スマイルプリキュア! 37〜48話

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第37話 れいかの悩み!清き心と清き一票!!

うあー。ちょっともったいねーなー。つかちょっと無理があるような……。

 そんな今回のお話は…
 もうすぐ学校で、新しい “生徒会長”を決める“生徒会選挙”があるの!“生徒会長”は、学校のリーダーだよ!
 みゆきたちは、れいかになってほしいと思っているけど、れいかは、立候補しないみたい…。
 そこへ、なんだか怪しい3人の転校生がやってきて、「“生徒会長”になりたい」と言いだした!
 その3人は“生徒会長”になったら、「宿題をなくす!」「学校で勉強中に、お菓子やケーキを食べてもいい!」「学校にマンガやゲームを持ってきてもいい!」なんて、言いだすの!もしかして、あの3人って…。
 このまま3人の誰かが“生徒会長”になったら、学校が大変なコトになっちゃう…!!
 以上公式のあらすじ。

 まぁお話は上記引用したあらすじ通りで、今回は選挙対決だぜー!ということでれいかメインのお話なんですが、上手い所を突いてたりする割になんか妙におかしい部分もあり、もったいない感が否めない。
 生徒会長になれば人間を部下に出来ると勘違いした三幹部は人間に化けて上記あらすじのような主張をし、それに対し、生徒達に示すべき道が分からないからと立候補するつもりのなかったれいかが、悪い方へと導こうとするを見過ごせないと立候補するのだが、バカ真面目で堅物なれいかの主張は他の生徒達に受け入れられない。
 まぁそもそもの突っ込み所として、三幹部の主張を学校側が黙っているという点でおかしな話ではあるのだが、そこは突っ込まないことが優しさなのでスルーして差し上げることとして、れいかのキャラクターであるバカ真面目で堅物な部分が災いするという点に着目したのは良いだろう。甘い汁をちらつかせて思い通りに事を運ぼうとする三幹部に、そんなれいかが堅苦しい正論でどうひっくり返すかがこのお話のポイントだと思うんだ。
 それともう一点。常に「道」というものを探っているれいかとしては、自身が探っている最中なだけに確固たる目標を皆の前に示すことが出来ない。そこをどうするのかもポイントのひとつだろう。
 そういう中で前半に三幹部にやり込められてしまうという展開は良い。れいかのキャラクターが逆に働いてしまう、なんでも出来るが故に道を示せないという弱点を示し、その後の展開を期待させる。しかしその後、三幹部の主張をどうもひっくり返したような気がしないんですよねー。
 個人的にはれいかが道を模索しているが故に道を示せないのはむしろそのままでもいいと思っていて、だからこそ一緒に見つけようとかの他の生徒や視聴者の共感を得てほしかった。劇中言っていたことは、綺麗事のようにしか聞こえないのだ。
 三幹部の言うことは、まぁ誰しも教育機関として良くないとは思うのだから、何故だめなのか、そして何故勉強や宿題、清掃などをする必要があるのか、またそれにどんなメリットがあるのかを示し、生徒達はもちろんのこと視聴者も納得させないといけないだろう。
 それにはただ言葉を尽くす、というだけでは説得力がないので、そう思うれいかが自分の主張を自ら体現していって、戦闘後に一発逆転ではなく、それまでの行動の積み重なりによりじわじわと傾けることこそが、この枠のアニメとしての本分なのではないでしょうか。
 なんか戦闘でれいかの気持ちは自分たちには届いているというハッピーに、思いを伝えることがどういうことか分かったと何故か悟っちゃって、戦闘後に自分の気持ちを述べただけで生徒達が一瞬で心変わりしてしまうのは、やはりちょっと無理があるような気がします。
 せっかくの学校が舞台なんだから、プリキュア皆さんだけでなく、他の生徒達とも関わりを持たせて、れいかはバカ真面目だし堅物だけど、それ故に手本となるべき存在であるように見せてほしかった。

 それとちょっと気になったのだが、今回はれいかがあまりにらしくない部分があるのだ。
 三幹部が高々と自分らの主張をする中、れいかがまるでヒステリーを起こしたみたいに「マンガもゲームもお菓子もいけません!」とか言うんだよな。ここは彼女が気持ちを上手く伝えられない、示すべき道を示せないのだから、間違っているとは思うもののそれをひっくり返すことが言えず、悔しくて歯噛みするれいかこそが「らしい」のではなかろうか。またそんな自分を嘆き悩む姿も彼女らしくはないだろうか。悩み、考え、そして他から学び、最終的に結論を得る、そんなれいか「らしい」を見せてほしかった。
 気になったと言えば、上記しましたが、学校側や教師が三幹部の主張に対してなんにもしないのは、やはりいくらなんでも無理があるし、立会演説会で三幹部の正体がバレても特になんもないのはどうなんだ。さすがに「なんか」あってもよいだろう。唯一正体バレしなかったウルフルンも、選挙に負けた直後に舞台上から瞬間移動するんだぜ。それでなんもないのはやっぱり無理がある。
 まぁそれは細かいことなのかもしれんが、そういう部分があって乗り切れないというのもあったことを考えると、細かいことだからと言っておろそかにはしてほしくない。
 お気に入りのれいかメインの話だっただけに残念感がひとしおだ。まぁでも、先程らしくない部分を挙げましたが、三幹部が生徒会長に立候補したと聞き「学校のことを考えられるなら、転校生でもいいと思います」と答えたり、あまりの三幹部の主張に我慢ならず、つもりのなかった立候補をしてしまったり、戦闘で何かを得るなど、らしい部分を示してはいる。
 だからこそ、今回はもっと上手く見せることが出来たのではないかと思うと、ちょっともったいないと思わざるを得ないのだ。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「プリンセスビューティー」でした。
 お待ちかねのぴかりんじゃんけんはと言うと、ピースは「パー」だったのでアイコでした。戦績は32戦15勝12分5敗。
 ぐぬぬ。まだグーを連荘しないか。こうなると予想が立て辛いではないか。じゃんけんのなかった32話以降では、33話グー・34話パー・35話チョキ・36話グー・今回パーときているので、並び的には次回はチョキとなるが、果たしてそん簡単にいくものかどうか。
 前回の連荘はパーだったし、今回パーだったことを考えると次回もパーはちょっと考えにくいので、グーかチョキだろうとは思う。
 負けないことを意識すれば当然グーを出すべきだろうが、やはりここは勝負事。アイコで満足していられない。通算の出目的にも一番少ないし、並びの裏をかいてチョキではなく「グー」を出してくると読んで、敢えてこっちは「パー」でいくぜ!これで次週はウルトラハッピー!にしてやるぜ!
 そういえば、次回はプリキュアの皆さんと三幹部が子供になってしまうという楽し気なお話のようだが……あれ?番組表見ると来週は駅伝になってるぞ?予告無しにお休み?!責任者出てこーい!

第38話 ハッスルなお!プリキュアがコドモニナ〜ル!?

かわいい!けど内容は無い!(笑)

 そんな今回のお話は…
 みゆきたちが公園で待ち合わせをしていると、とつぜん空からビンが落ちてきて、中から冷たいシャワーが降ってきた。
 ・・・気付くと、みゆきたちは小さな子供の姿に大変身!いったい、どうなってるの!?
 シャワーの正体は、マジョリーナが作った“コドモニナ〜ル”。早くマジョリーナを探しだして、元の姿に戻らないと!!  でも、子供になったみゆきたちは遊びたくてウズウズ…。そこで、みんなで“でんしゃごっこ”をしながらマジョリーナ探しに出発!
 そこへ、アカオーニとウルフルンが現れた!でも・・・2人とも子供になっている!?もしかしてアカオーニたちもコドモニナ〜ル?!
 そんな中、「“おにごっこ”でしょうぶオニ!」というアカオーニとみゆきたちは“おにごっこ”をすることに…!
 以上公式のあらすじ。

 なんだろう、幼稚園の子供が遊んでいるのを見ているような。そんな感じで可愛い小動物を「かわいいなぁ〜」と眺めているだけのような話でした(笑)。
 感想としては冒頭の一文で良いような気がしないでもないが、それではあまりにもあんまりなのでまぁちょっとがんばって書いてみる。
 まぁ内容としてはホントに無くて(笑)、いつもの○○ナール系のドタバタ話ではあるんだけど、大きなお友達がちっちゃくなっちゃったみゆきたちを見て和む、というのが今回の趣旨なんだろう。たぶん(笑)。
 いや、だってメインターゲットの皆様としては、自分たちがしている事をプリキュアの皆さんもしてるんだー的なことはあったでしょうが、特に訓話っぽい部分があったわけでもなし(ま、あんまりスマイルは訓話っぽい話自体少ないが)、変身バンクや固有技バンクも専用のちっちゃいバーションまで作ってるんだから、そらもう、今回はむしろ大きなお友達メインとしか考えられないではないか。
 まぁしかし、これはこれでおもしろいってのとはちょっと違うが、上記したように年齢一桁の子供達が遊んでいるのを見てる的な、そういう楽しさみたいのはこの歳になるとありますわな。お話としてはそれ以上はやっぱないな(笑)。

 個人的にはコドモニナールの設定が、単純に身体が子供状態になるだけなのか、精神も同様に引きずられるのかがよく分からない曖昧っぷりが気にはなって、話を見る限りでは徐々に引きずられるような感じではあるものの、完全に子供の精神のようにはならず、プリキュアに変身すれば元に戻るかもとか考えちゃうあたりは割と冷静で、どうせならどっちかはっきりしていた方が話としてはおもしろかったように思う。
 そういえば、サブタイで「ハッスルなお!」とか書かれている割に、特になおが自身の設定である所の6人兄妹の一番上というお姉さん的な部分が大いに発揮されたわけでもなく、その点に関してもどうなんだと思わざるを得ない。もっとなおはリーダーシップと言うか、お姉さん的な部分を発揮しても良かったんじゃないですかねー。せっかく他のプリキュアの皆さんにお姉ちゃんとか言われて抱きつかれるカットがあるわけだし。
 ついでに言えば、みゆきやよいは一人っ子、れいかは兄がいるので、なおのお姉さん的な部分に懐かれるのは分かるが、あかねは弟がいるのでポジション的にはなおと一緒だよなー(笑)。脚本はあかねの設定忘れてないか?
 戦闘もどうせちっちゃくなったのならみたいなところはあって、固有技が全く効果がないのはまぁ予想の範疇としても、子供になっちゃったからこそのひっくり返し方があってもいい。大人が子供に手を焼くことが現実にもあるわけだし、大人が予想しないことをしでかして、これならいつもの方がやりやすいわ!みたいになって戻しちゃうの方がプリキュアの皆さんが、自身の力で姿を元に戻した感が出て良かったかもしれない。

 とっても個人的なこととしては、やはりちっちゃくなっちゃったプリキュアの皆さんに触れないわけにはいくまい。と言っても二点だけなんですけど(笑)。
 まず、Bパート直後のだるまさんが転んだで、アウトになったれいかが「くやしいです!」と言うのだが、ちっちゃくてもれいからしさが出ていて可愛らしい。でもれいかって、今現在けっこうな世間ズレしているのだけど、人並みな子供時代を過ごせたのかなぁ。常に学年トップの成績で、夏休みの宿題も余裕を持って終わらせてしまう彼女は、けっこうな英才教育を受けていたんじゃないのかな。むしろみんなが知っている遊びを知らないみたいなことがあっても良かったような気がします。
 それと、赤ちゃんになってしまったキャンディを抱いていた所為なのか、やよいが動くと「ピッピッ」と音が鳴るんですよね。これはかの有名な「ピッピサンダル」ですよね!……ということはやよいは最初からピッピサンダルを履いていないといけないのでは?
 最後に、ちっちゃくなって一番可愛かったのはウルフルンだと思うのはきっとオレだけではないはずだ(笑)。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今週のまたみてねは「プリンセスマーチ」でした。まぁ当然ですな。
 さてお待ちかねのぴかりんじゃんけんですが……ピースが「グッチョッパー」出しやがった!!ダメだダメだ!そんなんは反則だ!つーことでピースの反則負けにします。従って戦績は16勝12分5敗(1反則勝ち)となりました。こんなんじゃ勝っても嬉しくねーよ!つか、日曜の朝っぱらからTVに向って「あっ!ズルいぞゴルァ!」とか言っちゃいました。
 というわけでなんか予想がさらにし辛くなったじゃねーか。グッチョッパーをノーカウントとすれば、並び的には前回言った通りチョキが順当。その裏をかいてくると読んだが、一回ノーカンを挟むとなると、むしろ順当にくるような気がするな。
 よし、それならば次回はピースが「チョキ」を出すと読んでグーでいくぜ! ったく、つぎ卑怯な手をしやがったらゆるさねぇぞ。
 あ、そういえば、次回は順繰りに来てみゆきメインのお話のようで、シンデレラのお話の中に入ってしまって〜みたいな話のようだが……みゆきがシンデレラなのはいいとして王子様役がれいかじゃないか!しかもシンデレラみゆきと踊っているのだから、これはもうなんか妄想が膨らみそうで期待せざるを得ない。
 ってゆーか、れいかは高貴な役が似合うねー。


第39話 どうなっちゃうの!?みゆきのはちゃめちゃシンデレラ!!

シンデレラじゃなかった方が良かったんじゃねーのかなー。

 そんな今回のお話は…
 みゆきは、学校の図書室で、ガラスの靴が描かれたフシギな絵本を見つけるの。すると、突然、みゆきが絵本の中に吸い込まれちゃった!
 気付くと・・・みゆきは、絵本の中でシンデレラになっていたの!
 この絵本は、“はじまりのシンデレラ”といって、世界中のシンデレラと繋がっている絵本なんだって。
 絵本の中で、みゆきはシンデレラになって、ハッピーエンドを目指すけど・・・マジョリーナ、アカオーニ、ウルフルンが現れて、みゆきシンデレラの邪魔ばかり…。
 もしこの絵本のお話がバッドエンドになっちゃったら、世界中のシンデレラがバッドエンドになっちゃう・・・!
 絵本を覗いていたあかねたちも、みゆきを助けようと絵本の中へ入って、大騒ぎ!
 みんなのシンデレラのお話、いったいどうなっちゃうの!?
 以上公式のあらすじ。

 お話はまぁあらすじ通り、シンデレラのお話の中に入っちゃって〜なドタバタ劇なんだけど、良過ぎた前例があった所為かもうひとひねり欲しかった所だ。
 いつも通りのドタバタ劇なのはまぁいいとして、やっぱり熱心にこのシリーズを見続けてきた身としては、どうしても比較してしまうよなーYes! プリキュア5と。
 Yes! プリキュア5第38話でもプリキュアのキャラクターをシンデレラに当てはめて〜というのをやっていて、そっちは一応ミルクの妄想という形であったので最後まで描かれませんでしたが、それでも十分におもしろく、どうせなら最後まで見せてくれよと思わせてくれる楽しさがあった。
 今回のスマイルの方はと言うと、楽しいドタバタ劇には違いないのだが、割と予定調和な感があって、唯一意外な展開であったのが魔法使い役のやよいが始めから三幹部に捕まっていたことくらいである。
 そういうことを考えても、なんか今回は成田良美がれいかに王子様をやらせたかっただけのような気がしないでもない(笑)。そしてそんなれいか王子とみゆきシンデレラが踊っているのも見て萌えるやよいに百合設定が付きました(笑)。
 まぁ、さすがは成田良美で上手いことまとめてはあって、各キャラクターを割り振ってシンデレラの物語をスマイルプリキュア!風に最後までやって、最後はちゃんとひとりで出来ないことも、みんなと一緒なら云々へもっていくのだから、お話全体としては上手く作ってあるとは言える。
 どうも次週はあかねメインの話のようで、ここへ来てようやくキャラを掘り下げているのはどうかと思わんでもないが、このスマイルプリキュア!はあんまり各人の個性と言いますか、キャラクター性がこれまであまり発揮されていないので、今回のお話でそれっぽい「らしさ」が見えないのは残念。
 あらすじにあるように、吸い込まれた本が「始まりのシンデレラ」という何故今ここでこんなモノを出すのかがよく分からない設定(笑)もあって、シンデレラの物語をスマイルプリキュア!のキャラに置き換えて〜というよりも、とりあえずの目標である「ちゃんとハッピーエンドにする」の方に主眼が置かれていたのも「らしさ」が薄い原因なのかもしれない。
 今回はみゆきメインなので、メンヘルもといメルヘン好きな彼女ということでの「シンデレラ」なんでしょうが、上記したように見事に比較対照できてしまうのはやはりもったいないし、そもそもみゆきは修学旅行の際に、本気でピーターパンに惚れているなんて設定があるのだから、むしろ題材はピーターパンの方が「みゆきらしさ」が出せたような気がします。

 そもそも論で言えばだ。みゆきのメルヘン好きってのがこれまで特に活かされていないってのが問題ではあって、やっぱりそこに絡んでのバットエンドだハッピーエンドだだと思うんですよ。正直な所、今の段階でみゆきにあまりメルヘン好きな印象は無く、ただの普通の女の子といった様相を呈していて、むしろ他の皆さんの方が、関西人であったりオタクであったり大家族の一番上だったりバカ真面目な超優等生だったりと、主役であるみゆきよりキャラが付いている印象である。そこを考えればみゆきには、絵本大好きなメルヘンっ娘「だからこそ」な行動と言動、そして話の展開を与えてあげるべきなんじゃなかろうか。
 今この段階でこんなに印象が薄いくらいなら、せっかくの「ハッピーエンド信仰」「笑顔狂信者」な設定をこれでもかというくらい見せてくれればいい。そのふたつなんかは、戦闘でピンチの時にいかにも使えそうではないですか。第1話がそうだったみたいに。
 どんなピンチでも、誰もが諦めてしまうような逆境でも、「笑顔でいれば絶対最後はハッピーエンドになるんだよ」と、その設定と共に、決して折れない「星空みゆき」を見せつければ、今こんなにも印象の薄い主役にはなっていなかったのではなかろうか。
 まぁ前々から言ってはおりましたが、みゆきは「主役らしさ」ってものを、もっと前面に出してきて欲しいですな。主役なのに他の皆さんの中に埋もれちゃっているのは実にもったいないです。変なドタバタ劇をやってる尺で、みゆきにちゃんと「主役」やらせてあげてくださいよ。

 なんか、今回のお話の感想というよりは、これまでの感想みたいになってしまったが、まぁいっか(笑)。というか、今回を見てスマイル云々よりも、Yes! プリキュア5第38話を久しぶりに見ようと思ってしまったのは、なんか本末転倒のような気がしないでもないな。本来は今回のお話を「もう一回再生して見よう」という気にさせないといけないと思うんですけどねー。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「プリンセスハッピー」でした。
 お待ちかねのぴかりんじゃんけんですが……今回戦闘参加をしたのがハッピーだけだったので、じゃんけんがありませんでした。よって戦績は変わらず33戦16勝12分5敗(1反則勝ち)。
 というわけで、予想も次週に持ち越しです。しかしなぁ、上記しましたけど、今この時期にキャラの掘り下げかよという気がしてしまうよなぁ。12月の2週目辺りからクライマックスへ入ってくことだろうことを考えると、やっぱりそーゆーのは早いうちにやっとけよと思わざるを得ない。


第40話 熱血!あかねの宝さがし人生!!

劇中で全部語ってくれるから書くことねぇ。

 そんな今回のお話は…
 「私の宝物」これは、みゆきたちの学校のの“作文コンクール”のテーマ。
 ウチの宝物って、なんやろ…?バレーボールも、お好み焼きも、ブライアンからの手紙も…みんな大切。その中から宝物なんて決められない!
 明日はバレーの試合。そんなとき、みゆきたちがあかねにあるものをプレゼントしてくれたの。
 もしかしたら、これがウチのたからものかも・・・。宝物が見つかって嬉しいあかね!
 そんなあかねの前に、ウルフルンが現れた!さらに、みんなからもらったものをアカンベェに…!
 以上公式のあらすじ。……アカンベェになったのはバレーボールだったんですがね……。

 まぁお話としては、あかねが自分にとっての本当の宝物は、「物」ではなく「友達」だと気付く、というお話。
 なんだけど、そんなことはこのプリキュアシリーズを熱心に見続けてきた者としては、アバンでオチが分かるというものさ。なので、Aパートでみゆきたちがあかねそっくりのマスコット人形をプレゼントし、あかねが随分と喜んでいる様子を見て「アレ?」と思ってしまったよ。
 今回はサブタイ見て分かる通り、あかねメインのお話なのだが、これまでにないメインのキャラ視点で描いていて、見ていてあかねの気持ちがよ〜くわかるように作ってあるのだ。みゆきたちが自分を思って作ってくれた人形を、あかねは彼女らの思いと共に受け取って、見ていて「そんなにも嬉しいのか」と思う程の喜びようなのである。
 先程述べたようにオチは「本当の宝物は友達」と思っていた身としては、そんなあかねの様子を見てそういう展開じゃないのかな?と思ってしまったのだ。
 しかし戦闘で予想した通りの方向へ持っていって予想通りのオチとなったわけだが、いつものように客観視点でのドタバタ劇ではなく、あかねを真正面からとらえ、彼女の視点からお話を描いているので、そういう先読みをミスリードさせているのに気付かなかったのだが、今回を最後まで見れば、予想通りに落ち着いてはいたものの、お話の内容的には上手く作ってあったと言える。
 先述しましたが、あかねの気持ち・考えがよ〜く分かるようにしてあるので、とても感情移入しやすく、明るく元気なあかねが自分の宝物ってなんなのだろうと特に深刻に悩むわけでもないのは彼女らしいし、人形もらっての喜びようはどう見たってただ友達に人形もらって嬉しいだけではない、みゆきたちの気持ちに喜んでいるのが分かるし、戦闘で人形を壊され仲間がいなくなってしまうかもしれないという恐怖と、大切な人を絶対に失いたくない、守りたいというあかねの気持ちをとても分かりやす〜く見せていてストレートに入ってくる。こちらから「こういう事を思っているのだろう」と読み取るのではなく、向こうから語りかけてくる、そんな感じなのである。
 思えば「明るい!楽しい!分かりやすい!」をテーマに作っている物語であるからして、今回のような演出はむしろ本来やるべき姿なのかもしれませんね。メインターゲットの皆様も今回は、本当に大切な宝物はなんなのかを理解したのではないでしょうか。

 とまぁそんなわけで、冒頭にも書いたように劇中で全部語ってくれる見事に分かりやすい内容なので、お話としては特に書くことねぇってのが正直な所。打ちごろの速さのストレートが狙っている所に来た、という感じですかね。振ったら当たっちゃうような球をアレコレ考えたりはしませんよ(笑)。
 というわけで、お話以外ではというと、まず三幹部の方がけっこうなクライマックス感ですよね。ジョーカーがいつまでたってもプリキュアを倒せないウルフルンに最後通告みたいなことをしてきました。それに伴って、ウルフルンが「ピエーロさまって一体なんなんだ」みたいな事を言っており、三幹部もピエーロさま自体を知らないであろうことが明かされた。
 まぁそこから考えるに、ピエーロさまは飽くまで象徴的な物で、ラスボスはジョーカーなんじゃないんですかね。三幹部を利用してバッドエナジーを貯めさせて、最後は自分がいいように使うとかそんな感じなのかなーという気がします。何せ中の人は三ツ矢さんだし、おいしい役で使いたいよねー(笑)。
 あぁそれと、ジョーカーがウルフルンに対し「むかしに戻りたいんですか?」などと言っており、そういう意味でも利用している感がありますし、三幹部の過去に一体何があったのかが気になりますな。
 それともうひとつ。ロイヤルクロックなんですが、ロイヤルレインボーバーストを使う度に時計の針が進んでいって、今現在は「8」まで来ました。
 これがシンデレラを模しているのならば、一週回って「12」になった時に、どっちに転ぶかが見物ですな。つまりシンデレラのように12時になったら力を失ってしまうのか、はたまた一週回ったご褒美的に新たなる力が解放されるのか。
 後者はあまりに都合が良過ぎる上に、あんまり理由がないのでどうかなーと思うんですけど、前者はピンチ演出に上手くハマりそうですよね。「ロイヤルクロックが力を失ってしまうとはっ!?」的な(笑)。
 ロイヤルクロックで思い出したんですけど、メルヘンランドのクイーンって全然出てこないんですけど、なんか意味あんのかな?クイーン自体に(笑)。  なにはともあれ、12/30がお休みならあと8回。そろそろ物語も佳境に入ってくる頃合いです。今ここでまた各キャラクターを取り上げている所を見ると、プリキュアの皆さんの友情が忘れられないうちにクライマックスに入っちゃおうということなんですかねー。一番の結束を最後に持ってくるのは今までなかったので、おもしろいとは思うんだけど、私としては1年通して積み上がっていくのを見たかったんだけどなー。
 まぁどうなるのかは分からないんですけど。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねはこれまでと変わって「キュアサニーとウルトラキュアサニー?」でした。
 そういえば今回、映画にも出てきた羽根つきデコルがセットされ(いつもの変身でこるに羽が生えた?)、サニーがすごい力を発揮していましたな。ああっ!もしかしてロイヤルクロックが一週回るとウルトラ〜になるって寸法なんですかねっ!今気付いたよ!
 さてお待ちかねのぴかりんじゃんけんですが、今回ピースの変身バンクはなかったので戦績は変わらず33戦16勝12分5敗(1反則勝ち)。
 前回、前々回とグーの予想をしていましたが、次回やよいメインの話となれば、やはりピースがチョキ出さなければおかしいので、予想も変えずに「グー」で勝ち確定ですな。
 ここでピースがパー出してきたら大したもんですけどねぇ(笑)。


第41話 私がマンガ家!?やよいがえがく将来の夢!!

今ひとつピンとこないな。

 そんな今回のお話は…
 やよいは、小さい頃から、マンガを描くことが大好き。そのやよいが、マンガ・コンクールにチャレンジすることになったんだ!
 マンガの主人公は、やよいが考えたスーパーヒロイン!せかいの平和のために、悪と戦うストーリーなんだ!
 でも、マンガはなかなか進まない…コンクールの締め切りまであと7日しかないのに!
 「どんなに困難でも、絶対1人でやり抜いてみせる!」これは、マンガの主人公のキメゼリフ。その言葉を見て、やよいも1人でがんばることに決めるの。
 でも、思うように進まない…。そんな時、アカオーニがやよいの前に現れた!やよいのマンガが、ハイパー・アカンベエに…!!
 以上公式のあらすじ。

 お話はあらすじにあるように、やよいがマンガ賞に応募することとなって、そこから何故かひとりでやり抜く云々の話になる。
 う〜ん。これがまたなんかピンとこないのよね。そもそもプリキュアって言えば、「ひとりで出来ないこともみんなと一緒ならきっと出来る」ってのを言い続けていることもあって、今回もきっと締め切りに間に合わないのをみんなの助けを借りてみたいな話かと思っていたのですが、そうではないのがまずピンとこない。
 やよいが作り出したキャラクター「ミラクルピース」はあらすじにあるようにどんな困難でもひとりでやり抜く強さを持っていて、それが自分の憧れの投影だというのは分かるのだが、締め切りに間に合わす云々はちょっとそれと別問題のような気がするんですよねー。
 やよいのマンガを何でもかんでも手伝ってもらうってことは、メンバーを見ても不可能なことなので、やってもらうとしても枠線引きとか消しゴム掛けとかベタ塗り程度が精一杯って所でしょうから、ストーリーと作画が命のマンガとしては、それくらいはやってもらったとしても問題ないだろう。って観点があるので、まずそこで劇中と自分の中で折り合いがつかない。
 そう思いながらも見ていく中で、今回のお話はひとりで云々よりも、思ったように描けない(できない)自分にどうするかという話なのでは?と感じ始めた。それは描いてみた初めて分かったマンガを描くことの難しさであったり、それもあってなかなか筆が進まない様子であったり、自分も絵を描く身としては思った絵が描けないというのもあったであろう、やよいが直面したであろう壁に悩んでいる様子が見えたからで、がんばってと応援するみゆきたちに体よくいい返事をするも心中穏やかでない所を見ても、そういうことなのだろうと思っていた。
 そういう部分ではなかなか興味深くて、描いている途中で寝落ちしてしまい、悪夢を見てインク瓶をひっくり返してしまったやよいが泣き出してしまうのは、それまでなかなか進まない筆に難儀している様子を見ていたことだし、なにより絵描きの端くれとしては彼女の気持ちがよく分かるのだ。頭の中にあるイメージを自分の手がちゃんと出力してくれないのがなんとももどかしいというか、腹立たしいのよね。
 そんな自分にはやっぱり無理なんだと自暴自棄になってしまったやよいが描いていたマンガを捨てようとした所にアカオーニが現れる。捨てようとしたマンガを奪われて、やよいは「私のマンガ返して!」という。うん?劇中アカオーニも言っていたがさっきのさっきまで無理だとか言って捨てようとしていたじゃないか。何故そこでコロッと突然変わる?
 そこはやっぱり自分の憧れを投影したマンガであるだけに、捨てられないという気持ちと、自分には描けないというあきらめの気持ちがせめぎあって逡巡する様子にもっと尺を使うべきなのではないだろうか。やよいの揺れ動く気持ちがあってこそ、アカオーニになじられた時に、本当は自分がどう思っているかを彼女が再認識し、その憧れである強い自分を体現することに意味があるのではないだろうか。
 このように今回の流れを見るに、ひとりでやり抜くやよいを見せたいのか、天才ではない自分とどう向き合って折り合いを付けるのかを見せたいのか、最終的な仲間云々を見せたいのかがよく分からないのだ。
 おそらくは、ひとりで何も出来ない泣き虫なやよいが、今回を経て、泣き虫でもひとりでなんとかできる強さを身につけた、ということを見せたいのかなーとは思うのだが、団結して大きな力を作ることを説くこのアニメで、ひとりでやり抜く云々は正直ピンとこないよな。才能のいう部分で特に突っ込んだことを見せるわけでもないし、アシスタントを断っているので仲間云々というわけでもなしなので、どこがメインとなってどういうことを言いたいのかよく分からない。
 でも最終的には「やよいはひとりでやれるんだい!」みたいなことになっているので、そこまで見てきてどこを言いたいんだろうと思っていた身としては、なんかこう釈然としないのだ。
 戦闘の台詞からすれば、ミラクルピースは憧れの投影ではあるんだけど、それはひとりでなんにも出来ない自分の中にほんのちょっとある強い気持ちの投影でもあり、だからこそミラクルピースがひとりでもあきらめない気持ちは自分の中に確かに存在するのだとして、プリキュアシリーズでの合い言葉「絶対にあきらめない!」に持っていったことを考えると、まぁ結局の所はそこを言いたかったのかもしれないなぁ。でもまぁなんか、誘導した感が否めないが(笑)。

 と、今ひとつピンとこなかった所為か文句たらたらですが良い部分もあった。
 上記しましたが、筆が進まなくて泣き出してしまうあたりは、見ていて「あぁ、分かるなぁ」と感情移入したものです。が、それだけにそれから挫折しかかったやよいなのに、アカオーニ現れてからは全く折れそうもないので、「なぁ〜んだ、結局ブレないのか」となってしまったのは残念だ。
 今回一番良く出来ていたと思うのは、戦闘でピースがパワーアップしてからだろう。何が良いって「パワーアップした感」をよく演出しているのだ。
 やよいの気持ちの発露と共に光の柱が立って全身に光を帶び、それまでいい様にやられていたピースがハイパーアカンベェを圧倒するんだから気持ちが良いし、光を帯びてV-MAX状態のピースが「なんだか強そう」でいいじゃないですか。(今はV-MAX状態と言うよりは、スーパーサイヤ人状態って言った方が通りがいいですかね/笑)
 気持ちの発露があってパワーアップし敵を圧倒する、というシークエンスが、よしきた!と思わせてくれるし、強そうなピースがちゃんと強いことの理由にもなっていて、まぁ当たり前と言えば当たり前ではあるんですが、その当たり前をしっかりやって気持ちよく見せるんだから上手いことやったなと思う。ちなみにスイートはこういう事あんまりやってくれなかったのよねぇ。だか彼女らはあんまりカッコよく見えなかったっていうのもあるので、本来カッコいいはずのプリキュアをカッコよく見せるってのは大事だろう。

 しかしなんだな。ドタバタに終始していた中盤にこういう話を挟んでおくべきだったんじゃないのか?と思わざるを得ないな。なんかオレは2クール以降は大概「いつものドタバタ劇」って冒頭で書いていたような気がするぞ。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「キュアピースとウルトラキュアピース?」でした。やっぱりパワーアップの際は、変身デコルに羽根が生えるみたいだねー。
 さてお待ちかねのぴかりんじゃんけんですが、まぁ当然ピースメインでチョキが出ないはずがないので無論勝ちました。戦績は34戦17勝12分5敗(1反則勝ち)。
 おそらく次回次々回は変身バンクなさそうですが、とりあえず通算の出目としてはグー/10回・チョキ/12回・パー/13回(グッチョッパー/1回)となっておりますので、次回の対戦時はさすがに「グー」がくるような気がしますので、こちらは「パー」で応戦したいと思います。
 しかし、ここの所まともにじゃんけんしていないので、数字合わせ的なことをしてこなさそうではあるんだけどなー。はてさて。


第42話 守りぬけ!なおと家族のたいせつな絆!!

見事に直球な話はらしいっちゃぁらしい。

 そんな今回のお話は…
 なおのお母さんに、もうすぐ赤ちゃんが生まれるの!「7人兄妹のおねえちゃんになる!」と、なおはとっても嬉しそう!
 お母さんとお父さんが病院に言っている間、兄妹6人でお留守番。なおは、みんなが大好きな“お母ちゃんカレー”を作ることにしたの。
 みゆき、あかね、やよい、れいかは、なおのお手伝いをしようと、なおの家に行ってみたの。そうしたら、なおが突然家から飛び出してきた!
 なおの妹の「ひな」と弟の「ゆうた」がいなくなっちゃった…!?いったいどこに・・・?
 そんな中「ひな」と「ゆうた」の前に、マジョリーナが現れた・・・!
 なおは、ひなとゆうたを無事に探し出すことができるの・・・!?
 以上公式のあらすじ。

 お話は順繰りにきて、なおの家族愛を見せるお話で、内容としても彼女の話らしく直球勝負だ。
 流れは簡単に言えば、後の無いマジョリーナがなおの弟たちを人質に取り、マーチが彼らを守るためにパワーアップして撃退する。というまぁなんの捻りも無い、正にストレートど真ん中である。
 なので内容云々として特に思うことはなく、見ていてこうなるんだろうなぁと思う通りに事は運ぶので、お話としての某はやはりない。
 そんなお話ではあるのだが、お話としての構成は良く出来てはいて、なおが家族を大切にしている様子であったり、弟・妹たちもなおを頼りにし、また大切に思っている様子をちゃんと描いているので、マジョリーナが人質を取ってからの展開でマーチが必死に家族を守る姿を印象に残る。とかく今回はなおのそういう部分を見せたいわけだから、なんの捻りもない話ではあるが、見せたい部分をより良く見せるためのシークエンスをしっかりと踏んでいる点は良い。
 個人的に一番良かったのは、戦闘後になおが助けてくれたみんなにありがとうと言い、本当に怖かったと泣き出してしまうシーン。
 大家族の長女としてしっかり者のなおが泣いてしまう、と言うだけではらしくないのだが、ことこのシーンに関すればとてもらしく、戦闘で他のプリキュアの皆さんの助けが無くば、弟たちが死んでいたかもしれない恐怖を味わって、事後に無事な姿で寝入ってしまった弟たちを見て気が抜けるのと同時に、もし、みゆきたちがいなかったらと思ったであろうなおが泣き出してしまうのは無理も無いあるし、また、そこまでに散々家族を必死に守るなお(マーチ)を見せてきたこともあるので、本来涙が似合わない彼女であるが、このシーンとしては納得の涙になっている、というふうにしている点でも、今回のお話の構成は良く出来ていると言っても良い。
 まぁ何度も言ってますが、特に捻ったわけでもないストレートなお話なので、面白味という点ではかなり薄味ではある。が、メインターゲット的なお話としてや、プリキュアシリーズのお話としてはドンピシャだと思います。
 感想書いている身としては、「上手い!」と思わせてくれる何かがあったり、なんだこりゃみたいになってくれた方が書きやすいんですけどねぇ(笑)。

 気になった部分としては、戦闘に入る際、なおが最初は弟たちの前で変身することを躊躇したことだ。
 まぁ後になってそんなことは言ってられないと彼らの前で変身してしまうわけだが、最初に躊躇する理由がないんですよねー。だって一般人に正体を知られて何かペナルティがあるわけでもないし。
 劇中でなおは、弟たちの前で変身することはできない!などと言っておりますけど、一体どこからそれが出てきたというのか。まぁこれも毎シリーズ言っていたりするんだけど、プリキュア活動はなんら悪いことをしているわけではないので、知られて変にマスコミなどに騒ぎ立てられることを考えれば無用におおっぴらにはできないけれど、信用に足る人間にならば知られてしまっても特に困ることは無いと思うんですよね。
 今回で言えば、現実とはかなりかけ離れている存在であり、対立する「悪」でもあるマジョリーナと対しているわけだから、弟たちへの危険度は相当のものである。ということを考えれば、即座に変身して守れる体勢を整えておくことがベターであることは言うまでもない。ということを考えると、やはり変身を躊躇する理由が見当たらないのだ。
 「変身ヒーロヒロインの正体は絶対秘密」であることが鉄板の約束事、であるのは重々承知ではありますが、今この時代の多種多様な物語がある中では、そういった鉄板を破ってしまっても良いのではなかろうか。秘密にしたいのであれば、やはり何らかのペナルティはあった方が良いだろう。大切な何かを守るために、ペナルティを顧みず変身するという展開も作れるしなー。やっぱりアレかな。「秘密」の変身ヒロインってのが、メインターゲットとしては心にぐっとくるモノがあるんですかね?
 それともうひとつは、上記した泣き出したなおに、大丈夫だよと優しく抱きしめるみゆきはとても良いシーンだったのですが、他の皆さんも駆け寄るくらいのことがあってもいーんじゃないですかね。特にれいかは唯一名前を呼び捨てにしているくらい、他の3人とは関係が深いのだからそれなりのことはしてほしかった所です。

 ともあれ、お話としてはなんの捻りも無く面白味はなかったのですが、らしさという観点からすれば良く出来ていたとは思う。でもやっぱりこういう話は、ドタバタ劇が続いていた頃に挟んでやるべきだと思うんですけどねー。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「キュアマーチとウルトラキュアマーチ(?)」でした。
 お待ちかねのぴかりんじゃんけんですが、マーチメインのお話なのでやっぱりありませんでした。戦績は変わらず34戦17勝12分5敗(1反則勝ち)。
 次回は当然順繰りにいってれいかメインのお話なので、次回も対戦はないんだろうなー。


第43話 れいかの道!私、留学します!!

おおうっ!キャラソンまでインサートされて優遇されたなー。

 そんな今回のお話は…
 れいかが、イギリスへ留学することが決定!留学は、お勉強のために外国の学校に行くこと。
 みゆきたちは、れいかと離ればなれになっちゃうけど・・・夢が叶うんだもんね!スマイルで送り出してあげよう!でも、嬉しいはずのれいかも、同じように悩んでいるみたい…
 「イギリスへ行ってしまったら、プリキュアはどうなるの?」イギリスへ行けば、みんながいる日本とお別れしなきゃ…。本当にそれでいいの…?
 そんなれいかの前に、ジョーカーが現れた!!れいかはプリキュアに変身するけど、ジョーカーは、真っ暗闇の空間へとビューティーを連れていってしまう。
 いったいビューティーは、どうなってしまうの?
 以上公式のあらすじ。

 お話はサブタイ通り、れいかが留学の選抜メンバーに選ばれて、一ヶ月後にイギリスへ旅立つこととなるのだが……という話ではあるのだが、まぁそんなことにはならないことなど最初っから分かっていることだ。そういう中で、どう盛り上がりを作り、何を見せるかがよく考えられてある見事なシナリオでした。やはりさすがは成田良美と言わざるを得ない。
 お話としてはサブタイからして、れいかは留学してしまうんだろうか?という所で進むと思うのが普通ではあるが、もうアバンからしてそうではない所を見せていて、留学の選抜メンバーに選ばれたとの一報に「えっ!?」と驚きを隠せない彼女の表情と声から、バカが付く程の真面目なれいかがこの不測の事態に困惑している様子が窺えるではないか。
 彼女としては、1年生の時に自分の可能性を試したいと応募した留学は自分の進むべき道のひとつではある。しかし伝説の戦士プリキュアとなって無二の親友みゆきたちと共にしてきた活動を途中で放り出すわけにもいかず、Aパートからの留学の決定に良かった良かったと喜ぶ周囲をよそに、彼女の表情には曇りが見える。
 あるいはれいかがプリキュアになっていなかったとすれば、それは悩むべくも無いのだろうが、応募した1年生時と今では状況が全く違ってしまっていて、当時予測することなどできようはずも無い非現実なプリキュア活動が、現実に影響を及ぼしたのであるから、プリキュアとはいえ14歳の女の子が困惑するのも無理も無い話だ。
 帰り道、みゆきたちも行くべきと応援する中で、れいかは「でも、プリキュアが……」と逡巡する様子を見せると、みゆきは「なんとかなるよ!」と明るい笑顔で返す。
 この割となんでもないふうなやりとりであるが、れいかが周囲の期待とは裏腹に悩んでいる様子はよく見て取れるが、ここでのポイントはみゆきたちなのである。後にも明かされるが、普通に接しているように見える彼女たちではあるが、その言葉の端々に無理が垣間見えるのだ。
 きっと本来ならば、「お別れしたくないし居なくなってほしくないけど、れいかの夢のひとつなんだから応援する、行ってこい」。と言いたいはずであろう、がしかし、別れたくないずっと一緒にいたいなどと言ってしまえばれいかの夢をフイにしてしまうかもしれない、またはれいかにつらい思いをさせてしまうかもしれないと、敢えて「れいかの夢のひとつなんだから応援する、行ってこい」の部分しか彼女たちは言わない。そのためこのシーンではみゆきたちの言うことが実に空々しく聞こえるのだ。お前たち本当はそんなことだけを思っていないだろ?と思える。しかしみゆきたちのことを思えば、そんな彼女たちだからこそ、れいかを良かった良かったと笑って送り出したいと思う気持ちが、毎週欠かさず熱心にこのアニメを見ている身としては分かろうというものだ。
 このなんとなく空々しい彼女たちの会話が、見ていて実にもやっとした気持ちにさせてくれるという見事な導入である。

 その後家に帰って家族に報告するれいかは、母や兄、祖父にも喜ばれるが、祖父はれいかがそのことに何かしら悩んでいることをすぐに見抜く。と言っても、ここはれいかの中の人「西村ちなみ」さんの演技が見事で、「みんな喜んでくれて、とても光栄です」と言うれいかの言葉はどこか歯切れが悪く、自らの言葉通りの気持ちとは到底思えない。みゆきたち以上に当の本人であるれいかも困惑しているのだなぁと思わせてくれる。そんな視聴者を代表するが如く、祖父は見事なアドバイスをするのだが、16話でもそうだったように答えを指し示すことはしないのだ。
 翌日。れいかが何故留学しようと思っていたかを聞いたみゆきたちは、それならばやはり行くべきだと言って背中を押すが、れいかが去ると「これでいいんだよね」と彼女たちがれいかと別れたくないと自分たちの我を通し、れいかの夢を潰えさせたくないと無理しているのが明かされる。れいかのためにも笑って送り出してやるべきだと。しかし彼女たちの中にはもうひとつの気持ちがあって、それは子供が故にピュアなキャンディが語ってくれる。本当にそれでいいのか?と。

 その頃、三幹部らがことごとく失敗に終わったため、ジョーカーがプリキュアたちの要であるビューティーに的を絞って策を仕掛けようとする所、れいかが留学することを聞きつけ彼女の前に現れバッドエンド空間へと取り込む。
 策を弄する事無く留学していなくなるれいかを歓迎するジョーカーは、もうプリキュアをやめるのでしょう?と問いかけ精神の揺さぶりを計る。プリキュアをやめないとするれいかにジョーカーはさらに追い討ちをかけ、留学をしないのであらば、留学を自分のことのように喜んでいる家族や友人は随分と落胆することだろう、なんて素晴らしい!と。そんなお前はこっち(バッドエンド)よりではないかと。
 自ら望み努力して得た青木れいかの留学の道。誰かが誰かに悪事を働くことを許さないとするプリキュアの道。常に進むべき道を模索し正しいと思った道を進んできたれいか。だがここへ来て進むべき道が分からなくなってしまった。留学すれば周囲の期待に応え自らを高めるが、悪事を止めることができない。留学を取りやめれば悪事を止めることができるが、周囲の期待を裏切ってしまう。どちらも二律背反しれいかには選ぶことができないのだ。常に自らの道を模索し歩むその心こそ、れいかがプリキュアとなる力の原動力である。進むべき道を見失った時、その力は消失し、変身が解けてしまう。
 変身が解けたことに何故っ?!と困惑するれいかにジョーカーはそれが答えだとする。任期満了、円満卒業、お前はもうプリキュアではないのだと。留学してジョーカーの思い通りになることが正しい選択なのかと、れいかはついに膝を折ってしまう。
 プリキュアの力は前述した通り人の心であり、ジョーカーの言うことは当たらないのだが、人の心を解さない彼にそのことが分かろうはずも無く、プリキュアでなくなったれいかと共に葬り去ろうとみゆきたちもバッドエンド空間に取り込んだのが彼の誤算であり、またここからが今回のクライマックスである。

 ハイパーアカンベェにいい様にやられるプリキュアたちを、柵で囲まれてしまい、また変身できないれいかはただ見ていることしかできない。そんな彼女らを嘲笑うかのようにジョーカーは、友達ならば留学を選択したれいかを笑って送り出してやりましょうなどとなじる。
 するとみゆきたちは、そんなことは当たり前で、れいかが行きたいのなら応援するし友達だから笑って送り出す、と言いながらも「ゴメン……やっぱり無理」とぽろぽろと涙を流し「友達がいなくなるのに、笑えるわけないじゃない!」と、これまで我慢を重ねて押さえてきた気持ちが溢れ出す。なにか自分の気持ちを説明するかのような言葉はなく、れいかがいなくなるのは「イヤだ!」とただ泣き叫ぶ。れいかのためとか、応援するとかそういうことではなく、友達と離ればなれになるのはイヤだというみゆきたちの心の叫びなのだ。
 そんな彼女らにれいかは駆け寄り「わたしも行きたくない!もっとみんなと一緒にいたい!みんなと離ればなれになるなんてイヤだ!」と泣き叫ぶ。いつものですます調ではない彼女の言葉からみても、それこそが青木れいかの心の底から思う本心なのだ。そう思っているからこそ、この選択がこんなにもつらいのだ。彼女らはわんわんと泣いてへたり込んでしまう。
 そんな彼女らを見てジョーカーは「なんて情けない姿!」と嘲笑う。友が友を思い涙する彼女らの姿のどこが情けないというのだろうか。だが人の心を解さない彼にはそれが分からないのだ。
 正に悪であるジョーカーが全員まとめて葬り去ろうとするとれいかが立ちふさがり、私はプリキュアをやめるだなんて一言も言っていない!と光の柱を立ち上げキュアビューティーへと変身し、「私の名前は青木れいか、またの名をキュアビューティー!」と高らかに宣言する。
 みゆきたちの心の叫びに呼応するかのように、考えるでもなく出た自分の本心こそが答えなのだと気付いたのだ。どちらかを選択するのではなく、今、自分が最も大切に思い大事だと思うことをすることが進むべき道なのだと。また自ら名乗った通りに青木れいかはキュアビューティーであり、それぞれ違う道があるのではなく、同一の存在として同じ道を歩むのだということを悟ったのだ。
 改めて決意し新たに見出した自らが歩むべき道を揺るぎないものとしたビューティーは、ジョーカーを圧倒し退けるのであった。

 と、ここまで熱く語って参りましたが、ここいらでちょっと冷静になってみて、改めて見事なシナリオであると言わざるを得ない。
 プリキュアの皆さんの二律背反する気持ちに苦悩する様子はよく見て取れ、熱心にこのシリーズを見てきた者としては彼女たちに感情移入せずにおれないし、本心が出るシーンでの泣き所は、これまで苦悩している彼女らを見てきただけにぐっとくるし、れいかが再度ビューティーに変身し、インサートしてくるキャラクターソング「あなたの鏡」は毎度CDを購入している身としては、ビューティーのパワーアップと共に盛り上がらざるを得ない。
 なにより「れいかがいなくなるわけがない」と結末が分かりきっている話の中で、上記した二律背反する少女達の気持ちや本心の吐露、人生の選択時に何に重きをおくかの訓話まで入っていて、表層のれいかがいなくならなくて良かったというだけの話ではなくなっているのだから、やはりさすがの成田良美と言わざるを得ない。
 またそのシナリオをしっかり理解し、見事に演出している点も特筆すべき点だろう。序盤からの暗澹たる感じから泣き所、そしてパワーアップしてからの高揚感、そして久々のアクションシーンでの回るカメラワークなど、実に見事に演出しており視聴後とても気持ちよかった。
 まぁただそれだけに、ここの所のキャラクターの掘り下げは、やっぱり中盤あたりに差し込むべきだったような気がしますけどねぇ。

 あとちょっと気になった部分があって、スマイルプリキュアのリーダーって特に決まっていないわけなんだけど、やっぱりビューティーだよね?どー考えても。
 今回ジョーカーもプリキュアの頭脳であり要としてビューティーをあげているし、これまでのお話でも「困ったらビューティー」だったしな。ということを考えると……ハッピーことみゆきってやっぱり主役としてどうなんだと思わざるを得ない。
 特にリーダーシップを発揮するわけでもないし、何かのきっかけとかになるわけでもないし、誰かを引っぱるわけでも押し上げるわけでもないしなぁ。そう考えると彼女は集団の中でけっこう「目立たない娘」なのではないのだろうか。
 まぁ映画で小さい頃は人見知りの恥ずかしがり屋だったということが語られているし、次回もその辺のことが語られそうなので、なるほどそうか!というようなことがあって、目立たない中にも光る部分が見つけられる話であることを期待したい。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今週のまたみてねは「キュアビューティーとウルトラキュアビューティー(?)」でした。「またみてね」ではなく、縦書きで「またみてください」になってましたね。
 さて、ぴかりんじゃんけんの方ですが、まぁ当然変身バンクがあるはずもなく、戦績は変わらず34戦17勝12分5敗(1反則勝ち)。
 予想も変わらずですが、まぁ次回も対戦ないんでしょうねぇ。


第44話 笑顔のひみつ!みゆきと本当のウルトラハッピー!!

7話のフラグをやっと回収かよ!

 そんな今回のお話は…
 ある日、みゆきは、すれちがった女の子の持っているペンダントを見てふと思いだすの…。
 それは、小さい頃、みゆきにスマイルの大切さを教えてくれた大事なお話…。
 引っ込み思案で、ずっとひとりで絵本ばかり読んでいたみゆき。
 そんなみゆきの前に現れた女の子がみゆきに教えてくれたのが、“いつもスマイルでいれば、ハッピーな出来事が待っている”ということ。
 みゆきが変わることが出来たのは、その女の子のおかげなんだ。
 そんな話をしていたら、さっきの女の子がお母さんとはぐれちゃったみたい!みゆきたちは、迷子の女の子のために一緒にお母さんを探すことに。
 でもそこにウルフルンが現れた!!
 以上公式のあらすじ。

 お話はみゆきが探している「ウルトラハッピー!」とはなんなのか?を語るお話ではあるのだが、正直、みゆきの幼少期の方が実に興味深く、お話としてはその幼少期を紹介するAパートとウルトラハッピー云々のBパートが繋がっている印象がなくて残念だ。

 結論から先に言ってしまえば、みゆきのウルトラハッピーは誰かの優しさであり、その優しさに触れた時の心の暖かさであるとし、これからは自分がもらったウルトラハッピーをみんなに分け与えたいとする。これが最終決戦への動機付けになっているわけだが、ちょっと弱いよなぁ。
 いや別にみゆきの出した結論が動機として弱いと言うわけではないのだ。言っていることは分かる、しかしその裏付けが足りないのだ。
 ウルフルンの攻撃を身に受けながら、これまでの回想シーンと共にみゆきが順序立てて結論を導き出していくのは良いのだが、ま、正直な話、そこまでの事をここまでにしてきてないよなぁ。だって思い返せばドタバタ劇していた印象しかない。だからここ最近のキャラの掘り下げを間に挟めと言っていたんだ。
 それにだ。確かにそれなりの話はあった。がしかし、それはプリキュアの皆さんとだけの話ではなかったか。
 みゆきの言う「優しさ」云々に家族はともかくとしても、クラスメイトや先生が絡んできた話があったろうか。いや、学校関係の話はほぼなかったと言っても過言でない。このスマイルプリキュア!はプリキュアの皆さんとの関係もそうだが、それ以上に他との関わりが薄いのだ。みゆきが言う程、クラスメイトや先生との印象的な出来事ってなにかありましたっけ?とか思ってしまって、せっかくの良いシーンなのに白々しさを感じてしまって乗り切れない。本来ならばグッと来る所だろうになぁと思うと残念だ。
 思うに、全体的な物語の構成として、ドタバタ劇が続く中でポツポツと突然の如くそういう話が差し込まれるため、段階を感じられないのが問題なのではなかろうか。
 例えばプリキュアの皆さんだって、考えてみればみゆきは転校してきたのであるからして、いくら最初にプリキュアという仲間になったからといって、その仲間関係にはやはり段階的なものが存在するのが自然だろう。
 プリキュア活動を続ける中で、みゆきのこんな部分を知る事が出来た、あかねにはこんな一面があった、やよいが普段見せない部分を知った、なおの意外な趣味が明らかになった、れいかの幼い頃が語られた、というような事があって、それを踏まえた上での付き合いがその後からはじまり、それぞれの理解度が上がっていく過程が見えるから、5人が強固な絆を示すことに無理がないのだ。しかしそういった過程がこの終盤までは見られないので、今回のみゆきの台詞が降って湧いたように感じられてしまう。
 一緒にみゆきと回想して、こういう事もあった、ああいう事もあったと思い返すのはもちろん、あの話の時にこのふたりは随分距離が縮まったよなとか、あの時に全員深い部分まで踏み込んだよなとかいう画面に映し出されていること以外を思い返せるようなことがあれば、みゆきの気持ちが爆発してハッピーがパワーアップすることへの高揚感にも繋がったように思う。
 クラスメイトにしたって、何かあったかと言えば文化祭のことくらいしか思い浮かばないのだから、ここでクラスメイト云々言われてもピンとこない。そう考えると、初代プリキュアで主役のなぎさには同じプリキュアのほのか以外に、しほりーなという普通の友達がいたことは実に上手く考えられていて、彼女らがクラスでなぎさに何かしらの情報をもたらしたり、一緒に部活をしているというだけでも、プリキュアという非現実と対をなす、なぎさの大切な現実を感じられるのだから上手く作ってあったと言える。
 対してこのスマイルプリキュア!はドタバタに終始していることが多く、楽しくはあるのだけど、他者との繋がりが希薄で実にもったいない。やっぱり現実(物語上としての現実)があってこそ非現実が光るというもので、みゆきたちにはそれなりの現実との繋がりを見せて、4クール物の長丁場だからこその積み重なりがあっての今回であってほしかった。

 今回は戦闘でも「もうちょっと突っ込めよ」と思う部分があって、それはウルフルンが自分はもとより一匹狼だとか、ジョーカーに「昔に戻りたいのか」と言われたこととか、仲間云々をくだらねぇと随分執着していた様子から、昔は同じ仲間がいて(そもそも狼は群れるものだしねー)何かしらあってつまはじきにされ、仲間を信用していない、もしくはそういうことを踏まえ、仲間という関係に飢えている裏返しであるように感じられたので、幼い頃は引っ込み思案で孤独を体験し、人の気持ちに敏なみゆきとしては、ウルフルンの気持ちに気付いてもおかしくなかったように思う。
 まぁウルフルンのことに関しては、本当にそういう設定かどうかは知らないので、まぁなんともではあるんだけど、見ていてちょっと異常なくらい頑に仲間云々を否定するので、みゆきはどうしてそこまで否定するのか?と悲しい顔で問いかけるくらいのことをしても良かったように思います。
 みゆきたちは理解しようとし、歩み寄ろうともしたが、結局平行線で終わってしまった。ということがあれば、後にあるであろう三幹部との決戦の中で、交わらないからと言ってただ消し去るというふうにならなくするためにもいい展開のような気がしますが、はてさて。

 文句ばっかり言ってきたのでここからは良かったことを。
 上記しましたが、みゆきの幼少期のエピソードはとても興味深く、もっと詳しい描写と長い尺で見たかった。
 父の仕事の関係で少しの間だけ祖母の家で暮らしていたみゆき。今と違って引っ込み思案だった彼女は家から出ずにひとりで遊んでいた。そんなみゆきに祖母は「笑う門には福来ると言って、笑っていればきっと楽しいことがやってくるわ」と小さな手鏡を与える。
 わざわざ祖母がそう言って手鏡を与えるのだから、家でひとり絵本を読みふけっていたみゆきが笑顔を見せることが少なかったのだろう。ただでさえ引っ込み思案な彼女が知らない土地へ来て、家に閉じこもってしまうのも無理もない話だろうが、そんな孫を思っての祖母の行動は、今見返してみるとこれはフラグとしてふたつの意味を持っている。
 ひとつはこの手鏡をきっかけにみゆきが外へと出掛けることとなった事。引っ込み思案でずっとひとりでいたみゆきが、どうして外へと出て行こうと思うに至ったのであろうか。劇中でみゆきは「何故か勇気がわいてきて」と言っているが、勇気がわいた理由があるはずだ。そこを読み取らなくてはならない。
 今でもけっこうなピュアである彼女であるから、小さい頃はさらにもっと純真であったろう。大好きな祖母が言ってくれた事、そしてもらった手鏡で笑顔を作ってみて、祖母の言う通り笑って外に出れば楽しい出来事がきっとあるのだと信じたのだ。胸にぶら下げたお守り代わりの手鏡もある。その時のみゆきに不安は全く無かったはず、だから外の出たのであろう。
 意気揚々と歩くみゆきであったが、ついに同じ世代の少女たちと出会う。見かけない顔に興味津々の少女たち。家族以外の他者との初めての接触。元来の引っ込み思案のみゆきは他者との接し方が分からないのだ。
 胸に下がっている手鏡を見せてと手を伸ばされると、みゆきははっとして手鏡を握りしめ逃げ出してしまう。おもしろいのは鏡を見せてといった娘の口元しか画面に映っていないのだ。これはみゆきの目線なのだろう。突然の遭遇にビックリしてしまったみゆきは、その子の顔を見れなかったのだ。悪気のない笑顔であったと思うが、見れなかったみゆきにはそれが分からなかった。だから手鏡に手を伸ばされた時、祖母からもらった大切な手鏡をとられてしまうのではないかと疑念を持ち、また恐怖してしまった。だから逃げ出したのである。
 しかし、たどり着いた林の中でみゆきは童話白雪姫のように手鏡に「鏡よ鏡よ鏡さん、私のお友達はどこですか?」と問いかける。ひとりでいる事が苦ではなかったみゆき。だが外へ出て自分と同じような子供達がいる事を知り、みゆきは初めて自分が孤独であると認識したのだ。孤独である自分、友達ひとりいない自分にとても悲しくなってしまった。そんな彼女に救いの手が差し伸べられる。
 みゆきの問いの呼応するかのように手鏡に光が差し込みあたりを照らすと、みゆきの前にひとり女の子が現れ、優しく風が吹き抜ける。
 大きなお友達としましては、現れた少女がヒトではないとすぐにピンとくる。それと同時の熱心にこのアニメを欠かさず見てきた身としては、7話でプリキュア秘密基地を作ろうとした際のみゆきや、27話でプリキュアの皆さんを助けてくれた祖母の宝物たちを思い出す。そう、これが手鏡のふたつ目のフラグなのだ。
 祖母がこの土地を愛し、また愛されていることは27話で証明済みだ。みゆきがそんな祖母の縁者である、ということの証明がこの手鏡なのだ。祖母の縁者である小さなヒトの子が悲しみ涙しているのを見て手を差し伸べた。そしてこの不思議な少女と友達となり遊んだこの場所こそ、7話でみゆきがプリキュアの皆さんを連れて行った場所なのだ。
 この3つの話、どれもけっこうな間があるのが難点ではあるが、この44話で繋がりを見せ、基本的にはひとつひとつのお話がボトルショーとなっているこの物語が、ちゃんと大きくひとまとまりである事を示している事もさることながら、星空みゆきという人物のひととなりを感じられる。
 この不思議な少女と友達となり、外へ遊びに行き笑顔が多くなったみゆきは、その少女と遊んだ事を絵日記のように描いて一冊の絵本を描き上げる。それを一緒に見ようと外へ出掛けると、最初に遭遇した子供達と再会し、怯んでしまうみゆきであったが不思議な少女の「笑って」という声が聞こえた気がしたみゆきは、笑って「こんにちわ」と声をかける。
 とても満面の笑みとは言えない不格好な笑顔であったが、少女に優しく背中を押され、引っ込み思案なみゆきが絞り出した精一杯の勇気であることが見て取れる。
 明るく返事を返されみゆきの元へやってくる子供達は、彼女の持つ絵本に興味を示し、それがみゆきが描いたと分かると見せてと言ってくる。勇気を出して一歩踏み出したみゆきは最初と違って子供達の顔を見ることが出来た。絵本をどうこうされる心配はなかったのである。
 こうして新たに友達を作ったみゆきであったが、それを境に不思議な少女と会えなくなってしまう。みゆきは彼女を鏡の妖精だったのではないかと思っているが、27話を踏まえて考えると、それは土地神のようなものだったのではないだろうか。もしくは、鏡に意味があったとするならば、鏡に映ったみゆきの一緒に遊べる友達が欲しいという心を投影し、不思議な力が具現化した存在だったのだろう。ともあれ、友達が欲しいというみゆきの願いのもとに現れた少女は、その役目を終えたのだ。
 おそらくはたった数日間くらいの出来事であったろうと思うが、その短い時間の中で、祖母が言っていた事が本当であり、笑顔で一歩踏み出す事の大切さを知り、友達ができて、そして出会いの嬉しさと別れの寂しさを知った。引っ込み思案だった幼いみゆきの心に大きな変化をもたらしたのと同時に、今のみゆきを形成する最も根底である事が分かる良いエピソードであった。こういう事があったから、今のみゆきをみゆき足らしめている、と思わせてくれました。
 まぁそれだけに、7話、27話、そしてこの44話の間に、みゆきらしさが垣間見えるエピソードなりが欲しかった所で、例えば未知なる事に率先して一歩踏み出そうとする様子であったり、みんなが意気消沈する中でひとり明るく振る舞ったりするなどして、今回判明するみゆきの根底に繋がる要素を先に置いておくべきだったように思い、やっぱりちょっともったいないような気がします。

 なんか話を逆順に振り返る感想になってしまいましたが、なんにせよ、全体を振り返るとやっぱりドタバタが多過ぎた感がありますな。ひとつひとつのお話がボトルショーになり過ぎたと言ってもいい。
 大きなお友達としては、プリキュアの皆さんがどういう関係を育んでいくかを楽しみにしているわけだが、メインターゲットに随分好評であることを考えると、まぁ間違ってはいなかったのだろう。しかし個人的にはやっぱり深みみたいのが足りなくて物足りないのが残念だ。

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「キュアハッピーとウルトラキュアハッピー」でした。あれ?なんか映画とティアラの形が違うんですけど……。
 さて、ぴかりんじゃんけんの方ですが、まぁ当然これまでの流れからいってあるわけもなく。戦績は変わらず34戦17勝12分5敗(1反則勝ち)のままです。
 でもまぁさすがに次回は変身バンクがあるはずなので、久々に対戦できそうなのですが、次回は年明けなので、もうバリバリクライマックスですよ。予告でウルトラキュアハッピーになっているし。
 ということを考えて、ぴかりんじゃんけんも次回が最後かもしれませんねぇ。次作ドキドキ!プリキュアのメインビジュアルも発表されたことだし、なんか寂しくなるなぁ。


第45話 終わりの始まり!プリキュア対三幹部!!

なんか唐突だな。

 そんな今回のお話は…
 お昼なのに、突然夜みたいに周りが暗くなった…。
 空を見ると、大きな黒い固まりがこっちに向っている!?一体アレはなに…!?
 すると、ロイヤルクロックが光り出して、キャンディを包み込んだわ。キャンディはどうなっちゃうの!?
 そこへウルフルン、アカオーニ、マジョリーナの3人がそろってやってきた。
 狙いは、どんな願いも叶てくれるというミラクルジュエル。
 そんなこと、絶対にさせない!!みゆきたちはプリキュアに変身!
 ついに、プリキュアとウルフルンたちの最後の戦いがはじまった・・・!!
 以上公式のあらすじ。

 お話としては、まぁ簡単に言うと三幹部をなんとかするぜ!って話、なんだけど、展開としてはけっこう唐突でけっこう乗り切れねぇ。
 もうアバンからして、これまでなんの兆候もなかった悪の皇帝ピエーロ様の卵が地上から判別できるくらいに地球に近寄ってるなんてかなり唐突だし、それに伴ってか、ロイヤルクロックが輝き出したら、これまで放ったらかしにしていたミラクルジュエルとかいう物質にキャンディがなってしまうとかどーなんだ(笑)。
 アバンでいきなりそれなものだから、今回は随分と唐突だなと思っても仕方なかろうというものだ。今回含めて後4回なのは重々承知だが、随分な急展開にビックリだ。こうなるのだったら、もうちょっと前から段階を踏んでも良いような気がします。
 本編に入ってからのメイン所としては、サブタイにあるように三幹部との決戦がメイン。まぁ結末的には分かりきっているので、そこまでをどう持っていくかがポイントなのだが、これがなぁどうもスッキリしないのだ。

 まず最初にジョーカーに招集された三幹部は、黒っ鼻を使うと力を得る変わりに命が削られるという話を聞かされ、それでも昔に戻りたくない彼らがそうと知りながら、打倒プリキュアの最後のチャンスに臨む。そう、三幹部は今回の戦いで命を賭す覚悟であると前振っているのだ。
 早速戦闘となり、黒っ鼻のとっておきの使用法をジョーカーから聞いた三幹部はプリキュアを圧倒するのはまぁお約束。そこからが今回の一番の見所で、三幹部が絵本の中でいつも悪者にされ、蔑まれ孤独であり、そのためこの世界を憎んでいる事が明かされ、プリキュアの皆さんはそんな心に痛みを持つ彼らとは戦えないとする。
 同情なんてまっぴら御免と攻撃を仕掛ける三幹部に、ハッピーがどうか怒りを鎮めてと大きく手を広げて彼らを受け止めようとすると、ハッピーを閃光が包み精神世界へ。
 巨大なウルトラキュアハッピーが三幹部を優しく包み込み、絵本が夢や希望を与えてくれるのは悪役がいてくれるおかげだとし、ありがとう、友達になろうと微笑みかけると、三幹部は今までこんな事を言ってくれるヤツはいなかったと号泣し、本来の姿であるメルヘンランドの住人へと戻るのである。
 ……いやいや待てよ。そりゃ三幹部の怒りや憎しみ、妬みや悲しみ、そして孤独であったりは、むしろみんなと仲良くしたい事への憧れであることは分かる。しかし、ここへ至るまでの彼らの負の感情は積もりに積もって、今回の頭で命を賭してもこの世界を壊そうとする程のものなのである。それをだ。たかだか絵本は君らがいないと成り立たないよーアリガトねーと言われたくらいで、号泣してコロッと浄化されるものではないだろうよ。
 三幹部はこのプリキュアとの最終決戦に命がけで臨んでいるのだから、プリキュアの皆さんはそれと同等かそれ以上のものを示さないといけないのではないのか?これまでプリキュアの皆さんの愛や夢や希望を散々嘲笑してきた彼らが、今ここへ来て「ありがとう。友達になろう」と言われ、号泣などするものか。それこそ茶番だと怒り狂うのではないのか?
 まぁ展開として、三幹部をなんだかよく分からない光のワパーで消し去ってしまうわけにはいかない。だからこそ、彼らを救うことに心から「あぁ良かった」と思える説得が必要だ。彼らの負の感情はその役所からしてかなり根深い。それをあんな上っ面を撫でたような一言で片付けてしまってはいかんだろうよ。
 プリキュアの皆さんはその純真な心だからこそ、彼らを受け止めに受け止め続け、自らの気持ちを体現し、今回の戦いの中で、彼らの強力な負の感情をちょっとずつ、ちょっとずつはがしていって初めて本心に触れ、そして理解し、そこでようやく説得できる余地が生まれるのではなかろうか。三幹部が少し吐露した気持ちに敏感に反応したのだから、そんな彼らをどう救うのか、どうしたら彼らの心を癒せるのかと足掻き、試行錯誤して何度もぶつかっていって、それからのことだろうと思う。
 とはいえ、尺の都合もあろうので、今回だけでそれをやるのが無理なのであらば、やはり前々から何かしらのフラグを立てておくべきだったろう。前回だかにも書いたが、プリキュアの皆さんは三幹部の気持ちに勘付き、「もしかして、さびしいの?」などと問いかけたりするなどして、今回で浄化させる為の準備を整えておくべきだった。
 それに伴ってみゆきたちには、そんな彼らを受け入れるだけの心の成長を見せておくべきで、こんなプリキュアの皆さんだから三幹部を浄化するに至ったと納得できる土台も作っておくべきだったように思います。

 まぁとにもかくにも、見ていて三幹部が浄化されるようにはとても思わなかったので、ついていけなかったというのが正直な所。
 このサイトの感想で何度も言っておりますが、ぶっちゃけた話、フィクションなんて嘘っぱちのお話なんだから、別にどんな無理やウソをついてもいーんですよ。でも、それを納得させられなければホントにただのウソになってしまうわけで、逆にどんな超展開だろうと見ていて納得がいくのなら、フィクションだとしても本当のことなのだ。
 そういう観点から言って、とても納得いくようになっていなかったので、随分と都合良く見えてしまいましたよ。やっぱり中盤にドタバタ劇し過ぎた感は否めないなぁ。

 あんまり文句ばっかりなのもなんなので、良かった所でも。と言ってもひとつだけですが。
 ハッピーが三幹部の受けたイヤな気持ちを少しでも和らげたいと言い出し、三幹部がプリキュアの皆さんの真っ直ぐな瞳を見て、これまでのことを思い出し「本気なのか?!」となるシーン。ここは良かった。
 おそらくはプリキュアの皆さんが戦えないとするのを、ちょっとした同情程度なんだろうと考えていたであろう三幹部の皆さんだったわけですが、プリキュアの皆さんが見つめるそのまなざしは、回想シーンでもあったように、これまでと一緒であり彼女らの言うことにウソ偽りはないのだと気付いたのだ。
 回想シーンに特に印象的だったシーンが使われたわけではなかったのだか、表情、特に真剣な瞳のカットを使用してあって、三幹部がプリキュアの皆さんのまなざしから気持ちを感じ取ったのだなぁと思える良いシーンでした。
 まぁその後に、そんな彼女らを見てさえも、打倒プリキュアの方に向っていった三幹部だったから、あんな一言で浄化されてしまったのが納得いかなかったわけですが(笑)。

 というわけで、せっかくの三幹部の最後であったのに残念な結果でありました。むしろ最後に出てきたバッドエンドプリキュアとどう立ち向かうのかの方がおもしろそうだ。
 しかし残り後3回だって言うのに、またここでニセキュアが出てくるのとかってどうなんですかね?なんか最終的にジョーカーをラスボスにしてピエーロ様復活阻止で終わりそうな気がするなぁ。
 ってゆーか!ピエーロ様ってメルヘンランドをどうこうしようとしていたんじゃなかったっけ?地球って関係無かったよなぁ。そのへんどーなってるんだよ!もうっ!!

今週のまたみてねとぴかりんじゃんけん
 今回のまたみてねは「プリンセスサニー」でした。あれ?ウルトラバージョンじゃなくなっちゃいましたね。
 さて、ぴかりんじゃんけんの方ですが、ピースは「チョキ」でしたので勝ちました!ウルトラハッピー!戦績は35戦18勝12分5敗(1反則勝ち)。
 展開からいって、もう変身バンクはなさそうなんで今回の対戦が最後ですかねー。5回しか負けなかったのはけっこうないい感じだったのではなかろうか。
 そういえば、今回から次回作「ドキドキ!プリキュア」の番宣が始まりました。が、なんだろう。今ひとつプリキュアって感じがしなかったのだが。
 まぁ、毎年始まるまでは不安を感じつつも期待する感じではあるので、いつもどーりと言えばいつもどーりではあるのだが(笑)。


第46話 最悪の結末!?バッドエンドプリキュア!!

うあー。やっぱちょっともったいないような。

 そんな今回のお話は…
 ジョーカーが、ハッピーたちとそっくりのバッドエンドプリキュアを作りだした!
 バッドエンドプリキュアは、ハッピーたちとまるで違う。自分だけの幸せのために、どんなことだってする…。
 そんなバッドエンドプリキュアに、ハッピーたちは大ピンチ…!
 そんな中、ミラクルジュエルになったキャンディを守るポップの前に、ジョーカーが迫っていたの。このままじゃジュエルがジョーカーに奪われてしまう…  その時、ジュエルを守るようにロイヤルクロックが現れ、そこに女王の姿が…!
 そして、女王からキャンディの驚きの秘密が語られる……
 以上公式のあらすじ。

 冒頭書いたように、バッドエンドプリキュアに関してはちょっともったいなかったような気がしますが、お話としては色々と興味深いことが判明しておもしろかったのはさすが成田良美たる所以。
 バッドエンドプリキュア(以下面倒なのでニセキュア)は、プリキュアの皆さんたちとは違い、かなりネガティブ思考で、他の皆さんはけっこうどーでもいーんだけど(笑)、ハッピーに関しては実に興味深かった。
 笑顔でみんなをウルトラハッピーにするキュアハッピーに対し、ニセキュアの方は、他人が不幸だからこそ自分がハッピーだとし、対極の存在として示しているのだけど、まぁ基本的に幸せというものは概念であるし、何かに対して自分は幸せだ不幸だという言い方をするわけだから、何をもって幸せかというのは相対的ではあるので、ニセキュアのう言うことは汚れちまった大人としてはけっこう理にかなっている。
 とはいえ、なので世界が絶望で覆われれば自分が一番ハッピーだとするのはおかしくて、皆が一様に不幸なのならば、自分は何かしら他とは違うものを持っていなくてはならない。ただプリキュアを葬り去る為だけに生み出されたニセキュアは何も持っていないわけだから、それには当たらないはずなのだ。
 そういう矛盾があるからこそ、逆転劇が生まれるわけで、きっとそうなって論破するんだろうと思っていたのだが、さしてひっくり返した感がなかったのは残念。ニセキュアがちょっとよごれちまった大人な意見であったがだけに、愛と勇気と希望のスーパーヒロインらしく青臭い正論吐いてひっくり返す気持ち良さが欲しかった。
 そういうこともさることながら、上記したようなことをいってくるのであらば、このニセキュアの皆さんは、もっと早くから登場し、ここへ至るまで論戦し続け、そういう中で心を成長し続けるプリキュアの皆さんがひっくり返す持論を得て、愛と勇気と希望を語っても良かったのではないか。
 せっかく2クール終わりでひと区切りみたいになったのだから、そこで三幹部は退場してもらって、ニセキュアの皆さんはそこから登場して物語の雰囲気を変えてほしかったのが正直な所で、ここの所言っている「ドタバタ劇が多過ぎた」に最終的に繋がってしまうな。
 第4クールに入るまで、物語的な進行がなかったのはやっぱりもったいないと思います。48話もあるんなら、もっと色々見せるべき所があるだろうと思ってしまうなぁ。ハッピーとニセキュアの論戦は、今回だけで終わらせてしまうようなものではなく、みゆきが色々なことを通じて学び、得ることがあってこそ、ひっくり返せるものなのだろうと思うし、そこまでの積み重ねがあってこそ、今回の結論であればもっとドラマも盛り上がったのではないかと思うともったいない。
 もったいないと言えば、ニセキュアとの戦闘も、さして格闘するわけでもなく、スーパーサイヤ人化してアップグレード技出して終わりなのもどうか。なんか全然ピンチだったような気がしないし、打ち勝った高揚感もなかったのも、もったいない要因のひとつのような気がします。

 さて、物語としては最終段階ということもあって、色々と興味深い点がいくつかあった。
 まずはミラクルジュエル関連として、なんでも願いが叶うミラクルジュエルを手にしてバッドエンド側は何を願うのか?というポップの問いにジョーカーが「そんなものはない」とするのは実に興味深い。
 これまでのシリーズでも何かしらの「超アイテム」は存在した。全てを生み出す力をもつ秘石であったり、世界を構成する七つの泉であったり、なんでもひとつだけ願いが叶えられるアイテムだったり、世界の全ての命をつかさどる薔薇の園へのパスだったり、無限のメモリーだったり、世界を幸福にも不幸にもする音符だったりしたわけだが、全ては悪役側にも手に入れて何かしらのメリットがあって、一応は争奪戦の様相を呈していた。
 しかし今作は、そのなんでも願いが叶うアイテムがなくても世界を滅亡させることが出来るとし、世界を完全に絶望に染める為にはただ一片の希望さえも邪魔であるからという、プリキュアの皆さんが命を賭しても守りたいものは、悪役にとっては単に邪魔だから壊したいというだけのものであったのはけっこうショッキングであったし、悪役を悪役足らしめている。何かしら重要だからではなく「そんなことなの?」という拍子抜けさが逆に「悪さ」を演出している。
 悪役を「悪いなぁ」と思わせるのは重要なので、そういう点で上手いのだが、分かりやすい悪さではなく、こういう悪さの見せ方もあるのかとちょっと感心しました。

 またこのミラクルジュエルもどんでん返しがあって、どんな願いも叶えるというのはブラフで、実は次期メルヘンランドのクィーンの卵である、というのが本当の所で、これまでちょいちょい出ていたロイヤルクィーンさまはすでに没していて、みゆきたちが話していたのは、まぁ分かりやすく言えば残存思念のようなモノだったのである。なるほどロイヤルクィーンさまの出番が少ないはずである。
 つまりキャンディはロイヤルクィーンさまであったわけで、なんでも願いが叶う超アイテムは存在していなかったのだ。デコル集めとかは結局はキャンディをクィーンとして覚醒させる為のもので、クィーンの復活という話ではなく、新たなクィーン誕生の為だったわけですな。プリキュアの皆さんにも秘匿される秘密があったというのはこれまでになかった展開だったのでちょっと新鮮でしたし、ジョーカーもそれならばミラクルジュエル自体はなんの障害にもならないとして無視してしまうのもおもしろい。
 超アイテムじゃないのならば、状況はひっくり返すことが出来ないといとも簡単に切り捨ててしまうほど、彼らにとってはどーでもいーと言ってはなんだが、重要度はさほど高くなかったというのも新鮮でありました。

 個人的には、今回で退場してしまったジョーカーも気になった。というのも、彼が何をしたかったのか全く分からなかったからだ。
 三幹部はダークサイドに落ちる理由があったが、彼は一体なんで悪の皇帝ピエーロ様を崇拝し、世界を絶望の闇で覆いたかったのかがまったく語られていないのだ。
 最終的にはピエーロ様と同化(?)して、黒い絵の具となって消えてしまった彼が、どういう存在であったのか語られなかったのは残念だし、そもそもプリキュアの皆さんが彼をやり込めることがなかったのは、なんとなく消化不良気味であった。
 せめて一泡拭かせたかったと、これまで熱心に見てきた身としては思うのだけど、ニセキュアを排し帰還したプリキュアに絶望するようなそぶりを見せつつも高笑いし、いつもの「ですます調」ではなく「おめぇらホントに何も分かってねぇな!もう手遅れだって言ってんだよぉ!」と本性を見せつけ、最後までいけ好かない卑怯者であったのは悪役の使命を全うしたのかもしれない。

 とまぁ、物語としてはここへ来ての急展開でおもしろかっただけに、もっと前々から振りをしておいても良かったかなぁという気がしてしまいます。もう何度も言ってますが、ドタバタ劇の尺をちょっと削って本編の方をなんとかしてもらいたかったなぁ。なんかプリキュア本編の話が極端に少ないっていう印象があるのはちょっと寂しいような気がします。

今週のまたみてね
 今回のまたみてねは「プリンセスピース」でした。
 さすがにもうぴかりんじゃんけんはやらないだろうねー。しかし35戦して5回しか負けなかったんだからけっこうがんばったな、オレ。


第47話 最強ピエーロ降臨!あきらめない力と希望の光!!

友達ぃ〜?(怪訝そうな顔で)

 そんな今回のお話は…
 空に浮かんでいた大きな卵から…ついにピエーロが姿を現した!ピエーロは地球を、世界を、絶望で埋め尽くそうとしている!
 ハッピーたちは力をふりしぼって戦うけど、ピエーロを止めることができない…!!プリンセスフォームでさえもダメなの…!?
 ふしぎ図書館も、プリキュアの伝説の本も、黒く染められてしまった…!
 そしてついに、ハッピーたちまでが飲み込まれて…。
 このまま、世界はピエーロに飲み込まれてしまうの!?
 以上公式のあらすじ。

 なんかラス前だっていうのにピンとこないなぁ。随分都合よく見えてしまいました。
 お話の流れとしては、キャンディが卵から孵って(?)ロイヤルキャンディという幼女になり、役目を終えたロイヤルクィーンさまはロイヤルキャンディにミラクルジュエルを託し消滅。絶望の巨人を押さえ込むロイヤルキャンディであったが、悪の皇帝ピエーロ様が現れ対抗。プリキュアの絵本を黒く染めようと闇の者たちを放ち、プリキュアの皆さんも対抗するが、倒しても再生する敵に倒され絵本は黒い絵の具を落とされてしまい、プリキュアの皆さんは絶望へと墜ちる。というのがAパートの流れ。
 これまでなんなのかよく分からなかった悪の皇帝ピエーロ様がなんなのかが語られたのだが、まぁ言ってしまえばスイートプリキュア♪のラスボス「ノイズ」と似たような設定で、生けとし生ける者全ての負の感情の集まりなんだそうな。
 前述しましたように、「それってノイズじゃん」とか思って新鮮味がなかったこともあってか、ピエーロ様の正体が明かされた所で何も無かったというか、これまでピエーロ様がほぼ出てこなかったので、行動原理なり理念なりがジョーカーなどから語られてきたわけでもないし、そして何がしたいのかまったくよく分からないので、そこでまずピンとこないわな。
 そもそもだ。今どうしてこのような状況になっているかがすでに疑問なんだよ。
 7話くらいだったかに、一応バッドエンド王国とプリキュアとの対立構造の説明をしたのだけど、それはピエーロ様がメルヘンランドを襲って、ロイヤルクィーンさまと相打ちになり現在両すく身である、ということだけであった。だからデコルを集めてロイヤルクィーンさまを復活させ、ピエーロ様と対抗することを目的としていたんですよね、当初は。
 つまり、みゆきたちがいる世界云々の話ではなかったはずなんですよ。しかしなんで今はピエーロ様は地球を襲っているんですか?そもそもの目的であるメルヘンランドをまず制圧しろよって話じゃないですか。つかなんで最初にメルヘンランドを襲ったかもよくわかんねーけどな(笑)。
 もう最後だっていうのに、その最後のボスに行動原理がないので、全体がものすんごい薄っぺらく見えてしまうよなぁ。
 まぁ一応は、全ての負の感情の集まりだということで、叶わない夢など見るな等のネガティブなことを言ってきた所を見ると、絶対にあきらめないプリキュアとの対極という意味で、ネガティブなあきらめの権化みたいな格好にはなってはいるものの、ピエーロ様がプリキュアに勝ったとして、その後どうしたいのかが分からないため、これもそもそも論になってしまうのだが、そもそもピエーロ様ってなんでこんな事してんの?と思ってしまう。
 最初は良かったんだよ。三幹部が悪いコトしてバッドエナジーを集めるのは、悪の皇帝ピエーロ様を復活させるためという目的があったから。でもその根源のピエーロ様がなにしたいんかよく分からないのでは、「なんでプリキュアが戦っているのか」も分からなくなってしまうではないか。
 そう感じてしまうともう乗り切れない。だって画面の中で戦っているヤツラの戦う理由が見つけられないんだもの。これを一体どーやって楽しめというのか。画面の盛り上がりに反してもにょもにょしている内に絶望に墜とされたプリキュアのBパートへ突入だ。

 Bパートの流れとしては、絶望に墜ちたプリキュアを救い上げる為にロイヤルキャンディがミラクルジュエルを使ってプリキュアを呼び戻し、ウルトラモードになったプリキュアの皆さんがピエーロ様を圧倒したかと思ったら、でっかい闇になって地球を覆ってたってところで引っぱった。まぁ次回に私たちは絶対あきらめないとか言ってぴゃーと光線だして終わりなんだと思います(笑)。
 そんな先の展開はともかく、Bパートのというか、今回のメインはプリキュアの皆さんが闇に墜ちてからだと思うが、これがなぁ、やっぱりピンとこないんだ。
 これまたそもそも論になりますけど、プリキュアの絵本に闇の絵の具で染められると、なんでプリキュアの皆さんは絶望に墜ちちゃうんですか?これまでプリキュアの絵本なんて大して出てこなかった上に、そんな重要なアイテムだなんて一言も言ってこなかったじゃないですか。
 さも当然の如くこうなったらこうなっちゃうんだよみたいにされても「えっ?そうなの?」と思いますわな。まずここで乗り切れねぇ。
 その後、プリキュアを救うために幼女姿のキャンディが、闇の者たちの砲撃を受けつつもミラクルジュエルを使うのはなかなかぐっときて良いのだけど、そこからがまたなんともで、絶望に墜ちたプリキュアの皆さんが闇の中でキャンディの声を聞いて正気を取り戻し、彼女によって引っぱり上げられるのだが、なんかこう、プリキュアの皆さんが何もしていないように見えるんですよね。
 絶望の闇に落ち、真っ暗闇の中でキャンディとミラクルジュエルの力によって一筋の希望の光を見出したプリキュアの皆さんなのだし、このアニメの主役っていったらそらプリキュアの皆さんなわけですよ。夢や希望など無いとしていた中で、一筋の希望の光を見つけたのだから、それはプリキュアの皆さんがもがいて、足掻いて、どんなにカッコ悪くても、自分の力でその光までたどり着かなくてはいけないのではなかろうか。
 光に手を伸ばしても闇が身体にまとわりつき浮上できないのをキャンディが引っぱり上げるのではなくて、どうにかして自らの力でその手を掴む姿を見せてこそ、プリキュアの皆さんが絶対にあきらめないことに繋がるのだ。そういう彼女らの姿を見て、ピエーロ様が希望がないとする中で自分の力でがんばって希望を掴み取ることが出来るのだとメインターゲットの皆様に伝えることが出来るのではなかろうか。都合良く不思議な力を授かったキャンディが引っぱり上げてしまっては、なんなら待っていれば希望が勝手によってきて引っぱり上げてくれるように思えてしまって、愛と勇気と夢と希望を自らの力と意志でなんとかするスーパーヒロインらしくないと思うのもさることながら、これでいいのかなぁと思わずにはおれん。その人の持つ心の力こそがプリキュアの真の力ではなかったか。
 ともかく、キャンディのおかげで復活したプリキュアの皆さんは、力を使い果たしたキャンディを助け、希望とは何かを説くのだが、「それは……友達!」とか言われてもなぁ……えぇ〜?説得力ねぇなぁおい。
 なぜならば、これまでこの5人が何かしらの希望を見出すようなイベントがこれまでにあったかと問われれば、体育祭とれいかの留学の話くらいしかなかったではないか。今回でさえ、絶望の闇に落とされた5人が結束なりなんなりを示すことがなかったというのに、今ここへ来て「友達」とはなんだって話ですよ。
 これまたそもそも論になりますが、物語全体としてプリキュアの皆さん個人々々を取り上げたことは多々あったけれど、5人ひとまとまりのチームとしての成長や結束を取り扱ったことってないよなぁ。やっていたこととしては、5人でドタバタしていたくらいである。
 そういうことがあるので、これまでのシリーズに比べてコイツらの関係性は随分と希薄だなと思っていたのに、最後でその関係を引っぱり出してきたもんだから、「おいおい、待てよ」と思わざるを得ないのと同時に、そういうことをここで言うのであらば、これまでに何故それと分かるようなことを配置していかないのかが不思議でしょうがない。これでは取って付けたようと言われても否定できないではないか。希望など無いというラスボスに対して、満を持して「どうだこんちくしょう!」と大逆転する一番気持ちが良い所でまったく納得出来ないのはあまりに寂しすぎる。

 とまぁそんなわけで、とにもかくにも納得がいかず、正直ラス前でこんなに盛り上がらなかったのはこのスマイルプリキュア!くらいである。スイートですら上手くやっていたのになぁ。
 中盤以降から内心「大丈夫かな?」と思っていたのだが、終わり良ければ全て良しにはしてくれるだろうと期待していたが見事にずっこけてしまったよ。最終回はAパートでピエーロ様をなんとかしてBパートでエピローグなわけだから、これからなにをどうしても盛り返せないと思うと次回の興味が失せてしまうなぁ。
 せめて最後は綺麗に終わっていただきたい。

今週のまたみてね
 今回のまたみてねは「プリンセスハッピー」でした。そういえば、Bパートのアイキャッチがアカンベェでしたな。
 次回ついに最終回か。なんか……今となっては違う意味で感慨深いと言うかなんと言うか。


第48話 光輝く未来へ!届け!最高のスマイル!!

DX3じゃん。

 そんな今回のお話は…
 ピエーロが、なんでも飲み込んでしまう巨大な怪物になってしまった…!
 ハッピーたちは5人の心をひとつにして、立ち向かう!絶対に、負けない…!!
 だけど、ピエーロに跳ね返されてしまい、ハッピーたちは吹き飛ばされてしまうの…。
 プリキュアの変身も解けてしまったハッピーたち。もう一度変身しようとしても、スマイルパクトが…!
 どうしよう…もうプリキュアに変身できないの!?
 たとえプリキュアになれなくても、あきらめるわけにはいかないッ!世界をバッドエンドにしようとするピエーロを止めなくちゃ…!
 みゆきたちは、みんなのスマイルを守れるの…!?
 以上公式のあらすじ。

 う〜ん……。
 お話としましては、まぁ前回言った通り、大雑把に言えば「私たちは絶対にあきらめない!」と言って光線を出して終わりなのだが、そこまでにはあらすじにあるように、変身できなくなってしまうも、ミラクルジュエルの最後の力で一回だけ奇跡を起こせるとするが、そうして変身してしまうとキャンディたちの住むメルヘンランドとの関わりが無くなってしまい、彼らとは二度と会えなくなってしまうということが語られ、「キャンディ(友達)と別れたくない」という所から「別れを乗り越えて」という展開なんだけど……これってプリキュアオールスターズDX3ですよね……。
 そもそも、こちとらプリキュアの皆さんが大好きで毎週欠かさず見ているわけで、お共の小動物なんか、正直どーでもいーんですよ。プリキュア5のココナッツみたいならまた話は別なんですがそれはそれとして、上記したようにDX3のようだということと、小動物がどうでもいい、友達云々がピンとこない、ピエーロの行動理念がさっぱり不明、ということがあってまったくと言っていいほど乗り切れなかったよ。
 まぁ、一年欠かさず視聴し続けてきた身としては、なんだかんだ言ってもそれなりに彼女たちには思い入れはあるわけだから、泣かせ所でしんみりくることはくるのだけど、そこへ至るまでにあまりに足りない部分が大きすぎる。
 それはなんと言ってもやはりラスボスである悪の皇帝ピエーロ様だろう。前回も申し上げました通り、ピエーロ様がなんで地球壊そうとしているのかさっぱり分からないのだ。とりあえずラスボスとしての立場から、そういうことをしているくらいしか見えてこないのは如何なものか。
 ピエーロ様のしようとしていることや、その考えがどうしても受け入れられないし間違っている、そのため自分たちだけでなく彼女らの大切な人々が危害を被るからこそプリキュアの皆さんは命を賭して戦っているわけである。しかし、プリキュアの皆さんと相対するピエーロ様の理念がいっこうに見えてこないのだから、一体プリキュアの皆さんが何と戦っているのかが薄ぼんやりとしてしまって、変身できなくなってしまったこと、奇跡の力でもう一度変身するとキャンディとはもう会えなくなってしまうことに危機感が感じられない。つまるところを言えば、まったく感情移入できないのだ。
 悪の大ボスが絶対悪を示し、プリキュアの皆さんがその対極として存在し、倫理道徳上としても善であるからこそ、プリキュアの皆さんがどんな困難でもあきらめずに立ち上がる姿でその善性を示し、悪を討ち滅ぼすことで、人間誰しもが持っている善性が刺激され気持ちいいと感じるのではないかと思う。
 しかし、最初から名前は挙がっているものの、さしたる行動理念のないピエーロ様は、この物語上で「ラスボスである」以上の存在になり得ていない。物語を終わらす為だけに配置されただけの存在にしか見えないのだ。そんなもん主役がぶっ倒して終わりに決まっている。それで盛り上がりも何もあろうはずないではないか。
 ピエーロ様の理念が語られ、それは絶対に間違っている、絶対に許せない、絶対にその野望を阻止しなければならない、ということがあって初めて変身できない、キャンディと会えなくなるということが活きてくるのだ。そんな状況下にあっても、プリキュアの皆さんは全てを前向きに捉え、あきらめない姿を見せてくれるから、こんなよごれちまった大人でも「ああ、こういう人間でありたい」と思うことが出来るのだ。一番要の悪が「なんでこんな事しているのか分からない」のだから、いくら1年視聴し続けキャラに思い入れがあるからといっても、それだけでは盛り上がれないのも当然のことだろう。
 常々ここでは言っておりますが、フィクションなんて所詮は空想、絵空事の嘘っぱちですよ。でもそんな絵空事の嘘っぱちでも納得できるんです。そこに疑問がなければ。「なんでこうなの?」と疑問を持ってしまえば一気に現実に引き戻される。そうなれば絵空事の嘘っぱちはただのウソでしかない。しかし、どんなウソでも疑問を持たずに納得することが出来れば、それは見ている人の心に素直に届くはずなのだ。

 それを踏まえてみれば、ピエーロ様が「なんでこんな事しているのか分からない」ということは、プリキュアの皆さんが絶対悪を倒して云々を言いたいのではないのかなという気がしてくる。というのも、この最終回でプリキュアの皆さんがわんわんと泣いているシーンにエラい長い尺が使われている。計ってはいないが、体感では半分くらいは泣いていたような気がします。
 人生において、時にはつらい選択をしなければならないこともあり、大切な人とはなれてしまうこともある。人が人である以上、出会いがあれば必ず別れがくる。ということを伝えたかったのかなーという気はします。
 でもそれだったら、最後にキャンディがまたみゆきたちのいる世界にくることが出来るようになったっていうのは随分な蛇足でしかないよなぁ。個人的には絵本を描き始めたみゆきの所で終わるか、さもなければ、曲がり角を曲がったみゆきがはっと空を見て涙まじりの笑顔になって終わって、キャンディが戻ってきた「かのような」終わり方であった方が(まだ)スッキリしたのだがなぁ。
 ともあれ、正直な所をいうと、こんなに盛り上がらなかったクライマックスはこのスマイルプリキュア!が初めてです。スイートでさえけっこうな盛り上がりを見せてくれたのになぁ。と言うわけで以下、全体的な感想をば。

 物語としては前半戦で上がっていった期待値は、後半戦に入って見事な右肩下がりの下降線を辿ったというイメージだ。
 最初の頃はすごく良くて、固有バンク技を気合いを溜めないと出せなかったり、バンク技一回出したら力を使い果たしてしまったり、楽しいドタバタ劇であったりと新鮮味があったのだが、気合い溜めはさほど多様されたわけでもなく、技が一回しか出せない設定は、いつしか「そんなこともありました」くらいになっているし、ドタバタ劇だけで内容のない話が随分多かったりでせっかくのおもしろい部分がけっこうなおざなり感であったのは残念至極。
 特には第3クールからの展開がそれまでとあまり変わらず、ドタバタ劇に終始したのはあまりに寂しい。おそらくは第1・2クールの評判が良かったのでそのまま続けたのではないかと推測しているが、ドタバタ劇以外に見せる部分があったろうと思う。
 それはキャラクターたちの繋がりだ。そう、キャラではなくキャラ達の「繋がり」の方。
 というのも、最後に「友達」云々言うのであれば、彼女らの友情をもっと描くべきだろう。見ていてみゆきたちが他のシリーズのプリキュアの皆さんに勝るとも劣らないような強固な絆を得たようにはとても見えなかった。イメージ的には同じ部活の友達くらいの感覚だろうか。
 そんなイメージの彼女らが、下手すれば命を失うかもしれない戦いを一緒にしているってのが不思議に思ってしまう。彼女らには絶対に負けられない、絶対に守るという決意と共に、ひとりで出来ないことをみんなでカバーし、団体であることの強さを示してほしかった。
 せっかくみゆきは転校生という設定なのだから、最初はそれこそ「同じ部活の友達くらいの感覚」でも、回を重ねることで各キャラと強く結びついていく、また各キャラが主役であるみゆきに感じ入って距離を深めようとする様子を描いて、この5人だからスマイルプリキュア!なんだと思わせてほしかったように思います。
 そこで一番思うことがあって、それはみゆきの主役度の低さだ。正直、自分はみゆきが主役というイメージが全然ないのだ。
 特にリーダーシップを発揮するわけでもないし、いつも話の中心というわけでもないし、いい所ではっとするような台詞を吐くわけでもなし、そして一番問題なのは絵本好きのメルヘン好きが個性としてまったく活きていないのだ。
 みゆきのここが良い!という光る個性が見えてこないので、主役というよりは5人の中のひとりで落ち着いてしまっているのはあまりに寂しいのではないだろうか。主役はやはり主役足らん所を見せてなんぼだろう。
 二度目になるが、せっかくの転校生という設定である。自分も転校した経験があるので分かるのだが、そりゃ最初はおっかなびっくりですよ。なにせ自分をどのポジションに置けば良いのか分からないし、「自分」というものをどこまで発揮してしまっていいのかも分からないのが普通だろう。学校という場所は、自分というキャラを他人に認識させてポジションを作り、どうコミュニティを形成するかが全てと言って良い。(それが上手く出来ないと不登校になったり、いじめの対象になったりするんだよね)
 他の人間がすでにコミュニティを形成しポジションを得ている中に、ポッと身ひとつでその中に放り込まれたのであるから、みゆきの心中とその行動は細かく描くべきだろう。みゆきがどう思ってあかね・やよい・なお・れいかをプリキュアに誘ったか、そしてプリキュアコミュニティを形成し、メンバーがある程度の距離と繋がりがある中で、一番の新参である自分が何をどう思いどう距離をつめて結び付きを作るかは重要だし、当然見せるべき所だろうと思っていたので、それが無く最後まで来てしまった今としては、みゆきがなんだかよく分からない人になってしまった。なんだかよく分からない人の言葉に説得力があるだろうか?いや、ない。それ故のクライマックスでの盛り上がりの無さでもあったのではないだろうか。
 みゆきはこういう人なのだ。だからここでこんな台詞を吐く。こう思っているからこんなにも激昂する。というような、「あぁ、みゆきだからこそ!」というような部分を見せてほしかったし、そういう部分があって他のプリキュアの皆さんが友達になれて良かったと思うわけで、それがあって5人がプリキュアとなって命を賭す戦いに身を投じられるものだと思うし、それでようやく最後の「友達云々」につなげられるのではないかと思います。
 上記踏まえて考えると、このスマイルプリキュア!はその設定を活かしきれていなかった、という気がします。こうなれば良いのにと思うことが多く(特に後半)、一言でいえば「残念」という言葉がしっくりきます。
 でも世間一般的にはこのスマイルプリキュア!はだいぶ好評だったようで、個人的には自分のマイノリティさを思い知ったわけですが、まぁ確かに「楽しいドタバタ劇」は随分楽しかった(修学旅行1日目とかハッピーロボは見事でした。さすが成田良美!)けれど、全体的な物語としてのおもしろさは私には分からなかったなぁ。

最後のまたみてね
 最終回のまたみてねは「みゆき・あかね・やよい・なお・れいか・キャンディ・ポップが抱き合って『みんなえがおでウルトラハッピー!!』」でした。
 キャラデザ川村敏江さんの書き下ろしです。

 で、ここからかなり蛇足なんで読まなくてもいいよー。
 同じ5人のプリキュアものとして、Yes! プリキュア5ってのは良く出来ていたなぁと、このスマイルプリキュア!を見て改めて思ったわけですよ。
 なーんにもできない主人公夢原のぞみは、それ故コンプレックスとかあるし、基本アホな子なので他に迷惑とかすごくかけたりするんだけど、腐ったりしないで強い意志を持ち、がむしゃらに夢を追いかけ、そして無償の愛を失ったりしない。そんな純真な彼女だからこそ、吐く正論に共感できるしはっとさせられる。第7話での「騙す方が悪いに決まっているじゃない!」の台詞は今でも忘れることがありません。
 自分も大概なーんも出来ない人間なので彼女に親近感を憶えるし、自分にない強い心と純真な心に憧れてしまう。「こういう人間でありたい」と思わせてくれるのだ。そう思うのだから、他のプリキュアの皆さんがのぞみに惹かれ、集い、触れ合って、強固な関係を築いていくのを見ても、どこも疑問に思わない。むしろ自然であるし、のぞみの一挙手一投足が気持ちいい。
 物語的にも、最後にラスボス「デスパライヤ」と戦わず、変身を解き、いち人間として説得する様は何度思い返しても「すごい!」と思わざるを得ない。自分と相対する敵を目の前にして、その強大な力で叩き潰すのではなく説得するんだぜ?
 展開上としても「えぇっ?!」思い驚いたこともさることながら、夢原のぞみという人間は実在しないのである。そう、フィクション、絵空事の嘘っぱちのお話の中のキャラクターに「すごい!」と思ったのだ。自分なら絶対に出来ないと思うからだ。
 まぁ冷静に考えれば、だ。フィクションだから出来ることなのであろう。しかし「のぞみはこの土壇場でこんなこと出来るなんてすごいなぁ」と思うほど、感情移入してYes! プリキュア5を私は見ていたということになる。
 現実ではない嘘っぱちのことに心動かされるのだから物語ってのは素晴らしいと思うし、そういう物語に出会いたいし、なにより大好きなプリキュアの物語はそういう物語であってほしい。
 今度からのドキドキ!プリキュアで10年目となりますプリキュアシリーズが、これから20年目、30年目と続きますよう祈りつつ、スマイルプリキュア!の感想を締めたいと思います。


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