灼眼のシャナIII 13〜24話

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第13話「狭間へと、狭間から」

むしろ壊刃サブラクの方が興味深い。

 そんな今回のお話は…
 シャナは再び悠二と出会うことができた。だが、そこは“祭礼の蛇”の上であり、二人の間には贄殿遮那とブルートザオガーが、そして互いに相容れない決意があった。
 「シャナ、今からでも余の大命の元で……」「悠二こそ、バル・マスケと手を切って私に……」。
 一方、サブラクと3人のフレイムヘイズの戦いには、変化が起きようとしていた。
 ヴィルヘルミナとレベッカが傷つき戦いから一時離れる中、カムシン最大の自在法『儀装』により巨人が出現し、サブラクを迎え撃つ。
 しかし二つの戦いを余所に、巨大な蛇は神門へと帰還の道を進んでいく。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、バル・マスケの盟主「祭礼の蛇」が帰還したことと、壊刃サブラクが退場したことが分かれば良い。
 OPとEDを削ってでも見せたかったお話なのだから、話数的なことから言ってもターニングポイントであることは間違いないのだが、ひとつのお話としては特別盛り上がるわけでもなく、上記したように祭礼の蛇が帰還したね、サブラク死んだね、くらいの印象しかない。相変わらずぼんやりと画面を眺めている感じだ。
 まぁ正直、今回の所は盟主が帰還したぜ!ってことで徒側の士気が上がり、フレイムヘイズ側の士気が下がったくらいで大勢にそれほど影響出てないし、むしろ次回の方が重要なんじゃね?ってな具合である。
 ここで神門から祭礼の兵が帰還できなかったら、後はなにすんだってことになるので、帰還することは十分分かりきったことなので、もうそれはどーでもいーことと言えばどーでもいいわけで、そういった中で、状況がどう変化していくかがポイントなのだけど、上記したようにそれはおそらく次回からだし、シャナと悠二がどうなったわけでもないので、むしろ興味としてはサブラクの方である。
 前回も言ったような気がするが、サブラクと二期の最初の敵メアの繋がりは、原作を読んでいない身としてはかなり唐突感があるものの、サブラクの大きな力を恐れ離れていったメアを理解できない彼が、そんな自分よりはるかに大きな力である祭礼の蛇を見て、始めて恐れを抱きメアの気持ちを理解する。
 そんな気持ちをメアに抱かせていては共に寄り添うことなど出来るはずもないとしながらも、自分は恐れを知りより大きな力の前では自分もメアも同じだとし、メアも自分も変わりがなくなったとベルペオル(三柱臣の三つ目の人ね)の助けを自ら断って消え行くサブラクは、妙な清々しさを感じてしまう。
 全く感情の無いようなサブラクであったが、おそらく唯一執着したであろうメアを理解し、彼女のいない世界を生き続けるよりも死して共にあらんと願ったように感じられ、殺戮に生きたであろう彼が最後に救われたように思う。まぁだけどそれは、サブラクの考えであってメアが本当にそういう思いであったかは知る由もなく、サブラクの想いとは裏腹に、彼が上記を知ったとてふたりが寄り添えたかどうかは分からないのである。
 サブラクが解答を導き出し自ら散ったことは清々しいような気もするが、それが本当に正解であったかどうかが分からない以上、結局彼の独りよがりだったかもしれず、妙な寂しさも憶えて、モヤモヤする感じが逆に良い。

 とまぁ、今回は正直そんなもので、何回も言うが、フレイムヘイズ側が一番阻止したかった祭礼の蛇の帰還がなってサブラクは死んだよ以上のものは特にないな。
 とりあえず「壊刃サブラク」という枝葉は折り畳みましたよ、という感じであろうか。本編の方はまだまだこれからだからなー。

第14話「大命宣布」

状況的にはおもしろい。

 そんな今回のお話は…
 銀色の粒子へと砕かれた『神門』。しかし、それはフレイムヘイズ兵団の作戦敗北を意味していた。
 『神門』から顕現する巨大な蛇。その咆哮に続き、復活を遂げた創造神“祭礼の蛇”が宣布をはじめる。
 「余は新たに、この世の移し世、ザナドゥを創造する」。その姿と声に“徒”たちは士気を上げ、戦況は一気に変わって行く。戦いの第一目的を失い、士気が急激に下がっていくフレイムヘイズたち。
 各所からの報告を受け、総司令ゾフィーは撤退を最良の策と決断、作戦名『引潮』を開始する。シャナもまた、本隊を援護すべく持ち場へと急ぐ。
 紅蓮に輝く翼を広げ、その胸にアラストールを抱きながら。
 以上公式のあらすじ。

 なんのこっちゃよー分からんあらすじですが、祭礼の蛇が帰還し、これまでいた狭間に徒の為の楽園「ザナドゥ」を創造すると宣布。盟主である祭礼の蛇が顕現し、大命を聞いて士気が上がる徒たちにたいしてフレイムヘイズ側は撤退を余儀なくされる。
 また祭礼の蛇から、そのザナドゥへ全ての徒を引き連れ二度と帰ってくることはなく、また懸念されていた現世での大災厄などは起こらないと聞かされ、戦う意味を失ったフレイムヘイズたちは士気と統率を失ってしまった。というのが大体の流れ。まぁ要は、祭礼の蛇の帰還を阻止できなかったし、彼の大命宣布によって戦う意味を失ったフレイムヘイズたちは、元々一枚岩でもないし潰走しはじめ撤退戦どころではなくなってしまったよという事。
 元々不利な状況であったフレイムヘイズ側が更なる窮地に追い込まれるという状況もさることながら、やっと悠二と祭礼の蛇がどうしたいのかが分かって、前半の退屈なお話と比べるとだいぶ盛り上がってきた感じである。
 上記したが、祭礼の蛇が追いやられた狭間に、現世とそっくり同じ世界を作っておれたちは移り住むぜー。フレイムヘイズたちも戦わなくてすむんだから、今オレたちと戦うなんて無駄無駄ぁ!という事な訳である。
 フレイムヘイズ側は、お前らがやろうとしていることを実現すると、歪みみたいのがおきて現世がおかしくなるかもしれんじゃん!だからダメ!という理屈であったみたいだが、何千年もそこにいて試行錯誤してきた祭礼の蛇に「いや、それないぜ?マジで。」と言われたんで、え〜?何の為に戦ってるん?となってしまったわけである。
 とまぁこのように、フレイムヘイズ側には祭礼の蛇以上の大義と言いますか、理と言いますか、そんなものがないのでひっくり返せないのだ。まぁそらそうだわな。だって祭礼の蛇が言うようになれば万々歳だもの。フレイムヘイズ側はこれをどうやってひっくり返すというんでしょうねぇ。
 ひっくり返さないにしても、それと同等な何かを提示しないと、これから戦うことの意味が全く無くなるので、なんか突破口はあるんでしょう。そのひとつとして、「なんも起きないぜ」という祭礼の蛇の言葉だが、正直これは彼が言っているだけで何の確証もないので、その辺突っついてくるんだろうとは思うんですがはてさて。
 しかし現状、大命宣布をひっくり返す何かはフレイムヘイズ側にはないよなぁ。その辺を気にさせるシナリオとしては、上手いこと作ってあると言えるだろう。だって今の所は大命宣布になんか悪い所あんの?って感じだもの。これを主役であるシャナがどう切り開いていくかを楽しみにさせてくれる。

 だが、現状としては撤退戦のまっただ中で、とりあえず一旦引いて大勢を立て直さなければ、ひっくり返すどころの話ではないわけで、先のことは置いておいて、今は士気と統率を失ったフレイムヘイズたちを引き連れて逃げなければならない。そういう完全負け戦を演出し、バル・マスケ側の圧勝を見せつけ、それが後に繋がることを考えると、なかなかシリーズ構成は上手いこと考えているのではなかろうか。
 今の段階で、すごくちっぽけな存在となってしまったフレイムヘイズたちが、最悪の状況をどうやって乗り越え切り替えしてくるのかなぁと、先のお話を気にさせてくれるのだから、前半戦とは違って随分な盛り上がりで見ていてけっこう楽しい。
 しかしまだ14話なのよねー。この撤退戦はまぁ、主役側という事もあるし、なんだかんだで上手く切り抜けるんであろうけど、そこからまた一旦落ち着いちゃいそうで怖いなぁ。
 というか、ここまで来てまだこのアニメいち不幸な少女吉田一美がどんな役割があるのかさっぱりなんですけどいーんですかね?ホントになにか役割があるんでしょうか。なんか心配になってきた(笑)。


第15話「雨中の敗走」

まぁ、上手く逃げたって話だよな。

 そんな今回のお話は…
 シャナたちの作戦『引潮』がスタートした。戦場に視聴覚を妨げる自在法『トラロカン』の雨が降りしきる中、瑠璃色の炎を灯す塔へと急ぐ傷ついたフレイムヘイズたち。
 だが、敵に退路を見せる危い作戦の真意に気付いた者がいた。三柱臣が一人シュドナイだ。「あの囮に追撃部隊を引き付けるつもりか」。
 その推測を元に行動しようとしたシュドナイの眼前に、シャナとヴィルヘルミナが現れる。
 フレイムヘイズ兵団壊滅を阻止するため、最悪の“紅世の王”と呼ばれるシュドナイを止めるシャナたちの戦いが、雨に煙る空で火花を散らす。
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭に書いた通り、コテンパンにやられたフレイムヘイズたちが、大地の四神(この字でいいのか?)のひとりと軍服のおっちゃんの犠牲の果てに上手いこと逃げたって話だ。
 う〜ん、まぁ正直それだけだよな内容としては。その代償は大きかったってことなんだろうけど、特にこれまでのシリーズに出てきてシャナたちとなにかあったわけでもない彼らに思い入れなども無く、こういう事で逃げ延びた、以外ないので、書くことが無くって困る。
 困ると言えば、フレイムヘイズ側にまた当たらなキャラが出てきて、もういったい誰が誰なんだかさっぱりです。フレイムヘイズひとりにつき契約する紅世の王もいるもんだから、名前なんて憶えてられないですよ。しかも各人の関係とかもさっぱりだし。
 そういうことを考えると、やっぱり原作読んでいないと分からん部分ってのは多々ある。とは言ったものの、たぶんこの2クールで終わる物語が原作何冊分かは知らないが、既読なら既読で結構なダイジェストだったりするんだろうなぁという気にはなる。
 まぁ、とりあえずは星粱殿攻略戦(?)というイベントはこれで終わり、これからしばらくは次の決戦に向けての準備段階に入るんだろう。
 またノッタリとした状況説明する話が続きそうだなぁ。

 ってゆーか、このアニメいち不幸な少女吉田一美はこのシリーズでちゃんと出番あるんかな。宝具もってるし予告でフィレスいたから、何かしらいい所を持っていくような気はするんですが。


第16話「再び、戦いへ」

状況説明だが割と見れる。

 そんな今回のお話は…
 創造神復活の阻止、星黎殿の攻略、バルマスケ首脳部の打倒。何一つ成し遂げられなかった大敗としかいえない状況の中、シャナは言う。
 「私たちに打てる、最後の一手がある」と。だが、それにはある決意が必要だった。
 “祭礼の蛇”によって崩された、世界のバランスを守るため戦って来たフレイムヘイズの使命に代わるもの。戦いに向かう、恨みや憎しみではない決意が。
 フレイムヘイズたちがその行動に躊躇するころ、星黎殿では新たな宣布がなされようとしていた。――楽園『ザナドゥ』創造の宣布だった。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、シャナの考えた一手に主要フレイムヘイズたちが乗るか乗らないか、という話をしていただけなのだが、もうすでに最後まで見た身としては割と見れる。「ああ、そういうことだったのねー」みたいな。
 シャナの一手がこの段階では分からないし、途中に挟まれるフィレス関連なんてもっと分からないので、初見でというのであれば、各フレイムヘイズたちが各々決意を固めるといっただけの内容ではあるが、あらすじにもある通り、見事に大敗し壊滅状態になったフレイムヘイズ側に対し、断然有利となったバル・マスケ側をシャナはいったいどうやって出し抜こうとしているかを気にさせてくれ、大敗直後だというのに最後の一手の為、覚悟を決めて歩き出すフレイムヘイズたちに悲壮感はなく、これから彼ら起こそうとしていくことがどうなっていくかを期待させてくれる。
 まぁお話的にはそんなもので、画面的にも特に某あったわけでもないのだが、ここまでに結構な具合に展開がゴロッと動いたので、なにをどうしていくかという今後の物語を楽しみにさせてくれる内容ではありました。

 個人的にはフィレスの方である。
 最初は全く分からなかったのだけど、どっかの国で三人気ままに暮らしていた所に郵便配達が来て云々の件は、フィレスが「百鬼夜行」たちを見つけたぜということだったのねー。
 でも百鬼夜行の連中が出てくるのって結構後の方だし、そもそも百鬼夜行がなんなのかこれまで語られてないので、彼らが出てきた時に「なんじゃこいつらは」とけっこう面食らってしまったんですけどこれでいーんですかねー。
 まぁでも、このアニメいち不幸な少女吉田一美もフィレスが着々と動いている様子を見せたことで、彼女にちゃんと大きな役割が与えられていることが分かって良い。もう、さして出番もなく終わるんじゃないかと戦々恐々としていたからなー。次回予告でも悠二が吉田一美の前に現れると言っているしで、ともかくこれで安心だ(笑)。

 以下どーでもいーことなんですけど、なんかキャストがすげー数ですよね(笑)。まぁフレイムヘイズひとりに付き最低ひとりは契約する紅世の王がいるしねー。常に倍、徒関係も入れるとさらに倍みたいな感じですわな。
 声優さんはたった一言でもギャランティが変わらないと聞きますので、キャスト分だけでもけっこうお金かかってるよねーとか思っちゃう。
 電撃文庫、金あるねー(笑)。その金でもうちょっと読める本を出してくれるといーんですが。


第17話「誰が為に」

最終章の前の状況説明的話。

 そんな今回のお話は…
 シャナはニューヨークに居た。古来より南北アメリカ大陸を“徒”から守ってきた強大にして特異な討ち手・大地の四神――今は既に三神となった彼らの共闘を得るために。
 『引潮』作戦で失われたその一神センターヒルに託された言葉を残る三神に伝えるシャナ。
 その頃、『ザナドゥ』創造の地と宣布された日本では、楽園へ渡るため駆けつけた“徒”と、それを阻止せんとするフレイムヘイズたちの戦いが繰り広げられていた。
 そのさなか、一人の少年・坂井悠二が、今までの姿で御崎市に再び現れる。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、シャナたちは大地の四神との共闘を得て、悠二は自らの計画の為に御崎市に降り立ち吉田一美の前に現れる、といった感じで、冒頭書いたように最終章の前段階的なはなしである。
 悠二の考えていることが語られたりするのだが、全て知った上で見ると「あぁ」と分かりはするけれど、最初見た時は彼の言っていることの大半はよく分からなかった。
 まぁざっくり言うと、祭礼の蛇と悠二の考えは完全には一致していない、という感じだろうか。シャナはシャナでまた違った考えをしているので、激突は避けられないという話である。
 お互い覚悟をもってこれからの戦いに挑もうとしていて、それは吉田一美も一緒である。という事が分かればいい。お話的には、悠二から語られるどういう状況にあるのかがメインで、他はさしてどうこうというものは正直ないな。

 個人的な所としては、やっぱりこのアニメいち不幸な少女吉田一美であろう。フィレス呼び出すだけの役かと思っていたが、悠二の計画には必要不可欠なようで、大きな役割があってちょっとホッとしたが、彼女になにをさせたいのかはこの時点では分からないし、これから先にけっこう出番があったことが驚きでもあった。ちなみに田中はこの先出てきた記憶はない(笑)。ま、彼はなにか役割があるわけでもないしね。
 他、気になったのは、アウトロー本部(?)にいた喪服を着たフレイムヘイズだ。彼女がなんなのか分からないのだ。
 それなりに重要な役のようなビジュアルなんだけど、これから先に東京に来て何かしらするわけでもないんですよねー。彼女が何者かも語られた記憶もないし、そもそも最後まで名前を呼ばれなかったような気もする。そんなキャラなのだったら別にこのアニメで登場させることもないと思うんですけど、たぶん原作の方では、なにかしらある人なんでしょうねぇ。
 まぁ要は見ていて、後から何かしらする人なのかと思っていたのだけど、結局これから最後まで何もしなかったので「なんだったの?」と思っていたという事だけなんですけど(笑)。

 よく考えてみれば、妙に登場人物の多いこの作品は、第1期からけっこうそんな感じではあって、特にここ第3期に至ってはキャストの数が尋常ではなく、新しいキャラに何かしら思うような所もなく進んでいってしまいますよねー。
 喪服の彼女以外でも、今シャナたちと行動を共にしているキアラといつも一緒にいる男(名前が分からん)も、なんかちょいちょい出てくる割に、彼らがどういった関係でどんな人達なのかさっぱり語られない。
 まぁこの物語自体の根底には関わっていないから別にいいっちゃぁーいーんですけど、けっこう出番ある割になんにも語られないって言うのはどうなんだろうとか思ってしまっても無理はないと思う。
 その辺、原作読んで補完すれば?みたいな感じなんだろうかね。その手には乗らんぞ、電撃文庫め(笑)。


第18話「闘争の渦」

最終決戦始まったぜ、って感じ。

 そんな今回のお話は…
 御崎市の空を覆う巨大な蛇。その下で浮遊する星黎殿へと掛けられた橋を、“祭礼の蛇”悠二と共に一美は歩いていた。人間である一美にしかできないことを知るために。悠二が望み成し遂げようとしていることを見極めるために。
 だが、導かれた場所、見慣れている宝具『玻璃壇』の上にその身を置いたとき、悠二と自分が立っている場所の違いを一美は痛感する。
 そして、大命の最終段階が動き出し、星黎殿が新たな形態へと姿を変え、御崎市のあらゆる場所に炎が揺らめき出す。今まさに御崎市が闘争の渦と化そうとする時シャナは・・・。
 以上公式のあらすじ。

 お話は冒頭書いた通りで、シャナたちが何をしようとしているかはまだ不明だが、まぁとりあえず戦端は開かれた。
 悠二の方も吉田一美を使ってなにがしたいかはこの時点ではよく分からず、彼女としては今回は一般人として状況を傍観する役目である。
 お話としては特に某なく、バル・マスケが新世界の創造を始めようとするところにシャナたちフレイムヘイズがやってきたよーというだけのような気がしないでもない。まぁこれから仕掛けがいろいろあって展開していくので、よっしゃ開戦だ!という雰囲気を今回は作って次回以降へ繋げるといった感じだろうか。
 そんなわけなので、上記したように特に「あぁこういう事だったのかー」みたいなこともなく、興味を惹くことと言えば、吉田一美が有する宝具、彩飄フィレスを呼び出すことの出来るヒラルダが無力化されてしまったことだろうか。
 劇中悠二が言っていたが、この状況でフィレスひとり出てきたところでなにがどう変わるわけではないらしいのだけど、吉田一美の役割としては、フィレスを呼べないとあらばなにをするんじゃい、とか想っていたら、次回予告でばっちりとフィレスを呼んでしまうことが明かされてしまうんだからまいっちんぐ。
 でもまぁこの予告でフィレスを呼ぶことが分かっているということは、問題がそこではないという事でもあり、ヒラルダでフィレスを呼ぶということは、吉田一美が死ぬ、という事である。つまり予告の引っぱり方としては、吉田一美死んじゃうの?と思わせたいわけだが、それを踏まえるとむしろ逆、吉田一美は死なないのだ。
 まぁ前期から、ヒラルダ使うとフィレスを呼べる替わりに吉田一美は存在の力を失って死ぬ、というのはフィレスのウソと予想していたのですが、結果を先に言ってしまえば珍しく予想通りなのであった。
 個人的に、新世界だフレイムヘイズがそれを止めるだとかはあんまり興味がなくて、フィレスを呼ぶ係とも言える吉田一美が呼んじゃったら後はどんな役割が残されているというのかの方が興味がある。まぁ正直なところは特に役割ないよな(笑)。
 基本的に常に傍観者である彼女が、この最終決戦を目の当たりにし、役割を終え、最後はどうなるんだろうなぁというのが一番気になるところなのだ。いやだって、シャナと悠二はなんとなく最後は上手いこといくんじゃないの?みたいなところがあるじゃないですか。じゃなきゃここに至るまでの対立構造が意味を成さないもの。
 それを踏まえ、んじゃ残された吉田一美はどーなるんかなーとなるわけです。まぁなんにせよこのアニメいち不幸な少女ですから、もうすでにシャナとの悠二の取り合いも負けていると言っていいわけだし、あんまり幸せな形にはならなさそうだよな(笑)。

 なにはともあれ、ここが決着つけば全て終わるので、なんやかんや展開していくわけだけど、正直、原作未読では半分くらい理解できればいいところ。最初っから紅世関係よりも学校編を楽しんできた身としては、かなり蚊帳の外から見ている感じがしてしまうなー。前期の感想にも描いたような気がするが、紅世関係はけっこうなんでもアリなので、どうとでもなっちゃうんだろうなぁという頭があって乗り切れないんだよね。今ひとつ何やってるのかよく分からないってのもあるし。
 そういうことを考えても、やっぱ学校編はそのギャップとして良いアクセントになっていたんだなーとここへ来て思ったのと同時に、もうそれが無いんだと思うとけっこう寂しかったりするな。そういえばこの三期になってシャナのおぱんちゅもないしな(笑)。


第19話「彩飄が呼ぶもの」

半分くらいですかね、やっぱ。

 そんな今回のお話は…
 楽園『ザナドウ』を求め集まる幾千幾万の”徒“と、その前に立ちはだかるフレイムヘイズたち。
 御崎市を覆う封絶の至る所で繰り広げられる戦い。その中心に、漆黒の炎と紅蓮の炎があった。
 『星黎殿』が変形し生まれた要塞・真宰社上空で太刀を合わせるシャナと悠二。互いの思いを知りながら、異なる道を歩む相手を止めるために対峙する二人。
 その戦いを見つめていた吉田一美はある思いを抱く。「自分が、相手が望まない、すれ違いも愛」。そして、その胸に下げられた『ヒラルダ』に手を添える。
 以上公式のあらすじ。

 お話はサブタイ通り、吉田一美が彩飄フィレス呼んで……という話。まぁぶっちゃけ何が起こっているかは半分くらいしか分からない。
 半分も分かっているかどうかも不明だが、ともかくフィレスが零時迷子からヨーハンを呼び出して出てきて、百鬼夜行と共に吉田一美を連れ去った、っていうのが大体の流れ。
 この時点でもう何回も言っておりますが、なにが起こっているかはよく分かってはいないんだけど、物語としてはクライマックス感は出ていて、とりあえずの楽園ザナドゥ創造に大きな支障はないんだけれど、悠二的にはきっと大切な駒なんだろう吉田一美がフィレスの出現によって連れ去られたのは、計画が狂って行く一端として良い。
 でもこのフィレスとヨーハンは、フレイムヘイズ側でも徒側でもないので、どちら側としても予想外の出来事である。だからどっちとしてもけっこう困る状況だったりするんかなーという気がするのだが、後々のことを考えてみると、実はフレイムヘイズ・徒側ともに計画としては大きな狂いにはならなかったりする(笑)。先述したように彼らはどちら側でもないので、自分達のしたいことをしているだけなのだ。
 そんな彼らがメインのような気がしますが、実際今回のメインはフィレスを呼ぶことにした吉田一美の方なんじゃないだろうか。
 珍しく予想が当たって、やっぱり吉田一美が死ぬことがなかったわけですが、基本的にはフィレスを呼べる「ヒラルダ使うと死ぬ」というのがあるので、彼女が「使う決意をした」のが一番のポイントなんだろうと思う。
 まぁそこに至るまでに愛云々を随分と考察していて、あらすじにもあるし、過去数回そんな言葉も何回か使われたが、「相手が望まないことをするのも愛なんだぜー」というのに吉田一美が得心がいって、悠二とシャナがお互い好き合っているんだけど、でも戦っているという状況をなんとかしたいけれども自分ではなんとも出来ないので、何とか出来るかもしれないヤツを呼ぶ。
 吉田一美としては、現在の状況は納得いっていないんだけど、シャナと悠二が想い合っているのは分かっていて、でもそれ故に現在相容れないなら両者の計画をフイにしてしまうかもしれないけれど、一石を投じて現状を壊す、それも自分の愛なのだとし、一石を投じる為に使う命を「捨てる」のではなく「活かす」と決意する吉田一美はドラマチックに描かれていて良い。

 その他としては、ザッピング的に大地の四神やら教授やらキアラと帽子の野郎やらマージョリーさんやらを入れ込んでいて、この最終決戦が大きく展開している様を表している点でも良い。
 今回の中心としてはもちろん吉田一美とフィレスであるのだが、それらが途中で織り込まれることによって、単に悠二と祭礼の蛇とシャナの局所的なことだけでなく、楽園ザナドゥ創造における戦いの中で、各々色々な想いがあって現在御崎市に集中しているのだと感じられ、なんとなくスケールの大きさを感じられる。
 見た目的には変わらないのだけど実際は大きく変わってしまうようなことが、御崎市というごく小さな地域に集中して行われているんだけど、世界の中間にもう一個新しく世界を作ろうとしているわけだから、やっぱすんごいことなんである。それを極小地域で行わせておきながら、小さく見えないようにしているんだから、そういう観点でなかなか良く出来ていると言えるんじゃないでしょうか。

 まぁもう最終決戦なわけなんだから、それくらいやってもらわないと、という気もしますが(笑)。そういうスケール感みたいなのはいーんですけど、正直やっぱり何が起こっているか分かったような分からないような感じであるのは否めず、かといって理解しようという気にもなれずで、相変わらずぼんやりと画面を眺めている感じなのですが(笑)。


第20話「世界の卵」

そんなどや顔されても。

 そんな今回のお話は…
 楽園『ザナドゥ』創造を担う「世界の卵」を背にシャナと戦ってた悠二の横に、バル・マスケ三柱臣の一柱、シュドナイが並び立つ。と同時に、シャナの横にもマージョリー、そしてヴィルヘルミナが現れた。
 その頃、“紅世の徒”に神託を伝播する力を持つ眷属・ロフォカレを捕らえ、戦況を少しでも変えようとしていたフレイムヘイズたちは、ロフォカレから意外な事実を知らされる。
 ロフォカレがシャナの計画を伝播できない理由とはなにか……。また、宝具『ヒラルダ』の発動によって現れ、吉田一美を連れ去ったヨーハンとフィレスの行き先とは……。
 以上公式のあらすじ。

 うーん。話はやっぱり何がなんだかさっぱりだ。
 今回としては、戦局よりも上記あらすじにあるように吟遊詩人みたいな人(ってゆーか徒?)ロフォカレに、シャナの計画を伝播してもらおうとするもダメって言われ、でもフィレスとヨーハンのしたことがそれを覆しそう、ってのが分かれば良いかと。
 今ラストにシャナが世界の卵に指輪を打ち込んでどや顔して終わるんですが、そうしたところで何がどうなるのか分からない為、冒頭の一文になったわけであります。その指輪は大命詩編(この字であっているのか?)云々なそうなのだが、それがなんなのかさっぱりなので、してやったり感は薄いと言うか無い。
 今ひとつ見せ所がよく分からず、まぁシャナの計画を伝播しようにも今はダメってことが今回のメインであったようにも思えるが、その「“紅世の徒”に神託を伝播する力を持つ眷属・ロフォカレ」ってのは、これまで全く出てきていなかったと記憶しているので、突然そんなこと言われても「えっ?そうなの?」となってしまうし、そもそもシャナの計画がこちとら分かっとらんので、ロフィカレとの交渉での歯痒さなども感じることが出来ないのだ。
 そういうこともあって、見ていてなんで戦っているのかがちょっと薄ぼんやりとしてしまっていて、まぁちょっと振り返ってみれば、楽園ザナドゥ創造とそれの阻止ではあるんだけど、今回はどうもひとつひとつの事柄がそこへ結びついてこない印象だ。
 それというのも、アバンでメイドさんがひとりショックを受けていたと思ったら割とあっさり復帰するし、なんかやっていたであろうマージョリーさんも戻ってきたけど、ベルペオル(三つ目の人ね)はなんかやってももう遅いぜとか言うし、上記ロフィカレのこともあったし、蛇の方でなく悠二が自在法を使ったぜとか、シャナのどや顔とか、いろいろあって散漫としてしまったような気がします。
 まぁ前期の終わりからこの最終章までの原作がどれほどあるかは知りませんが、おそらくは結構な量なので、あれも見せてこれも見せないとみたいなところはあるでしょうが、もうちょっと見せ所を絞っても良かろうとは思う。
 基本的に何がどうなっているかがチンプンカンプンな自分としては、ひとつひとつでさえよく分かっていないこともあり、面倒なので考えることを停止してしまい、結果ぼーっと画面を眺めているだけになってしまっている。
 そんな私のような人の観点からいうと、もっと楽園ザナドゥ創造と悠二とシャナというところへ話を絞ってくれた方が分かりやすくてみやすいと思うのだが、もうここまでくると、このアニメを見ている人のほとんどは原作をすでに読んでいるであろうから、ダイジェストみたいになっているのは仕方ないことなのかもしれん。
 とは言え、原作付きのアニメが原作売る為のPVという見方をするならば、本来は読んでいなくてもある程度理解出来るほうが良いに決まっている。やっぱりというかなんというか、このアニメ見て原作読もうって気にはならない。

 まぁ案外、ここへ至れば新規読者の開拓よりかは、ファンのためのアニメなのかもしれんが。


第21話「一つの理」

よ、吉田一美ーっ!!と、思ったもんさ。

 そんな今回のお話は…
 ついに、シャナの真紅の炎が「世界の卵」へと届いた。だが、物質的な破壊は起きず、真紅の輝きは波紋となって卵に染み渡っていく。
 直接攻撃を許した失態よりシャナの目的が破壊でないことに驚き、戸惑う悠二、そして三柱臣たち。
 「私たちは、創造される新世界に」「ひとつの理(ことわり)を織り入れる」。
 封絶内にシャナとアラストールの堂々とした声が響き渡る。しかし、これが戦いの終わりではなかった。
 真宰社の北方で、西方で。多くの場所でフレイムヘイズとバル・マスケとの死闘は続いていた。
 以上公式のあらすじ。

 物語の大筋はけっこう意外な方向へ展開し、新世界の創造とその阻止という対立でなくなった。
 上記あらすじにあるように、シャナが行ったことは破壊でなく、新世界で人を喰えないようにする、というもの。創造の阻止はほぼ不可能なので、条件付けてその後の大災厄を止めるぜってのが簡単に言ったところ。大地の四神の役割も明かされ、なんとなくしてやったり感はあるものの、状況的に好転したのかそうでないのかはやっぱりよく分からん(笑)。
 まぁそんなわけなので、相変わらず画面を眺めている感じではあるが、シャナと悠二を中心とする新世界云々という大きな柱に付随する、それぞれの因縁なりなんなりをテンポよく見せていて、退屈せずに見ることが出来た。

 個人的にはヨーハンとフィレスと吉田一美らへんが妙に長く尺を取っているような気もしたが、それだけ尺を使うという事は、それなりに重要なことなんだろう。しかし、この段階ではふたりが語りはすれども何をしようとしているかは分からないという、いつものヤツをやるので、もうちょっとスッキリした物言いでも良いのではと思わんでもない。
 その吉田一美周辺でいえば、今回のラストで、彼女が乗っているバス(?)が集中砲火を受け爆発するっていう引きを行ったので、思わず「よ、吉田一美ーっ!!さすがこのアニメいち不幸な少女!!そこに痺れる憧れるぅ!」とか思ったものですが、しっかり次回予告で出てくるので、全くの杞憂に終わったのはどうなんですかね?せっかく上手いこと引っぱったのに。
 それと気になったことは、吉田一美の乗る百鬼夜行のバスがどうしても塔に向っちゃうとか、制御不能になったりとか、それってなんでそうなっているのか理由ないですよね。次回以降でもその理由が語られていた記憶がないのだが、これもそれでいーんだろうか。まぁ些細なことと言えばそうなのだが。
 ともあれ、吉田一美もこの戦場でやることがあるってのは良かった。劇中で完全な人間のままで、ここまで紅世に深く係り込んだのは彼女だけなんですよねー。
 ある意味おいしいポジションではあるので、彼女を気に入っている身としてはその役所はうれしい。最初はシャナへの当て馬みたいなキャラだったからなー(笑)。

 なんにせよ、話数的にももう差し迫っていることもあって、色々とあるアレやコレやが本筋であるところの新世界創造へ向っていっている感はあり、最終局面的な盛り上がりはある。
 しかしこれ、最後はどうなったら終わるのかこの段階ではよく分からないですよねー。そう考えるとこの物語の最後は上手いこと締めているような気がします。


第22話「異邦人の夢」

どの辺が「異邦人の夢」なのかはともかく、クライマックス感はある。

 そんな今回のお話は…
 真宰社の基部で起こった爆発は、その遥か上空から目撃したシャナと悠二に一時戦いを忘れさせるものだった。
 何故なら、その爆発の中心には、ヨーハンとフィレス、『エンゲージ・リンク』の二人に連れ出された吉田一美がいるはずなのだ。
 心配を隠せないシャナは『エンゲージ・リンク』と深い絆を持つヴィルヘルミナに救援を指示する。
 一方、その爆発を見ていたシュドナイはあることに気付く、「何故『エンゲージ・リンク』が応戦しない」。
 バル・マスケも、シャナたちフレイムヘイズも知らない何かが、そこで動こうとしていた。
 以上公式のあらすじ。

 お話は本筋の世界創造については最後の方でちょろっとあるくらいで、ほとんどは吉田一美一行と帽子の野郎&キアラの因縁に決着をつけることに割いている。
 その流れで帽子の野郎の宿敵マッド博士がお亡くなりになるのだけど、その行程が吉田一美一行の行動にリンクしており、最終決戦での入り乱れた戦いの中での各々の戦いが、色々なところで交差し、この決戦を個別の戦いでなく、大きな一つの流れの中で行われていることを感じさせて上手く作ってある。
 今回はそういう個々の因縁にある程度決着をつけ、一番の本筋にそろそろ向わせようとする流れのようで、これまで色々とあった某をここいらでそぎ落としていって、次回の一番の注目所に流れを持っていくように仕向けてある。
 まぁ要するに、広がっていたものを、ここいらで最終目標に収束しようとしているわけだけど、残りも後2回というところで注目所に目がいかないのもおかしな話なので、順当と言えば順当ではあるものの、そういうことを感じさせないような展開にはなっているのだから、正直良く出来ていると言っていいだろう。
 これまでザッピング的に個々の戦いを見せておいて、ここでそれらは端々でちゃんと繋がっていたのだと、一気にきゅっと収束させ、今回のラストで判明するマージョリーさんが序盤で何をしていたかを明かすことで、全てが作戦の内なのであるというところへ持っていき、目線をシャナと悠二、そして新世界の創造へとスムーズに向けさせているのだから見事。
 戦域が大きくフレイムヘイズたちがほぼ別個で動いていた序盤から中盤で、今ひとつ何が起こっているか分からなかったが、ここで収束したことによって、よく分からないなりにある程度の分かったような気になるようになっていることも光る。
 正直に言えば、帽子の野郎とマッド博士、キアラにやられた紅世の王とかの関係なんてさっぱりなんだけど(というか劇中全く語られてないんだけど)、なんか宿敵らしいよ?という雰囲気だけ示しておいて、因縁の決着までをよいしょよいしょと一気に積み上げ細かいところを気にさせないのだ。
 マッド博士の最後も、このままでは爆弾ロボの爆発に巻き込まれ帽子の人ピーンチ!と思いきや、ロボの足下に魔法陣が光ってぴょーんとロボがマッド博士の方まで飛んでいくのだって、帽子の野郎がそこまでに何かしらした形跡など一切ないので、かなり都合が良いと言いますか、冷静になってみると全く理由がないのだけど、ピンチを一転チャンスに変えて、飄々としているマッド博士に最後の一撃を喰らわすという「してやったり感」で、そんな疑問をもたせない。そういう細かいところを気にさせずに一気に進んでいくテンポが見事であった。

 もうあと残すところは、なんか変な瓶みたいになってしまっているエンゲージリンクとシャナ・悠二の世界創造がどうなってどう決着を付けるのかくらいであり、残り話数が後2話なんだから尺的にもちょうどいい感じで終わる。そういう観点から言ってもこの最終決戦は見事な設計であるのではないだろうか。

 しかし、この時点で「どうなったら終わるのか」は見えてこないよねー。それだけにこの物語の最後は上手く締めたなーと思ったもんです。


第23話「神の夢」

ええっ?!あと何やるの?と思ったもんさ。

 そんな今回のお話は…  改変を成功させたシャナ。だが、大命は未だ止まらず、盟主たる“祭礼の蛇”と融合した悠二の表情には余裕の笑みが浮かんでいた。
 まもなく0時を迎えようとした時、“祭礼の蛇”が口を開いた「これは、虚実の虚」であると。
 長らく研究を重ねた結果、教授は『零時迷子』の機能の本質と動力源を探り当て、ひとつの式を作り上げた。そこから得られる無制限の力を元に創造神“祭礼の蛇”は神威召還を発動させようというのだ。
 そして、時計の短針に長針が重なっていく。それは、シャナたちフレイムヘイズの敗北の瞬間になってしまうのだろうか。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、新世界の創造は成った。しかし紆余曲折を経て、シャナたちの「新世界で人間を喰らうな」も生きた。という話。一応本筋としては終わった格好にはなる。
 徒たちが続々と新世界へ向う中、吉田一美たちを守ったカムシンは、教授のロボの爆発に巻き込まれ最期の時を迎え、次回へと引っぱったのだが、この時点で私はあと1話分いったい何が残っているのかよく分からなかったです。まぁ結論を言ってしまえば「痴話喧嘩」だったんですが(笑)。
 まぁ痴話喧嘩はともかく今回としましては、大局の終焉で上記したように新世界は成るも、紆余曲折あってシャナたちの入れた理も入って結果オーライ。どっちも計画通りに行かなかったとはいえ、ほぼ偶然というかラッキーでなんとかなった分、フレイムヘイズ側には勝利感はなく、どちらかと言えば、新世界の創造を成し遂げたバル・マスケ側の方がしてやった感がある。
 別にどちらが悪いとかもない新世界創造なので(フレイムヘイズ達の言う、そのままだといつか起きるであろう大災厄はあくまで起きるかもしれないっていうだけだからな)、勝った負けたではないのだけど、最終決戦が終わりを迎え、希望を胸に新世界へと向っていく徒たち・バル・マスケそして祭礼の蛇と、ギリギリ成したいことは成ったものの、その中で命を落とすこととなったカムシンの最期に立ち会うフレイムヘイズ面々など、終わりに向けた収束感とクライマックス感は良く出来ている。
 でもまぁ正直言うと今回はそんだけだよなー。しかしそれだけを実に上手く見せていて、祭礼の蛇の心づもり一つでフレイムヘイズ側は完全敗北であったが、それを上手いことどっちもどっちにしてしまうのは、まぁ都合が良いと言えば都合が良いがすんなりとそこへ落ち着けているのだから上手いし、カムシンの最後というところで盛り上がりを作っているしで一本の話として良く出来ていると言える。

 あとはどう締めるかが残っただけだが、この時点でフレイムヘイズの皆さんがどうするのかわからないですよねー。そういうことを含め、この物語の締めは良く出来ていたと言えるんじゃないでしょうか。

 なんか全然感想になってないなー(笑)。なんかもー書く事が特にないんだよな。


第24話「涯てより開く」

上手いこと終わったなぁ。

 そんな今回のお話は…
 創造神“祭礼の蛇”の神威召還により、新世界ザナドゥが誕生した。シャナたちによる自在式「人間を喰らわずの理」を織り込んだまま。
 そして、戦闘は終息へ向かい、多くの“徒”が新世界へと、それを追うフレイムヘイズもまたこの世から旅立って行く。
 しかし、『二人』の戦いは終わっていなかった。御崎大橋に、シュドナイを引き連れた悠二が。そして、その眼前にはシャナが。
 一人の少年と一人の少女、二人の想いが解き放たれ、そしてぶつかり合う。
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、前半でシャナ・マージョリーさん・悠二・シュドナイ以外が新世界へ旅立ち、後半で悠二がしたかったこと「御崎市の復元」を成し、痴話喧嘩の後、もう一つの「新世界での徒と人間の新たな有り様」を成すために新世界へ赴く。といった流れ。最終回らしく見事にこれまでのことを全て折り畳んで綺麗に終わりました。
 悠二が本当にしたかった欠落だらけの御崎市の復元は、ただ一点無いものがあって、坂井悠二がそこに存在したことだけは復元しなかったと言うかさせなかった、のか?その後新世界へ渡って、人間と徒の新たな有り様を一人で説いて回るつもりだった悠二なのだからきっとそうなのだろう。だからなのか、シャナとの最終決戦の時、御崎市の皆さんに、一夜の幻でも良いからこの光景を憶えておいてほしいと彼が言ったのは、悠二のいない御崎市での悠二が起こした出来事として、自分がそこにいたのだという唯一の証という事なんだろうなぁ。
 最終的にはなんでもありな紅世関係らしく、悠二もトーチから一つの存在に戻ったし、シャナとは仲直りして一緒に新世界へ向い、吉田一美は悠二が成したことを見届け彼らを見送り終わった。

 なんでもアリな紅世関係ではあるけれど、正直これほどまでに全てを丸っと折り畳めるとは思ってはいなかったので、なんの疑問も持たせずに終わりを迎えたのだから上手い。
 よく分からなかったヨーハンとフィレスも、本来結ばれることのない人間と徒の子供を作ることであったし、それが新世界での新たな希望となって、描かれることのない新世界での希望としているし、新世界創造時に徒が「人間を喰らわずの理」が織り込まれたままでも良いと思ったのも、数千年人間と過ごしてきてただ喰らう存在であった人間を認めようとしているというフラグにしているし、シュドナイも死んだことで、巫女として予定された死を迎えたヘカテーと一緒に逝くことで、ただの死ではなくしている。
 とまぁ、色々とあった某を全て丸く収めてしまったのだから、長かったこの物語の終わりとして見事だろう。個人的にはお気に入りの吉田一美が負けっぱなしで可哀想だとは思うのだが、どうも本人は納得しているようなので、まぁ良いのかなぁという気はしている。
 なにより、正直よく分からなかった紅世関係をまとめて、光ある未来があるような明るい終わりに持っていってくれたので、すごく清々しい気になりましたよ。終わりよければ全て良し、なんていいますが、これほどキレイに終わってくれるとさすがに文句も出ませんわな(笑)。

 最後なので全体的な感想としましては、冒頭の一文である「上手いこと終わった」である。
 この第三期の最初の方のかったるさはけっこう異様なくらいの退屈さであったが、御崎市での最終決戦へ突入してからは、クライマックス感を出していたし、色々な局面を「どうなるんだろう?」と思わせてくれている。
 正直、原作未読の身としては、なんやよーわからんことが多かったし、コイツらなんなの?というキャラが突然出てきたりで戸惑っちゃいましたけど、まぁまぁそれなりに楽しんで見た。という気にはなった。なんやかんやでTVシリーズ2クール三期分見たわけだし、過去の感想なんか見返してみると、分からないなりに楽しんで見たようである(笑)。
 かなり週刊少年ジャンプっぽい物語で、自分としては明らかにメインターゲットじゃねーなとは思うものの、原作が十年も続くんだからティーンなエイジな方々には良いところにハマるんだろう。
 私としては、まぁそれなりに楽しんでは見たものの、入り込んで見ていたわけでもないので、もう一回見たいかと言われれば「もういいや」になってしまいますが、上記したように「終わり良ければ〜」という事もあって、こんだけキレイに終わっていただけると、割といいアニメだったのかなぁという気になってしまいます。毎シリーズクライマックスはそれなりのものを作っていたような気がしますし。
 まぁでも、原作好きで読んでいた人の為のアニメであり、ファンのためのアニメだったような気がするなぁ。

 ぶっちゃけ、もうこのアニメのことを気にしなくてもいーんだという開放感も無きにしも非ず。半分くらいは惰性で見続けていたような気もするが、綺麗に終わってくれたので、ここまで来て文句言わずにすんだのだから、もうそれだけでエラいのではなかろうかねぇ。
 とりあえず、原作未読の身でTVシリーズ制覇したんだから、自分で自分を褒めてあげても良い。なんてことを思います。ああ、最後だと言うのになんかすごくとりとめのない内容になってしまったが、まぁいっか(笑)。


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