輪るピングドラム 13〜24話

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13 僕と君の罪と罰

あ、桃果じゃん。

 そんな今回のお話は…
 プリンセス・オブ・ザ・クリスタルの力によって蘇生し、生きながらえていた陽毬が再び意識を失い、危篤状態に陥った。
 冠葉はプリンセス・オブ・ザ・クリスタルに、自分の命で陽毬の命を贖うと告げ、陽毬に命を分け与えようとするが、その努力も空しく陽毬の命は尽きてしまう。
 絶望する冠葉。だが彼の前に、渡瀬眞悧という医者が現われる。眞悧は冠葉に諦めるなと語りかけると、陽毬を生き返らせるという薬を取り出すのだった。
 以上公式のあらすじ。

 さて、この感想を書いている今時点、遅れに遅れた所為ですでに最終回まで見終わっているわけですが、だからこその発見もあるわけで。
 この感想から最後まで見て分からなかった事を理解しつつ感想を述べていく事となります。
 それが冒頭の一言だったりするのですが、とりあえずそれはさておき、お話の方はというと、上記引用したあらすじの後、眞悧の薬によって陽毬は命を吹き返し、その間に高倉強大の前から両親が消え警察がやってきた回想を見せている。
 回想や陽毬の行き帰りはまぁ見たまんまなので、そういう過去があったのであるという事が分かれば良い。個人的にはそこ以外の眞悧が9話で陽毬が迷い込んだ図書館で、女の子の後を歩きながらひとりがたるシーンの方が印象的であった。というか、ああ、そういう事かと。
 正直、そのシーンを1話から見てきただけでは、彼が何を言っているのかさっぱりだし、彼の前を走る少女が誰なのか分からないのだが、先述したように最終回まで見てこの話を見ると、女の子は桃果で眞悧と彼女の関係が初見で最後まで見て分からなかったが、ここで語られている事が分かった。
 しかしその挙げた点について疑問を持つのはもっと後であり、今見ると「ここで語るのか」と思ってしまう。この時点で桃果と眞悧の関係は欠片すら見せていないので、この段階での眞悧のひとりがたりはホントに何の事だかさっぱり分からない。ということは、この説明の配置はワザとであろう。
 ここまでの展開からして、興味を惹くのはどうしたって高倉家に何があったのかという方だろう。そこに挟んできたということは、気にさせたくなかったか、そういう根底に関わる部分は気付かないうちにさっと流れていってしまっているんだと言いたかったか。
 それを私が知る事はないが、桃果と眞悧の関係に疑問を持ち始める頃に見せた方が物語として親切であるが、最後まで見てみると、物語のポイントポイントを細かく切り取って、これはここの間、あれはそこの間にと、全24の物語としてけっこう緻密な計算がされているような気がします。

 まぁでもこの物語って、分かりにくい事この上ないよなぁ。全24話初見で理解しちゃう人は多分いないだろうよ。
 分からなかったら何回も見てね。ってゆー事なんだろうか。まぁアニメも商売なんで、何回も見れるように製品が売れればそれに越した事はないものな。
 商売云々を監督が考えているかどうかは私が知りようもありませんが、そういう商売目線で見ても、最初のかるーい感じから、今このひねくれようを考えると、最初の取っ付きやすさから後にどうなっているんだろうと思わせ話に引きつける上手さは素直にすごいなと思わざるを得ませんな。

 ……なんか今回はお話の感想になってないけど気にしない。見てこう思ったんだから仕方ない。

14 嘘つき姫

いろんな意味でゆりだったのかと。

 そんな今回のお話は…
 眞悧の薬によって陽毬は奇跡的に息を吹き返したが、晶馬は苹果への罪悪感に苦しみ、苹果と会うのを避けていた。
 晶馬に会おうとする苹果に向かって晶馬は、お互い傷つけ合うだけだから僕たちはもう会わない方がいい、と告げる。
  一方、冠葉は陽毬の病を治す薬を手に入れるための金策に駆け回っていた。なんとかして薬の代金を集め、眞悧に支払った冠葉は、陽毬がいつ退院出来るのか尋ねるのだが……。
 以上公式のあらすじ。

 お話としてはけっこう状況説明っぽく、上記引用したあらすじには出てこないゆりの話だったりする。
 まぁ正直言うと、物語の進展度はほぼなくて、今回何が分かったかというと、ゆりは桃果と関わっていてピングドラムと目される日記を、あの嵐の夜に半分を奪ったのは彼女であったという事くらいである。
 あとは苹果と合わない方がいいと言う晶馬と、謎の一団から陽毬の治療費を受け取る冠葉、冠葉をその一団から抜けさせようとしている夏芽真砂子、という状況を説明しているだけだ。
 と、今見ると思うわけで、キャラクターの言う台詞は関係性を窺えるような台詞ばかりで、はっきりと確信させるような事はなく、「どういう事なんだろう」と思わせ興味を先へ引っぱっているのはいつもの手法。先が分からなければそりゃ気になるってもんですな。
 その分かった様で分からないってのがポイントで、なんとなく「こういうことなのかな?」と想像出来そうなんだけど出来ないラインからはみ出さないから興味をそそられるのだ。まぁ結局の所は分からないのだけど、今回はあの嵐の夜に日記を奪ったのはゆりであり彼女は桃果と関わりがある、という事が判明している部分もあって、とにかくずっとなんだか分かる様で分からないだけではストレスが溜まる一方だが、こうして段階的に情報を開示して分かったような気にさせるのは上手い。

 最終回まで見た今、こうして感想を書く為に見返しているわけですが、正直今回のお話は次回のゆりの過去話の為の単なる前フリ以外の何物でもなく、改めて見て話が全然進んでないなと思ってしまう。が、初見はそのようには思わなかったわけで。
 何故かといえば上記したように分かった事があるからで、判明した日記の半分をゆりが持っていて桃果と関わりがあるは、確かに分かった事ではあるんだけど、ゆりという人物の現時点の状況を一部説明したに過ぎない。
 にも関わらず、その判明した状況説明がものすごく話が進んだように思ってしまう、というよりは思わされているのだから見事な誘導であると言える。続きが気にならなければ誰も見ないからな。そういう意味でこのアニメは良く出来ている。

 さて、個人的な所としてはというか、綺麗に百合色に染まった脳を持つ身としましては、桃果に固執するゆりが、そっくりな苹果にアダルトな事をしようとする様に興奮せざるを得ない。
 まぁそういったわけで冒頭の一文であったわけですが、お話的には苹果の貞操の危機なのであります。しかも荒縄って(笑)。マニアックですなぁ。
 マニアックかはともかく、場所的にはおそらく伊豆辺りなんだろうと思われるが、都心からこれほど離れてしまうと苹果を助ける者がいないので、そりゃそうなっちゃうんだろうと当然思うよな。
 しかし次回に見事な都合の良さなんだから笑ってしまう(笑)。この辺の外しは実にアニメ的で上手い。
 このアニメはアニメだからOKってことを上手く使っていて、割と普通の世界を描いていながら、アニメアニメしているのは昨今のアニメとしてはけっこう新鮮なんじゃないだろうか。


15 世界を救う者

ようやく桃果が登場。

 そんな今回のお話は…
 晶馬に拒絶され、落ちこむ苹果を熱海の温泉旅館に誘うゆり。彼女は自分が桃果の同級生だったと明かす。
 そして本当の自分を愛してくれた桃果は自分の運命の人であり、苹果に桃果になって欲しいと妖しく迫るのだった。
  一方、苹果と別れた晶馬は、苹果にヒドイ事を言ったと後悔していた。そのとき彼の携帯に苹果から電話がかかってくる。
 電話に出ると苹果は「私もうメチャクチャにされちゃうから」と衝撃的な内容を語るのだった。
 以上公式のあらすじ。

 上記引用したあらすじは、けっこうどうでも良かったりして、本筋はゆりの過去話である。
 途中夏芽真砂子がゆりの持つ日記の半分を強奪したりするのだが、それはフェイクだったので、ますます過去話以外はどーでもいーと言わざるを得ん。
 何せ謎の人物であった桃果がどのような人間であったかが分かるのだから、そっちの方が重要であろうというものだ。
 さて、その桃果だが、ゆりが出会った時点で日記を所持しており、呪文を使って運命の乗り換えが出来る事を知っていて、それを実行している。
 ある意味虐待されていたゆりを救おうと、ゆりの父がいない世界へ乗り換えて代償に怪我を負ってしまう桃果。彼女が現時点でいなくなったのも、高倉兄弟両親の起こしたテロを最小限に防いだ結果だとして今回の最後で締めている。
 事が大きければ大きいほど、その代償もでかくなるという寸法で、大勢の命を救った桃果はその代償としてその命を使ってしまったという事になる。
 そういう流れが分かるのだが、どうしても大きな疑問が残る。何故桃果は自分のみを犠牲にしてまで他人の命を救おうとするのだろうか。
 おそらくは10歳にもなっていないような年齢の子供の桃果が、そうまでしようとする理由がよく分からないのだ。確かに回想シーンでの桃果はとても優しく世界を愛している純真な女の子ではあったが、自分の命を捨ててまで世界や他人を守る理由にはならない。彼女の中でなにがそうさせるのかが見えてこないのだ。
 どうして桃果が運命を変える日記を手にし、その力を行使するに至ったか。小学生の女の子にそうさせる何かが分からない。結局は桃果は謎の人物のままなのだ。
 これまで同様、やはりここでも分かったような気がするだけで、肝心な所はよく分からないのである。
 しかし、ゆりが日記を手に入れ、運命を乗り換えてしまった桃果を取り戻す、という彼女の行動原理ははっきりして、ピングドラムをめぐる運命が混沌としていく様子はよく表れている。

 のだけど、正直ここから物語がどういう方向へ向かっていくのかはよく分からんよな。
 とりあえず各々が運命を変える事が出来る日記を手に入れ、各々のっぴきならない事情があって運命を変えたい、と思って日記を手に入れようとしている。というのがここまでの流れ。
 まず最初に陽毬を救う為に高倉兄弟、そしてゆり、夏芽真砂子と日記を手に入れたい者が多数いる。という事が分かるまでに15話か。けっこう伸ばし伸ばしの印象があるよなー。その上、肝心な所は未だ持ってよく分からないし。
 最終回を経て見返している今だからこそ分かってくることはあるものの、物語としては、もっと凝縮できる所をすかしてすかして、とにかく後の方へと送っている印象がある。
 まぁある意味、分からないモノを知ろうとする好奇心をくすぐっているだけで、ここまで引っぱってきていると言え、割と冷静になって見てみるとけっこうあざとい作りのような気がしないでもないな。
 ひとつ分かっても、分からない事がさらに増えたりもするので、この頃から「本当にこの物語は綺麗に終わるのかしら?」と思っていたりしたのでした。
 まぁ案の定、最後は「んんっ?」となったわけですが(笑)。


16 死なない男

物語的には最後の所以外はどーでもいーな(笑)。ってゆーかペンギン神様お久しぶりですね。

 そんな今回のお話は…
 温泉旅館の仲居に扮し、ゆりから「日記」の半分を奪うことに成功した真砂子。しかしそれは、ゆりがワザと掴ませたダミーだった。
 真砂子が次の一手を考える中、夏芽家に使える執事・連雀は、真砂子の信頼にこたえるため、今日も監視と称して冠葉と陽毬の隠し撮りに励んでいた。
 ところがペンギン帽をかぶった陽毬に見つかってしまったことから、連雀も生存戦略を告げられ――。
 以上公式のあらすじ。

 まぁそんなわけで、上記引用したあらすじはけっこうどーでもよく、最後の数分で物語のラストに繋がる片鱗を見せたことの方が重要だろう。
 お話的には真砂子が何故ピングドラムを手に入れようとしているのかという理由と、眞悧と一緒に行く気はない、というのが分かれば良いだけの話だ。今見れば。
 過去話はかなりギャグ調で、見ていて可笑しくはあったのだが、内容としてはあんまりなく、真砂子が何度も夢に見るくらい祖父をいつか殺してやろうと思っていたけど、自ら釣ったフグの毒で手を下すまでもなくあっさり死んだことと、それだけ毛嫌いしていた祖父だが、真砂子自身もちゃんとその血を受け継いでいることが分かれば良い。と思う。
 ピングドラムを手に入れる理由としては、死んだと思っていた祖父がマリオに乗り移っていて云々なんだけど、これがどーも腑に落ちん。結局それは真砂子同様にマリオも夏目家の男なのだととることもできるからだ。まぁつまり、マリオに祖父が乗り移って云々は真砂子の妄想、もしくはそう思い込んでいるだけのような気がしてならない。
 というのも、そのマリオが祖父とかぶってという描写はこれ以降ないからな。後々のことを考えると、真砂子はむしろ冠葉の方に執着しているふうである。マリオは単に眞悧にダシにされたと見ていーんじゃないのかなー。
 眞悧がマリオをダシに真砂子と自分の目的の為に利用しようとしていた。だが真砂子はそれに乗らなかった。というのが今回の言いたいことなのではないだろうか。
 まぁそうだとするならば、それを言いたいが為に随分と付け足したなというのが振り返ってみた印象ではある。が、それは最後まで見てからの印象で、先が分からない初見の状況ではまた印象が違っていて、どーでもいーような部分も「なんか意味があるのではないか」と勘ぐってしまうからなのだが、そこは作り手が上手い所をついてきていると言って良いのかもしれない。
 今見てみると、上記したようにもっと要約できるような話だと思うのだけど、これまでさんざ「どういうことなんだろう?」と思わせてきたことが画面に意識を引きつけるのだ。
 分からなければ知りたいと思うのが人の性。そこへこれまで分からなかった真砂子の過去とこれから先の片鱗が少し知れて、なんだかとっても分かったような気になってしまう。だがしかし、分かった反面、分からない部分の方が多く、それ故また気にして次の回を見てしまうわけだ。
 悪くいえば上手いこと釣られていると言えるのだが、逆に言えば作っている人達は上手く釣っていることとなるわけで、よくよく振り返ってみると、これまでずーっと同じような小さな餌で釣られまくってここまで引っぱられてきたことになる。
 そういう手腕を考えるとすごいなぁと感心するのだけど、改めて見てみると、随分と見事にやられているような気がしないでもないな。冷静になってみると。


17 許されざる者

今ひとつなんだかよく分からんよな。

 そんな今回のお話は…
 いつものように陽毬の病室に見舞いに行く冠葉と晶馬。薬のおかげか最近調子がいいという陽毬から、もうすぐ退院できるかもしれないという報告を受ける。
 ほっとする2人だったが、突如、ペンギン帽をかぶった陽毬に生存戦略を告げられる。
 もはや一刻の猶予もないこと、このままピングドラムを放置すれば、一番大切にしているものが損なわれるなどと宣告されてしまう。
 以上公式のあらすじ。

 久々にペンギン神様も高倉兄弟の前に姿を現して、後半戦突入な感じではあるものの、冒頭書いたように今ひとつ何がなんだかよく分からなかったりする。
 一番よく分からないのは、多蕗がなんで高倉家に罰を与えようと思ったか。ここがさっぱりだ。
 ゆりとの会話では、実行犯でない家族には何の罪もないと言っていたのにも関わらず、今回のラストで高倉家へ罰を与えるぜ!とか言って引っぱるのである。そして次回に罰を与えるのですが、なんか全然ピンと来ないんですよねぇ。
 普通に考えれば、口で言っていることは本心ではない、という事になるわけだが、それだとホラ、全然繋がりに欠けるじゃないですか。せめて本心は違うんだよというなにか推し量れるようなのがあればようのだけど、そういったのが見当たらないのだ。
 それにゆりと同じように、ピングドラムを手に入れる理由として、桃果を取り戻すと言うのを掲げてはいるものの、むしろ彼はゆりと違って桃果はもう死んでしまったものと、ある種あきらめのようなことを言ってゆりにたしなめられたりしている。
 そういう心境であるならば、彼が言っていたことが本心と違うと言うのもなんだかおかしいような気がするのだけど、実際多蕗は高倉家に罰を与えるのである。いったいどこで心変わり、もしくは罰の実行を決意したのかが抜け落ちてしまっているような気がするんですよねぇ。
 彼の決意に納得するか、納得しなかったとしても多蕗はこう考えたのだと分からなければ、彼がこれからすることとなる罰がなんだかよく分からない表面上のものになってしまう、ような気がします。その辺次回をちゃんと見てみたら分かるようになっているのかなあ。

 他、気になった所としては、ペンギン神様の言っていることも気になるんですが、それはおそらく最後の方のことを言っているんだとして放っておいて、今回に限らずどーにもよく分からないんだけど、ペンギンって……なんか意味あるんですかね?
 最初の頃はまだなんやかんや関わっていたのだけど、今となってはほぼスルー状態ですもんね。なんか最初の頃のインタヴューとかでもペンギンに意味があるとか書かれてていたような記憶があるんですけど、最近思ってきたんですが、それってブラフだったんじゃないですかねー。
 そんな他人の言うなんだかよく分からないことを信じてると本当に重要なことに気付かないよー的な意味合いだったりしてなーとか、今になってみると思ってみたりするのでした。

 どーでもいーけど、このアニメって人によっては見ていてイライラするんだろうなーと思わんでもないよな(笑)。
 歳とってくると(とあんまり言いたくもないが)なんか考えなければいけない物語よりも、プリキュアみたいな単純明快な物語の方が見ていて楽だしストレートでいい。
 なんか難しいこと考えるのがめんどくさくなるのよね。


18 だから私のためにいてほしい

今見てもけっこうさっぱりな内容だよなー。

 そんな今回のお話は…
 陽毬に付き添い、手芸用品店を訪れていた苹果の元に、ゆりから電話が入る。
 陽毬を含めた3人で食事をする約束をするが、待ち合わせ場所の建設ビルに現れたのは、ゆりではなく多蕗だった。
 事件のことで高倉家に特別な感情は抱いていないと言っていた多蕗が、なぜか復讐を口にする。
 そして陽毬を探しまわる冠葉の携帯電話に連絡すると、妹を誘拐したと伝え、父親を連れてくるよう要求するのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話的には多蕗の過去と現在みたいな内容で、正直今ひとつようわからん。そんな今回見所は馬越嘉彦さんの原画です(笑)。
 原画はともかく、なにがどうなっているかさっぱりで、劇中は結構な盛り上がりを見せているのだけど「ドユコト?」と思わずにはおれん。
 色々分からないことは多々あるが、どうしてもここに書き記しておきたいのは2つ。
 ひとつは落ちたはずの陽毬は何故助かったか。これが全然分からん。まあ状況的には多蕗が陽毬を殺すつもりはなかったんだよーというのは理解しても、あの状況からなにがどうなって多蕗が抱えていたのかさっぱりだ。
 お話的にはここで陽毬が退場するのかと(状況的にも)思っていただけに、特に何の問題もなく多蕗が連れてくるので「はい?」となってしまったですよ。ペンギンたちもなんかした様ではあるのだけど、なにをしたのかよく分からないし。
 もうひとつは旅期の過去話ででてくる「こどもブロイラー」だ。これがなにを意味しているのかもさっぱり分からん。
 ブロイラーが何かは各自wikiなどで調べていただくとして、粉々に砕いて透明な存在になる、とブロイラーが繋がらないんだよなー。
 このアニメの登場人物たちは、それぞれ幼少期から何かしら両親から正しく愛されない人達であるからして、その辺となにか繋がって入るんでしょうが、これからちょいちょいでてくるこの「こどもブロイラー」がどういうことを言いたいのか分からないと核心に近づかないよなぁ。

 画面の盛り上がりとは裏腹に、「結局何が起こったのだろう?」が頭の中でグルグルして、これはいったいなんだったのかしら?で終わってしまったのでした。
 まぁ物語的には、何らかの転機のひとつにはなったような感じではある。がしかし、当時、この辺からこの物語は綺麗に終わるのかしらと不安を憶えはじめたのでありました。なんだかよく分からないまま終わるんじゃないかと。

 結局そんな感じだったわけですが(笑)。


19 私の運命の人

いるじゃん両親。と、この時は思ったもんさ。

 そんな今回のお話は…
 父親の居場所を知らないという冠葉に対し、多蕗は代わりに子供が罰を受けるよう迫る。だが多蕗は最後の最後で、なぜか陽毬の命を奪うことはしなかった。
 しばらくして陽毬が退院することになった。冠葉と晶馬、苹果は陽毬が家に戻ってきたことを喜び、お祝いをするが、陽毬は兄たちには言えない不安を抱えていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、う〜ん。妹だと思っていた陽毬はどうもそうじゃないみたいってのが分かるようなそんな気がするそんな話?
 相変わらずなんだかよく分からないまま進んでいて、なんだかこう、感想書こうにも書けないみたいなそんな感じ。いや、だってよく分からないわけだし(笑)。
 あった出来事を淡々と書いてもそれはあらすじだしなー。思うことと言ったら「どうなっているんだろう」だし。
 各キャラの思惑がいろいろあるんでしょうが、それが全く見えてこないので、なんとも書きようがないのが正直な所。
 サブタイにあるように、陽毬曰くの私の運命の人は判明するように、判明する事実はあるものの、分からないことの方が多く、もうちょっとで終わりだと言うのに終わりの断片すら見えてこない。
 主要キャラの目的はそれぞれ違って、誰がどうしたらどうなるというものがなく、むしろどうなったら終わるのかもよくわからない。どこへ行き着くのかがこの時点でも分からないものなー。
 今回としましては、また出ましたよ「こどもブロイラー」。やっぱりこれがなんなのかさっぱりだ。施設なのか、何かを比喩表現しているのか。
 いらないこどもが集められて、粉々に砕かれやがて透明な存在になる、ってどーゆーことなんですかねー。この辺がもっとはっきりすれば、もっとこの物語全体が見えてくるような気がするんですけど、結局最後まで分からないしな。
 お話としては、陽毬が高倉家の本当の子供でない、どうも晶馬が陽毬を連れてきた、ってことが判明。でも、陽毬がなんで高倉家の子供として一緒にいるのかは分からないわけで、ひとつ分かっても謎がまた増えるいつもの法則である。

 とまぁ、感想を書くにあたって思うわけですが、やっぱ色々と小難しいのは観測書くのに適さないな。すげーバカだったり単純な方が楽だと改めて思ったのでありました。
 って、これ何の感想なんだろうねぇ(笑)。けっこう書くこと見失ったような感じです。


20 選んでくれてありがとう

う〜ん。過去話?

 そんな今回のお話は…
 冠葉と晶馬が留守の隙に高倉家を訪れた真砂子が、陽毬に《思いだし弾》を放った。
 駆けつけた冠葉と晶馬が真砂子を退けたが、陽毬は記憶の底に沈んでいた「真実」を思い出しはじめていた。
 翌朝、何事もなかったかのように食卓を囲む3人だったが、「晶ちゃんのお味噌汁はお母さんと同じ味がする」という陽毬の何気ない言葉に、冠葉と晶馬は黙り込むのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、晶馬と陽毬の過去話を通じて高倉兄弟は全員本当の兄弟でないことを明確にする話、だったような気がしないでもない。
 そういった中で、現在進行形の時間で晶馬が陽毬を家族に選んだことを後悔しているのに対し、過去話では陽毬は晶馬が自分を選んでくれたことに感謝している、というおもしろさはある。
 全体的なストーリーとしては特に進展はなく、上記したように高倉兄妹は本当の兄妹ではないことが分かれば良いだろう。
 しかし思うのだが、この20話の時点でなにがどうなったらこの物語が終わりをも変えるのかさっぱり分からなく、正直、終わった時にスッキリ出来るのかなと疑問に思ったくらいなのだが、まぁそれは当たらずとも遠からじ、といった具合である。
 振り返ってみると、この物語は「どうなっているんだろう?どうなるんだろう?」と強烈に思わせはするけれど、なにが言いたいかは今ひとつよく分からない。こういう事を言いたいのかなーという片鱗すら薄ぼんやりとしている。
 このアニメのキャラクターの大概は、実の両親に何らかの形で愛されていなくて、本来他人同士である高倉兄妹は家族ごっこであるはずなのに本当の家族のような強い絆を見せる。
 そういうことから考えて、人との繋がりに血縁関係はあんまり関係無いんじゃないの?という事を言いたいのではないだろうか?とも思うのだが、それだけであるならば、運命を変えるピングドラム関連は正直邪魔ではある。それらが無い方が人との繋がりという人間ドラマをより良く見せることが出来るだろう。
 そもそも最初はピングドラムを手に入れろから始まっているわけだから、むしろメイン所はそっちの方なんだろうことを考えると、運命の乗り換え云々でいったい何を伝えたいのかがよく分からなくなってくる。

 というわけで、まぁ結局の所、この段階でも今ひとつ分からないことだらけである。という事なのだ。
 もう各々判断すればいいじゃーんみたいな感じなんじゃないかと思われる。まぁそれは良いのか悪いのかは知らないが。


僕たちが選ぶ運命のドア

おお、サブタイが上手くハマってんなぁ。

 そんな今回のお話は…
 苹果の前に、週刊誌の記者だと名乗る男が現れた。
 昔起きた事件の被害者の遺族にインタビューして回っているのだというその男は、実行犯である高倉剣山の家で他人の子どもたちが兄弟妹として暮らしていることも突き止めていたのだった。
 苹果いわく悪趣味な腕時計をしている記者は、陽毬の元にもやって来る。高額な治療費の出所を聞かされ、陽毬は3号と共にとある場所へと向かう。
 以上公式のあらすじ。

 お話は相変わらず分かったような分からないような話ではあるが、終わりに向けて走り出した感じはある。まぁ、もう21話だし、そうではなくてはウソというものではあるが。
 ともあれ、他人同士でありながら家族であった高倉兄妹はついに分裂し、その辺が冒頭でサブタイと上手くハマっているといったことで、これまで強固な家族愛を見せていた彼らだが、一旦ここでそれが崩れてしまうあたりの展開はさすがで「どうなるんだろう」という気にさせる。
 生きていると思っていた高倉両親も実はすでに死んでいることが明かされ、これまでのは冠葉が見た幻覚であったようだ。冠葉は陽毬を救う為に両親の在籍したテログループ「キガの会(字が分からん)」に協力し金を得る、陽毬は冠葉を止める為に運命の人晶馬と別れ冠葉について行った。そして晶馬は……どうするんでしょうね。という所で引っぱっている。
 引っぱっているでいえば、高倉両親の居所を突き止めた多蕗とゆりはキガの会の構成員に刺されたっぽい所で引っぱっているのだが、彼らは最後に上手いこと落ち着くのか。というか、どう考えてもあと3話で物語が全部収拾つくとは思えない感じは、まぁ見事に当たったのだけど、今回のお話としてはこれから先展開を示していて、そこに向っているのかなんだかよく分からないこれまでよりも良い。
 眞悧の存在もキガの会を作った人物であるがもうすでに死んでおり、桃果と相打ちのような格好になったことを臭わせ、また、再度地下鉄テロにチャレンジすると宣言。それに加担する冠葉を陽毬、晶馬がどうするのかってのが最終的なポイントである。
 これまではかなり五里霧中な話であったような気がするが、ようやく進んでいく筋が見つかったような気がして、そうなっているんだか分からない謎だけで引っぱってきたこれまでよりは、行く道筋が見えて(と言ってもなんとなくだが)良いだろう。
 そう考えると、これまで全てがここからのお話の前フリであったように思える。と言っても、まぁ大概のお話がそうであるように、それは当たり前と言えば当たり前ではあるのだが、物語の中のいくつかの章がここへ集約されてというよりは、ここからのお話の為にこれまでのお話が全部準備だったみたいな印象ではある。そうだとするならば、随分長い前フリだったなぁ。

 個人的に気になった点としては、眞悧の存在だろうか。
 要は彼は生きていない人で、劇中自身を幽霊といったように、キガの会が受け継いだ彼の理念のようなモノ。なんでしょうかね。そういうものを発起人である眞悧という人物として見せている、という解釈でだぶんいーんだろう。で、高倉兄妹(と言っても本当の兄妹ではないのだが)は、眞悧という運命の輪に取り込まれちゃっているような形なんだろう。
 それを切り崩す為の「ピングドラム」だったというわけだな。

 いやー、でもこれ初見でここまで見ても分かんないよなー。全然分かんないままここまで引っぱってくるんだからすごいことはすごい。
 と、わけの分からない感想のまま終わる(笑)。


22 美しい棺

ダブルHはもうちょっと絡んでくると思っていたのになぁ。

 そんな今回のお話は…
 薬代を稼ぐために、冠葉がかつて父が所属していた組織の残党と行動をともにしていると知った陽毬。
 彼女は命に代えても冠葉を止めると誓い、組織と行動を共にする冠葉の元に身を寄せていた。
 だが冠葉は、薬が効かなくなった陽毬を救うために、眞悧の計画に従う決意を固める。彼は自分はもう死んでもいいからと懸命に訴える陽毬を残して、池袋駅へと向かうのだった。
 以上公式のあらすじ。

 お話はもう今回入れても後3回という事もあり、かなり差し迫った感じ。
 冠葉は眞悧という「呪い」によって、もう後戻り出来ない所まで来ていて、陽毬も真砂子も結局止めることが出来なかった。
 眞悧と言う名の呪いに導かれ、冠葉は彼がなし得なかった地下鉄テロを実行しようとしているわけですが、分かったようで分からないですよねー。だって、テロやってというか、呪いに乗っかったとして、陽毬の命を救うには結びつかないからなー。
 まぁそれだけ冠葉が陽毬を救うことで頭がいっぱいで、眞悧の誘いに乗ってしまったという事なんだろう。両親のこともあってテログループとの関わりを呪いとするならば、冠葉は元々深い関わりを持っているわけだが、それは晶馬も同じではある。
 そういう点を踏まえて考えると、冠葉はそういった呪いとも言えるしがらみを全て自分で背負って晶馬や陽毬、また本当の家族である真砂子やマリオに向かないようにしていたのではないだろうか。多蕗の件でも「罰はオレが全て受ける」と言っていたように、自分がどうなっても晶馬や陽毬、真砂子やマリオには陽の当たる場所で幸せに暮らしてほしいのだろう。
 と、こう書くと自己犠牲でなんとなくカッコいいような気がしないでもないが、よくよく考えれば随分な自分勝手でもある。晶馬たちは冠葉が罰や呪いを受けてまで幸せに暮らしたいとは思っていないわけだから。
 このようにお話としてはすごくジリジリとする感じで正に最終局面といった様相ではある。しかし、物語としてスッキリ出来る様にはなってはいない。
 ペンギンたちがいる意味とか、桃果がどうしてあの日記を手に入れたかとか語られてないものな。こどもブロイラーや、今回のラストで登場した檻(箱と言うべき?)もなにを言わんとしているのかもやっぱり分からない。
 「どうなるのかなぁ、どうなってるのかなぁ」からここへ至って「どう決着をつけるんだろう」になったのはいいけど、終わってもスッキリしないのはどうもなぁ。
 最終的に分からなかったことは、もうどうでもいいことであった、のかもしれないなぁとか見ていて思う。各々が考えて納得した部分が重要、みたいな?

 まぁでも個人的には、なんだかんだで興味を最後まで見事に引っぱってきたんだから、2・3話見て「もういいや」と見なくなっちゃうアニメも多い昨今、素晴らしい手腕でこのアニメを作ったと言えるだろうとは思う。
 なんか最終回の感想みたいだなー(笑)。


23 運命の至る場所

わかったような、わからないような。

 そんな今回のお話は…
 冠葉と別れてから意識を失った陽毬は、東鴎病院に搬送されていた。
 報せを聞いて病院に駆けつけた晶馬は、鷲塚医師から、陽毬が搬送中にうわごとで冠葉の名前を呼んでいたと聞かされる。
 一方、冠葉は、眞悧のキセキのような力を目にしていた。これなら陽毬の命を救えると確信した冠葉は、眞悧の求めに応じることに。
 だが、鷲塚医師の診断では、陽毬に残された時間はあとわずかしかなかった。
 以上公式のあらすじ。

 まぁ当然のことながらラス前という事もあって随分と核心に迫った感のあるお話ではあるものの、今見ても冒頭に書いたように分かったような分からないような話である。
 起こっている出来事は当然分かることなのだが、眞悧が劇中自身を呪いのメタファーといったように、彼は人物でありながら正確に言うならば人物でなく、それでありながら出来事には人物として関わってくるので、まるで抽象世界のようになってしまっていて、劇中の現実世界との境目がない感じだ。
 でもそこはむしろ狙っている感はあり、眞悧の言うことはいちいち抽象的で、なにを言わんとしどうしたいかがおぼろげにしか見えてこない。でもそれは彼が「呪い」という概念的存在であるならばなんとなく納得できる。
 彼が概念ならば、その呪いに囚われているキガの会の人達や冠葉が都合の良く解釈して、眞悧がやろうとしていること、地下鉄テロを実行させることに邁進してしまうのも得心できる話ではないだろうか。
 とまぁ眞悧に関しては、私個人的にはそういう解釈であるわけです。概念で実体をもたないので、直接現実世界を動かせないのだ。だから今回燃えてしまった桃果の日記を自分では燃やせないと言った。これなら辻褄が合う。
 そんな眞悧に対抗しているのが桃果であるわけですが、16年前眞悧がまだ生きていた頃、あの地下鉄テロの被害を半分にしたのが桃果であった。実際の被害はもっと大きかったという事だ。
 運命の乗り換えによって眞悧を追放しようとした桃果は、眞悧の呪いによって半分しか呪文を唱えられず、ペンギン帽子ふたつに分かれてしまう。また眞悧も桃果の呪文で黒ウサギ2匹に分かれてしまう。まぁそんなカットがあったのだが、眞悧はともかくとしても、桃果=ペンギン帽子って事になりますよねー。という事は、プリンセス オブ ザ クリスタルは桃果である。かと言うとどうもそれは違うような感じである。
 それだったなら苹果があのイリュージョンに入った時に、何らかのアクションがあっても良さそうだものなぁ。そもそもそのペンギン帽子は陽毬とマリオが所持したわけですが、このふたりは正直桃果となんら関連がない。となるとあの桃果がペンギン帽子ふたつに分かれてしまったカットは一体なんだったのか。でも、今回晶馬はペンギン帽子から桃果の声を聞くしねぇ。全く関係無いとは言い切れず、帽子が桃果自体であるとも言い切れないのだ。
 で、それが次回のラストになって回答を得たのかと言えば、答えはノーだしなぁ。はふぅ(溜息)。

 ま、そんな分からないことを考えるのは性に合わないのでもう放っておくとして、個人的に気になった点ですが、この物語はおおざっぱにふたつの線があって、ひとつは高倉兄妹の線、もうひとつは眞悧と桃果の戦いの線だ。私としては眞悧と桃果の方が興味深い。
 というのも、最初から眞悧と桃果がお互いのすることをそうはさせじ争っていたって事になるからだ。要は16年前で着なかったことをまたやろうとする眞悧に、そうはさせまいと一手先に送り込んだのがペンギン帽子、という考えだ。
 となるとこの物語の本線は、どっちかって言うと眞悧と桃果の方になる。その本線に高倉兄妹の線が絡まってごっちゃになっている、というのがこの物語の印象で、ひとつひとつのお話は、どっちかの線をクローズアップしているもしくは、こんがらがった部分を映している。様に見える。現時点では絡まり合ってふたつの線がひとつのようになってしまっている、といった感じでしょうかね。

 そう考えると、本来ふたつの線だったものをひとつに見せかけてここまで見せてきたとも言え、まぁ分かる分からないはともかく、物語の構成力には感心せざるを得ないなぁと思うのでありました。


24 愛してる

終わったぁ。

 そんな今回のお話は…
 陽毬を助けるために世界を変えようとする冠葉。冠葉のやり方では陽毬を救えないという晶馬。対峙する二人を乗せ、運命の列車は走り出した。
 そんな彼らの前に苹果が姿を表わした。彼女は桃果の日記に記されていた呪文を使って、陽毬を救うと告げる。
 呪文を使えば、代償として呪いの炎に焼かれるという眞悧の言葉にも怯まず、苹果は陽毬を救いたい一心で呪文を使おうとする。
 以上公式のあらすじ。

 いやぁ、ようやく最後まで辿り着きましたが、正直全然分かりませんでした。全然分からないままここまで引っぱるんだからそれだけでもうすごい。としか言いようがないな。
 物語としては、何がどうなのかよく分からないし、桃果がどうしてあの力を得たのかも語られないし、ペンギンがいた意味に至っては全く分からなかったわけで、物語が人に何かを伝えることであるとするならば、物語としてはどうなんだろうと思わざるを得ない。
 個人的には、アニメ見て小難しいこと考えたくないので、プリキュアみたいなハッキリスッキリなのが見ていて楽だし楽しいんだけど、それでもこのアニメはそんな私を最後まで引っぱってきたんだから、見せる仕掛けが素晴らしかったと言えるんじゃないだろうか。
 アニメーション的には特に作画が綺麗であったとか、ものすごく綺麗に動いていたとかもなく、飛び抜けた出来というわけではなかったのだけど、おもしろかったのは、とてもアニメらしいアニメーションであったという事か。
 アニメだからOK、という表現がこれでもかと出てきて、この物語を映画かドラマかで作ったとしても、決してハマらないだろうという気になる。実にアニメらしいアニメであったように思う。
 もうひとつ言いたい点としては、ものすごく「キャッチー」だったということだろうか。
 眞悧の口癖「シビれるだろう」とか、ペンギン神様のイリュージョンとか、そのイリュージョンでかかる「ROCK OVER JAPAN」等々、見ている者を一瞬で引き寄せてしまう。私なんかはほぼこれにやられてしまったと言って良いだろう。なんだかよく分からないお話を24週もワクワクしながら見ていたんだから、そりゃもう見事にやられてしまったとしか言いようがない。物語が最初の数話から、ここへ至るなど一体誰が想像しただろうか。そういった意味でもその手腕は素晴らしい。
 物語と言えば、前回、高倉兄妹周辺は本線ではなく、眞悧と桃果の争いこそが本線と書いたが、眞悧と桃果がどうなったのか、さして語られなかったことを見ても、今でもそれは間違っていないと思っている。
 しかしながらこの物語のメインは高倉兄妹の方で、メインである伏線に途中から本線が絡んで来て、本線の方をひた走るかと思いきや、メインは高倉兄妹のまま終わる。元凶の方はさして突っ込まないまま、最初にクローズアップしたところを映し続けているのだ。
 そう考えると主役たちは飽くまで主役たり続け、見せたい部分だけを見せていた、のではないだろうか。眞悧の呪いや桃果の奇跡は、高倉兄妹の物語にとっては一部分でしかない、ということか。
 普通なら最終的にその元凶をどうにかしちゃいたくなるところであるが、敢えてそうしない辺りはさすがと言えるだろう。

 まぁ、なんにしても個人的には見事であったが、正直、好き嫌いがはっきり分かれそうではある。
 エヴァンゲリオンみたいに、なにがどうなってるんだか考えるのが好きな人は、これほど見がいのあるものはないのではないだろうか。
 最後にスッキリしないとイヤな人はきっともにょもにょするのでむしろ見ない方が良いかもしれない。が、上記したように、キャッチーな部分は実に見事な演出なので、そういったところは見ても決して損はしないだろう。と私は思う。


 すごーく個人的なことを言えば、もうこの感想に「なんて書こうか」と悩まなくてすむことは、実に清々しいです(笑)。


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