離脱する。
 しかし、ヴィクトリカと共に逃げたロスコーは、コルデリアの心配の元であるヴィクトリカがいなくなることが彼女の幸せと考えており、ヴィクトリカを殺そうとする。
 園話の展開よりも見せたいのは、ここでヴィクトリカが命乞いをすることであろう。いつ死んでも良いと思っていたヴィクトリカ出会ったが、久城と出会い、そして愛し、ただ謎とを解くだけの灰色狼ではなくなっていた。ま、それはちょいちょい前からそういう所を見せていて、久城と出会い変わったヴィクトリカを見せている。もう彼女は灰色狼ではないのだ。
 そんな彼女は一途に久城を重い逃避行を続けるが、乗船の際のヴィクトールが良い。彼に見つかりすわと思いきや、ここで平和だった頃、目の前のヴィクトリカを無視し久城に話をする、それと同様のことをして見逃す彼の粋な所が良い。彼は前々回に、オカルト省の術中にまんまとハマった久城を見て絶叫するヴィクトリカを見ており、また過去のシーンで、人の愛を理解しない彼女を知っているので、ヴィクトリカの心境の変化に一番気付いていたことだろう。なんだかんだで優しい男なのであった。
 そして世界大戦は終戦を迎え、日本に帰ってきた久城を待っていたのは、ビロードのような金髪を逃亡のために脱色(?)し銀髪に変えたヴィクトリカであった。
 何話だったかは忘れたが、久城を見つけようとして見つけられなかったヴィクトリカというシーンがあり、あの時探し出せなかった彼を、今度は逃避行の果てにしっかりと彼の元に現れた。
 まぁこの辺の展開は見ていて分かるものではあったものの、またヴィクトリカに会うために戦場で生き抜こうとする久城と、彼を想い旅を続けるヴィクトリカを見せているので、見ていてああ良かったなぁと思わせてくれる。
 焼け野原となった日本で手を繋いで歩くふたりで終わるのだが、これからきっと色々あるだろうが、ふたり一緒なのだから幸せなんだろうと思わせる気持ちの良いラストシーンであった。

 と、いうわけで、全体的な感想としては、このアニメ、結構退屈である。
 ひとつひとつの謎の関連性は最後にくるまでよく分からなく、またその事件がどうなるんだろうとか犯人は誰なんだろうとか、そういうことを思わせてくれないあっさりっぷりが原因のひとつだろう。
 最後まで見てみるとむしろその辺はどうでもよくって、久城とヴィクトリカがどう関係を繋いでいくかの方に注力していたように思える。
 しかしその割りに、序盤は仲の良いふたりを前提に話が勧められているように見受けられ、その後深まっていくイベントを見ても、変わっていくふたりの関係性があまり見えてこなくてどうにも乗り切れなかった。正直、22話からの最終章までと第1話のふたりがそれほど関係性に違いがあるようには思えない。
 事件よりもそっちに力を入れるのであれば、もっと細かい心理描写が必要だろうし、いる必要があったのかよく分からなかったアブリルももっとふたりにちょっかい出してもいいだろう。アブリルは正直な所、いなくても何ら問題ないような気がするのはちょっともったいない。
 ひとつひとつのお話しとしても、盛り上がり所というのがあまりなく、なんかぼんやりと画面を眺めていた時間の方が多かったような気がする。それ故に事件でそういう所を作ればいいと思ったのだがなぁ。このアニメには、「これぞ」という見所がない特徴のアニメになってしまっているのは残念だ。
 個人的には、もういっそのこと、久城とヴィクトリカの楽しい学園生活だけの1クールで終わってくれた方がおもしろかったかもしれない。
 ともかく、終盤に入るまでの退屈さや、全体通しての盛り上がりの無さは、ホント途中で見るのやめようかと思ったくらいつらかった記憶がある。
 正直2クールの時間使ってまで見るものではないよなぁ。どうしてもこの物語が知りたいって言うのであらば、原作読んだ方がよっぽどおもしろい……とは思うのだが、一冊二冊ほど読み返してみたけど、結構退屈な話だったりするんだよな(笑)。
 そういうことを考えると、結構このアニメは原作に忠実だったのかもしれないな。


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