お薦め悪/脇役

舞台観劇の感想と悪/脇役紹介の文です

明治座10月錦秋公演 いのち燃ゆるとき 2001年10月2日〜28日

明治座「いのち燃ゆるとき」

女将作・日程表<BR> 初めてこういうの書いてみたんです、へたくそでごめんなさい。

●開演
  昼の部 11時   夜の部  16時

 ●観劇料(税込)
  A席 12,000円   B席 5,000円

 印…私が観劇した日

あらすじ

 江戸から明治になって3年。材木商川越屋茂平は元は旗本の次男坊だったが、武士の世に厭気がさしていた頃、無頼浪人達から川越屋茂左衛門を助けた事が縁で彼の養子となった。腕っぷしが強く義理堅い、何より人としての温かさを忘れない男であった。
 ある日、茂平は川へ身投げした女・お篠を助ける。お篠は、最近、ある官吏から強引に妻にと言い寄られているのに加え、旧幕軍に参加し2年余りも音信不通になっていた許婚が戦死したとの報せを受け、生きる希望を失っていた。茂平の親身な励ましと優しさに、お篠は凍てついた心が溶けていくのを感じるのだった。
 互いに惹かれ合っていく二人だったが、お篠の許婚がかつての友・永井信一郎であることを知った茂平は、お篠を想う気持ちに変わりはないものの、後ろめたさをぬぐいさることができなかった。

本日のお薦め

鈴木瑞穂さん
 川越屋茂左衛門(当主)。茂平の「志」の高さをいち早く見抜き養子に迎え、川越屋の身代を託します。流石の存在感、「親父様」と慕う茂平との信頼関係は抜群で、思わず納得させられてしまう重厚さを持っておられます。

大塚道子さん
 永井信一郎の母・志津。今は身をやつしてはいても、元は旗本の奥方だったという雰囲気が素晴らしいです。メリハリもよく、流石の存在感です。大塚さん、善人も悪人もお上手にこなされますよね。私は毒々しい意地悪な役の大塚さんの方が好きなんですけど。

三浦布美子さん
 芸者・米八。本当に艶やかです。三浦さんの初登場場面は峰様達と出会う所なんです。峰様達が「いい女が来る!」「おお!」と声を上げると、待ってましたとばかりに三浦さんのご登場で、場内歓声!いやー、舞台にパッと花が咲くようです。
 茂平やお篠との遣り取りも一つ一つの表情に余韻があって綺麗。あの大人の女性の色香は素晴らしいです。

青山良彦さん
 永井信一郎。過去の経験から鬱屈しながらも、茂平の暖かい友情で立ち直り、自分の新しい道を見つけていく辺りの変化がいいです。戦地から生還し家に戻って、母に足を濯いでもらう場面は感動的、涙を誘っておりました。初めて洋服を着た場面では、居心地悪そうな不安げな表情・所作が可愛かった。って、熟年男性に向って言うのも変なんですが…。
 青山さん、流石に所作・立ち振る舞いが綺麗でいらっしゃいました。

菅生隆之さん
 川越屋手代・幸吉。台詞回しが聞き易く滑らかでとても感じがよかったです。コミカルな部分の表現もお上手で、客席を和ませ、また涙を誘う場面もありました。冒頭のこっそり「えげれす語」を勉強する辺りはかなりの好感度で客席を沸かせていらっしゃいました。
 …解説を拝読しましたら声優もやっていらっしゃるようで、アーノルドシュワルツェネッガーの声をあてたり、TVアニメでもご活躍だそうです。納得しました。

藤村薫さん
 茂左衛門妹・お順。人のいい茂平をお払い箱にし、自分の息子を川越屋の跡取にしようと、茂佐衛門に捻じ込んできます。まあその様の気丈で憎々しい事。お上手でした。のち、傾いた店を茂平に助けられ、お礼を言う場面は素晴らしい手のひら返しの猫撫で声。客席の笑いを誘っていらっしゃいました。

西田良さん
 川越屋寮番・増造。全くアクのない好々爺でした。周りを食わずそれでいてしっかり存在感があって、善人役も素敵でした。西田さんと言えば、東映任侠物や時代劇で活躍したベテラン名バイプレーヤー。現在は自ら劇団を主宰されていらっしゃるとか…。

植松鉄夫さん
 遊郭「中卍屋」のおかん(遣手)。慇懃・欲深そうな婆さん、いいわァと思っていたら、男性でした。プログラム見てビックリ。いやー、全く違和感なく「婆ぁは退散」などと、女郎と客に一瞥し去っていく姿は最高でした。

藤沢徹夫(現・徹衛)さん
 川越屋番頭・善兵衛。どっしりしたなかなかの風格。いつもの悪役の時とは違う、人のよさそうな表情が印象的でした。EDの祝言の場面の羽織袴姿は、すごい貫禄。お店の主って言ってもおかしくない様相でした。

細川純一さん
 開化屋(茂平の経営する店)に金の無心に来る浪人(第二幕第三場)。姑息そうな浪人で、茂平を睨む表情もなかなかのものです。茂平に強かに峰打ちされ、気絶状態。いざとなると、結構弱っちい様がいいんですよ!一人で先頭きって逃げます。いるなー、こういう人。←そこがいいんですって!

夏山剛一さん
 開化屋(茂平の経営する店)に金の無心に来る浪人(第二幕第三場)。勢いでいきがってる若者、気が短そうなトコがいいです。茂平にやられとんぼきっていらっしゃいます、流石JAE(「寄せ鍋 JAC→JAE」参照)!綺麗に袴(足)が開いて大きな弧を描いてて美しかったです。最後は悶絶する峰様の脇を抱えて連れて行ってくださってありがとうございました。優しい若者です(って、そういう事か?)。
 第三幕では外人(フランス人)をやってらしたんですが、夏山さんは長身ですし鼻筋通った綺麗なお顔立ちされてるんで、よくお似合いでした。

倉田健さん
 茂平を案内する八百屋。声がはきはきしてて聞き易く感じよかったです(ごめんなさい、これだけのコメントで…)。

藤森大樹さん
 初音の三ン下・仙太。逃げだし行き方知れずになったお篠の行方を探しますが、その際の貧乏臭くて姑息で品のなそうな様がナイス!←これ褒めてるんですけど…。

女将所感

 激動の時代に翻弄される人々の心模様を丹念に描いてます。チャンバラは少ないけど、人情味溢れる男気が似合う高橋英樹さんにぴったりハマった舞台でした。
 信一郎の長屋に住む奥さん連中(浅利悦子さん・大槻淳子さん・斎藤朋子さん)が、洗物して去っていく時に、バリバリお尻掻きながら消えていった方がいたんですよね、なんだか如何にも「長屋のおっかあ」って感じがしたんですが、何方なのか判りませんでした。 

配役

高橋英樹 杜けあき 三原じゅん子 遠野凪子 中村繁之 菅生隆之 行友勝江 三浦布美子 藤村薫 西田良 川辺久造 青山良彦 大塚道子 鈴木瑞穂 江原真二郎
倉田健 植松鉄夫 降旗慶一 藤森大樹 藤沢徹夫(現・徹衛) 峰蘭太郎 細川純一 夏山剛一 都築宏一郎 河原崎洋央
滝本浩介 鈴木新次 三原真 川口丈文 度会良 新冨重夫 佐藤正浩 高橋志朗 浅利悦子 藤田幸江 月見恭子 安田ひとみ 大槻淳子 斎藤朋子 長嶺有紀 水谷祐紀 立木三佐子 矢島美紀 山内紅実

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