ラケットを購入する時、ラケットのデザイン・値段・重さ等をもとに選定させると思いますが、ラケットのグリップの太さを選択肢に入れている方は硬式テニスやソフトテニスの経験者以外では希だと思われます。
グリップは手の力をラケットに伝える媒体ですから本来なら重視すべきものです。
ところが、日本ミニテニス協会公認のラケットにはグリップサイズは品名毎に一種類しかなく、それも硬式テニスのグリップサイズに当てはめれば子供用にも満たない程細いグリップです。
気にしない方はそれでもよいのですが、そうでない方の為に説明したいと思います。
グリップの機能は腕の力をラケット(ネット)に伝える媒体です。
グリップは握ることで腕の力をラケットに伝えることが出来ますし、握る力を変えることでラケットに伝える力を加減することが出来ます。
又、グリップを握る力はグリップの太さによっても変わります。
グリップの太さは次のように握力と手首の自由度に関係すると言われています。
・グリップが太いと握力が強くなる。一方手首は動かしにくくなる
・グリップが細いと握力は小さくなる。一方手首は動かしやすくなる
そうなるのは、指を曲げる主動筋(屈筋)と指を伸ばす拮抗筋(伸筋)との相互作用によるらしいです。
実際、指先を軽く曲げるのと大きく曲げるでは力の入れ加減が大きく異なるのと同じことかもしれません。
余談ですが、握力の測定要領で握力計を握る際は人差し指の第二関節が直角になるところで握るようにとの注意は、この状態がちょうど主動筋と拮抗筋が釣り合っている状態かもしれません。
ボールを打った時のフィーリングはグリップの太さでずいぶんと変わります。フィーリングは人により好みが異なるので、グリップの太さを調整してみて、自分にフィットするサイズを選ぶのが良いと思います。
表2にグリップの太さの特徴を纏めていますが標準的なグリップの太さについて説明していませんのでこれから補足します。
標準的なグリップの太さとは、先のグリップの太さと握る力、及び手首の動きやすさとの関係のなかでどちらにも偏らない太さとします。
それは、グリップを握った時に中指の先と親指の母指球との間の隙間が8~10mm程度になる太さとします。いわゆる握力計を握る感じとします。
表2のグリップの太さとは、標準的な太さに対して太いか細いかを表します。
グリップの太さ | 長所 | 短所 |
---|---|---|
太めのグリップ |
・面が安定する。手の大きな人だけでなく、小さな人も力み難い。 |
・細かなテクニックショットは難しい。 |
細めのグリップ |
・細かなテクニックに向いている。手首の稼動域が広くなって、繊細なショットの感覚をつかみやすくなる。 |
・面が不安定になりやすくて、力みやすい。
|
ミニテニス用ラケットは表3に示す通り、全部で6種類あります。
グリップの太さは、表3の通り9.5、10.0、10.5cmの0.5cm刻みで3種類あります。
表4に世界共通の硬式ラケットとミニテニスラケットのグリップサイズを比較しています。
この表によると、ミニテニスラケットのグリップサイズ(太さ)は硬式テニスラケットのそれに比べて細いことが分かります。
但し硬式テニスラケットのグリップサイズは欧米人を対象にしたものですから、日本人にそのまま当てはめるのには問題がありますので、これを平均身長比(168/178=0.94)で補正すると2グレード下がります。
よって、女性子供用はグレード1(10.5cm)、男性用はグレード3(11.1cn)~4(11.4cm)になります。
ちなみに、テニスショップではグレード1~3のラケットを揃えているようであり、1が細い、3が太いと区分しているようでもあります。
グリップの太さはプレイスタイルにも関係しますので好みに応じて調整されると良いと思います。
品名+品番 | サイズ cm | グリップcm | 重量 | フレーム | 用途 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
縦 | 横 | 長 | 太さ | g | 材質 | 色 | ||
アマノスペシャルⅠAS-Ⅰ | 54.5 | 26 | 14.5 | 10.5 | 254 | アルミ | 緑×青 | 男子 |
アマノスペシャルⅡAS-Ⅱ | 54 | 26 | 14.5 | 10.5 | 226 | アルミ | 赤×青 | 女子 |
ミニテニスラケットHMA-84 | 51.5 | 26 | 14.5 | 9.5 | 208 | アルミ | 銀色 | 女子 |
ミニテニスラケットHMA-85 | 54.5 | 27 | 16 | 9.5 | 238 | アルミ | 銀×黄緑 | 男子 |
ミニテニスラケットFINE SHOT F14 | 57 | 27 | 15 | 10.0 | 205 | グラファイト | 青×水色 | 男子 |
ミニテニスラケットFINE SHOT F15 | 57 | 27 | 15 | 10.0 | 205 | グラファイト | 白×紫×ピンク | 女子 |
グリップサイズ | 規格外 | 1(G1) | 2(G2) | 3(G3) | 4(G4) | 5(G5) | 6(G6) | 7(G7) | 8(G8) | |
硬式テニス ラケットの周長 |
インチ | 4-1/8 | 4-2/8 | 4-3/8 | 4-4/8 | 4-5/8 | 4-6/8 | 4-7/8 | 4-8/8 | |
cm | 10.5 | 10.8 | 11.1 | 11.4 | 11..7 | 12.1 | 12.4 | 12.7 | ||
適用例 | 欧米人 | 女性・子供用 | 男性用 | |||||||
日本人 | 女性 | 男性用 | ||||||||
ミニテニスラケットの周長 | cm | 9.5,10 | 10.5 |
ミニテニスラケットもせめてグリップサイズがグレード1~3まであれが良いのですが、一番太いのでもグレード1ですので、グリップの太さにこだわられる方は太くしてください。次に一例を説明します。
オーバーグリップテープを巻いて太くする方法です。
オーバーグリップテープの厚みを0.5mmとすると一巻きで3mm程周長が長くなってグレードが1段階上がります。二巻きすれば2段階上がることになります。
但し、巻き過ぎると弾力がありすぎてフワフワするようになるので二巻き位に留めておいた方がよさそうです。因みにハードヒッターを目指す筆者は3巻きしています。