日本の時代劇文化を守ろう!

〜KBSホール 2007年07月15日(日)〜
文化フォーラム「日本の時代劇文化を守ろう!」 

時代劇文化を守る運動

情報入手〜出発

 6月下旬にイベント情報を得ました。7月15日、KBSホールで開催される、 文化フォーラム「日本の時代劇文化を守ろう!」です。話を聞いてとっても行きたい!と思ったんですけど、その日は我が町でソフトボール大会が開催される事になっておりました。開催地の面子もありますし、必ず優勝をという関係者からの至上命令、キャプテンという立場上もあり、試合を抜けることはできない状況でした。リーグ戦くらいだったらサボってやろうかと思ったんですけどね…汗。
 半ば諦めつつ、梅雨の時期ですし何とか大会が雨天順延にならないかなと願ってました。
 そしてなんと、願いが通じたのか、大型台風接近!被害を受けられた方には大変申し訳ないのですが、私には恵の台風です。前日(14日)には早々に大会順延が決定し、これなら京都に行ける!と慌てて準備開始。あとは、名鉄と新幹線が止まらないことを祈るばかりでした。

ダイヤ乱れ放題

 朝起きて、ニュースで列車の運行状況をチェックすると、新幹線は30分程度の遅れ、名鉄は7:15から動き出したとのことでした。名鉄がネックか〜とか言いつつ、名古屋まで出られれば何とかなるかと、出発。駅に着いたものの、列車が来る様子はなく、どうなってる?と思ってると、「30分待ってるけど来ない」と駅を出て行く人も…。え〜〜?動き出したんじゃないですか?こんなド田舎の駅は、まだまだですか〜?どうしよ〜。近場なら他にも手段が考えられますけど、名古屋までじゃ、電車が来てくれないことにはなんともならないし…困。20分ほど待ったら、鈍行列車が到着しました。とにかく来た電車に乗っていく、というかんじ。すし詰めの電車に揺られ、名古屋に到着した時はすでにぐったりです。
 台風の影響は三河〜静岡方面の列車に直接影響を及ぼしているようでした。
 JRへ行くと、新幹線は博多方面から来た列車は名古屋で折り返し運転、名古屋から東京方面は完全運休でした。再開の目処も立たないようで…。出かけるのが京都でよかった…ほっ。
 折り返し運転をしているせいで、東京方面のホームから博多行きの列車が出たり、アナウンスに振り回されて階段を降りたり登ったり、も〜、汗だくです。いつ出るか判らない新幹線、一歩間に合わず逃した〜〜涙。走り回って、雨が上がって気温も上昇し、蒸し暑い事この上無しでした。
 さんざん待ってやっと乗れた新幹線、それも博多方面から来た列車の折り返しでした。名古屋よりももっと先に行きたい人もいるだろうに、無理やり降ろされてお気の毒…。

思わぬ出来事

 ま、人様のことはさておきとにかく早く私は京都に着きたい。自由席に腰をおろして、ほっと一息。すると次々乗り込んでくる人たちの一人、男の人が「隣よろしいですか?」と声をかけてきました。50歳ちょっと、くらいの殿方、目鼻立ちのはっきりしたこざっぱりした感じのいい方でした。もちろん私は一人旅なので「どうぞ」って言いましたよ。で、こんな状況の時なんで、旅は道連れ世は情け?今日は大変ですね〜、なんて世間話をちらほらと…。すると、その殿方、「大阪で舞台があるので観に行くんです」と仰って、舞台のチラシを見せてくれました。明石家さんまさん、秋本奈緒美さん、温水洋一さんらが出演される舞台のようで、如何にも楽しそうなチラシの作り具合でした。わざわざ大阪まで出かけて観劇するなんてよほど誰かのファンなんだろうか…と思ってましたら…。「私、これに出演してる秋本奈緒美の義理の父なんです」と仰るんです。…へ?秋本さんの義理のお父さん?ってことは旦那さんのお父さん?旦那さんて…?思わず「え?あのイケメン俳優のお父さんってことで…?」って不躾なことを言っちゃいました(^^;)。隣の殿方、「はい、そうです(^^)」…うわ〜、やばい、“イケメン俳優”なんてあまりにも、ああ、名前なんだっけ?…思い出せ!……「あ!原田さん!」と思い出せてよかった。「あ、ありがとうございます。原田です。」って。ひえ〜。こういうことってあるんですね〜。それで私もこれこれこうで京都に…という話をさせていただきまして…。
 私が京都で降りる時に、「イベント楽しんできてくださいね」と声をかけてくださいました。ありがたい事です。ありがとうございますとちゃんとお礼を申し上げましたよ。それから、「お二人の益々のご活躍、拝見できるのを楽しみにしています」と付け加えて。美男美女カップル、原田夫妻のご活躍お祈りしてます。

 いい気分で京都に降り立ち、タクシーに乗ってKBSホールに向かったのです。

第1部

福本清三さん、笹木俊志さん、峰蘭太郎様、木下通博さん、田井克幸さん、浜田隆広さん、高橋弘志さん、木村康志さん、山口幸晴さん、柴田善行さん、殺陣師清家三彦さん、11名の皆さんです。

東映剣会による時代劇の技術の披露です。やっぱり時代劇は剣会の皆さんをはじめ、殺陣のプロの技に支えられていますからね。それを生で見せていただけたら嬉しいですよね〜。

剣会「殺陣・田村」

峰さん
 ご覧になったことのない方にはすっごいお薦めです!ドラマ演出の要素を取り除き、殺陣の技術を要する動きを集めて一つの流れを形成、立ち回りだけで繋いだ演舞です。

 なかなか見られる機会もないですし、こういう機会はとても貴重だと思います。
 高橋弘志さん・柴田善行さんを中心に構成されされていました。

峰さん
 じっくり見たいですし、写真も撮りたいですし、でもやっぱり目に焼き付けたい!とすごく葛藤してました。


 緊張感があり、華麗で美しい皆さんの動きを直にこの目で見られて感動モノです。ぞわわ〜〜っと鳥肌が立つようなかんじです。本当に立ち回りって素晴らしい!
 こういったイベントで剣会が出演する際、私は笹木俊志さんの出演回に当たった事がなかったので、今回直に拝見できてよかったです。

チャンバラ教室
殺陣師清家三彦さん、木下さん、田井さん、浜田さん

 立ち回りの基本的な要素、構え、抜き胴、追い討ち、袈裟切り、真っ向唐竹割りなどをユーモアを交えながら、判りやすく説明してくれます。こういったイベントでは剣会の皆さんの定番メニューとでも申しましょうか。
 ボケ・つっこみあり、要所はしっかりときりっとした立ち回りを披露。その面白さと、殺陣の緊張感のギャップがなんとも言えず、いいんですよね〜。殺陣が楽しく体感できます。浜田さんは大熱演でしたし、木下さんは流石リーダー堂々と。それに、田井さん、弾けてました〜。

時代劇有名キャラクターのコーナー

長きに渡り時代劇ファンの皆さんに愛されてきたキャラクターを披露。改めて、こうやって有名どころを見てみると、「ああ、また見てみたいな」と思わせてくれます。

山口幸晴さん=暴れん坊将軍・吉宗、中村主水、座頭市

山口さんたら、始め松平さんのお面で登場されたのでおかしくておかしくて(^^;)。見て感じたのは、「着物だけでも自分のイメージの中にちゃんと出来上がってるんだなあ」と思いました。お面を外した山口さんが新さんらしく見えましたもの。やっぱり衣装とか立ち居振る舞いとか全てひっくるめてイメージが出来るんですね。
主水も登場、この日のメンバーの中ではやはり主水の面立ちに一番近いのは山口さんだったかしら。猫背によれよれ同心の衣装、襟巻きで半分顔を隠したら主水さんです。…「仕事が済んだら、仕事だぜい」って…(^^;)。

木村康志さん=国定忠治、銭形平次、遠山の金さん

木村さんって衣装が似合う…というか、コスプレが似合うと言うか…、なんといったらいいんでしょう。この三様の衣装がとても似合ってたんですよね。こんなにピッタリ似合うんだ〜、と感心。
子分に恵まれない国定忠治、けなされっぱなしの平次、ネタにされる金さん、ちょっと気の毒でした(^^;ゝ…犯人は田井さん)。木村さんが突っ込まれやすいキャラなのか、扮装キャラのせいなのか…汗。

 散々大笑いし、峰様はどうなってるんだろう?とちょっと気がかり…。すると司会の清家さんが「気を取り直して、これからは二枚目バージョンです」って仰いまして、ほっとしました。

峰蘭太郎様=松平長七郎、旗本退屈男、丹下左膳

峰さん
峰様演じる長七郎
長七郎のラス立ち場面の決め台詞、「悪に上下の隔てなし、〜〜迷わず地獄に落ちるがよい」と、二刀流を披露されました。
 ほんと、峰様ってどんな衣装を着てもお似合いです。かっこいいわ〜。
峰さん
旗本退屈男
 後ろ向きになり額に三日月の傷をつけ、扇で隠しながらこちら向きに。
 「ぬはははは!天下御免の向こう傷」って始まりました。その高笑いの加減といい表情といい、退屈男だ〜、と見入ってしまいまして、写真は撮れてません(^^;)。
ほんとになりきってました。凄いわ〜。

 この構え、市川右太衛門先生が何処から撮っても刀が入るようにと考えられた構えだそうです。清家さんが「生前、先生ご自身が仰られてたので先ず間違いないです」と説明されてました。

峰さん
丹下左膳
 台詞回しも身のこなしもがらりと変わり、丹下左膳になりきってました。鮮やかな剣さばき、懐紙を咥え刀をぬぐい、ぶはっと吐き、刀を担ぎ見得を切る。…ああ、なんてかっこいいんでしょう〜。

 とっても生き生きと三役、演じられてました。清家さんとのトークの時の穏やかな笑顔と、役に入ったときのガラッと変わる表情が最高です。あの緊張感がたまりません。

柴田善行さん=月形半平太、眠狂四郎、鞍馬天狗

 東映京都のイケメン俳優登場です。春雨じゃ、濡れてまいろうの、半平太。お似合いですよ〜。狂四郎もお似合いでした。流石二の線です!笹木さんを円月殺法で仕留めてました。
 で、そのまま二の線で締めるのかと思いきや、鞍馬天狗でしっかり落ちがついてました(^^;)。福本さんとの絡み、面白かったです〜(^^)。

中島貞夫監督の講演
時代劇の魅力について

 京都の映画製作の歴史、時代劇の歴史についてお話されました。知らない事もたくさん聞けてよかったです。
中島監督:東京大学卒業後、東映に入社。京都撮影所の配属となり、64年「くノ一忍法」で監督デビュー。木枯らし紋次郎シリーズ、極道の妻たちシリーズ、など多くの作品を世に送り出した。

池田屋襲撃のひと場面!
生の立ち回りです

峰さん
 祇園囃子とともに池田屋に集まってくる浪士たち。
 リーダー格の峰様、宮部鼎蔵役?桂不在のまま車座になって密談します。

峰さん
 そこに新撰組・近藤勇役の木下通博さんらが勇ましく登場。剣会の皆さんの立ち回りが目の前で始まります。

 すっごい迫力でした。祇園囃子を遠くに聞きながら、目の前で起こる惨劇の目撃者になった、…とでもいいましょうか。

 峰様も果敢に近藤に挑みますが、残念ながら斬られ、無念の断末魔…。
峰さん
 舞台がとっても近かったですし、舞台下=私たちの席のすぐ前まで、所狭しと剣会の皆さんが斬り合いをしてるんです。
 本当に自分まで巻き込まれそうな緊張感…。殺陣のプロの集団の演技ってやっぱり凄いです。
 これだけの技を目の前で見せてもらえるなんてなんて幸せなことなんでしょう。

 そして最後は福本さんの階段落ちまで見られました!驚いた〜。福本さんの死体姿が目の前に…。
 やっぱりチャンバラっていいですね〜。時代劇にも色々ありますけど、やっぱりチャンバラがしっかり演出されてるものが好きなんですよね、本物の立ち回りを直に堪能できて幸せなひと時でした。
 三年ぶりに峰様にお会いし、演技・立ち回りも拝見できて、本当にイベントに参加できてよかったです。

写真©東映

2部

ビデオ上映

撮影所の変遷、時代劇を支えるスタッフ・裏方の皆さんの技術など、短くまとめたビデオが上映されました。普段TV作品を見ているだけでは、裏方さんのことまでは判りませんし、いろんな皆さんの努力があって作品が成り立っていると改めて確認でき、よかったと思います。

パネルディスカッション
監督・中島貞夫さん 監督・原田徹さん 俳優・福本清三さん 美術デザイナー・高見哲也さん カメラマン・江原祥二さん カメラマン・長谷川光徳さん

 最近の時代劇作品を見て、テレビ局が悪いのか、制作会社(TOP)が悪いのか、現場が悪いのか…なんて考える事もしょっちゅうでした。
 皆さんは、昔の映画作りと今の違い、現在の製作現場の問題点など、お話を聞かせてくださいました。
 制作費削減による質の低下、企画力の低下⇒リメイクに頼る?漫画本に頼る?
 ターゲット層が決まってしまっていて、家族で楽しめるような、子供も若い人も女性も楽しめるような作品が生まれてこない…
 視聴率偏重などの問題点もあげられていました。スポンサーがつきにくい⇒予算が減る⇒キャストにも制約?…なんて悪循環もあるようです。
 このまま作品制作をする機会が減ってしまったら、技術を継承する事もままならず、時代劇文化の土台から衰退していしまいます。後継者を育てるためにも、作品作りを途絶えさせるわけには行きません。
 時代劇作品の現状を嘆いている時代劇ファンと同様に、できることならば自分たちの満足の行くいい作品を作りたいと熱望している現場の方の考えもお聞きできましたし、現場の方が肌で感じでいらっしゃるお話を聞けていい勉強になりました。
 会場に来ていた方々からも、各地でなされている草の根的な時代劇に関する活動などのお話もあり、時代劇を盛り上げようと多くの方がいろんな形で活動されているのを知りました。

 この「日本の時代劇文化を守ろう!」の運動もやはりテレ朝が時代劇から撤退すると決めたことが発端になったとか。私たち時代劇ファンとしては作品を見られる機会が減るのは大変な事です。が、現場で働いていらっしゃる皆さんにとっては生活が掛かってますから、死活問題ですしね。技術の継承という点からも今の状況を変えていかなければいけないでしょう。

後記

 今回のこのイベントは悪天候にもかかわらず、満席の大盛況でした。正直なところ、あまり宣伝もされていないように聞いていましたし、天候も悪かったので、ひょっとしたらガラガラのままじゃ?なんて心配もしたのです。沢山の方たちが集まってくださってるのを見て、一観客の私ですがほんとに嬉しかったです。
 欲を言えば、もう少し質疑応答の時間があればと思いました、手を上げている観客の方も何人もいらっしゃいましたし。時間がおしていたのでしょうがないとは思うんですけど、折角ファンの方が考えている事を直接聞ける機会だったのに、制作側として惜しい事をしたのでは?と思いました。

 これらの運動を通して、ファンとしても何か協力できる事があったらと思います。先ずは皆さん、署名をどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m。
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 イベント会場で再会したしののめ様、亀様、はてな様、波様ご夫妻、沢山の方々にお会いできて本当に楽しかったです。今回お世話になった皆様、本当にありがとうございました。

 戻ってから「島根の弁護士」(峰様出演作品)をやっと見たんですけど、スタッフロールに「撮影:江原祥二 浜名彰」とありました。あらら…。江原祥二さん、第二部で目の前に座ってらっしゃいました。峰様のシーンを撮ってくださったのも江原さんだったんでしょうか…。

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