ガットの張り替え時期

まえがき

硬式テニスの場合は定期的なガット(ストリングス)の張り替えを進められますが、なぜ張替が必要なのかについての説明は多くありません。
ミニテニスの場合は硬式テニスに比べてガットへの負荷は小さく、ガットが切れるまでは張り替えないで良いのではとついつい思ってしまいます。
次に、なぜガットの張り替えをした方が良いかについて自身の経験と読み学や聞き学で得た情報を交えて説明します。

ガットの機能

ガットはボールの運動エネルギーを吸収してボールを保持し、跳ね返すもの

ガット(ストリングス)には、縦糸と横糸があってフレームに網目状に張られています。
ガットはボールの運動エネルギーをガットが伸びることで吸収し、伸びたガットが戻ることでボールを反発します。
その間、ボールはガットにホールドされます。このホールドされる時間は硬式テニスの場合3/1000秒程と言われていますが、ミニテニスの場合はボールが大きいのと柔らかいことからこれよりは長いと思われます。
従って、より多くの運動エネルギーを吸収して衝突を緩和するにはガット交差部の滑りをよくする必要があります。
ガット交差部の滑りが悪くなると反発力が小さくなり、運動エネルギーの吸収がされ難くなってボールとラケットとの接触時間(保持時間)が短くなってボールコントロールがし難くなったり、打球が速くなって衝突が大きくなり、肘への負担が増えると言った問題が表れます。
滑りの悪くなる原因の代表は、ガットの交差部にできる”ノッチ”と言われる半月状の溝です。
ノッチに嵌りこんだガットは、ガットが引っ掛かって動き(滑り)が悪くなります。
ですから、よりよく運動エネルギーを吸収するにはガット交差部の滑りをよくすること大事です。

ガットの縦糸はスピンを掛けるもの

縦糸とはラケットの長手方向に貼ってあるガットのことです。
ラケットを横振り(サイドストローク)してドライブを掛ける打ち方をする時の横糸を含めての縦糸は、ボールの運動エネルギーをガットが伸びることでその運動エネルギーをガットが吸収します。
運動エネルギーがなくなってボールが静止すると、今度は伸びていたガットが元に戻ることで蓄積された運動エネルギーが開放されてボールを弾き返します。
この時、縦糸ではボールがスナップバックされてスピン量が増してよりドライブが掛かるようになります。
ガット交差部に”ノッチ(凹み)”が出来るなどして縦糸の滑りが悪くなるとドライブが掛かり難くなります。
従って、ドライブを掛けやすくするには、ガット交差部の滑りをよくするように気を付けるべきです。

ガットの張替え時

1.ガットが毛羽立った時

ガットが切れたら張り替えるのは言わずもがなですが、芯にフィラメントを巻き付けた構造のマルチモノフィラメントのガットや、フィラメントを縒りあわせたマルチフィラメントのガットでは、フィラメントが摩耗して切れたりすると毛羽立ってきますのでその時が張り替え時と思われます。

2.ガットのテンション(張り)が緩くなった時

テンションが緩くなっているとガット本来の機能が発揮できませんので、張り治すか張り替えるかが必要です。
ミニテニスのガットのテンションは、硬式テニスの場合の凡そ半分の、15~25pbs(7.5~12.5kg)だと思われます。
それは、ミニテニスのボールの重量が硬式テニスの重さの約半分だからです。ボールの大きさを加味すれば、さらに弱くてもよいような気がします。
巷では、テンションが弱いと飛びやすく、強いと飛びにくいと言われているように、テンションの強弱で球速が変わると言われていますが、あるトップ選手を用いた実験ではそのような結果は出ていないようです。

3.ノッチができた時

先にも述べました通り、縦糸と横糸の交差部の滑りをより良い状態に保つことが大事ですので、滑りを悪くするものが来た時、即ち、ノッチができた時がガットの張り替え時と思われます。
ノッチは、縦糸と横糸の交差部をズラして交差部だったところを見ればわかりますし、縦糸を横糸の方向に、あるいは、横糸を縦糸の方向にズラせばわかります。引っ掛かりがあればノッチができています。
ノッチが出来て交差するガットの滑りが悪くなると、運動エネルギーの吸収能力が低下してしまう結果、
 ・ボールとラケットの接触時間が短くなってボールコントロールがし難くなる
 ・球速が速くなってラインオーバーしやすくなる
 ・衝突吸収能力が低下して手首や肘への負担がかかるようになる
といった弊害が表れやすくなると硬式テニスでは言われています。
硬式テニスの場合は一試合でノッチが出来るようですし、世界のトッププレイヤーの試合ともなると、試合途中でもラケットを交換するシーンをよく目にします。
それではミニテニスではどうかというと、硬式テニス程ではないと思われます。
それば、ミニテニスのボールは硬式テニスのボールより軽くて太いから、硬式テニスのボールほどラケットの網目に食い込み難く、ガットにかかる負荷も小さいからだと思われます。

ノッチの写真

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