マリア様がみてる 4thシーズン 1〜13話

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第1話 学園祭はショック2

思っていた以上によく出来ている。

そんな今回のお話は…
祥子の提案で、今年の学園祭は「とりかえばや物語」を上演する事になった山百合会。
そっくりな妹弟が入れ替わる話で、その役は当然、祐巳と弟の祐麒がやる事に。
瞳子と可南子にも学園祭の手伝いをしてもらう事になっていたが、瞳子はかけもちしている演劇部の芝居を降板した事を隠し、
男嫌いの可南子は花寺学院の男子生徒と芝居をする事が苦痛で、劇には出たくないと祐巳に告げる。
祐巳にとっては祥子と姉妹(スール)になって一周年の大事な学園祭。
特別な一日が近づいているというのに、祐巳は祥子との一周年の日に何をするかを考える余裕がなく…。
以上公式のあらすじ。

お話は3rdシーズンOVA最終巻「チャオ!ソレッラ」の後、「特別でないただの一日」の半分まで。
当然、本の内容を全部やると1クール使い切ってしまうので(個人的にはそれはそれでおもしろいと思うが)、
ダイジェストではあるものの、それを感じさせない見事な作りであり感心しました。
ようはおいしい所取りなのだけれど、上手くつまんだ上で綺麗に並べて流しているのが上手い。
全体的に見てリリアン女学院という割と普通でない(笑)学校のスクールライフがよくわかるようになっていたと思う。
いや、スクールライスというよりはマリア様がみてるってどんな感じなのか、というのがよく表れていた。
正直社会人から見れば、閉鎖された社会である学校内のことなんて、今の自分が見ればなんてことはない事ばっかなのだけど、
学生時分ではそれが全てであって、端から見てなんでもないような事を、マリア様がみてるの世界観とあわせた学生達が、
おもしろおかしく(?)なんとかするのがおもしろいのだ。
でもまぁ、祐巳みたいにこんな苦楽共に充実した学校生活を送っているヤツなど実際にはいないだろうが(笑)、
だからこそ「いいなぁ」と思えるものがあるわね。

そんな全体的な所も良かったが、個人的な所としては祐巳がとても主役らしくておもしろかった。
数々の名キャラクターがいる中、主役のくせに個性としてあまりぱっとしない彼女。
そんな彼女の武器は天然で恐ろしく純粋である所。
端から見れば、設計事務所経営の父を持つ祐巳はある意味「社長令嬢」で、
格式高いとされるリリアン女学院に幼稚舎から通っているわけだから、割と「裕福なお家のお嬢さん」なのだけれど、
彼女自身は時分を「庶民派」等と言い、たぶん周りは「なに言ってんだーこいつー」と思われながらも(笑)、
その天然と純粋さ故に周りから愛されている。
おそらく端から見たら随分と幸せそうに見えるのであろうし、本人が気付いていないだけでホントに随分幸せなんだと思う。
だから瞳子や可南子の無防備云々や天使のような……は、かなり的を得た発言なんだろう。
そんな彼女が本人の自覚していない所での武器、天然と純粋さで、
瞳子の演劇部の芝居降板という問題を押し切ってしまうという描写が、実に祐巳という人物像を表していてとても興味深かった。
どーでもいーけど、この辺りからの祐巳は初期と比べると随分しっかりとしてきて、
最初の頃に祥子さまの言動に一喜一憂右往左往していたのを読んで、また見てきた身としては結構感慨深いですな。

今週の白薔薇。つか志摩子さんと乃梨子。
わたくしこととみーと言えば白薔薇原理主義者ということで、志摩子さんと乃梨子に注目せざるを得ない。
が、しかし、この辺りの白薔薇さんは見事な背景と化しており、処遇を案じておりましたが、やはりそのような結果で残念の一言です。
乃梨子は瞳子絡みでちょいちょい出てくる事もあり、今回も瞳子の演劇部降板問題を真っ先に祐巳へ知らせたり、
事後ににっこり笑顔で会釈したりと、それなりの出番であったが、我が崇拝する志摩子さんときたらもう。
まぁ、それでも出番を作ってもらっていたと思える所もあり、とりあえずはまぁ、良しと言った所か。
いやしかし、そんなことはどーでもよくて、やっぱ志摩子さんと乃梨子はかーわいいーのである。
マリみてのキャスティングは天才的だなーホント。


第2話 特別でないただの一日

可南子の所、あっさりしすぎじゃね?

そんな今回のお話は…
学園祭当日。先代紅薔薇さまの水野蓉子、先代白薔薇さまの佐藤聖も母校の学園祭へやってくる。
二人は、どうしても中に入りたいと塀を登ろうとしている少女と出会う。
一方、祐巳は二年松組・藤組の共同模擬店の当番を終えて祥子のクラスへ行くが、肝心の祥子は不在。
途中で合流した蓉子と聖と一緒に待っていると、会いたくない人がいたと可南子が飛び込んでくる。
そこへ戻ってきた祥子は、可南子を保健室に連れ出す。
演劇部に戻った瞳子の舞台、山百合会の「とりかえばや物語」も無事に終わり、
慌しい学園祭を終えた祐巳と祥子は一周年のその日を迎える。
以上公式のあらすじ。

随分と駆け足で進んでしまったという印象。
前回、確認の為につい読んでしまった原作の所為なのか、イベントを消化していっただけのように見えたよ。
見た感じでは初見の方もそんな感想を持ったんじゃなかろうか。
ま、確かにこの「特別でないただの一日」は後半見所がたくさん仕方ない事なのかもしれんが、
どこまでやるつもりなのかは知らないが、もう1話分くらい引っぱっても良いような気がしますな。
特には冒頭に書いたように可南子の所がエラいあっさり進んでしまって、
この後めっきり出番が減ってしまう可南子を思うと、保健室でのことはもっと尺を取るべきだったんじゃなかろうか。
盛り上げどころとしても、その後の祐巳が演劇部の終演後の瞳子を引っぱり出すシーンにあてられていて、
思わず「そっちかよ」と突っ込んでしまいました。
瞳子関連は、どーやったってその後にイベントが山ほどあるので、だからこそここは可南子に譲ってやって欲しかった。
と、当時瞳子より可南子派だった私は思ったよ(笑)。

他、気になったところ、というか、原作読んだときから思っていたのだけど、
可南子の親権って父親が持っているってことだよね?夕子の子供を妹だと紹介したわけだから。
大概、離婚となって子供の親権の話になると母親が持っていく事がほとんどらしいのだが、
それを考えると仕事一筋の母親は親権放棄したって事なのかなー。
そー考えると随分な母親だなー。父親はさして仕事してなかったわけだからお金に余裕などなかろうに。
それに父親と夕子が新潟から来た云々と言っていた所を見ると、可南子は寮生なのかしら。
可南子はその辺のバックボーンがまるで語られていないので、もちっとなんとかしてあげて下さい、今野先生。
それ以外としては夕子先輩だろうか。
この夕子先輩は祐巳に似ているという設定なのだけど、中の人川澄綾子さんが実に祐巳らしい演技をしていて感心した。
あと個人的な所では、タクヤ君と志摩子父の話は入れて欲しかったな。一瞬このふたりが通り過ぎるカットはあっただけでは寂しい。
というか、父を見た志摩子さんがまた「あぁ……orz」となっている所を作ってくれれば良いのに。気が利かないなぁ(笑)。

今週の白薔薇(佐藤を除く)
私は佐藤とか言うヤツがあまり好きではないのです(笑)。しまのり最高です。
そんな志摩子さんと乃梨子は……特になんもねぇな。orz
縁日村での浴衣志摩子さんはうっとりするくらいお美しかったが、それだけではあまりに寂しい。
次回は泣き乃梨子が堪能できますが、瞳子絡みだからなー。白薔薇原理主義者としてはつまらんのです。


第3話 妹(スール)オーディション

そんな今回のお話は…
姉妹(スール)になって一周年目の日に祥子から妹を作るように言われた祐巳だったが、
自分が誰かの姉の立場になるという意識はまだ持てないでいた。
そんな中、おなじく妹のいない由乃がオーディションで妹を選ぶ、と言い出した。祐巳は乗り気ではなかったが、
一、二年生を対象とした茶話会という形で行うのを条件に参加する事にした。
参加者はリリアンかわら版で募集することになったのだが、
一年椿組では祐巳の妹候補だと噂されている瞳子に対しての風当たりが強くなっていた。
同じクラスの乃梨子は瞳子が心配になり、なんとか力になりたいと思うのだが…。
以上公式のあらすじ。

お話は原作「妹オーディション」の半分まで。
当然今回もいいとこ取りではあるものの、前回のようなただただイベントを消化していった風ではなく、
要所要所を上手くつまんでつないであるし、変える所は少し変えて、流れとしては割と自然ではあるとは思うが、
原作知らない人にはなんだかよく分からない所があったんじゃなかろうか。
それはひとつ目として、由乃がオーディションをやる理由に先代黄薔薇の江梨子の事を出したシーン。
既読の自分としては、そこは上手く見せたなと思ったが、知らない人にはなんのこっちゃようわからんでしょうな。
それと後半、祥子さまが瞳子を呼び出してからのシーンで乃梨子が一緒にいたこと。
本来、一対一で話すべき事に何故乃梨子がいたのかは、祥子さまが「乃梨子ちゃんも一緒にいらっしゃい」と誘ったからなのだが、
それがないので、ちょっと不自然な印象を受けてしまうよな。
うん、まぁ、このアニメ見ている人で原作読んでいない人の方が少ないであろうから、そういう前提で作ってあるんだろうが。

さて、私としましては、今回は瞳子が実に瞳子らしく天の邪鬼な所が出ていて感心。
ま、天の邪鬼という表現が適切かどうかは分かりませんがねー。私には彼女がそう見えて仕方ない、特にこの頃は。
原作のどの本だったか忘れてしまったが(探すの面倒)、瞳子は自分でナイフ持って振り回して、自分を傷つけて帰ってくる、
みたいな人物評を演劇部部長がしていて「おお、言い得て妙」と思ったものです。
そんなとってもやっかいな子らしく見えるのが上手い。
乃梨子が祐巳の妹になりたいと思っているかと聞いた後の表情が、「こいつ厄介だなー」と思わせてくれる。
話のメインが今後、祐巳と瞳子という所で回っていくはずなので、その瞳子の厄介さを印象づけるという所が上手いのだ。
個人的にはそれを受けての乃梨子、さらにその乃梨子を受けての志摩子さんがいいのだが、それは今週の白薔薇で。
あとちょっと気になった所として、流れは原作通りではあるんですが、可南子はちょっともったいないですよね。
この人もクセのある人物で、一年生の主要キャラとして、乃梨子、瞳子とこの可南子は、
二年の祐巳らに負けず劣らずのトリオでおもしろいと思うんだけどなー。
これからしばらく出番がないのはやはりもったいないですよ、今野先生。

今週の白薔薇
冒頭に書いたけど、乃梨子は可愛くはあるんだけど、むしろかっこいいのだ。
と私は思っていて、女の子女の子しているこの物語で、友の為に涙を流せる熱いヤツなのです。
ものすっごいツンツンしてる瞳子に敢えて力になりたいと言ったり、おせっかいはやめるとして応募用紙を破いたり、
まるで少年誌のヒーローのように、扱い辛い友に世話焼く姿が良いよな。
また彼女は頭脳明晰、成績優秀、他人を良く見ていて機敏に富み、
間違っていると思ったら上級生であろうと意見を唱え、しかし徒党を組んで群れたりしない。
乃梨子は二年生になったら上からも下からも好かれそうですよねぇ。
どうも同学年からも好かれているようで、前回説明がなかったが、学園祭で彼女のクラスの出し物は、
乃梨子の仏像好きが発端で「他教のそら似」(だったっけ?)なんてことやっているわけだから、そりゃもうすごいカリスマですよ。
(この件に関してはきっと当の乃梨子としては「何故食いつく?」と思っていた事でしょうが)
そんな乃梨子をそっと支えるのが我らが志摩子さん。
他の人たちが気付かない乃梨子の言動の真意を察知し、抱えている気持ちを吐き出させる辺りはもうさすがとしか言いようがない。
暗中模索する紅薔薇、ワザとぶつかって確認する黄薔薇とは違い、常に分かり合っているこのふたりには「いいなぁ」と思わずにいられない。
ま、そんなふたりだからスールになった時以来、大したイベントがないわけですが……(苦笑)。


第4話 未来の妹

由乃は甘いなぁ。

そんな今回のお話は…
妹探しの茶話会は総勢27名が参加することになった。
姉妹を探す、という名目で行われたのだが、実際には祐巳と由乃目当ての一年生ばかり。
そんな中、祐巳は山百合会に憧れる一年生、内藤笙子と出会う。
茶話会翌日は令が所属する剣道部の交流試合。先代薔薇さまの蓉子、江利子、聖も観戦にきていた。
由乃は江利子に交流試合で妹を紹介すると約束をしてしまっていたのだが、
結局茶話会で妹を見つける事ができなかった為、なんとか江利子から逃げる手立てはないものかと頭を悩ませ…。
以上公式のあらすじ。

お話としては当然原作通りなので特にない。が、100頁くらいの要所要所を上手くつまんで21分30秒に落としてある。
とは思うものの、この「妹オーディデョン」の目玉である由乃の妹候補である有馬菜々の関連は、もうちょっと尺を取っても良いように思えた。
メインである紅薔薇ではないとはいえ、ちょっとあっさりしすぎていた印象だ。
と、いうわけで話と知っている身としては、特にお話として何がどうという事はないのだけど、
改めてアニメでこの話を見て、冒頭の一言を思ったのであります。
「令ちゃん挟んであっちとこっち。永遠のライバル」などと言っておきながら、由乃は江利子の事を分かってねぇ(笑)。
あのおもしろそうな事に異様に食いつく「すっぽんの江利子」(笑)が、
由乃が自分に妹を紹介すると成り行きで出たでまかせをなんとかするというイベントなんて忘れるわけないじゃないですか。
速攻逃げるという計画も完璧超人と称される先代薔薇様の一人である江梨子なら対策立てるであろうし、
(むしろワザと逃がした方が後々イヤミ言えて楽しいと思うかもしれないし)
トイレの個室に閉じこもってあきらめるのを持つにしても、そんな事されたら逆にヤツぁ絶対にあきらめませんよ。
まぁ、由乃はテンパッていたのでそこまで頭が回らなかったのかもしれませんが。
なんにせよ、江利子は由乃のそーゆーところがおもしろくてつっかかってくるわけで、彼女なりに可愛がっておるわけですが、
由乃にしてみればいい迷惑というか、由乃はその辺を全く理解していない辺りの関係性がおもしろいわね。

それとは別に興味深かったところとしては、茶話会で仲良くなった一年が薔薇の館に手伝いにくるというシーン。
ここは薔薇の館がいかに異質かがよく表れていておもしろかった。
だってさ、高校生なんて劇中の一年生みたいなものでしょう?たかだか15、6の小娘だもの。まぁ、たしかに非常識ではあるが。
祥子さまはあの通りの人なので別格としても、割と現実とは別世界の箱庭リリアン女学園の中でもさらに別世界だよなぁ。
そら一般生徒が寄り付かんわ。

ところで、祐巳達が二年生になってから常々思っているのだが、祐巳が一年生に絶大な人気がある理由がよくわからない。
親しみやすい、という理由だけであんなに好かれるものかね?
劇中で特別美人というわけでもなく、カリスマを見せつけるような何かを全校生徒に見せつけたわけでもないし、
まぁ、美人で大金持ちの祥子さま、女子校でモテそうなルックスでスーパースターの令ちゃん、
超絶美人で敬虔なカトリック信者の志摩子さん、美人だが気性の荒い由乃ら面々と比べると、
話しかけやすいことはあるだろうが、そうまでに人気が出る理由になるとは思えないんだよなぁ。
既に薔薇様として頂点に君臨している祥子さまと令ちゃんは除くとして、
憧れる云々なら志摩子さんに集中しそうな気がせんでもないのだが、そこはもう乃梨子という決まった人がいるから、
由乃、祐巳の二択でいえば……というところなんでしょうかねぇ。
そう考えると、由乃は普段どんだけアグレッシブな行動をしているというのだ(笑)。
一年生に引かれているってことなのか?(笑)

あと、どーでもいー所としては、可南子と瞳子が一緒に剣道の試合を見に行っているのだけど、
これは一体どういう状況でそうなったんでしょうね?
私のこのふたりのイメージとして考えると、ふたりで仲良く「ねぇねぇ、令さまの試合見にいこーよ!」等となるわけがないのだが。
やはりそこは間に入るであろう乃梨子が二人を誘ったのだろうか?でも誘う理由が特にないのよね。
まぁ、すごーく冷静に考えると、先代薔薇様が由乃の妹当てゲームの為に配されているのだけどもそれはそれ。

今週の白薔薇
うぉ、全然出番ねぇ。エプロン姿は新鮮ではあったが。
どーせなら、そのお姿でお茶配ったりしている所を見たかったなー。
そーいえば、剣道の試合でふたりは何故、先代薔薇様達とあんなにはなれた所に座っていたんだろうか。


第5話 紅薔薇のため息

紅薔薇だけ!?

そんな今回のお話は…
「試験休みに、遊園地に行きましょうか。」
祥子の提案で遊園地デートをすることになった祐巳と祥子。
2人で電車に乗って楽しい時間を過ごしながら遊園地へ向かったが、
なぜか遊園地の前では柏木優と祐巳の弟・祐麒が2人を待っていた。
邪魔が入ったようで面白くない祐巳だったが、柏木の事はなるべく気にしないように、遊園地デートを楽しむことにする。
ところが、人が大勢いる場所が苦手な祥子は倒れてしまい…。
以上公式のあらすじ。

原作「薔薇のミルフィーユ」からサブタイ通り紅薔薇の話をチョイスした格好。
ちなみに「薔薇のミルフィーユ」は黄薔薇、白薔薇、紅薔薇の三つのエピソードからなる本なのですが、
前回の次回予告で黄薔薇の話はちょいと紹介した格好ではあったが、白薔薇は完全スルーかよ。
白薔薇関係は今週の白薔薇でかたるとして、今回のお話としましては、普通に普通だったということくらいしかないなぁ。
さすがにもう随分前のお話なので、見ながら「ああ、こんなだったなー」と思いながら見ていたですが、
特に展開がどうこうするわけでもないので、これといってなにもなく。
久々に見たギンナン王子にやっぱ気障だななどと思ったくらいであった。
でも、祐巳のいい知れぬ焦燥感という所ではなかなか上手く作ってあり、
祥子さまが倒れ、小笠原邸に移ってからのやりとりや、祥子さまの部屋でのふたりの会話などは、
絵がある、動く、というアニメの強みもあって、祥子さまと祐巳の絆の深さにぐっとくる。

私としましては、今回に限らずこの4thシーズンが始まってからちょっと思う所があって、
というか、それはアニメに限らずなのですが、祥子さまがとても大人びてしまっておもしろくない。
まぁ、最上級生な上に薔薇様という立場もあって、祐巳を妹にして成長した結果なのだから、むしろそれでいーのだけど、
キャラクターとして、初期の祥子さまの変にとんがった所がとても魅力的だと思っていた私には、
今の祥子さまがとても高校三年生には見えないし、祐巳とのギャップがなくて面白味に欠ける。
全体的な話の流れからして、この4thシーズンの時点で祐巳と瞳子の方へ話が移行しているし、
上記にあげた点もあって、まぁ、当然と言えば当然ではあるのだがなぁ。
有り体に言えば、祥子さまが丸くなっちゃってつまんない。ってことなんだけど(笑)。

今週の白薔薇
は、上記したように全く出番ねぇ。白薔薇エピソードがある本だというのに。
とって付けたように出てくる志摩子さん兄はどーでもいーとしても、その兄に言い寄られても毅然とした態度の志摩子さんとか、
その兄を知らない乃梨子が「志摩子さんを離せ」とナイトの如く掴み掛かる様とか、
佐藤にいいようにいじられながらもノーリアクションの乃梨子とか、「佐藤聖さまですよね」「なぜわかった」とか、
佐藤のジャケットの衿を掴んで問いただそうとする乃梨子とか見たかったのに!見たかったのに!
しかしあれだな、乃梨子と佐藤は相性悪そうだよな(笑)。絶対乃梨子は佐藤の事「ウゼェ」とか思っていることだろう。
乃梨子は佐藤のいい所を全く知らないからなー。だが、それでいい。
乃梨子には佐藤を邪険に扱っていただきたいよな。性格的に。
でもいいように佐藤にあしらわれちゃうんだろうなぁ。そんな乃梨子を見てみたい。
そしてそんなふたりを見た志摩子さんは「まぁ、ふたりは仲が良いのね」とか思ちゃうんだろうなぁ。
そんなエピソードとかどうですか?先生。


第6話 予期せぬ客人

おおっ、やられた。

そんな今回のお話は…
遊園地デートから数日、柏木に言われた言葉が頭から離れない祐巳。
そんな中、自宅に柏木から電話があり、瞳子が家を飛び出したまま戻っていないと知らされる。
心配になった祐巳が可南子や乃梨子に電話をかけようとしたとき、祐麒が瞳子を連れて帰宅した。
祐巳の家で夕食を食べた瞳子は、迎えに来た柏木の車で家へ戻っていった。
翌日、柏木が瞳子の両親のかわりに祐巳の家へお礼の挨拶をしにやって来た。
祐巳は瞳子の家出の理由を訊ねるが、それを受け止める覚悟があるかと柏木に言われ、それ以上聞くことができず…。
以上公式のあらすじ。

お話は原作「未来の白地図」の1/3くらい。プラスその中に収録されている「薔薇のダイアローグ」を途中に織り込んできた。
原作をぺらぺらめくりながら見てみると、なかなか上手いこと抜いてあるし、
上記したように、ないだろうと思っていた「薔薇のダイアローグ」を途中で入れ込んでくる辺りは考えて作ってある。
しかし、冒頭にかいた「やられた」はそういう所をいっているのではなく、
今回のラストで人知れず頭を下げる瞳子に気付く祐巳のシーンにやられたのだ。
正直、このシーンを全く覚えておらず、とても印象的な今回のこのラストに「こんなのあったっけ?」と思い、
原作を読み返したのだけれど、これがまたそれほど印象に残るような文章ではなかったのだ。
その瞬間に「やられた」と思った。
このちょっとしたシーンで、瞳子という人物、それを想う祐巳をドラマチックに印象づけるように指示したのが、
監督なのか演出なのか、はたまた脚本なのかは知らないが、もし自分がそういうのを指示できる立場であったなら、
確実にそこはあっさり流したであろうことは間違いない。覚えていなかったのだから、もしかしたらカットするかもしれない。
しかし、その誰かさんは今回のラストにこのシーンを持ってきて、瞳子と祐巳に見事にスポットライトをあてた。
もし自分だったら絶対に出来ない。だから見事に「やられた」のでした。
今回は、もうそこだけで十分満足してしまいました。このアニメを作っている人達はなかなかやる人達なのだ。

さて、記憶になかった部分を確認する為に読み返したら止まらなくなってしまい、
瞳子を妹にする「薔薇の花かんむり」まで読んでしまった私は、それまで特に瞳子をどうこう思った事がなかったのだが、
改めて読み返して、またこのアニメを見てみて、瞳子はなかなかのいいキャラである。
この人はとても内面的に強いのだが、それは弱さの裏返しであったり、
頭の回転がすごく速く、頭が良いのだが、それ故にドつぼにはまったりする。
社交的に振る舞えるのに他を一切寄せ付けなかったりと、とっても人間臭い。
ってゆーか、すごく庇護欲をかき立てられるのですよ。要は「見ていられない!」と思っちゃう。
そーゆー所に祐巳も乃梨子もやられてしまったような気がしないでもないなー。
どーでもいーけど、このアニメはどうも1クールのようなんですが、どこまでやるんですかねー。
瞳子を妹にするまでやるのかしら?だとしたらけっこうきゅんきゅんだよなー。

今週の白薔薇
待ってました!乃梨子の「嫌だと言ったんです」
乃梨子は普段は冷静沈着なんだけど、突然キレたりするんだよねー。正に「ついカッとなって……」ってヤツだ。
しかし、それがなんでか分かるから結構気持ちが良い。
乃梨子は自分が正しいと思ったら曲げない。相手が誰であろうと。
きっとそれなりに敵も多いんだろうなぁ。まぁ、乃梨子の事だからなるべく作らないようにはしているのであろうが。
その反面、そーゆー所に惚れ惚れしている人も多いはず。
このシーン。さらにおもしろいのは志摩子さんで、本来第三者であるにも関わらず、
間に入って乃梨子に正論言い返して黙らせちゃうんですよねぇ。乃梨子が何故嫌だと言ったかを理解しているのに。
普段の乃梨子なら嫌ならもっとやんわり断る事が出来るはずなのだが、
瞳子の事があってついカッとなってしまった乃梨子とその場を収めるにはもう自分が動く他ない。
その後、志摩子さんは祐巳に問われて「勘」と言ったけれど、志摩子さんは聡明な方なので、
絶対にこうなると分かって口出したんだろうなぁ。頭に血が上った乃梨子を我に返したかったんでしょうね。


第7話 未来の白地図

淡々とこなしていったような印象だが……。

そんな今回のお話は…
終業式のミサが終わり、薔薇の館ではクリスマスパーティの準備が進んでいる。
写真部の蔦子や、一年生の瞳子、可南子が集まってくる中、由乃は令に紹介する為に中等部の菜々を連れてきた。
令と志摩子が作ったケーキを食べたり、ツイスターゲームをしてパーティを楽しんでいたりしたが、
会話の中で、令の卒業後の進路がリリアン女子大ではない事を知った由乃はショックを受けてしまう。
一方、周りに気づかれないように出て行こうとする瞳子の後を追いかける祐巳だったが…。
以上公式のあらすじ。

お話はサブタイ通り原作「未来の白地図」の最後まで。
冒頭に書いたように、淡々とイベントを消化したような印象で、特にこれといった抑揚的な所はなかったのだが、
個人的に祐巳が良い、というよりは、中の人「植田佳奈」が印象に残った。
今回のメインとしては、祐巳が瞳子を妹にしようとするが断られる、という所が一番の見せ所。
そこでの祐巳の演技が良いのだ。
「私の妹にならない?」の後の「私じゃ、ダメ?」のあの不安そうな感じ、
また、断られた後に祥子さまの前で泣いてしまう所の、声を詰まらせながら喋るあの感じ、
そして「ちょっと泣いていいですか?」の後の、押さえていた物が出てしまったあの感じ、
その「感じ」が見事でアニメーション云々よりも植田佳奈やるなぁと感心したのでありました。
今回はそーゆー「声優さんはやはりプロなのである」という所で満足しましたが、
アニメ好きとしましては、アニメーションとしてもちっと何か欲しい所ではあるかなぁ。
まぁ、別に悪かったというわけではないのですがね。

他、割とどーでもいー気になった所としましては、初等部の頃の瞳子の描写があった事。
こーゆーのを入れれるのはアニメの特権であり、話の流れとしては、
祐巳と瞳子がただ話としている絵だけでも特に問題なく進むのだけど、
それがあるのとないのとでは、だいぶ印象が違ってくるし、そうと分かって入れてくるあたりは上手い。
ついでにそのシーン、リリアン初等部にも制服があり、高等部のタイなしバージョンである事が判明。
普通、学校の制服と言えば中学、高校だけという頭があるので結構新鮮でだったなぁ。
現実の小学生があんな制服を着ている事を想像すると、すごい絵面だよなーと思ったり(笑)。
しかし、今回はあまり書くことがないなー。
そーいえば、この調子だと瞳子を妹にする所までやりそうですね。
ダイジェストみたいにならなければいいけど。

今週の白薔薇
なにはなくとも志摩子さんの三角巾ですよ。妙に似合っているような気がする(笑)。
志摩子さんは劇中「天使」とか「マリア様」とか「西洋人形」等と形容されるが、
どちらかと言うと和風のイメージの方が強いよなー。割烹着とかも似合いそうだ。
乃梨子の方は特にこれといった所はなかったが、ツイスターゲーム(だったっけ?)で
無理な体勢をしている様を見てみたかったなー。まぁ、そんな描写はちらっとありましたが。
次回はお正月のお話ということで着物志摩子さんが見られます。ああ、楽しみだわ。


第8話 くもりガラスの向こう側

個人的には白薔薇祭ではあった(笑)。

そんな今回のお話は…
泣いた顔で薔薇の館へ戻ってきた祐巳と祥子。
祥子は薔薇の館にいる一同に、祐巳が瞳子にロザリオを受け取ってもらえなかった事を報告する。
そして、これは二人の問題だから見守って欲しいと頼んだ。
年が明けて1月2日、小笠原邸では「女性限定」の新年会が開かれ、
山百合会のメンバーと、祥子の母・清子が共に新年を祝い楽しんでいた。
皆で持ち寄った食事をしたり、百人一首や人間双六をしたり。
自分を励まそうと集まってくれた仲間と、その為に新年会を開いてくれた祥子の事はとても嬉しいと感じているが、
瞳子の事を思うと複雑な気持ちを隠せない祐巳だった。
以上公式のあらすじ。

お話は原作「くもりガラスの向こう側」を丸っとやった。
といっても、もともとこのお話は、小笠原邸で「ドキッ!女だらけの新年会!!」をやるだけなので、まぁこんなものだろうという感じ。
祥子さまと銀杏王子の婚約解消は前回の次回予告でやったので、祐巳に抱きつく小笠原父などの野郎が出てくるところは一切無い。
そんなわけで、お話としては特に何もなく上記あらすじ通りであるのだが、
それにしても延命策とはいえ、今野緒雪先生はこの「ドキッ!女だらけの新年会!!」だけで文庫一冊分も書けたよな。
「くもりガラスの向こう側」の内容的には今回のこのアニメくらいなものであるので、今回の脚本は上手く要約してあると言えるな。
と、いうわけで、話を知っていると特に何も書くことがないので、いつものコーナーへ。

今週の白薔薇
小紋な志摩子さん、乃梨子私服、湯上がりパジャマ志摩子さん!そして乃梨子の寝顔!!
おぉ、なんというサービスシーンたち。個人的にはもうこれだけで満足だ!
祐巳曰く、乃梨子の寝顔はかわいいそうです。ってそりゃかわいいよ。乃梨子だもん。
欲を言えば志摩子さんの寝顔を見たかったところだが、湯上がりパジャマ志摩子さんが見ることが出来たので良しとしよう。
……なんか、こう書いてみて思ったのだが、オレ、変態みたいだな。いつもどーりとかゆーな。


第9話 仮面のアクトレス

さっくり。
というか、白薔薇がいい所持って行ったような気がする。

そんな今回のお話は…
新学期、瞳子は何も無かったかのような笑顔で祐巳と挨拶を交わした。
以前にも増して気持ちを隠すようになってしまった瞳子に、同じクラスの乃梨子も複雑な気持ちを抱いていた。
そんな中、来期の生徒会役員を決める説明会に瞳子が現れ、選挙に立候補した。
瞳子が当選する事になれば、祐巳、由乃、志摩子の誰かが落選する事になる。
薔薇さまに憧れていたとはいえ、瞳子の行動は山百合会メンバーに動揺を与えるには充分すぎる出来事だった。
やがてその波紋は学園中に広がっていってしまう。瞳子の気持ちが分からず落ち込んでいた祐巳だったが…。
以上公式のあらすじ。

お話は原作「仮面のアクトレス」から同タイトルのお話を。
黄薔薇の話もありますが、そこは前回の予告でやったんだっけか?黄薔薇は相変わらずの扱いだな(笑)。
さて、お話としては冒頭書いたようにさっくり終わらした格好ではあるものの、違和感なくまとめてあって感心。
したのだが、特にこれといった抑揚もなく、一気に通り過ぎていった感もある。
個人的に取り立てたい所としては、やはり白薔薇になってしまうので、その辺は「今週の白薔薇」の方で語るとして、
では他どこかあったかと言われると、特にないから困るな(笑)。
個人的な所としては可南子の登場シーンがあるので使って欲しかったとは思ったものの、
尺の制限がある中で入れなければならない事かと考えれば、そうではないので、
今こうして原作をぺらぺらめくりながら見てみると、やはり脚本は上手く尺に収めているとしか言いようがないな。
まぁ、穿った見方をすればダイジェストになってはいるのだろう。
ああ、そうそう、サブタイ表示が終わってすぐの、薔薇の館で祐巳、志摩子さん乃梨子が瞳子の事を話シーンで、
祥子さまが影でこっそり聞いていたという演出は祥子さまらしくてよかったな。
というわけで、後の事は以下メインのコーナーへゴーだ。

今週の白薔薇
今回は出番が多くて素敵な白薔薇姉妹も見れてとてもいい感じである。
順を追ってまずは由乃の感情的な志摩子さん批判に、志摩子さんの「由乃さんのそういう所、好き」発言。
その後の志摩子さんの笑顔のお美しさといったら、これ以上ないくらいだったのもさることながら、
原作読んで、このアニメほど由乃が怒鳴り散らすかのような言い方とは思っていなかったのだけど、
あの言い方では普通どうしたって喧嘩になってもおかしくないのだが、志摩子さんのなんという聖人君子ぶりか。
返し方としてはぶっちゃけありえな〜いレベルであるのだけど、志摩子さんはこうでないと逆に困る。
私は志摩子さんのこの聖人君子なところも好きなのだからな。やはり素敵だよな。
お次ぎは瞳子を呼び出した乃梨子のシーン。乃梨子は相変わらず厚いヤツでいい。
本意の見えない瞳子が、思わず口にしてしまった「友達にはなんでも話さなくてはいけないの?」から、
逆に瞳子は自分を友達と思ってくれているという事に気付く頭の良さもさることながら、
瞳子のあの突き放すような言い方から上記の事を読み取って、友が自分を友としてくれていた事に涙する。
乃梨子はこーゆーある意味漢らしい所が素敵だよなぁ。
私の中ではプリキュア5の夢原のぞみと並び、最強の友人キャラの一人だ。
むしろ、のぞみよりうんと頭が良くて効果がある事をしてくれるから、実質的に頼りになるしな(笑)。
最後は所信表明演説の前の志摩子さんを応援する乃梨子のシーン。
これは次回予告でもあったように、後々語り種になるのだけど……単純にいいよなぁ。ぽわわ。
特に「ファイト!ファイト!ファイト!」が最高。やっぱ白薔薇、いや、しまのりは素敵だな。癒されるわ。
こんな乃梨子は一体どんな妹を持つのかしらねー。そんな話はこれから先生は書いてくれるのかしら?


第10話 キーホルダー

見つめ合うしまのり……はぅん。

そんな今回のお話は…
選挙は祐巳、由乃、志摩子が見事当選したが、当選の瞬間、瞳子が負ける為に立候補をした事に気付いた祐巳は愕然とする。
しかし瞳子の真意を問い詰めに行こうとした乃梨子に対し、祐巳は微笑み、今はいいと告げる。
乃梨子は祐巳が急に遠くに行ってしまったように感じた。
祥子もまた、祐巳の変化を感じていた。帰宅した祥子はスキー帰りの柏木から、瞳子が12月に家出をして祐巳の家へ行っていた事を聞く。
リリアン女学園では、今年もバレンタインデーのイベントに山百合会が協力する事になった。
お茶を淹れながら、バレンタインデーイベントの事やお互いの妹問題の話をしていた祐巳と由乃だったが、
由乃は、祐巳が瞳子の問題があるにもかかわらず、妙に落ち着いていると言う。
以上公式のあらすじ。

お話は原作「大きな扉 小さな鍵」からサブタイのエピソード。100P程。
内容的には無論同じであるが、バレンタイン企画会議での黄薔薇、というか由乃の事や、
ギンナン王子の土産の不味いまんじゅうを抹茶で喰らうと……等の割とどーでもいー話は抜いてあり、
むしろこのアニメのの方がテンポよく進んでいると言える。
個人的には由乃の企画反対に、誰もが思っていつつも言わなかった事を年下である乃梨子が、
「大人げないんじゃないですか」ズバリ言ってしまうという、乃梨子、由乃らしいエピソードは見たかった所ではあったが、
尺の関係上「じゃ、それいるか?」と問われれば「いえ、いりません」と返す他ないので仕方ない所。
白薔薇原理主義者としては、その後の白薔薇エピソードがあるので、そこをしっかりやってくれた事に感謝だ。

さて、今回としましては、瞳子の問題がありつつも何故か祐巳が落ち着いちゃったので、それをやきもきしながら見ている乃梨子という話。
お話的にどうこうと言う所ではないが、ここまで渦中の人である瞳子と祐巳を見せておいての今回は、
瞳子が乃梨子の回想でしか出ておらず、一旦彼女を遠ざけておいて、そして祐巳を客観的に見せている。
今回出番の多かった乃梨子、なんだかんだで気にしている祥子さまやギンナン王子、そして同じ妹問題を抱えている由乃。
それらキャラから見た、何故か妙に落ち着いちゃった祐巳というのを上手く見せている。
客観的に見て、エラい感じの変わってしまった祐巳なのだが、ラストで乃梨子に投げかけられた質問、
「瞳子を、好きですか?」に「好きだよ。大好き」と即答する祐巳に、彼女の本質が変わりない事を知る事が出来る。
こういった辺りの流れは原作と同じではあるものの、アニメの強みを活かして効果的に見せていて感心した。

ちょっと話はずれるのだが、私は今回のラストでの祐巳が印象に残って、
以前の感想で何故祐巳が下級生に絶大な人気があるか分からないと書いたのだが、今回のそれを見て「ああ、こういう事か」と理解したよ。
祐巳はきっとあーゆーような、他人がドキッとするような事を色々な所でいったりやったりしているんだろうな、しかも天然で。
だから「天使のような〜」とか言われているんだなー。

今週の白薔薇
何はなくとも、バレンタイン企画でのお互い好き過ぎちゃってすれ違いだろうよ。
前回見事な聖人君子な面を見せた志摩子さんが「だって乃梨子のカードを探したかったんだもん」っていう、
ものすごい可愛らしいわがままに頬を染める様子がね、もうね、なんて言ったらいいのか分からないよ。好きだ志摩子さん。
また、同じ理由でメインイベンターを拒否していた乃梨子も素敵だよなー。
それが分かって手を取り合って見つめ合うふたりの姿を見ると、白薔薇原理主義者としては幸せになります。もうふたりは結婚して下さい。
等と思いつつ、今回乃梨子が念願かなって志摩子さんのカードを探す事が出来る事になったのだけど、
その後の流れで、バレンタイン企画の裏方やる事にして(今回はそこまでいかない)、その権利(?)を放棄しちゃうのは納得いかんよなぁ。
頭脳明晰で志摩子さんと通じ合っている乃梨子が、白いカードを探す様子は興味深かったので、ちょっともったいないような気がしますな。


第11話 ハートの鍵穴

瞳子の独壇場だ。

そんな今回のお話は…
退部届をもらいに久しぶりに演劇部を訪ねた瞳子は、演劇部部長の高城典から姉妹(スール)の申し出を受ける。
典は、演劇部には瞳子が必要である事、そして祐巳に近づく度に傷ついている瞳子を守りたいと告げる。
校門には、祐巳との間に何があったのかを探る為、瞳子を待ち伏せる柏木が居た。
週末、バレンタインデーイベントの事がリリアンかわら版号外で告知され、クラス内が慌しくなっていた。
帰り道で祐巳と偶然会い、駅まで一緒に行く事になった瞳子は、祐巳の話を聞いているうちに、
自分の秘密を知っていて哀れみでロザリオを差し出したのだと確信し、祐巳を拒絶してしまう。
以上公式のあらすじ。

マリみてTVシリーズは毎シリーズこの辺りで素晴らしい回を作ってくるが、今シリーズもそうで、
今回は見事な出来映えであったと言えるだろう。
お話は原作「大きな扉 小さな鍵」からサブタイのエピソードをやったのだが、もう私の説明など不要。
てなくらい見事にまとまっており、尚かつ、原作の間延びして分かりにく所を上手く説明しているのも光る。
個人的には、前回全く出番のなかった瞳子を、今回は完全に中心に据えて話を進めているのが印象的であった。
そうなったことで、これまで真意の読めなかった瞳子が何を思っていたかを見事に印象づけているし、
その後のギンナン王子との会話からラストの誤解を知る所までの流れが実にスムーズかつ、
瞳子のショック度合いが分かるように見せていて、とてもドラマチックになっているのが見事としか言いようがない。
流れとしては原作通りではあるのだけど、このアニメの方がドラマとしてとても見応えがあるように思います。

他、おもしろかった所としては、まずギンナン王子が車中で怒る場面。
気障だが人当たりの良い彼が怒るとああなるわけだけど、これを見て小笠原の家系が今強い力を持っているかがわかるよなぁ。
きっと祐巳曰く、ギンナン王子にどことなく似ているらしい小笠原父や出てきていない小笠原祖父もこんな感じなんだろう。
つまり、敵と見なした者に対し、あんな感じで容赦無く叩き潰してきたんだろうなぁ。
こーゆー人達は絶対敵に回してはいけない。ホントに冷徹に完膚なきまでに叩き潰すであろうからな。
というのを垣間みれたような気がする所がおもしろかった。
それと、誤解した瞳子が祥子さまに文句を言おうとしたシーン。
誤解と解ってからの祥子さまがね、なんていうんでしょう。一言で言ってしまうと見事に怒っているなんだけど、
上記ギンナン王子のような爆発するようなのではなくて、煮えたぎった鍋に無理矢理ふたをしているような、
そんないかにもやばそうな感じが素晴らしいのと同時に、瞳子のやっちまった感がすごいよな(笑)。
ギンナン王子も祥子さまも中の人がベテランな方なので、怒っている感じを見事に表していてすばらしいです。

今週の白薔薇ってゆーか乃梨子
志摩子さんの出番はないのですが、原作通り乃梨子がいい所を持っていく。
原作のあとがきによると、この乃梨子はいわゆる「キャラが勝手に動いちゃった」ようで、全く予定にない事だったそうですが、
むしろあそこで乃梨子が来なかった場合を考えると、瞳子はもうどうにもならなかったとしか思えないので、この乃梨子の行動は正解だよなぁ。たぶん。
しかし、仏像オタクの乃梨子が、見たかった番組をすっぽかしてまで瞳子を気にしていたわけだけど、
その辺の乃梨子の漢気はやっぱカッコいいよなぁ。惚れ惚れする。乃梨子はホントいいキャラだと思う。
それにしても、今回のこの一件。
絶対に瞳子は2年、3年生になっても乃梨子から「あの時の瞳子は……」などと言われ、からかわれるんでしょうね(笑)。
瞳子はでかい借りを作ったな。でも瞳子としたら、いつの日にか絶対にこの借りを返そうと思っている事でしょうね。
乃梨子本人は貸しを作ったなどとはこれっぽっちも思っていないのでしょうが。
そこがまたカッコいいな、乃梨子。やっぱり素敵だ。


第12話 クリスクロス

上手くまとめてある

そんな今回のお話は…
バレンタインデー当日、学園内ではチョコを渡している姉妹(スール)で溢れていた。
祐巳たちもまた例外ではなく、紅薔薇姉妹のツーショットを覗きたい生徒達から逃れ、チョコの交換をしていた。
休み時間、瞳子は階段で祥子に会い、今日の宝探しに参加するのかを問い質される。
放課後、中庭には宝探し大会に参加する多くの生徒が集まり賑わっていたが、そこには瞳子の姿もあり、祐巳は安堵する。
祥子は5分のハンデを与えられ、令は大学受験の為「不在者チャンス」に投票し、乃梨子は参加を辞退しスタッフとして参加する事に。
次期薔薇さまとの半日デート券をかけて大会がスタートした。
以上公式のあらすじ。

お話は原作の同タイトルをほぼ丸っとやった格好。あれ?原作は祐巳のカードに決着付いたよな?
と、いうわけで、瞳子が薔薇の館の二階まで駈けてきて「祐巳さま!」と叫んだ所まで。
このあたりの原作が、実にゆったり話が進行するので、アニメ1話分に上手くまとめてあるのだが、
元々の内容としてはこのアニメ位の物なので、むしろこっちの方がテンポよく進んで気持ちよく見れる。
今回の見所としては、全てが誤解だと知った瞳子が、どう気持ちの整理をつけ、また祐巳という存在を見るか、という所。
これがまた上手いこと作ってある。というよりは、アニメの強みである「絵がある」「動く」「喋る」が活かされている。
正直な話、原作のこの辺りの話はあんまり好きじゃなくて、それはどうも間延びしているような展開の遅さからなのだが、
このアニメの方はお話も尺の制限があり、瞳子というメイン部分のみに注力してあることもあるし、
先ほど述べたアニメの強みがあって、瞳子が祥子さまと乃梨子の言に心を揺らされ、
祐巳という存在の捉え方が変わる様子をドラマチックに描いている、と思う。
一年生はどちらかというと、瞳子より可南子の方がキャラ的におもしろいと思っている私だが(乃梨子は別格ですよ)、
このアニメでは瞳子が実に魅力的に描かれており、アニメというメディアの強さを感じると同時に、
瞳子はいいキャラだなぁと思わせるように作ってくる製作陣に感心したわ。

褒めてばっかりだとなんなので、ちょいと気になったというか、上記したように瞳子が良くできている分、
後半になってから出番のない可南子がもったいなぁと思わざるを得ないよなぁ。
まぁ、実際の所、原作でもさして出番のあった彼女ではないので、こんな物なんでしょうけども、
割と気に入っているキャラだっただけにもちっなんかほしかったです。
それと、カード探しはリリアン高等部の中では割と大きなイベントなのだけど、あんまりそれっぽさがなかったな。

今週の白薔薇
相変わらずあんまり出番のない我らが志摩子さんだが、
中座しようとする乃梨子に「気になるのね。いってらっしゃい」というさすがの聖人君子ぶり。
思うのだが、事情はそこそこ知っているし、乃梨子の気持ちも知っているとはいえ、
普通、少しくらい嫉妬のような物があってもよさそうだよな。
志摩子さんはこの一連の瞳子騒動をどう見て考えていたのだろうなぁ。
志摩子さんは一般人と考え方が全く違うので、少ない描写の中でそれを伺い知ることが出来ないな。
まぁ、そういう全く予想が付かないところが志摩子さんのおもしろい所なんだけど。
乃梨子の方はやはり瞳子関係で良い所を持っていく。
社会科準備室での乃梨子の言葉がなければ、瞳子が薔薇の館へ向かうことはなかったので、
色々と泣かされてきたが、乃梨子の努力はここで実を結んだと言える。
そんな友情に厚い所もさることながら、乃梨子は人をよく見てるよな。そして頭が良い。
これまでのことから瞳子が祐巳をどう見たかを分析して、それが間違っている理解するんだから大した高校一年生ですよ。
これほどの器量の乃梨子は将来どんな職に就いているのか気になるなぁ。


第13話 あなたを探しに

ここで終わっちゃうのかー。

そんな今回のお話は…
宝探し大会終了5分前。薔薇の館の2階で座っている祐巳に「立ちなさい」と促す祥子。
そこへ瞳子が飛び込んできて、これまでの事を祐巳に謝罪し、妹にしてほしいと告げる。
驚いて思わず立ち上がってしまった祐巳の座っていた椅子には赤いカードがあった。
翌々週の日曜日、祐巳は瞳子に行き先を任せ、半日デートへ出掛ける。
移動の電車の中で、瞳子から家出の理由を打ち明けられ、少しずつ瞳子の心に近づいていく祐巳。
そして、行き着いた先は瞳子の祖父の松平病院だった。
以上公式のあらすじ。

お話は原作通りで祐巳と瞳子のデートの話で、妹にするまでやるのかと思いきや、ここで終わってしまった。
原作呼んでいない人が見たら、きっともにょもにょするであろう終わり方ではあるが、
このアニメを見ている人で、今更原作読んでいない人などいるはずもないので、まぁ、これはこれでいいのだけど、
もうちょっと「終わり」って感じがあってもいいような気がしますな。次週もう一話ありそうだよ。

それはそれとして、今回としては特にこれといったところはないのだけど、
祐巳と瞳子の関係性が変わって、瞳子の原点の地へ着くまで、そして着いてからの、
ふたりでこれから前進していくんだ、というこれまでと違ったふたりが良く表れていたような気がします。
イベント的に大どんでん返しやビックリするようなことはないんだけど(劇中的には祐巳がビックリしますが)、
全てを知ってもらおうとする瞳子と、それを受け止めようとする祐巳を静かに淡々と描いていて、じわじわと来る感じがよいですな。

アニメで語られないので、どーでもいーことなんだけど、このふたりのデートレポートはつまらなそうだな(笑)。
瞳子の祖父の病院へ行っただけだもんなぁ。新聞部部長はさぞ困ったことだろう(笑)。

4thシーズンも今回で終わりなので全体的な感想を。
これまでがそうだったように、主役である紅薔薇メインで話が流れるので、
この4thシーズンは8割くらい祐巳と瞳子で出来ているといっても過言でない。
もともと瞳子が好きな方はずいぶんと楽しめたことだろう。
では、そうでない人、例えば私なんかもそうなのだけれど、そんな人はどうかと言えば、
瞳子のことを好きになってしまうかもしれない。ってなくらい瞳子が魅力的に描かれている。
この辺りの原作が間延びしているような印象をうけるが、
このアニメは祐巳と瞳子という部分に集中しているので、テンポよくて分かりやすいのも良い。
難点を言うならば、その他の魅力あるキャラクター達があまり活躍しないところだろうか。
我が愛しの白薔薇姉妹はそれでもずいぶんと優遇されていた感がありますが、
黄薔薇さんの扱いは、いつも通りの悪さなので、由乃大好き!な人には残念な結果だっただろう。
と、いうわけで、原作ファンまたはこれまでのシリーズを見てきた人は結構楽しめる内容だったんじゃなかろうか。
まぁ、たいていの人が原作を読んでいるはずなので、お話的な面白さは皆無ですけども、
やっぱ絵がある、動く、喋るってのは強いよなーと、このアニメを見て思いましたよ。

後は原作のとりあえずの終わり、「祥子さまの卒業」までの5thシーズンはいつやるのかな。
残りのお話の量的にOVA3巻くらいになるのかしらねー。


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