灼眼のシャナIII 1〜12話

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第1話「失われた存在」

IIIと書いてファイナルと読むらしいぞ。どうも原作の方は終わったらしいです。なるほど。

 そんな今回のお話は…
 「私たち二人のどちらかに会いに来て下さい」。クリスマスイブの夜、悠二を呼び出したシャナと一美。
 しかし、二人とも悠二とは会えなかった。その夜を境に、悠二が消えたからだ。
 ただ姿を消したのではない。悠二という人間が存在した痕跡や、母である千草、学校の友人たちの記憶からも全て。それはまるでトーチの火が、存在の力が消えてしまったかのように……。
 だが、シャナは悠二が生きていることを信じていた。他の痕跡と一緒に消えるはずの手紙が、あの夜、悠二が書いてくれた手紙がまだ消えずに残っているから。
 そして、シャナは新たな戦いへ向けた準備をスタートさせる。
 以上公式のあらすじ。

 いやもう、1・2と見たからには最後までお付き合いしますよ。冒頭書いたように原作も終わったらしいので、このアニメの方も上手いこと終わってくれる事を期待したい。
 さて、お話は第2期の最後からどうなってどういう状況になったかの説明といった感じで、クリスマスイヴの夜に消えてしまった悠二は、存在の力がなくなって消えてしまったのかと思ったが、シャナと、このアニメいち不幸な少女吉田一美が悠二に渡した手紙が消えずに返ってきたため、シャナと一美はまだ彼は消えていないと希望を持つ。一方、消息不明になっていた悠二は、どうもバル・マスケの策略にハマったらしく、バル・マスケの盟主と一体化(?)していた。
 という、ここからの物語の前提を説明したといった感じでお話としては特に進んではおらず、悠二が消えて、紅世関係に足を踏み入れていない人たちから彼の記憶がさっぱり消え、そういう状況の中、悠二宛の手紙が戻ってきたという一縷の希望を胸に、これから起こるであろう戦いに備えるシャナと、なんでかよく分からんがバル・マスケの盟主となった悠二という展開を説明しただけであるが、結構唐突感はあるものの、展開としては意外で意表をつかれて形ではある。
 個人的に1期2期と存在の語られる事のなかったバル・マスケの盟主とか、悠二に一体何が起こって一体化したのかとか、悠二の中にあった宝具「零時迷子」に取り憑いている紅世の徒「銀」は、その一体化に関係しないのかとか、あんまり上手く飲み込めない感じなのだけど、まぁたぶん、その辺は追々説明していくのだろう。
 しかしこの展開として、バル・マスケは設定的に「世界の理を変える」という行動原理があり、悠二が紅世の徒とフレイムヘイズの在り方を変えたいと願い、双方の希望が合致したため一体化がなったのは理解したのだが、でも悠二ってこれまで紅世の徒とフレイムヘイズの在り方について考えたりとか悩んだりとかってなかったような気がするのだが。
 まぁもう2期も随分と昔の話なので、私の記憶にないだけで、もしかしたらそんな話もあったのかもしれないが、でもそれってかなり重要事項だよなぁ。何年かぶりの3期なんだから、その辺ちゃんと説明しておくべき事柄なのではないだろうか。
 それとお話として、確か2期に田中が愛するおがちゃんのために英断して紅世関係から身を引いたというのに、それを佐藤が引き止めるような事をするので「えぇ!?そりゃねーよ」と思ってしまった。個人的にはこのふたりはもうそっとしておいて、ふたりで幸せに過ごさせてやれよと思わんでもない。
 なにせ登場人物の多いこの物語ですから、さして本編に影響しないであろう田中とおがちゃんがいなくてもいいだろう。紅世関係の事柄を憶えておくだけで精一杯だっちゅーの。
 なにはともあれ、物語としては、いつも一緒だったシャナと悠二が敵対する事になり、これからどうなってどうオチをつけるのかは楽しみである。この物語いち不幸な少女吉田一美も、2期で誰だったかにもらったそいつを呼び出す宝具(使ったら死ぬ)を使うのか使わないのかということもあるしなー。
 しかし、この灼眼のシャナというアニメは、1期2期も言ったような気もするけど、紅世関係より学校の話の方がおもしろかったんだよなー。紅世関係は結局の所なんでもアリだからなー。悠二がいなくなって、学校でのなんだかんだがなくなってしまうのは個人的にはちょっと痛い。というか、これから2クール(なのかしら?やっぱり)ずっと紅世関係なのはどうなんだろうなぁ。
 まぁ自分でもどことなくこの物語の楽しみ方を間違っているような気がしないでもないですが(笑)。

今週のおぱんちゅ
 いやぁ、やっぱシャナと言ったらおぱんちゅなしでは語れないだろう(これだから楽しみ方が間違っているというんだ)。
 なにせ3期一発目から入浴シーンとくるもんだから、こちらとしても「さすが分かっているな」と親指を立てずにはおれん(笑)。ちなみにおぱんちゅはクマっぽいキャラクターのプリントでした。
 個人的にはシャナがブラを付けておらず、上の下着はキャミ一枚であった所にぐっときましたよ!……何を言っているんだオレは。
 しかし、話が紅世中心となると、今期はあんまりそーゆーシーンはないのかもしれませんなぁ。

第2話「来るべきもの」

あのお姉さんの出番はアレで終わりなのかい?

 そんな今回のお話は…
 バル・マスケ三柱臣の一柱“千変”シュドナイが、フレイムヘイズの重要な連絡拠点・上海のアウトロー総本部を激しい炎に包み込んでいた頃、バル・マスケの居城『星黎殿』へ多くの“紅世の徒”たちが集まっていた。
 数千年前に失われた盟主の復活。それは、集団での戦いを好まないと言われる彼らが一丸となる象徴であり、フレイムヘイズとの全面戦争開始の合図でもあった。
 そして、フレイムヘイズもその動きを察するかのように、ゾフィーを兵団長とし来たるべき戦いへの備えを進めていた。
 シャナもまた、自らの力を高めるべくマージョリーとの特訓を重ね、新たな技を身に付けようとしていた。
 以上公式のあらすじ。

 アバンで出てきたお姉さんはアイキャッチにも出てきた割に、どうもあっさり死んだっぽいな。一体なんだったんだろう(笑)。
 ま、そんなちょいキャラ(失礼?)はともかく今回のお話ですが、まぁなんというか、前回と同様に状況説明、だよなぁ。今、こんな感じです。みたいな。
 シャナはゾフィーとかいう人に手紙で相談し、なんかパワーアップ(?)した感じで、バル・マスケの盟主となった悠二はの方は、各地アウトローを叩いてゾフィーとかいう人の所へフレイムヘイズを集結させ、自身が御崎市(この字だったっけ?)に行くための邪魔をさせないようにしました。という状況の説明である。
 どうも「とりあえず舞台を整えないとな」みたいな感じがするのは、やっぱアバンであっさりお姉さんが退場したからかもしれん。見ていて「ここはこうなってます」「そこはああなってます」の連続のように思えて前回を含め長い前フリをみているようであった。
 個人的には、佐藤が東京アウトロー支部(だったっけ?)にお使いに行く際の電車の件がなかなかおもしろく、逃げることの出来ない走行中の電車内で徒に遭遇したかと思いきや、徒が乗っていたのは対向車両だったという、オチが分かれば「なーんだ」であるが、何の力もない佐藤が、マージョリーさんに渡されたアイテムで徒を感じたら何をもってしても逃げろと言い含められている状況と、逃げることが出来ない電車の中という状況に、まぁどうせその徒は悠二なんだろうから、出会った所でおそらくは死ぬこたぁないだろうとは思っても、「佐藤は一体どうなってしまうんだろう」という気にさせることもさることながら、考えてみればそれくらいしかない簡単な騙しが、佐藤の緊張の度合いが一気に高まり過ぎ去って一気に落ちる緩急の利いた展開は見事であったと思う。
 正直今回のお話としてはこんなもんである。物語が「どうなるのかなぁ」という以前の問題で下地を作っているような感じ。

 さて、個人的に気になった所としては、シャナが自在法の鍛錬で、ゾフィーとかいう人の手紙とかからヒントを得て、なんかパワーアップした件なんですが、私これ全然理解できなかったんですけどいーんですかね?
 ゾフィーとかいう人の自分を誤摩化すのはお終いとか、自在法での炎の手に「自分自身」という名前をつけることで、シャナが一体何を得たのか見えてこなかったので、彼女がいきなりパワーアップした(んですかね?)ことに乗り切れないと言うか、疑問だけ残ってしまった。
 せめて「あぁそういうことか」と得心いくようにしてもらいたかった。まぁ単に私がバカで分からなかっただけなのかもしれんが(苦笑)。
 ともあれ、次回からはお話が動きそうではある。前フリ長いなー。

 どーでもいーけど、公式のキャラクター紹介を見てみたら、結構な数になってますねぇ。
 まぁこのIIIと書いてファイナルと読むだけを見ている人など今更いないであろうから良いのであろうが、正直もういろんなこと忘れちゃっていてついて行けるか心配。つか、このアニメいち不幸な少女吉田一美が持つフェレスを呼び出せるアイテム、使う機会あるんですかね?というか、フェレス自体話に絡んでくるんでしょうか?
 これだけの人物のことを最後までに上手いことまとめられるのか老婆心ながら心配してしまう。
 あ、アバンで死んじゃったお姉さん、ちゃんとキャラ紹介に載ってますね。あんなあっさり消しちゃった人物なら載せなくてもいーんじゃね?

今週のおぱんちゅ
 ない。
 ええーっ!?おぱんちゅないなんてシャナらしくないじゃないか!(間違った見方)


第3話「旅立つために」

えーっと……。

 そんな今回のお話は…
 それは“坂井悠二”であって、そうでないものだった。彼が降り立った地は、自身が生まれ育ち、母親が暮らし、仲間が居る街、御崎市。
 シャナと出逢い、自身がトーチだと知り、“徒”との戦いへ共に歩み出した場所。“坂井悠二”は、そんな記憶のひとつひとつを確認するかのように、市内を歩いていた。
 同時刻。シャナを始めマージョリーやヴィルヘルミナらは、接近する強大な“紅世の王”の気配に気が付いていた。
 まだ正体の分からぬその敵に対し、田中や一美とも連絡を取り合い準備をする中、マージョリーが確認した“紅世の王”の姿とは――
 以上公式のあらすじ。

 悠二が思い出に浸りながら歩いていただけのような気がするのだが……。でもまぁこれまでのおさらいにはなる。
 ホント言うと、ただ悠二が歩いていただけではなく、悠二がなんでバルマ助の盟主と一緒になって行動しているか、という理由の説明になっている。
 それは悠二が御崎市に大切なものが増えていって、既存の状態ではそれが失われる一方である事と、シャナが紅世の徒を討伐するフレイムヘイズである以上、一緒に歩めずまた死ぬかもしれないということで、世界の変革を求めるバル・マスケと理念が一致し、御崎市全体を守るという意思である、という説明のために丸っと一本使ったという格好だ。
 と、いうわけで、物語的には特にというか、ほぼ全く動きはないと言っていい。なんか随分とかったるい流れだよなー。
 まぁね、個人的に紅世関係より学校の話の方がおもしろいと思っていた私としては、もうそれが無いと分かってしまっている以上、正直盛り上がれないってのもあるわな。
 この物語としての面白味は、現実世界と紅世関係の二面性のある世界が平行していることにあると私は思っていて、紅世関係だけで進んでしまう今シリーズは魅力半分な感は否めない。
 でもまぁ最後だしねー。今までみたいに敵がやってきたチャンバラして退けて終わりってわけにはいかないもんなぁ。
 しかしそれにしても、もうちょっと興味を惹くような所があってもいいような気がするのだが……。

 おぱんちゅもないしな(笑)。


第4話「再会と、邂逅と」

長い前フリだったなぁ、おい。

 そんな今回のお話は…
 御崎市に現れた“紅世の王”。御崎大橋の主塔の上に立つその姿を見たシャナは困惑した。
 その王は、クリスマスの夜に消えた坂井悠二だったからだ。再会の喜びに浸ることもなく、マージョリーやヴィルヘルミナから、彼に疑問が投げ掛けられる。
 「どーせ三眼のババアが作ったオモチャなんでしょ?」「洗脳を受けた……あるいは、何者かに意識を乗っ取られたようであります」――と。
 だが、その返答は、意外な事実だった「余は坂井悠二だ。……ただし、それはこの世における通称。真名は当然、他にある」。
 そして彼は、黒き炎を全身に纏い、悠二でありながら異なる姿を現す。
 以上公式のあらすじ。

 なんかようやく始まったなという感じではある。というわけで冒頭の一文なのでありました。
 お話を簡単に言えば、悠二がシャナを迎えに来て、邪魔するマージョリーさんに「銀」の事を教えたら発狂して、シャナが自分の言う事聞かないんで殴って気絶させて拉致った。うん、間違ってない。
 状況としては、悠二は世界がこのままでは御崎市に住む大切な人々を守れないとし、世界の有り様を変えるというバル・マスケとの利害が一致し、また愛するシャナも、闘争の果てやがて死ぬであろうフレイムヘイズという道具の立場も世界改変で変えてやろうという目的のもと、最愛のシャナを手元においておく為に攫った、のが現状。
 3話丸っと前フリに使って、ようやくここからどうなるのかなという感じではあるものの、今ひとつノっていけなさがあるのはなんなんだろうか。
 まぁ今までも紅世関係は結構な置いてけぼり感を味わったような記憶もあるので、今期の紅世メインの話ではさもありなんと言った所だろうか。っていうか、正直あんまり紅世関係に興味なかったしな。
 そういう点も含めての乗り切れなさというのもあろうが、一番の問題はいろんな人達が「何をしたいのかよく分からない」ということだろうか。
 とりあえず、悠二たちバル・マスケの世界の変革ってのは、現状維持を主とするアラストールらフレイムヘイズと対立しているってのは、基本的状況として分かっていなくてはいけないんだけど、変革して何がマズいとかが語られないんで、敵対することとなってしまった悠二とシャナという部分で盛り上がりに欠ける。というか、悠二の言う変革によって人が輪廻などに襲われない世界になるのなら、むしろそっちの方がいーんじゃね?とか思ってしまうのだが。
 まぁそもそもを言えば、アラストールもバル・マスケもみーんな紅世の人(人なのか?)で、要するに考え方の違いでもめてるくらいの印象しかないのがどうもな。
 どうせなら、悠二のやろうとしている事はヤヴァイんだよとか、どっちのいい分も一長一短で最終的のどう折り合い付けるのかとかの、物語がどう転ぶかを気にさせればいいと思うのだが、紅世関係は紅世関係で進行しているし、シャナと悠二と吉田一美の愛だか恋だかもあるし、マージョリーさんと佐藤と田中云々もあるしで、正直この物語のメインがどの辺なのかが見えてこないのが一番問題のような気がする。
 ま、簡単に言ってしまえば興味を惹く所があんまりないってこったなぁ。強いて言えば、紅世関係には足半分くらいしか浸かっていない吉田一美が、いい役所をもらえているかが気になるくらいだ。
 なにか「な、なんだってーっ!?」みたいな展開が今後あればいーんだけどなー。なんで戦っているのかがあんまり明確でないので、戦闘で盛り上がらんしなー。このまま最後までもつのかしらん?

 個人的な所ではマージョリーさんの事であろうか。というのも、今回語られた事実は彼女が発狂するような事だったのかなーと思って。
 徒だと思われていた銀は、実は人間の負の感情が集まって具現化したもので、強烈な感情を持つ者の前に現れ、その者のしようと思っている事をしてしまう。ということで、マージョリーさんは生きる目的を見失ってしまった、ということらしいのだが(らしいというのがまたアレだが/笑)、そーんなにショッキングかなぁと思うんですよね。まぁガックリくる気持ちは分からんでもないですけど、精神崩壊するほどなんですかね?
 ま、彼女に特別思い入れがあるわけでもない自分としてはそんなもんなのかもしれんが、見ていて「え〜?そこまでいく?」と思ってしまいましたよ。つか、彼女がなんで銀に執着しているのかとかすっかり忘れていましたけど(笑)。

 ともかく、ようやく始まった感じではあるので、なんかすごいことが起きる事を期待……はあんまりしないで見た方が良さそうな気がしないでもないな。


第5話「囚われのフレイムヘイズ」

あれ?メイドさんの中の人が。

 そんな今回のお話は…
 『天罰神』である“天壤の劫火”アラストールと同位の存在、『創造神』“祭礼の蛇”。
 太古のフレイムヘイズたちによって『久遠の陥穽』へ葬られたはずのその神が、今蘇り、悠二と融合していた。そして、フレイムヘイズと“徒”の摂理通り、激突するシャナと悠二。
 彼の姿で話し、動き、そして刃を向けてくるその現実に惑わされたわけではないが、その決戦はシャナに敗北を突きつける。
 シャナを消滅させず、バル・マスケの居城へと連れ帰った“祭礼の蛇”。その目的とは――。
 その頃御崎市では、シャナを失い、マージョリーの回復も見込めない中、ヴィルヘルミナが、単身で奪還計画の準備を進めていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話はまた状況説明に戻ってしまって、シャナは囚われて宝具で力を出せない状態、フレイムヘイズとアウトロー、紅世の徒は大規模尖塔の準備を進めている。そんな中マージョリーさんが戦線離脱し、他のフレイムヘイズ救援もないまま、メイドさんはひとりシャナ奪還の作戦を練っていた。ということが分かれば良いだろう。
 まぁ細かいことを言えば、アウトローに向った佐藤と連絡が取れないとか、なんでメイドさんはフレイムヘイズのエラい人らしいゾフィーの救援要請を断っているかとかあるんだけど、まぁそれはフレイムヘイズ側は別に一枚岩というわけではないということを示すくらいのものなので、あんま考えなくても良いだろう。
 今回のお話としては、上記したように1〜3話のように状況説明に終始していて、フレイムヘイズも徒もなんか企んでるなーくらいのことしか分からないので正直某ないな。物語の進展度はあまりない。
 まぁそんなわけで、特になんもなかった話に何か書く事あろうはずもなく、「ああ、そういう状況なんだなー」倉石か思わなかったんだから仕方がない。
 IIIと書いてファイナルと読ませるんだし、原作の方も完結したということで、このアニメの方もしっかり終わるからか、ひとつひとつの話云々よりかは、全体的な流れを優先しているような印象を受けるな。
 そもそも、TVシリーズは3期目で、今更これまでの流れを知らずに見ている人などおるまいということもあってか、もう1話1話で見せ場を作るよりも、全体の中で重要な部分で盛り上げる為に、それ以外の所でちゃんと説明して盤石の体勢を整えている、のかもしれない。が、まぁ見ていてかったるいっちゃぁかったるいのである(笑)。
 上記に挙げた点を考えれば仕方ないと言えば仕方なく、終わりに向けた盛り上がりを作る中で、さらにひとつひとつの話に何かつけるのも、まぁ無理な話ではあるのだが、それほど熱心にこの物語を見てこなかった身としては、アウトローだとかフレイムヘイズ、バル・マスケや悠二が何しようとしているんだかよく分からないので、正直な所、全然乗り切れねぇな。
 今度話が動くのはいったい何話後なんだろうなぁ。

 個人的なこととしては、冒頭に書きましたメイドさんの中の人です。
 メイドさんことヴィルヘルミナの中の人は伊藤静さんなんですが、何故か今回は吉田一美の中の人、川澄綾子さんなのである。
 で、何が言いたいかと言うと、別に声が違うじゃねーかコンチクショウと言いたいわけではなく、Eのキャストを見るまで全く気付かなかったのです。けっこう台詞あったのになー。
 いやぁ何があって今回川澄さんが演じてらしたかは分かりませんが、さすが声優さんはプロですなぁ。


第6話「掌のなかに」

EDに出てくるお姉さん登場。

 そんな今回のお話は…
 マージョリーの代理として東京のアウトローに向かった佐藤にも、窮地が訪れていた。アウトローに入った途端、歓迎されるどころか、携帯電話などの連絡手段を取上げられ、監禁されてしまったのだ。
 それから1週間後。苛立ちと焦りでいてもたってもいられない佐藤の眼前に、突如フレイムヘイズが現れる。監禁部屋の扉を爆破する、という「中の人間のことを考えない」破天荒なやり方で。
 佐藤は、そのフレイムヘイズ――レベッカに、彼がここに来た目的を告げる。そして、マージョリーが昏睡状態であることも。
 今、世界に散らばるフレイムヘイズたちの目が日本に向けられようとしていた。
 以上公式のあらすじ。

 うーん。お話としては、大規模作戦の前に囚われてしまったシャナを救出しようとするメイドさん(ヴィルヘルミナのことです)は作戦に組み込まれることをずっと拒否し続けていて、メイドさんを懐柔する駒として東京アウトローのフレイムヘイズは佐藤を監禁。しかし、メイドさんと旧知の仲であるフレイムヘイズ・レベッカは作戦よりもメイドさんに加担する方を選び、佐藤を連れて御崎市へ向った。その頃メイドさんには作成総司令のゾフィーから手紙が届いていて、どうもレベッカの件はゾフィーの手のうちだったようで、シャナ救出にはゾフィーもそれなりに手を打っていたのだった。というような内容。
 アウトローたちフレイムヘイズと悠二たち紅世の徒の大規模戦闘の為の準備が着々と進む中メインキャストは……というようなまたこれまでのような状況を追っているお話で、まぁ正直お話として某はないな。その大規模戦闘を前に双方着々と準備を進めており、メイドさんらはそれに絡まない独自の行動、シャナの救出をしようとしているんだよ、ってのが分かれば良い。
 基本的に大規模戦闘の方にシャナやメイドさんらは関わっていないので、メインとしては、マージョリーさんが脱落して孤立無援のメイドさんにレベッカが加わってシャナ救出に一筋の光明を見出した、という事の方だろう。
 とまぁそんなわけで、劇中的にも物語的にも大掛かりな戦闘を前に準備していると言った印象で、ホント何度も言いますけど状況を説明しているだけなので、今回のお話の中で何か盛り上がり的なことは全く無いと言っていい。
 でもまぁフレイムヘイズと紅世の徒の会戦という物語的に大きな出来事が控えているので、説明はちゃんとやっておかなくてはならないのも事実。何の状況説明もなしに、人外のでかいドンパチやらかされてもついていけないからな。そーゆー意味で、ちゃんとこうこうこうなっていると説明してくれているんだから物語としては親切ではある。
 とはいえ、このアニメシリーズを見て紅世関係よりも学校の話の方がおもしろいとか思っていた身としては、双方が何しようとしているのかよく分からない作戦の準備段階を見ても「ふ〜ん」くらいにしか思わないのも事実。まぁこの段階で一本あたりの盛り上がりを作れと言われても無理な話ではあろうが。

 そんなわけで、物語としては状況が動くのを待つしかなさそうである。次回も状況説明のお話のようだが、お気に入りのこのアニメいち不幸な少女吉田一美が登場するので、紅世関係に半分足を突っ込んだ彼女がどうするかをちょっと期待したい。
 しかしなんだな。吉田一美としては、バル・マスケの当主となった悠二がシャナを攫ったんだから、彼女の中で割と決着ついている感じがするんだけどなー。自分は選ばれないっていう。
 そういう状況下で、吉田一美がこの物語でまだ一応はシャナと悠二を取り合っている格好にはなっているんだから、やっぱ何かしらいい役所が残っているんですかねー。名前忘れちゃったけど、そいつを呼び出せる(でも自分は死ぬ)宝具を持っていることだし。
 個人的にはむしろ、吉田一美の動向の方が気になるんだけどなー。


第7話「神門」

なんか今ひとつピンと来ないな。
 そんな今回のお話は…
 「おまえは……要らない」。バル・マスケの盟主“祭礼の蛇”が望む『大命詩篇』。それに害悪を為す存在ならば、危険は取り除き、消し去るまで。
 ヘカテーの思いが水色の炎弾となって、力を封じられたシャナに向け打ち込まれる。炎弾が装飾を消し飛ばし、部屋の原型すらなくなろうとした時、事態を止めたのは“祭礼の蛇”坂井悠二だった。
 そして、その口からシャナを生かし捕らえている意味、“蛇”が悠二の姿を纏っている理由が語られる。
 御崎市にいる吉田一美はとある疑問を抱いていた。フィレスに宝具『ヒラルダ』を託されたのは何故か。その思いに応えるかのように、ひとりのフレイムヘイズが御崎市を訪れる。
 以上公式のあらすじ。

 うーん。お話としては悠二がバル・マスケの盟主の本体を取り戻す為に神門を作りそこへ入って行き、その頃、このアニメいち不幸な少女吉田一美はカムシンから何故自分がフィレスから宝具を託されたかの疑問を問うて答えを得ていた。って感じ?
 まぁここ数回と同様に状況説明には違いはないのだけれど、これまでとはちょっと感じが違って、それは上記に挙げた二点が話の中心になっていたからなんだと思う。要は状況説明が主でなかった、という事だ。
 そういう観点から、まぁ話の中での盛り上がりという点は無いものの、それなりに興味深くは見れた。
 悠二の方の神門云々は元々あんまり感心がないのもあるし、何を言っているんだかよく分からないのもあって割とどーでもいーんだけど、お気に入りの吉田一美の方はちょっと気になったというか、吉田一美同様にフィレスが宝具をなんで彼女に託したかがよく分からなかったので、その謎が解けるのかと思って興味を惹いた。まぁ結局の所は「よくわからんかった」のだけれど(笑)、劇中の吉田一美の方はなにか得心がいったようである。
 カムシンが語った「愛」云々とフィレスが宝具を吉田一美に託すことがどう結びつくんだか私にはよく分からんくって、「相手の望む事をするだけが愛でないよ」から、吉田一美に「使うと自分が死ぬ宝具」を託すが結びついているとは思えないんだけどなー。なんだ、アレか。私がよっぽど馬鹿なのか、それとも人としてなにか欠けているのか、そーゆーことなのか?
 まぁ私の事は放っておいて、知りたいのは劇中でもあったように、吉田一美はその宝具を使わないかもしれないわけで、なんでそんな相手にフィレスは宝具を託したのかということなんだけど、逆に考えれば吉田一美が使うと核心があったからこそ託したとも言える。
 つまるところ、吉田一美は愛する悠二の為に宝具を使って自分を呼び出すであろう、とフィレスは踏んでいるわけだが、どー考えてもそこまで確信に至る理由が見当たらないんだよな。
 まず第一に吉田一美が悠二に選ばれなかったとした場合、彼女は宝具を使わないだろうし、第二に吉田一美に何のメリットもないんだよな。なにかの大ピンチにフィレスの力が必要だったとして、宝具を使って呼び出したとしても、その時自分は死んでいるわけだから、その後どうなろうと吉田一美自身は関係無いというか関係できないよなぁ。
 ハイリスクハイリターンならまだしも、リスクのみのモノを使う算段なんて立つわけもないわけで、基本的に住む世界が違うし考え方も違う元々紅世の人(人と言うのかどうかだが)なら分かるんだけど、紅世に片足突っ込んでるくらいのフツーの人間には何の価値もないように思うのですがね。
 そこで「愛」が出てきて、もし使うのなら吉田一美が愛する悠二の為に使うわけだけど、まぁ「愛とは全てを与える事」なんてことも言いますし、物語的にも悠二の大ピンチに彼女が使うってこともあるのかもしれんが、そういう状況が全く思いつかないのよね。
 結局使ったら死んじゃうわけだから、使用後に何とか上手いこといったとしても、吉田一美が報われる事はないからなー。もう使用用途すら私には理解不能である。
 もしかしたら「愛」とはなんたるかが分かる人なら得心いくんですかねー。やっぱりなんでも損得で考えてしまう俗物の自分が人としてなにか欠けているんでしょうか?
 ともかく、物語として紅世と対となる現世(フツーの人がくらす世界の方ね)の方の重要キャラクターが持っているんだから、そりゃもうキーアイテムなわけで、吉田一美と共に重要な役割がなければならない。吉田一美ですらこの第3期で関わってくるのか?と疑問を抱くのに、わけの分からないアイテムなんかはホントにこれがキーアイテムなのか、私としてはもはや微妙である。もしかしたら使わないまま終わるんじゃねーのか?とも思ってしまうよ。でもまぁ、ここで第二期で託されたアイテムをわざわざ取り上げてくるんだから、何かしら使いどころがあるんだろう。

 創造神だか世界の理だか色々と劇中語っておりますが、私としてはむしろ、あんまり関わりなさそうな吉田一美が、使いどころのなさそうなアイテムをどこでどう使ってくるかの方が興味がそそられます。
 なんかなー。紅世関係の話はどうも「どうなるのかなぁ」という気にさせてくれないんだよなー。やっぱ学校で惚れたはれたの話をしていたときが一番おもしろかったな(笑)。まぁ間違った見方なんでしょうが(苦笑)。


第8話「開戦」

やっと状況が動いたなぁ。
 そんな今回のお話は…
 大命の第二段階が始まった。盟主“祭礼の蛇”の神体を帰還させるため、三柱臣たちが神門に向かったのだ。
 それに合わせるかのように、残された“徒”らは一斉に行動を開始。世界を舞台にしたフレイムヘイズと“徒”の全面戦争が始まった。
 主な戦場はヨーロッパ東部、そして日本からフィリピン、マレーシアに至る東アジアの二カ所。既にアウトロー東京総本部は封絶により連絡が途切れていた。
 その頃、かつて放棄された「とある宝具」を探す者がいた。その名はヴィルヘルミナ・カルメル。炎髪灼眼奪還計画を始めるために。
 以上公式のあらすじ。

 お話は徒軍団とアウトローの大規模戦闘が始まり、どうやってかは分からないが、一度も敵に捕捉された事の無いという徒たちの本拠地「星黎殿」へレベッカとカムシンが奇襲をかけた。現状打破の為に機会を待っていたシャナに千載一遇の好機がやってきた。って感じ?
 基本的にはやっぱり状況説明だったりするわけですが、開戦し、その狭間で動くメイドさんら奇襲をかけた事で、事態が大きく動こうとしている様子を今回は描いており、冒頭に書いたようにやっと動き出したという印象。そう、「動き出した」というのが分かれば良いのである。
 そんなわけなので、その動き出すまでの状況説明が主なのはここ数回とあまり変わらないのだが、ようやくここから事態が動こうとしているのは良いだろう。これから各々がどうなるのかなという気にさせるからな。
 話の枝葉としては四つあり、まずひとつは世界の狭間(だったっけ?)とやらに行った悠二たち、ソフィー率いるアウトローの作戦、シャナ救出に動くメイドさんたち、そして囚われのシャナ、だ。
 この四つは別々でありながら全てに連動していて、それはここまでのうんと長かった状況説明が効いており、それらが密接に関連している事をちゃんと分からせてくれているのだから、長かった状況説明の意味があったというものである。そして、ひとつの歯車が回り始め、連動する全ての状況がゴロッと動く様を描いており、上記したようにこの先がどうなるのか気にさせるのだから、シリーズ構成はなかなか上手いことやっていると言えるだろう。なにせ、あんまり紅世云々に興味がない私がそう思うのだから、そう言わずにはおれん。
 とは言え、物語としてここはキーポイントである事は間違いないものの、ひとつのお話としてはこれまで同様何かしらの盛り上がりとかは無く、何度も書くが「やっと動いた」というのが正直な所で、今回のお話はむしろその「やっと動いた」と思わせるのが狙いなのではないだろうか。
 これまで各々なんやかんや言ったりやったりしていながらも特に動きの無いままの数話は、ここで「おっしゃ!やっと動いたぜ!さぁこの先どうなる?」というワクワク感を演出したかったという事なのかもしれない。
 まぁなんにせよ、割とここからが本番、という気がしてきました。しかしまだ8話だしね、どこかでもう一回状況が変わるような事があるような気がします。

 さて、個人的な所なのですが……キャラ多くね?紅世のヤツラ、博打神(この字か?)ナンチャラとかその時だけ出てきたキャラかと思ったらまだ出てるし、アウトローの方なんて三期になってからのキャラとしてはレベッカとゾフィー以外はもう誰がなんなんだかさっぱりですよ。
 ゾフィーは重要人物なんだろう事は分かるものの、その周りにいるヤツラとかって重要な役割があるんですかねー。なんかどこかであっさりと消えて出てこなくなりそうなんですけど。EDのキャスト見るとすんごい人数だものなー。
 というか、その辺の誰彼は理解しとかなくちゃいけないんですかねー。まぁそんな気は全くありませんし、どーせ最終的にメインキャラが活躍する事でしょうしね。
 それでちょっと気になったんですが、そういう所って原作でどうなっているんでしょうね。やっぱりこのアニメと同じように突然出てきてそのうちいなくなるキャラになっているんでしょうか?(いや、いなくなるかどうかは知りませんが/笑)

 とりあえずはここからようやくメインキャラが活躍しそうだし、状況としてもどうなっていくか気になるところでもあるしで、退屈せずにすみそうです。


第9話「星粱殿へ」

シャナついに復活。

 そんな今回のお話は…
 かつて一対の宝具として作られた『天道宮』と『星黎殿』には、隠された秘密があった。一定の距離に近づくと、双方を繋ぐ通路が修復され、自由に行き来できるようになるのだ。
 ヴィルヘルミナらは、その通路を利用し『星黎殿』内部からの奇襲を仕掛ける。目的はただひとつ、『炎髪灼眼の討ち手』の救出だった。
 強力な反撃を予想していたフレイムヘイズだったが、『星黎殿』に三柱臣の姿はなく、上空に浮かぶ謎の黒い鏡があるのみだった。
 “逆理の裁者”ベルペオルの宝具タルタロスによって力を封じられているシャナは、この事態の中、ただ一度訪れる契機を待ち続けていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話としましては、冒頭書いたようにシャナが復活する、という話。
 まぁ基本的にただそれだけなのだけど、宝具によってフレイムヘイズとしての力を出せない彼女が、千載一遇の好機をモノにしようと必死になる様は上手いこと描かれており感心。
 千載一遇の好機を死にかけの燐子(りんね)に阻まれ、隠し持っていた短刀で絶叫しながら燐子を打ち続ける彼女が、とても人間臭くて良いのだ。
 宝具の力によってフレイムヘイズの力を封じられたシャナは、ほぼ人と同じである。そういう燐子にも打ち勝つ力のない彼女が好機を逃すまいと、フレイムヘイズの力さえあれば一蹴できる燐子に、何度も何度も短刀を振りかぶって打撃を与え、ようやく屠る。
 そこでようやくひとつなぞが解けることとなる。それはゾフィー・サバリッシュがシャナに当てた手紙の一節であるあなたとあなたをひとつにする時が来たというもの。一対何の事かよく分からなかったのだが、上記シャナを見て理解した。
 燐子を屠るって力を欲するシャナ。そう、フレイムヘイズとしての力の無いシャナはシャナでないのだ。がしかし、その力を発現させていないシャナもまたシャナなのである。どちらもひとつのシャナという存在なんだということだ。
 一見して当たり前のことではあるのだけど、今現在悠二がバル・マスケの盟主となり、彼に惚れた自分とフレイムヘイズとしての自分がシャナの中で統合一致が出来ていなかったため、5話だったかで悠二に惨敗し囚われる結果となったのだ。シャナは悠二を想う自分とフレイムヘイズとして戦う自分がせめぎあって力が半分になってしまったという事なんだろう。
 星粱殿に囚われてからのシャナの台詞がほぼモノローグであったことでも分かるように、好機を待ちつつもずっと考え続けていて、どうもその答えに辿り着いたようだ。  シャナの叫びに導かれ、贄殿遮那(にえとののしゃな/シャナの持つ刀剣)が天目一個へ変わり、シャナの元に辿り着いて彼女はついに力を取り戻す。そう、本当のシャナになったのだ。そんな彼女がこれからどう悠二と向かい合っていくかはちょっと気にさせてくれる。

 そんなわけで、メイン所は上記したようにシャナの復活である。だが、物語としてはアウトローと徒の対戦中であり、シャナ救出のためメイドさん・レベッカ・カムシンは星粱殿で大暴れ中。つまりシャナ復活は全体の中では一出来事でしかないわけだ。
 今回は星粱殿の中でのことしか描かれなかったが、大規模戦闘や、悠二たちバル・マスケが神門へ向ったこと、ゾフィーらフレイムヘイズたちの作戦などなどの動いている状況を説明していきながら、シャナ復活という出来事をピックアップして印象強く見せている構成は上手い。
 まぁシャナは主役でもあるし当然と言えば当然だが、物語としてたくさんの出来事が連動して、今回一番見せたい部分に繋げてくる辺りの全体としての流れは良く出来ていて感心した。ま、天目一個の出現なんかは多少都合よく見えはするが(笑)。
 なんにせよ、シャナも復活したことだし、ここから12、3話が中盤の山場と言った所でしょうかね。


第10話「交差点」

交差点」は作戦名なんだそうです。

 そんな今回のお話は…
 星黎殿で起きた騒ぎを利用し、シャナは自分の力を封じてた戒めを解き、再び天目一個=贄殿遮那を手にする。
 だが、そのまま脱出することは適わなかった。複数の分身を放ち襲い来る紅世の王ウアルが立ち塞がったのだ。
 その分身を一体、また一体と倒しながら、シャナはマージョリーとの鍛錬を思い浮かべていた。「もっと先が、もっと大きな力があるはず」だと。
 その頃、外界からその気配を隠蔽していた“クリュプタ”を破壊された星黎殿の上空に無数の飛行機が飛来する。
 そしてフレイムヘイズ軍の指揮をとる総司令ゾフィーの号令が響く。「これより交差点作戦を開始します」。
 以上公式のあらすじ。

 お話の大体の流れとしては、シャナたちを含め、割と劣勢であったフレイムヘイズ側が「交差点作戦」の成功によって、形勢を逆転したっぽいって感じ。
 力を封じられてきたシャナが復活し、なにかしでかそうとしていることは分かってはいるものの今ひとつ何をしているのか分からなかったゾフィーの狙いも、今回の交差点作戦をしたかったことが分かり、また上記したように徒側の虚をついて、いきなり本拠地に急襲かけてフレイムヘイズ側が守勢から一気に攻勢に転じたことでの高揚感みたいなものはあって良い。
 今回はそういう全体的な流れがごそっと動いて主役のシャナ側に傾いたことと、その全体の中でのシャナの出来事をシリーズ構成としても良く出来ている。サブタイからして、交差点作戦がなったというのが主眼ではあり、先んじて星粱殿を強襲したメイドさんらが先駆けとなって事態をここへ導き、全体の流れを一変させたことと、それと同じくシャナが自らを知り、フレイムヘイズ「炎髪灼眼の討ち手」として、またシャナ自身としても、その内部で大きく良い方向へ動いていく大きなターニングポイントのひとつとして上手く作ってある。
 個人的には作戦云々は、大規模な戦闘区域であることは分かってはいるものの、細かい動きがさっぱりだったため、交差点作戦がどれほど徒側の虚をついていて、どれだけすごいことをしているかというのが分からないこともあって「してやったり」感というのは薄い。要は敵本拠地に大軍で伏兵かけた、という事なんでしょうが、三国志演技でいう所のジャーンジャーンジャーン!ははは!げぇ!孔明!!みたいな一発逆転感が欲しかった所ではある。
 そういうこともあってか、私としてはシャナの方が主役という事もあってなかなかおもしろく、前回に自分自身がどういうものかを理解し、その上でフレイムヘイズとしての本当の自分を見出していく様は、これまで力を失い考えて考え抜いたことが一気に爆発したような感じがあって気持ちよい。やっぱり主役が主役らしい強さを見せてくれないと、こういう物語は盛り上がらない。

 しかし全体的な流れとして見ると、大きな盛り上がりどころではあるものの、割とのっぺり感みたいなものはある。
 これは自分でも今ひとつよく分からないのだけど、どうも入り込むようなというか、夢中にさせるような何かがないのだ。うーん、何かがないというよりかはぼんやりしているといった方が正しいか。
 まぁそもそもを言えば、バル・マスケ、ことに盟主である悠二の方は、世界の理を変えるというはっきりとした目的があるのだけど、フレイムヘイズ側ってのは「なにはともあれ、とりあえずバル・マスケのすることは阻止」みたいに見えて、どうしても今現状の世界を守ろうとする理念に欠けるのがいかんような気がする。
 悠二曰くとしては、フレイムヘイズがただ徒討滅の道具ではなく、人間も徒に喰われることのない世界を作るとしているので、見ていて「それが出来るのならその方が良いじゃん」と思ってしまうというのもある。どうしてフレイムヘイズ側は、一枚岩でもないのに現状維持を望むのかが今ひとつよく分からないのだ。
 まぁこれまで真面目に紅世関係を見てこなかったから、そっち方面の理解が欠けているのかもしれないが、どちらが良い悪いは別にしても、ちゃんとした行動理念のあるバル・マスケに対し、フレイムヘイズ側が彼らに対抗するだけの何かを持ち合わせているように見えないので、これだけ大規模戦闘しているというのに絵空事のように感じてしまっているのかもしれないな。
 どうしてバル・マスケとフレイムヘイズが相容れないのかは、もっと分かりやすくはっきりとさせるべきなんじゃないのかなー。そんなんだから、作戦云々よりもシャナの方に興味がいってしまう。本来は全体の中のシャナであるはずだが、シャナとその周辺くらいの方が見ていて分かる部分が多いので、全体を取り巻く状況が薄ぼんやりとしているのかもしれません。

 とりあえずシャナが復活しメイドさんたちと合流もしたし、これからシャナたちも全体の流れに関わって引っぱっていくことだろうから、その辺の薄ぼんやりとした部分をはっきりするものにしてくれることを期待したい。


第11話「聞こえる、想い」

作詞家と思ったら武闘派だったのかよ!「だらっしゃー!」とか言うし(笑)。

 そんな今回のお話は…
 地上へ墜ちた星黎殿を中心に展開する徒。空からあまたの軍勢を降下させ出城を築いたフレイムヘイズ兵団。
 総力戦を前に息を殺し睨み合う二つの軍勢の間に、紅蓮の輝きが走った。その中心に立つシャナ。その口から告げられた『神門』の秘密と、新たな目的・神門を通った悠二と三柱臣の阻止。
 徒たちの策略を露に、フレイムヘイズの為すべきことを明確にしたその言葉を切っ掛けに、人ならぬ者、人を超越した力が相見える戦乱の火蓋が切って落とされる。  以上公式のあらすじ。

 今回のお話はシャナはあんまり関係無く、開始早々に神門へ行ってしまい、その頃マージョリーさんと佐藤は……とゾフィー率いるフレイムヘイズ軍団と星粱殿を守る徒軍戦況を見せていて、どっちも割とどーでもいーと思っている私としてはけっこうどーでもいーような話ではあった。
 特にマージョリーさんになんとも思っていない私としては、なんかふたりがデキちゃった様子なんざ見ても、佐藤童貞卒業よかったねくらいにしか思わん(笑)。まだ星粱殿での戦況を見ていた方がおもしろくはあった。
 その戦況としては正に戦況であって戦闘ではなく、アクションシーンとして某ないが、両軍の思惑を軍の中心に立つゾフィーとデカラビアの現状を打破し目的を達せようと、一手また一手と打っていき刻々と変わっていく状況は、三国志のような大軍の集団戦闘を客観的に見ている感じがしてなかなかおもしろい。
 前回の交差点作戦の奇襲によって優位に立ったフレイムヘイズ軍団はこの機に乗じて攻めかかるも、守備側徒軍はアウトロー襲撃の舞台が援軍として戻ってくるまではと作戦司令官であるデカラビアが陣頭に立ち時間を稼ぐ。
 ゾフィーらフレイムヘイズ側は主力が引っ返してくると包囲されるので、主力が戻ってくるであろう時間的余裕1日の間に本丸星粱殿を落としたいので、城を築いた軍服のおっちゃんに星粱殿への一本橋を築かせ突撃を敢行。デカラビアはその阻止に動くが冒頭のかけ声と共にゾフィーがデカラビアに飛び蹴りを喰らわせ撃破(?)する。  しかし探知に引っ掛からないように偽装した徒軍主力の一部が突如現れ、中軍を突かれた格好になったフレイムヘイズ軍は一気に形勢を逆転されてしまった。というのが戦闘の流れである。
 そういうこう来てこう返してという一進一退の両軍の動きは興味深かったのですが、個人的にはやっぱり冒頭にも書きましたように、シスター服を着ているおばちゃんゾフィー・サバリッシュが作戦総司令の肩書き通り頭脳職かと思っていたら、むしろバリバリの武闘派で落雷と共に「だらっしゃー!」と叫びながら飛び蹴り喰らわしてくるとは思いもよりませんで、むしろ今回はこれこそメインのような気がします。ゾフィーの見方が変わりましたよ(笑)。
 それから気になったというか、毎度思っているし前シリーズの感想でも言ってきたけど、この紅世関係って自在法とか特殊能力とかでなんでもアリだから、徒援軍が突如現れるというのも随分都合が良いと言いますか、結果を先に考えておけば「実はこんな自在法で……」と簡単にその結果まで持っていけちゃうよなー。まぁつまるところ「こんなこともあろうかと……」と同じでどうとでも出来てしまう。
 物語を作る上でそういうどうとでも出来るようにしてあるってのは作りとしては作りやすかろうと思うし、そういう意味では上手い。けど、やっぱ都合が良いなーと思わずにはいられんな。その辺の「どうとでもなる」を「な、なんだってーっ!」に変換できれば、この手の話としてはグッジョブだがはてさて。

 とまぁ今回あったこととしてはそれくらいで、マージョリーさんと佐藤がデキちゃってマージョリーさん復活しました、奇襲をかけたフレイムヘイズ軍は早速ピンチに陥りました、という状況を整えた。と言う印象。
 すごく大規模な戦闘作戦にも関わらず、まだ10話で主役側であるフレイムヘイズ軍がこの状況だとこの一戦はフレイムヘイズ側の負け戦になりそうですな。
 次回は神門へ向ったシャナ一行がメインっぽいが、そこでどうなるかがちょっと見物ではある。が、たった4人でバル・マスケ盟主にトリニティら三忠柱(この字だったっけ?)、懐刀サブラク、あとマッド博士らをなんとかできるとも思えないし状況を変えられそうもないよなー。
 まぁ何せまだ1クールも終わってねぇし、もう一幕あるって感じですかねー。


第12話「誓いの言葉」

なんか全然ピンと来ないな。

 そんな今回のお話は…
 シャナが『神門』から詣道へと足を踏み入れた直後、行く手を阻むように、茜色の炎が吹き上がり、無数の剣のシルエットが揺らめいた。
 かつて討滅したはずの紅世の王“壊刃”サブラクが再び現れたのだ。シャナを先に行かせ、その場に残るヴィルヘルミナ、カムシン、レベッカ。侮れない敵だが3人ならば……。
 しかし、新たな問題が彼らを不利な状況へと貶めてしまう。詣道の奥に位置する祭殿へバル・マスケが辿り着いたのは、ちょうどその頃だった。
 そして、ベルペオルの眼帯が弾け、ヘカテーの声が祭殿に満ちたとき、“祭礼の蛇”本体が咆哮を上げる。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、壊刃サブラクが道を塞ぐ中、シャナを先に行かせさ部落と対峙するメイドさんらと、バル・マスケ盟主が祭礼の蛇本体をついに取り戻しひとり先に向ったシャナは悠二と対面する。といった感じで神門の中での出来事がほとんどだ。
 まぁなんか色々とあったんだけど、冒頭に書いたように全然ピンと来ない。というのも、どうも淡々と進んでいるような、そんな印象だからで、すごい置いてけぼりを喰らっているような気がするからだ。まぁ良く考えてみれば、紅世関係は第1期からずっとそんな感じではあったが(笑)。
 そういったわけで全然話に乗れてないからか、興味深い所がほぼなかったから困る。本来ならば、悠二と対面したシャナの言葉辺りが今回のメインどころであったようには思うのだけど、そこは要するに、シャナは悠二が好きだから彼を止める言う事聞かす。祭礼の蛇が悠二を消すならばアラストールの力を顕現させてお前すっ飛ばすぞゴルァ!なんかやるならフレイムヘイズも納得することやれや。ということで、劇中で「な、なにぃ!」みたいなトリニティの皆さんのようには見ていて思うことはなかった。
 むしろ個人的には、壊刃サブラクの方が気になったと言いますか、彼が最初に語った「メア」って第2期で最初に戦った敵だよねー。忘れてたっちゅーの。そのメアとサブラクがなんかどうも繋がっていたらしいってのが、すごく唐突のような気がしてならないことの方が気になってしまったよ。なに?メアとサブラクはデキていたってことなの?
 そういうけっこう唐突と思われる繋がりが見えたり、シャナと悠二の台詞は回りくどい上に分かりにくく、なに言っているんだかよく分からなかったりで、元々アニメ見て深く考えたくないと思っている身としては、その辺を見て探るのがすげーめんどくせぇったらない。そもそもを言えば紅世関係にあんまり興味ないしな(笑)。
 こんなふうに思っていては、そりゃ乗ろうにもお話の乗れないのも無理はないわけで、原作を熱心に読んでいてこの物語のファンである人くらいじゃないと、この中盤での盛り上がりであろうこの場面は乗り切れないだろうなぁ。
 神門の外でのフレイムヘイズ側は敵援軍の襲来でピンチだし、祭礼の蛇の本体は復活するしで明らかに徒側の優位という状況で、ひとり突っ込んで行ったシャナ、という所が状況的に盛り上がる所ではあるんだろうが、一歩引いて見てしまっているので、正直な所はシャナひとりで現状を打破し得るとは思えないし、もしそうなったらなったでそれは随分都合が良いとしか思えないからなぁ。
 まぁ要するに、まだ1クールだし一旦引いて体勢立て直すんでしょ?みたいなふうには思ってしまうよなー。この状況では一応重要アイテムっぽいのをもっているこのアニメいち不幸な少女吉田一美も出番ないし。おそらくもう一回あるであろう決戦の第二幕で色々通り合いつけるんだろうなと、なんとなく思ってしまっていては、まぁ盛り上がろうにも早く話し進まねぇかななどと思ってしまう。
 つまりこの星粱殿と神門をめぐる戦いは、どうなるかはともかくとして一旦幕を引くのであろうから、とっとと次の段階へ行ってほしいといった所だ。それと、前にも言ったがフレイムヘイズ側は戦う理由ってのが、徒側よりも弱いっていうか、なんでフレイムヘイズ側が戦っているのかが今ひとつよく分からないんだよねー。まぁそれは今まであんまり感心なく紅世関係を見てきたからかもしれないが。
 ともあれ、こうだからガチンコで対決しているんだぜ!みたいなのを明確にすればいいのになーと思います。今のままではなんかどうもフレイムヘイズと徒は戦わなければいけないみたい、くらいの印象しかないですよ。
 そう考えると、よくそんな曖昧とした感じのまま物語がここまで続いているよなぁ。ある意味そこは感心に値する。


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